言いなりママ 要望に応えるたびに子どもの自立は1日遅くなる
子どもからの要望を減らし、子ども自身に任せていくために、「ママやって!」と言われる前にやるべきことがある
「ママ! あのね、今日ね…」「ママ~服がない~」「ママ、お茶!」…家事や仕事でどれほどバタバタしていようと、お構いなしで繰り出される「ママコール」。もう小学生なんだから、もっと自分でやってほしい、話はあとにしてほしい…などと思いつつ、つい言われるがままに訴えをき入れてしまうことはないでしょうか。こうした「子の言いなりママ」が、子どもにどんな影響を与えるのか、「子育て支援」代表取締役で日本アドラー心理学会・正会員の熊野英一さんに聞きました。
【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
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もう小学生なのに、「ママやって」が止まらない
帰宅後の夕食準備の時間や、朝の出発前など、バタバタ忙しいときに限って繰り出される「ママ~、体操着がない」などの「ママコール」。もう小学生なんだから、それくらい自分でできるのでは、と思いながら、時間がないからとつい子どもの言いなりになってはいないでしょうか。しかし、このように「子どもの言いなり」になることは、「子育ての本来の目的から離れてしまっている」と熊野さんは言います。
「どんな親でも子どもに望むのは、『自分で主体的に人生を切り開いていってほしい』『自らの力で幸せな人生を歩んでほしい』……つまりは『自立してほしい』ということではないでしょうか。短期的に見れば、子どもの要望をさっとかなえたほうが時間の節約になるかもしれません。けれども長期的に見た場合『子どもの言いなりママ』でいることは、子どもの甘えを助長し、子どもの自立の足を引っ張っているのと同義なのです」
自立を促すためには、子どもができることを増やし、どんどん任せていったほうがいいと分かってはいても、忙しい時間帯は特に、「自分がやったほうが早い」とつい手を出してしまうこともあります。あるいは、「学校で楽しい時間を過ごしてほしい」という思いから、失敗しないようにと、先回りして手出しすることもあるかもしれません。
「『ママやって!』に応えなくてはいけない状況ももちろんあると思います。けれど、『要望に応えた分、わが子の自立は1日遅くなる』ということを、まずは認識してください。本当に子どもの自立を望んでいて、子どもにできることを増やしてほしいと思うのであれば、やはり甘やかしてはいけないと私は考えます」
とはいえ、今まで親が手助けしてきたことを、いきなり子どもに「今日から自分でやって」と丸投げしてもなかなかうまくはいかないでしょう。子どもが自分のやるべきことを自分事として捉え、無理なく自立を促すために「ぜひ試してほしいことがある」と熊野さんは言います。詳しく聞いていきます。
ついつい代わりにやってあげることが、子どもの自立を妨げる
この記事で分かること
・いきなり子どもに「今日から自分でやって」と丸投げしてもなかなかうまくはいかない
・親がしてしまいがちな失敗は「説得モード」になってしまうこと
・短い時間でも子どもの自己満足度を高める「話のき方」とは
・自分の役割を果たし、感謝されれば子どもの自己肯定感は上がる
・子ども自身の共感力も上げる必要がある