面白みの無い人間、古典落語の人物になりきる 落語家・桂慶治朗さん
昨年11月に開かれた「NHK新人落語大賞」。若手落語家の登竜門とされるこのコンクールで、米朝一門の桂慶治朗さん(39)が、50点満点中49点の高得点で大賞を受賞しました。慶治朗さんは、自身を「面白みの無い人間」と評するがゆえに、古典落語をいかす技に磨きをかけてきたといいます。
――28歳で入門しました。落語家を志したきっかけは。
もともと、「いつかフリーで働きたい」という思いはありましたが、ずっと落語家を目指していたわけではありません。大学を卒業して不動産会社に入社し、投資マンションの営業をしていました。電話をかけて営業のアポイントをとるんですが、1カ月でたった1件というときもあるほど。業務がきつくて、「ずっと勤めているのは無理」と思いました。
入社後1カ月くらいの頃、家でボケーッと寝転んでいるときに、なぜかふと「落語家なろ」って思ったんですね。それまで落語はドラマなどで少し見る程度でしたが、「これやったらできるやろう」って思いもありました。それが大きな思い違いだと後からわかるんですが(笑)。
――NHK新人落語大賞では「いらち俥(ぐるま)」をアレンジした演目を披露しました。
いらち俥は人力車の車夫とお客さんとのやりとりの話です。タクシーと同じように、急いでいる時に限ってなかなかつかまらへん。ようやく見つけた、「のんびり」と「いらち(せっかち)」な2人の車夫の対比が話のテーマです。
いらちな車夫の話を膨らませ…
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