ドイツDeutsche Telekom(ドイツテレコム)はミリ波と称される26GHz帯を使った5G(第5世代移動通信システム)の産業向け試験を完了し、顧客への商用提供を開始した。2024年6月13日(現地時間)に顧客の活用事例も含めて発表した。ドイツにおいて26GHz周辺の周波数帯は、連邦ネットワーク庁(Federal Network Agency)によって関係者に独占的に割り当てられており、現在はローカルなアプリケーションでのみ使用可能となっている。
(出所:Deutsche Telekom)
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From the lab to the factories: Deutsche Telekom offers 5G mmWave for industrial customers in Germany
このサービスの顧客であるオーストリアGER4TECH Metall Und Mechatronik Centerでは、自律型の産業機械とロボットを、ドイツ・ベルリンにあるWerner-von-Siemens Centre for Industry and Scienceの構内5G環境内ルーターを使って、ネットワーク接続している。このルーターは、産業向け3.7GHz帯を使った5G SA(Standalone)に加え、ミリ波にも対応している。ミリ波では、RTT(通信往復時間)が3~4ミリ秒、通信速度は下り時4Gビット/秒、上り時2Gビット/秒を超える高速低遅延通信が可能となっている。エンドツーエンドのIoT(Internet of Things)ソリューションを提供する米Telit Cinterionの協力で実現した。
Werner-von-Siemens Centreの5G SA構内ネットワークは、ドイツテレコムの公共モバイルネットワークとは別運用となっており、アンテナからコアネットワークまで、全てスウェーデンEricsson(エリクソン)製の装置が使われている。ここでは、スタートアップを含めた各種企業やベルリン工科大学、フラウンホーファー研究機構などの学術研究機関が、自律型の生産物流やその他の実用的なソリューションに向けた取り組みを行っている。