子こども手当てあて

子こども手当てあて（こどもてあて）は、民主党みんしゅとう政権せいけん下したの鳩山はとやま由紀夫ゆきお内閣ないかくにより、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）4月がつ1日にちから実施じっしされた「15歳さい以下いかの子供こどもを扶養ふようする保護ほご者しゃ等ひとし」に対たいし、金銭きんせん手当てあて（給付きゅうふ金きん）を支給しきゅうする制度せいど。「海外かいがい在住ざいじゅうの子女しじょのいる在日ざいにち外国がいこく人じん」を支給しきゅう対象たいしょうに含ふくんでいたとこで、野党やとう自民党じみんとうから法案ほうあん成立せいりつ前まえから不正ふせいを招まねくと批判ひはんしていたものの強行きょうこう採決さいけつされ、制度せいどが開始かいしされた。施行しこう後ごに懸念けねんされていた通とおりに在日ざいにち外国がいこく人じんによる不正ふせいの実例じつれいが相次あいつぎ、2011年ねん8月がつ30日にちに成立せいりつした「平成へいせい二に十じゅう三さん年度ねんどにおける子こども手当てあての支給しきゅう等とうに関かんする特別とくべつ措置そち法ほう」で「海外かいがい在住ざいじゅう子女しじょいる在日ざいにち外国がいこく人じん」は支給しきゅう対象たいしょうから除外じょがいするように改正かいせいされた。

野田のだ第だい1次じ改造かいぞう内ない閣かくにより、2012年ねん（平成へいせい24年ねん）4月がつ1日にちをもって児童じどう手当てあての名称めいしょうに戻もどされた。

類似るいじ制度せいどには子こども手当てあて施行しこう以前いぜんに行おこなわれていた児童じどう手当てあて（児童じどう手当てあて法ほうによる）がある。児童じどう手当てあてと異ことなる点てんは、

1. 支給しきゅう年齢ねんれい
2. 所得しょとく制限せいげん（ミーンズテスト）の有無うむ
3. 支給しきゅう額がく

等ひとしである。子こども手当てあて施行しこうに伴ともない、従前じゅうぜんの児童じどう手当てあて制度せいどを包括ほうかつした。

概要がいよう

第だい45回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょで民主党みんしゅとうのマニフェストとして提示ていじされ、根拠こんきょ法ほうとなる「平成へいせい二に十じゅう二に年度ねんどにおける子こども手当てあての支給しきゅうに関かんする法律ほうりつ」が2011年ねん（平成へいせい23年ねん）3月31日にちまでの時限じげん立法りっぽうとして、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）3月16日にちに衆議院しゅうぎいん、同年どうねん26日にちに参議院さんぎいんで可決かけつ、同年どうねん4月がつ1日にちより施行しこうされ、同年どうねん6月がつより月額げつがく1万まん3千せん円えんの支給しきゅうが開始かいしされた。

2011年ねん4月がつ以降いこうは毎月まいつき2万まん6千せん円えん（民主党みんしゅとうの2009年ねん選挙せんきょ公約こうやく）を支給しきゅうする予定よていであったが、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）6月がつ、財源ざいげん問題もんだいにより満額まんがく支給しきゅうを断念だんねんするとの政府せいふ発表はっぴょうがあり、月つき1万まん3千せん円えん（またはこれ以上いじょう）とする方針ほうしんに転換てんかんした。時限じげん立法りっぽうにした理由りゆうも財源ざいげんが確保かくほできなかった為ためと言いわれている。政府せいふは3歳さい未満みまんに対たいして7千せん円えん増額ぞうがくする法案ほうあんを撤回てっかい。2011年ねん3月がつ31日にち、1万まん3千せん円えん支給しきゅうを同年どうねん9月がつまで継続けいぞくするつなぎ法ほう「国民こくみん生活せいかつ等とうの混乱こんらんを回避かいひするための平成へいせい二に十じゅう二に年度ねんどにおける子こども手当てあての支給しきゅうに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ」が成立せいりつ。これに伴ともない、根拠こんきょ法ほうの名称めいしょうは「平成へいせい二に十じゅう二に年度ねんど等とうにおける子こども手当てあての支給しきゅうに関かんする法律ほうりつ」となった。

2011年ねん10月がつ以降いこうも支給しきゅうを継続けいぞくする場合ばあいには新あらたに約やく1兆ちょう1000億おく円えんが必要ひつようとなるが、政府せいふ・民主党みんしゅとうは東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの復興ふっこう財源ざいげんの確保かくほを優先ゆうせんするため、自公じこう政権せいけん時代じだいの児童じどう手当てあてを修正しゅうせいした上うえで支給しきゅうを継続けいぞくすることを決定けってい。その後ご与あずか野党やとう協議きょうぎで見直みなおしが行おこなわれ、支給しきゅう額がく及および法律ほうりつ名めいを変更へんこうしたうえで2012年ねん3月がつまで子こども手当てあてを継続けいぞくし、根拠こんきょ法ほうとなる法律ほうりつ名めいを「平成へいせい二に十じゅう三さん年度ねんどにおける子こども手当てあての支給しきゅう等とうに関かんする特別とくべつ措置そち法ほう」とし、同どう法ほう廃止はいし後ごは改正かいせいした児童じどう手当てあて法ほうに移行いこうすることとなった。

目的もくてき・背景はいけい

「児童じどう手当てあて#日本にっぽんの児童じどう手当てあて制度せいどの問題もんだい点てん」も参照さんしょう

日本にっぽんでは少子しょうし高齢こうれい化かが進行しんこうし、2010年ねん現在げんざいは、3人にんの現役げんえき世代せだいで1人ひとりの高齢こうれい者しゃを支ささえる形かたちになっているが、2055年ねんには1人ひとりの現役げんえき世代せだいで1人ひとりの高齢こうれい者しゃを支ささえる状況じょうきょうとなることが見込みこまれている。 一方いっぽう、日本にっぽんにおける子こどもの貧困ひんこん率りつは14.2%と、OECD諸国しょこく平均へいきんの12.4%より悪わるくなっており、片親かたおやの子こどもの貧困ひんこん率りつは54.3%とOECD諸国しょこく（平均へいきん30.8%）中ちゅう最低さいていとなっている。日本にっぽん政府せいふが子育こそだての支援しえんにかけている予算よさんは、GDP比ひでスウェーデン3.21%、フランス3.00%、ドイツ2.22%に対たいし、日本にっぽんは0.81%と先進せんしん国こく中ちゅう最もっとも少すくない国くにの一ひとつとなっている。特とくに6歳さい以下いかの子こどもへの支援しえん額がくがOECD諸国しょこく平均へいきんと比くらべ非常ひじょうに低ひくいとOECDに指摘してきされている。また子育こそだて世代せだいは等価とうか可か処分しょぶん所得しょとく中央ちゅうおう値ちが1998年ねん（平成へいせい10年ねん）から2007年ねん（平成へいせい19年ねん）の10年ねんで10%以上いじょう落おちるなど収入しゅうにゅうに余裕よゆうがなく、子こどもが学校がっこうに通かようようになると教育きょういく費ひも大おおきく増加ぞうかして経済けいざい的てき負担ふたんが大おおきくなる面めんもあるため、民主党みんしゅとうは子こどもの幼少ようしょうから就学しゅうがくまでのトータルでの支援しえんが必要ひつようだとしている。

こうした状況じょうきょうを踏ふまえ、平成へいせい二に十じゅう二に年度ねんどにおける子こども手当てあての支給しきゅうに関かんする法律ほうりつでは「次代じだいの社会しゃかいを担になう子こども1人にんひとりの育そだちを社会しゃかい全体ぜんたいで応援おうえんする」こと及および「子育こそだての経済けいざい的てき負担ふたんを軽減けいげんし、安心あんしんして出産しゅっさんし、子こどもが育そだてられる社会しゃかいをつくる」ことを政策せいさく目的もくてきとしている。なお、平成へいせい二に十じゅう二に年度ねんどにおける子こども手当てあての支給しきゅうに関かんする法律ほうりつ第だい2条じょうにて、「子こども手当てあての支給しきゅうを受うけた者ものは、前条ぜんじょうの支給しきゅうの趣旨しゅしにかんがみ、これをその趣旨しゅしに従したがって用もちいなければならない。」と記述きじゅつされており、給付きゅうふ金きんを子こどもの成長せいちょう及および発達はったつのために使用しようする責務せきむがある。

制度せいどの概要がいよう

支給しきゅう対象たいしょう

子こども手当てあての対象たいしょうとなるのは、日本にっぽん在住ざいじゅうの子供こどもの扶養ふよう者しゃ。扶養ふようする子供こどもが0歳さい以上いじょう15歳さいに到達とうたつしてから最初さいしょの年度ねんど末まつ（3月31日にち）までの間あいだにあることが条件じょうけんである。子供こどもや扶養ふよう者しゃが日本にっぽん国籍こくせきである必要ひつようはない。これは児童じどう手当てあて制度せいどからの踏襲とうしゅうであり、1981年ねんに難民なんみんの地位ちいに関かんする条約じょうやくに加入かにゅうしたことにより、「経済けいざい的てき、社会しゃかい的てき及および文化ぶんか的てき権利けんりに関かんする国際こくさい規約きやく」の趣旨しゅしも踏ふまえ、翌年よくねんに国籍こくせき要件ようけんを撤廃てっぱいした事ことによる。

児童じどう手当てあてでは児童じどう養護ようご施設しせつなどの児童じどうのうち親おやがいなかったり強制きょうせい入所にゅうしょの場合ばあいは対象たいしょう外がいとなっているが、子こども手当てあての理念りねんから該当がいとうする児童じどうにも同額どうがくを支給しきゅうする方針ほうしんを示しめした。 だが、安心あんしんこども基金ききんから支給しきゅうする形かたちだったため貯蓄ちょちくは不可能ふかのうで、制度せいど上じょうは一いち年ねんで使つかい切きらないと返還へんかんしなくてはいけなかった。 その後ごの児童じどう手当てあて法ほう改正かいせいにより、対象たいしょう外がい児童じどうへの支給しきゅうと貯蓄ちょちくが可能かのうとなった。

手当てあてを受うける者もの

子こども手当てあては子こども自身じしんに対たいしてではなく、子こどもを養育よういくする者ものに対たいして支給しきゅうされる。通常つうじょうは子こどもの親おやが手当てあてを受うけることになるが、両親りょうしんともが子こどもを養育よういくしていない場合ばあいは、代かわって子こどもを養育よういくしている者ものに手当てあてが支給しきゅうされる。

父母ちちははのうちどちらを子こども手当てあての受給じゅきゅう者しゃとするかについては、子こどもの生計せいけいを維持いじする程度ていどが高たかい者もの、と定さだめている。このため、一般いっぱんには父母ちちははのうち所得しょとくが高たかい者ものが手当てあての受給じゅきゅう者しゃになる。

手当てあての額がく

2010年ねん6月がつから2011年ねん9月がつまでは受給じゅきゅう者しゃごとに一律いちりつ1万まん3千せん円えん、同年どうねん10月がつから2012年ねん3月がつまでは3歳さい未満みまんと小学生しょうがくせいまでの第だい3子し以降いこうが月額げつがく1万まん5千せん円えん、3歳さいから小学生しょうがくせいの第だい2子しまでと中学生ちゅうがくせいは月額げつがく1万まん円えんが支給しきゅうされる。

手当てあての支給しきゅう

子こども手当てあては、手当てあてを受うけようとする者ものが、自分じぶんの住すむ市区しく町村ちょうそんに請求せいきゅうすることによって支給しきゅうが開始かいしされる。子こどもが別べつの市区しく町村ちょうそんに居住きょじゅうしていても良よい。出生しゅっしょう届とどけや転入てんにゅう届とどけといった住民じゅうみん票ひょうや戸籍こせき上うえの手続てつづきだけでは支給しきゅうされず、別べつに子こども手当てあてに関かんする手続てつづきを行おこなう必要ひつようがある。また、公務員こうむいんの場合ばあい、所属しょぞくする官庁かんちょうに請求せいきゅうする。2010年度ねんどに限かぎり、児童じどう手当てあてを受給じゅきゅうしていた者ものは、再度さいどの手続てつづきが不要ふようであった。

請求せいきゅうの結果けっか、支給しきゅうが決定けっていされると、前述ぜんじゅつの方法ほうほうによって計算けいさんされた額がくが、毎年まいとし2月がつ・6月・10月に4ヶ月かげつ分ぶんずつまとめて支給しきゅうされる。支給しきゅうは一般いっぱん的てきには受給じゅきゅう者しゃが指定していする金融きんゆう機関きかんの口座こうざに振ふり込こまれるが、市区しく町村ちょうそんによっては窓口まどぐちにおいて直接ちょくせつ手渡てわたす。また、児童じどうの数かずが増減ぞうげんしたときには届とどけ出でる必要ひつようがある。

財源ざいげん

民主党みんしゅとうは財源ざいげんとして、子こども手当てあてが満額まんがく支給しきゅうされる2011年度ねんど以降いこうに所得しょとく税ぜいの扶養ふよう控除こうじょと配偶はいぐう者しゃ控除こうじょを廃止はいしする方針ほうしん（実質じっしつ的てきな所得しょとく税ぜい増税ぞうぜい）としている。ただ、子こども手当てあての創設そうせつには5兆ちょう3000億おく円えんの予算よさん・費用ひようが必要ひつようなため、「実質じっしつ的てきな所得しょとく税ぜい増税ぞうぜい」とされる所得しょとく税ぜいの扶養ふよう控除こうじょと配偶はいぐう者しゃ控除こうじょの廃止はいしだけでなく、それに児童じどう手当てあて公費こうひ負担ふたん分ぶん（約やく8000億おく円えん）を足たしたとしても、子こども手当てあて創設そうせつへの対応たいおうが必かならずしも保障ほしょうされるとは限かぎられず、さらに子こども手当てあてのツケが将来しょうらい的てきな消費しょうひ税ぜい増税ぞうぜいに直結ちょっけつする可能かのう性せいがあることも指摘してきされていた。

「高校こうこう授業じゅぎょう料りょう無償むしょう化か・就学しゅうがく支援しえん金きん支給しきゅう制度せいど#問題もんだい点てん」も参照さんしょう

制度せいどの問題もんだい点てん・欠陥けっかん

在日ざいにち外国がいこく人じんへの支給しきゅう問題もんだい

児童じどう手当てあてでは1981年ねんから30年間ねんかんにわたり、日本人にっぽんじんの海外かいがいに居住きょじゅうする子こどもと同様どうよう、在日ざいにち外国がいこく人じんの子こどもが海外かいがいに居住きょじゅうする場合ばあいにも支給しきゅうしていた。子こども手当てあてにおいては、確認かくにんの厳格げんかく化かを図はかったもののその支給しきゅう要件ようけんは踏襲とうしゅうしていて問題もんだいが残のこっていた。

成立せいりつ前まえの自民党じみんとうによる欠陥けっかんの指摘してきと批判ひはん

児童じどう手当てあてには在日ざいにち外国がいこく人じんの子こどもが海外かいがいに居住きょじゅうする場合ばあいにも支給しきゅうされる欠陥けっかんがあった。その欠陥けっかんが子こども手当てあてでも引ひき継つがれていたため、自民党じみんとうは反対はんたいしていた。同どう法案ほうあんの審議しんぎの際さいに丸川まるかわ珠代たまよ議員ぎいんは鳩山はとやま政権せいけんに対たいし、「1つだけ条件じょうけんを加くわえればいい。『子こども手当てあては、子供こどもが日本にっぽん国内こくないに住所じゅうしょを有ゆうせず、かつ日本にっぽん国民こくみんでないときは支給しきゅうしない』というものです。これで海外かいがいへのバラマキは防ふせぐことができます」 と説得せっとくしようとした。

しかし、修正しゅうせいに応おうじずに同どう法案ほうあんは2010年ねん3月がつ25日にちに参院さんいん厚生こうせい労働ろうどう委員いいん会かいで強行きょうこう採決さいけつされた。そのため、丸川まるかわは「いくらでもズルして海外かいがいにお金かねを持もって行いけるのですから。民主党みんしゅとうは財政ざいせいがひっ迫ぱくしているというのに、なんてバカなことをする政府せいふなのか！」「欠陥けっかん法案ほうあんをそのまま実施じっしするのか」「愚おろか者ものめが！」と批判ひはんした。自民党じみんとうは民主みんしゅの強行きょうこう採決さいけつを丸川まるかわの「愚おろか者もの」と批判ひはんするシャツを売うったが、朝日新聞あさひしんぶんによると売上うりあげは上々じょうじょうであった。

丸川まるかわは「海外かいがいに子供こどもがいる在日ざいにち外国がいこく人じんの場合ばあいでも受給じゅきゅうできる問題もんだいがある。長ちょう妻つま大臣だいじんは法案ほうあん作成さくせいの途中とちゅうで『欠陥けっかんに気きづいていた』と言いいました。にもかかわらず何なんの修正しゅうせいもしなかった。100％参院さんいん選せんのためなんです」と言いい切きった、と東ひがしスポWEBが報ほうじた。

児童じどう手当てあてから引ひき継つがれた在日ざいにち外国がいこく人じんの不正ふせい受給じゅきゅう

2011年ねん（平成へいせい23年ねん）2月がつには、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）6月がつに、旧きゅう児童じどう手当てあてを受うけ取とっていた外国がいこく人じんにそのまま支給しきゅうしていため、子こども手当てあての受給じゅきゅう資格しかくを満みたしていない外国がいこく人じんが不正ふせい受給じゅきゅうをしていた例れいが判明はんめいした。

下記かきに報道ほうどうされた不正ふせい受給じゅきゅうを列挙れっきょしていく。

• 2010年ねん10月がつ、中国人ちゅうごくじん女おんな(28)と日本人にっぽんじん男おとこ(51)が偽装ぎそう結婚けっこんしたとして、電磁でんじ的てき公正こうせい証書しょうしょ原本げんぽん不実ふじつ記録きろく・同どう供用きょうよう容疑ようぎで二人ふたりを逮捕たいほした。二人ふたりは2007年ねん中国人ちゅうごくじん男女だんじょの子供こどもを偽装ぎそう認知にんちで日本人にっぽんじんとの嫡出ちゃくしゅつ子ことして届出とどけで、子こに日本にっぽん国籍こくせきを取得しゅとくさせ、出産しゅっさん育児いくじ一いち時じ金きん35万まん円えんと、児童じどう手当てあてを年間ねんかん6万まん円えん3年間ねんかん詐取さしゅした。このケースでは偽装ぎそう認知にんちの追及ついきゅうを逃のがれるため、子供こどもは中国ちゅうごくに出国しゅっこくしていた。

• 2010年ねん9月がつ、同おなじ手口てぐちで中国人ちゅうごくじん留学生りゅうがくせいの女性じょせいと日本人にっぽんじん男性だんせいが逮捕たいほされた。中国人ちゅうごくじん男女だんじょの子供こどもを偽装ぎそう認知にんちで日本人にっぽんじんとの嫡出ちゃくしゅつ子ことして届出とどけで、子こに日本にっぽん国籍こくせきを取得しゅとくさせ、2008年ねん6月がつ以降いこう、不正ふせいに児童じどう手当てあてと子こども手当てあて42万まん円えんを受うけ取とっていた。

• 2010年ねん11月、同おなじ手口てぐちで中国人ちゅうごくじん女性じょせいと偽装ぎそう結婚けっこんブローカーの日本人にっぽんじん男性だんせいが逮捕たいほされた。2007年ねん、中国人ちゅうごくじん男性だんせいとの間あいだに生うまれた子供こどもに日本にっぽん国籍こくせきを取得しゅとくさせるため父親ちちおやを偽いつわって嘘うその出生しゅっしょう届とどけを提出ていしゅつし、不正ふせいに児童じどう手当てあてと子こども手当てあてを180万まん円えん受うけ取とっていた。

2010年ねん8月がつ3日にち時点じてんで自民党じみんとうの調査ちょうさにより、2010年度ねんどに日本にっぽん在住ざいじゅうの外国がいこく人じんの「外国がいこく在住ざいじゅうの子女しじょ」7,746人にんに、子こども手当てあてが支給しきゅうされたことが分わかった。自民党じみんとう乃調査ちょうさ範囲はんいで在日ざいにち外国がいこく人じんへ支給しきゅうが確認かくにんされた総額そうがくは10億おく円えんに上のぼった。更さらには、自民党じみんとうの調査ちょうさに未み回答かいとうだった市町村しちょうそんもあったため、自民党じみんとうは在日ざいにち外国がいこく人じんによる子こども手当てあて受給じゅきゅう者しゃ数すうや受給じゅきゅう総額そうがく表示ひょうじはさらに増ふえる可能かのう性せいを明あかした。

受給じゅきゅう資格しかくのない外国がいこく人じんの子供こどもを日本人にっぽんじんが偽装ぎそう認知にんちし、子供こどもに日本にっぽん国籍こくせきを取得しゅとくさせ、児童じどう手当てあて・子こども手当てあて・出産しゅっさん育児いくじ一いち時じ金きんなどを不正ふせい受給じゅきゅうする例れいが後こうを絶たたない。偽装ぎそう認知にんちの追及ついきゅうを逃のがれやすくするために、偽装ぎそう認知にんちで子供こどもに日本にっぽん国籍こくせきを取得しゅとくさせたあと子供こどもを海外かいがいに出国しゅっこくさせて手当てあてを受給じゅきゅうするといった問題もんだいがある。

不審ふしんな申請しんせい

法案ほうあん成立せいりつ直後ちょくごから埼玉さいたま県けん川口かわぐち市役所しやくしょや東京とうきょう都と荒川あらかわ区役所くやくしょに「おカネもらえる？」と中国人ちゅうごくじんが殺到さっとうしたり、怪あやしい養子ようし縁組えんぐみが増ふえたり、孤児こじ院いんへ養子ようしがほしいという問とい合あわせが増ふえた、と東ひがしスポWEBが報ほうじた。

2010年ねん（平成へいせい22年ねん）4月がつ22日にちに兵庫ひょうご県けん尼崎あまがさき市しの市役所しやくしょ窓口まどぐちで、韓国かんこく人じん男性だんせいが妻つまの母国ぼこくであるタイ王国おうこくに養子ようし縁組えんぐみした子供こどもが554人にん居いるとして、554人にん分ぶんの子こども手当てあて（年間ねんかん換算かんさんで 8642万まん4000円えん）の支給しきゅうを申請しんせいしに来きている。この韓国かんこく人じん男性だんせいはタイ政府せいふが発行はっこうしたという証明しょうめい書しょを持参じさんしており、市し窓口まどぐちの担当たんとう者しゃが「養子ようしはどの子こか」と聞きくと「全員ぜんいんだ」と答こたえた。男性だんせいは「タイに定期ていき的てきに渡航とこうし、現地げんちで子こどもたちと寝起ねおきしている」と主張しゅちょうした。このケースは、「書類しょるい上じょうは条件じょうけんを満みたしている」が、判断はんだんを仰あおがれた厚生こうせい労働省ろうどうしょうは「554人にんの子供こどもと生計せいけいを同おなじくしているとは判断はんだんできず、社会しゃかい通念つうねん上じょうも認みとめられない」として支給しきゅう対象たいしょうにならないと判断はんだんした為ため、尼崎あまがさき市し側がわは申請しんせいを受理じゅりしなかった。

厚生こうせい労働省ろうどうしょうは4月がつ6日にち、同省どうしょうのホームページで「母国ぼこくで50人にんの孤児こじと養子ようし縁組えんぐみを行おこなった外国がいこく人じん」については支給しきゅうされないとしたが、人数にんずう制限せいげんがないことへの指摘してきや、「母国ぼこくで50人にんの子こどもと養子ようし縁組えんぐみをした外国がいこく人じんには支給しきゅうしない」と記載きさいしたことの根拠こんきょが曖昧あいまいだとの疑問ぎもんの声こえが上あがっている。

海外かいがいに子供こどもを持もつ外国がいこく人じんが殺到さっとうし、2010年ねん4月がつには自治体じちたい職員しょくいんから「海外かいがいの公的こうてき機関きかんに確認かくにんできない」など実際じっさいに海外かいがいへ子女しじょがいるかの確認かくにん作業さぎょうが困難こんなんであるため、「外国がいこく人じんの海外かいがい在住ざいじゅうの子女しじょ」を支給しきゅう対象たいしょうへ含ふくめた鳩山はとやま政権せいけんへの怒いかり声ごえが挙あがった。

不正ふせい受給じゅきゅう防止ぼうし策さくと法ほう改正かいせい

• 2010年ねん（平成へいせい22年ねん）3月がつ31日にち、厚生こうせい労働省ろうどうしょうは支給しきゅう要件ようけんの確認かくにんを下記かきに示しめす通とおり厳格げんかく化か。

1. 少すくなくとも年とし2回かい以上いじょう子こどもと面会めんかいが行おこなわれていること。
2. 親おやと子こどもの間あいだで生活せいかつ費ひ、学資がくし金きん等とうの送金そうきんがおおむね4ヶ月かげつに1度どは継続けいぞく的てきに行おこなわれていること。
3. 来日らいにち前まえは親おやと子こどもが同居どうきょしていたことを居住きょじゅう証明しょうめい書しょなどにより確認かくにんすること。
4. これらの支給しきゅう要件ようけんへの適合てきごう性せいを判断はんだんするために、提出ていしゅつを求もとめる証明しょうめい書類しょるいについて統一とういつ化か。
5. 日本にっぽん国内こくないに居住きょじゅうしている翻訳ほんやく者しゃによる日本語にほんごの翻訳ほんやく書しょの添付てんぷを求もとめ、その者ものの署名しょめい、押印おういん及および連絡れんらく先さきの記載きさいを求もとめること。

• 2010年ねん（平成へいせい22年ねん）5月9日にち、枝野えだの幸男ゆきお行政ぎょうせい刷新さっしん相しょうは在日ざいにち外国がいこく人じんが対象たいしょうに含ふくまれていることについて「率直そっちょくに言いって対応たいおうを間違まちがっていた」と陳謝ちんしゃし、2011年度ねんど以降いこうは対象たいしょうから外はずす方向ほうこうを示しめした。

• 2011年ねん8月がつ30日にちに成立せいりつした「平成へいせい二に十じゅう三さん年度ねんどにおける子こども手当てあての支給しきゅう等とうに関かんする特別とくべつ措置そち法ほう」では、子供こどもに対たいして日本にっぽん国内こくない居住きょじゅう用件ようけんが定さだめられ、児童じどう手当てあて時代じだいから30年ねん続つづいた「海外かいがいに子女しじょがいる在日ざいにち外国がいこく人じん」が支給しきゅう出来できる欠陥けっかんは解消かいしょうされた。

両親りょうしんが海外かいがいに居住きょじゅうしている場合ばあいの不ふ支給しきゅう

一方いっぽうで、日本人にっぽんじんであり、子こども本人ほんにんが日本にっぽんに居住きょじゅうしていても、保護ほご者しゃが（単身たんしん赴任ふにんなどにより）海外かいがいに居住きょじゅうしており、生計せいけいを維持いじする者ものが日本にっぽん国内こくないにいない場合ばあいは支給しきゅう対象たいしょうにはならない

年齢ねんれいと学歴がくれきの表記ひょうきの混同こんどう

子こども手当てあてに関かんしては、「学齢がくれい期きの者ものは全員ぜんいん、就学しゅうがくしており、かつ「年齢ねんれい相当そうとう学年がくねん（「年齢ねんれい主義しゅぎと課程かてい主義しゅぎ」を参照さんしょう）」に在籍ざいせきしている」との前提ぜんていで、下記かきのように党とう・報道ほうどう機関きかん・行政ぎょうせい機関きかんなどが学歴がくれきと年齢ねんれいを同一どういつ視ししている例れいが見みられる（中学校ちゅうがっこうの卒業そつぎょう者しゃ＝全員ぜんいんが高校こうこうに進学しんがくできるとは限かぎらない）。

民主党みんしゅとうは2009年版ねんばんマニフェストでは、「中学ちゅうがく卒業そつぎょうまでの子こどもに支給しきゅうする」と謳うたっていたが、実際じっさいに導入どうにゅうされた制度せいどでは受給じゅきゅう資格しかくに学歴がくれき用件ようけんを設もうけておらず、一定いってい年齢ねんれいの一定いってい期日きじつで打うち切きられる制度せいどとなった。

民主党みんしゅとうの2007年版ねんばんマニフェストにおいては、同おなじページに「義務ぎむ教育きょういく終了しゅうりょうまで支給しきゅうする」と「中学校ちゅうがっこう卒業そつぎょうまで支給しきゅうする」の二に種類しゅるいの表現ひょうげんが存在そんざいしていた。その後ごの2009年版ねんばんマニフェストでは、「中学校ちゅうがっこう卒業そつぎょうまで」だけが残のこった。また2010年版ねんばんマニフェストでも、年齢ねんれいについては明記めいきされず、中学生ちゅうがくせいという書かき方かたになっている。

ほとんどの報道ほうどう機関きかんが、民主党みんしゅとうの発表はっぴょうの表現ひょうげんに倣ならい、子こども手当てあて関連かんれんの記事きじにおいては、「中学ちゅうがく卒業そつぎょうまで」や「中学ちゅうがく3年生ねんせいまで」などの表現ひょうげんを用もちいている。一方いっぽうで、「15歳さいまで」などと年齢ねんれいのみで表現ひょうげんしている例れいは少すくない。

厚生こうせい労働省ろうどうしょうが作成さくせいしたパンフレットなどにおいても、年齢ねんれい上限じょうげんを書かかずに「中学ちゅうがく修了しゅうりょうまで」などの表記ひょうきを用もちいている。なお、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）1月がつに開ひらかれた国会こっかい議員ぎいんと厚生こうせい労働省ろうどうしょうの官僚かんりょうとの会議かいぎにおいて、議員ぎいんの側がわから「子こども手当てあてについて、中学校ちゅうがっこう卒業そつぎょうまでとあるが、留年りゅうねんしていた場合ばあいなどにおいてはどのように取とり扱あつかわれるのか。様々さまざまなケースが想定そうていされるのでQ&Aを作つくってほしい」との疑問ぎもんと要望ようぼうが出だされているが、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）5月がつになっても、厚労省こうろうしょう作成さくせいのQ＆A「子こども手当てあてについて 一いち問もん一いち答とう」、「リーフレット「子こども手当てあて」（[3] (PDF) ）」の両方りょうほうとも、対象たいしょう年齢ねんれいの説明せつめいが一切いっさいなく「中学校ちゅうがっこう修了しゅうりょう（卒業そつぎょう）」とのみ書かかれていた。5月31日にちになって新あたらしい「リーフレット「子こども手当てあて」」が掲載けいさいされたが、これにも年齢ねんれいと学歴がくれきがイコールの形かたちで書かかれており、留年りゅうねんした場合ばあいなどについての解説かいせつはない。

また各かく市町村しちょうそんにおいても、年齢ねんれいではなく「中学生ちゅうがくせいまで」などの表記ひょうきをしている例れいが多数たすうである。児童じどう手当てあてからの切きり替かえなどの実務じつむに関かんする案内あんないにおいても、「小学しょうがく6年生ねんせい」や「中学ちゅうがく2 - 3年生ねんせい」などの用語ようごを用もちいている例れいが多おおく見みられ、「同どう学年がくねん＝同どう年齢ねんれい」が前提ぜんていの表現ひょうげんとなっている。これにより、例たとえば2010年ねん（平成へいせい22年ねん）4月がつ1日にち時点じてんで13歳さい以上いじょうの中学ちゅうがく1年生ねんせい（年齢ねんれい制限せいげんにより前年度ぜんねんどは児童じどう手当てあては不ふ支給しきゅう）を養育よういくしている親おやが受給じゅきゅうを希望きぼうする場合ばあい、案内あんないに従したがえば申請しんせいの必要ひつようはないことになるが、実際じっさいには「認定にんてい（額がく改定かいてい）請求せいきゅう書しょ」を提出ていしゅつしなければ受うけ取とり漏もれが生しょうじる。

2000年ねん（平成へいせい12年ねん）国勢調査こくせいちょうさによれば、学齢がくれい超過ちょうか（＝子こども手当てあて対象たいしょう外がい）の小中学生しょうちゅうがくせいは5万まん6千せん人にん存在そんざいすることが分わかっている。これ以外いがいにも学齢がくれい期きの不ふ就学しゅうがく者ものも外国がいこく籍せき児童じどうを中心ちゅうしんとして多数たすうおり、彼かれらも子こども手当てあての対象たいしょうである。

子こども手当てあて法ほうにおいては、旧きゅう児童じどう手当てあて法ほうの規定きていと連動れんどうして、各かく自治体じちたいに政府せいふが子こども手当てあて費用ひようを交付こうふすることになっているが、その対象たいしょう年齢ねんれいの書かき方かたにおいて、下記かきのように「年齢ねんれい」ではなく、「学歴がくれき」を指さす用語ようごが使つかわれている。

• 五ご 三さん歳さい以上いじょう小学校しょうがっこう修了しゅうりょう前まえの子こどもが二に人にん以上いじょうあり、かつ、十じゅう二に歳さいに達たっする日ひ以後いごの最初さいしょの三さん月がつ三さん十じゅう一いち日にちを経過けいかした児童じどう手当てあて法ほう第だい三さん条じょう第だい一いち項こうに規定きていする児童じどう（※）（次号じごうにおいて「小学校しょうがっこう修了しゅうりょう後ご高等こうとう学校がっこう修了しゅうりょう前まえの児童じどう」という）が一人ひとりいる者ものに対たいする費用ひよう（当該とうがい三さん歳さい以上いじょう小学校しょうがっこう修了しゅうりょう前まえの子こどもの数かずから一いちを控除こうじょして得えた数かずに一人ひとり当あたりの子こども手当てあての額がくを乗じょうじて得えた額がくに係かかる部分ぶぶんに限かぎる） 三さん十じゅう九きゅう分ぶんの十じゅう九きゅう
  • （※）「児童じどう手当てあて法ほう第だい三さん条じょう第だい一いち項こうに規定きていする児童じどう」とは「18歳さいの4月がつ1日にちの前日ぜんじつまでの児童じどう」のことである。
• 七なな 十じゅう二に歳さいに達たっする日ひ以後いごの最初さいしょの三さん月がつ三さん十じゅう一いち日にちを経過けいかした子こども（※）（以下いかこの号ごう並ならびに附則ふそく第だい四よん条じょう第だい二に号ごう及および第だい五ご条じょうにおいて「小学校しょうがっこう修了しゅうりょう後ご中学校ちゅうがっこう修了しゅうりょう前まえの子こども」という）がいる者ものに対たいする費用ひよう（当該とうがい小学校しょうがっこう修了しゅうりょう後ご中学校ちゅうがっこう修了しゅうりょう前まえの子こどもに係かかる子こども手当てあての額がくに係かかる部分ぶぶんに限かぎる） 十じゅう分ぶんの十じゅう
  • （※）子こども手当てあて法ほう第だい三さん条じょうにおいて「子こども」とは、15歳さいの4月がつ1日にちの前日ぜんじつまでの子こどものことである。

このように、小学校しょうがっこうは12歳さいで卒業そつぎょうし、中学校ちゅうがっこうは15歳さいで卒業そつぎょうし、高校こうこうは18歳さいで卒業そつぎょうすることを前提ぜんていとした、年齢ねんれい主義しゅぎに基もとづいた書かき方かたがなされている。なお、旧きゅう児童じどう手当てあて法ほうにも「小学校しょうがっこう修了しゅうりょう」などの表現ひょうげんは存在そんざいしたが、「中学校ちゅうがっこう修了しゅうりょう」や「高等こうとう学校がっこう修了しゅうりょう」などの表現ひょうげんはなかった。また、子こども手当てあて法案ほうあんは民主党みんしゅとうが野党やとう時代じだいにも何なん回かいか提出ていしゅつしたが、そのときの法案ほうあんには学歴がくれきに関かんする表現ひょうげんは（一部いちぶを除のぞき）含ふくまれておらず、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）1月がつ29日にちに、第だい174回かい国会こっかいに提出ていしゅつされた法律ほうりつ案あんで出現しゅつげんしている。

出生しゅっしょう月がつによる支給しきゅう額がくの差さ

児童じどう手当てあてでも同様どうようであったが、子こども手当てあては、何月なんがつ生うまれの子こであっても生涯しょうがいに同おなじ月数げっすうの分ぶんが養育よういく者しゃに支給しきゅうされるわけではなく、最大さいだい11ヶ月かげつの差さがある。例たとえば3月がつ生うまれと4月がつ2日にち生うまれでは、11ヶ月かげつの差さがある。また、子こども手当てあては「出生しゅっしょう翌月よくげつから支給しきゅう」となっているので、4月がつ1日にち生うまれの場合ばあいはさらに1ヵ月かげつ分ぶん少すくなくなる。最大さいだい12ヵ月かげつ分ぶんの差さの原因げんいんは、子こども手当てあての始期しきの区切くぎりは出生しゅっしょう日びの翌月よくげつとなっている一方いっぽう、終期しゅうきの区切くぎりは誕生たんじょう日びの属ぞくする年度ねんどとなっているためである。

また、所得しょとく税ぜいの扶養ふよう控除こうじょ等ひとしの基準きじゅん日びと一致いっちさせていないため、それらの差さも含ふくめると、さらに差さが出でる場合ばあいもある。これらの、「早生はやうまれは損そん」の現象げんしょうに対たいしては、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）3月1日にちの衆議院しゅうぎいん財務ざいむ金融きんゆう委員いいん会かいで日本にっぽん共産党きょうさんとうの佐々木ささき憲昭のりあき議員ぎいんが指摘してきしている。

未み申請しんせい・支給しきゅう漏もれ

2010年ねん（平成へいせい22年ねん）4月がつからの子こども手当てあての支給しきゅう開始かいしに伴ともない、児童じどう手当てあてを受給じゅきゅうしていた者ものは新あらたな申請しんせいは免除めんじょとしたが、支給しきゅう年齢ねんれい拡大かくだいや所得しょとく制限せいげん撤廃てっぱいに伴ともなう新あらたな支給しきゅう対象たいしょう者しゃは申請しんせいが必要ひつようとなった。新規しんきに申請しんせいが必要ひつような人ひとは約やく350万まん人にんとされるが、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）9月がつ10日とおか時点じてんで厚生こうせい労働省ろうどうしょうが抽出ちゅうしゅつして推計すいけいした結果けっか、8.7%にあたる約やく30万まん人にんが未み申請しんせいであることが分わかった。締しめ切きりは9月がつ末まつであったため、厚生こうせい労働ろうどう省しょうでは未み申請しんせい者しゃに向むけて、申請しんせいを勧すすめる動うごきがあった。

ただし、公務員こうむいんは申請しんせい先さきが異ことなっていることや、自己じこの信念しんねんにより受給じゅきゅうを拒こばむ者ものもいたため、未み申請しんせい者しゃの概数がいすうが全すべて支給しきゅう漏もれというわけではない。特とくに支給しきゅう対象たいしょう者しゃが公務員こうむいんである場合ばあいは、自治体じちたい側がわで全すべての把握はあくが困難こんなんなため、支給しきゅう対象たいしょう者しゃが公務員こうむいんであるかを確認かくにんせずに、自治体じちたい側がわが催促さいそく文書ぶんしょを送おくったケースも在ある。また、申請しんせい漏もれの可能かのう性せいがある世帯せたいに個別こべつに通知つうちを送おくらない自治体じちたいもある。

申請しんせい漏もれが起おきる例れい

広報こうほうでは「前年度ぜんねんどに児童じどう手当てあてを受うけていた世帯せたいの、中学ちゅうがく1年生ねんせい以下いかの子こ」については、申請しんせいの必要ひつようがないような表現ひょうげんをしているが、実際じっさいには中学ちゅうがく1年生ねんせい以下いかであっても4月がつ1日にち時点じてんで13歳さい以上いじょうであれば、申請しんせいをしなければケースがある。

多おおくの自治体じちたいでは、下記かきのような案内あんないをしている。

• 前年度ぜんねんどに児童じどう手当てあてを受給じゅきゅうしていない世帯せたいで、今年中ことしじゅう学がく3年生ねんせい以下いかの子こどもがいる世帯せたいは申請しんせいが必要ひつよう。
• 前年度ぜんねんどに児童じどう手当てあてを受給じゅきゅうしていた世帯せたいで、今年中ことしじゅう学がく2年生ねんせい、中学ちゅうがく3年生ねんせいの子こどもがいる世帯せたいは申請しんせいが必要ひつよう。
• 前年度ぜんねんどに児童じどう手当てあてを受給じゅきゅうしていた世帯せたいで、今年中ことしじゅう学がく2年生ねんせい、中学ちゅうがく3年生ねんせいの子こどもがいない世帯せたいは申請しんせいが不要ふよう（中学ちゅうがく1年生ねんせい以下いかの子こどもだけの場合ばあいは、申請しんせいが不要ふようという意味いみ）。

しかし、下記かきのような場合ばあいには、上記じょうきの案内あんないでは申請しんせい漏もれが生しょうじるケースがある。下記かきの図ずは、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）4月がつ1日にち時点じてんで13歳さいである中学ちゅうがく1年ねんの子こAと、9歳さいである子こBがいて、Bについては児童じどう手当てあてを受給じゅきゅうしていた世帯せたいの例れいである。

当該とうがい年度ねんどの4月がつ1日にち時点じてんの年齢ねんれい	0歳さい	1歳さい	2歳さい	3歳さい	4歳さい	5歳さい	6歳さい	7歳さい	8歳さい	9歳さい	10歳さい	11歳さい	12歳さい	13歳さい	14歳さい	15歳さい
児童じどう手当てあて制度せいど（2009年度ねんど）									B			（ア）	A（小しょう6）
子こども手当てあて制度せいど（2010年度ねんど）										B			（ア）	A（中ちゅう1）
事実じじつに基もとづかない案内あんない文ぶんの学年がくねん												小学しょうがく6年ねん	中学ちゅうがく1年ねん	中学ちゅうがく2年ねん	中学ちゅうがく3年ねん

上記じょうきの図ずでは、Bは児童じどう手当てあて制度せいどの時期じきに支給しきゅう対象たいしょう年齢ねんれいであったため、子こども手当てあて制度せいどの時期じきにも支給しきゅう対象たいしょう者しゃリストが引ひき継つがれ、特とくに申請しんせいをしなくても受給じゅきゅう対象たいしょう者しゃとして、自動的じどうてきに児童じどう手当てあてから子こども手当てあてに切きり替かわる。Aは年齢ねんれい的てきに児童じどう手当てあての支給しきゅう対象たいしょう者しゃから外はずれていたため、申請しんせいをしなければ子こども手当てあてが支給しきゅう漏もれとなる。しかし、多おおくの自治体じちたいの案内あんないでは、Aは中学ちゅうがく1年生ねんせいであるためにこの場合ばあいは申請しんせいしなくても自動的じどうてきに支給しきゅう対象たいしょう者しゃとなるとしている。中学ちゅうがく1年生ねんせいのAは中学ちゅうがく2年生ねんせいの範囲はんいに含ふくまれるのである。自治体じちたいの本来ほんらい想定そうていする「中学ちゅうがく1年生ねんせい」とは、（ア）のような、前年度ぜんねんど4月がつ1日にちは11歳さいで今年度こんねんどは12歳さいという人ひとのことなのである。年齢ねんれいと学年がくねんを同一どういつ視ししているために起おきるトラブルである（「年齢ねんれい主義しゅぎと課程かてい主義しゅぎ」の項目こうもくも参照さんしょう）。ただし、自治体じちたいによっては申請しんせい漏もれに備そなえて、未み申請しんせい者しゃにお知しらせを送おくったり対応たいおうは様々さまざまである。

地方自治体ちほうじちたいの負担ふたん

2009年ねん10月がつ20日はつかに平野ひらの博文ひろぶみ官房かんぼう長官ちょうかんが財源ざいげんの地方ちほう公共こうきょう団体だんたいによる一部いちぶ負担ふたんを示唆しさしたことに対たいして、福岡ふくおか・佐賀さが両りょう県知事けんちじが国くにの全額ぜんがく負担ふたんを求もとめた他た、全国ぜんこく市長しちょう会かいも国費こくひ負担ふたんを求もとめる決議けつぎを採択さいたくし、松沢まつざわ成文せいぶん神奈川かながわ県知事けんちじら7知事ちじが連名れんめいで地方ちほう負担ふたんに反対はんたいする要請ようせい書しょを厚生こうせい労働省ろうどうしょうに提出ていしゅつした。

2010年度ねんどの子こども手当てあての財源ざいげん確保かくほにあたっては、自民党じみんとう政権せいけん時じにおいて作つくられた2009年度ねんど補正ほせい予算よさんの削減さくげんを行おこない、それを子こども手当てあての財源ざいげんに回まわすとされており、子育こそだて応援おうえん特別とくべつ手当てあても支給しきゅう停止ていしとなり、地方ちほうでは混乱こんらんが見みられた。なお補正ほせい予算よさんの削減さくげんの中なかには、緊急きんきゅうの景気けいき・雇用こよう対策たいさく、新型しんがたインフルエンザ対策たいさくなどの削減さくげん分ぶんもある。

12月23日にち、政府せいふは2010年度ねんどの暫定ざんてい措置そちとして子こども手当てあての一部いちぶを児童じどう手当てあてとし、現行げんこうの児童じどう手当てあての費用ひようを出だしている地方自治体ちほうじちたいなどに拠出きょしゅつさせることを決定けっていした。

所得しょとく制限せいげん

「ミーンズテスト」も参照さんしょう

2009年ねん11月22日にち、菅かん直人なおと副ふく総理そうりは所得しょとく制限せいげんについて「費用ひよう倒たおれになりかねない」として当初とうしょ導入どうにゅうに否定ひてい的てきな見解けんかいを示しめした上うえで、納税のうぜい者しゃ番号ばんごう制度せいどがあれば技術ぎじゅつ的てきな事務じむ作業さぎょうは簡単かんたんであり、制度せいど導入どうにゅうと合あわせた将来しょうらい課題かだいとする考かんがえを表明ひょうめいした。

『産経新聞さんけいしんぶん』がおこなった世論せろん調査ちょうさによれば、回答かいとう者しゃの6割わり以上いじょうが「所得しょとく制限せいげんを行おこなうべき」と回答かいとうした。

12月16日にち、小沢おざわ一郎いちろう民主党みんしゅとう幹事かんじ長ちょうは所得しょとく制限せいげんを設もうけるよう鳩山はとやま由紀夫ゆきお首相しゅしょうに申もうし入いれた。

2011年ねん8月がつ4日にち、民主みんしゅ・自民じみん・公明こうめい3党とうは翌よく2012年ねん3月がつをもって子こども手当てあてを廃止はいしし、児童じどう手当てあて法ほうに所得しょとく制限せいげんなどを盛もり込こむ形かたちで改正かいせいすることで合意ごういした。

所得しょとく税ぜいの扶養ふよう控除こうじょ等とう廃止はいしによる影響えいきょう

財源ざいげん確保かくほのため、民主党みんしゅとうは扶養ふよう控除こうじょ・配偶はいぐう者しゃ控除こうじょ廃止はいしを示唆しさしている。扶養ふよう控除こうじょを廃止はいししても子こども手当てあての対象たいしょうとならない高校こうこう・大学生だいがくせい等とう（専門せんもん学校がっこうの学生がくせいも含ふくむ）のいる家庭かていでも負担ふたんは変かわらない一方いっぽうで、23歳さい以上いじょうの扶養ふよう親族しんぞくがいる世帯せたいでは負担ふたん増ぞうになるケースもあるとみられている。また配偶はいぐう者しゃ控除こうじょの廃止はいしは、子こどもがいない専業せんぎょう主婦しゅふ世帯せたいを狙ねらい撃うちしたとされる懸念けねんから先送さきおくりの見通みとおしとなっている。扶養ふよう控除こうじょ・配偶はいぐう者しゃ控除こうじょ廃止はいしでも子こども手当てあてにより15歳さい以下いかの子供こどもが1人にんいる家庭かていでは年収ねんしゅう500万まん円えんの場合ばあい、23万まん900円えん増ぞうになると試算しさんされ、15歳さい以上いじょうでも公立こうりつ高校こうこう等とう（広義こうぎ的てきには高等こうとう専門せんもん学校がっこうも含ふくむ）に通かよう子供こどもがいる家庭かていの場合ばあいは高校こうこう無償むしょう化か法ほう制定せいていの恩恵おんけいがあるが、15歳さい以下いかや公立こうりつ高校こうこう等とう（広義こうぎ的てきには高等こうとう専門せんもん学校がっこうも含ふくむ）に通かよう子供こどもが居いない家庭かていでは増税ぞうぜいとなる。

日本にっぽん共産党きょうさんとうは、控除こうじょ廃止はいしによって増税ぞうぜいとなる世帯せたいについて民主党みんしゅとうが「夫婦ふうふのみの世帯せたいで一方いっぽうが家事かじ専業せんぎょうの場合ばあい」で「全ぜん世帯せたいの4％程度ていど」としているのに対たいし、共産党きょうさんとうの機関きかん紙ししんぶん赤旗あかはたによる試算しさんでは「高校生こうこうせい以上いじょうの親族しんぞくを扶養ふようする専業せんぎょう主婦しゅふ世帯せたいや23-69歳さいの親族しんぞくを扶養ふようする共働ともばたらき世帯せたいなども含ふくまれ、少すくなくとも600万まん世帯せたい、全体ぜんたいの12％以上いじょう」にのぼると指摘してき。また一橋大学ひとつばしだいがくの高山たかやま憲之のりゆき教授きょうじゅらによる試算しさんでは全ぜん世帯せたいの18％にあたる約やく920万まん世帯せたいが負担ふたん増ぞうになるとされ、これらの指摘してきとの違ちがいを説明せつめいするよう求もとめている。

扶養ふよう控除こうじょの見直みなおしにより、2011年ねん分ぶんからは15歳さいまでの年少ねんしょう扶養ふよう親族しんぞくに対たいする所得しょとく税ぜいの扶養ふよう控除こうじょ（38万まん円えん）が廃止はいしされたが、配偶はいぐう者しゃ控除こうじょの廃止はいしについて岡田おかだ克也かつや副ふく総理そうりは2012年ねん11月7日にち、2013年度ねんど税制ぜいせい改正かいせいでの実現じつげんは困難こんなんとの見通みとおしを示しめした。

提言ていげん・批評ひひょう

経済けいざい協力きょうりょく開発かいはつ機構きこう

経済けいざい協力きょうりょく開発かいはつ機構きこう（OECD）は、「目的もくてきと対象たいしょうを再さい検討けんとうすべきだ」とし、子こども手当てあてよりも保育ほいく所しょの待機たいき児童じどう対策たいさくなどに重点じゅうてんを置おくべきだと提言ていげんした。

政治せいじ家か

民主党みんしゅとうは与党よとうの児童じどう手当てあて拡充かくじゅう案あんに反対はんたいを続つづけていたが、一方いっぽうで、子こども手当てあて法案ほうあんを推進すいしんしていることには公明党こうめいとうから批判ひはんの声こえが出でている。2009年ねん10月がつ4日にち、神奈川かながわ県知事けんちじ松沢まつざわ成文せいぶん（当時とうじ）は「政策せいさくの大だい転換てんかん」と評価ひょうかする一方いっぽう、「あまりにも知恵ちえと工夫くふうがなく、前ぜん政権せいけんが行おこなった定額ていがく給付きゅうふ金きんに『子こども』という名前なまえがついただけ」と批判ひはん。所得しょとく制限せいげんや保育ほいく施設しせつ拡充かくじゅうなどを求もとめた。2010年ねん（平成へいせい22年ねん）1月がつ8日にち、清水しみず聖きよし義よし太田おおた市し長ちょうは市し税ぜい、学校がっこう給食きゅうしょく費ひ、保育ほいく料りょうなどの滞納たいのう者ものには、市し負担ふたん分ぶんの減額げんがくを検討けんとうしていることを明あきらかにした。「子こども手当てあて」は社会しゃかい保障ほしょうと考かんがえられる児童じどう手当てあてと異ことなり「経済けいざい援助えんじょ」と考かんがえられ、給付きゅうふは滞納たいのうの無ないことが前提ぜんていと法案ほうあんに付記ふきすることを希望きぼうしている。

自民党じみんとうの「無駄むだ撲滅ぼくめつプロジェクトチーム」（河野こうの太郎たろう座長ざちょう）は、2010年ねん（平成へいせい22年ねん）4月がつ5日にち、「保育ほいく所しょなど施設しせつ整備せいびの方ほうが重要じゅうよう」「政策せいさく目的もくてきがはっきりしない」などとして、子こども手当てあてについて「不要ふよう」との判定はんていを下くだした。竹中たけなか平蔵へいぞう元もと総務そうむ大臣だいじんは、「小ちいさな無駄むだを減へらし、大おおきな無駄むだを作つくることになる」と批判ひはんしている。

シンクタンク

富士通ふじつう総研そうけん経済けいざい研究所けんきゅうじょ

上席じょうせき主任しゅにん研究けんきゅう員いんの米山よねやま秀隆ひでたかは、子こども手当てあてが貯蓄ちょちくに回まわったとすれば、景気けいき対策たいさくとしての効果こうかは大おおきくないが、そもそも子こども手当てあてに景気けいき対策たいさくとしての効果こうかを期待きたいすることが的外まとはずれだと指摘してき。

一方いっぽうで、子こども手当てあては年少ねんしょう扶養ふよう控除こうじょを廃止はいしして導入どうにゅうしていることから、支給しきゅう金額きんがくと支給しきゅう年齢ねんれいを拡大かくだいしたものと見みることができ、年少ねんしょう扶養ふよう控除こうじょの恩恵おんけいが大おおきい高こう所得しょとく層そうに対たいし、税金ぜいきんを払はらっていない層そうにはその恩恵おんけいが及およばないため、年少ねんしょう扶養ふよう控除こうじょの廃止はいしによってこの逆進ぎゃくしん性せいの問題もんだいが解決かいけつできる点てんで、児童じどう手当てあてに比くらべて優すぐれた所得しょとく再さい配分はいぶん効果こうかを持もっていると述のべている。

なお少子化しょうしか対策たいさくとしての効果こうかについては、現状げんじょうでは評価ひょうかは困難こんなんだとした。また保育ほいく所しょなどの整備せいびが必要ひつようなのは言いうまでもないとした上うえで、収入しゅうにゅうが不安定ふあんていな世帯せたいに対たいする現金げんきん給付きゅうふは、有効ゆうこうな支援しえん策さくだとしている。

民主みんしゅ・自民じみん・公明こうめい各党かくとうによる案あんについては、0-2歳児さいじの支給しきゅう額がくを7千せん円えん増ふやす民主みんしゅ、児童じどう手当てあてに戻もどす自民じみん、一律いちりつ1万まん円えんとする公明こうめいのいずれも、2010年度ねんどの子こども手当てあての効果こうかを踏ふまえたものではなく、自みずからのメンツを優先ゆうせんさせた内容ないようであり、最もっとも効果こうか的てきな給付きゅうふの仕方しかたについて、議論ぎろんを深ふかめていくことが必要ひつようと締しめくくっている。

第一生命だいいちせいめい経済けいざい研究所けんきゅうじょ

副ふく主任しゅにんエコノミストの柵さく山さん順子じゅんこは、子こども手当てあてへの批判ひはんについての検証けんしょうで、所得しょとく制限せいげんを付与ふよすべきだとの批判ひはんに対たいし、所得しょとく制限せいげんの廃止はいしにより控除こうじょから給付きゅうふに切きり替かえることで、高こう所得しょとく層そうは高額こうがくの税ぜい負担ふたん軽減けいげん効果こうかを失うしなっていると指摘してきし、高こう所得しょとく層そうという理由りゆうで給付きゅうふを批判ひはんすることの合理ごうり性せいに疑問ぎもんを呈ていしている。

一方いっぽうで、高こう所得しょとく層そうには税ぜい負担ふたん増加ぞうか分ぶんを埋うめ合あわせる程度ていどの給付きゅうふ、その分ぶんを低てい所得しょとく世帯せたいに手厚てあつく支給しきゅうすることを提案ていあんしている。次つぎに子供こどものために使つかわれているのかという疑問ぎもんについて、家計かけいに余裕よゆうがないことが手当てあてを子供こどものために限定げんてい利用りようできない理由りゆうとして圧倒的あっとうてきに多おおいことを挙あげ、教育きょういくの土台どだいに生活せいかつがあり、教育きょういくに限定げんていしないことで支援しえんできる世帯せたいもあるとして、現金げんきん支給しきゅうに問題もんだいはないとしている。

また保育ほいく所しょ設立せつりつなどの方ほうが効果こうか的てきだとの意見いけんについて、保育ほいく所しょ設置せっちは女性じょせいの就労しゅうろう継続けいぞくを促進そくしんし、出産しゅっさんへのハードルを下さげるという意味いみで非常ひじょうに重要じゅうようであるとした上うえで、日本にっぽんでは育児いくじ休業きゅうぎょう制度せいどが十分じゅうぶんに整備せいびされた大だい企業きぎょうの正規せいき雇用こよう者ものにとっては、保育ほいく所しょ設営せつえいによる支援しえんは意味いみが大おおきいが、育休いくきゅう制度せいどの活用かつようがままならない中小ちゅうしょう企業きぎょうや非ひ正規せいき雇用こよう者ものの再さい就職しゅうしょくは非常ひじょうに困難こんなんで、労働ろうどう環境かんきょうの整備せいびが十分じゅうぶんでない現げん段階だんかいで給付きゅうふを打うち切きり、保育ほいく所しょ設置せっち費用ひように回まわすというのは時期じき尚早しょうそうだと主張しゅちょうしている。

子こども手当てあての長所ちょうしょとして、給付きゅうふ対象たいしょうを教育きょういく費ひ負担ふたんがかさむ中学生ちゅうがくせいまでに拡大かくだいしたことを評価ひょうかし、子供こどもの教育きょういく水準すいじゅんの低下ていかは、労働ろうどう力りょくの質しつにかかわる大おおきな問題もんだいであり、安易あんいに児童じどう手当てあてへ戻もどるべきではないとしている。

アンケート調査ちょうさ

関西かんさい社会しゃかい経済けいざい研究所けんきゅうじょによるアンケートでは、子こども手当てあての使途しとについて「将来しょうらいに備そなえた貯蓄ちょちく」が最多さいたで37％、制度せいどについて53.4％が「賛成さんせい」「どちらかといえば賛成さんせい」と回答かいとうした。手取てどりの増加ぞうか分ぶんを予定よてい外がいの買かい物ものに回まわす追加ついか的てきな消費しょうひ性向せいこうは12.6％程度ていどで、経済けいざい効果こうかは限定げんてい的てき。

大和総研だいわそうけんの20代だい、30代だいの女性じょせいへのアンケート調査ちょうさでは、中学ちゅうがく卒業そつぎょうまで月額げつがく2万まん6000円えんという金額きんがくで育児いくじ・出産しゅっさんに関かんする経済けいざい的てき不安ふあんが解消かいしょうされると回答かいとうした人ひとは45%にとどまったが、中学ちゅうがく卒業そつぎょうまで月額げつがく5万まん円えんでは72%、成人せいじんまで月額げつがく2万まん6000円えんでは61%、中学ちゅうがく卒業そつぎょうまで月額げつがく10万まん円えんでは87%、成人せいじんまで月額げつがく10万まん円えんでは89%の人ひとが不安ふあんが解消かいしょうされると回答かいとうした。中学ちゅうがく卒業そつぎょうまで月額げつがく2万まん6000円えんという内容ないようでは、経済けいざい的てき不安ふあんを解消かいしょうさせる効果こうかはあまり期待きたいできないが、支給しきゅう額がくを増加ぞうかさせたり支給しきゅう期間きかんを長ながくしたりすると、経済けいざい的てき不安ふあん解消かいしょうに役立やくだつことがわかった。

東北大学とうほくだいがくは「子こども手当てあて」制度せいどの平成へいせい23年度ねんど末まつの終了しゅうりょうにあたり、同どう制度せいどの効果こうかを検証けんしょうする目的もくてきで実施じっししたアンケート調査ちょうさを行おこなった。それによると、

1. おおむね給付きゅうふ金きんは「子こどものため」に充当じゅうとうされた。
2. 子こども手当てあてが実質じっしつ的てきに子育こそだて支援しえん、充実じゅうじつにつながったとは実感じっかんして受うけとめられていない。
3. 今後こんごの政府せいふには個別こべつ的てき・環境かんきょう整備せいび的てきな側面そくめんを求もとめる声こえが多おおくみられた。

との結果けっかが得えられた。

関連かんれん項目こうもく

• 日本にっぽんの福祉ふくし
• 子供こども
• 在日ざいにち外国がいこく人じん-鳩山はとやま由紀夫ゆきお内閣ないかくが制定せいていした当初とうしょの法律ほうりつは彼かれらの「海外かいがい在住ざいじゅう子女しじょ」も支給しきゅう対象たいしょうとされていたが、不正ふせいが相次あいついだ。
• 平成へいせい二に十じゅう三さん年度ねんどにおける子こども手当てあての支給しきゅう等とうに関かんする特別とくべつ措置そち法ほう（現行げんこう法ほう）-在日ざいにち外国がいこく人じんの不正ふせいが相次あいついだため、「在日ざいにち外国がいこく人じんの海外かいがい在住ざいじゅう子女しじょ」が支給しきゅう対象たいしょうから除外じょがいされた改正かいせい法ほう
  • 平成へいせい二に十じゅう二に年度ねんど等とうにおける子こども手当てあての支給しきゅうに関かんする法律ほうりつ（廃止はいし）
• 児童じどう手当てあて
  • 児童じどう手当てあて法ほう
• 高校こうこう無償むしょう化か法ほう
• 義務ぎむ教育きょういく費ひ国庫こっこ負担ふたん
• 少子化しょうしか
• 扶養ふよう控除こうじょ
• 配偶はいぐう者しゃ控除こうじょ
• 定額ていがく給付きゅうふ金きん
• ベーシックインカム

外部がいぶリンク

• 厚生こうせい労働省ろうどうしょう・子こども手当てあてについて - 厚生こうせい労働省ろうどうしょう
• 厚生こうせい労働省ろうどうしょう:第だい174回かい国会こっかい（常会じょうかい）提出ていしゅつ法律ほうりつ案あん[4]
• s:平成へいせい二に十じゅう二に年度ねんどにおける子こども手当てあての支給しきゅうに関かんする法律ほうりつ
• s:平成へいせい二に十じゅう二に年度ねんどにおける子こども手当てあての支給しきゅうに関かんする法律ほうりつ施行しこう令れい