美うつくしい国くに

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美うつくしい国くに（うつくしいくに、英訳えいやく: Beautiful Country[1]）は、安倍晋三あべしんぞうが2006年ねんの自民党じみんとう総裁そうさい選挙せんきょに際さいして掲かかげた国家こっか像ぞう[2][3]。安倍あべは内閣ないかく総理そうり大臣だいじん就任しゅうにん後ご、2007年ねん4月がつに内閣ないかく官房かんぼうの事業じぎょうとして「『美うつくしい国くにづくり』プロジェクト」を立たち上あげた[2]。日本にっぽん会議かいぎが1997年ねん5月がつの設立せつりつ時じに掲かかげた一いち番目ばんめの基本きほん方針ほうしん「美うつくしい伝統でんとうの国柄くにがら」、国土こくど交通省こうつうしょうが2003年ねん7月がつに発表はっぴょうした「美うつくしい国くにづくり政策せいさく大綱たいこう」などが構想こうそうの元もととされる[4][5][6][7]。

沿革えんかく[編集へんしゅう]

自由民主党じゆうみんしゅとう総裁そうさい選挙せんきょ[編集へんしゅう]

1997年ねん5月がつ30日にち、日本にっぽん会議かいぎの設立せつりつ大会たいかいがホテルニューオータニで開ひらかれた。設立せつりつ大会たいかいで発表はっぴょうされた6つの基本きほん運動うんどう方針ほうしんのうち一いち番目ばんめに掲かかげたのが「美うつくしい伝統でんとうの国柄くにがら」であった[4][5]。安倍晋三あべしんぞうが内閣ないかく官房かんぼう副ふく長官ちょうかんを務つとめていた2003年ねん1月がつ、国土こくど交通省こうつうしょうは省内しょうないに「美よし（うま）し国こくづくり委員いいん会かい」を設置せっちした。11回かいにわたる議論ぎろんを重かさね、同年どうねん7月がつ11日にち、「美うつくしい国くにづくり政策せいさく大綱たいこう」を発表はっぴょうした[6][8]。

2005年ねん10月がつ31日にち、第だい3次じ小泉こいずみ改造かいぞう内ない閣かくが発足ほっそく。安倍あべは内閣ないかく官房かんぼう長官ちょうかんとして初はつ入閣にゅうかくし、ポスト小泉こいずみと目めされるようになった。

2006年ねん5月がつ24日にち、安倍あべは講演こうえんで、同年どうねん9月がつ20日はつかに予定よていされていた自由民主党じゆうみんしゅとう総裁そうさい選挙せんきょ出馬しゅつばへの意欲いよくを示しめした[9]。同年どうねん7月がつ21日にち、安倍あべは『美うつくしい国くにへ』を文藝春秋ぶんげいしゅんじゅうから新書しんしょ版ばんで上梓じょうしした[3][7]。

祖父そふは、幼おさないころからわたしの目めには、国くにの将来しょうらいをどうすべきか、そればかり考かんがえていた真摯しんしな政治せいじ家かとしか映うつっていない。それどころか、世間せけんのごうごうたる非難ひなんを向むこうに回まわして、その泰然たいぜんとした態度たいどには、身内みうちながら誇ほこらしく思おもうようになっていった。間違まちがっているのは、安保あんぽ反対はんたいを叫さけぶかれらのほうではないか[10]。

安倍あべはこのように述のべ、岸きし信介しんすけの業績ぎょうせきを称となえた。靖国神社やすくにじんじゃにA級きゅう戦犯せんぱんが合祀ごうしされていることについて「それは国内こくない法ほうで、かれらを犯罪はんざい者しゃとは扱あつかわない、と国民こくみんの総意そういで決きめたからである」と書かきし、戦争せんそう責任せきにん者しゃの復権ふっけんを訴うったえた[11]。同書どうしょは2006年ねんのトーハンの総合そうごうベストセラーで17位いを記録きろくし[12]、海外かいがい（米国べいこく・中国ちゅうごく・韓国かんこく・台湾たいわん）でも発売はつばいが企画きかくされた[13]。

同年どうねん9月がつ1日にち、安倍あべは正式せいしきに総裁そうさい選せん出馬しゅつばを表明ひょうめいした[14]。また同時どうじに、「美うつくしい国くに、日本にっぽん」と題だいした政策せいさく集しゅうを発表はっぴょうし[15]、同どう党とう所属しょぞくの国会こっかい議員ぎいんに配布はいふすると共ともに、一般いっぱん国民こくみんに対たいしても広ひろく公開こうかいした。

同年どうねん9月がつ9日にち、安倍あべ、麻生あそう太郎たろう、谷垣たにがき禎一ていいちら3候補者こうほしゃの所信しょしん発表はっぴょう演説えんぜつ会かいが開ひらかれる。安倍あべは「未来みらいの子供こどもたちが日本にっぽんという国くにに生うまれたことを誇ほこりに思おもえる、美うつくしい国くに、日本にっぽんをつくっていくために、全力ぜんりょくを傾かたむけることをお誓ちかい申もうし上あげます」と述のべた[16]。

同年どうねん9月がつ20日はつか、議員ぎいん票ひょうと党員とういん票ひょうの算定さんていの結果けっか、安倍あべが総裁そうさいに選出せんしゅつされた。

第だい1次じ安倍あべ内閣ないかく[編集へんしゅう]

2006年ねん9月がつ26日にち、第だい1次じ安倍あべ内閣ないかくが成立せいりつ。同日どうじつ、安倍あべは記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、自身じしんの内閣ないかくを「美うつくしい国くに創つくり内閣ないかく」と呼よんだ[17]。

同年どうねん9月がつ29日にち、安倍あべは所信しょしん表明ひょうめい演説えんぜつで「日本にっぽんを、世界せかいの人々ひとびとが憧あこがれと尊敬そんけいを抱いだき、子供こどもたちの世代せだいが自信じしんと誇ほこりを持もてる『美うつくしい国くに、日本にっぽん』とする」と述のべた[2][18]。

2007年ねん1月がつ26日にち、安倍あべは施政しせい方針ほうしん演説えんぜつで「我わが国くにの理念りねん、目指めざすべき方向ほうこう、日本にっぽんらしさについて、我わが国くにの叡智えいちを集あつめ、日本にっぽんのみでなく世界中せかいじゅうに分わかりやすく理解りかいされるよう、戦略せんりゃく的てきに内外ないがいに発信はっしんする新あらたなプロジェクトを立たち上あげる」と述のべた。当該とうがい事業じぎょうは「『美うつくしい国くにづくり』プロジェクト」と名付なづけられた[19][20]。

同年どうねん3月がつ30日にち、首相しゅしょう官邸かんていは、プロジェクトの企画きかく・審議しんぎを行おこなう「『美うつくしい国くにづくり』企画きかく会議かいぎ」を開催かいさいし、会議かいぎの庶務しょむは、内閣ないかく官房かんぼうに設置せっちする「『美うつくしい国くにづくり』推進すいしん室しつ」が担になうと発表はっぴょうした[21][22]。

同年どうねん4月がつ3日にち、第だい1回かい「『美うつくしい国くにづくり』企画きかく会議かいぎ」が開催かいさいされ、「『美うつくしい国くにづくり』プロジェクト」がスタートした[2][23]。企画きかく会議かいぎの構成こうせいメンバーは内閣ないかく官房かんぼう長官ちょうかんの与謝野よさの馨かおる、内閣ないかく総理そうり大臣だいじん補佐ほさ官かん（広報こうほう担当たんとう）の世よ耕こう弘ひろ成なり、各界かくかいの有識者ゆうしきしゃ12人にん[2]。選えらばれた有識者ゆうしきしゃは座長ざちょう平山ひらやま郁夫いくおのほか、山内やまうち昌之まさゆき、石井いしい幹子みきこ、井上いのうえ八千代やちよ、岡田おかだ裕介ゆうすけ、荻野おぎのアンナ、川勝かわかつ平太へいた、庄山しょうやま悦えつ彦、田中たなか直毅なおき、中西なかにし輝政てるまさ、弘ひろし兼けん憲史けんじ、松永まつなが真理まり[24]。安倍あべが総裁そうさい選せん時じに掲かかげたスローガン「美うつくしい国くに、日本にっぽん」は「世界せかいに信頼しんらいされ、尊敬そんけいされ、愛あいされる、リーダーシップのある国くに」と定義ていぎされた[25]。美うつくしい国くにづくりプロジェクトは公式こうしきサイトで「『美うつくしい国くに、日本にっぽん』は、私わたしたち一いち人にんひとりの中なかにあります。だからこそ、この『美うつくしい国くに、日本にっぽん』を、私わたしたち一いち人にんひとりが創つくり、そして誇ほこりをもって伝つたえていきたいと考かんがえています」と宣言せんげんした[26]。

同年どうねん4月がつ20日はつか、「美うつくしい国くにづくり」推進すいしん室しつはプロジェクトの第だい一いち弾だんとして、「美うつくしい日本にっぽんの粋いき（すい） ～伝つたえたい私わたしたちの美うつくしさ～」の公募こうぼを開始かいし。公募こうぼの内容ないようは以下いかのとおり。

1. 日本にっぽんの "らしさ" "ならでは" である「美うつくしい日本にっぽんの粋いき（すい）」とは何なにですか。（31字じ以内いない）
2. それを選えらぶ理由りゆうは何なにですか。また、それは、あなたの日々ひびの暮くらしの中なかで、どのようなものとして表あらわれていますか。（100字じ以内いない）
の2点てんについて、それぞれ日本語にほんごでご応募おうぼください[2]。

同年どうねん5月がつ30日にちに第だい2回かいの企画きかく会議かいぎが行おこなわれるが、会議かいぎは以上いじょうで終了しゅうりょうした[27]。

同年どうねん6月がつ19日にち、政府せいふは、内閣ないかく府ふ経済けいざい財政ざいせい諮問しもん会議かいぎが取とりまとめた『経済けいざい財政ざいせい改革かいかくの基本きほん方針ほうしん2007――「美うつくしい国くに」へのシナリオ』（いわゆる「骨太ほねぶとの方針ほうしん2007」）を閣議かくぎで決定けっていした[28]。この副題ふくだいは安倍あべが自みずから命名めいめいしたものであったが、経済けいざい財政ざいせい諮問しもん会議かいぎの審議しんぎの席上せきじょうでは丹羽にわ宇一郎ういちろう・伊藤いとう隆敏たかとし・八代やしろ尚宏なおひろらから異論いろんが挙あがった[29]。内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじん（経済けいざい財政ざいせい政策せいさく）の大田おおた弘子ひろこが安倍あべの案あんを提示ていじしたところ、丹羽にわは「『「美うつくしい国くに」へのシナリオ』はどうもぴんとこない」と述のべ[30]、伊藤いとうは「『シナリオ』と言いうと、我々われわれの主体しゅたい的てきな働はたらきかけの意味合いみあいが弱よわい」と述のべた[30]、八はち代だいは「伊藤いとう議員ぎいんが言いわれたような『成長せいちょう戦略せんりゃく』という言葉ことばが大事だいじだと思おもう」と述のべた[30]。尾身おみ幸次こうじ、御手洗みたらい冨士夫ふじおらはこの案あんに賛意さんいを示しめし、最終さいしゅう的てきには安倍あべの当初とうしょ案あんどおりに命名めいめいされた。

同年どうねん7月がつの第だい21回かい参議院さんぎいん議員ぎいん通常つうじょう選挙せんきょに際さいしての全国ぜんこく遊説ゆうぜいで、安倍あべは「美うつくしい国くに」の理念りねんを訴うったえるが[31]、一部いちぶの自民党じみんとう候補者こうほしゃから「意味いみがよく分わからない」「絵えに描えがいたような『美うつくしい国くに日本にっぽん』」などの批判ひはんを受うけた（後述こうじゅつ）[32]。

安倍あべ首相しゅしょう退陣たいじん[編集へんしゅう]

2007年ねん9月がつ12日にち、安倍あべは記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、正式せいしきに首相しゅしょう辞任じにんの意向いこうを表明ひょうめいした。安倍あべ内閣ないかくの総そう辞職じしょくが予想よそうされたため、安倍あべの指示しじを待またず同年どうねん9月21日にち付づけで自主じしゅ的てきに解散かいさんし、プロジェクトは終了しゅうりょうした。会議かいぎ開催かいさいや事務所じむしょ設置せっちなどで費ついやされた経費けいひは4900万まん円えんであった。後任こうにんの内閣ないかく総理そうり大臣だいじんである福田ふくだ康夫やすおは、経費けいひについて質問しつもんされ「会議かいぎをやっただけでそれだけというのはちょっと高たかすぎる。高たかすぎるということは無駄むだだということだ」[33]と指摘してきした。

同年どうねん12月7日にち、安倍あべは自身じしんの政権せいけんでの「美うつくしい国くにづくり」を振ふり返かえり「美うつくしい国くにづくりは道みち半なかばだが、礎いしずえをつくることはできたと思おもう。一いち議員ぎいんとして初心しょしんに戻もどり、新あたらしい国くにづくりに向むけて全力ぜんりょくを尽つくしてゆきたい」と発言はつげんした[34]。

2011年ねん12月6日にち、一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん経済けいざい人じん懇話こんわ会かいの青年せいねん部ぶ「青年せいねん真ま志こころざし塾じゅく」は、翌年よくねん9月がつの自民党じみんとう総裁そうさい選せんを見据みすえ、「強つよい『経済けいざい』、美うつくしい国くに『日本にっぽん』」と題だいするシンポジウムを永田町ながたちょうの星陵会館せいりょうかいかんで開催かいさい。安倍あべは同どうシンポジウムで基調きちょう講演こうえんを務つとめた。阿部あべ正ただし寿ことぶきが所長しょちょうを務つとめる世界せかい戦略せんりゃく総合そうごう研究所けんきゅうじょが共催きょうさい者しゃとして名なを連つらね、「青年せいねん真ま志こころざし塾じゅく」幹事かんじ長ちょうの小川おがわ榮太郎えいたろうが全体ぜんたいを取とり仕切しきった[35][36]。

2012年ねん12月26日にち、第だい2次じ安倍あべ内閣ないかくが成立せいりつし、安倍あべは再ふたたび首相しゅしょうになった。翌よく2013年ねん1月がつ21日にち、安倍あべは『美うつくしい国くにへ』の“完全かんぜん版ばん”と称しょうする『新あたらしい国くにへ 美うつくしい国くにへ』を文藝春秋ぶんげいしゅんじゅうから上梓じょうしした[37]。

世論せろん調査ちょうさ[編集へんしゅう]

内閣ないかく府ふがまとめた世論せろん調査ちょうさによると、今いまの日本にっぽんを「美うつくしい」とする人ひとは半数はんすうを超こえている。一方いっぽう、「美うつくしくない」とする人ひとは43%であった。

また、「日本にっぽんの美うつくしさとは何なにか」に関かんするアンケート調査ちょうさ結果けっか（複数ふくすう回答かいとう可か）は以下いかのとおりであった[38]。

  1. 山やまや森もりなどの「自然しぜん」：80.0％
  2. 伝統でんとう工芸こうげいなどの「匠たくみ（たくみ）の技わざ」：58.5％
  3. 田園でんえん・里山さとやまなどの「景観けいかん」：52.8％
  4. 歌舞伎かぶき・祭まつりなどの「伝統でんとう文化ぶんか」： 50.8％

類似るいじするものなど[編集へんしゅう]

  • 2004年ねん12月、統一教会とういつきょうかい（現げん・世界せかい平和へいわ統一とういつ家庭かてい連合れんごう）の関係かんけい者しゃは、日本にっぽん統一教会とういつきょうかい初代しょだい会長かいちょうの久保木くぼき修おさむ己おのれの遺稿いこう集しゅう『美うつくしい国くに 日本にっぽんの使命しめい』を世界日報社せかいにっぽうしゃから出版しゅっぱんした[39]。この遺稿いこう集しゅうと安倍あべの『美うつくしい国くにへ』との類似るいじ性せいが指摘してきされている[40][22]。なお、久保木くぼきと安倍あべの親族しんぞくとのつながりは祖父そふの岸きし信介しんすけの時代じだいから続つづいている。1973年ねん4月がつ8日にち、渋谷しぶや区くの統一教会とういつきょうかい本部ほんぶで久保木くぼきは岸きしを信者しんじゃに紹介しょうかいし、岸きしは講演こうえんを行おこなった[41]。同年どうねん11月がつ23日にち、文ぶん鮮明せんめいと韓かん鶴子つるこが統一教会とういつきょうかい本部ほんぶを訪問ほうもんした際さい、文ぶんと岸きしは長時間ちょうじかんにわたり会談かいだんし[42]、久保木くぼきも同席どうせきした。1986年ねん7月がつ14日にちに安倍あべ晋すすむ太郎たろうは清和せいわ政策せいさく研究けんきゅう会かいの会長かいちょうに就任しゅうにん[43]するが、1989年ねん7月がつ4日にち、文ぶんは韓国かんこくで行おこなった説教せっきょうで「国会こっかい内ないで教会きょうかいをつくる」「自民党じみんとうの安倍あべ派はなどを中心ちゅうしんにして、久保木くぼきを中心ちゅうしんに、超党派ちょうとうは的てきに原理げんり教育きょういくをした議員ぎいんたちを結成けっせいし、その数かずを徐々じょじょに増ふやしていかないといけない」と述のべた[44][45][46][47]。

評価ひょうか[編集へんしゅう]

  • 安倍あべの提示ていじする国家こっか像ぞうや政治せいじ姿勢しせいに反発はんぱつする民主党みんしゅとう（のち2013年ねんに自民党じみんとうに復ふく党とう）の山口やまぐち壯たけしは弁護士べんごし・大山おおやま勇いさむ一いち作さくの回文かいぶん「憎にくいし、苦痛くつう!　『美うつくしい国くに』」を引用いんようし[52][53][54][55]、2006年ねん10月がつ13日にち衆院しゅういん本ほん会議かいぎにて「美うつくしい国くに」を逆さかさ読よみして「ニクイシクツウ（憎にくいし、苦痛くつう）」と揶揄やゆした。格差かくさが拡大かくだいし、自殺じさつ者ものが3万まん人にんを超こす状態じょうたいが1999年ねんから10年ねんも続つづき[56]、しかも状況じょうきょうが何なんら改善かいぜんされないなどの社会しゃかいの現実げんじつ（交通こうつう死亡しぼう事故じこでさえ年間ねんかん犠牲ぎせい者しゃが1万まん人にんを超こえたら大だい問題もんだいになるのにその3倍ばい）、閣僚かくりょうの相次あいつぐ失態しったい、年金ねんきん問題もんだいへの対応たいおうの失敗しっぱい[57]等々とうとう、安倍あべ政権せいけん下かの政治せいじ現実げんじつを批判ひはんする立場たちばからは「美うつくしい」という言葉ことばと現実げんじつ社会しゃかいとの隔へだたりとが逆ぎゃくに意識いしきされる結果けっかとなっている[58]。
  • 2007年ねん7月がつ1日にち、安倍あべは、参院さんいん選せんに向むけた高知こうち県けん選挙せんきょ区く現職げんしょくの田村たむら公平こうへいの決起けっき集会しゅうかいで、集あつまった聴衆ちょうしゅうに対たいし「美うつくしい国くに」の理念りねんや自民党じみんとうの政策せいさくを訴うったえた[31]。同月どうげつ16日にち、田村たむらは、高知こうち市内しないで行おこなわれた参院さんいん選せんの演説えんぜつ会かいで、「美うつくしい国くに」について「意味いみがよく分わからない」と指摘してきした。また、安倍あべの高知こうち入いりの予定よていについて触ふれ、「（選挙せんきょを）心配しんぱいするなら予算よさんという名なの銭ぜにをもってこいと言いいたい。そうではなくて、絵えに描えがいたような『美うつくしい国くに日本にっぽん』で応援おうえんに来きたられて、適当てきとうなことを言いわれたら、ばかにしているのかと思おもってしまう」と述のべた。これを受うけ同月どうげつ19日にち、安倍あべは高知こうち県けんへの遊説ゆうぜいを見送みおくることを決定けっていした。同月どうげつ20日にち、安倍あべは四国しこく入いりするが、徳島とくしま、香川かがわ、愛媛えひめ三さん県けんだけで応援おうえん演説えんぜつした[32]。
  • 憲法けんぽう学者がくしゃの小林こばやし節たかしは、「法律ほうりつによる統治とうち」など法学ほうがくでは誤用ごようと見みなされる初歩しょほ的てきなミスが多おおいと指摘してき。憲法けんぽう改正かいせいを志こころざす適性てきせいに欠かけるとして[59]、安倍あべ内閣ないかくが憲法けんぽう改正かいせいに手てを付つけることは反対はんたいを表明ひょうめいするなど批判ひはんしている。
  • 塩野しおの七生しちしょうは、「『美うつくしい国くに』のような客観きゃっかん的てきな基準きじゅんになり得えない指針ししんを掲かかげても、それは自己じこ満足まんぞくに過すぎない」と批判ひはんし、「情緒じょうちょ的てきな言葉ことばを使つかうより、具体ぐたい的てきな指針ししんを掲かかげるべき」と述のべた[61]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 英訳えいやく本ほん"Towards a Beautiful Country: My Vision For Japan" （Vertical）
  2. ^ a b c d e f “「美うつくしい国くにづくり」プロジェクト第だい一いち弾だん「美うつくしい日本にっぽんの粋いき（すい）」の募集ぼしゅう開始かいしと公式こうしきホームページの開設かいせつについて”. 内閣ないかく官房かんぼう「美うつくしい国くにづくり」推進すいしん室しつ. 2007年ねん11月20日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん11月1日にち閲覧えつらん。
  3. ^ a b “文春ぶんしゅん新書しんしょ『美うつくしい国くにへ』安倍晋三あべしんぞう”. 文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう. 2022年ねん6月がつ13日にち閲覧えつらん。
  4. ^ a b 『祖国そこくと青年せいねん』1997年ねん7月がつ号ごう、日本にっぽん青年せいねん協議きょうぎ会かい、2-11頁ぺーじ、「『日本にっぽん会議かいぎ』設立せつりつ」。
  5. ^ a b 『前衛ぜんえい』2007年ねん7月がつ号ごう、日本にっぽん共産党きょうさんとう中央ちゅうおう委員いいん会かい、53-66頁ぺーじ、「〝靖国やすくに〟派は団体だんたいの関係かんけい資料しりょう」。
  6. ^ a b “美うつくしい国くにづくり政策せいさく大綱たいこう” (PDF). 国土こくど交通こうつう省しょう (2003年ねん7月がつ). 2014年ねん3月がつ26日にち閲覧えつらん。
  7. ^ a b 養老ようろう孟司たけし『読よまない力ちから』PHP研究所けんきゅうじょ〈PHP新書しんしょ〉、2009年ねん2月がつ13日にち。ISBN 978-4569705743。 
  8. ^ 『中日新聞ちゅうにちしんぶん』2003年ねん7月がつ11日にち付づけ夕刊ゆうかん、2面めん、「看板かんばん規制きせいや水辺みずべ再生さいせい 国交こっこう省しょう『美うつくしい国くに』へ15施策しさく」。
  9. ^ 山村やまむら敬一けいいち (2006年ねん7月がつ22日にち). “福田ふくだ氏しが不ふ出馬しゅつば、安倍あべ氏し優位ゆうい、自民じみん総裁そうさい選せん－麻生あそう、谷垣たにがき氏しらの対応たいおう焦点しょうてん”. ブルームバーグ. 2022年ねん10月がつ28日にち閲覧えつらん。
  10. ^ 安倍晋三あべしんぞう 2013, p. 28.
  11. ^ 『東京とうきょう新聞しんぶん』2006年ねん7月がつ25日にち付づけ朝刊ちょうかん、2面めん、「スコープ 2006政局せいきょく 自民党じみんとう総意そうい戦せん 安倍あべ氏し 見みえ始はじめた『政権せいけん構想こうそう』 『脱だつ小泉こいずみ』布石ふせき？ 独自どくじ色しょくも」。
  12. ^ “2006年ねん 年間ねんかんベストセラー”. トーハン. 2022年ねん10月がつ28日にち閲覧えつらん。
  13. ^ 安倍あべ首相しゅしょう『美うつくしい国くにへ』米べい中ちゅう韓かん台だいで発売はつばいへ
  14. ^ “自民党じみんとう総裁そうさい選せん – 安倍晋三あべしんぞうさんに期待きたいすること”. 新藤しんどう義孝よしたか公式こうしきウェブサイト (2006年ねん9月がつ11日にち). 2022年ねん10月がつ28日にち閲覧えつらん。
  15. ^ “第だい165回かい国会こっかい 参議院さんぎいん 本ほん会議かいぎ 第だい4号ごう 平成へいせい18年ねん10月がつ3日にち”. 国会こっかい会議かいぎ録ろく検索けんさくシステム. 2022年ねん11月23日にち閲覧えつらん。
  16. ^ ANN News (2022年ねん7月がつ15日にち). “2006年ねん　安倍晋三あべしんぞう氏し 自民党じみんとう総裁そうさい選せんに初はつ出馬しゅつば 「美うつくしい国くに」所見しょけん発表はっぴょう演説えんぜつをノーカットで(2006年ねん9月がつ9日にち)【映像えいぞう記録きろく news archive】”. YouTube. 2022年ねん11月14日にち閲覧えつらん。
  17. ^ “安倍あべ内閣ないかく総理そうり大臣だいじん記者きしゃ会見かいけん（平成へいせい18年ねん9月がつ26日にち）”. 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんインターネット資料しりょう収集しゅうしゅう保存ほぞん事業じぎょう. 2022年ねん11月1日にち閲覧えつらん。
  18. ^ “第だい165回かい国会こっかい 衆議院しゅうぎいん 本ほん会議かいぎ 第だい3号ごう 平成へいせい18年ねん9月がつ29日にち”. 国会こっかい会議かいぎ録ろく検索けんさくシステム. 2022年ねん11月24日にち閲覧えつらん。
  19. ^ “【第だい166回かい国会こっかい】本ほん会議かいぎの概況がいきょう”. 衆議院しゅうぎいん. 2022年ねん10月がつ28日にち閲覧えつらん。
  20. ^ “政府せいふ、「美うつくしい日本にっぽんの粋いき」募集ぼしゅう。美うつくしい国くにづくりプロジェクト第だい1弾だん”. 観光かんこう経済けいざい新聞しんぶん (2007年ねん5月がつ12日にち). 2022年ねん10月がつ28日にち閲覧えつらん。
  21. ^ “「美うつくしい国くにづくり」企画きかく会議かいぎの開催かいさいについて”. 首相しゅしょう官邸かんてい (2007年ねん3月がつ30日にち). 2022年ねん10月がつ28日にち閲覧えつらん。
  22. ^ a b 北きた丸まる雄二ゆうじ (2022年ねん8月がつ3日にち). “安倍あべ元もと首相しゅしょう銃撃じゅうげき事件じけんが炙あぶり出だした選択せんたく的てき夫婦ふうふ別姓べっせい、同性どうせい婚こんが「論外ろんがい」とされる理由りゆう”. ハフポスト. 2022年ねん10月がつ28日にち閲覧えつらん。
  23. ^ “「美うつくしい国くにづくり」企画きかく会議かいぎ”. 首相しゅしょう官邸かんてい. 2007年ねん5月がつ9日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん10月がつ28日にち閲覧えつらん。
  24. ^ “「美うつくしい国くにづくり」企画きかく会議かいぎ　有識者ゆうしきしゃの紹介しょうかい”. 首相しゅしょう官邸かんてい. 2007年ねん10月がつ18日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん10月がつ28日にち閲覧えつらん。
  25. ^ “「美うつくしい日本にっぽんの粋いき」の最終さいしゅう取とりまとめについて”. 内閣ないかく官房かんぼう「美うつくしい国くにづくり」推進すいしん室しつ (2007年ねん9月がつ21日にち). 2022年ねん11月1日にち閲覧えつらん。
  26. ^ “プロジェクト概要がいよう”. 美うつくしい国くにづくりプロジェクト. 2007年ねん5月がつ29日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん10月がつ28日にち閲覧えつらん。
  27. ^ 「開催かいさい2回かいで“空中くうちゅう分解ぶんかい” 首相しゅしょう提唱ていしょうの美うつくしい国くに会議かいぎ」 静岡しずおか新聞しんぶん 2007年ねん9月がつ21日にち
  28. ^ “経済けいざい財政ざいせい改革かいかくの基本きほん方針ほうしん 2007 について”. 内閣ないかく府ふ. 2022年ねん11月1日にち閲覧えつらん。
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  54. ^ 「ガンジー大山おおやまの回文かいぶん道場どうじょう」[3] (NPJ　News for the People in Japan)
  55. ^ 日にち民みん協きょう事務じむ局きょく通信つうしんKAZE2006年ねん12月: 「回文かいぶん・美うつくしい国くに、憎にくいし苦痛くつう」[4]（日本にっぽん民主みんしゅ法律ほうりつ家か協会きょうかい）
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  57. ^ 街頭がいとう演説えんぜつで「消きえた年金ねんきん問題もんだい、一いち年ねんで解決かいけつします!」と大見得おおみえを切きったがその後ご有耶無耶うやむやになっている
  58. ^ 中日ちゅうにち新聞しんぶん 2006年ねん10月がつ4日にち夕刊ゆうかん
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  60. ^ http://www.videonews.com/
  61. ^ 塩野しおの七生しちしょう「安倍あべさん、宰相さいしょうとして「美うつくしい」という言葉ことばで国家こっかを語かたるべきではありません」『SAPIO』第だい19巻かん第だい7号ごう、小学館しょうがくかん、2007年ねん3月がつ、P.97、2009年ねん12月28日にち閲覧えつらん。 
[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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