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立岩真也「ダイレクト・ペイメントについてのメモ」
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Tateiwa
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「ダイレクト・ペイメントについてのメモ」
立岩
たていわ
真
しん
也
2009/07/24 ver.1☆01
English(
英語
えいご
版
ばん
)
「ダイレクト・ペイメント、その
論点
ろんてん
――Simon Prideaux
氏
し
と
話
はな
す」
,
立命館大学
りつめいかんだいがく
◇
ダイレクト・ペイメント
■A
日本
にっぽん
において
1)1970
年代
ねんだい
以降
いこう
、
日本
にっぽん
の
障害
しょうがい
者
しゃ
運動
うんどう
が
要求
ようきゅう
し
獲得
かくとく
した
生活
せいかつ
保護
ほご
の
介護
かいご
加算
かさん
の
支給
しきゅう
は
ダイレクト・ペイメント
のかたちをとっている。ただしこれは
低
てい
所得
しょとく
者
しゃ
だけが
使
つか
える
制度
せいど
である☆02。
2)ダイレクト・ペイメントについての
議論
ぎろん
は
日本
にっぽん
でもおもに1990
年代
ねんだい
以降
いこう
行
おこな
われており、それを
肯定
こうてい
する
主張
しゅちょう
が
障害
しょうがい
者
しゃ
運動
うんどう
の
中
なか
にある。
例
たと
えば1994
年
ねん
に
立岩
たていわ
も
関
かか
わってヒューマンケア
協会
きょうかい
によって
作成
さくせい
されたプランにもその
主張
しゅちょう
がある☆03。
■B
利点
りてん
とされるものについての
検討
けんとう
・1
1)ダイレクトペイメントでは
利用
りよう
者
しゃ
が
雇用
こよう
主
ぬし
であり、そのことによってPA(personal assistant)をうまく
利用
りよう
できるという
主張
しゅちょう
がある。
雇用
こよう
する
側
がわ
に
立
た
つことによってコントロールできることがあること、また、そのことがよい
効果
こうか
を
利用
りよう
者
しゃ
にもたらすことがあることにも
同意
どうい
しよう。
2)ただ、
資金
しきん
源
げん
をもっているから
制御
せいぎょ
できるという
主張
しゅちょう
であるとすれば、それには
問題
もんだい
もある。
結局
けっきょく
、その
資金
しきん
は
政府
せいふ
が
支給
しきゅう
し、さらにそれは
納税
のうぜい
者
しゃ
が
出
だ
すものである。となると、
権限
けんげん
は、
行政
ぎょうせい
、そして
納税
のうぜい
者
しゃ
、
資源
しげん
をもっている
人
ひと
にあるということになってしまう
可能
かのう
性
せい
がある。ゆえに、かえって
利用
りよう
者
しゃ
の
決定
けってい
が
尊重
そんちょう
されないことにもなってしまう。したがって、
対価
たいか
としてPAに
払
はら
う
資源
しげん
を
有
ゆう
するが「ゆえに」PAを
制御
せいぎょ
できる、だから
望
のぞ
ましいという
論
ろん
は
取
と
らない
方
ほう
がよい。その
資源
しげん
(
市場
いちば
において
配分
はいぶん
された
財
ざい
)がどこにあるか、
誰
だれ
に
帰属
きぞく
しているかにかかわらず、
利用
りよう
者
しゃ
に
権限
けんげん
があると
主張
しゅちょう
するべきである☆04。
3)ただ、2)を
確認
かくにん
した
上
うえ
であれば、
利用
りよう
者
しゃ
がPAを
選択
せんたく
し
契約
けいやく
して
仕事
しごと
を
依頼
いらい
できる
仕組
しく
みが
採用
さいよう
されることは、
利用
りよう
者
しゃ
にとってよいことである。
4)しかし、3)を
実現
じつげん
するために、ダイレクト・ペイメントが
必須
ひっす
であるわけではない。
利用
りよう
者
しゃ
が
選択
せんたく
し
契約
けいやく
した
人
ひと
に
対
たい
して
政府
せいふ
が
対価
たいか
を
支払
しはら
う
形
かたち
でも3)は
実現
じつげん
できる。
■C
利点
りてん
とされるものについての
検討
けんとう
・2
1)
利用
りよう
者
しゃ
がPAを
雇
やと
って
管理
かんり
する
側
がわ
になることによって、それを
仕事
しごと
にでき
収入
しゅうにゅう
を
得
え
ることができる、それが
利点
りてん
であるという
主張
しゅちょう
がある。Prideaux[2009]でもこのことが
言
い
われる。その
可能
かのう
性
せい
はたしかにあることを
認
みと
めよう。
2)ただ、それをどれだけの
人
ひと
ができるかと
言
い
われるだろう。それに
対
たい
しては、この
仕事
しごと
ができる
人
ひと
、それを
望
のぞ
む
人
ひと
がこの
仕組
しく
みを
採用
さいよう
すればよいのというのが
答
こたえ
になる。それを
受
う
け
入
い
れよう。ただ、その
上
うえ
で、できる
人
ひと
はすべての
人
ひと
でないという
点
てん
は
押
お
さえておこう。
3)
雇
やと
って
管理
かんり
することができる
人
ひと
にとっても、
複数
ふくすう
の
利用
りよう
者
しゃ
・PAの
雇用
こよう
・
管理
かんり
に
関
かか
わるなら
違
ちが
うとしても、
自分
じぶん
一
いち
人
にん
に
必要
ひつよう
なPAを
雇用
こよう
し
管理
かんり
するだけであるなら、それで
一人
ひとり
が
暮
く
らせるだけの
額
がく
を
稼
かせ
ぐことができるか。それは
難
むずか
しいだろう。もちろん、この
仕事
しごと
からの
収入
しゅうにゅう
だけで
生活
せいかつ
できるようになることを
目指
めざ
しているのではないにしても、この
仕組
しく
みが
経済
けいざい
的
てき
な
自立
じりつ
をもたらすとまでは
言
い
えないだろうことは
確認
かくにん
しておく
必要
ひつよう
はある。
■D
利点
りてん
とされるものについての
検討
けんとう
・3
1)ダイレクト・ペイメントではコストが
安
やす
くなるという
主張
しゅちょう
がある。では、
安
やす
くなると
言
い
えるのはなぜ、どのような
場合
ばあい
だろうか。
大
おお
きくは
二
ふた
つだろう☆05。
2)
一
ひと
つには、
自由
じゆう
契約
けいやく
という
形態
けいたい
をとることによって、PAの
賃金
ちんぎん
を
抑
おさ
えることができるということである。これは
資金
しきん
を
負担
ふたん
する
側
がわ
にとってはよいことかもしれないが、PAにとってよくないし、またそれでPAの
質
しつ
が
低下
ていか
するなら、
利用
りよう
者
しゃ
にとってもよくないかもしれない。☆06
3)
一
ひと
つには、
管理
かんり
コストが
低
ひく
くなるというということである。その
可能
かのう
性
せい
はなくはないだろう。ただこれも
場合
ばあい
による。
多
おお
くの
人
ひと
がこの
部門
ぶもん
で
働
はたら
いてて
高
たか
い
費用
ひよう
がかかっている
組織
そしき
に
比
くら
べ、
一人
ひとり
で
管理
かんり
するならその
方
ほう
が
安
やす
い
場合
ばあい
がなくはない。しかし
利用
りよう
者
しゃ
一
いち
人
にん
あたりのコストを
考
かんが
えた
場合
ばあい
、むしろ
一
ひと
つの
組織
そしき
が
多
おお
くの
利用
りよう
者
しゃ
とPAを
管理
かんり
する
方
ほう
が
安
やす
くなる
可能
かのう
性
せい
もある。そしてその
場合
ばあい
より
安
やす
くしようとすれば、
雇用
こよう
者
しゃ
である
利用
りよう
者
しゃ
の
得
え
る
額
がく
が
少
すく
なくなるということであり、それは3の1)の
利点
りてん
を
減
げん
ずることになる。
■E
困難
こんなん
とされる
点
てん
1)
現金
げんきん
で
渡
わた
されるなら、それが
確実
かくじつ
にPAに
用
もち
いられているか
確認
かくにん
が
困難
こんなん
であるという
理由
りゆう
が
付
ふ
されることがある。
2)
利用
りよう
者
しゃ
がうまくPAを
調達
ちょうたつ
し、コントロールできるのかという
論点
ろんてん
がある。この
点
てん
については、
一
ひと
つに、
利用
りよう
者
しゃ
が
管理
かんり
できるようになるための
支援
しえん
がなされるならよいとされる。そのこともPrideaux[2009]で
述
の
べられる。
一
ひと
つに、それでも
管理
かんり
できない
人
ひと
またしたくない
人
ひと
は、この
仕組
しく
みを
使
つか
わなければよいとされる。Prideaux
氏
し
も
研究
けんきゅう
会
かい
でこのことを
強調
きょうちょう
した。
■F
対価
たいか
の
設定
せってい
について
1)
一定
いってい
の
額
がく
を
利用
りよう
者
しゃ
に
提供
ていきょう
し、それを(PAに
使
つか
うという
条件
じょうけん
→E1)は
守
まも
りながら)どのように
使
つか
うかを
利用
りよう
者
しゃ
が
自由
じゆう
に
設定
せってい
できるなら、
同
おな
じお
金
かね
を
効果
こうか
的
てき
に
使
つか
えるかもしれない。
2)しかしその
場合
ばあい
、
総額
そうがく
をどのように
決定
けってい
するのかという
問題
もんだい
がある。
他
た
の
制度
せいど
における
時間
じかん
あたりの
金額
きんがく
×
必要
ひつよう
時間
じかん
か? それが
決
き
まったとして、
例
たと
えばPAとして
雇用
こよう
する
家族
かぞく
の
対価
たいか
を
高
たか
くし、
他
た
の
人
ひと
を
低
ひく
くするといったことが
起
お
こらないか☆07。そういった
場合
ばあい
に
統制
とうせい
が
必要
ひつよう
だとされ
管理
かんり
が
強
つよ
められることになるかもしれない。そしてこれも、
予算
よさん
の
使用
しよう
に
責任
せきにん
をもつ
行政
ぎょうせい
機関
きかん
がダイレクト・ペイメントに
積極
せっきょく
的
てき
でない
理由
りゆう
であるかもしれない(cf.Eの1))。
■G
再
ふたた
び
日本
にっぽん
について
1)
日本
にっぽん
では、まず
行政
ぎょうせい
の
側
がわ
からは、
費用
ひよう
の
軽減
けいげん
を
目指
めざ
し、
個々
ここ
のサービスを
積算
せきさん
するのでなく、
月
つき
あたり
定額
ていがく
を
支給
しきゅう
する
制度
せいど
が
構想
こうそう
され
一部
いちぶ
実現
じつげん
もされたが、それは
利用
りよう
者
しゃ
に
直接
ちょくせつ
に
支払
しはら
うという
形態
けいたい
をとることはなく、
事業
じぎょう
所
しょ
に
支給
しきゅう
し、さらに
事業
じぎょう
所
しょ
に
登録
とうろく
されたPAに
支給
しきゅう
されるという
従来
じゅうらい
の
形態
けいたい
をとるものである。そこにはEの1)、Fの1)の
懸念
けねん
があったかもしれない☆08。
2)このように、
一
ひと
つに
現実
げんじつ
の
政策
せいさく
においてダイレクト・ペイメントの
導入
どうにゅう
が
困難
こんなん
な
中
なか
で、
一
ひと
つにCの2)、つまり
誰
だれ
もがこの
仕組
しく
みを
使
つか
えるわけではないということを
考
かんが
え、
一
ひと
つにCの3)、つまりPAの
管理
かんり
・
調整
ちょうせい
で
生計
せいけい
を
立
た
てるだけの
仕事
しごと
にするためには
複数
ふくすう
のPA・
利用
りよう
者
しゃ
に
関
かか
わる
仕事
しごと
を
担
にな
う
必要
ひつよう
があるので、そしてBの4)、つまり
選択
せんたく
し
契約
けいやく
した
人
ひと
に
対
たい
して
政府
せいふ
が
対価
たいか
を
支払
しはら
う
形
かたち
でも
利用
りよう
者
しゃ
の
自律
じりつ
性
せい
を
担保
たんぽ
することはできるという
判断
はんだん
から、
日本
にっぽん
の
運動
うんどう
はダイレクト・ペイメントの
実現
じつげん
を、
今
いま
のところ、
強
つよ
く
主張
しゅちょう
することはしていない。
3)その
代
か
わりに、
障害
しょうがい
者
しゃ
が
運営
うんえい
の
中心
ちゅうしん
を
担
にな
うCIL(Center for Independent Living)が
事業
じぎょう
所
しょ
となり、そこに
利用
りよう
者
しゃ
とPAを
登録
とうろく
し、
利用
りよう
者
しゃ
とPAの
関係
かんけい
を
調整
ちょうせい
し、
政府
せいふ
からサービス
時間
じかん
に
応
おう
じた
金額
きんがく
を
受
う
けとり、その
大
だい
部分
ぶぶん
をPAに
支払
しはら
い、その
一部
いちぶ
を
事業
じぎょう
所
しょ
に
残
のこ
し、CILで
働
はたら
く
障害
しょうがい
者
しゃ
がこの
仕事
しごと
で
生活
せいかつ
を
立
た
てていくという
方向
ほうこう
をとった☆09。
4)ただ、
実質
じっしつ
的
てき
には、
一人
ひとり
の
利用
りよう
者
しゃ
が
一
ひと
つの
自分
じぶん
のためだけの
事業
じぎょう
所
しょ
を
設立
せつりつ
し、
自分
じぶん
に
関
かか
わるPAの
採用
さいよう
・
管理
かんり
の
仕事
しごと
をし、そのPAの
介助
かいじょ
(assistance)を
利用
りよう
するといった
形態
けいたい
も
取
と
られている。これは
事実
じじつ
上
じょう
はかなりダイレクト・ペイメントの
仕組
しく
みに
近
ちか
いものである。
5)
実際
じっさい
には
事業
じぎょう
所
しょ
の
設立
せつりつ
・
運営
うんえい
については
様々
さまざま
な
制約
せいやく
がある。
運営
うんえい
に
関
かか
わる
人
ひと
やPAに
資格
しかく
(certification)が
要求
ようきゅう
されることによって、
利用
りよう
者
しゃ
にとって
制度
せいど
が
使
つか
いづらいものになっている。それに
対
たい
する
反対
はんたい
の
主張
しゅちょう
・
運動
うんどう
はあるが、その
傾向
けいこう
はむしろ
強
つよ
くなっていて、そこに
争点
そうてん
の
一
ひと
つがある。
6)
日本
にっぽん
の
運動
うんどう
はこのようにサービスの
供給
きょうきゅう
形態
けいたい
を
問題
もんだい
にし、またその
供給
きょうきゅう
に
自
みずか
らが
関
かか
わることによってその
改革
かいかく
を
志向
しこう
し
一定
いってい
実現
じつげん
させてきたが、
同時
どうじ
に、
強
つよ
く
主張
しゅちょう
してきたこと、
主張
しゅちょう
せざるをえなかったことは、どれだけ
重
おも
い
障害
しょうがい
があっても、
生
い
きていくことができるだけの
量
りょう
のサービスが
獲得
かくとく
されるべきであるということだった。それは
一部
いちぶ
で
実現
じつげん
している。
最大
さいだい
1
日
にち
24
時
じ
間
あいだ
の、
公的
こうてき
な
費用
ひよう
提供
ていきょう
による、
介助
かいじょ
保障
ほしょう
を
得
え
て
暮
く
らす
人
ひと
たちが1990
年代
ねんだい
から
現
あら
われている。そしてそれは、
人工
じんこう
呼吸
こきゅう
器
き
(ventilator)を
使
つか
い
夜間
やかん
も
吸引
きゅういん
(sunction)や
体位
たいい
交換
こうかん
(changing position)
等
とう
を
必要
ひつよう
とする
人
ひと
たちの
方
ほう
にも
拡大
かくだい
してきている☆10。ただ、
制度
せいど
・
供給
きょうきゅう
量
りょう
の
拡大
かくだい
に
伴
ともな
い、その
量
りょう
を
規制
きせい
しようという
力
ちから
もまた
強
つよ
くなっており、なかなか
厳
きび
しい
状況
じょうきょう
になっている。
7)そこで
日本
にっぽん
の
人
ひと
たちは、
各国
かっこく
の
介助
かいじょ
の
供給
きょうきゅう
・
利用
りよう
の
形態
けいたい
にも
関心
かんしん
をもっているのだが、それ
以上
いじょう
に、
英国
えいこく
その
他
た
の
諸国
しょこく
で、いったいどれほどの
量
りょう
の
介助
かいじょ
が
得
え
られているのか、それは
最
もっと
も
重度
じゅうど
の
人
ひと
であっても
家族
かぞく
に
依存
いぞん
せずに
暮
く
らせるだけのものかを
気
き
にかけている☆11。
■G まとめ
1)C・Dより、ダイレクト・ペイメントの
利点
りてん
として
経済
けいざい
性
せい
・
効率
こうりつ
性
せい
を
主張
しゅちょう
することには――もちろん
無駄
むだ
を
省
はぶ
くこと
自体
じたい
はわるいことではない――
慎重
しんちょう
であった
方
ほう
がよいと
言
い
える。
2)Bより、
利用
りよう
者
しゃ
による
選択
せんたく
・
決定
けってい
の
尊重
そんちょう
について、ダイレクト・ペイメントの
利点
りてん
はあるが、
他
た
の
仕組
しく
みでもそれを
実現
じつげん
するのは
不可能
ふかのう
ではない。
3)もちろんそのことは、ダイレクト・ペイメントの
有効
ゆうこう
性
せい
を
否定
ひてい
するものではない。ただ、それを
採用
さいよう
する
場合
ばあい
に
提出
ていしゅつ
されるだろう、Eの1)やFの2)といった
疑問
ぎもん
、
実際
じっさい
に
示
しめ
される
懸念
けねん
について、ある
程度
ていど
応
こた
える
必要
ひつよう
はあるだろう。(「ある
程度
ていど
」と
言
い
うのは、その
懸念
けねん
を
完全
かんぜん
に
払拭
ふっしょく
することは
不可能
ふかのう
であるが、
完全
かんぜん
に
払拭
ふっしょく
しなければならないわけではないからである。)
■
注
ちゅう
☆01 このメモは、
研究
けんきゅう
会
かい
「ダイレクト・ペイメント、その
論点
ろんてん
――Simon Prideaux
氏
し
と
話
はな
す」
(於:
立命館大学
りつめいかんだいがく
)で
交
か
わされた
議論
ぎろん
を
振
ふ
り
返
かえ
りながら
書
か
かれた。
今後
こんご
よりまとまった
文章
ぶんしょう
にして
発表
はっぴょう
する
予定
よてい
である。
☆02
立岩
たていわ
[1990→1995]で
紹介
しょうかい
している。また
辞典
じてん
で
この
項目
こうもく
を
担当
たんとう
している。
☆03 「
社会
しゃかい
的
てき
支援
しえん
の
供給
きょうきゅう
形態
けいたい
として、
国
くに
・
自治体
じちたい
のレベルでは
主
おも
に
資源
しげん
の
給付
きゅうふ
を
行
おこ
ない,それを
用
もち
いて
個々人
ここじん
がサービスを
受
う
けられるようにする。 」(ヒューマンケア
協会
きょうかい
地域
ちいき
福祉
ふくし
計画
けいかく
策定
さくてい
委員
いいん
会
かい
[1994])
「
行政
ぎょうせい
が
所得
しょとく
を
保障
ほしょう
し、また
福祉
ふくし
サービスを
提供
ていきょう
するかたちには、
大別
たいべつ
して、
直接
ちょくせつ
本人
ほんにん
に
現金
げんきん
を
支給
しきゅう
するかたちと、
物
もの
・サービスを
直接
ちょくせつ
に
提供
ていきょう
するかたちとの
2
ふた
つがある。
基礎
きそ
的
てき
な
所得
しょとく
保障
ほしょう
については
当然
とうぜん
前者
ぜんしゃ
の
形
かたち
をとるべきだが、
個々人
ここじん
の
必要
ひつよう
に
応
おう
じた
物
もの
・サービスの
提供
ていきょう
についてはどうか。これまで
社会
しゃかい
福祉
ふくし
サービスと
言
い
われる
時
とき
には、
当然
とうぜん
のように
後者
こうしゃ
とされ[…]てきた。 だが、その
問題
もんだい
点
てん
は、
行政
ぎょうせい
が
一方
いっぽう
的
てき
に
依託
いたく
先
さき
を
決定
けってい
し、しかもサービスの
質
しつ
にかかわる
責任
せきにん
の
所在
しょざい
が
曖昧
あいまい
にされ、
利用
りよう
者
しゃ
の
側
がわ
の
要求
ようきゅう
が
何
なん
ら
反映
はんえい
されなかったところにあった。この
点
てん
を
変更
へんこう
し、
利用
りよう
者
しゃ
側
がわ
の
選択
せんたく
が
保障
ほしょう
され、その
要求
ようきゅう
に
応
こた
えなくてはサービスの
供給
きょうきゅう
主体
しゅたい
として
存続
そんぞく
できないようにすれば、
行政
ぎょうせい
が
唯一
ゆいいつ
サービスの
直接的
ちょくせつてき
な
供給
きょうきゅう
主体
しゅたい
としてある
場合
ばあい
よりも、むしろサービスの
質
しつ
は
向上
こうじょう
するはずである。ゆえに、
現金
げんきん
による
給付
きゅうふ
を
行
おこ
なう
範囲
はんい
を
従来
じゅうらい
よりも
拡大
かくだい
すべきである。」(ヒューマンケア
協会
きょうかい
地域
ちいき
福祉
ふくし
計画
けいかく
策定
さくてい
委員
いいん
会
かい
[1994])
この
主題
しゅだい
についての
学術
がくじゅつ
的
てき
な
書籍
しょせき
として
小川
おがわ
[2005]、
岡部
おかべ
[2006]がある。
☆04 このことについて
最
もっと
も
基本
きほん
的
てき
なことは
立岩
たていわ
[1997]に
記
しる
した。
介助
かいじょ
に
即
そく
しては
立岩
たていわ
[2000]に
収録
しゅうろく
された
論文
ろんぶん
に
記
しる
した。
☆05
他
た
には、オフィスをかまえる
事業
じぎょう
所
しょ
に
費用
ひよう
がかかるのに
対
たい
し、
自身
じしん
の
居宅
きょたく
でPA
管理
かんり
の
仕事
しごと
ができるならその
分
ぶん
安
やす
くなるということもありうるだろう。
☆06
前者
ぜんしゃ
については、Prideaux
氏
し
は、
最低
さいてい
賃金
ちんぎん
は
保障
ほしょう
されるべきであること、
各種
かくしゅ
の
労働
ろうどう
に
関
かか
わる
法的
ほうてき
規定
きてい
を
遵守
じゅんしゅ
させることが
重要
じゅうよう
であることを
述
の
べた。そして
英国
えいこく
における
最低
さいてい
賃金
ちんぎん
が
低
ひく
いことも
指摘
してき
した。
同様
どうよう
の
議論
ぎろん
は
日本
にっぽん
にもある。
賃金
ちんぎん
等
とう
の
労働
ろうどう
条件
じょうけん
の
改善
かいぜん
は
必要
ひつよう
である。ただそれが
実現
じつげん
されるなら、
安
やす
く
雇用
こよう
できることができることによる
経済
けいざい
性
せい
という
主張
しゅちょう
は
成
な
りたなくなるということでもある。
☆07
家族
かぞく
をどう
位置
いち
づけるかという
問題
もんだい
がある。
原則
げんそく
的
てき
には、
家族
かぞく
もまた
他
た
の
人
ひと
と
同
おな
じ くPAとして
社会
しゃかい
的
てき
な
支払
しはら
いを
受
う
けるべきであると
考
かんが
える
点
てん
では、
私
わたし
もまたPrideaux
氏
し
らと
見解
けんかい
を
同
おな
じくする。
社会
しゃかい
的
てき
な
費用
ひよう
負担
ふたん
のもとに
介助
かいじょ
を「
実際
じっさい
に
行
おこ
なう
人
ひと
は、
基本
きほん
的
てき
には
介助
かいじょ
する
人
ひと
とその
介助
かいじょ
を
使
つか
う
人
ひと
の
合意
ごうい
が
得
え
られるなら、
家族
かぞく
の
成員
せいいん
も
含
ふく
め、フルタイムであるいはパートタイムで、
一生
いっしょう
あるいは
人生
じんせい
の
一時期
いちじき
その
活動
かつどう
に
就
つ
こうとする
人
ひと
のすべてである。」(
立岩
たていわ
[2000])
ただそれを
実施
じっし
しようとすると
問題
もんだい
はある。
一
ひと
つには、とくに
他
た
にPAが
容易
ようい
に
得
え
られない
場合
ばあい
、
家族
かぞく
が
介助
かいじょ
の
仕事
しごと
から
逃
のが
れなくなってしまう
可能
かのう
性
せい
である。
日本
にっぽん
では
公的
こうてき
介護
かいご
保険
ほけん
(public long term care insurance、2000
年
ねん
〜*)の
導入
どうにゅう
の
際
さい
にこのことを
巡
めぐ
る
議論
ぎろん
があり、その
議論
ぎろん
があったためにということではないのだが、
家族
かぞく
による
介助
かいじょ
に
対
たい
する
公的
こうてき
な
支払
しはら
いはなされていない。
もう
一
ひと
つは、
家族
かぞく
がこの
仕事
しごと
を
生活
せいかつ
の
糧
かて
にしようとして、
利用
りよう
者
しゃ
が
家族
かぞく
から
独立
どくりつ
しようとしていても、
利用
りよう
者
しゃ
から
離
はな
れないといったことが
起
お
こる
可能
かのう
性
せい
である。
もちろん、
以上
いじょう
について
対応
たいおう
策
さく
がないわけではない。
根本
こんぽん
的
てき
な
解決
かいけつ
には
至
いた
らないとしても、
生
しょう
じうるし
実際
じっさい
に
生
しょう
じている
問題
もんだい
を
軽減
けいげん
する
必要
ひつよう
はある。その
対応
たいおう
がうまくいけば、
家族
かぞく
にも
払
はら
うという
方向
ほうこう
をとることはできるし、またそうするべきである。
*
法令
ほうれい
(Long-Term Care Insurance Act)の
英訳
えいやく
:
http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail/?ft=1&re=01&dn=1&co=01&x=75&y=8&ky=%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BF%9D%E9%99%BA&page=1
☆08 これについても
我々
われわれ
の
調査
ちょうさ
報告
ほうこく
書
しょ
がある。
別途
べっと
紹介
しょうかい
する。
☆09 この
仕組
しく
みの
正当
せいとう
性
せい
については
立岩
たていわ
[1995a]、
実際
じっさい
の
組織
そしき
の
活動
かつどう
については[1995b]。
☆10
ALS
(Amyotrophic Lateral Sclerosis)の
人
ひと
たちの
生活
せいかつ
について
立岩
たていわ
[2004]。
病院
びょういん
を
出
で
て
一人
ひとり
で
暮
く
らすことになったALSの
人
ひと
の
生活
せいかつ
とその
支援
しえん
について、
我々
われわれ
の
拠点
きょてん
の
雑誌
ざっし
『
生存
せいぞん
学
がく
』に
掲載
けいさい
された
西田
にしだ
[2009]、
長谷川
はせがわ
[2009]、
山本
やまもと
[2009]、
堀田
ほった
[2009]。やがて
人工
じんこう
呼吸
こきゅう
器
き
を
必要
ひつよう
とすることになる
人
ひと
が
多
おお
いALSの
人
ひと
で、
呼吸
こきゅう
器
き
をつけて
生
い
き
続
つづ
ける
人
ひと
は、
日本
にっぽん
では
全体
ぜんたい
の3〜4
割
わり
と
言
い
われる。
欧米
おうべい
諸国
しょこく
ではさらにその
割合
わりあい
は
低
ひく
いという。つまりその「
選択
せんたく
」の
後
のち
に、
多
おお
くの
人
ひと
が
亡
な
くなっているということである。
安楽
あんらく
死
し
・
尊厳
そんげん
死
し
(euthanasia/death with dignity)についての
立岩
たていわ
[2008][2009]
☆11
研究
けんきゅう
会
かい
で
川口
かわぐち
有美子
ゆみこ
や
伊藤
いとう
佳世子
かよこ
らが
知
し
りたがっていたのはこのことだった。
二人
ふたり
はCOEのメンバーでもある
大学院生
だいがくいんせい
だが、
同時
どうじ
に、
川口
かわぐち
はALSの
人
ひと
たちの
支援
しえん
に
関
かか
わり、
伊藤
いとう
は
筋
きん
ジストロフィー(muscular dystrophy)の
人
ひと
たちの
支援
しえん
に
関
かか
わっている。どれだけの
社会
しゃかい
サービスが
供給
きょうきゅう
されるか、どれだけの
予算
よさん
が
投
とう
じられるのかは、その
大
おお
きな
関心事
かんしんじ
である。その
質問
しつもん
に
対
たい
して、Prideaux
氏
し
は、サービスの
実情
じつじょう
は
英国
えいこく
内
ない
でも
地域
ちいき
で
様々
さまざま
であると
答
こた
えた。
■
文献
ぶんけん
表
ひょう
◇
安積
あさか
純子
じゅんこ
・
尾中
おちゅう
文
ぶん
哉・
岡原
おかはら
正幸
まさゆき
・
立岩
たていわ
真
しん
也 19901025 『
生
なま
の
技法
ぎほう
――
家
いえ
と
施設
しせつ
を
出
で
て
暮
く
らす
障害
しょうがい
者
しゃ
の
社会
しゃかい
学
がく
』,
藤原
ふじわら
書店
しょてん
,320p→19950515
『
生
なま
の
技法
ぎほう
――
家
いえ
と
施設
しせつ
を
出
で
て
暮
く
らす
障害
しょうがい
者
しゃ
の
社会
しゃかい
学
がく
増補
ぞうほ
・
改訂
かいてい
版
ばん
』
,
藤原
ふじわら
書店
しょてん
,366p. 3045
[amazon]
/
[kinokuniya]
※
◇
長谷川
はせがわ
唯
ゆい
2009/02/25 「
独居
どっきょ
ALS
患者
かんじゃ
の
在宅
ざいたく
移行
いこう
支援
しえん
(2)――
二
に
〇〇
八
はち
年
ねん
六
ろく
月
がつ
」,
『
生存
せいぞん
学
がく
』1
:184-200
◇
堀田
ほった
義太郎
よしたろう
2009/02/25 「
独居
どっきょ
ALS
患者
かんじゃ
の
在宅
ざいたく
移行
いこう
支援
しえん
(4)――
課題
かだい
・
要因
よういん
・
解決
かいけつ
方策
ほうさく
」,
『
生存
せいぞん
学
がく
』1
:218-235
◇ヒューマンケア
協会
きょうかい
地域
ちいき
福祉
ふくし
計画
けいかく
策定
さくてい
委員
いいん
会
かい
19940331
『ニード
中心
ちゅうしん
の
社会
しゃかい
政策
せいさく
――
自立
じりつ
生活
せいかつ
センターが
提唱
ていしょう
する
福祉
ふくし
の
構造
こうぞう
改革
かいかく
』
,ヒューマンケア
協会
きょうかい
,88p.,1000
◇
西田
にしだ
美紀
みき
2009/02/25 「
独居
どっきょ
ALS
患者
かんじゃ
の
在宅
ざいたく
移行
いこう
支援
しえん
(1)――
二
に
〇〇
八
はち
年
ねん
三
さん
月
がつ
〜
六
ろく
月
がつ
」,
『
生存
せいぞん
学
がく
』1
:165-183
◇
小川
おがわ
喜
き
道
どう
20051201
『
障害
しょうがい
者
しゃ
の
自立
じりつ
支援
しえん
とパーソナル・アシスタンス、ダイレクト・ペイメント』
,
明石書店
あかししょてん
,146p. ISBN-10: 4750322334 ISBN-13: 978-4750322339
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2100 ※ dp.
◇
岡部
おかべ
耕
こう
典
てん
20060605
『
障害
しょうがい
者
しゃ
自立
じりつ
支援
しえん
法
ほう
とケアの
自律
じりつ
――パーソナルアシスタンスとダイレクトペイメント』
,
明石書店
あかししょてん
,161p. ASIN: 4750323551 2100
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※
◇
Prideaux, Simon
2009/07
Disabled People and Self Directed Support Schemes: Re-Conceptualising Work and Welfare in the 21st Century
(MS Word)
◇
立岩
たていわ
真
しん
也 1990/10/25 「はやく・ゆっくり――
自立
じりつ
生活
せいかつ
運動
うんどう
の
生成
せいせい
と
展開
てんかい
」,
安積
あさか
・
尾中
おちゅう
・
岡原
おかはら
・
立岩
たていわ
『
生
なま
の
技法
ぎほう
』
,
第
だい
7
章
しょう
pp.165-226
◇――――― 1995/05/15a 「
自立
じりつ
生活
せいかつ
センターの
挑戦
ちょうせん
」,
安積
あさか
他
た
[1995:267-321]
◇――――― 1995/05/15b 「
私
わたし
が
決
き
め,
社会
しゃかい
が
支
ささ
える,のを
当事
とうじ
者
しゃ
が
支
ささ
える――
介助
かいじょ
システム
論
ろん
」,
安積
あさか
他
た
[1995:227-265]
◇――――― 1997/09/05
『
私的
してき
所有
しょゆう
論
ろん
』
,勁草
書房
しょぼう
,465+66p.,6300
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◇――――― 2000/10/23
『
弱
よわ
くある
自由
じゆう
へ――
自己
じこ
決定
けってい
・
介護
かいご
・
生死
せいし
の
技術
ぎじゅつ
』
,
青土
おうづち
社
しゃ
,357+25p. 2940
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◇――――― 2004/11/15
『ALS――
不動
ふどう
の
身体
しんたい
と
息
いき
する
機械
きかい
』
,
医学書院
いがくしょいん
,449p. ISBN:4260333771 2940
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◇――――― 2008/09/05
『
良
よ
い
死
し
』
,
筑摩書房
ちくましょぼう
,374p. ISBN-10: 4480867198 ISBN-13: 978-4480867193 2940
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※ d01. et.,
◇――――― 2009/03/25
『
唯
ただ
の
生
せい
』
,
筑摩書房
ちくましょぼう
,424p. ISBN-10: 4480867201 ISBN-13: 978-4480867209
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※ et.
◇
山本
やまもと
晋
すすむ
輔
2009/02/25 「
独居
どっきょ
ALS
患者
かんじゃ
の
在宅
ざいたく
移行
いこう
支援
しえん
(3)――
二
に
〇〇
八
はち
年
ねん
七
なな
月
がつ
」,
『
生存
せいぞん
学
がく
』1
:201-217
UP:20090724 REV:20090725, 0816
◇
ダイレクト・ペイメント
◇
介助
かいじょ
/
介護
かいご
◇
立岩
たていわ
真
しん
也
◇
Shin'ya Tateiwa
TOP
HOME (http://www.arsvi.com)
◇