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アメシスト - Wikipedia

アメシスト

紫色むらさきいろ水晶すいしょう

アメシストamethyst)は、紫色むらさきいろ水晶すいしょうである。むらさき水晶すいしょう(むらさきすいしょう、むらさきずいしょう)[1]むらさき石英せきえい(しせきえい)ともばれる。amethyst のは、古代こだいギリシアἀμέθυστος(améthustos、わせない)に由来ゆらいし、ふせ効果こうかがあるとしんじられていた[2]日本語にほんごではアメジストばれることもおおいが、原語げんご発音はつおんしたがえば「アメシスト」がより正確せいかくである。

アメシスト
Amethyst
みなみアフリカのマガリスバーグさんアメシスト
分類ぶんるい ケイ酸けいさんしお鉱物こうぶつ
化学かがくしき 二酸化にさんかケイ素けいそ (SiO2)
結晶けっしょうけい さんぽうあきらけい
対称たいしょう P3221 (no. 154)
あきらへき 6-sided prism ending in 6-sided pyramid (typical)
そうあきら ドフィーネしきそうあきら, ブラジルしきそうあきら, 日本にっぽんしきそうあきら
へきかい なし
だんこう 貝殻かいがらじょう
モース硬度こうど 場所ばしょによるが7以下いか
光沢こうたく ガラス光沢こうたく
いろ むらさきあかむらさき
じょうこん しろ
透明とうめい 透明とうめいからはん透明とうめい
比重ひじゅう 2.65、不純物ふじゅんぶつ変化へんか
光学こうがくせい Uniaxial (+)
屈折くっせつりつ nωおめが = 1.543–1.553
nεいぷしろん = 1.552–1.554
ふく屈折くっせつ +0.009 (B-G interval)
多色たしょくせい じゃく-ちゅう程度ていどむらさき/あかむらさき
融点ゆうてん 1650±75 °C
溶解ようかい 一般いっぱんてき溶剤ようざい不溶ふよう
その特性とくせい あつでん効果こうか
プロジェクト:鉱物こうぶつPortal:地球ちきゅう科学かがく
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おもなアメシスト産出さんしゅつ
スコットランド国立こくりつ博物館はくぶつかん展示てんじされているアメジスト・ジオード
ローマ皇帝こうていカラカラ彫刻ちょうこくした宝石ほうせき彫刻ちょうこく英語えいごばん古代こだいエジプトの時代じだいから彫刻ちょうこく素材そざいとされている。

性質せいしつ特徴とくちょう

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硬度こうどは7。比重ひじゅうは2.65。組成そせいはSiO2二酸化にさんかケイ素けいそ)。素焼すや陶板とうはんにこすりつけるとしろじょうこんのこる。ハンマーなどでると貝殻かいがらじょうだんこうのこる。

光沢こうたくガラス光沢こうたくで、いろあわライラックいろから、紫色むらさきいろまで幅広はばひろ色合いろあいがある。紫色むらさきいろ発色はっしょくは、ケイ素けいそ置換ちかんした微量びりょうてつイオン放射線ほうしゃせんけると電子でんしばされ電荷でんか移動いどう酸素さんそ原子げんしてつイオンとのあいだこり、さんてつイオンがよんてつイオンになり、これが形成けいせいしたいろ中心ちゅうしん(カラーセンター)がひかりのスペクトルの黄色おうしょく吸収きゅうしゅうするために、その補色ほしょくである紫色むらさきいろ通過つうかするようになるのが原因げんいんとされる[3]紫外線しがいせん曝露ばくろすると退色たいしょくする(直射ちょくしゃ日光にっこうたる窓際まどぎわなどにくといろせてくる)。照射しょうしゃするひかりスペクトル組成そせいによって、いろおおきく変化へんかさせるむらさき水晶すいしょうは、「カラーチェンジアメシスト」もしくは「カラーチェンジタイプアメシスト」としょうされている。

また、加熱かねつするといろ黄色きいろ変化へんかし、宝石ほうせきめいとしてはシトリンとなる(現在げんざい出回でまわっているシトリンはアメシストを加熱かねつしたものがほとんどである)。

ガンマ線がんませんねつてると緑色みどりいろプラジオライト英語えいごばんつくられ、こちらはグリーンアメジストとばれる[4]緑色みどりいろ発色はっしょくは、さんてつイオンのほか相当そうとうりょうてつイオンをふくんでいた場合ばあいに、さんてつイオンによる補色ほしょく黄色おうしょく発色はっしょくと、てつイオンは黄色おうしょくひかり吸収きゅうしゅう補色ほしょく青色あおいろになるため、その黄色おうしょく青色あおいろざって緑色みどりいろ発色はっしょくするといわれている[5]

温度おんどでの変化へんかは、420℃未満みまんでアメシスト、 420 - 440 ℃でいろ中心ちゅうしん不安定ふあんていなプラジオライト、440℃以上いじょうでシトリンとなるがシトリンとするのに適切てきせつ温度おんどやく 560 ℃である[6]。また、透明とうめい水晶すいしょう放射線ほうしゃせんてるとむらさき緑色みどりいろ着色ちゃくしょくきる場合ばあいがある[6]

産出さんしゅつ

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ブラジルリオ・グランデ・ド・スールしゅう世界せかい最大さいだいむらさき水晶すいしょう産地さんちスリランカマダガスカル中央ちゅうおうアフリカウルグアイザンビアではしついものが産出さんしゅつする。

日本にっぽんでは、宮城みやぎけん白石しらいし雨塚山あまつかやま鳥取とっとりけん産出さんしゅつされる。

産出さんしゅつ状態じょうたい

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あきらほら(ジオード)
溶岩ようがんなどのあわえてかたまったなかねつすい侵入しんにゅう水分すいぶん蒸発じょうはつしてミネラルぶん結晶けっしょうしアメシストが形成けいせいされる。
合成ごうせいアメジスト
人工じんこう水晶すいしょうのようにオートクレーブばれる圧力あつりょくがまにて人工じんこうてきつくすことが可能かのうである。化学かがくてき物理ぶつりてき天然てんねんものおなじものが製造せいぞう可能かのうであるため。こう品質ひんしつ天然てんねんものの場合ばあい高度こうど鑑定かんてい機器ききでなければ正確せいかく鑑定かんていくだすのはむずかしい。それ以外いがいなら、インクルージョンいろムラによって確認かくにんできる。

種類しゅるい

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ふか色合いろあいのものはディープシベリアン(Deep Siberian)、あわ色合いろあいをローズ・ド・フランス(Rose de France)という。アメシストをねつなどで処理しょりすると黄色きいろくなりシトリン水晶すいしょう)となる。一部いちぶがシトリンとなったものをアメトリンという。

採掘さいくつ緑色みどりいろ透明とうめいであるプラシオライトは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくカリフォルニアしゅうネバダしゅう境界きょうかい付近ふきんや、ブラジルパラーしゅうのマラバ、ポーランドドルヌィ・シロンスクけんカナダオンタリオしゅうサンダーベイ地区ちくなどのごく一部いちぶ地域ちいきから産出さんしゅつする。

用途ようと加工かこうほう

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おも装飾そうしょくよう使つかわれる。ねつ放射線ほうしゃせんによって黄色おうしょくみどり変色へんしょくする。

2がつ誕生石たんじょうせきである。

旧約きゅうやく聖書せいしょの『エジプト』に、高僧こうそう胸当むねあてにかざられている12種類しゅるい宝石ほうせきの1つとして登場とうじょうするなど、歴史れきしふるい。せい公会こうかい主教しゅきょう身分みぶんしょうとしてける Episcopal Ring英語えいごばんには、使徒しと言行げんこうろく2.13-15で使徒しと言葉ことばおおくの外人がいじんかく母国ぼこくとしてこえたのは群衆ぐんしゅう一部いちぶが「ぱらいっていたから」としたのをけて、「わせない」を語源ごげんとするアメジストがはめられた。

プリニウスの『博物はくぶつ』では、紫色むらさきいろ宝石ほうせきなか最高さいこうのものはインドさんである。キリスト教きりすときょうでは伝統でんとうてきに、男性だんせい宗教しゅうきょうてき献身けんしんのシンボルであった。

酒神しゅしんディオニューソスれているとらわれたアメシストという女性じょせいつきしんアルテミスつかえるおんな)がかみいのると純白じゅんぱくいし姿すがたわり、あわれにおもったディオニューソスがそのいし葡萄酒ぶどうしゅそそぐと紫色むらさきいろ水晶すいしょうわった」というギリシャ神話しんわ由来ゆらいとするはなしがあるが、これはフランスの詩人しじんレミ・ベロー創作そうさくである。一方いっぽう、「ディオニュソスたん」にはレアー泥酔でいすいふせ効果こうかがある宝石ほうせきとしてディオニューソスにアメシストをおくったとする記述きじゅつがある。


カーディナル・ジェム英語えいごばんばれる貴重きちょうな5しゅいしひとつとかんがえられ、ブラジルでだい鉱床こうしょうつかるまで貴重きちょういしとしてあつかわれていた。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 文部省もんぶしょう へん学術がくじゅつ用語ようごしゅう 地学ちがくへん日本にっぽん学術がくじゅつ振興しんこうかい、1984ねん、193ぺーじISBN 4-8181-8401-2 
  2. ^ (英語えいご) Oxford Dictionary of English. Oxford University Press. (2003) 
  3. ^ たのしい鉱物こうぶつがく株式会社かぶしきがいしゃそうおもえしゃ、1990ねん6がつ5にち 
  4. ^ Prasiolite gemstone information”. www.gemdat.org. 2018ねん4がつ19にち閲覧えつらん
  5. ^ 石英せきえい水晶すいしょう)の様々さまざま結晶けっしょう www.tool-tool.com”. BW Professional Cutter Expert www.tool-tool.com. 2023ねん2がつ9にち閲覧えつらん
  6. ^ a b Cheng, Renping (2020ねん9がつ10日とおか). “Study on the effect of heat treatment on amethyst color and the cause of coloration” (英語えいご). Scientific Reports. pp. 14927. doi:10.1038/s41598-020-71786-1. 2024ねん6がつ5にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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