宝石ほうせき

宝石ほうせき（ほうせき）とは、希少きしょう性せいが高たかく美うつくしい外観がいかんを有ゆうする固形こけい物ぶつのこと。

一般いっぱん的てきに、外観がいかんが美うつくしく、アクセサリーなどに使用しようされる鉱物こうぶつを言いう。

概要がいよう

主おもに天然てんねん鉱物こうぶつとしての無機物むきぶつ結晶けっしょうを指さすが、ラピスラズリ、ガーネットのような数すう種しゅの無機物むきぶつの固溶体こようたい、オパール、黒曜石こくようせき、モルダバイトのような非ひ晶あきら質しつ、珊瑚さんごや真珠しんじゅ、琥珀こはくのような生物せいぶつに起源きげんするもの、キュービックジルコニアのような人工じんこう合成ごうせい物質ぶっしつなど様々さまざまである。

古いにしえの中華ちゅうか文明ぶんめい圏けんでは、価値かちのある石いしを「玉たま（ぎょく）」と呼よんだが、非ひ透明とうめい、あるいは半はん透明とうめいのものだけが珍重ちんちょうされ、その中なかでも翡翠かわせみが代表だいひょう的てきだった（玉たまの本義ほんぎである）。透明とうめいなものは「玉たま」として扱あつかわれず、石いしの扱あつかいであった。例たとえばダイヤモンドを表あらわす漢語かんごは「金剛石こんごうせき」であり、玉たまではない。一方いっぽうで西欧せいおうを含ふくむ非ひ中華ちゅうか文明ぶんめい圏けんでは、ダイヤモンドに代表だいひょうされる透明とうめいな鉱物こうぶつが宝石ほうせきとして特とくに珍重ちんちょうされた。

条件じょうけん

宝石ほうせきとしての必須ひっす条件じょうけんは何なによりその外観がいかんが美うつくしいこと、次つぎに希まれにしか産むしないこと（希少きしょう性せい）であるが、第だい三さんの重要じゅうような条件じょうけんとして、耐久たいきゅう性せい、とりわけ硬度こうどが高たかいことが挙あげられる。これは、硬度こうどが低ひくい鉱物こうぶつの場合ばあい、時ときとともに砂埃すなぼこり（環境かんきょうに遍在へんざいする石英せきえいなど）による摩擦まさつ風化ふうか・劣化れっかのために表面ひょうめんが傷きずついたりファセットの稜りょうが丸まるみを帯おびたりして、観賞かんしょう価値かちが失うしなわれてしまうためである。例れいとしてダイヤモンドはモース硬度こうど10、ルビー・サファイアはモース硬度こうど9である。石英せきえいのモース硬度こうどは7であり、これらの宝石ほうせきの硬度こうどは石英せきえいのそれより高たかいことに注意ちゅういされたい。例外れいがい的てきに硬度こうどが7以下いかであってもオパール、真珠しんじゅ、サンゴなどはその美うつくしさと希少きしょう性せいから宝石ほうせきとして扱あつかわれる。

硬度こうど以外いがいの耐久たいきゅう性せいの条件じょうけんとしては、衝撃しょうげきにより破壊はかいされないこと（じん性せい）、ある程度ていどの耐火たいか耐たい熱性ねっせいがあること、酸さん、アルカリといった化学かがく薬品やくひんに侵おかされないこと、経年けいねん変化へんかにより変色へんしょく、退色たいしょくしないことなどが挙あげられる。その他た、大おおきさ、色彩しきさい、透明とうめい度どなどの鑑賞かんしょう的てき価値かち、知名度ちめいどなどの財産ざいさん的てき価値かちといった所有しょゆうの欲求よっきゅうを満みたす性質せいしつが重要じゅうようである。

ただし、宝石ほうせきと云いう扱あつかいを受うけても、知名度ちめいどがあまり高たかくない石いしは、収集しゅうしゅう家かやマニア向むけの珍品ちんぴん逸品いっぴん、いわゆるコレクターズアイテムの位置いちに留とまり、見みた目めの美うつくしさと希少きしょう性せいだけが取とり上あげられ、その他たの条件じょうけんについてはかなり緩ゆるくなっている場合ばあいが多おおい。この手ての石いしにはモース硬度こうど2～5などといった傷きずつき易やすい石いし、空気くうき中ちゅうの湿気しっけを吸すい取とったり、酸化さんかが進すすんで変質へんしつする石いし、紫外線しがいせんを吸収きゅうしゅうして自然しぜんと退色たいしょくする石いし、1カラットに満みたない小ちいさなそれしか取とれない石いし、はてはお湯ゆをかけるだけで溶とけてしまう石いしなどがあり、当然とうぜん取とり扱あつかいには注意ちゅういを要ようする。

知名度ちめいどが高たかい石いしであっても取とり扱あつかいに注意ちゅういを要ようする石いしもある。例れいを挙あげるとオパールやトルコ石せきは石いし内部ないぶに水みずを含ふくんでいるため乾燥かんそうにより割われたり、オパールの場合ばあいその一大いちだい特徴とくちょうである遊ゆう色しょく効果こうかが消失しょうしつすることもある。サンゴや真珠しんじゅは酸さんには極端きょくたんに弱よわく、レモン汁しるや食酢しょくずが付着ふちゃくしただけで変色へんしょくする。琥珀こはくは高温こうおんに弱よわくすぐ溶とける。エメラルドは内部ないぶに無数むすうの傷きずを抱かかえているので、とりわけ衝撃しょうげきには弱よわくたいへん割われ易やすい。

資産しさん価値かち

鉱物こうぶつの中なかで金属きんぞくにあたり、希少きしょう性せいが高たかく化学かがく反応はんのうや風化ふうかなどによる経年けいねん変化へんかが著いちじるしく低ひくい鉱物こうぶつを貴金属ききんぞくといい、金きむ、銀ぎん、プラチナなどが該当がいとうする。したがって、材質ざいしつのみから資産しさん価値かちを定さだめた場合ばあい、換金かんきん性せい、実用じつよう用途ようとに関かんしては貴金属ききんぞくの方ほうが宝石ほうせきよりおおよその場合ばあい優すぐれている。貴金属ききんぞく、とりわけ金かねは価格かかく算定さんていの根拠こんきょとなる世界せかい的てきに通用つうようする評価ひょうか基準きじゅんが決きめられており、相場そうばや市場いちばが整備せいびされ、さらに金本位きんほんい制せいという経済けいざい制度せいどによって各国かっこく通貨つうかの貨幣かへい価値かちを超ちょう国家こっか規模きぼで並列へいれつ化かしている事ことに対たいし、宝石ほうせきはダイヤモンドこそ国際こくさい的てきな評価ひょうか基準きじゅんルールや市場いちば、相場そうばが定さだめられているものの、それ以外いがいはどの宝石ほうせきもその評価ひょうか基準きじゅんは厳密げんみつではなく、国くにや民族みんぞくによっても大おおきく異ことなっている。具体ぐたい的てきには、翡翠かわせみは東ひがしアジアの国々くにぐにでは高たかく評価ひょうかされるが、欧米おうべいでの評価ひょうかはそれほどでもない（欧米おうべいで高たかく売買ばいばいされるときは、最終さいしゅう的てきに中国ちゅうごくに売うり込こむことが目論もくろまれている）。逆ぎゃくに真珠しんじゅのように日本にっぽん国内こくないよりも海外かいがいの方ほうが高額こうがくで取引とりひきされる宝石ほうせきも存在そんざいする。誕生石たんじょうせきが国くにによって異ことなるのもその辺あたりの事情じじょうを物語ものがたっている。一見いっけん貴金属ききんぞく並なみの資産しさん価値かちが確立かくりつされているように思おもえるダイヤモンドも、材質ざいしつ上じょうの理由りゆうから火災かさいなどの高温こうおん環境かんきょうにさらされると損傷そんしょうを受うけ、資産しさん価値かちが損そこなわれる可能かのう性せいがあるため、純資産じゅんしさんとして永続えいぞく的てきに保有ほゆうし続つづけるには難なんがある。
ただし、特定とくていの宝石ほうせきはホープダイヤモンドやコ・イ・ヌール、インドの星ほしのように、その歴史れきし的てき経緯けいいや由来ゆらいにより動産どうさんや美術びじゅつ・博物はくぶつ収集しゅうしゅう品ひんとして品質ひんしつ以上いじょうの価値かちをもつことがままある。

上記じょうきのように資産しさん性せいにおいては宝石ほうせきは貴金属ききんぞくより安定あんていしないものの、貴金属ききんぞくが宝飾ほうしょく向むけ以外いがいにも、金属きんぞく特有とくゆうの優すぐれた電気でんき電導でんどう性せい、箔はくに代表だいひょうされるように著いちじるしい展延てんえん性せいを活いかした加工かこう、耐たい酸化さんか・還元かんげん性せいを生いかした工業こうぎょう用途ようとで多々たた用もちいられるように、宝石ほうせきもまた人工じんこう生産せいさんにより安定あんてい供給きょうきゅうされるものを含ふくめ、工業こうぎょう用よう製品せいひんの材料ざいりょうとして用もちいられている。例たとえばダイヤモンドは研磨けんま材ざい、ボーリングマシンのロッド、切削せっさく加工かこう工具こうぐ（バイト）などに使用しようされ、サファイアはレコード針はりや高級こうきゅう腕時計うでどけいの風防ふうぼう、クロマトグラフのプランジャー・精密せいみつ機器きき基板きばん、ルビーは機械きかい式しき時計とけいの軸受じくうけやレーザー発振はっしん媒質ばいしつ、ガーネットはルビー同様どうようのレーザー発振はっしん媒質ばいしつおよび紙かみやすりの砥とぎ粒つぶ、水晶すいしょうは水晶すいしょう振動しんどう子こや各種かくしゅ石英せきえい製品せいひん、真珠しんじゅは漢方薬かんぽうやくと個々ここの性質せいしつを生いかして多様たように用もちいられている。

命名めいめい

宝石ほうせきの名称めいしょうは地名ちめいやギリシャ語ごから名付なづけられることが多おおい。特とくに古ふるくから宝石ほうせきとして扱あつかわれてきたものには、ルビーとサファイア、エメラルドとアクアマリンのように無機物むきぶつとしての組成そせいは同一どういつだが、微量びりょうに混入こんにゅうする不純物ふじゅんぶつ（ドーパント）により色いろが変かわると名称めいしょうも変かわるものがある。中なかでも水晶すいしょうを代表だいひょうとする二酸化にさんかケイ素けいそを組成そせいとするものは、その結晶けっしょう形がたや昌あきら質しつ、色いろや外観がいかんが異ことなるだけで石英せきえい（クォーツ）、水晶すいしょう（クリスタル）、アメシスト（紫むらさき水晶すいしょう）、シトリン（黄き水晶すいしょう）、玉髄ぎょくずい（カルセドニー）、メノウ（アゲート）、ジャスパー、カーネリアン、クリソプレーズ、アベンチュリンなど様々さまざまな名称めいしょうで呼よばれている。また近年きんねん宝石ほうせきとして評価ひょうかされるようになった新しん発見はっけんの鉱物こうぶつに関かんしては、ゾイサイトやスギライトなど発見はっけん者しゃや研究けんきゅう者しゃの名なに由来ゆらいするものが多おおい。

分類ぶんるい

表面ひょうめんを研磨けんましたカット前まえの様々さまざまな宝石ほうせきや鉱物こうぶつ: 左上ひだりうえから右みぎへターコイズ（トルコ石せき）、ヘマタイト（赤あか鉄鉱てっこう）、クリソコラ（珪孔雀石くじゃくせき）、タイガーズアイ（虎とら目め石せき）。2段だん目めは水晶すいしょう（石英せきえい）、トルマリン（電気でんき石せき）、カーネリアン（紅べに玉髄ぎょくずい）、パイライト（黄鉄鉱おうてっこう）、スギライト（杉すぎ石せき）。3段だん目めはマラカイト（孔雀石くじゃくせき）、ローズクォーツ（紅べに水晶すいしょう）、スノーフレークオブシディアン（黒曜石こくようせき）、ルビー（紅玉こうぎょく）、モスアゲート（苔こけ瑪瑙めのう）。4段だん目めはジャスパー（碧玉へきぎょく）、アメシスト（紫むらさき水晶すいしょう）、ブルーレース、ラピスラズリ（瑠璃るり）。

生なまの宝石ほうせき

「宝石ほうせきのはなし」（1989年刊ねんかん）では「宝石ほうせきは約やく70種しゅほどあるとされるが、よく知しられた宝石ほうせきは20種しゅ程度ていどである」^[1]と記述きじゅつされる。刊行かんこう後ごに発見はっけんされた物ものも含ふくめ、Wikipedia日本語にほんご版ばんでは110種しゅ余あまりの試料しりょうを宝石ほうせきとして取とり扱あつかっている。

価値かちによる分類ぶんるい

詳細しょうさいについては「貴石たかいし」を参照さんしょう

価値かちの高たかい石いしを貴石たかいしとし、やや価値かちの低ひくい石いしを半はん貴石たかいし、もっと低ひくい石いしを飾かざり石せきとする。貴石たかいしを宝石ほうせきと呼よぶことがあるが、その場合ばあい半はん貴石たかいしは貴石たかいしとい換いかえられる。

化学かがく組成そせいによる分類ぶんるい

鉱物こうぶつ結晶けっしょう

元素げんそ鉱物こうぶつ～ダイヤモンド C、硫黄いおう S

実質じっしつダイヤモンドのみで、硫黄いおうは硬度こうどが低ひくい（モース硬度こうど2）ため、コレクターズアイテムとしてしか扱あつかわれない。

硫化りゅうか鉱物こうぶつ～白しろ鉄鉱てっこう、黄鉄鉱おうてっこうともに FeS₂、黄銅こうどう鉱こう CuFeS₂ など。

ヴィクトリア朝あさのイギリスなどでは多用たようされたが、時間じかんと共ともに空中くうちゅうの湿気しっけと反応はんのうして硫酸りゅうさんが浸しみ出でる欠点けってんがある。

現在げんざいでは鉱物こうぶつ収集しゅうしゅう家かのコレクターズアイテムとして扱あつかわれ、宝石ほうせきとして扱あつかわれることはほぼ無ない。

酸化さんか鉱物こうぶつ～石英せきえい SiO₂、スピネル MgAl₂O₄、コランダム Al₂O₃ など。

ケイ酸けいさん塩しお鉱物こうぶつと共ともに多おおくの種たねが含ふくまれる。

ケイ酸けいさん塩しお鉱物こうぶつ～緑みどり柱石ちゅうせき Be₃Al₂Si₆O₁₈ 、ジルコン ZrSiO₄など。

よく知しられた宝石ほうせきは、これか酸化さんか鉱物こうぶつのいずれかである。ケイ酸けいさんイオンの構造こうぞうにより、さらに細分さいぶん化かされる。

ケイ酸けいさん塩しお及およびホウ酸さん塩しお鉱物こうぶつ～エルバイト Na(Li,Al)₃Al₆(BO₃)₃Si₆O₁₈(OH)₄

エルバイトはトルマリンの1種しゅで、宝石ほうせき質しつのトルマリンの大だい多数たすうはこれに分類ぶんるいされる。

トルマリンはエルバイト以外いがいにも数すう種しゅあり、その組成そせいはまた異ことなる。

ケイ酸けいさん塩しお及およびフッ化か鉱物こうぶつ～ F-Type トパーズ Al₂SiO₄F₂

フッ素ふっそ (F) が水酸基すいさんき (OH) に置換ちかんされた OH-Type トパーズもある。

ハロゲン化か鉱物こうぶつ～蛍ぼたる石せき CaF₂ ビリオム石せき NaF など。

美うつくしいものもあるが、一般いっぱんにどれも硬度こうどが低ひくく希少きしょう性せいにも欠かける（ただしビリオム石せきは希少きしょう）。

それ以上いじょうに食塩しょくえん NaCl に代表だいひょうされるように、水溶すいよう性せいの石いしが多おおくコレクターズアイテムか飾かざり石せき程度ていどにしか扱あつかわれない。

炭酸たんさん塩しお鉱物こうぶつ～方解石ほうかいせき CaCO₃、白しろ鉛なまり鉱こう PbCO₃ など。

ハロゲン化か鉱物こうぶつに同おなじ。ただし水みずに溶とけてしまうようなことはあまりない。

リン酸さん塩しお鉱物こうぶつ～トルコ石せき CuAl₆(PO₄)₄(OH)₈·4H₂O、バリサイト AlPO₄・2H₂O

結晶けっしょう構造こうぞうによる分類ぶんるい

鉱物こうぶつ結晶けっしょう由来ゆらいの石いしは、一ひとつの大おおきな結晶けっしょうからなる単たん結晶けっしょうと、複数ふくすうの小ちいさな結晶けっしょう粒つぶが無数むすうに集合しゅうごうして成立せいりつする多た結晶けっしょうの二ふたつに大別たいべつされる。多た結晶けっしょうに分類ぶんるいされる石いしは、その全すべてが不透明ふとうめい～半はん透明とうめいであり、結晶けっしょうと結晶けっしょうの間あいだに隙間すきまを有ゆうする（多孔たこう質しつ）ため、染料せんりょうなどで染そめやすいといった特徴とくちょうがある。このような多た結晶けっしょうの石いしを集合しゅうごう体たいと呼よび、構成こうせいする結晶けっしょう粒つぶの大おおきさにより、それぞれ顕あらわ晶あきら質しつ（結晶けっしょう粒つぶを肉眼にくがんで確認かくにんできる）、微ほろ晶あきら質しつ（結晶けっしょう粒つぶを顕微鏡けんびきょう下かで確認かくにんできる）、潜せん晶あきら質しつ（直交ちょっこうニコル顕微鏡けんびきょう下かでのみ結晶けっしょう粒つぶが確認かくにんできる）と呼よんで区別くべつする。

単たん結晶けっしょう - ダイヤモンド、サファイアなどよく知しられた透明とうめいな鉱物こうぶつ結晶けっしょう宝石ほうせき。
顕あらわ晶あきら質しつ集合しゅうごう体たい - 水晶すいしょうの群ぐん晶あきら（クラスター）など。置物おきものなどにはされるがあまり装そう身み用ようのジュエリーにはならない。
微ほろ晶あきら質しつ集合しゅうごう体たい - アヴェンチュリン、クォーザイトなど。
潜せん晶あきら質しつ集合しゅうごう体たい - カルセドニー（玉髄ぎょくずい）、ターコイズ（トルコ石せき）など。

固溶体こようたい（混こん晶あきら）

ペリドット (Mg,Fe)₂SiO₄

ガーネット～主ぬしに以下いかの6種しゅのケイ酸けいさん塩しお鉱物こうぶつの固溶体こようたい。但ただし、比重ひじゅうの関係かんけいから下したの3種しゅ（含カルシウム系けい）と上うえ3種しゅが混まじりあうことは滅多めったにない。

アルマンディン Fe²⁺₃Al₂(SiO₄)₃、パイロープ Mg₃Al₂(SiO₄)₃、スペッサルティン Mn₃Al₂(SiO₄)₃

アンドラダイト Ca₃Fe³⁺₂(SiO₄)₃、グロッシュラー Ca₃Al₂(SiO₄)₃、ウヴァロヴァイト Ca₃Cr₂(SiO₄)₃

ラピスラズリ

詳細しょうさいについては「ラピスラズリ#成分せいぶん」を参照さんしょう

など。ガーネットやペリドットは固溶体こようたいであるが、構成こうせいする物質ぶっしつはどれもケイ酸けいさん塩しお鉱物こうぶつなのでケイ酸けいさん塩しお鉱物こうぶつとも言いえる。

非ひ晶あきら質しつ

オパール、黒曜石こくようせき（オプシディアン）、モルダバイト、テクタイトなど。

主成分しゅせいぶんはどれも二酸化にさんかケイ素けいそ SiO₂。

生物せいぶつ由来ゆらい（化石かせき）

黒くろ玉だま、アンモライト、琥珀こはくなど。

生物せいぶつ由来ゆらい（化石かせき以外いがい）

サンゴ、真珠しんじゅ、螺鈿らでん、青貝あおがい、シェル、象牙ぞうげ、鼈甲べっこうなど。

象牙ぞうげ、鼈甲べっこう以外いがいの主成分しゅせいぶんはどれも炭酸たんさんカルシウム CaCO₃。

象牙ぞうげの主成分しゅせいぶんはヒドロキシアパタイト Ca₅(PO₄)₃(OH)で鼈甲べっこうはタンパク質たんぱくしつ。

その他た

キュービックジルコニア（二酸化にさんかジルコニウムと安定あんてい化か剤ざいの混合こんごう物ぶつ）、隕石いんせきなど。

生成せいせい要因よういんによる分類ぶんるい

天然てんねん宝石ほうせき: カットや研磨けんまを除のぞき、（模倣もほう宝石ほうせきに対たいして）人にんの手てが加くわわっていない宝石ほうせき。古ふるくから王侯おうこう貴族きぞくが所有しょゆうし、王冠おうかんなどに取とり付つけられている石いし、博物館はくぶつかんなどに収蔵しゅうぞうされているものが多おおく、特とくに大おおきな石いしについてはホープダイヤモンドといった固有こゆう名めいが付つけられる。宝石ほうせきのなかでは確実かくじつに資産しさん価値かちがあり、現在げんざいでもごくまれに大おおきなものが産出さんしゅつされるが、種たねによっては非常ひじょうに珍めずらしいので高値たかねで取引とりひきされることがある。であるが、そのためには合成ごうせい宝石ほうせきや処理しょり宝石ほうせきでないことを証明しょうめいする専門せんもん家かの鑑定かんてい書しょなどを要ようする。; なおどの石いしにどの程度ていどの資産しさん価値かちがつくかは石いしの種類しゅるい、大おおきさ、美うつくしさ、来歴らいれき（石いしの産地さんちなど）などにより異ことなる。新しん鉱山こうざん発見はっけんなどで資産しさん価値かちが劇的げきてきに下さがる場合ばあいもあるし、逆ぎゃくにニセモノと判明はんめいしてもジュエリーに付つけられた石いしはジュエリーそのものの骨董こっとう的てき、美術びじゅつ的てき価値かちが認みとめられればそれほど下さがらない場合ばあいもありえる。
処理しょり宝石ほうせき: 天然てんねん宝石ほうせきに外観がいかんの改良かいりょう（エンハンスメント）・改変かいへん（トリートメント）処理しょりが加くわえられた石いし。天然てんねん宝石ほうせきに含ふくめられることが多おおい。宝石ほうせき店てんで宝石ほうせきとして指輪ゆびわやネックレスのトップに加工かこうされ、天然てんねんを謳うたっているものはたいていこの類るいで、身みを飾かざる目的もくてきには合致がっちするが資産しさん価値かちは乏とぼしい。主おもな処理しょりには加熱かねつ（黄水おうすい晶あきら）、電磁波でんじは・放射線ほうしゃせん照射しょうしゃ（ブルートパーズ）、着色ちゃくしょく目的もくてきを含ふくめたガラスやオイルの含浸がんしん（エメラルド）、貴金属ききんぞく類るいの蒸着じょうちゃく（アクアオーラなど）がある。経年けいねん変化へんかや長期ちょうきにわたる紫外線しがいせん曝露ばくろ、ひどい場合ばあいは超ちょう音波おんぱ洗浄せんじょう機きによる洗浄せんじょうで処理しょり前まえの姿すがたに戻もどってしまうことがある。
合成ごうせい宝石ほうせき（人工じんこう宝石ほうせき）: 天然てんねん宝石ほうせきと同一どういつの成分せいぶんから科学かがく的てきに作つくり出だされた宝石ほうせき。天然てんねん宝石ほうせきと化学かがく成分せいぶん・物理ぶつり特性とくせい・内部ないぶ構造こうぞうが同おなじである。合成ごうせい手法しゅほうにより原価げんかが大おおきく異ことなるので価格かかくも変かわり、ベルヌーイ法ほうで合成ごうせいされたものは組成そせいや結晶けっしょう構造こうぞうは全まったく同おなじにもかかわらず、単たんなる飾かざり石せきとされふつう宝石ほうせき扱あつかいされない。熱ねつ水すい法ほうやフラックス法ほうはコストも時間じかんもかかるので製造せいぞう原価げんかが嵩かさむが、それでも天然てんねん宝石ほうせきや処理しょり宝石ほうせきに比較ひかくして価格かかくは安やすい。さらに、天然てんねん宝石ほうせきにはしばしば見みられる内包ないほう物ぶつ（インクルージョン）やヒビ、傷きずがなく、見みた目めは天然てんねん宝石ほうせきより美うつくしいにもかかわらず一般いっぱんに評価ひょうかは低ひくく、日本にっぽんではニセモノ扱あつかいの域いきを出でず資産しさん価値かちもないとされる。ダイヤモンドの場合ばあいは採算さいさん性せいの問題もんだいから遺のこ灰はいダイヤモンドといった非常ひじょうに特殊とくしゅな需要じゅようを除のぞき、宝石ほうせき質しつの石いしが合成ごうせいされることはほとんどない。
人造じんぞう宝石ほうせき: 天然てんねん宝石ほうせきとは異ことなる物質ぶっしつを使用しようして作つくり出だされた、天然てんねん宝石ほうせき様さまの宝石ほうせき。もともとは工業こうぎょう用よう材料ざいりょうの開発かいはつにおいて、偶然ぐうぜん生うみ出だされたものを宝石ほうせき向むけに転用てんようしたもの。キュービック・ジルコニア (CZ)、ヤグ (YAG)、スリージー (GGG) など。本来ほんらいジルコニアはバデライトという鉱物こうぶつであるが、単たん屈折くっせつにするために添加てんか物ぶつを加くわえて立方りっぽう晶あきら（キュービック）とするなどによりダイヤモンドに作為さくい的てきに近ちかづけたものである。
模造もぞう宝石ほうせき: ガラス・プラスチック・陶器とうき・骨ほね・植物しょくぶつなどを使用しようして天然てんねん宝石ほうせきを模もしたもの。ラインストーンやタチウオの皮かわを貼はった模造もぞう真珠しんじゅ、プラスチックパールなど。

音楽おんがく

フランスのシンガーソングライターノルウェン・ルロワは、2017年ねんのアルバム「宝石ほうせき - Gemme」と同名どうめいの曲きょくで宝石ほうせきにインスピレーションを受うけました。^[2]

出典しゅってん

^ 白水しろうず晴雄はるお・青木あおき義和よしかず (1989)「宝石ほうせきのはなし」, p. 8; 技報堂ぎほうどう出版しゅっぱん ISBN 978-4-7655-4558-7
^ “VIDÉO - Nolwenn Leroy lumineuse et enceinte dans le clip de "Gemme"” (フランス語ふらんすご). RTL. 2017年ねん7月がつ19日にち閲覧えつらん。

外部がいぶリンク

[1] 白水しろうず晴雄はるお・青木あおき義和よしかず (1989)「宝石ほうせきのはなし」, p. 8; 技報堂ぎほうどう出版しゅっぱん ISBN 978-4-7655-4558-7

[2] “VIDÉO - Nolwenn Leroy lumineuse et enceinte dans le clip de "Gemme"” (フランス語ふらんすご). RTL. 2017年ねん7月がつ19日にち閲覧えつらん。

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