アンカレッジ

アンカレッジ自治じち市し ; Municipality of Anchorage
市し旗はた	市し章あきら
	愛称あいしょう : The City of Lights and Flowers
	標語ひょうご : "Big Wild Life"
位置いち
	; アンカレッジ自治じち市しの位置いち（アラスカ州しゅう）
座標ざひょう : 北緯ほくい61度ど13分ふん06秒びょう西経せいけい149度ど53分ふん57秒びょう / 北緯ほくい61.21833度ど西経せいけい149.89917度ど
行政ぎょうせい
国くに	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
州しゅう	アラスカ州しゅう
郡ぐん	アンカレッジ自治じち市し
市し	アンカレッジ自治じち市し
市長しちょう	デイヴィッド・ブロンソン
地理ちり
面積めんせき
市域しいき	5,079.2 km2 (1,961.1 mi2)
陸上りくじょう	4,395.8 km2 (1,697.2 mi2)
水面すいめん	683.4 km2 (263.9 mi2)
水面すいめん面積めんせき比率ひりつ	13.45%
標高ひょうこう	31 m (102 ft)
人口じんこう
人口じんこう	（2010年ねん現在げんざい）
市域しいき	291,826人にん
人口じんこう密度みつど	66.1人ひとり/km2（171.2人ふたり/mi2）
市街地しがいち	251,243人にん
都市とし圏けん	399,148人にん
備考びこう	全米ぜんべい都市とし人口じんこう第だい64位い
その他た
等ひとし時とき帯おび	アラスカ標準時ひょうじゅんじ (UTC-9)
夏時間なつじかん	アラスカ夏時間なつじかん (UTC-8)
ZIP CODE	99501-99524、99530
市外しがい局番きょくばん	907
ISO 3166-2	02-03000
	公式こうしきウェブサイト : www.muni.org

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく > アラスカ州しゅう > アンカレッジ

アンカレッジ（英語えいご: Anchorage [ˈæŋkərɨdʒ]）は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくアラスカ州しゅうにある都市とし。州都しゅうとジュノーを上回うわまわる同どう州しゅう最大さいだいの都市としである。アンカレジとも表記ひょうきする^[1]。

自治体じちたいとしての正式せいしき名称めいしょうはアンカレッジ自治じち市し（Municipality of Anchorage）で、「MOA」と略りゃくす。MOAは郡ぐんでもある市し郡ぐんである。

概要がいよう

アンカレッジは北米ほくべいを代表だいひょうする港湾こうわん都市としの一ひとつであり、アラスカ州しゅうにおける商しょう工業こうぎょう、金融きんゆうの中心ちゅうしん地ちである。

同市どうしの主要しゅよう産業さんぎょうは、州しゅうの主要しゅよう産業さんぎょうでもある石油せきゆ、天然てんねんガスの採掘さいくつとその関連かんれん事業じぎょうである。金融きんゆう、通信つうしんの中枢ちゅうすうとしても発達はったつしており、国際こくさい貿易ぼうえき港こうとしての役割やくわりも強つよい。政府せいふは所得しょとく税ぜいや消費しょうひ税ぜいの免税めんぜい、産業さんぎょう開発かいはつの優遇ゆうぐう策さくを実施じっししており、多おおくの投資とうし家かや起業きぎょう者しゃが集あつまっている。一方いっぽうで、古ふるくからの水産すいさん業ぎょうや林業りんぎょうも盛さかんで、特とくに水産すいさん品ひんは日本にっぽん向むけに多おおく輸出ゆしゅつされている。

また、同市どうしのテッド・スティーブンス・アンカレッジ国際こくさい空港くうこうは、かつて北極圏ほっきょくけん回まわりヨーロッパ便びんが給油きゅうゆのために寄港きこうし、現在げんざいでも航空こうくう貨物かもつのハブ空港くうこうであるなど、世界せかい的てきに重要じゅうような空港くうこうであるため、航空こうくう貨物かもつ業ぎょうも発達はったつしている。

アラスカ州しゅうで最もっとも人口じんこうの多おおい都市としで、アラスカ州しゅうの6地区ちくのうち中ちゅう南部なんぶアラスカの中心ちゅうしん都市としでもある^[2]。2010年ねんの人口じんこうは291,826人にん^[2]。州しゅう人口じんこうの半数はんすう近ちかくが同市どうしを中心ちゅうしんとしたアンカレッジ都市とし圏けんに集中しゅうちゅうしている。なお、人口じんこう統計とうけいは1975年ねんに市部しぶと郡部ぐんぶが合併がっぺいしたため、基本きほん的てきに都市とし圏けん人口じんこうで計測けいそくされる。

歴史れきし

1778年ねん、キャプテン・クックがアリューシャン列島れっとうからアラスカ州しゅうに到着とうちゃくし、アンカレッジ湾内わんないを航海こうかいした。

1914年ねんにアラスカ鉄道てつどう建設けんせつの拠点きょてんとして建設けんせつされ、資材しざい搬入はんにゅうのための港湾こうわんや作業さぎょう員いんの宿舎しゅくしゃが造つくられた。アンカレッジの名なは、この臨時りんじの投錨とうびょう地ち（anchorage）が置おかれた時ときに作成さくせいされた地図ちずで、一般いっぱん名詞めいしの「anchorage」とすべきところを「Anchorage」と誤記ごきしてしまい、これが固有名詞こゆうめいしとして定着ていちゃくしたことに由来ゆらいする。1778年ねんに周辺しゅうへん海域かいいきを探検たんけんしたキャプテン・クックが投錨とうびょうしたことから名なづけられたという伝承でんしょうがあるが、実際じっさいにはそうした記録きろくはない。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なかは軍需ぐんじゅ産業さんぎょうの発展はってんにより大だい成長せいちょうを遂とげ、空港くうこうや港湾こうわんの建設けんせつが進すすんでアラスカ州しゅうの中心ちゅうしん地ちとして繁栄はんえいした。

1964年ねんに発生はっせいしたアラスカ地震じしんで市街地しがいちは壊滅かいめつ的てきな打撃だげきを受うけるが、1970年代ねんだいから北極ほっきょく海かい沿岸えんがんの油田ゆでん開発かいはつとパイプライン建設けんせつによって多おおくの労働ろうどう者しゃが流入りゅうにゅうし、都市としは今いままでの3倍ばいの規模きぼになった。今日きょうでは観光かんこうにも注力ちゅうりょくするほか、前述ぜんじゅつのように貿易ぼうえき（航空こうくう貨物かもつ）拠点きょてんとしての重要じゅうよう性せいも増ましている。

1990年ねんごろまで（冷戦れいせん時代じだい）は、西側にしがわ諸国しょこくの航空機こうくうきはソビエト連邦れんぽう領空りょうくうの通過つうかをほとんど許可きょかされなかったため、日本にっぽんとヨーロッパ間あいだの航空こうくう便びんの経由けいゆ地ちとして頻繁ひんぱんに使用しようされ、日本人にっぽんじんにはなじみ深ふかい地名ちめいであった。冷戦れいせん後ごは、日本にっぽんからの定期ていき旅客りょかく便びんは無なくなったが、各国かっこくからの臨時りんじ便びんやアメリカ各州かくしゅうからの定期ていき便びんは多数たすう存在そんざいし、2015年度ねんどの旅客りょかく実績じっせきは約やく540万まん人にん。貨物かもつ取扱とりあつかい量りょうは世界せかい第だい4位いの座ざを占しめる^[3]。またアンカレッジ空港くうこうに隣接りんせつするフッド湖水こすい上じょう飛行場ひこうじょうは、世界一せかいいち忙いそがしい水上すいじょう機き飛行場ひこうじょうとして知しられる。

2021年ねん 3月18日にち、アメリカと中国ちゅうごくとの間あいだで、ジョー・バイデン政権せいけん発足ほっそく後ご初はつのハイレベル戦略せんりゃく対話たいわの会場かいじょうが設営せつえいされた。アメリカからはアントニー・ブリンケン国務こくむ長官ちょうかん、ジェイク・サリバン大統領だいとうりょう補佐ほさ官かん（国家こっか安全あんぜん保障ほしょう担当たんとう）が、中国ちゅうごく側がわからは楊潔篪、王おう毅あつしが出席しゅっせきした^[4]。

地理ちり

アンカレッジはアラスカ州しゅう南部なんぶのクック湾わんの湾わん奥おくに位置いちし、北緯ほくい60度ど、西経せいけい150度どとかなり高緯度こういどである。北方ほっぽうには北きたアメリカ大陸あめりかたいりくの最高峰さいこうほうであるデナリ（マッキンリー山さん）、東部とうぶにはロッキー山脈さんみゃくの高峰こうほうがそびえ立たつが、西部せいぶは原野げんやが多おおい。州しゅう北端ほくたんのプルドーベイ油田ゆでん（北極ほっきょく海かい油田ゆでん）からはパイプラインが走はしっている。

交通こうつう

テッド・スティーブンス・アンカレッジ国際こくさい空港くうこう

気候きこう

ケッペンの気候きこう区分くぶんでは亜寒帯あかんたい湿潤しつじゅん気候きこう（Dfc）に属ぞくする。

アンカレッジの気候きこう
月つき	1月がつ	2月がつ	3月がつ	4月がつ	5月	6月がつ	7月がつ	8月がつ	9月	10月	11月	12月	年とし
最高さいこう気温きおん記録きろく °C （°F）	13 (56)	14 (57)	13 (56)	22 (72)	28 (82)	29 (85)	29 (84)	29 (85)	23 (73)	18 (64)	17 (62)	12 (53)	29 (85)
平均へいきん最高さいこう気温きおん °C （°F）	−5.2 (22.7)	−2.7 (27.1)	1.7 (35.0)	7.8 (46.1)	13.8 (56.9)	17.3 (63.2)	18.6 (65.4)	17.5 (63.5)	13.1 (55.6)	4.9 (40.8)	−2.6 (27.3)	−4.6 (23.8)	6.7 (44.0)
日にち平均へいきん気温きおん °C （°F）	−8.2 (17.2)	−6.5 (20.3)	−3.0 (26.6)	2.7 (36.9)	8.8 (47.8)	12.9 (55.2)	14.9 (58.8)	13.7 (56.7)	9.3 (48.7)	1.6 (34.9)	−5.4 (22.3)	−7.2 (19)	2.8 (37)
平均へいきん最低さいてい気温きおん °C （°F）	−11.4 (11.4)	−10 (14.0)	−7.2 (19.1)	−1.8 (28.8)	3.8 (38.9)	8.2 (46.8)	10.7 (51.3)	9.6 (49.3)	5.1 (41.1)	−1.7 (28.9)	−8.4 (16.9)	−10.4 (13.3)	−1.1 (30.0)
最低さいてい気温きおん記録きろく °C （°F）	−37 (−35)	−39 (−38)	−31 (−24)	−26 (−15)	−17 (1)	−2 (29)	1 (34)	−1 (31)	−7 (19)	−21 (−6)	−29 (−21)	−38 (−36)	−39 (−38)
降水こうすい量りょう mm （inch）	19 (0.75)	18.5 (0.73)	15.5 (0.61)	11.9 (0.47)	19.3 (0.76)	24.4 (0.96)	46.5 (1.83)	82.6 (3.25)	75.7 (2.98)	51.8 (2.04)	29.7 (1.17)	28.4 (1.12)	423.3 (16.67)
降雪こうせつ量りょう cm （inch）	39.1 (15.4)	25.4 (10.0)	31 (12.2)	13.7 (5.4)	1.5 (0.6)	0 (0)	0 (0)	0 (0)	1.3 (0.5)	13 (5.1)	31.5 (12.4)	52.1 (20.5)	208.6 (82.1)
平均へいきん降水こうすい日数にっすう（≥0.01 in）	8.1	7.2	6.8	5.5	7.0	8.2	11.3	13.8	14.5	12.3	9.3	11.1	115.1
平均へいきん降雪こうせつ日数にっすう（≥0.1 in）	9.7	6.5	6.6	2.9	0.5	0	0	0	0.2	2.8	7.9	10.5	47.6
平均へいきん月間げっかん日照ひでり時間じかん	83.7	121.5	195.3	234.0	288.3	276.0	251.1	204.6	159.0	117.8	81.0	52.7	2,065
出典しゅってん：NOAA^[5],The Weather Channel^[6],Hong Kong Observatory(sun only, 1961−1990)^[7]

地震じしん

2014年ねんに等級とうきゅう7.2の地震じしんが発生はっせいしたほか、2018年ねん11月30日にちには等級とうきゅう7.0のアンカレッジ地震じしんが発生はっせいした。

文化ぶんか

アラスカ州しゅうを拓ひらいた先住民せんじゅうみんはエスキモー、アサバスカ人じんなどであり、現在げんざいも人口じんこうの約やく10%は先住民せんじゅうみんである。彼かれらは先人せんじんらがき上ずきあげた多様たような文化ぶんかを脈々みゃくみゃくと受うけ継ついでおり、それを紹介しょうかいするアラスカ民族みんぞく文化ぶんかセンターがある。

なお、エスキモーの主要しゅような民族みんぞくとして、カナダを中心ちゅうしんに分布ぶんぷするイヌイットがいるが、アラスカ・エスキモーにはイヌイット、ユピクなど複数ふくすうの民族みんぞくが含ふくまれ、アラスカのイヌイットもイヌピアットと自称じしょうするため、エスキモーを総称そうしょうしてイヌイットと呼よぶのは誤あやまりである。