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オフィスコンピュータ - Wikipedia

オフィスコンピュータ

ミニコン、ワークステーションなどの派生はせいがた企業きぎょうのオフィスなどで使つかわれた。(おも日本にっぽんのみで使つかわれる)

オフィスコンピュータ略称りゃくしょうオフコン)は、おも中小ちゅうしょう企業きぎょうとうでの事務じむ処理しょりおこなうために設計せっけいされた、比較的ひかくてき小型こがたコンピュータおも日本にっぽんのみで使つかわれる呼称こしょうで、海外かいがいではミニコンピュータワークステーションミッドレンジコンピュータなどとばれるコンピュータのいち形態けいたいで、かくメーカーによる独自どくじ設計せっけいもちいられていることが特徴とくちょうである。

初期しょきのオフコン 東芝とうしばTOSBAC-1100D(1966ねん

概要がいよう

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IBM AS/400

オフィスコンピュータはミニコンピュータ(ミニコン)とほぼどうクラスの機器ききであるが、ミニコンがおも科学かがく技術ぎじゅつ計算けいさん浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん通信つうしん制御せいぎょもちい研究所けんきゅうじょ教育きょういく機関きかんなど)に利用りようされるのにたいし、おも事務じむ処理しょりよう商用しょうよう計算けいさん、10進数しんすう演算えんざん帳票ちょうひょう処理しょりなど)を想定そうていした設計せっけいになっている。海外かいがいではメインフレームなど大型おおがたつメーカーを中心ちゅうしんに、「スモール ビジネス コンピュータ」(Small Business Computer)、「ミッドレンジコンピュータ」(Midrange Computer)ともばれる。

ミニコンピュータ同様どうよう端末たんまつから操作そうさされる種類しゅるいのコンピュータで、端末たんまつには高度こうど処理しょり能力のうりょく必要ひつようとせず、文章ぶんしょう図表ずひょう印刷いんさつ体裁ていさいいた機能きのうまでもを内部ないぶ処理しょりして、端末たんまつ画面がめんやプリンターへと出力しゅつりょくする。とくにオフィスコンピュータでは、伝票でんぴょうるい印刷いんさつ業務ぎょうむ収支しゅうし計算けいさんなどのプログラムが用意よういされている。

日本にっぽんでは、1970年代ねんだい後半こうはんから1990年代ねんだいにかけて、中小ちゅうしょう企業きぎょう財務ざいむ会計かいけい給与きゅうよ計算けいさん販売はんばい管理かんりといった、全社ぜんしゃてき業務ぎょうむ処理しょりシステムや、大手おおて企業きぎょう支社ししゃ支店してん部門ぶもんごとの処理しょりシステムの構築こうちくようおお導入どうにゅうされ、全国ぜんこく中小ちゅうしょう企業きぎょう工場こうじょう情報じょうほう貢献こうけんした。日本にっぽんでのオフィスコンピュータはメインフレームのような海外かいがいからの技術ぎじゅつ導入どうにゅうとは直接ちょくせつ関係かんけいなく進化しんかしていった。また、日本にっぽん独自どくじしょう習慣しゅうかん日本語にほんごあつかてんなどがシステムそのものの設計せっけいにも影響えいきょうし、海外かいがいからの進出しんしゅつ困難こんなんだった市場いちばでもある。設計せっけい基本きほんてきかくメーカーの独自どくじアーキテクチャである。

オフコンとばれるコンピュータには、現在げんざいサーバ相当そうとうするNEC S3100などのコンピュータから、クライアントやワークステーションに相当そうとうする富士通ふじつうFACOM K-10やNEC N5200などのコンピュータまで存在そんざいする。市場いちば縮小しゅくしょう影響えいきょうで、日立ひたち(1993ねん)、東芝とうしば(1996ねん)、NEC(2015ねん)などの大手おおてメーカーが撤退てったいした。現在げんざいおもなメーカーは日本にっぽんIBM三菱電機みつびしでんき富士通ふじつう(ハードからは撤退てったい)となっている。

代表だいひょうてきなオフィスコンピュータ

運用うんよう形態けいたい

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現在げんざい業務ぎょうむサーバにちかかたち使用しようされ、コンピュータネットワークかいして接続せつぞくされた端末たんまつからデータを入力にゅうりょくしたり、必要ひつようなデータをしたりする。また入力にゅうりょく機器きき端末たんまつコンピュータにかぎらず、磁気じきカードリーダーバーコードスキャナ、さらにはキャッシュレジスターといった現在げんざいPOSレジスターや、様々さまざま計測けいそく機器ききるいいもネットワークじょう接続せつぞくされて運用うんようされ、そのなかにはプリンターや、必要ひつようなら遠隔えんかくのコンピュータや端末たんまつ接続せつぞくするモデムなどもふくまれる。

外部がいぶから独立どくりつしたネットワークじょう動作どうさするこれらのシステムは、基本きほんてき外部がいぶネットワークとの接続せつぞく前提ぜんていとしていない。このため、専用せんよう入力にゅうりょく端末たんまつ専用せんようのオペレーターがくという形態けいたい使用しようされ、複数ふくすう端末たんまつ通信つうしんしてデータのやりりをおこなう。

構造こうぞう設計せっけい思想しそう

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設計せっけいとしては、基本きほんてきにクローズドアーキテクチャ専用せんよう設計せっけい=専用せんようOSであることがおおい)であり、専用せんよう業務ぎょうむ処理しょりプログラム(おおくは既製きせいひんパッケージソフトウェアをカスタマイズしたもの)を稼動かどうさせることを目的もくてきとしている。すなわち、ある業務ぎょうむおこなうための専用せんようアプリケーションが動作どうさする専用せんようのコンピュータという構成こうせいのもので、ハードウェアとソフトウェアをセットにして納入のうにゅうされ、その納入のうにゅうした業者ぎょうしゃ機器ききのメンテナンスからソフトウェア操作そうさ運用うんよう方法ほうほうをサポートする形態けいたいおおい。

このため、どう機器ききひろ利用りようされた時代じだい設立せつりつされたソフト会社かいしゃには、これらオフィスコンピュータを構成こうせい・メンテナンスする業務ぎょうむおもであったため、「○○オフィスコンピュータ」という社名しゃめい使つかったものがおおい。

オープン

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メーカー独自どくじ仕様しようではなく、業界ぎょうかい標準ひょうじゅんとなっている仕様しようもちいることをオープンという(オープンシステム参照さんしょう)。この場合ばあいは、オープン標準ひょうじゅんUnixだけでなく事実じじつじょう標準ひょうじゅんOSとなっているWindowsふくまれる。

従来じゅうらい各社かくしゃ独自どくじ仕様しようハードウェアCPU筐体きょうたい)とソフトウェアOSなど)により構成こうせいされていたが、各社かくしゃ1990年代ねんだい以降いこうUNIXサーバやPCサーバ利用りようされるハードウェアに、オフコンようのOSを移植いしょくしたものがえている。たとえば富士通ふじつうPRIMERGY 6000日本電気にほんでんき (NEC) のExpress5800/600、三菱電機みつびしでんきのEntrance/CENTRAGEはx86けいCPU搭載とうさいしたPCサーバ独自どくじOSを稼働かどうさせている。

旧来きゅうらい端末たんまつは、った画面がめんデータを表示ひょうじしたり、入力にゅうりょく信号しんごうをデータ通信つうしんするだけの機能きのうしかたなかった。その一方いっぽうWindowsけいパーソナルコンピュータしゅとしてPC/AT互換ごかん)の処理しょり能力のうりょく記憶きおく容量ようりょう向上こうじょうし、った数値すうちデータを必要ひつようひょう変換へんかんしたり、接続せつぞくされたプリンタやスキャナひとし接続せつぞく機器ききからのデータを処理しょりする能力のうりょくわせるようになり、これらのパソコンをLANネットワークすることで、かなりの業務ぎょうむ処理しょり出来できるようになった。また旧来きゅうらいのオフィスコンピュータは、いわゆる2000ねん問題もんだいかかえることおおく、1999ねんまでにおおくのオフィスコンピュータがシステムの刷新さっしんもとめられた。その結果けっか高価こうかなオフィスコンピュータ(と複数ふくすう専用せんよう端末たんまつ)は、システムのえによって汎用はんようせいのあるパーソナルコンピュータなどに代替だいたいされ、徐々じょじょ使つかわれなくなっていった。

しかしながら、オフィスコンピュータがクローズドアーキテクチャであったことから、なが蓄積ちくせきされた業務ぎょうむ情報じょうほうなどの資産しさん全面ぜんめんてきにWindowsけいOSなどへの環境かんきょう移行いこうすることはコストてき困難こんなんである場合ばあいおおい。そのため、その過渡かとてきなものとして、オフィスコンピュータの端末たんまつとしての機能きのうをパソコンがわ端末たんまつエミュレータたせることで、双方そうほう機能きのう共存きょうぞんさせて連携れんけい運用うんようできるものもある。これらは、現在げんざいにおいても金融きんゆう機関きかん病院びょういんなどの一部いちぶオフィスで利用りようされている。また、仮想かそう技術ぎじゅつによって、レガシーシステムとUNIXシステム、Windowsシステムなどのオープンシステムをいちだいのサーバにまとめられるようになった。

アメリカではトランジスタ使用しようしたミニコンピュータからオフィスコンピュータにあたる Small Business Computer (SBC)が誕生たんじょうしたのにたいして、日本にっぽんではぎゃくにオフィス小型こがたコンピュータのほうさき進化しんかした。このため、英語えいごけんではミニコンピュータにSBCがふくまれるのにたいして日本にっぽんではミニコンピュータとオフィスコンピュータがべつのものとして存在そんざいすることになった。

1959ねん会計かいけいよう機械きかい輸入ゆにゅう販売はんばいしていた日本にっぽん事務じむ電子でんし会計かいけい国産こくさんをNECに依頼いらいした。NECはすで実績じっせきのあるパラメトロン使用しようしたNEAC 1201開発かいはつし、1961ねんにリリースした。当時とうじ日本にっぽん事務じむ唯一ゆいいつ販売はんばい代理だいりてんであった。これは好評こうひょうをもってむかえられ、NECは1964ねん後継こうけいのNEAC 1210をリリースすることとなる。

NECの独擅場どくせんじょうであったオフィスよう小型こがたコンピュータの市場いちばだが、1965ねん富士通ふじつうFACOM 230/10投入とうにゅう。これは日本語にほんごCOBOL利用りようできるトランジスタしきコンピュータであった。また同年どうねん日立製作所ひたちせいさくしょ独自どくじOSのHITAC-8100発売はつばいした。たいするNECは1967ねんIC全面ぜんめん採用さいようしたNEAC 1240を発表はっぴょう1968ねんには東芝とうしば (TOSBAC-1500)、三菱電機みつびしでんき (MELCOM-81)、内田うちだ洋行ひろゆき (USAC-300) などが製品せいひん投入とうにゅうし、オフィスコンピュータ市場いちば一気いっき活況かっきょうていすることとなった。

1970年代ねんだいには、販売はんばい管理かんり財務ざいむ管理かんり人事じんじ給与きゅうよなど本格ほんかくてき事務じむ処理しょり機能きのうそなえたオフィスコンピュータが登場とうじょうするようになった。とく1974ねんのNEAC システム100がオフコンの定着ていちゃくさせた。

1980年代ねんだい初頭しょとうはNEC、三菱電機みつびしでんき東芝とうしばさんきょうであったが、80年代ねんだい後半こうはんにはNECと富士通ふじつうきょう時代じだいとなった[1]。さらに、1988ねん日本にっぽんIBMがAS/400販売はんばい開始かいしし、さんきょう一角いっかく形成けいせいするようになった[2]

1990年代ねんだい前半ぜんはんにオフコン市場いちば全盛期ぜんせいきむかえたが、Windowsサーバ登場とうじょうによりオープンシステム事務じむようコンピュータ市場いちば主力しゅりょくとなった。

独自どくじOSやCPUよりもWindowsや汎用はんようCPUに移行いこうするオープンなみによって、オフコン市場いちば縮小しゅくしょうし、採算さいさんれなくなったメーカーの撤退てったい相次あいついだ。日立製作所ひたちせいさくしょは1993ねんに、東芝とうしばは1996ねん新規しんきモデルの製造せいぞう中止ちゅうしした。2000ねん出荷しゅっか台数だいすうは10170だいが2015ねんにはそのいちわりの1022だいんだ[3]。2015ねんには、オフコン市場いちば富士通ふじつうとトップシェアをあらそっていたNECが新規しんきモデルの製造せいぞう中止ちゅうしした。2018ねんには、富士通ふじつうがハードの製造せいぞうから撤退てったいし、クラウドでのオフコンサービスの提供ていきょうえた[4]

2010年代ねんだいでも、クラウド・システムやオープンけいサーバ(WindowsやUnixサーバなど)とともに、クローズドなメインフレームやオフコンはその信頼しんらいせい安定あんていせいたかさから企業きぎょう基幹きかん業務ぎょうむなどに使用しようされつづけている。

脚注きゃくちゅう

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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