蛟
語源
ミズチ(ミツチ)の「ミ」は
このような
中国 の竜 種 の当 て字
「みずち」の
『
古 例
日本書紀 - 『
日本書紀 』の巻 十一 〈仁徳天皇 紀 〉の67年 (西暦 379年 )にある[12]、「大 虬」(「ミツチ」と訓 ずる[13][注 3])の記述 で、これによれば吉備 の中 つ国 (後 の備中 )の川嶋 河 (一説 に現今 岡山 県 の高 梁川 の古名 [14])の分岐 点 の淵 に、大 虬(竜 [15])が住 みつき、毒 を吐 いて道行 く人 を毒気 で侵 したり殺 したりしていた。そこに ()という県守 名 で、笠 臣 (かさのおみ、笠 国造 )の祖 にあたる男 が淵 までやってきて、 ()(瓠 瓢箪 )を三 つ浮 かべ、大 虬にむかって、そのヒサゴを沈 めてみせよと挑戦 し、もし出来 れば撤退 するが、出来 ねば斬 って成敗 すると豪語 した。すると魔物 は鹿 に化 けてヒサゴを沈 めようとしたがかなわず、男 はこれを切 り捨 てた。さらに、淵 の底 の洞穴 にひそむその類 族 を悉 く斬 りはらったので、淵 は鮮血 に染 まり、以後 、そこは「 ()」と県守 淵 呼 ばれるようになったという[16][17]。 上 と関連 性 があるのが、仁徳 11年 (323年 )の故事 である。淀川 沿 いに工事 された ()が、たびたび茨 田 壊 れて始末 に負 えなかったところ、天皇 が夢 を見 られて、武蔵 国 の強 頸(こわくび、无邪志 国造 #子孫 参照 )と、河内 国 の茨 田 連 衫子(まんだのむらじころもこ)を生贄 として「河 伯 (かわのかみ)」に奉 じれば収拾 するだろう、と告 げられた。衫子(ころもこ)は、みすみす犠牲 になるのを潔 しとせず、河 にヒサゴを浮 かべて、もし本当 に自分 を捧 げよというのが神意 ならば、そのヒサゴを水中 に沈 めて浮 かばぬようにしてみせよ、とせまった。つむじ風 がおきてヒサゴを引 き込 もうとしたが、ぷかぷか浮 かびながら流 れて行 ってしまった。こうして男 は頓智 で死 をまぬかれた[18]。こちらは「みずち」の言 がないが、浮 かべたふくべという共通 点 もあり、「河 の神 」と「みずち」を同一 視 するような文献 もある[19]。万葉集 - 『
万葉集 』巻 十 六 には、境 部 王 の作 による一 首 「虎 尓乗古屋 乎越而青 淵 尓鮫 龍 取 将来 劒刀毛 我 」に「ミズチ」が読 まれているが[20][注 4]、これは「虎 に乗 り古屋 を越 えて ()に青 淵 ()蛟龍 ()り捕 来 む ()もが」と剣 太刀 訓読 し、「トラに乗 って、古屋 (どこか特定 できない地名 )を超 え、水 を青々 とたたえた深 い淵 にいき、ミズチをひっ捕 らえてみたい、(そんなトラや)そのための立派 な太刀 があったらなあ」ほどの意味 である[22][23]。
民俗 学
関連 項目
脚注
補注
- ^ 虬/虯(キュウ、qiú)については、『
説 文 解 字 』14 に「龍子 有 角 者 」とあり、つまり「龍 の子 の角 あるもの」[5]とする。「虯」は繁 字 (旧 字 )で、「虬」は簡字とのことだが、後者 は特殊 文字 扱 いされてきている。 - ^ 螭(チ、chī)については、『
説 文 解 字 』14 に「若 龍 而黄,北方 謂 之 地 螻。...或 云 無 角 曰螭」とあり、つまり「龍 の属 にて黄色 なるもの、一説 に、角 なき龍 」とする[6]。『文字 集 略 』では、角 のない竜 で、赤 白 蒼 色 であると説 く。 - ^ 「
水 父 (みづち)」、の訓 あり?? - ^ 「
鮫 龍 」を「蛟龍 」(みづち)と読 み替 えることについては、『箋注倭名 類聚 抄 』に説 かれる[21]。 - ^ 『
善庵 随筆 』にもメドチ(愛媛 県 )、ミヅシ(福井 県 )[29]。
出典
- ^
菊池 容斎 著 、山下 重 民 編 『前賢 故實 :考證 』東陽 堂 、1903年 。:県守 の図 、巻 十 之 十 八 葉 。 - ^
金田一 京助 編 『新 明解 国語 辞典 』(2版 )三省堂 、1979年 。。ミズチの「チ」はオロチと同 源 だとするが、当 辞典 では「チ」の意味 にはふれていない。 - ^ a b c
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新村 出 編 「ち【霊 】」『広辞苑 』(4版 )、1991年 。 - ^ 『
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青 淵 】〔名 〕水 を青々 とたたえた深 い淵 (日本 国語 大 辞典 )この万葉 歌 を用例 とする。 - ^ a b c d e f
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南方 1916「十 二 支考 ・竜 」(南方 1984, p. 116)、"本 居 宣長 はツチは尊称 だと言 ったは、水 の主 〔ぬし〕くらいに解 いたのだろ..."。 - ^
本 居 宣 長 1822『記 伝 』9-2(神代 七 之 巻 【八俣遠呂智の段 】。 - ^
柳田 2004全集 32「河童 の話 」、573頁 、 "今 では虬と書 くので、支 那 の知識 を持 っている人 たちは蛇 の類 だろうと思 っているが、字義 からいっても水 という言葉 に、霊 物 とか何 とかいう意味 のチという字 がっいているだけなのだから、水 の霊 ということに外 ならない。" - ^ a b c (
南方 1984)、「十 二 支考 ・竜 」、p. 117。 - ^ a b
朝川 善庵 著 「善庵 随筆 」、楠瀬 恂 編 『随筆 文学 選集 』 7巻 、書斎 社 、1927年 、339–340頁 。;朝川 善庵 『善庵 随筆 』1850年 。(嘉 永 3年 ) :坪田 敦 緒 : “善庵 随筆 巻一 ”.相撲 評論 家 之 頁 . 2008年 3月 18日 時点 のオリジナルよりアーカイブ。2012年 4月 1日 閲覧 。 - ^
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南方 1984、「十 二 支考 ・竜 」、p. 116。
参考 文献
宇治谷 ,孟 『日本書紀 』上 、講談社 、1988年 。ISBN 9780802150585。三省堂 編輯 所 『漢和 大 字典 』三省堂 、1906年 。 p.1276, 1281, 1294等 。南方 熊楠 「十 二 支考 (3):田原 藤太 竜宮 入 りの話 」『太陽 』1916年 。.青空 文庫 No.1916- Minakata, Kumagusu
南方 熊楠 (1984), “竜 (辰 年 )”,南方 熊楠 選集 1:十二支 考 1 (平凡社 ): pp. 83–158
- Minakata, Kumagusu
南方 熊楠 「十 二 支考 (4):蛇 に関 する民俗 と伝説 」『太陽 』1917年 。.青空 文庫 No.2536- Minakata, Kumagusu
南方 熊楠 (1984), “蛇 (巳 年 )”,南方 熊楠 選集 1:十二支 考 1 (平凡社 ): pp. 159–222
- Minakata, Kumagusu
本 居 宣長 『古事記 伝 』1822年 。 :雲 の筏 . “『古事記 傳 』(現代 語 訳 )”.雲 の筏 . 2012年 4月 閲覧 。柳田 國男 『河童 の話 』 32巻 、筑摩書房 、2004年 。ISBN 4-480-75092-4 。
外部 リンク
- MANA (なかじま・みつる). “箋注
倭名 類聚 抄 巻 第 八 、龍 魚 部 第 十 八 、(4)蛟 ”. まなライブラリー. 2019年 8月 11日 閲覧 。雑魚 古典 テキスト抄訳 001