京阪けいはん100型がた電車でんしゃ

京阪けいはん100型がた電車でんしゃ（けいはん100がたでんしゃ）は、京阪電気鉄道けいはんでんきてつどう（京阪けいはん）がかつて保有ほゆうしていた通勤つうきん形がた電車でんしゃ。

本ほん項こうでは、100型がた電車でんしゃの主しゅ制御せいぎょ器きを更新こうしんしたことにより別べつ形式けいしきとして区分くぶんされた200型がた電車でんしゃについても記述きじゅつする。

概要がいよう

1917年ねん（大正たいしょう7年ねん）から1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）にかけて70両りょうが製造せいぞうされた。このうち63両りょうは木造もくぞう車体しゃたい、残のこる7両りょうは半はん鋼はがね製せい車体しゃたいである。また123 - 168の46両分りょうぶんは1型がたの電装でんそう品ひんや台車だいしゃを流用りゅうようしており、書類しょるい上じょうも改造かいぞう名義めいぎとなっていた。後のちに改造かいぞうで30両りょうが200型がたとなる。

製造せいぞう当時とうじ

京阪電気鉄道けいはんでんきてつどうでは、京阪本線けいはんほんせんにおいて1914年ねん（大正たいしょう3年ねん）より急行きゅうこう電車でんしゃの運行うんこうを開始かいししていたが、それに用もちいられていたのは開業かいぎょう時じに製造せいぞうされた1型がた電車でんしゃで、路面ろめん電車でんしゃスタイルのオープンデッキを採用さいようするなど、高速こうそく運転うんてんには不向ふむきな仕様しようの車両しゃりょうであった。

そのため、急行きゅうこうの速度そくど向上こうじょうを図はかる目的もくてきで密閉みっぺい型がた構造こうぞうとした、一般いっぱん鉄道てつどうスタイルの電車でんしゃを新造しんぞうすることになった。これが100型がたである。その他たにもステップを廃はいし、3扉とびらを採用さいようするなどしており、この車両しゃりょうの製造せいぞうで京阪けいはんは路面ろめん電車でんしゃから都市とし間あいだ高速こうそく電車でんしゃへ本格ほんかく的てきに踏ふみ出だすこととなる。本ほん形式けいしきを製造せいぞうするに当あたっては、それまでプラットホームのなかった京阪けいはん線せんの各駅かくえきに、急行きゅうこう停車駅ていしゃえきから順次じゅんじプラットホームが設置せっちされた。

上記じょうきの通とおり一部いちぶ車両しゃりょうは1型がた電車でんしゃの電装でんそう品ひんなどを流用りゅうようすることになり、1型がた46両りょうが1922年ねん（大正たいしょう11年ねん） - 1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）に廃車はいしゃの上うえで、改造かいぞうされた。

100 - 162の木造もくぞう車しゃは13.4mの車体しゃたい（ただし、100のみは試作しさく車しゃで30cm程度ていど短みじかい）に3箇所かしょの扉とびらを備そなえていた。台車だいしゃは初期しょきの10両りょうと1型がた改造かいぞう名義めいぎの車両しゃりょうの多おおくは1型がたと同おなじブリル27E-1を使用しようしていたが、一部いちぶにブリルMCB2Xやボールドウィン75-25Aを使用しようした車両しゃりょうもあった。主しゅ電動でんどう機きは、1型がたのDK-9を東洋電機製造とうようでんきせいぞうで国産こくさん化かしたDK-9Cを採用さいようした。試作しさく車しゃの100はロングシートとクロスシートを点てん対称たいしょうに設置せっちしていた。

一方いっぽう、163 - 168および火災かさいの被害ひがいにあった111の復旧ふっきゅう車しゃは京阪けいはんでは初はじめての半はん鋼はがね製せい車体しゃたいを採用さいようしている。車体しゃたいの長ながさがさらに1m長ながくなっている。

その後ごの変遷へんせん

100型がた

輸送ゆそう量りょうの増大ぞうだいに伴ともない、関西かんさいの私鉄してつの中なかでは単行たんこう運転うんてんを続つづけていた京阪けいはんも遅おそまきながら連結れんけつ運転うんてんに踏ふみ切きることになり、1926年ねん（大正たいしょう15年ねん）から1928年ねん（昭和しょうわ3年ねん）に掛かけて20両りょうに連結れんけつ運転うんてん対応たいおうの制御せいぎょ器きが設置せっちされた。また、1928 - 29年ねんには老朽ろうきゅう化かを理由りゆうに木造もくぞう車しゃの14両りょうが廃車はいしゃ、2両りょうが魚さかな菜さい車しゃ（当時とうじ行おこなわれていた貨物かもつ輸送ゆそう用ようの電車でんしゃ）に改造かいぞうされている。この間あいだ、1929年ねん（昭和しょうわ4年ねん）5月がつには、京阪けいはん全社ぜんしゃで車両しゃりょうの改あらため番ばんが実施じっしされ、本ほん形式けいしきについては連結れんけつ可能かのうな制御せいぎょ器きを装備そうびした20両りょうを200型がたに形式けいしき変更へんこう、残のこった本ほん形式けいしきも改あらためて番号ばんごうが101 - 131、138に付つけ直なおされている（改あらため番前ばんまえに事故じこ廃車はいしゃが2両りょうあった）。このうち、飛とび番号ばんごうだった138は1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）に電動でんどう貨車かしゃ2002号ごう（事業じぎょう用よう）に改造かいぞうされ、1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）には当時とうじ同一どういつ会社かいしゃだった京阪神けいはんしん急行きゅうこう電鉄でんてつ神戸こうべ線せんに転属てんぞくして200号ごうとなった（番号ばんごうが飛とんだ6両分りょうぶんについては、廃車はいしゃの上じょう複々線ふくふくせん化か工事こうじに使用しようする貨車かしゃに改造かいぞうされたと言いわれる）。この結果けっか、31両りょうが本ほん形式けいしきとして残のこった。

急行きゅうこう用ようとして誕生たんじょうした本ほん形式けいしきも、300型がた（初代しょだい1000型がた）、500型がた（旧きゅう1500型がた）、600型がた（旧きゅう1550型がた）などの後継こうけい車両しゃりょうの登場とうじょうで、昭和しょうわ初期しょきには本線ほんせんの普通ふつうや宇治線うじせんで使用しようされていた。木造もくぞう車両しゃりょうは淘汰とうたされてもおかしくない状況じょうきょうであったが、新しん京阪けいはん鉄道てつどう建設けんせつや和歌山わかやま進出しんしゅつなどの拡張かくちょう策さくが昭和しょうわ恐慌きょうこうで裏目うらめに出でたため、代替だいたい車しゃを製造せいぞうする余裕よゆうがなくなり温存おんぞんされることになった。

1929年ねん7月がつ、枚方ひらかた東口ひがしぐち駅えき（現げん・枚方ひらかた市し駅えき）で接続せつぞくする信貴しぎ生駒いこま電鉄でんてつ枚方ひらかた線せん（現げん・京阪けいはん交野線かたのせん）が開業かいぎょうした際さい、新規しんきの投資とうしを望のぞまなかった信貴しぎ生駒いこま電鉄でんてつ側がわからの要望ようぼうで本ほん形式けいしき3両りょうが枚方ひらかた線せんに貸与たいよされることになった。この貸与たいよは1933年ねん（昭和しょうわ8年ねん）にいったん終了しゅうりょうするが、その後ご1938年ねん（昭和しょうわ13年ねん）から再ふたたび3両りょう（のちに4両りょう）が貸与たいよとなり、枚方ひらかた線せんは交野かたの電気でんき鉄道てつどうを経へて1944年ねん（昭和しょうわ19年ねん）に京阪神けいはんしん急行きゅうこう電鉄でんてつ（京阪けいはんは阪神はんしん急行きゅうこう電鉄でんてつと合併がっぺいして同社どうしゃの一部いちぶになっていた）に合併がっぺいされ、自社じしゃに復帰ふっきした。

1932年ねん（昭和しょうわ7年ねん）には集しゅう電でん装置そうちをポールからパンタグラフに変更へんこうしている。

1940年ねん（昭和しょうわ15年ねん）には4両りょうが集しゅう電でん装置そうちを再ふたたびポールに取とり替かえて、大津線おおつせんに転属てんぞくとなった。これは、石山坂本線いしやまさかもとせんで使つかわれていた大型おおがた車しゃの800型がたを本線ほんせんに転属てんぞくさせる代替だいたいとして行おこなわれたものである。大津おおつ線せんへの転属てんぞくは戦後せんごの1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）に1両りょうが追加ついかされている。

1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）に京阪けいはん線せんに残のこっていたうちの10両りょうが輸送ゆそう力りょく増強ぞうきょうのため連結れんけつ可能かのうな制御せいぎょ器きに交換こうかんされ、200型がたに改あらため番ばんされている。さらに10両りょうについて車体しゃたいを50型がたと同おなじ物ぶつに乗のせ替かえて大津線おおつせんに投入とうにゅうすることとなった。これが70型がたである。計画けいかくは戦争せんそう中ちゅうに立たてられたが、資材しざい不足ふそくなどのため終戦しゅうせん前まえには2両りょうのみが完成かんせいし、後のちは車体しゃたいのみが製造せいぞうされたものの完成かんせいは戦後せんごとなった。

上記じょうきの転属てんぞくや改造かいぞうの対象たいしょうとならなかった6両りょうは1947年ねんから1949年ねんにかけて廃車はいしゃとなり、1300系けい製造せいぞうの条件じょうけんとなっていた、中小ちゅうしょう私鉄してつへの供出きょうしゅつ車しゃとして2両りょうが200型がた2両りょうと共ともに広島電鉄ひろしまでんてつ宮島線みやじませんに送おくられて1050形かたちになり、4両りょうが土佐とさ電気でんき鉄道てつどう安芸あき線せん（車体しゃたいのみ）に送おくられている（土佐とさ電気でんき鉄道てつどうへは他たに70型がたへの改造かいぞうで余剰よじょうになった車体しゃたい4両分りょうぶんも譲渡じょうと）。これにより、京阪けいはん線せんからは本ほん形式けいしきは消滅しょうめつした。

大津おおつ線せんに転属てんぞくした5両りょうは1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん） - 1963年ねん（昭和しょうわ38年ねん）に廃車はいしゃされた。

200型がた

上記じょうきの通とおり、制御せいぎょ器きを交換こうかんして連結れんけつ運転うんてんを可能かのうとした20両りょうを1929年ねんの改あらため番ばんで200型がたとした。この中なかには木造もくぞう車しゃと半はん鋼こう製せい車しゃが混在こんざいしていた。100型がた同様どうよう、1932年ねんに集しゅう電でん装置そうちをパンタグラフに交換こうかんしている。連結れんけつ運転うんてんが可能かのうだったことから、100型がたよりも長ながく京阪けいはん線せんで運用うんようされた。100型がたの項こうで記しるした通とおり、1942年ねんにさらに10両りょうが100型がたから改造かいぞうを受うけて本ほん形式けいしきに編入へんにゅうされている。1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）には1両りょうが当時とうじ同一どういつ会社かいしゃだった京阪神けいはんしん急行きゅうこう電鉄でんてつ神戸こうべ線せんに転属てんぞく、2両りょうが100型がた2両りょうと共ともに1300系けい製造せいぞうに伴ともなう供出きょうしゅつ車しゃとして広島電鉄ひろしまでんてつ宮島線みやじませんに送おくられ1050形かたちになった。

1949年ねん（昭和しょうわ24年ねん）に起おきた京津線けいしんせんの四宮しのみや車庫しゃこ火災かさいへの救済きゅうさい策さくとして、2両りょうが石山坂本線いしやまさかもとせんに移うつっている。その後ご木造もくぞう車しゃの一部いちぶは大津おおつ線せんと京阪けいはん線せんの間あいだを行いき来きした。1953年ねん（昭和しょうわ28年ねん）から1954年ねん（昭和しょうわ29年ねん）にかけて半はん鋼こう製せい車しゃ6両りょうが、電気でんき制動せいどうの取とりつけを行おこなった上うえで大津おおつ線せんに転属てんぞくした。同どう時期じきに京津線けいしんせんではホームを2両りょう編成へんせい対応たいおうに改造かいぞうし、転属てんぞくした半はん鋼はがね製せいの本ほん形式けいしきは2両りょう編成へんせいで京津線けいしんせんの急行きゅうこう運用うんように就つくことになった。それ以外いがいの木造もくぞう車しゃについては1957年ねん（昭和しょうわ32年ねん）から廃車はいしゃが始はじまり、台車だいしゃや電装でんそう品ひんは大津おおつ線せんの260型がたに再さい利用りようされた。木造もくぞう車しゃは1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）で消滅しょうめつした。

大津おおつ線せんに残のこった半はん鋼はがね製せい車しゃも1968年ねん（昭和しょうわ43年ねん）に全車ぜんしゃが廃車はいしゃとなり、やはり260型がたに電装でんそう品ひんを提供ていきょうしている。

脚注きゃくちゅう