修辞 技法
概説
分類
- Scheme -
言葉 のパターン(配列 )を通常 のパターン、あるいは予想 されるパターンからそらせる修辞 技法 。 比喩 (Trope。転義 法 とも) -語 の一般 的 な意味 を変 えたり修飾 したりする修辞 技法 。
しかしルネサンス
比喩
直喩 法
用例 -
赤 ん坊 の肌 はまるで綿 飴 のようにふわふわだ。鳥 みたいに羽 が生 えたら自由 に空 を飛 べるのに。息子 は二宮 金次郎 のごとく、勉学 に励 んだ。- あいつのいない
夏休 みなんて真夏 のスキー場 みたいなものだ。
隠喩 法
用例 -
夜 の帷 が静 かに幕 を下 ろす。- この
思 い出 を忘 れまいと、心 の宝石 箱 に仕舞 い込 んだ。 満天 の星 が二 人 の間 に降 り注 ぐ。
などで、いずれも「まるで」「ごとし」「ようだ」などといった
「すし
換喩 法
用例 -
- 「バッハ」が
大好 きだ。- 「バッハ」がバッハの
作品 を指 している。
- 「バッハ」がバッハの
- 「そのワインを
開 けてくれ」実際 に開 けるのはワインではなく、ワインが入 っているボトルの栓 である。
- 「バッハ」が
提 喩 法
用例 -
全 く、情 けない男 だ。- ある
人物 が相手 にこう告 げた時 、情 けないのはその相手 (下位 概念 )だけであって、男 全般 (上位 概念 )を指 しているわけではない。
- ある
豚肉 も悪 くないけど、どちらかといえば鳥 の方 が好 きだな。- まず
鳥 という上位 概念 で鶏 という下位 概念 を指 している。さらに、鶏 という上位 概念 からさらに下位 概念 の鶏肉 、あるいは鶏肉 料理 を指 している。このように提 喩 は上位 、下位 の概念 が階層 化 することもある。
- まず
紙 もすっかり値上 がりしたので、本当 に困 る。会話 の状況 によって、この紙 がトイレットペーパーを指 してるのか、それとも何 らかの用箋 を指 しているのかわからないが、紙 という上位 概念 で、下位 概念 を想起 させるものとなっている。
諷喩法
諷喩(ふうゆ、
用例 -
- 「
()燕雀 ()ぞ安 ()の鴻鵠 志 を知 らんや」小 人物 に大人 物 の心 はわからない、ということを鳥 の話 のみをして推察 させている。燕雀 は小物 、鴻鵠 は大物 という共通 認識 の上 に成立 する諷喩。
猿 も木 から落 ちる木 登 りを得意 とする猿 でも木 から落 ちることのみを示 し、得意 な人 でも失敗 することがあるという意味 を推察 させる諷喩。
- 「
比喩 表現 の複 合
これらの
擬態 法
擬態語 ・擬音 語 ・擬声語
擬人 法
- 「
海 に出 て木 枯帰 るところなし」(山口 誓子 ) 木 はわたしに向 かって手 を振 った。風 が私 を優 しく撫 でた。
擬物 表現
黙々 と働 く彼 の姿 は、言 うなればロボットである。彼女 の笑顔 が、僕 にとって元気 の薬 だ。彼 が持 つ強 運 を、少 しは分 けて欲 しいぐらいだ。
生物 形象 ・無機物 形象 (擬人 表現 と擬物 表現 の逆 相関 )
ある
この
- アリのような
人 社会 性 のあるアリ、特 に働 きアリのイメージに例 え、勤勉 な人物 あるいは黙々 と自 らの属 する組織 に尽 くす人
- カメレオンのような
人 自 らの外敵 からの攻撃 をさけるため、周囲 の環境 によって体 色 を自在 に替 えるカメレオンのイメージに例 え、自分 の周囲 の状況 を察知 して主義 ・主張 や振 る舞 いをコロコロ替 える人 、世渡 り上手 、お調子 者
風見鶏 のような人 - 「カメレオンのような
人 」と同義
- 「カメレオンのような
- ハゲタカのような
人 健康 な相手 は決 して襲 わないが、ひとたびその相手 が衰 えたり死 んだりすると、よってたかってその肉 をむさぼるイメージにたとえ、人 の弱 みにつけこんで自分 の利益 をむさぼる人
貝 のような人 二枚貝 が堅 く殻 を閉 じているイメージに例 え、無駄 な口 を開 かない人 、ないしは身持 ちが堅 く防御 的 傾向 にある人
太陽 のような人 太陽系 を成 す恒星 に例 え、その系統 の中心 となるような人 、あたたかい人
倒置 法
私 は宝 の在処 を突 き止 めた。(通常 )私 は突 き止 めた、宝 の在処 を。(倒置 法 )突 き止 めた、宝 の在処 を、言 うまでもなく私 が。(主語 も倒置 した形 )
反復 法
- 「
高 く高 く、青 く澄 んだ空 」 - 「
我 が母 よ死 にたまひゆく我 が母 よ我 を生 まし乳 足 らひし母 よ」(斎藤 茂吉 )
同 語 反復
例文 -
- それはそれ、これはこれだ。
- まあ
約束 は約束 だ。したからには守 らないとな。
首尾 同 語 (反照 法 )
体言 止 め
反語
反語 の用例 -
昔 は美 しい街 だったと言 っても、だれが信 じるだろうか。(いや、誰 も信 じないだろう。)- あの
社長 の経営 方針 のせいで、どれだけの労働 力 が犠牲 になったことか。(多 くが犠牲 になったのだ。)
反語 的 讃 辞 の用例 -
- おやおや、ずいぶん
丁寧 な扱 いだこと。(とてもひどい扱 いだ。) 君 の達筆 な字 じゃ上司 に見 せるのはちょっとね…。資金 力 で大物 選手 を寄 せ集 めてるわけだし、そんなスター軍団 が負 けるはずないよね。
- おやおや、ずいぶん
反語 的 期待 の用例 -
君 が会社 を辞 めるかは自分 で決 めることだ。君 の実績 は上 も高 く評価 している。それに、君 の接客 を楽 しみにしてる客 もいっぱいいるしな。
反語 的 緩和 の用例 -
待 った、だなんて思 ってないよ。この前 だいぶ待 たせた借 りがあるしね。
反語 的 否認 の用例 -
以後 の彼 の活躍 は、敢 えてここで書 く必要 もないだろう。
呼 びかけ
パラレリズム
対句
- しかあれども、よにつたはることは、ひさかたのあめにしては、したてるひめにはじまり、あらがねのつちにしては、すさのをのみことよりぞおこりける。(
古今 和歌集 ) - 「
祇園 精舎 の鐘 の声 、諸行無常 の響 きあり。沙羅双樹 の花 の色 、盛者 必衰の理 をあらはす。」(平家 物語 )
などがある。
押韻
- やわらかに
()あをめる柳 ()の北上 ()岸辺 目 に見 ゆ泣 けとごとくに(石川 啄木 )
語句 の挿入
説明 補足 の用例 -
少 なくとも、彼 の方 が生徒 会長 に相応 しいと思 う(といっても、どっこいどっこいだが)。括弧 で説明 を補足 することで、要 はどっちでも同 じ、双方 相応 しくないと思 っている第三者 の心理 が読 み取 れるようになる。
弁明 の用例 -
彼 は(時期 尚早 だとは思 いつつ)、社長 に新 事業 について提案 してみた。括弧 を入 れなくても文章 の内容 は通 っている。これを括弧 に含 めることで、主語 の人物 の躊躇 (僭越 じゃないかという懸念 があったという弁明 )がよりはっきり透 かし彫 りされるようになる。
省略 法
用例 -
彼 の暮 らしぶりはとても贅沢 だ。高級 外車 、腕時計 、宝飾 品 、そして瀟洒 な邸宅 …。相手 の贅沢 な暮 らしぶりの一 例 を列挙 しているが、敢 えて全部 挙 げる必要 が無 いため、めぼしいものだけを採 り上 げており、同時 にその相手 に対 して、強 い感嘆 を訴 えている。
- あいつほどいい
奴 はいなかった。…なのに、なんであんな喧嘩 をしたのだろう。文脈 の上 では、リーダを省略 しても意味 は通 じている。しかし、敢 えてリーダを入 れることで、その間 に主語 の人物 が抱 いている悔恨 、困惑 の念 を読者 に訴 えかける仕組 みになっている。
戦争 ですっかり燃 え尽 きた街 ―。―あれから数 十 年 、あの頃 を知 っている者 は少 なくなった―。- ダッシュが
頻繁 に用 いられる例 。ダッシュで被災 都市 の経歴 、さらにそこから抱 いた作者 の感情 全 てを省略 しており、より強 い感情 を読者 に訴 えるようになっている。
- ダッシュが
また、
- くびき(
軛 )語法 の用例 -
皆 が優勝 を讃 えた。監督 もコーチも観衆 も、そして敗 れたライバルさえも。- くびきとは
馬車 に取 り付 ける金具 であるが、原義 である Zeugma を直訳 したものである。要 は繰 り返 しとなる述語 を一 つに括 ったもので、倒置 表現 となることが多 い。ここを一 つに括 らなかった場合 、
- くびきとは
監督 も優勝 を讃 えた。コーチも優勝 を讃 えた。観衆 も優勝 を讃 えた。そして敗 れたライバルさえも優勝 を讃 えた。- と、かなりしつこい
文章 になるが、このような技法 もある(→後述 :#畳 句法 )
- と、かなりしつこい
緩 叙法
僕 は野球 が嫌 いだとは言 わない。主語 の人物 は野球 が嫌 いではないが、いい印象 を持 っていない。そこには、何 か本人 にとって納得 できない部分 があり、相手 に強 く訴 えているのは、その納得 できない部分 である。
漸層法
漸層法 の用例 -
非常 に強 い揺 れだった。部屋 はすっかり散 らかってしまった。扉 が開 かないので、窓 をこじ開 けて外 に出 てみたら思 わず息 を呑 んだ。周 りの家 という家 が軒並 み、押 しつぶされているのだ。心 を落 ち着 かせ、よく見 ると、遠方 に濛々 と煙 が立 ち込 めているではないか。- この
一連 の文章 は、あくまで、自身 が体験 した大 地震 についての語 りである。初 めは自分 の家 のことだけと思 っていたところが、だんだんと被害 の実態 と規模 の大 きさを目 の当 たりにしていく様 を相手 に訴 える仕組 みになっている。
- この
反 漸層法 の用例 -
世界 のトップアスリートが集 うオリンピック。その選手 になるため鎬を削 る全国 の猛者 たち。そして、ここに無謀 にも大 舞台 を夢見 るちっぽけな男 がいた。徐々 に世界 、日本 、そして一 地方 と次第 にスケールが縮 んでいるのが分 かる。この文章 では別 に男 にケチを付 けるつもりはなく、逆 にサクセスストーリーとして読者 の期待 感 を煽 る表現 となっている。これに落 ちを付 けた場合 は漸 降 法 (後述 )と区別 されることがある。しかしながら、反 漸層法 と漸 降 法 の原義 は同 じ、Anticlimax《英 》である。
対照 法
- あいつは
女 には甘 いくせ、俺 たちにはきつい。 君 、この調子 では、すぐにあの新入 りに追 い越 されてしまうねえ。- この
例文 では文章 が省略 されているが、明 らかに有能 な新人 と対比 しているのが自明 であり、反語 にはこのような表現 もある。
- この
敷衍 (ふえん)
- この
山 は、かつて多 くの登山 家 たちを拒 んできたほど険 しい。言 いたいことは「この山 は危険 」ということだけであるが、どれほど危険 なのかということを強調 するため、「多 くの登山 家 たちを拒 んできた」という表現 が加 えられている。
パロディ
ここで
畳語 法 ・畳 句法 ・畳 音 法
一時 間 経 った、まだ来 ない。それから30分 、まだ来 ない。いつまで経 っても、彼 はまだ来 ない。畳 句 。「まだ来 ない」という句 を並 べ、さんざん待 ちわびていることを強調 。
- これこれ、これが
欲 しかったんだよ。畳語 。これという語 を並 べ、これにあたる品 が欲 しかったことを強調 。
- ガラガラガラガラガラ…、
無数 の小石 や礫 が断崖絶壁 から滑 り落 ちていく―。畳 音 。擬音 を並 べることで、その度合 いを強調 。
疑惑 法
不 的確 な客観 表現 による疑惑 法 の用例 -
大人 と呼 ぶにはまだあどけない、でも子供 と呼 ぶには逞 しい、少年 はそんな風格 が漂 っていた。同様 の事柄 を二 つ並 べることによって、作者 が本当 に形容 したい間 の表現 を確立 させようとしている。したがって、この二 つのいずれが欠 けても、文章 が成立 しない。
不 的確 な主観 表現 による疑惑 法 の用例 -
試験 の結果 は早 く知 りたいし、知 りたくもない。- これは
主語 の人物 の心 のジレンマであり、おそらく「知 りたくない」ということは自信 がないと窺 える。しかし、実際 どのくらい得点 したのかを知 りたいのも事実 である。
- これは
複数 評価 による疑惑 法 の用例 -
- スポーツで
大事 なのは攻撃 か防御 か、攻撃 が大事 とも言 えるし、防御 が大事 とも言 える。疑惑 法 には比較 表現 の優劣 を付 けたくない場合 に用 いることが多 い。おそらく、相手 は白黒 付 けた結論 を望 んでいるはずだが、主語 の人物 は答 えをはぐらかしているだけである。それが結果 的 に人 それぞれの様々 な評価 に委 ねられるものであると結論 づけている。
- スポーツで
自己 否定 を伴 った疑惑 法 の用例 -
子供 の頃 住 んでた田舎 が懐 かしく、ふと思 い出 す。すごい田舎 で、交通 も不便 で、近 くに店 は一 つもなく、実家 のボロ家 は雨漏 りなんかもしょっちゅうだったが…。後半 だけだと子供 の頃 暮 らしていた田舎 に対 する愚痴 だけしか捉 えられないが、それを敢 えて大人 になった今 、思 い出 として蘇 らせていることで、負 の側面 を相殺 して余 るほどの強 い感情 を読者 に訴 えかけている。だが、具体 的 に子供 の頃 の田舎 の何 が良 かったのか、作者 の中 でも感情 が漠然 としているため、反語 のように自己 否定 が込 められた文面 になっており、また捉 えようによっては本当 に田舎 の生活 が良 かったのか自問自答 する内容 とも受 け取 れる。
自意識 の強 い疑惑 法 の用例 -
- そいつは、すっとぼけた
奴 だけど、いつも近 くにいて、俺 の傍 で笑 ってくれるんだ。前述 した、特定 の対象 を強 く印象 づける方法 。これは主語 の人物 が相手 に対 し、好意 を持 った人物 を暗 に仄 めかしているが、本人 は自意識 過剰 気味 に相手 に対 して特定 の対象 を強 く訴 えているのが読 み取 れる。
- そいつは、すっとぼけた
誇張 法
天地 がひっくり返 ってもそれはありえない。死 んでもこの土地 は手放 さない。耳 の穴 かっぽじってよく聞 け
など。
列挙 法 ・列 叙法
ある
列挙 法 の用例 -
地球 温暖 化 、オゾン層 破壊 、森林 伐採 に酸性 雨 、地球 を取 り巻 く環境 問題 は数 え上 げればきりがない。
列 叙法 の用例 -
- このホテルが
営業 していた頃 はこの辺 も賑 わっていた。しかし、かつての繁栄 は見 る影 もない。辺 りに人気 は全 く無 く、薄暗 い。建物 のコンクリートはすっかり朽 ち果 てている。外壁 には無数 の蔓 が巻 き付 いている。誰 かが侵入 したのか、無残 に窓 ガラスも叩 き割 られている。
- このホテルが
折 句
史的 現在
「
撞着 語法
用例 -
慇懃無礼 慇懃 とは懇 ろで礼節 を弁 えていること。無礼 とは礼儀 知 らずのこと。慇懃無礼 で表向 きは敬意 を払 っているようで、心 の裡 では相手 を見下 している様子 をいう
必要 悪 本来 悪 は必要 とされないが、社会 、あるいは機構 を動 かしていく上 で、犠牲 にしなければならない、黙認 せねばならない部分 も存在 するということ
- など。
頓 降 法 /漸 降 法
いろいろと
頓 降 法
滑稽 表現 の用例 -
広東 料理 はありとあらゆるものが食材 になる。―足 が生 えて食材 にならないのは人 と机 ぐらいなものだ。人 が記述 されているのは便宜上 だが、落 ちとなっているのは食材 になろうはずもない机 が含 まれている点 である。
全体 否定 の用例 -
- この
大作 映画 は凄 い。独特 の世界 観 、大物 俳優 の起用 、セットの豪華 さ、話題 性 、どれを取 っても文句 はないだろう。ただ、ストーリーがひどく稚拙 だが。- この
評論 家 が訴 えたいのは無論 、最後 の落 ちの部分 であり、結局 瑣末 なものは評価 しても、根本 が駄目 なので作品 自体 は全 く評価 されていないと分 かるだろう。
- この
- この
漸 降 法
漸 降 法 の用例 -
地震 、雷 、火事 、親父 。古 くから言 われる俚諺 であるが、1位 、2位 、3位 の後 、4位 に大 きく隔 たられた対象 を持 ってくる手法 で、滑稽 表現 を醸 し出 すことが多 い。ここでは、実際 父親 が厳格 な存在 だったという象徴 もあるが、自然 の驚異 とただの一個人 を比較 しているところに大 きな落差 が見 られる。
- 「
宝 くじで三 億 円 が当 たったら何 を買 いたい?」 - 「
外車 」 - 「
宝石 」 - 「
宝 くじ三 百 万 枚 」
- このコントのように、
落 ち以外 の対象 は階層 化 が発生 せず(願望 として外車 も宝石 も同等 と見 て良 いため)、平行 線 から急落 する場合 もあるが、これも漸 降 法 に分類 される。
- 「
黙 説
黙 説 の用例 -
自分 を二 軍 に落 としたあのコーチが許 せない。…きっと今 に…今 に見返 してやるから待 っていろよ!- ここでは
反骨 精神 漲 るその強 い感情 が全 て省略 されている。しかし、読 み手 とすれば、その中 に渦巻 いている悔 しい気持 ちが暗 に読 み取 れるはずである。
- ここでは
未決 /待望 法 の用例 -
毎晩 、終電 近 くまで仕事 が押 し迫 る。なけなしの休 みもいきなり呼 び出 される。職場 の上司 も自分 は何 もできないくせ、他人 を叱 ることだけは一 丁 前 だ。なんで、こんな会社 に自分 がいる。できるものなら、今 から全 てを捨 て、海外 にでも出 て行 きたい。一番 、大事 な言葉 は「出 て行 きたい」、すなわち会社 を辞 めたいという部分 である。しかし、それを冒頭 に置 かず、末尾 に置 くことで、文章 としては完結 しておらず、あくまで主語 の人物 の願望 、待望 に留 まっていることが読 み取 れる。
空間 設定 /逆 中断 の用例 -
僕 は、彼女 に温 めてきた想 いを告 げることにした。
…彼女 は静 かにコクッと頷 いた。- おそらく、
告白 かプロポーズの場面 であり、ここでは登場 人物 の台詞 が一切 省略 されているが、前者 と異 なり、結論 だけがしっかりと表現 されている。
- おそらく、
暗示 黙過 /暗示 的 看過 法 の用例 -
恩師 との別 れが来 ても、涙 を見 せてはいけない。彼 はいつまでも、自分 の成長 を見守 ってくれるよ。- ここでは
本当 に「涙 を見 せてはいけない」のではなく、大 いに悲 しんで当然 である、という意味 である。このように言葉 では否定 文 でも、内容 は肯定 となっている場合 がある。
- ここでは
()んやの況 修辞 学 の用例 -
彼女 の手料理 を平 らげるのはやっとのことだというのに、こればっかりは…。彼 は一目散 に、洗面 所 に向 かっていった。況 んやとは「尚更 」という意味 で、同 事典 で佐々木 健一 が補足 を設 けている。状況 としては、登場 人物 の「彼女 」は料理 が苦手 だと読 み取 れ、それを食 べさせられる「彼 」はある程度 は何 とか慣 れているが、流石 に「これ」は食 べられなかったという結論 である。こればっかりは…の後 は省略 されているが、後 の彼 の料理 から背 ける行動 が記述 されているので、暗示 された内容 は把握 できるだろう。
冗語 法
用例 -
今 起 こったことをこの自分 の眼 でちゃんと見 たぞ。- わざわざこの
眼 と言 わずともそれは主語 の人物 の眼 だと分 かるはずであるが、冗語 を用 いることで、よりはっきりと今 、現実 にこうして見 たと主張 されるようになる。
- わざわざこの
- あの
冴 えない男 が今度 結婚 すると聞 いた。あの暗 くて、不格好 な男 が結婚 するだと?男 の評価 は「冴 えない」で一旦 表現 されているので、後 の表現 は冗語 といえるが、より主語 の人物 の疑 り深 い、信 じられないという驚嘆 の心 が浮 き彫 りされる。
- 「そんなことしても
意味 がない。無意味 だ。無駄 だ。」
コーチはそう一蹴 した。意味 がない、無意味 、無駄 は全 て同 じ言葉 であり、過剰 な表現 である。しかし、敢 えて二 重 、三重 に表現 をすることによって、その無意味 という表現 を強調 することができる。このような表現 を冗語 法 の中 で、原義 perissology《英 》に対 して『無効 冗語 』と訳 しており、『表現 過剰 』などと分類 している学者 もいる。
転用 語法
脚注
- ^ “諷喩 とは - コトバンク”. デジタル
大辞泉 .小学 館 . 2011年 4月 5日 閲覧 。 - ^
野内 良三 (2005) 『日本語 修辞 辞典 』国書刊行会 - ^
佐藤 信夫 他 『レトリック事典 』
参照 文献
佐藤 信夫 、佐々木 健一 、松尾 大 『レトリック事典 』大修館書店 、2006年 。ISBN 4-469-01278-5、ISBN 978-4-469-01278-1。
古典
- アリストテレス『
弁論 術 』日本語 訳 :戸塚 七郎 (岩波 文庫 ) - キケロ『
弁論 家 について』日本語 訳 :大西 英文 (岩波 文庫 ) - クインティリアヌス『
弁論 家 の教育 』日本語 訳 :小林 博英 (明治 図書 出版 )/日本語 訳 :森谷 宇一 ・渡辺 浩司 [要 曖昧 さ回避 ]・戸高 和弘 (京都大学 学術 出版 会 ・西洋 古典 叢書 。現在 1巻 のみ) - ディオニュシオス/デメトリオス『
修辞 学 論集 』日本語 訳 :木曽 明子 ・戸高 和弘 ・渡辺 浩司 (京都大学 学術 出版 会 ・西洋 古典 叢書 )
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関連 項目
外部 リンク
- A Glossary of Rhetorical Terms with Examples from the University of Kentucky
- A Guide to Rhetorical Ideas from Silva Rhetoricae
- Figures of Speech from Paul Niquette
- Figures of Speech from Silva Rhetoricae
- It Figures - Figures of Speech from Jay Heinrichs
- Stylistic Devices on English Grammar Online from Lingo4you GbR
- Introducing Philosophy 21: Rhetoric from Paul Newall (2005)
- Online Resource of Rhetorical Devices
- Handbook of rhetorical devices
- ふき
出 しのレトリック