入学にゅうがく

入学にゅうがく（にゅうがく）とは、学校がっこうに入はいること。幼稚園ようちえんに入はいることは入園にゅうえん（にゅうえん）という。対義語たいぎごは退学たいがく・卒業そつぎょうなど。

入学にゅうがく試験しけん

大だい部分ぶぶんの公立こうりつの小学校しょうがっこう・中学校ちゅうがっこうには入学にゅうがく試験しけんはないが、私立しりつと国立こくりつとごく一部いちぶの公立こうりつの小学校しょうがっこう・中学校ちゅうがっこう・中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうには入学にゅうがく試験しけんがある。また国公私立こっこうしりつの高等こうとう学校がっこう・大学だいがく（学部がくぶ・大学院だいがくいん・短期大学たんきだいがく）などにも入学にゅうがく試験しけんがある。ただし通信つうしん制せいの場合ばあいは入学にゅうがく試験しけんがない場合ばあいも多おおい。

入学にゅうがくの学齢がくれい・種類しゅるい

学校がっこう教育きょういく法ほう及および学校がっこう保健ほけん安全あんぜん法ほうの定さだめにより、4月がつ1日にち時点じてんで満みつる6歳さいである日本にっぽん国籍こくせきの児童じどうは、就学しゅうがく時じ健診けんしんを受うけて異常いじょうがなければ小学校しょうがっこうに入学にゅうがくする制度せいどになっている（外国がいこく籍せきの学齢がくれい児童じどうも就学しゅうがくは可能かのう）。障害しょうがいがあったり、未熟みじゅく児じなどで発達はったつ度合どあいが低ひくい場合ばあい、特別とくべつ支援しえん学校がっこうに入学にゅうがくしたり、就学しゅうがく猶予ゆうよや就学しゅうがく免除めんじょなどの制度せいどを受うけることになる。義務ぎむ教育きょういく制度せいどのため、建前たてまえ上じょうは健康けんこうな学齢がくれい児童じどうは全員ぜんいんが正規せいきの学校がっこうに就学しゅうがくするものとされるが、インターナショナル・スクールなどの未み認可にんかの学校がっこうに入学にゅうがくすることや、どの学校がっこうにも入学にゅうがくしないことも可能かのうである。ただしこの場合ばあいでも学籍がくせきが地元じもと学校がっこうに存在そんざいする場合ばあいがある。

入学にゅうがくの時期じき

入学にゅうがくは、日本にっぽんでは一般いっぱんに桜さくらが咲さく4月がつ、春はるの行事ぎょうじと考かんがえられているが、欧米おうべい諸国しょこくや中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくでは、入学にゅうがくは9月、秋あきの行事ぎょうじであり（同様どうように、南半球みなみはんきゅうの国くにも現地げんちで秋あきに当あたる2～3月がつ頃ごろの入学にゅうがくが多おおい）、また2学期がっき制せいが一般いっぱん的てきである（前期ぜんきと後期こうきに分わかれていて冬休ふゆやすみと夏休なつやすみが長ながめに取とられていて春休はるやすみはない）。欧米おうべいの大学だいがくは、夏なつ冬ふゆ学期がっき制せいで、春はるからでも秋あきからでも始はじめられるのだが、初はじめの入学にゅうがくは9月がつというのが一般いっぱん的てきである。暖あたたかい時期じきに試験しけんなどが行おこなわれるため、体調たいちょうを崩くずして困こまるようなことが少すくないといわれる。

本来ほんらい、明治めいじから大正たいしょう初期しょきの日本にっぽんでは、大学だいがくは9月入学にゅうがくであった。実際じっさい、明治めいじ後期こうきに夏目なつめ漱石そうせきが著あらわした小説しょうせつ『三四郎さんしろう』では、主人公しゅじんこうが夏なつに九州きゅうしゅうから上京じょうきょうしたことや、9月における帝国ていこく大学だいがくの授業じゅぎょうの開始かいしなど、明治めいじにおける9月入学にゅうがくの光景こうけいが描えがかれている。

現在げんざい、4月入学にゅうがくとなった経緯けいいは次つぎのとおりである。

• 1886年ねん（明治めいじ19年ねん）4月がつから酒造しゅぞう税ぜいに「4月がつ－3月がつ制せい」が導入どうにゅうされ、1889年ねん（明治めいじ22年ねん）の会計かいけい法ほう制定せいていにより「4月がつ－3月がつ制せい」が法制ほうせい化かされると、市制しせい及および町村ちょうそん制せいの施行しこうに合あわせて、同年どうねん4月がつより市町村しちょうそんでも実施じっしされ、翌年よくねん5月がつより道府県どうふけん（後のちに都とも）でも実施じっしされることになった。
• また、1887年ねん（明治めいじ20年ねん）3月がつ9日にち徴兵ちょうへい事務じむ条例じょうれいが改正かいせいされ、徴兵ちょうへい対象たいしょう者しゃ（満まん20歳さいの男子だんし）の届出とどけで日びがそれまでの9月がつから4月がつに変更へんこうされ、4月がつが士官しかん学校がっこう等とう軍ぐん関係かんけい学校がっこうの新しん学期がっきになった。
• これにともない、学校がっこう運営うんえい資金しきんを政府せいふから調達ちょうたつするためには、国くにの会計かいけい年度ねんどの始はじまりに合あわせないと不便ふべんということから、1886年ねん（明治めいじ19年ねん）高等こうとう師範しはん学校がっこうが4月がつ入学にゅうがくとなった。
• その後ご、1888年ねん（明治めいじ21年ねん）に文部省もんぶしょうの指示しじで全国ぜんこくの師範しはん学校がっこうや小・中学校しょうちゅうがっこうでも4月がつ入学にゅうがくが広ひろがった。1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）7月がつ7日にち、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがくが次じ年度ねんどの始期しきを9月から4月がつに変更へんこうすることを決定けっていすると他たの高等こうとう学校がっこうも追随ついずいし、翌よく1921年ねん（大正たいしょう10年ねん）4月がつからは全すべての学校がっこうが4月がつ入学にゅうがくになり現在げんざいに至いたっている。

各国かっこく・地域ちいきの入学にゅうがく時期じき

時期じき	国くに
1月がつ	シンガポール、マレーシア、ブルネイ、パプアニューギニア、バングラデシュ、南みなみアフリカ、ジンバブエ、タンザニア、ボツワナ
2月がつ	オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、エチオピア、モザンビーク
3月がつ	韓国かんこく、北朝鮮きたちょうせん、アルゼンチン、ペルー、チリ、アフガニスタン
4月がつ	日本にっぽん、インド、パキスタン、ネパール
5月	タイ
6月がつ	フィリピン、ミャンマー、スーダン
7月がつ	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、オーストリア
8月がつ	スイス、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、台湾たいわん
9月	イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ロシア、カナダ、メキシコ、中国ちゅうごく、インドネシア、ベトナム、モンゴル、他た多数たすう
10月	セネガル、カンボジア、エジプト、ベナン

秋あき入学にゅうがくの議論ぎろん

大学だいがくにおいては2008年ねんに学校がっこう教育きょういく法ほう施行しこう規則きそくの一部いちぶ改正かいせいにより、学年がくねんの始期しき及および終期しゅうきは学長がくちょうが定さだめることとなり、2011年ねんに東京とうきょう大学だいがくを中心ちゅうしんとした国立こくりつ大学だいがくで秋あき入学にゅうがくへの移行いこうが議論ぎろんされたが、高校こうこう卒業そつぎょう後ごの空白くうはく期間きかんや、多おおくの企業きぎょうの採用さいよう時期じきとずれるため断念だんねんされた。現在げんざい、海外かいがいの学校がっこうに合あわせて中ちゅう間あいだ期きに入学にゅうがく可能かのうな大学だいがくもある。

9月入学にゅうがく論争ろんそう

詳細しょうさいは「9月入学にゅうがく論争ろんそう」を参照さんしょう

日本にっぽんでは1921年ねんから4月がつ入学にゅうがくが定着ていちゃくし、社会しゃかい全体ぜんたいのライフスタイルに組くみ込こまれているものの、2020年ねんに新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょう（COVID-19）の感染かんせん拡大かくだいにより全国ぜんこくで休校きゅうこう措置そちが取とられたことをきっかけに、学業がくぎょうの遅おくれを取とり戻もどすことを目的もくてきとした9月入学にゅうがく移行いこうを求もとめる声こえが上あがり、これを受うけ政府せいふが9月入学にゅうがく移行いこう検討けんとうの開始かいしを表明ひょうめいしたことから、賛否さんぴ両論りょうろんが沸わき起おこり、社会しゃかい的てきな論争ろんそう（9月がつ入学にゅうがく論ろん争そう）に発展はってんした。

裏口うらぐち入学にゅうがく

1970年代ねんだいまでは一部いちぶの私立しりつ大学だいがくにおいて、学校がっこう関係かんけい者しゃまたは縁故えんこ者しゃの口利くちききにより合格ごうかくを認みとめる紹介しょうかい入学にゅうがく制度せいどが存在そんざいした。これらを含ふくめ縁故えんこ者しゃに資金しきん提供ていきょうし、試験しけんの結果けっかを改かいざんするなどの方法ほうほうにより不正ふせいに試験しけんを通過つうかして入学にゅうがくすることを裏口うらぐち入学にゅうがく（うらぐちにゅうがく）と称しょうすることがある。 特とくに私立しりつ大学だいがくに多おおい。（例れい：早稲田大学わせだだいがく商学部しょうがくぶ入試にゅうし問題もんだい漏洩ろうえい事件じけん　帝京大学ていきょうだいがく医学部いがくぶ裏口うらぐち入学にゅうがく事件じけん）

脚注きゃくちゅう

関連かんれん項目こうもく

• 卒業そつぎょう - 退学たいがく - 除籍じょせき
• 学校がっこう
• 一いち年生ねんせい