副ふく検事けんじ

副ふく検事けんじ（ふくけんじ）は、日本にっぽんにおける検察官けんさつかんの官かん名めいの1つ。

区く検察庁けんさつちょうの検察官けんさつかんの職しょくに補ほされる。

職務しょくむ

「副ふく検事けんじ」は、検察官けんさつかんとして、区く検察庁けんさつちょうに配置はいちされ、捜査そうさ・公判こうはん及および刑けいの執行しっこうの指揮しき監督かんとくなどを行おこなう。 また身分みぶんとしては区検くけん察庁に配置はいちされたまま、検察庁けんさつちょう法ほう第だい12条じょうを根拠こんきょとして、地方ちほう検察庁けんさつちょう検察官けんさつかん事務じむ取扱とりあつかいを命めいじられ、実質じっしつ的てきに検事けんじに準じゅんじた職務しょくむも行おこなうことも少すくなくない。これについては、慢性まんせい的てきな検事けんじ不足ふそくで、本来ほんらい検事けんじが担当たんとうすべき事件じけんを副ふく検事けんじに肩代かたがわりさせているという批判ひはんも根強ねづよい。

徽章きしょう（秋霜烈日しゅうそうれつじつ章あきら）の形状けいじょうは検事けんじと同おなじだが、検事けんじの徽章きしょうは菊きくの葉はの部分ぶぶんが金かねであるのに対たいして副ふく検事けんじの徽章きしょうは菊きくの葉はの部分ぶぶんが銀色ぎんいろになっている。

選考せんこう資格しかく

検察庁けんさつちょう法ほう第だい18条じょう第だい2項こうの規定きていにより、以下いかに該当がいとうする者ものに「副ふく検事けんじ」の選考せんこう資格しかくが与あたえられるとされる。

1. 裁判所さいばんしょ法ほう第だい66条じょう第だい1項こうの試験しけん（司法しほう試験しけん）に合格ごうかくした者もの
2. 3年ねん以上いじょう政令せいれいで定さだめる2級きゅう官吏かんりその他たの公務員こうむいんの職しょくに在あった者もの

検察庁けんさつちょう法ほう施行しこう令れい第だい2条じょうに以下いかの通とおりに定義ていぎされている

• 給与法きゅうよほうで定さだめる行政ぎょうせい職しょく俸給ほうきゅう表ひょう（一いち）の職務しょくむの3級きゅう以上いじょう、公安こうあん職しょく俸給ほうきゅう表ひょう（一いち）の4級きゅう以上いじょう又または公安こうあん職しょく俸給ほうきゅう表ひょう（二に）の3級きゅう以上いじょうの法務ほうむ事務じむ官かん又または法務ほうむ教官きょうかん
• 給与法きゅうよほうで定さだめる3級きゅう以上いじょうの入国にゅうこく審査しんさ官かん
• 給与法きゅうよほうで定さだめる4級きゅう以上いじょうの入国にゅうこく警備けいび官かん
• 裁判所さいばんしょ調査官ちょうさかん
• 給与法きゅうよほうで定さだめる4級きゅう以上いじょうの裁判所さいばんしょ事務じむ官かん、裁判所さいばんしょ書記官しょきかん、裁判所さいばんしょ書記官しょきかん補ほ、家庭かてい裁判所さいばんしょ調査官ちょうさかん、家庭かてい裁判所さいばんしょ調査官ちょうさかん補ほ、司法研修所しほうけんしゅうしょ教官きょうかん又または裁判所さいばんしょ職員しょくいん総合そうごう研修けんしゅう所しょ教官きょうかん
• 学校がっこう教育きょういく法ほうにおいて定さだめる大学院だいがくいんを設置せっちしていない大学だいがくの法学ほうがく教授きょうじゅたる文部もんぶ科学かがく教官きょうかん
• 警部けいぶ以上いじょうの警察官けいさつかん
• 給与法きゅうよほうで定さだめる4級きゅうないし3級きゅう以上いじょうの司法しほう警察けいさつ員いんとして職務しょくむを行おこなう国家こっか公務員こうむいん
• 三さん尉じょう以上いじょうの自衛隊じえいたい警務けいむ官かん
• 沖縄おきなわ法令ほうれいの規定きていによる1級きゅう検察けんさつ補佐ほさ職しょく、1級きゅう法務ほうむ職しょく、1級きゅう法制ほうせい職しょく、1級きゅう裁判所さいばんしょ書記しょき職しょく、3級きゅう以上いじょうの警察けいさつ職しょく
• 独占どくせん禁止きんし法ほうに基もとづく審査しんさを担当たんとうする給与法きゅうよほうで定さだめる3級きゅう以上いじょうの内閣ないかく府ふ事務じむ官かん
• 国税こくぜい通則つうそく法ほうに基もとづく犯則はんそく事件じけんの調査ちょうさに関かんする事務じむを処理しょりする給与法きゅうよほうで定さだめる3級きゅう以上いじょうの財務ざいむ事務じむ官かん（査察ささつ事務じむ）
• 金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほうに基もとづく調査ちょうさを担当たんとうする給与法きゅうよほうで定さだめる3級きゅう以上いじょうの内閣ないかく府ふ事務じむ官かん又または財務ざいむ事務じむ官かん（証券しょうけん取引とりひき特別とくべつ調査官ちょうさかんなど）
• 関税かんぜい法ほうに基もとづく調査ちょうさを担当たんとうする給与法きゅうよほうで定さだめる3級きゅう以上いじょうの財務ざいむ事務じむ官かん

以上いじょうの者ものが「副ふく検事けんじ選考せんこう試験しけん」を受験じゅけんし、合格ごうかくすることで「副ふく検事けんじ」に任命にんめいされる。受験じゅけん者しゃは、ほとんどが検察けんさつ事務じむ官かん、次ついで裁判所さいばんしょ書記官しょきかんなどの刑事けいじ裁判さいばんを取とり扱あつかう官庁かんちょうの出身しゅっしん者しゃであり、他たの受験じゅけん者しゃはわずかである。

副ふく検事けんじ選考せんこう試験しけん

「副ふく検事けんじ選考せんこう試験しけん」は、検察庁けんさつちょう法ほう第だい18条じょうの規定きていで行おこなわれ、検察官けんさつかん・公証こうしょう人じん特別とくべつ任用にんよう等とう審査しんさ会かいによって施行しこうされる。

試験しけん内容ないようは以下いかの通とおり

• 第だい1次じ選考せんこう（筆記ひっき試験しけん） - 憲法けんぽう、民法みんぽう、刑法けいほう、刑事けいじ訴訟そしょう法ほう、検察庁けんさつちょう法ほうの5科目かもく（試験しけん時間じかん各かく科目かもく1時じ間あいだ、いずれも論文ろんぶん式しき）
• 第だい2次じ選考せんこう（口述こうじゅつ試験しけん） - 憲法けんぽう、民法みんぽう、刑法けいほう、刑事けいじ訴訟そしょう法ほう、検察庁けんさつちょう法ほう（筆記ひっき試験しけんの合格ごうかく者しゃに対たいし，試験しけん委員いいん2名めいが試験しけん官かんとなって個人こじん別べつに実施じっしされる）

副ふく検事けんじの選考せんこうの合格ごうかく者しゃ決定けっていは、筆記ひっき試験しけん・口述こうじゅつ試験しけんの採点さいてん結果けっか並ならびに各かく高等こうとう検察庁けんさつちょう検事けんじ長ちょうが行おこなう人物じんぶつ、素行そこう及および実務じつむ処理しょり能力のうりょく等とうの調査ちょうさ結果けっかをまとめた「調査ちょうさ書しょ」等とうを総合そうごうし、検察官けんさつかん・公証こうしょう人じん特別とくべつ任用にんよう等とう審査しんさ会かいの議決ぎけつによって行おこなわれる。同どう選考せんこうにおける筆記ひっき及および口述こうじゅつ試験しけんの内容ないようも相当そうとう高度こうどであって、最終さいしゅう合格ごうかく率りつも約やく13パーセント（平成へいせい15年度ねんど）となっている。

検察官けんさつかん特別とくべつ考試こうし

「副ふく検事けんじ」の職務しょくむを3年ねん以上いじょう経験けいけんした者ものは、検察官けんさつかん・公証こうしょう人じん特別とくべつ任用にんよう等とう審査しんさ会かいの実施じっしする「検察官けんさつかん特別とくべつ考試こうし」の受験じゅけん資格しかくが与あたえられ、これに合格ごうかくした者ものは検事けんじ2級きゅう（特とく任にん検事けんじ）となることができる（検察庁けんさつちょう法ほう第だい18条じょう第だい3項こう）。

試験しけん内容ないようは以下いかの通とおり

・第だい1次じ選考せんこう（筆記ひっき試験しけん） - 憲法けんぽう、民法みんぽう、商法しょうほう、民事みんじ訴訟そしょう法ほう、刑法けいほう、刑事けいじ訴訟そしょう法ほう、検察けんさつの実務じつむの7科目かもく（論文ろんぶん式しき）

・第だい2次じ選考せんこう（口述こうじゅつ試験しけん） - 憲法けんぽう、刑法けいほう、刑事けいじ訴訟そしょう法ほう、検察けんさつの実務じつむの4科目かもく（筆記ひっき試験しけんの合格ごうかく者しゃに対たいし、個人こじん別べつに実施じっしされる）

また、特とく任にん検事けんじの職しょくにあった期間きかんが通算つうさんして5年ねん以上いじょうになれば、弁護士べんごし資格しかくを有ゆうする（弁護士べんごし法ほう第だい5条じょう第だい1項こう第だい3号ごう）。