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寄生 - Wikipedia

寄生きせい

一方いっぽう生物せいぶつ他方たほう生物せいぶつから栄養えいようやサービスを持続じぞくてきかつ一方いっぽうてき収奪しゅうだつする関係かんけい

寄生きせい(きせい、英語えいご: parasitism)とは、共生きょうせい一種いっしゅであり、ある生物せいぶつ生物せいぶつから栄養えいようやサービスを持続じぞくてきかつ一方いっぽうてき収奪しゅうだつする場合ばあい言葉ことばである。収奪しゅうだつされるがわ宿主しゅくしゅまたはよせぬしばれる。

また、一般いっぱん用語ようごとして「他人たにん利益りえき依存いぞんするだけで、自分じぶんなにもしない存在そんざい」や「排除はいじょ困難こんなん厄介やっかいしゃ」などを意味いみ使つかわれることがある。 「パラサイト・シングル」や経済けいざいがくうえにおける「寄生きせい地主じぬしせい」などは前者ぜんしゃれいであり、後者こうしゃれいとしては電子でんし回路かいろにおける「寄生きせいダイオード」や「寄生きせい容量ようりょう」といった言葉ことばがある。

寄生きせい共生きょうせい

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寄生きせい生物せいぶつあいだ相互そうご作用さよういち様態ようたいであり、共生きょうせいすなわち「複数ふくすうしゅ生物せいぶつ相互そうご作用さようおよぼしつつ同所どうしょてき生活せいかつする」ことにふくまれる。寄生きせい十分じゅうぶん定義ていぎするのはむずかしい(後述こうじゅつ)が、ひとまずは以下いか定義ていぎげられる。

寄生きせいといわれるのは、生物せいぶつAと生物せいぶつBがあって、以下いかのような関係かんけいがある場合ばあいである。

  1. Aが、Bがた、または当然とうぜんるはずの栄養えいよう摂取せっしゅげん取得しゅとくすること。
  2. Aが、Bの体内たいないからだ表面ひょうめん、あるいはそれにちか位置いちにいること。
  3. この関係かんけい一定いってい期間きかんつづくこと。
  4. BはAの存在そんざいによってはっきりした不利益ふりえきこうむること。

こういった関係かんけいにある場合ばあい、AがBに寄生きせいしているといい、BをAの宿主しゅくしゅ(しゅくしゅ、やどぬし)またはよせぬし(きしゅ)という。

たとえば、ヒトのちょうないでヒトが摂食せっしょくし、消化しょうかした食物しょくもつ吸収きゅうしゅうして生活せいかつするカイチュウかみ衣服いふくんで、血液けつえき吸収きゅうしゅうするシラミなどは、典型てんけいてき寄生きせいしゃである。他方たほうアブは、ヒトのうが、すぐにはなれていき、短時間たんじかんしか接触せっしょくたないので寄生きせいしゃではない。

しかし、判別はんべつ困難こんなんれい多々たたある。たとえば樹木じゅもくべる毛虫けむしなどのしょくせい昆虫こんちゅうはこの定義ていぎてはまってしまうが、通常つうじょううえしょくしゃなされ、寄生きせいしゃとはばれない。しかし、植物しょくぶつ組織そしき変形へんけいさせてむしこぶ形成けいせいし、そのなか生息せいそくして内部ないぶ組織そしき摂食せっしょくする昆虫こんちゅう寄生きせいしゃばれる。

 
捕食ほしょく寄生きせいされたモンシロチョウ幼虫ようちゅう

昆虫こんちゅう寄生きせいするハチハエでは、宿主しゅくしゅ成熟せいじゅくするときまでにそのからだくしてころしてしまうものがおおい。これは捕食ほしょく変形へんけいかんがえられ、捕食ほしょく寄生きせいという。

また、寄生きせいとはあきらかにことなるものも慣用かんようてき寄生きせいばれることがある。そのれいひとつが「たまごかたまりへの寄生きせい」である。クモバッタカマキリなどはたまごかたまりらんのうをつくるが、ここにもぐんでたまごべて成長せいちょうするものがあり(カマキリモドキマメハンミョウなど)、これらも寄生きせいわれる。しかし、きていることはたんなるたまご捕食ほしょくである。

寄生きせい生物せいぶつからだ機能きのうおおくを寄生きせい対象たいしょう依存いぞんするかたちになるため、とく対象たいしょう内部ないぶ寄生きせいたねではちか仲間なかま寄生きせいせいしゅくらべ、植物しょくぶつだといたり、動物どうぶつでは付属ふぞく感覚かんかく臓器ぞうきさえくなど体制たいせい大幅おおはば退化たいかてきである。フクロムシくち動物どうぶつのように当初とうしょもんレベルの類縁るいえんさえ判然はんぜんとしなかったほど退行たいこうてき特殊とくしゅしているものもあるが、一方いっぽうでは寄生きせい生物せいぶつ生物せいぶつたいのもつバリア機能きのうをかいくぐるための生理せいり機能きのうや、宿主しゅくしゅ体内たいない外界がいかいする生活せいかつたまきはしばしば複雑ふくざつ進化しんかしている。また宿主しゅくしゅにとりつく以前いぜん段階だんかいでは自由じゆう生活せいかつ体制たいせいであるほう有利ゆうりで、寄生虫きせいちゅうには生活せいかつたまき段階だんかいごとにだい規模きぼ変態へんたいおこなうものがおおく、変態へんたい機能きのう発達はったつしていない脊椎動物せきついどうぶつには内部ないぶ寄生きせい事例じれいられていない。

多様たよう寄生きせい

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一口ひとくち寄生きせいっても、様々さまざま形態けいたい様式ようしきがあり、それによって用語ようご様々さまざまである。

  • 寄生きせいしゃ宿主しゅくしゅからだ表面ひょうめんにいるのを外部がいぶ寄生きせいという。マダニシラミなどがこれにあたる。
  • 寄生きせいしゃ宿主しゅくしゅ体内たいないにいる場合ばあい内部ないぶ寄生きせいぶ。カイチュウ、肺臓はいぞうジストマなどがこれにあたる。
  • 寄生きせいしゃ宿主しゅくしゅ細胞さいぼうないはいっている場合ばあい細胞さいぼうない寄生きせいという。マラリア原虫げんちゅうがそのれいである。
ただし、どこまでが外部がいぶでどこからが内部ないぶかには若干じゃっかん議論ぎろんがある。たとえばノミあきらかに外部がいぶ寄生きせいである。しかしスナノミめすいちカ所かしょくと、そこからうごかず、周辺しゅうへん皮膚ひふがってまってしまう。これは内部ないぶ寄生きせいといわれる場合ばあいもある。寄生きせいせいそう翅目幼虫ようちゅうには、傷口きずぐちもぐんでそとすものがある。また、消化しょうかかんなか生息せいそくする寄生虫きせいちゅう内部ないぶ寄生きせいといわれるのが普通ふつうであるが、鼻腔びこうないのものはどうか、軟体動物なんたいどうぶつ外套がいとうまく内部ないぶはどちらか、などかんがえると困難こんなんである。厳密げんみつえば、内部ないぶ寄生きせいというのは体腔たいこうない生息せいそくするものと細胞さいぼうない寄生きせいだけをふくめるべきとのかんがえもある。

様式ようしき

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まず、よせぬしころすものところさぬもので大別たいべつされる。

  • 寄生きせい(parasite): ある生物せいぶつから栄養分えいようぶん吸収きゅうしゅうしてとも生活せいかつごし、寄生きせいしゃきずつけてもよせぬしなないもの。かた共生きょうせいとの境界きょうかいかならずしも明瞭めいりょうではない。
  • 捕食ほしょく寄生きせい(parasitoid): ある生物せいぶつじょう生活せいかつたまき一部いちぶごし、その結果けっかとしてよせぬしころしてしまうもの。捕食ほしょく寄生きせい場合ばあい寄生きせいしゃ幼虫ようちゅうがすぐよせぬしころさず、よせぬし生育せいいくつづけるごろ寄生きせい(koinobiont)と(れいニホンアソバラコマユバチなど)、寄生きせいしゃ幼虫ようちゅうによってよせぬしがすぐにいた殺傷さっしょう寄生きせいidiobiont)とわれる。(れいイサエアヒメコバチなど。)だが、境界きょうかい不明瞭ふめいりょうなものも存在そんざいする。
  • 労働ろうどう寄生きせい(cletoparasitism): 他者たしゃ侵入しんにゅうしてためんだえさ横取よこどりするもの。れいセイボウなど。

よせぬしから発生はっせいする寄生きせいしゃかずちがいがあり、さらに寄生きせいしゃよせぬしとなる場合ばあいもある。

  • たん寄生きせい(solitary parasitism): いちひきよせぬしいちひき寄生きせいしゃそだつこと。れいウスイロヒメバチ
  • 寄生きせい(gregarious parasitism): いちひきよせぬしからつね複数ふくすう寄生きせいしゃそだつこと。れいアオムシサムライコマユバチキンウワバトビコバチ
  • 寄生きせい(superparasitism): いちひきよせぬし複数ふくすうの(同種どうしゅの)寄生きせいしゃ寄生きせいすること。通常つうじょうよせぬしない競争きょうそうこり、最終さいしゅうてきいちひきのみがのこる。
  • きょう寄生きせい(multiple parasitism): いちひきよせぬし複数ふくすうたね寄生きせいしゃ寄生きせいすること。おおくの場合ばあいしゅあいだ競争きょうそうこり、一種いっしゅのみが生育せいいく完了かんりょうする。
  • 高次こうじ寄生きせい(じゅう寄生きせい)(hyperparasitism): 寄生きせいしゃにさらに寄生きせいすること。ハチ圧倒的あっとうてきおおい。れいとして、エゾカギバラバチがいる。同胞どうほう寄生きせいするものもおり、同胞どうほう寄生きせいとよばれる。れいツヤコバチなど。
  • アリ仲間なかまには、別種べっしゅのアリの侵入しんにゅうして幼虫ようちゅうさなぎ略奪りゃくだつしてかえり、はたらありとして奴隷どれいするものがある(サムライアリなど)。この場合ばあいはたらあり労働ろうどう搾取さくしゅするわけで、つまり、社会しゃかいせいもとづく行動こうどうによる利益りえきることから、このようなものを、社会しゃかい寄生きせいう。

植物しょくぶつ

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  • 植物しょくぶつには、植物しょくぶつ寄生きせいするものがられている。そのうち、ヤドリギ自分じぶん自身じしんみどりち、光合成こうごうせいをしており、宿主しゅくしゅ完全かんぜん依存いぞんしているわけではない、という意味いみで、はん寄生きせい植物しょくぶつわれる。ネナシカズラなどは、完全かんぜんうしなっているので、ぜん寄生きせい植物しょくぶつである。

菌類きんるい

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  • 菌類きんるい場合ばあい植物しょくぶつ寄生きせいするものなどで、宿主しゅくしゅとしてきた細胞さいぼうがなければ生育せいいくできない絶対ぜったい寄生きせいきんと、かならずしもきた細胞さいぼう必要ひつようとせずおおくは容易ようい培養ばいようできる条件じょうけんてき寄生きせいきんがある。前者ぜんしゃにはサビキン、ウドンコキンなどがふくまれ、これらは宿主しゅくしゅ細胞さいぼうないに吸器をれて養分ようぶん吸収きゅうしゅうする。後者こうしゃ場合ばあい毒素どくそなどで宿主しゅくしゅ組織そしき部分ぶぶんてきころして破壊はかいしつつ、破壊はかいされた組織そしきからくさなま同様どうよう養分ようぶん吸収きゅうしゅうおこな殺生せっしょうおこなうのが一般いっぱんてきである。
    キノコなかにはべつきん寄生きせいするものがあり、宿主しゅくしゅかたちたもっているものと、宿主しゅくしゅ寄生きせいきん一部いちぶまれるものがある。前者ぜんしゃれいとしては、ツチダンゴるい寄生きせいするタンポタケツチグリ寄生きせいするタマノリイグチなどがある。後者こうしゃれいとしては、ハラタケカブラマツタケぞくSquamanita英語えいごばん、ディソデルマぞくDissoderma)があるがきわめてまれである。
  • イソウロウグモというクモは、自力じりきあみらず、おおきなあみるクモのあみのすみにはいんで、あみあるじらないようなちいさなむしらえてべるという(実際じっさいには諸説しょせつがある)。このれい場合ばあい、イソウロウグモはあみあるじから栄養分えいようぶんうばってはいないが、あみおもによるあみ制作せいさく作業さぎょう依存いぞんして生活せいかつしている。これを寄生きせいなすこともできる。このような、宿主しゅくしゅ作業さぎょう努力どりょく寄生きせいするようなやりかた労働ろうどう寄生きせいという。また、他者たしゃ宿主しゅくしゅ)がらえたえさうばう、あるいはぬすむものをとくぬす寄生きせいという。この両者りょうしゃははっきり区別くべつできない。

鳥類ちょうるい

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  • 鳥類ちょうるいにおいて自分じぶんたまご別種べっしゅけてそだてさせるのをたくたまごというが、これも寄生きせいひとつとえる。同様どうようれい口内こうない飼育しいくをするシクリッドるいたまごべつさかなたまごまぎませてそだてさせるれいがある。

魚類ぎょるい

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  • ミツクリエナガチョウチンアンコウは、ちいさなゆう矮雄)がおおきなめすき、やがて一体化いったいかして精巣せいそう以外いがい器官きかん退化たいか消失しょうしつし、めす付属ふぞく器官きかんじょうになってしまう[1]脊椎動物せきついどうぶつでは非常ひじょうめずらしい、寄生きせいせい適応てきおうしただい規模きぼ変態へんたい事例じれいである。

摂取せっしゅぶつ

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  • 宿主しゅくしゅからだ摂取せっしゅするもの:シラミはい、ハジラミ羽毛うもうう。また、皮膚ひふ一部いちぶるもの、体腔たいこうない栄養えいよう吸収きゅうしゅうするものなどがある。
  • 宿主しゅくしゅ摂取せっしゅしたえさるもの:消化しょうか管内かんない宿主しゅくしゅ摂食せっしょく消化しょうかしたものをとるものもある。消化しょうか管内かんない寄生虫きせいちゅう(たとえばサナダムシなど)は大体だいたいこれにあたる。宿主しゅくしゅ老廃ろうはいぶつ排泄はいせつぶつ摂取せっしゅするものでは、かならずしも宿主しゅくしゅがいおよぼさず寄生きせいとはがた場合ばあいもある。
  • 宿主しゅくしゅ摂取せっしゅする予定よていのものをとる、というものもある。たとえば濾過ろか摂食せっしょくものえらいて微粒子びりゅうしうとか、クモのあみいていとうなどといったものである。ツチハンミョウ場合ばあいさき宿主しゅくしゅのハチのたまごってしまうので、その意味いみでは寄生きせいとはえないが、そのにハチの幼虫ようちゅうのためのえさってそだつ。これも労働ろうどう寄生きせいふくまれる。

生殖せいしょくと「寄生きせい

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寄生きせいとは本来ほんらいしゅあいだ関係かんけいあらわ用語ようごだが、生体せいたいあいだ直接ちょくせつ栄養えいよう授受じゅじゅという意味いみで「めすからだうえゆう寄生きせいする」と表現ひょうげんすることもある。深海しんかいせいアンコウるいには、ゆうめすより極端きょくたんちいさく、めすからだひょうみつくようなかたち固定こていされているものがある。ゆうちいさいあいだめす出会であうと、めすにとりついて、そのまま寄生きせい生活せいかつにはいる。これは深海しんかいという個体こたいすう生息せいそく密度みつどかぎられる環境かんきょうで、繁殖はんしょく出会であいの機会きかい確保かくほするための適応てきおうわれる。これらのなかには、ゆうからだ循環じゅんかんけい消化しょうかけいといった器官きかん退化たいかして、ほとんどめすからだ同化どうかしてしまうミツクリエナガチョウチンアンコウなどのたね存在そんざいする。ほかにも、寄生きせいせい甲殻こうかくるいユムシ動物どうぶつボネリムシコケ植物しょくぶつ一部いちぶなどにそのようなれいがある。このようなゆう矮雄という。

また、胎生たいせい動物どうぶつにおいては胎児たいじ母親ははおや胎内たいないにあって母親ははおやから栄養えいようとう補給ほきゅうけているから、胎児たいじ母親ははおや寄生きせいしているということもできる。同様どうよう関係かんけい種子しゅし植物しょくぶつ本体ほんたい配偶はいぐうたいあいだにも成立せいりつする。

宿主しゅくしゅへの影響えいきょう

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寄生きせい生物せいぶつ宿主しゅくしゅからだしてあたえる影響えいきょうには、さまざまなものがある。

基本きほんてきには、寄生きせいしゃにとって、宿主しゅくしゅ自分じぶん生存せいぞん危険きけんにさらすので、このましいことではない。しかし宿主しゅくしゅいたらしめる寄生きせい生物せいぶつ存在そんざいする。

寄生きせいによって宿主しゅくしゅ重大じゅうだい病気びょうきいのちかかわる被害ひがいける場合ばあいがある。このような現象げんしょうは、寄生きせいしゃ微生物びせいぶつである場合ばあいおおい。それにたいして、ある程度ていど以上いじょうおおきさの寄生きせいしゃ宿主しゅくしゅにそれほどの損害そんがいあたえない場合ばあいおおい。これは寄生きせいしゃにとって、宿主しゅくしゅあいだ移動いどうがその生活せいかつじょうもっと困難こんなん部分ぶぶんであるためであろう。ぎゃくに、微生物びせいぶつおおきさであれば、宿主しゅくしゅあいだ移動いどう空気くうき感染かんせん接触せっしょく感染かんせんなど比較的ひかくてき簡単かんたんであるから、宿主しゅくしゅころすことは寄生きせいしゃ生存せいぞんにとってさほどの負担ふたんとならないのであろう。微生物びせいぶつ寄生きせいしゃであり、その寄生きせいによって宿主しゅくしゅ生活せいかつじょう負担ふたんいられる場合ばあい、その寄生きせいしゃ病原びょうげんたいぶ。

微生物びせいぶつであっても、宿主しゅくしゅはやはり危険きけんなことにちがいはない。したがって、宿主しゅくしゅへの被害ひがい世代せだいるうちにちいさくなるれいがある。梅毒ばいどくコロンブス中央ちゅうおうアメリカからヨーロッパかえったころは、すう週間しゅうかんのうちに重症じゅうしょうしていのちにかかわったというが、現在げんざいではなんねんもかかって重症じゅうしょうするようになっている。

大型おおがた寄生虫きせいちゅうでは、日本にっぽんじゅう吸虫宿主しゅくしゅいのちにかかわるれいであるが、そのようなれいにはおおくない。フィラリアいぬ場合ばあい致命ちめいてきでありえる。ひと場合ばあい象皮病ぞうひびょうこす。これも宿主しゅくしゅ生活せいかつじょうおおきな負担ふたんである。

とくに、本来ほんらい宿主しゅくしゅでない生物せいぶつ寄生虫きせいちゅうが迷入すると、寄生きせい関係かんけいのバランスがくずれて寄生虫きせいちゅうびても生活せいかつたまきつぎ段階だんかい移行いこうできなかったり、宿主しゅくしゅふえちゅうしょうエキノコックスしょうなど致死ちしてきじゅうあつし疾患しっかんをしばしばこす。エイズエボラ出血熱えぼらしゅっけつねつなど、新種しんしゅウイルス感染かんせんしょう同様どうようのことがてはまる。

それ以外いがい大抵たいてい寄生虫きせいちゅうでは、宿主しゅくしゅにさほどの負担ふたんをかけないれいおおい。サナダムシなど、体長たいちょう最大さいだいで10mにたっするが、大抵たいてい場合ばあい健康けんこうがいすることはないとう。人間にんげん寄生きせいするものでも、きよし肛門こうもんからどう生物せいぶつてきたさい精神せいしんてきなショックをける程度ていどで、食糧難しょくりょうなん時代じだいには栄養えいよう摂取せっしゅ阻害そがいするとされていたが、現代げんだい日本にっぽん食糧しょくりょう事情じじょうでは無視むし出来でき範疇はんちゅうとも、なかにはダイエットとして意図いとてき寄生きせいさせるひともいるほどである(種類しゅるいによってはがいのあるものも確認かくにんされているため、そのような方法ほうほうすすめられない)。

昆虫こんちゅう植物しょくぶつ寄生きせいする場合ばあい植物しょくぶつ組織そしき異常いじょう成長せいちょうしてこぶをつく場合ばあいがある。このようなものをむしえいむしこぶ、gall)とび、原因げんいん昆虫こんちゅう食料しょくりょうおよび生育せいいくとなっている。菌類きんるい寄生きせいしてこぶ(きんえい)がしょうじたり枝葉えだは異常いじょう成長せいちょうする(天狗てんぐれいもある。

寄生きせい行動こうどう様式ようしきなどの変化へんか

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寄生きせいしゃ宿主しゅくしゅはたらきかけて、特殊とくしゅ行動こうどうらせるれいがある[2]

吸虫るいロイコクロリディウム(Leucochloridium)である。この寄生虫きせいちゅう成虫せいちゅう宿主しゅくしゅ小鳥ことりであるが、幼生ようせいオカモノアラガイというくがさんかいるい寄生きせいする。かいなか幼生ようせい成熟せいじゅくすると、幼生ようせいかい移動いどうする。そうすると、かいおおきくふくらみ、そのなか幼生ようせいうごくと幼生ようせいしま模様もよう派手はでうごいてえる。オカモノアラガイは普段ふだん物陰ものかげかくれているのに、このときはひょうてくる。それによって幼虫ようちゅう姿すがたとりにつき、とりがやってきてをつつくと、幼虫ようちゅうし、それをとりべることでとり体内たいない侵入しんにゅうする。

植物しょくぶつでも、ヤッコソウはスダジイの内部ないぶ寄生きせいするが、寄生きせいされた地表ちひょう付近ふきんひろがり、そのためヤッコソウのはな地上ちじょうやすくなる。

フクロムシ場合ばあい寄生きせいされたカニひとし甲殻こうかくるいゆうであってもめすする。すなわち、胸部きょうぶがった腹部ふくぶ幅広はばひろくなり、たまごをここにかかえるめすおながたになる。フクロムシのむしたいはカニがだきたまごするときたまごはい場所ばしょ発達はったつするので、このことは、カニにたいしてフクロムシのむしたいたまごかたまりであるようにカニに錯覚さっかくさせ、カニにたまごかたまりまも行動こうどうらせるための操作そうさである可能かのうせい示唆しさされている。

ハリガネムシ宿主しゅくしゅ水辺みずべかうように誘導ゆうどうし、みずなか体外たいがいる。ハリガネムシは宿主しゅくしゅ生殖せいしょく機能きのう喪失そうしつさせる、のう影響えいきょうあたえるタンパク質たんぱくしつ注入ちゅうにゅうする、水辺みずべへの誘導ゆうどうには寄生きせいしたカマキリへんこう識別しきべつできる視覚しかく利用りようするなど、宿主しゅくしゅ改変かいへん能力のうりょく利用りようおこなっている[2][3]

寄生きせいしゃかならずしも栄養えいようなどを収奪しゅうだつするだけの存在そんざいではなく、宿主しゅくしゅにいくらかの利益りえきをもたらす場合ばあいがある。れいとして、ヒトの寄生虫きせいちゅうであるサナダムシは、ちょうないまり、経口けいこう摂取せっしゅした栄養えいよううばうだけの存在そんざいだが、同時どうじにこの「異物いぶつ存在そんざい」が免疫めんえきけい刺激しげきし、健全けんぜんからだ機能きのう維持いじ役立やくだつという研究けんきゅうれいもあり、この場合ばあいにおいてヒトとサナダムシの関係かんけい寄生きせい共生きょうせいかとてん議論ぎろんまとになりる。

また、寄生きせい生物せいぶつ生活せいかつ状態じょうたい細胞さいぼう組織そしき侵蝕しんしょくおこなえる機能きのうを、アブラムシひとし口器こうきから植物しょくぶつふるいかんえき単体たんたい抽出ちゅうしゅつしたり、ウイルスのもつ細胞さいぼう遺伝子いでんし能力のうりょく遺伝子いでんし操作そうさへの応用おうようなどで人為じんいてき活用かつようおこなわれている。

固着こちゃくせい動物どうぶつには、動物どうぶつたい表面ひょうめん付着ふちゃくするものがある。これは当然とうぜんたんなる付着ふちゃくであるが、なかには固定こていのためにじょう構造こうぞう動物どうぶつ体内たいない侵入しんにゅうさせるものがある。これが寄生きせい生活せいかつへのひとつの経路けいろともわれる。

くさなま植物しょくぶつはかつては死物しぶつ寄生きせいおこなっているとされ、植物しょくぶつ遺体いたい寄生きせいするとなされたが、寄生きせいという概念がいねんおお生物せいぶつあいだ相互そうご作用さようすものであるため、この用語ようご現在げんざいではあまり一般いっぱんてきではない。そのくさなま植物しょくぶつという用語ようご使つかわれたが、これらの植物しょくぶつ直接的ちょくせつてきにはきんきんから栄養えいようていること、およびきんきんかならずしもくさなませいではないことからきん従属じゅうぞく栄養えいよう植物しょくぶつほう正確せいかくである。これらの植物しょくぶつ栄養えいようてきには菌類きんるい寄生きせいしている。

とくランではきん寄生きせいせいにさまざまな発達はったつられ、どう種子しゅし生育せいいく必要ひつよう栄養分えいようぶんをまったくっておらず、すくなくとも生育せいいく初期しょき段階だんかいにはきん寄生きせいしているとえる(ムヨウランるいはこれをさらにすす完全かんぜんくさなませい移行いこうしたものとかんがえられる)。生育せいいく十分じゅうぶん光合成こうごうせい能力のうりょくつとかんがえられるランでも、移植いしょくすると枯死こししてしまう、はら生地きじ以外いがい土壌どじょうでは栽培さいばいできないものがられており、こうしたたね原生げんせいべつ植物しょくぶつともそだてることが可能かのうというれいもあり、植物しょくぶつきん共生きょうせいけいなんらかのかたち寄生きせいてき依存いぞんしているものとかんがえられる。

菌類きんるいにおいて、きた生物せいぶつから直接ちょくせつ栄養えいようているものは寄生きせいせい菌類きんるいばれる。また、ワムシせんちゅうなどの動物どうぶつ捕食ほしょくするものもある。たとえば食用しょくようきのこであるヒラタケせんちゅう捕食ほしょくのうつ。接合せつごうきんつなトリモチカビ捕食ほしょくせい菌類きんるいは、基質きしつじょう菌糸きんしうえしょう動物どうぶつらえ、そこから栄養えいよう吸収きゅうしゅうして生活せいかつしている。ところがこのグループには、そのようなしょう動物どうぶつ宿主しゅくしゅとしてその体内たいないだけに菌糸きんしたい発達はったつさせる寄生きせいせいのものもふくまれ、捕食ほしょく寄生きせい接点せってんひとつとかんがえられている。

白癬はくせんきん水虫みずむし)は、きた動物どうぶつ角質かくしつ侵蝕しんしょくする寄生きせいきんだが、かつなま細胞さいぼう組織そしき分解ぶんかい吸収きゅうしゅうしているにぎず、くさなまきんとの区別くべつ曖昧あいまいなところもある。

脚注きゃくちゅう

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関連かんれん項目こうもく

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