小倉おぐら黒人こくじん米兵べいへい集団しゅうだん脱走だっそう事件じけん

小倉おぐら黒人こくじん米兵べいへい集団しゅうだん脱走だっそう事件じけん（こくらこくじんべいへいしゅうだんだっそうじけん）は、1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）7月がつ11日にち、連合れんごう国軍こくぐん占領せんりょう下かの日本にっぽんである福岡ふくおか県けん小倉こくら市し（現げん北九州きたきゅうしゅう市し）で発生はっせいしたアメリカ陸軍りくぐんの兵士へいしの大量たいりょう脱走だっそう事件じけんである。基地きちから多数たすうのアフリカ系けいアメリカ人じん（黒人こくじん）兵へいが集団しゅうだんで脱走だっそうし、周辺しゅうへん地区ちくの住民じゅうみんに略奪りゃくだつや暴行ぼうこう、強姦ごうかんを行おこなった。しかし連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれい官かん総そう司令しれい部ぶ(GHQ)による情報じょうほう規制きせいのためほとんど報道ほうどうされず、被害ひがい者しゃも口くちを閉とざしたことから、事件じけんの詳細しょうさいは分わかっていない。

小倉おぐら黒人こくじん米兵べいへい集団しゅうだん脱走だっそう事件じけん
場所ばしょ	日本にっぽん福岡ふくおか県けん小倉こくら市し城野しろの
日付ひづけ	1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）7月がつ11日にち18時じ頃ごろ – 7月がつ12日にち夕方ゆうがた
攻撃こうげき側がわ人数にんずう	約やく200人にん
武器ぶき	U.S.M1カービン・拳銃けんじゅう・手榴弾しゅりゅうだんなど
影響えいきょう	憲兵けんぺい副官ふっかんに黒人こくじんを登用とうよう 作家さっか・松本まつもと清張せいちょうが小説しょうせつ『黒地くろじの絵え』を発表はっぴょう。
管轄かんかつ	小倉こくら市し警察けいさつ

背景はいけい

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん（太平洋戦争たいへいようせんそう、大だい東亜とうあ戦争せんそう）終結しゅうけつ後ご、小倉こくら市しにあった歩兵ほへい第だい14連隊れんたい（小倉こくら連隊れんたい）の跡地あとちには、進駐軍しんちゅうぐんとしてアメリカ陸軍りくぐん第だい24歩兵ほへい師団しだんが駐屯ちゅうとんするキャンプ小倉こくら（現げん・陸上りくじょう自衛隊じえいたい小倉駐屯地こくらちゅうとんち）が設置せっちされた。小倉おぐらには米兵べいへいを相手あいてに商売しょうばいをする者ものが集あつまり、パンパンの数かずも増加ぞうかしていった。

1950年ねん6月がつに入はいると、小倉おぐら市内しないのペンキ屋やに軍帽ぐんぼうやジープの塗ぬり直なおしが大量たいりょう発注はっちゅうされ、米兵べいへいたちにも武器ぶきの手入ていれが命めいじられる。6月25日にち、北朝鮮きたちょうせんの朝鮮人民軍ちょうせんじんみんぐん十じゅう個こ師団しだんが大韓民国だいかんみんこくに侵入しんにゅうし、朝鮮ちょうせん戦争せんそうが勃発ぼっぱつした。朝鮮半島ちょうせんはんとうに最もっとも近ちかい場所ばしょにあった第だい24歩兵ほへい師団しだんは、6月30日にちには第だい1大隊だいたいの通称つうしょう「スミス支隊したい」が派遣はけんされるなど、続々ぞくぞくと朝鮮半島ちょうせんはんとうに派遣はけんされていった。小倉こくら市し砂津すなつの北九州きたきゅうしゅう港こうの岸壁がんぺきでは、リバティ船せんやLSTが続々ぞくぞくと横付よこづけされ、規制きせい線せんが張はられて慌あわただしく出港しゅっこう準備じゅんびが進すすむ中なか、米兵べいへいと馴染なじみのパンパンが別わかれを悲かなしむ光景こうけいがあった。

第だい24歩兵ほへい師団しだんと朝鮮人民軍ちょうせんじんみんぐんの戦闘せんとうは熾烈しれつを極きわめ、7月がつ17日にちは師団しだん本部ほんぶが直接ちょくせつ攻撃こうげきされ壊滅かいめつ。ウィリアム・F・ディーン師団しだん長ちょう自みずからゲリラ戦せんを展開てんかいするなど激戦げきせんが続つづいた。米べい軍ぐんを指揮しきする第だい8軍ぐん司令しれい官かんのウォルトン・ウォーカーは、激闘げきとうを繰くり広ひろげる米兵べいへいへの慰問いもんの一環いっかんとして、12月に帰休ききゅう（リターン・レスト、Return Rest）の制度せいどを設もうけた。朝鮮半島ちょうせんはんとうで戦闘せんとうに従事じゅうじする米兵べいへいを空路くうろで芦屋あしや基地きちに送還そうかんし、キャンプ小倉こくら内ないに設置せっちしたRRセンターで5日にちから1週間しゅうかんの休養きゅうようを与あたえられた。RRセンターで身支度みじたくを整ととのえた米兵べいへいは小倉おぐらの町まちに繰くり出だしたが、売春ばいしゅんなどで彼かれらが小倉おぐらで消費しょうひした日本円にほんえんは1ヶ月かげつで4億おく円えんにも及およんだ。

一方いっぽうで、明日あしたには激戦げきせん地ちに送おくられ、帰休ききゅうしても再ふたたび激戦げきせん地ちに戻もどる米兵べいへいの心しんは荒あれ、自暴自棄じぼうじきによる犯罪はんざいが続発ぞくはつした。7月4日にちには、小倉こくら市し下城野しもじょうの（現げん・小倉南こくらみなみ区く下城野しもじょうの）で23歳さいの米兵べいへいが銃剣じゅうけんで一家いっか5人にんを襲撃しゅうげきし、5歳さいの娘むすめを除のぞく4人にんを殺害さつがいする事件じけんが起おきた。しかし小倉こくら市し警察けいさつには捜査そうさの権限けんげんが無なく、憲兵けんぺいからの「軍法ぐんぽう会議かいぎで処罰しょばつする」という通達つうたつと、娘むすめへの60万まん円えんの保証ほしょう金きんだけで事件じけんは解決かいけつさせられた。

7月がつ9日にち、壊滅かいめつした第だい24歩兵ほへい師団しだんの補充ほじゅうとして、黒人こくじんを中心ちゅうしんに構成こうせいされた第だい25歩兵ほへい師団しだん第だい24歩兵ほへい連隊れんたいが、岐阜ぎふ県けんから小倉こくら市しの城野しろの補給ほきゅう基地きち（後のちに陸上りくじょう自衛隊じえいたい城野しろの分ぶん屯たむろ地ち、現在げんざいのJR城野じょうの駅えき北側きたがわ住宅じゅうたく地ち）に送おくられてきた。

脱走だっそう

7月がつ11日にち、戦後せんご初はじめて開催かいさいされる小倉こくら祇園ぎおん太鼓たいこの前夜祭ぜんやさいの中なか、17時じには2人ふたりの黒人こくじん兵へいが近所きんじょの酒さけ店てんを訪おとずれ、見本みほんの一升瓶いっしょうびんを持もち去さった。18時じ頃ごろ、約やく200人にんの兵士へいしが基地きち西側にしがわの有刺鉄線ゆうしてっせんを破やぶり集団しゅうだん脱走だっそうした。脱走だっそう兵へいたちは野戦やせん服ふくのままカかービン銃びんじゅうや拳銃けんじゅう、手榴弾しゅりゅうだんで武装ぶそうしており、周辺しゅうへん住民じゅうみんには演習えんしゅうと思おもう者ものもいた。基地きちの周囲しゅういは水田すいでんで、大量たいりょうの兵士へいしが脱走だっそうする様ようは「黒くろいサルの集団しゅうだんが走はしり去さるようだった」という。

脱走だっそう兵へいは基地きち周辺しゅうへんの足立あだちや足原あしはら、三郎丸さぶろうまる、熊本くまもと町まちに繰くり出だし、酒さけ店てんに押おし入いり酒さけを盗ぬすみ、焼酎しょうちゅうの小瓶こびんまで盗ぬすんで店舗てんぽを破壊はかいしたり、民家みんかの箪笥たんすをひっくり返かえすなどの狼藉ろうぜきを働はたらいた。

脱走だっそう兵へいは女性じょせいをもとめて家いえの扉とびらをこじ開あけようとしたが、住民じゅうみんは妻つまや娘むすめを押入おしいれや便所べんじょに隠かくしたりして脱走だっそう兵へいが去さるのを待まった。隣接りんせつする福岡ふくおか県立けんりつ小倉こくらろう学校がっこう（現げん・福岡ふくおか県立けんりつ小倉こくら聴覚ちょうかく支援しえん学校がっこう）の寄宿舎きしゅくしゃにも白人はくじん1人にんを含ふくむ3人にんの脱走だっそう兵へいが侵入しんにゅうし、舎監しゃかんに拳銃けんじゅうを突つきつけ女おんなを出しゅっせと迫せまった。脱走だっそう兵へいの数かずが20 – 30人にんに増ふえたが、舎監しゃかんがとっさに町まちの方ほうを指ゆびさしたので脱走だっそう兵へいはその方向ほうこうにあった旧きゅう小倉おぐら陸軍りくぐん造兵ぞうへい廠しょうの宿舎しゅくしゃに向むかった。脱走だっそう兵へいが学校がっこうを立たち去さった後のち、女子じょし生徒せいとを浴室よくしつの風呂ふろ桶おけの中なかに隠かくして男性だんせい教諭きょうゆが寝ねずの番ばんをしたが、宿舎しゅくしゃの方ほうから女性じょせいの悲鳴ひめいがしたという。このほかにも、各地かくちで女性じょせいの悲鳴ひめいが聞きこえたという証言しょうげんがあり、悲鳴ひめいが聞きこえたところへ行いくと髪かみが乱みだれ泥どろだらけの女性じょせいがうずくまっていたという例れいは「いくらもあった」という。しかし、婦女ふじょ暴行ぼうこう既遂きすいの報告ほうこくは1件けんも無なかったと結論けつろん付つけられており、被害ひがい者しゃや周囲しゅういがひた隠かくしにして表おもてざたにならない性せい暴行ぼうこう事件じけんも多数たすうあったと伝つたえられる。当時とうじの浜田はまだ良りょう祐ゆう小倉こくら市長しちょうは「後日ごじつ、警察けいさつから報告ほうこく書しょが届とどいた。風呂ふろ帰がえりの主婦しゅふが襲おそわれた、夫おっとの眼前がんぜんで犯おかされた、いまの競輪けいりん場じょうの近ちかくに娘むすめさんが意識いしき不明ふめいで倒たおれていたなど、人身じんしん被害ひがいだけで20件けんくらいはあった。実際じっさいの被害ひがい者しゃはもっといたのではないか。報告ほうこく書しょを残のこしておくと差さし障さわりがあると思おもい、焼やき捨すてた」と述のべている。この警官けいかん隊たいは一時いちじ「黒人こくじん兵へいに包囲ほういされて集中しゅうちゅう射撃しゃげきを食くい全滅ぜんめつしたらしい」という情報じょうほうもあったが、後あとで無事ぶじが確認かくにんされる。不穏ふおんな状態じょうたいだったことは分わかるが、被害ひがいがいまひとつはっきりつかめない。そんな中なかで、伝聞でんぶんだが、実態じったいがうかがえる証言しょうげんがようやく出でてくる。。

事件じけん後ご、小倉おぐら警察けいさつ署しょ（現げん・小倉北こくらきた警察けいさつ署しょ）で米べい軍ぐん立たち合あいの元もと、市民しみんからの被害ひがい申もうし立たてが行おこなわれた。強盗ごうとう、窃盗せっとう、暴行ぼうこう、傷害しょうがい、強姦ごうかんは、警察けいさつや憲兵けんぺい隊たいに報告ほうこくされたものだけで70数すう件けんにのぼり、米べい国立こくりつ公文書こうぶんしょ館かんにも窃盗せっとうや強姦ごうかん未遂みすい42件けんの記録きろくが残のこされている。しかしこれらの事件じけんで小倉こくら市し警察けいさつが検挙けんきょしたのは殺人さつじんの1件けんのみで、強姦ごうかんなど申告しんこくされていない事件じけんもあり、その真相しんそうは不明ふめいである。

鎮圧ちんあつ

小倉こくら市し警察けいさつは憲兵けんぺい隊たいと協力きょうりょくして、拳銃けんじゅうだけで鎮圧ちんあつに動うごいた。

この間あいだ、脱走だっそう兵へいの事実じじつは隠かくされ、朝日新聞あさひしんぶん西部せいぶ本社ほんしゃのニュースカーが「三萩野みはぎのから南みなみの交通こうつうが遮断しゃだんされるので、芦塚あしづか、城野しろの方面ほうめんの帰宅きたく者しゃは派出所はしゅつじょに情報じょうほうを尋たずねること」と呼よびかけるだけだった。

三萩野みはぎの派出所はしゅつじょに市民しみんからの通報つうほうがあり、小倉こくら市し警察けいさつは初はじめて事件じけんの発生はっせいを知しった。小倉玉屋こくらたまやの前まえにあった米べい軍ぐんの憲兵けんぺい司令しれい部ぶが鎮圧ちんあつにあたることになり、米べい軍ぐんによる非常ひじょう線せんが張はられたのは、脱走だっそうが発生はっせいして2時じ間あいだほど経過けいかしてからのことだった。三萩野みはぎのから北方ほっぽうの「電車でんしゃ通どおり」を中心ちゅうしんに自動じどう小銃しょうじゅうや機関きかん銃じゅう、20mm機関きかん砲ほうで武装ぶそうした憲兵けんぺい隊たいのジープが展開てんかいした。応援おうえんを要請ようせいされた小倉こくら市し警察けいさつも、拳銃けんじゅうを武器ぶきに全ぜん署員しょいんを非常ひじょう招集しょうしゅう、清水しみず・旦だん過か橋はし・香春口かわらぐちに非常ひじょう線せんを敷しいて交通こうつうを遮断しゃだんし、警戒けいかいにあたった。憲兵けんぺい司令しれい部ぶの当直とうちょく担当たんとうだったマグリアノ憲兵けんぺい曹長そうちょうは、ともに鎮圧ちんあつにあたる小倉こくら署しょの巡査じゅんさに次つぎのように注意ちゅういした。

やつらが少すこしでも手てを降おろそうとしたら撃うち殺ころしてしまえ。遠慮えんりょしたらやられるぞ。

マグリアノ曹長そうちょうは巡査じゅんさと共ともに20mm機関きかん砲ほうを装備そうびしたジープで走はしり回まわりながら、兵士へいしの拳銃けんじゅうの弾倉だんそうを抜ぬき取とり、ワインの窃盗せっとうが判明はんめいした兵士へいしは殴なぐるなど、事態じたいの鎮圧ちんあつに動うごいた。基地きちに戻もどされた兵士へいしの中なかには、白人はくじんの中隊ちゅうたい長ちょうから認識にんしき票ひょうをむしり取とられる処罰しょばつを受うける者ものもいた。小倉こくら市し警察けいさつは非常ひじょう線せんで脱走だっそう兵へいを基地きちに押おし戻もどそうとし、市民しみんを基地きちに近ちかづけないようにした。10名めいの署員しょいんが十じゅう四よん年ねん式しき拳銃けんじゅうと警棒けいぼうだけで基地きちの北東ほくとう側がわにある黒原くろばる営団えいだん住宅じゅうたく（現げん・城野団地じょうのだんち）に向むかったが、脱走だっそう兵へいの数かずが多おおすぎ、ついには30 – 40人にんの脱走だっそう兵へいに囲かこまれた。23時半じはんには「警官けいかん隊たいが集中しゅうちゅう射撃しゃげきを受うけ全滅ぜんめつ」の報ほうが小倉こくら署しょに届とどき、署員しょいんが憲兵けんぺい隊たいのジープで救出きゅうしゅつに向むかったが、警官けいかん隊たいは脱走だっそう兵へいと白人はくじんの憲兵けんぺいの銃撃じゅうげき戦せんの中なか、匍匐ほふくで脱出だっしゅつしたため無事ぶじだった。結局けっきょく、少しょう人数にんずうの憲兵けんぺい隊たいと小倉こくら市し警察けいさつでは対応たいおうできず、米べい陸軍りくぐん二に個こ中隊ちゅうたいが鎮圧ちんあつのために出動しゅつどうした。装甲車そうこうしゃに分乗ぶんじょうした中隊ちゅうたいは脱走だっそう兵へいと市街しがい戦せんになったほか、基地きちの西側にしがわでも弾道だんどうが飛とび交かう銃撃じゅうげき戦せんが起おきた。

夜よる23時半じはんになって、第だい24歩兵ほへい連隊れんたいのスミス代将だいしょうが脱走だっそう兵へいを説得せっとくし回まわって鎮圧ちんあつに入はいったが、2、3人にんで徒党ととうを組くみカかービン銃びんじゅうで武装ぶそうした脱走だっそう兵へいは朝あさ6時じ頃ごろまで市中しちゅうをうろつき、市民しみんは夏なつなのに雨戸あまどを閉とじて一夜いちやを過すごした。翌朝よくあさ、小倉こくら署しょ管内かんないの派出所はしゅつじょには、押収おうしゅうされた手榴弾しゅりゅうだんや銃弾じゅうだん、銃剣じゅうけんが山積やまづみされた。

最後さいごまで脱走だっそうした黒人こくじん兵へいは、12日にち夕方ゆうがたに首くびから銃じゅうを下さげ、右手みぎてに靴くつ、左手ひだりてにウイスキーの空そら瓶びんを持もったまま小文字こもじ通どおりで逮捕たいほされた。しかし、7月がつ14日にちに小倉こくら地区ちく憲兵けんぺい司令しれい官かんは数すう名めいの黒人こくじん兵へいと白人はくじん兵へいが帰き隊たいしていないと発表はっぴょうし、見みつけた場合ばあいは小倉おぐら憲けん兵隊へいたいか最寄もよりの警察けいさつ署しょに報告ほうこくするよう市民しみんに要望ようぼうした。

事件じけん後ご

米べい軍ぐんのなかで黒人こくじん部隊ぶたいは厳きびしい人種じんしゅ差別さべつにさらされ、黒人こくじんだけの人種じんしゅ隔離かくりされた部隊ぶたいの中なかで、激戦げきせん地ちに送おくられる恐怖きょうふと自暴自棄じぼうじきが高こうじ、小倉こくら祇園ぎおん太鼓たいこの祭まつり囃子ばやしがきっかけで脱走だっそうにつながったと言いわれている。第だい24歩兵ほへい連隊れんたいは2日にち後ごに朝鮮半島ちょうせんはんとうへ出発しゅっぱつし、朝鮮半島ちょうせんはんとう北部ほくぶで全滅ぜんめつした。

強姦ごうかんの被害ひがいに遭あった世帯せたいの中なかには、噂うわさが広ひろまり転居てんきょを余儀よぎなくされた世帯せたいや、目めの前まえで妻つまが強姦ごうかんされた夫おっとが酒浸さけびたりになって溺死できしし生活せいかつに困窮こんきゅうする世帯せたいもあった。

7月がつ13日にち、キャンプ小倉こくら司令しれい官かんのロバート大佐たいさは、「当地とうちの米べい軍ぐんに不吉ふきつな事件じけんが発生はっせいした」ことに遺憾いかんの意いを示しめし、全すべての違反いはんは当局とうきょくに起訴きそされ処罰しょばつされるという談話だんわを発表はっぴょうした。1ヶ月かげつ後ご、黒人こくじん兵へいの感情かんじょうに応こたえるため、キャンプ小倉こくらの憲兵けんぺい副長ふくちょうに初はつの黒人こくじんであるタケット中尉ちゅういが任命にんめいされた。

当時とうじ、小倉おぐらに住すんでいた松本まつもと清張せいちょうは、『半生はんせいの記き』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、1966年ねん）で当とう事件じけんを記録きろくしているほか、この事件じけんを題材だいざいにした小説しょうせつ『黒地くろじの絵え』を発表はっぴょうしている。

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• 『目録もくろく20世紀せいき 1950』 講談社こうだんしゃ刊かん
• 『朝鮮ちょうせん戦争せんそう』 児島こじま襄じょう著しる
• 『門司もじと小倉こくらの歴史れきしから九州きゅうしゅうがわかる話はなし27 アメリカ陸軍りくぐん黒人こくじん兵へいの暴動ぼうどうと北九州大きたきゅうしゅうだい水害すいがい』田郷たごう利雄としお、J・F刊かん

外部がいぶリンク

• 松本まつもと清張せいちょうの小説しょうせつ『黒地くろじの絵え』の題材だいざいにもなった事件じけんで朝鮮ちょうせん戦争せんそうのとき小倉こくら市しの米べい軍ぐんキャンプから米兵べいへいが脱走だっそうした事ことが載のっている資料しりょうを紹介しょうかいしてください。- レファレンス協同きょうどうデータベース