山岳戦とは、山岳地帯や高地における野戦である。山岳戦の主役は、山岳兵のような軽歩兵である。
山岳戦では車両類の使用に大きな制限を受け、遮蔽物や視界・射界の確保、さらに緊急時の白兵戦などで優位になりやすい高台に位置する緊要地形・掩体・陣地・拠点を巡る戦いが多くなる。起伏が激しく濃霧の発生しやすい地形であるため、隊形や視界などが混乱する場合があり、さらに重い軍用装備を担いで高地を縦走するのは体力の消耗が激しい。また、特に海抜が数千mにのぼる地帯では大気中の酸素が希薄になるため呼吸が困難になりやすく高山病の危険性が高くなるため、任務によっては特殊な訓練を施された将兵を投入する必要がある。
また、高地においては天候の変化が激しく、雨の多い地域では落雷や土砂崩れ、寒冷地ではクレバスや雪崩などにも注意を要する。
山岳地帯においては車両の機動力も著しく減衰する。狭隘な地形では大型の機材を運用しにくいほか、アップダウンの多い地形や不整地では車体や乗員への負荷が大きく、急加減速を多用せざるを得ないため燃料消費も多くなる。一方、ヘリコプターは機動力を発揮できるものの、天候の悪化に弱いほか降着地点が制限される欠点がある。また、固定翼機と比較した場合は速力や搭載量、燃費効率や航続距離に劣り、とくに低空飛行の場合は地対空ミサイルの的になりやすい。
高所を取るメリットとして、敵をいち早く発見でき、遠距離兵器の有効射程を伸ばし、逆に敵の遠距離兵器を届かせるのに接近を要求し、物を落すことで接近を妨害でき、丘や稜線などに体を隠すことで被弾面積減らすハルダウンを行え、敵は必然的に弱点である頭や車両の上面を晒すことになるなどがある。
また、ゴラン高原、チベット高原などは重要な水源であり、これらの保全は国家戦略として重要度が高い。
登攀訓練中のドイツ連邦陸軍の山岳兵
山岳戦を展開するための部隊である。高度な登山技術やサバイバル術を備える。また、重装備を多く携行できないため、山岳兵自身の戦闘能力に頼らざるを得ず、空挺部隊や海兵隊と並ぶ精鋭歩兵である。
大陸国家は、山岳部が自然国境になっている場合が多いため、大規模な山岳部隊を有している事が多い。とりたてヨーロッパでは、伝統ある山岳部隊が多く編成されている。
山岳戦が展開された戦争・紛争
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