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歩兵 - Wikipedia

歩兵ほへい(ほへい、えい: infantry)は、おも徒歩とほ戦闘せんとうする兵士へいしである。戦闘せんとう治安ちあん維持いじ災害さいがい対処たいしょなどあらゆる任務にんむ対応たいおうし、つね国防こくぼう骨幹こっかんとなる戦力せんりょくである。自衛隊じえいたい用語ようごでは普通ふつうという。

M4カービンM249けい機関きかんじゅうかまえてバグダード偵察ていさつ任務にんむ遂行すいこうするべい陸軍りくぐんだい2歩兵ほへい師団しだん所属しょぞく歩兵ほへい

概説がいせつ

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歩兵ほへい古代こだいから現代げんだいまでつね陸上りくじょう戦力せんりょく基幹きかんであり、さまざまな地形ちけい任務にんむ状況じょうきょう柔軟じゅうなん対応たいおうし、戦闘せんとう最終さいしゅうてき勝敗しょうはいけっするものである。

アサルトライフル機関きかんじゅう手榴弾しゅりゅうだんあるいは対戦たいせんしゃ兵器へいきなどのしょう火器かき携行けいこうする。機動きどうちから重視じゅうしされる現代げんだい戦争せんそうにおいては歩兵ほへい機械きかいされることがおおい。歩兵ほへい戦闘せんとうしゃ装甲そうこう兵員へいいん輸送ゆそうしゃなどの車輛しゃりょうAFV)で歩兵ほへい移動いどうする歩兵ほへい自動車じどうしゃ歩兵ほへいという。ぎゃく戦場せんじょうでAFVの支援しえんけない歩兵ほへいけい歩兵ほへいんで区別くべつする。またしゅとして固定こていつばさ航空機こうくうき輸送ゆそう)で移動いどう落下傘らっかさん降下こうかできる歩兵ほへい空挺くうていへいしゅとして回転かいてんつばさヘリコプター)で移動いどうする歩兵ほへい空中くうちゅう機動きどう歩兵ほへいなどとぶ。また、艦隊かんたい配置はいちされた歩兵ほへいである海兵かいへいたい海軍かいぐん歩兵ほへい)や、艦船かんせん乗組のりくみいん武装ぶそうさせて歩兵ほへい仕立したてた陸戦りくせんたいもある。近年きんねん非対称ひたいしょうせんへの要求ようきゅうたかまり、歩兵ほへいをさらに精鋭せいえいした特殊とくしゅ部隊ぶたい需要じゅようしている。

歩兵ほへい歴史れきし

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歴史れきしつうじてても、歩兵ほへいはほとんどの軍隊ぐんたいにおいてかくとなる存在そんざいであった。これは歩兵ほへい戦闘せんとう能力のうりょく柔軟じゅうなんせい多様たようせいによる部分ぶぶんおおきい(有事ゆうじにおいて急速きゅうそく補完ほかんすることも可能かのう戦力せんりょくといういちめんもある)。ここでは、近代きんだい世界せかい軍隊ぐんたいおおきな影響えいきょうあたえた欧州おうしゅうのものを中心ちゅうしんに、歩兵ほへい歴史れきしをおおまかに辿たどる。

あぶみ発明はつめいされておらず、車輪しゃりんもようやく発明はつめいされたばかりの古代こだい社会しゃかいにおいては騎兵きへい部隊ぶたい戦車せんしゃ部隊ぶたいといった兵種へいしゅはごくかぎられた市民しみんなどの階級かいきゅう担当たんとうするのがつねであり、したがって騎馬きば民族みんぞくのぞほとんどの文明ぶんめい主力しゅりょく部隊ぶたい歩兵ほへいだった。そもそも新大陸しんたいりく太平洋たいへいよう諸島しょとうのように車輪しゃりんどころかうまとその大型おおがた家畜かちくすららない文明ぶんめいであれば歩兵ほへいのみが戦力せんりょくとなり機動きどうりょく突進とっしんりょく兵站へいたんめんでの運搬うんぱん能力のうりょくがそこでおおきくがれた。それは外部がいぶから車輪しゃりん大型おおがた家畜かちくまれるまで、それこそ現代げんだいいたるまでつづいた。

古代こだいギリシア時代じだいポリス都市とし国家こっか)の市民しみんになとするじゅうそう歩兵ほへい誕生たんじょうし、かれらが密集みっしゅう隊形たいけいんでたたか戦術せんじゅつファランクス)がもちいられるようになった。この革新かくしんてき戦術せんじゅつペルシャ戦争せんそうにおいて、すうてきまさるペルシャぐんなんやぶったことでその勇名ゆうめいひろめた。ギリシアではこのほかにもパノプリア完全かんぜんよろい)やペルタステス軽装けいそうへい)といった歩兵ほへい登場とうじょうする。ギリシャの歩兵ほへい戦術せんじゅつアレクサンドロス大王だいおう時代じだいヘタイロイ中核ちゅうかくとするマケドニアぐん騎兵きへい戦術せんじゅつ合体がったい鉄床かなとこ戦術せんじゅつ)し、東方とうほう一大いちだい帝国ていこくをきずきあげる要因よういんとなった。さらにそれよりのち覇権はけんにぎことになる古代こだいローマは、ギリシャとおな市民しみんへい制度せいどであり、騎兵きへい安定あんてい供給きょうきゅうむずかしいなどよく環境かんきょう存在そんざいしていたことから、はじめは自然しぜんとファランクスを模倣もほうしていた。しかし騎兵きへい活用かつようしたカルタゴぐんとのたたかいやへい戦術せんじゅつるガリアぐんとのたたかいのなか次第しだい独自どくじ戦術せんじゅつしていき、こうした努力どりょくレギオンというより洗練せんれんされた編制へんせい隊形たいけい指揮しき系統けいとう戦術せんじゅつつながっていった。またその構成こうせい要員よういんすうせんにんにまでたっするようになった。

中世ちゅうせいから近世きんせい

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蛮族ばんぞくだい移動いどうにより西にしマ帝国まていこく崩壊ほうかいすると、あらたにおとずれた中世ちゅうせいヨーロッパにおいてはそのながきにわたって、歩兵ほへいわり騎兵きへいぐん優位ゆういめる時代じだいとなった。これにはうま改良かいりょうあぶみ登場とうじょうだけでなく、戦闘せんとう形態けいたいだい勢力せいりょくによる軍勢ぐんぜい衝突しょうとつから、騎馬きば民族みんぞくあらりゃくたいする迎撃げいげき追撃ついげき焦点しょうてん移動いどうしたためである。じゅうそう騎兵きへい日々ひび訓練くんれん必要ひつようでありまたウマの肥育ひいく装備そうび準備じゅんびなど経済けいざいりょく要求ようきゅうされることから、封建ほうけん社会しゃかい確立かくりつ地方ちほう分権ぶんけん進展しんてんにより定着ていちゃくした。かつてのような市民しみんへいからなる歩兵ほへい密集みっしゅう隊形たいけい姿すがたし、わりに少数しょうすう貴族きぞくによるじゅうそう騎兵きへい騎士きし)がたたかいの中心ちゅうしんとなった。こうした傾向けいこう最終さいしゅうてきいちという儀礼ぎれいてき戦闘せんとうわすのみにまで陸戦りくせん戦術せんじゅつてき退化たいかまねいた。

しかし中世ちゅうせい後期こうきごろから中央ちゅうおう集権しゅうけんたした大国たいこく同士どうしせんえるとふたたたたかいは歩兵ほへい中心ちゅうしんとしたものにもどはじめる。中世ちゅうせいわりにきたひゃくねん戦争せんそうちょうゆみへいやりへい主力しゅりょくとするイングランドぐんが、貴族きぞく騎士きしからなるフランスぐん騎兵きへい部隊ぶたい完膚かんぷなきまでにやぶり(クレシーのたたかポワティエのたたか)、その決定的けっていてき契機けいきになった。歩兵ほへいふたた軍隊ぐんたいにおけるもっと重要じゅうよう存在そんざいへと復権ふっけんたし、騎兵きへい副次的ふくじてき存在そんざいとして軽装けいそうさから機動きどうせい重要じゅうようされるようになった。マキャベリ君主くんしゅろんにおいて騎兵きへいによる散発さんぱつ戦闘せんとうではなく、常設じょうせつ歩兵ほへいぐんによる集団しゅうだん戦法せんぽう有効ゆうこうせいろんじた。

騎士きし文化ぶんか過去かこものとしたちょうゆみは、より貫通かんつうりょく殺傷さっしょうりょくたかマスケットじゅう登場とうじょうしたのちも、射程しゃてい命中めいちゅうりつ攻撃こうげきりょく集中しゅうちゅう発射はっしゃ速度そくどてんすぐれていたことから並行へいこうしてすうひゃくねんあいだ使用しようされつづけた。しかしちょうゆみ効果こうかてき使つかうためには非常ひじょう熟練じゅくれんようする武器ぶきであり、実戦じっせんたたかえるまで訓練くんれんするのにはなが時間じかんがかかった。このような欠点けってんとは反対はんたいに、テルシオ隊形たいけいさんへい戦術せんじゅつ研究けんきゅうすすみ、またすう週間しゅうかんからすうげつ訓練くんれんした多数たすう人員じんいん豊富ほうふ資金しきんじゅう火薬かやく製造せいぞうしょさえあれば、編制へんせい可能かのうなマスケットじゅうへい部隊ぶたいもちいられるようになった。また近世きんせいより産業さんぎょう進行しんこうし、田園でんえんてき貴族きぞくせいすたれて、都市としひととみ集中しゅうちゅうしたことが、訓練くんれん十分じゅうぶんではないもののだい規模きぼ歩兵ほへい部隊ぶたい迅速じんそく招集しょうしゅう可能かのうにした。

騎兵きへい機動きどうせい向上こうじょうつよ打撃だげきりょく対応たいおうして、歩兵ほへいにとってはやりまもため重要じゅうよう武器ぶきとなった。当初とうしょはマスケットじゅうへいやりへいパイクへい)が混成こんせいされ、発砲はっぽう合間あいまじゅうへい護衛ごえいしていたが、銃剣じゅうけん普及ふきゅうするようになりじゅうへい刀剣とうけん戦闘せんとうりょく付加ふかされるにいたり、やりへい姿すがたし、近代きんだい歩兵ほへい姿すがた確立かくりつされはじめた。

近代きんだい 機械きかい

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歩兵ほへい輸送ゆそう手段しゅだんは、それまでは徒歩とほふねうまであったが、19世紀せいきより鉄道てつどう使つかわれはじめ、1890年代ねんだい以降いこういくつかのくにでは自転車じてんしゃ採用さいようされた(うまもしばらく併用へいようされている)。だい世界せかい大戦たいせんでは日本にっぽん陸軍りくぐん歩兵ほへい自転車じてんしゃ移動いどうし、だい成功せいこうおさめた(銀輪ぎんりん部隊ぶたい)。機動きどうせいにおけるおおきな革新かくしんは、1920年代ねんだい以降いこうよりはじまり、自動車じどうしゃ使つかった自動車じどうしゃ歩兵ほへい部隊ぶたいまれた。このころから、移動いどうちゅう兵士へいし安全あんぜん確保かくほすることの重要じゅうようせい認識にんしきされるようになり、移動いどう装甲車そうこうしゃ使用しようする機械きかい歩兵ほへい編成へんせいされるようになった。

現代げんだい あらたな歩兵ほへい

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現代げんだい歩兵ほへいは、装甲車そうこうしゃ火砲かほうヘリコプターひとし航空機こうくうき支援しえんされて行動こうどうするが、依然いぜんとして地上ちじょう特定とくてい地域ちいき占領せんりょう確保かくほすることができる唯一ゆいいつ兵種へいしゅである。このため戦争せんそう遂行すいこうにとって必要ひつよう不可欠ふかけつ存在そんざいでありつづけている。また個人こじん携帯けいたい出来でき武器ぶき火力かりょくたかくなり、ゲリラせん市街しがいせんなどの非対称ひたいしょう戦争せんそう増加ぞうかする傾向けいこうから歩兵ほへい高度こうど専門せんもんてき訓練くんれんほどこした特殊とくしゅ部隊ぶたい各国かっこく配備はいびされつつある。

分類ぶんるい

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歩兵ほへいは、作戦さくせん行動こうどうちゅうおも徒歩とほ活動かつどうする兵士へいし総称そうしょうであるので、その装備そうび技能ぎのう運用うんよう形態けいたい戦術せんじゅつてき役割やくわりによっていくつかに分類ぶんるいができる。

現代げんだい分類ぶんるい

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ここでは現代げんだいにおける師団しだん旅団りょだんレベルにおける歩兵ほへい基本きほんてき分類ぶんるいべる。(Field Manual 100-5を参考さんこう

けい歩兵ほへい(Light Infantry)
正規せいき歩兵ほへいたいして、装甲そうこう車両しゃりょう火砲かほうなどの装備そうび軽量けいりょうである歩兵ほへい部隊ぶたい
空挺くうていへい(Airborne Infantry)
航空機こうくうき戦略せんりゃくてき長距離ちょうきょり迅速じんそく移動いどうし、空港くうこう施設しせつたよることなくパラシュート降下こうか着陸ちゃくりく可能かのう歩兵ほへいす。交戦こうせん地域ちいき展開てんかいしたのちけい歩兵ほへい同様どうよう能力のうりょく発揮はっきする。降下こうか高度こうど能力のうりょく必要ひつよう人員じんいんかぎられるじょう着地ちゃくち地点ちてんにばらつきがしょうじるため、特殊とくしゅ作戦さくせん以外いがいは、通常つうじょう歩兵ほへい補助ほじょてき役割やくわりでしかなくなっている。
空中くうちゅう強襲きょうしゅう歩兵ほへい(Air Assault Infantry)
ヘリコプターなどの航空機こうくうき輸送ゆそうされ、交戦こうせん地域ちいきすみやかに展開てんかい撤収てっしゅうする空中くうちゅう機動きどう作戦さくせん可能かのう作戦さくせんてき戦術せんじゅつてき機動きどうりょくゆうする歩兵ほへいす。てき支配しはい地域ちいき潜入せんにゅうし、後方こうほう連絡れんらくせん切断せつだんてき部隊ぶたいたいする奇襲きしゅう破壊はかい工作こうさく実行じっこうできる。
レンジャー(Ranger Units)
特殊とくしゅ作戦さくせんにおいて運用うんようされることを想定そうていして訓練くんれんされた歩兵ほへい部隊ぶたい組織そしきによって意味いみけはことなるが、精鋭せいえい歩兵ほへい做されることおおい。
機械きかい歩兵ほへい(Mechanized Infantry)
装甲そうこう車両しゃりょうもちいて地上ちじょう迅速じんそく移動いどうできる歩兵ほへいす。機甲きこう部隊ぶたい同等どうとう機動きどうりょくつため、友軍ゆうぐん戦車せんしゃ部隊ぶたい連携れんけいして作戦さくせん実施じっしできる。
自動車じどうしゃ歩兵ほへい(Motorised Infantry)
装甲そうこう自動車じどうしゃ移動いどうする部隊ぶたい現代げんだい歩兵ほへい原則げんそくとして自動車じどうしゃ歩兵ほへいなので、たん歩兵ほへいとされることがおおい。

現代げんだいける代表だいひょうてき歩兵ほへい区分くぶん

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ポイントマン
前方ぜんぽう警戒けいかいおこないながら部隊ぶたい先導せんどうする歩兵ほへい斥候せっこう)をす。
小銃しょうじゅうしゅ(ライフルマン)
小銃しょうじゅうしゅたる武装ぶそうとした歩兵ほへい小銃しょうじゅう歩兵ほへいじゅうともばれ、もっと基本きほんてき武器ぶきえる。現代げんだいではアサルトライフル一般いっぱんてき
衛生えいせいへい
戦闘せんとうにおいて負傷ふしょうへい応急おうきゅう処置しょちほどこ兵士へいしす。一般いっぱん歩兵ほへい行動こうどうともにするほか、作戦さくせん地域ちいきからややはなれた地点ちてん待機たいきする場合ばあいもある。純粋じゅんすい戦闘せんとういんではないが、自衛じえい目的もくてき武器ぶき携行けいこう使用しようすることがみとめられている。
通信つうしんへい
戦闘せんとうちゅうでも部隊ぶたいがい通信つうしんするため、トランシーバー携行けいこうした(なかくらいの搬型機器きき背負せおっている)歩兵ほへいす。
狙撃そげきへい選抜せんばつ射手しゃしゅ
戦闘せんとうにおいて比較的ひかくてき遠距離えんきょりから狙撃そげきおこな歩兵ほへいす。とく狙撃そげきようスコープづけ小銃しょうじゅう狙撃そげきじゅう)をへい選抜せんばつ射手しゃしゅ一般いっぱん歩兵ほへい行動こうどうともにする狙撃そげきしゅで、射撃しゃげきひいでた小銃しょうじゅうしゅともいえる。
機関きかんじゅうしゅ
分隊ぶんたい支援しえん火器かき汎用はんよう機関きかんじゅう武装ぶそうして、火力かりょく支援しえん制圧せいあつ射撃しゃげきおこな歩兵ほへいす。
擲弾しゅ
擲弾発射はっしゃ火力かりょく支援しえんおこな歩兵ほへいす。一般いっぱん歩兵ほへい随伴ずいはんする場合ばあいには、小銃しょうじゅう固定こていしきのグレネードランチャーをけるか、専用せんようの擲弾じゅうもちいられる。
対戦たいせんしゃ特技とくぎへい対戦たいせんしゃ兵器へいき
対戦たいせんしゃミサイルロケットランチャー携行けいこう反動はんどうほうなどの携帯けいたいしき対戦たいせんしゃ兵器へいき運用うんようする歩兵ほへいす。
対空たいくう特技とくぎへいSAM
FIM-92 スティンガー9K32 ストレラ-2などの携帯けいたいしき対空たいくうミサイル運用うんようする歩兵ほへいす。
迫撃はくげき砲兵ほうへい
迫撃はくげきほう運用うんようする歩兵ほへいす。迫撃はくげきほう口径こうけいにより複数ふくすう種類しゅるい採用さいようされていることがほとんどで、だい口径こうけいのものほど、より上級じょうきゅう部隊ぶたい管理かんりかれる。

歴史れきしてき分類ぶんるい

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歴史れきしてきには歩兵ほへいもさまざまな装備そうび編成へんせいもちいられてきた。

やりへい
やりもしくはそれにじゅんずる棒状ぼうじょう武器ぶき武装ぶそうした歩兵ほへいであり、とくちょうやりへいなどは騎馬きば対抗たいこうする主力しゅりょくとなった。古来こらいから世界せかい各地かくちられる一般いっぱんてき歩兵ほへいであり、近接きんせつ戦闘せんとうにおける主力しゅりょくであった。しかし、銃剣じゅうけん普及ふきゅうともなって姿すがたした。
ゆみへい
弓矢ゆみや武装ぶそうした歩兵ほへいいしゆみクロスボウ装備そうびする歩兵ほへいもこれにふくむ。
これも古来こらいから世界せかい各地かくちられる一般いっぱんてき歩兵ほへいであった。おも遠距離えんきょりから敵陣てきじんはなって陣形じんけいをかくらんしたが、じゅう大砲たいほう発達はったつによって姿すがたした。
じゅうそう歩兵ほへい
甲冑かっちゅうかぶと脛当すねあてて・たて装備そうびして防御ぼうぎょりょく向上こうじょうさせた歩兵ほへいで、みつ戦列せんれつんでたたかう。密集みっしゅう隊形たいけいのおかげで突破とっぱりょく防御ぼうぎょりょくたかいが、隊列たいれつ維持いじしての高速こうそく移動いどう苦手にがて
古代こだいギリシャマケドニアファランクス古代こだいローマレギオン有名ゆうめい
戦列せんれつ歩兵ほへい
マスケットじゅう銃剣じゅうけん武装ぶそうし、戦列せんれつ横隊おうたいなど)をんで戦闘せんとうおこな歩兵ほへいである。近世きんせいヨーロッパにおいて極端きょくたん発展はってんし、戦闘せんとうにおける主役しゅやくとなったが、じゅうほう性能せいのう向上こうじょうにしたがって姿すがたした。
擲弾へい
擲弾(手榴弾しゅりゅうだん)を投擲とうてきする兵士へいし近世きんせいヨーロッパで登場とうじょうしたが、当時とうじのそれは危険きけんおおきいわり効果こうかひくかったため擲弾を使用しようする機会きかいがほとんどくなったものの、精鋭せいえい部隊ぶたい名誉めいよ称号しょうごうとして使つかわれるようになった。
現在げんざいでは手榴弾しゅりゅうだん歩兵ほへい一般いっぱん装備そうびしており、あえてうならばグレネードランチャー対戦たいせんしゃロケットランチャー運用うんようする歩兵ほへいがこれにてはまる。
へい
戦列せんれつまず、散開さんかいして遠距離えんきょり射撃しゃげき担当たんとうする歩兵ほへいで、りょうへいともばれる。
現在げんざいではみつ戦列せんれつむこと自体じたいがなくなったため、へいぶことはほとんどない。りょうへいについてはドイツでは空挺くうてい部隊ぶたい降下こうかりょうへい)や山岳さんがく部隊ぶたい山岳さんがくりょうへい)、けい歩兵ほへい部隊ぶたい称号しょうごうとしてもちいており、フランスぐんでも一部いちぶ部隊ぶたいりょうへい名乗なのっている。

部隊ぶたい構成こうせい

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歩兵ほへい部隊ぶたい編成へんせい組織そしき時代じだいによって非常ひじょうにばらつきがあり一概いちがいにはえない。

基本きほんてき現代げんだい軍隊ぐんたいではにんからろくにん程度ていど構成こうせいされるはん戦闘せんとう最小さいしょう行動こうどう単位たんいとなり機関きかんじゅうなどの制圧せいあつ火器かきがしばしばこの部隊ぶたい配備はいびされる。からさんはんから構成こうせいされる分隊ぶんたいがあり(分隊ぶんたい支援しえん火器かきとして制圧せいあつ火器かきがこの分隊ぶんたい配備はいびされる場合ばあいもある)、分隊ぶんたいさんからよんほどあつまった部隊ぶたい小隊しょうたい小隊しょうたいさんからよんほどあつまった部隊ぶたい中隊ちゅうたいとする。中隊ちゅうたい規模きぼになってくると歩兵ほへい人員じんいんすうは100~250にんほどになり、歩兵ほへい部隊ぶたいにおける比率ひりつは60%から90%程度ていどになってくる。中隊ちゅうたいがさらにさんからほどあつまって大隊だいたいとなり、大隊だいたい部隊ぶたい支援しえんするための火砲かほう車両しゃりょうなどを装備そうびし、おおむね少佐しょうさ中佐ちゅうさといった士官しかん指揮しきる。その大隊だいたいさんからよんほどようするのが連隊れんたいまたは旅団りょだんばれる。この連隊れんたい旅団りょだん大体だいたい1500~2500にん程度ていど人員じんいんかかえ、中佐ちゅうさ大佐たいさ指揮しきり、支援しえんとして戦車せんしゃたい工兵こうへいたいなども部隊ぶたい構成こうせいする場合ばあいがある。この程度ていど規模きぼ部隊ぶたいになれば歩兵ほへい比率ひりつは25%から60%程度ていどになってくる。ちなみに旅団りょだん連隊れんたいよりもだい規模きぼ師団しだんという部隊ぶたい単位たんい存在そんざいする。

時代じだいによっても歩兵ほへい編成へんせいわってくる。たとえば古代こだい中国ちゅうごくではそつたいたびぐんというような編制へんせい記述きじゅつ兵法ひょうほうしょにみられる。この影響えいきょうからか近代きんだい日本にっぽんにも伍長ごちょういち兵卒へいそつ部隊ぶたい旅団りょだんというような名称めいしょうがあるように一部いちぶ名残なごりがあるようである。

歩兵ほへい能力のうりょく

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歩兵ほへいには非常ひじょう多岐たきにわたる実践じっせんてき能力のうりょくもとめられる。その歩兵ほへいがどのような任務にんむにつく部隊ぶたい所属しょぞくしているか、またどのような適性てきせいがあるのか、予算よさんがどのていど充実じゅうじつしているのかなどによっておおきくその教育きょういく内容ないようなどがわるので、概略がいりゃくすることはむずかしい。平均へいきんてき歩兵ほへい能力のうりょくについて以下いかべる。

  • 徒歩とほでの移動いどう能力のうりょくかんしては歩兵ほへい徹底的てっていてき訓練くんれんきたえられる。歩兵ほへいはしばしば50kg以上いじょう装備そうびかついで、車両しゃりょうはいってこられないようなけわしい地形ちけい突破とっぱする必要ひつようがあるため、マラソン山岳さんがく地域ちいき行軍こうぐんなどで体力たいりょくつよ足腰あしこしきたえる必要ひつようせいがある。歩兵ほへいだけにいえることではないが、歩兵ほへい根本こんぽんてき任務にんむ徒歩とほ複雑ふくざつ地形ちけい走破そうは、また隠密おんみつてき移動いどうすることであるので、とく重要じゅうよう事項じこうであるといえる。
  • 格闘かくとうじゅつ近接きんせつ戦闘せんとうにおける技術ぎじゅつ獲得かくとくするためにどの歩兵ほへいでも訓練くんれんされる。くにによって訓練くんれんされる格闘かくとうじゅつ種類しゅるいはそれぞれことなる。ナイフあつかいもこの一環いっかん訓練くんれんされ、閉所での戦闘せんとうかされる。また銃剣じゅうけんあつかいをふくめた総合そうごうてきな閉所での戦闘せんとう訓練くんれんける場合ばあいもある(くわしくはCQCCQB)。
  • 射撃しゃげき能力のうりょくによってその歩兵ほへい戦闘せんとうりょくおおきく左右さゆうされる。じゅう操作そうさ・メンテナンス方法ほうほう射撃しゃげき姿勢しせい基本きほんてき射的しゃてき訓練くんれん次々つぎつぎあらわれるてき素早すばや的確てきかくねら訓練くんれんとく重要じゅうようであり、反射はんしゃてきじゅう目標もくひょうたいして的確てきかく姿勢しせいけるようになり、素早すばやじゅうあつかえるようにならなければ実戦じっせん優位ゆういつことはむずかしい。
  • 戦闘せんとう陣地じんち建設けんせつのノウハウを歩兵ほへいがきちんと把握はあくしておけば、あらゆる局面きょくめんてき攻撃こうげき被害ひがい軽減けいげんできる。塹壕ざんごう(ざんごう)を位置いちかたち、また人員じんいん配置はいちなどには一定いってい理解りかいもとづいて建設けんせつされなければ、十分じゅうぶん機能きのうしない。また建設けんせつ要領ようりょう歩兵ほへい全員ぜんいんがわかっていれば短時間たんじかん戦闘せんとう陣地じんち建設けんせつできる。こういったノウハウはすべての歩兵ほへい熟知じゅくちすることがのぞましい。塹壕ざんごうそこに50cm程度ていどみぞつくっておけば、手榴弾しゅりゅうだんまれてもみぞちるので比較的ひかくてき安全あんぜん、などといったこまかい知識ちしき戦場せんじょうでは生死せいしけることもある。
  • 歩兵ほへいはその自己じこ完結かんけつせいつよもとめられる兵科へいかであるのでサバイバル技能ぎのう重要じゅうようされる。野生やせい動植物どうしょくぶつべられるか判別はんべつする知識ちしきや、潜入せんにゅう技術ぎじゅつやナイフ格闘かくとう負傷ふしょうしたさい応急おうきゅう処置しょち野戦やせん衛生えいせいがくなど)や地図ちずやGPSがない状況じょうきょうでの地形ちけい把握はあくなどの幅広はばひろ技能ぎのうがこれにあたる。しかしすべての歩兵ほへいがこの技能ぎのうにつけられるわけではなく、りすぐられた人員じんいん編成へんせいする特殊とくしゅ部隊ぶたいなどがおも訓練くんれんおこなう。日本にっぽん自衛隊じえいたいではレンジャーとくにサバイバルを重視じゅうしした訓練くんれんけている。

なお歩兵ほへい個人こじん戦闘せんとうちゅう死亡しぼうすることは戦死せんしというが、戦時せんじにおいて歩兵ほへいいたらしめたり、あるいは戦闘せんとうできないほどに消耗しょうもうさせてしまうのは、なにてきによる攻撃こうげきだけとはかぎらない。事故じこ疾病しっぺい飢餓きがといった危機ききてき状況じょうきょう平和へいわ安全あんぜん文明ぶんめい社会しゃかいにいるときよりも、より深刻しんこくなダメージをあたえうる。こういったダメージで兵員へいいん損耗そんこうすることは部隊ぶたい、ひいては軍隊ぐんたいにとってもおおきな損失そんしつとなるため、各々おのおの歩兵ほへい必要ひつようおうじて自身じしんを、それらてき以外いがいからけるダメージをふせ知識ちしき技能ぎのう要求ようきゅうされる (→歩兵ほへい損耗そんこうかんしては、戦死せんし参照さんしょう)。

運用うんよう戦術せんじゅつ

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陸上りくじょう戦闘せんとうもっと発生はっせいしやすい損害そんがいだい部分ぶぶん歩兵ほへいである。しかしてき陸上りくじょう戦力せんりょく掃討そうとうしててき拠点きょてんせいあつしなければ戦争せんそう勝敗しょうはい決定的けっていてきなものにすることはむずかしい。そのため戦車せんしゃ火砲かほう航空機こうくうきなどの兵器へいきもちいて、まずてき部隊ぶたい圧倒的あっとうてき戦闘せんとうりょく破壊はかいし、てき逆襲ぎゃくしゅう不可能ふかのう損害そんがいあたえてから歩兵ほへい部隊ぶたい投入とうにゅうすることがのぞましいとかんがえられている。(小隊しょうたい分隊ぶんたいレベルの歩兵ほへい運用うんようについては歩兵ほへい戦術せんじゅつ参照さんしょう

現代げんだいにおける基本きほんてき仕事しごと

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歩兵ほへい仕事しごとだい部分ぶぶん移動いどうのこりは防御ぼうぎょ陣地じんち建設けんせつ維持いじであり、その余禄よろくいちわりにもたない戦闘せんとうふくまれる。映画えいがなどの娯楽ごらく作品さくひんでは、往々おうおうにして歩兵ほへいつねげきいをしているようえがかれるが、実際じっさいにそのような状況じょうきょうでは、てき味方みかた精神せいしんてき疲弊ひへいして戦闘せんとうストレス反応はんのう戦争せんそう神経症しんけいしょう shell shock)をしめ場合ばあいがある。だい世界せかい大戦たいせん研究けんきゅうによれば、100にち~200にちにわたって戦闘せんとうびた兵士へいしのほとんどが心身しんしんども磨耗まもうし、戦闘せんとう不能ふのうになってしまっている。実質じっしつてき頻繁ひんぱん戦闘せんとう行動こうどうおこなわれるのは、どちらかが一方いっぽうてき大量たいりょう人材じんざい物資ぶっし投入とうにゅうして、げている場合ばあいのみである。今日きょうアメリカがこの様式ようしきで、相手あいて疲弊ひへいさせ、戦争せんそう早期そうき決着けっちゃく目指めざ作戦さくせんっている。しかしながら、近年きんねん湾岸わんがん戦争せんそうイラク戦争せんそうなどでは即席そくせき爆発ばくはつ装置そうち(IED)で手足てあしうしな兵士へいししんてき外傷がいしょうストレス障害しょうがいなどをわずら兵士へいしおおく、アメリカは国内外こくないがいからつよ反発はんぱつけている(戦術せんじゅつ参照さんしょう)。

戦闘せんとう

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戦闘せんとう歩兵ほへいにとってもっともつらくくるしい仕事しごととなる。戦闘せんとうはその目的もくてき環境かんきょう参加さんか戦力せんりょく規模きぼ種類しゅるいによってさまざまな形態けいたいがある(塹壕ざんごうせん市街しがいせん上陸じょうりくせんなど)。戦闘せんとうにおいては歩兵ほへい基本きほんてきはん分隊ぶんたいごとに編成へんせいされ部隊ぶたい単位たんいうごき、基本きほんてき各々おのおの別々べつべつ方向ほうこう警戒けいかいすることで死角しかくをなくす隊形たいけいをとりながら移動いどうする。その地域ちいき危険きけんによって歩兵ほへい移動いどうするさい手順てじゅん若干じゃっかんことなる。危険きけん比較的ひかくてきひく場合ばあいにおいては全員ぜんいんぜん方位ほういたいして警戒けいかいはらいつつ、いち攻撃こうげき全滅ぜんめつしないように歩兵ほへいあいだ間隔かんかくをあけながら一斉いっせい移動いどうする(この間隔かんかくジャングルせん野戦やせんなどによってちがう)。実際じっさい戦闘せんとうはいれば、基本きほんてきふたつほどのはんかれ、てきたいして制圧せいあつ射撃しゃげき機関きかんじゅうでの射撃しゃげき煙幕えんまくることをし、てき殺傷さっしょう目的もくてきではなく、てき行動こうどうふうじることが目的もくてきである)を交互こうごかえす。一方いっぽう射撃しゃげきおこなっているあいだにもう片方かたがたてきよりも優位ゆうい地点ちてん確保かくほし、より優位ゆうい状況じょうきょう戦闘せんとう展開てんかいしていく。これは現代げんだいにおける歩兵ほへい機動きどう戦術せんじゅつ基本きほんであり、こういった過程かていにおいててき味方みかた戦力せんりょく分析ぶんせきミスによるあいだちがった戦術せんじゅつや、武器ぶき装備そうび不調ふちょう火力かりょく不足ふそく機動きどうりょく不足ふそく部隊ぶたい士気しき低下ていか指揮しきかん失敗しっぱい、チームワークの欠落けつらくなどにより歩兵ほへいはしばしば死傷ししょうする。戦車せんしゃ装甲車そうこうしゃ迫撃はくげきほうなどがあればより重火器じゅうかき攻撃こうげきすることができ、歩兵ほへい負担ふたんかるくなる。

警察けいさつ治安ちあん活動かつどう

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制圧せいあつ占領せんりょうした都市とし村落そんらく治安ちあん警備けいび活動かつどうはかならず歩兵ほへい部隊ぶたい担当たんとう業務ぎょうむとなる。占領せんりょう地域ちいき治安ちあん業務ぎょうむ戦時せんじ国際こくさいほうめられた占領せんりょうぐん任務にんむであり、その地域ちいき行政ぎょうせい機構きこう機能きのうするかぎり協力きょうりょくしながら、通常つうじょう保安ほあん業務ぎょうむのみならず交戦こうせん勢力せいりょくやゲリラなどによる地域ちいき住民じゅうみん対象たいしょうとしたテロ攻撃こうげきから防護ぼうごする必要ひつようがある。

戦車せんしゃ歩兵ほへい

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戦車せんしゃ強力きょうりょく火砲かほう機動きどうりょくそなえており、てき装甲車そうこうしゃ戦闘せんとう陣地じんち銃座じゅうざなどに効果こうかてき打撃だげきあたえることができる一方いっぽう地形ちけい適応てきおうりょく柔軟じゅうなんせい歩兵ほへいおとる。戦車せんしゃ比較ひかくすると、歩兵ほへい部隊ぶたい無力むりょくおもわれるかもしれないが、塹壕ざんごう遮蔽しゃへいぶつかくれ、有効ゆうこう対戦たいせんしゃ兵器へいき装備そうびした歩兵ほへいは、高価こうか運用うんようコストゆえにかずおと戦車せんしゃ部隊ぶたいより信頼しんらいせいたか戦力せんりょくとなる。

戦闘せんとう車両しゃりょう一般いっぱん視界しかい劣悪れつあくである。戦車せんしゃ強固きょうこ装甲そうこうそなえる一方いっぽう対戦たいせんしゃ兵器へいき携行けいこうした歩兵ほへい接近せっきんされると脆弱ぜいじゃくである。歩兵ほへい地形ちけい潜伏せんぷくあるいはカモフラージュをほどこして戦闘せんとう車輌しゃりょうせることができる。肉薄にくはく成功せいこう、またはてき戦車せんしゃ発見はっけんされなかった歩兵ほへいは、てき戦車せんしゃ視界しかいがいから、車体しゃたい後部こうぶ機関きかんしつ上面うわつらなど装甲そうこううす箇所かしょ攻撃こうげきおこない、これを破壊はかいすることができる。市街しがいせんでは戦車せんしゃ1だいおおむ歩兵ほへい1~2分隊ぶんたい程度ていど戦力せんりょくぎないとわれる。ゆえに視界しかいわる地形ちけい状況じょうきょう戦闘せんとう車輌しゃりょう単独たんどく行動こうどうおこなうのは非常ひじょう危険きけんであり、随伴ずいはん歩兵ほへいとの連携れんけいかせない。

また、歩兵ほへい部隊ぶたいはある程度ていど人的じんてき被害ひがいしても部隊ぶたいさい編成へんせいおこない、柔軟じゅうなん運用うんよう可能かのうだが、整備せいび部隊ぶたいからはなれて行動こうどうしている戦車せんしゃ車体しゃたいにダメージをければ車両しゃりょう放棄ほうきするほかい。行動こうどう可能かのう場所ばしょ限定げんていされることから、地雷じらいにもねらわれやすい。

ゲリラせん

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おそらく、過去かこ現在げんざいわず歩兵ほへい柔軟じゅうなんせい有能ゆうのうせい一番いちばん発揮はっきされるのは市街地しがいちジャングルなどの閉鎖へいさてき地形ちけいでのゲリラせんである。『孫子まごこ』にもかれているように、太古たいこむかしから、戦術せんじゅつてき複雑ふくざつ機動きどう出来でき少数しょうすう精鋭せいえいによるゲリラせんは、うごきがにぶじゅう武装ぶそうかつだい規模きぼてき戦力せんりょくたいして有効ゆうこう戦法せんぽうとしてられてきた。てき気付きづかれず接近せっきん奇襲きしゅう攻撃こうげき損害そんがいあたえ、本格ほんかくてき反撃はんげきはじまるまえ撤収てっしゅうするのが基本きほんであり、一方いっぽうてき戦闘せんとう主導しゅどうけん維持いじすることで精神せいしんてきストレスもてきあたえることができる。現在げんざいでもその図式ずしきわらず、また火器かき性能せいのういちじるしい発達はったつもあり、巨大きょだい勢力せいりょくにとって小規模しょうきぼかつそれなりの練度れんどがあるゲリラへい脅威きょういならない。ただし、この戦術せんじゅつ有効ゆうこうなのは市街地しがいちやジャングルなどの遮蔽しゃへいぶつ多数たすう存在そんざいする場所ばしょかぎられ、また敵情てきじょう確実かくじつ把握はあくするための情報じょうほうもう人脈じんみゃく地形ちけいつうじた誘導ゆうどういんなどが必要ひつようである。正規せいきぐん特殊とくしゅ部隊ぶたいによるゲリラ戦術せんじゅつれいだい世界せかい大戦たいせんにおける、きたアフリカでの英軍えいぐん特殊とくしゅ部隊ぶたい以上いじょうに、武装ぶそうした民間みんかんじんによるゲリラ戦術せんじゅつれいだい世界せかい大戦たいせんでのドイツ占領せんりょう各国かっこくレジスタンスパルチザンベトナム戦争せんそうでのベトミンみなみベトナム解放かいほう民族みんぞく戦線せんせん)のほう活発かっぱつである。

戦争せんそう以外いがいでの任務にんむ

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平時へいじにおける歩兵ほへい戦闘せんとうとは無縁むえん駐屯ちゅうとん基地きち訓練くんれん雑用ざつようわれる日々ひびおくる。くにによってはあるが、欧米おうべい軍隊ぐんたいでは普通ふつういちにちはちあいだ程度ていど勤務きんむしゅうにちろく日間にちかんこなす。演習えんしゅうがなければ、早朝そうちょうろくごろからめられたスケジュールに沿って行動こうどうする。訓練くんれんにおいては徹底的てっていてき歩兵ほへいくるしい状況じょうきょうれさせられることで、部隊ぶたい結束けっそくつよめ、部隊ぶたい戦術せんじゅつおぼえ、実戦じっせんそなえる。

また冷戦れいせん終結しゅうけつは、戦争せんそう以外いがい仕事しごとについて歩兵ほへい重要じゅうようせいたかまっている。具体ぐたいてきには、国連こくれん平和へいわ維持いじ活動かつどうテロなどの緊急きんきゅう事態じたいにおける、またたいゲリラ活動かつどうなどの治安ちあん維持いじ活動かつどう災害さいがい救助きゅうじょ活動かつどうなどである。こうした任務にんむをMOOTW(Military operations other than war)とぶことがある。

テロ事件じけんなどにおいては歩兵ほへい柔軟じゅうなん戦闘せんとうりょくちえることから、人質ひとじちをとったもり、ハイジャックなど精密せいみつかつ迅速じんそく攻撃こうげきもとめられるテロの対応たいおうにおいては非常ひじょう優秀ゆうしゅうであり、各国かっこく警察けいさつ軍隊ぐんたいでもこういった人質ひとじち救出きゅうしゅつ専門せんもんとした訓練くんれんけた歩兵ほへい部隊ぶたい特殊とくしゅ部隊ぶたいとして保有ほゆうされている。かれらは建物たてもの飛行機ひこうきだけでなく、列車れっしゃ自動車じどうしゃバスなどありとあらゆる閉鎖へいさ空間くうかん的確てきかくうごきができるように日々ひびCQB訓練くんれんけている。

現代げんだい戦闘せんとうたたか歩兵ほへい装備そうびはそのくに軍隊ぐんたいによってさまざまだが、一般いっぱんてき使用しようされる装備そうびがある。しかし、その種類しゅるい非常ひじょう多様たようであり、ここではおも装備そうびかぎってげる。

  • 小銃しょうじゅう拳銃けんじゅうなどのしょう火器かき近代きんだい以降いこうにおける歩兵ほへい主力しゅりょくとなる武器ぶきである。おもAK-47M16などの自動じどう小銃しょうじゅうがその殺傷さっしょうりょく連射れんしゃ速度そくどからおおくの現代げんだい陸軍りくぐん歩兵ほへい標準ひょうじゅん装備そうびもちいられるが、室内しつないなどの閉鎖へいさてき空間くうかんでの戦闘せんとう予想よそうされる場合ばあいMP5などの銃身じゅうしんみじかあつかいやすいたん機関きかんじゅうもちいられる場合ばあいがある。また、歩兵ほへい火力かりょくをよりたかめるためにミニミけい機関きかんじゅうなどの機関きかんじゅう分隊ぶんたいには配備はいびされる。これらの火力かりょく戦闘せんとう有利ゆうりすすめるためにかせないものになっている。拳銃けんじゅうは閉所での戦闘せんとうなどの状況じょうきょう以外いがいでは歩兵ほへい補助ほじょてき武器ぶきとして装備そうびされる。工兵こうへい衛生えいせいへいなど直接ちょくせつ戦闘せんとうおこなうわけではない兵科へいかでも、緊急きんきゅう事態じたいではこういった武器ぶき使つかって歩兵ほへいとしてたたかうことができるように全員ぜんいん訓練くんれんけている。
  • 爆薬ばくやく手榴弾しゅりゅうだん設備せつび爆破ばくはブービートラップ設置せっちなどに必要ひつようである。工兵こうへいがこういった分野ぶんや訓練くんれん集中しゅうちゅうてきけるが、普通ふつう歩兵ほへいでもいちとおりのあつかいは心得こころえることがもとめられる。高性能こうせいのう爆薬ばくやくであるプラスチックばくだんイギリス陸軍りくぐんなどによって使用しようされており、はし建物たてものなどを破壊はかいするために一部いちぶ歩兵ほへいわたされている。また、手榴弾しゅりゅうだんなどは遮蔽しゃへいぶつかくれたてき攻撃こうげきするときなどに使用しようされるが、市街しがいせんなどでとくにその効果こうか発揮はっきする。てきもった室内しつない突入とつにゅうする直前ちょくぜん手榴弾しゅりゅうだんてき攻撃こうげきしておけば、てき出入でいぐちたいする攻撃こうげきができなくなる。また、地雷じらい手榴弾しゅりゅうだん戦闘せんとう陣地じんち構築こうちくするときにも重要じゅうよう武器ぶきであり、対戦たいせんしゃ地雷じらい手榴弾しゅりゅうだん使つかったトラップを侵入しんにゅう予想よそう経路けいろ仕掛しかけておけば、てき損害そんがいあたえることができる。
  • 防護ぼうご装備そうび歩兵ほへい生命せいめい部分ぶぶんてきだがまもってくれる。防弾ぼうだんチョッキヘルメット弾丸だんがんたまへんから身体しんたいまもるが、その効果こうか防護ぼうご装備そうび形状けいじょうやグレード、飛来ひらいした物体ぶったい性状せいじょう速度そくどなど、様々さまざま条件じょうけんによって影響えいきょうけるため絶対ぜったいてきなものではない。一部いちぶ防弾ぼうだんチョッキなどはおもく、機動きどうりょくぐとかんがえられているが、防弾ぼうだんチョッキには負傷ふしょうしゃを25%減少げんしょうさせた実績じっせきがあるため、けっして無駄むだなものではない。しかし、これらの装備そうび高価こうかなので、米国べいこくイスラエルなどの先進せんしんこく中心ちゅうしん採用さいようされている。
  • 迷彩めいさいふくはその視覚しかく効果こうか視認しにんせいげ、てき発見はっけんされにくくするカモフラージュ効果こうかがある。狙撃そげきへいなど絶対ぜったいてき発見はっけんされないことがもとめられる兵士へいしは、さらに偽装ぎそう隠蔽いんぺいほどこし、視認しにんせいとす努力どりょくはらっている。
  • 無線むせん通信つうしん機器きき特定とくてい歩兵ほへいにのみわたされているものだが、部隊ぶたいとの連携れんけい維持いじし、指揮しき系統けいとう維持いじするために現代げんだいにおいてはとく重要じゅうようであるとかんがえられている。とく歩兵ほへい部隊ぶたい火砲かほう航空機こうくうき戦車せんしゃなどの支援しえんなしで効果こうかてき攻撃こうげきおこなうことはほぼ不可能ふかのうであり、組織そしきてき連携れんけいなか歩兵ほへい部隊ぶたいはその戦闘せんとうりょく発揮はっきすることができる。しかし、電子でんしせんにおいててき探知たんちシステムに傍受ぼうじゅされることや、ジャミング妨害ぼうがいされる場合ばあいもある。
  • 生活せいかつ用品ようひんとして歩兵ほへいたちは雑多ざった道具どうぐ携帯けいたいしている。食料しょくりょうセット水筒すいとう携帯けいたいようシャベルナイフ通信つうしん機器きき鎮痛ちんつうざい消毒しょうどくえきなどがはいった救急きゅうきゅうセットなど非常ひじょうおおくのものを装備そうびすることとなり、これが近年きんねん歩兵ほへいとく隠密おんみつ行動こうどう重視じゅうし自動車じどうしゃすすめにくい特殊とくしゅ部隊ぶたい装備そうび重量じゅうりょう飛躍ひやくてきおもくしており、各国かっこく近年きんねんそれら装備そうび見直みなおしをすすめている。

歩兵ほへい未来みらい

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アメリカなどの先進せんしんこくでは、歩兵ほへい人的じんてき被害ひがい国内こくない世論せろんにとって致命ちめいてき反戦はんせんムードをあたえることが、ベトナム戦争せんそう以降いこう教訓きょうくんとしてのこっているため、歩兵ほへい生存せいぞん帰還きかんりつげる機械きかいきわめて熱心ねっしんである。戦争せんそう以外いがい任務にんむなど任務にんむ多様たようせいいちぽうであり、歩兵ほへい教育きょういく訓練くんれんコストの上昇じょうしょうもこの歩兵ほへい人的じんてき損害そんがい軽減けいげんさせる研究けんきゅう推進すいしん後押あとおししている。

2010ねん現在げんざい欧米おうべい軍隊ぐんたい中心ちゅうしんとした歩兵ほへい装備そうび見直みなおしの研究けんきゅう装備そうび改良かいりょうなどがすすめられており、とく歩兵ほへい個人こじん単位たんいでのネットワーク試験しけんされている。1990年代ねんだいより携帯けいたい情報じょうほう端末たんまつなどを装備そうびした先進せんしん歩兵ほへいシステム開発かいはつおこなわれてきており、ウェアラブルコンピュータ導入どうにゅうなどにより、歩兵ほへいいちにんあたりへの個別こべつ指示しじ密度みつどたかくなることも予測よそくされている[1]。これらの状況じょうきょうから、軽量けいりょうHMD内蔵ないぞうする動力どうりょくきの甲冑かっちゅう装備そうびした歩兵ほへいや、NBC兵器へいきによって汚染おせんされた地域ちいきでも行動こうどうできる防護ぼうごせいたかいスーツを着込きこんだ歩兵ほへいなどの将来しょうらいぞうかんがえられている。パワードスーツそと骨格こっかくスーツ)の導入どうにゅうや、通信つうしん情報じょうほう伝達でんたつ相互そうご連携れんけいコンピュータとのインターフェース改良かいりょうによる総合そうごうてき情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ導入どうにゅうなども長期ちょうきてき視点してん検討けんとうしている。

しかしじゅううつわ威力いりょく向上こうじょう電子でんしせん技術ぎじゅつ発展はってん、また現在げんざいバッテリー技術ぎじゅつりょくなどからかんがえて、歩兵ほへい将来しょうらい安全あんぜん快適かいてきなものになることは非常ひじょうむずかしいと現時点げんじてんではかんがえられている。火器かき攻撃こうげきりょくたかまり、センサ精度せいどがったことで夜間やかん悪天候あくてんこうにおける殺傷さっしょうりょくおおきく飛躍ひやくしている。また生物せいぶつ兵器へいき化学かがく兵器へいきなどが世界せかいてき拡散かくさんしており、歩兵ほへい武器ぶき兵器へいきはより強力きょうりょくになる一方いっぽう歩兵ほへいはより強力きょうりょく防御ぼうぎょりょく要求ようきゅうされ、本質ほんしつてきには「ほこたて」の延々えんえんつづ競争きょうそう延長えんちょうぎない。また、歩兵ほへいあつかわなければならない通信つうしん装備そうびなどが高度こうどし、市街しがいせんなどの増加ぞうかもあって戦闘せんとう中身なかみ複雑ふくざつしているので、教育きょういく水準すいじゅんたか人材じんざいがますます歩兵ほへいとしてもとめられている。

戦場せんじょう機械きかい無人むじんてには、究極きゅうきょくてきには完全かんぜん無人むじん自律じりつ制御せいぎょロボット兵士へいしがあるというかんがえもあるが、近年きんねん増加ぞうか傾向けいこうにある市街しがいせんのようなてき味方みかた以外いがい民間みんかんじんなどが混在こんざいする複雑ふくざつ戦場せんじょうにおける自律じりつ制御せいぎょがたロボットのてき味方みかた識別しきべつ能力のうりょく交戦こうせん規定きてい考慮こうりょした行動こうどう能力のうりょくにはまだまだ問題もんだいがあり、将来しょうらい歩兵ほへい自律じりつロボットすることの現実げんじつせいロボット技術ぎじゅつAI技術ぎじゅつてきめんからむずかしいのが現状げんじょうである。ただ攻撃こうげきなど最終さいしゅうてき判断はんだん操作そうさする兵士へいしゆだねられるような自律じりつ制御せいぎょでないリモートコントロールしきのロボットの実戦じっせん配備はいびすすめられており、これらは従来じゅうらい歩兵ほへい携帯けいたいしている武器ぶき延長えんちょうてき運用うんようをされるほか、歩兵ほへい先行せんこうして周囲しゅうい偵察ていさつするために利用りようされている。このほか、輸送ゆそう負傷ふしょうしゃ後方こうほうへの搬送はんそうなど戦闘せんとう任務にんむにおいての活躍かつやく期待きたいされる自動じどう走行そうこうするロボット自動車じどうしゃ研究けんきゅうちゅうである(→ロボット#兵器へいき)。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 歴史れきしぐんぞう 2010ねん6がつごうPP28-32 坂本さかもとあきら「THE 未来みらい歩兵ほへい学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ

関連かんれん項目こうもく

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