(Translated by https://www.hiragana.jp/)
飢餓 - Wikipedia

飢餓きが

食糧しょくりょう不足ふそくによって栄養失調えいようしっちょうつづき、体調たいちょう維持いじ困難こんなんになっている状態じょうたい

飢餓きがきがえい: starvation)とは、食糧しょくりょう不足ふそくによって栄養失調えいようしっちょうつづき、体調たいちょう維持いじ困難こんなんになっている状態じょうたいである。

飢餓きが
概要がいよう
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 T73.0
ICD-9-CM 994.2
DiseasesDB 12415
MeSH D013217

飢餓きが問題もんだい

編集へんしゅう
 
世界せかい栄養失調えいようしっちょう人口じんこう割合わりあい水色みずいろ:2.5%未満みまん緑色みどりいろ:2.5%以上いじょう5%未満みまん黄色おうしょく:5%から15%未満みまんうすオレンジしょく:15%から25%未満みまん朱色しゅいろ:25%以上いじょう35%未満みまん褐色かっしょく:35%以上いじょう灰色はいいろ資料しりょうなし。(世界せかい食糧しょくりょう計画けいかくFAO-2020ねん~2022ねんの3カ年かねん平均へいきん
 
2005-2010の人口じんこう増加ぞうかりつ国際こくさい連合れんごうより)。うえ栄養失調えいようしっちょう世界せかい地図ちずとほぼ一致いっちする。

国際こくさい連合れんごう食糧しょくりょう農業のうぎょう機関きかん (FAO) では食料しょくりょう過不足かふそくのしきいを2700kcalとしており[1]、21世紀せいきはい世界せかい平均へいきんではそれをたしている。なおひょう数値すうち食料しょくりょう供給きょうきゅうベースであり、摂取せっしゅりょうはその60-70%である。

現在げんざい飢餓きが状態じょうたいにあるひとは2022ねん時点じてん世界中せかいじゅう推定すいていやく7おく3,510まんにんのぼると報告ほうこくされている(2024ねん5がつ現在げんざい)。とくにアフリカには、飢餓きが状態じょうたいにあるひとおおく、飢餓きが蔓延まんえんりつ世界せかいもっとたかいとされ、飢餓きが人口じんこう推定すいていで2おく8,160まんにん2011ねん以降いこうつづけている[2]

原因げんいん

編集へんしゅう

1971ねんには、フランシス・ムア・ラッペが、べものをめるものが浪費ろうひしてしまうというとみ格差かくさが、飢餓きが基本きほんてき原因げんいんであり政治せいじてき問題もんだいであると告発こくはつしたほんがミリオンセラーとなった[3]

1にち2.15ドル以下いか2017ねんアメリカドルPPPベース)で生活せいかつする絶対ぜったいてき貧困ひんこん状態じょうたいがある。2007ねん後半こうはんからの穀物こくもつ価格かかく高騰こうとうは、貧困ひんこんそううことができる食糧しょくりょうりょうらした[4]

上智大学じょうちだいがくビセンテ・ボネットは、UNDPの「1にち1人ひとりあたりキロカロリー供給きょうきゅうりょう」、FAOの「世界せかい食肉しょくにく消費しょうひりょう」の統計とうけいなどをもとに、「世界せかいえている人々ひとびとがいるのは、世界せかい生産せいさんされている食料しょくりょう不足ふそくしているから」という説明せつめい下記かき疑問ぎもんげかけている。

食料しょくりょう生産せいさん
世界せかい食料しょくりょう生産せいさん総量そうりょうは、世界中せかいじゅう人々ひとびとやしなうに十分じゅうぶんりょうがある[よう出典しゅってん]
まずしいくにまずしい生産せいさんしゃは、家族かぞくがもはや生活せいかつできないほどのてい価格かかくを、商社しょうしゃ値段ねだんめる権限けんげんつ)から強制きょうせいされている[よう出典しゅってん]
まずしいくにまずしい生産せいさんしゃは、家族かぞく生活せいかつ維持いじするために必要ひつよう穀物こくもつは、商社しょうしゃわたされ、ゆたかなくに人々ひとびと肉類にくるい生産せいさんよう家畜かちく飼料しりょうにされている[よう出典しゅってん]
流通りゅうつう消費しょうひ
ゆたかなくには、必要ひつようりょう以上いじょう[よう出典しゅってん]食料しょくりょう輸入ゆにゅうしている。
廃棄はいきりょう
大量たいりょう食料しょくりょう損失そんしつ廃棄はいき世界せかい食料しょくりょうそう生産せいさん重量じゅうりょうやく3ぶんの1が廃棄はいきされている。大半たいはん生産せいさん加工かこう流通りゅうつう段階だんかいでの廃棄はいきで、先進せんしんこく発展はってん途上とじょうこっかにかかわらず、1人ひとりあたり年間ねんかん150kgから200kgの廃棄はいきがある。例外れいがい東南とうなんおよびみなみアジアの100kgあまりである。これにくわえて、「ゆたかなくに」では、最終さいしゅう消費しょうひしゃによりやく100kgの食料しょくりょうてられている[5]。(れい; 東京とうきょう都区とく家庭かていから1にちてられる食物しょくもつは、アジアの50まんにん以上いじょうが1にちべる食料しょくりょう相当そうとう
人口じんこう増加ぞうか
国連こくれんあらたな報告ほうこくしょによると、世界せかい人口じんこう現在げんざいの81おくから2050ねんの97おくにんへと、今後こんご30ねんで20おくにん増加ぞうかとなる見込みこみである。[6][7]

人口じんこう増加ぞうかによる食糧しょくりょう問題もんだい解決かいけつすべく世界せかい各国かっこく代替だいたいにく(プラントベースドミート)代替だいたいたまご代替だいたいミルクなどを製造せいぞうするフードテック企業きぎょう誕生たんじょうしている。[8]

畜産ちくさんぶつ油脂ゆし1kgを生産せいさんするために
必要ひつよう穀物こくもつとうりょう試算しさん[9]
品目ひんもく 質量しつりょう
牛肉ぎゅうにく 11kg
豚肉ぶたにく 7kg
鶏肉とりにく 4kg
鶏卵けいらん 3kg
だい豆油 5kg
なたねあぶら 2kg
作物さくもつ使途しと
肉類にくるい消費しょうひりょう増加ぞうか意味いみは、飼料しりょうよう穀物こくもつ消費しょうひりょうえることで国際こくさい市場いちばにおける穀物こくもつ価格かかく上昇じょうしょうし、まずしい人々ひとびと必要ひつようとする穀物こくもつえなくなることである。
バイオ燃料ねんりょうバイオエタノール原料げんりょうとしてサトウキビトウモロコシが、バイオディーゼル原料げんりょうとして植物しょくぶつ消費しょうひ拡大かくだいしている。
その
かく家庭かてい必要ひつよう以上いじょう購入こうにゅうしなければ、商社しょうしゃ輸入ゆにゅうりょうらすかもしれない。
戦争せんそうによる食料しょくりょう生産せいさんりょう減少げんしょう流通りゅうつう阻害そがい
軍隊ぐんたいはいればべることができるので、子供こどもたちべるために軍隊ぐんたいはいる。食料しょくりょう生産せいさんしゃ減少げんしょう

飢餓きが関連かんれんする国連こくれん規定きてい

編集へんしゅう

世界せかいてきると、とく南部なんぶアフリカ集中しゅうちゅうしている。

飢餓きが生化学せいかがく

編集へんしゅう

成人せいじんでは基礎きそ代謝たいしゃりょう体重たいじゅうの25 - 30ばい、すなわち、体重たいじゅう60kg男性だんせいなら1500 - 1800キロカロリー程度ていどである。

ヒトは日々ひび活動かつどうのエネルギーげんとして、肝臓かんぞうグリコーゲンたくわえているが、これは、絶食ぜっしょくやく1にちですべて血糖けっとうグルコース)となり全身ぜんしん使つかたされる。

グリコーゲンを使つかたした結果けっか血糖けっとう低下ていかすると、肝臓かんぞうちゅう脂肪酸しぼうさん分解ぶんかい経路けいろであるβべーた酸化さんか回路かいろ活性かっせいされ、肝臓かんぞうちゅう脂肪しぼうβべーた酸化さんかケトンたいβべーた-ヒドロキシ酪酸アセトンアセト酢酸さくさん)に変化へんかけつりゅうちゅう流出りゅうしゅつする。ケトンたいは、全身ぜんしんでグルコースにわるエネルギーげんとして利用りようされる。

したがって、栄養えいよう欠乏けつぼうするとまず肝臓かんぞう筋肉きんにくちゅうのグリコーゲンが、つぎかん脂肪しぼうがエネルギーげんとして使つかわれる。飢餓きが状態じょうたいさらすすむと、からだ脂肪しぼう皮下脂肪ひかしぼうなど肝臓かんぞう以外いがい脂肪しぼうりゅうって肝臓かんぞうへとはこばれ、これもまた、肝臓かんぞうβべーた酸化さんかされてケトンたいわり、同様どうようにエネルギーげんとなる。これにより、ヒトは、理論りろんじょう水分すいぶん補給ほきゅうさえあれば絶食ぜっしょく状態じょうたいで2 - 3ヶ月かげつ程度ていど生存せいぞん可能かのうであり、この限界げんかいえれば餓死がしいたる。

たとえば、かりに、体重たいじゅう70kg、からだ脂肪しぼうりつ20%とし、脂肪しぼうカロリーを9kcal/g、絶食ぜっしょくにより運動うんどう強度きょうどがった結果けっかとして低下ていかする基礎きそ代謝たいしゃりょうを1200kcal/にちとすると、70 kg × 0.2(からだ脂肪しぼうりつ)× 9 kcal/g / 1200 kcal/にち = 105にち、となり、この計算けいさんだと、ヒトは絶食ぜっしょく3ヶ月かげつはんほど生存せいぞんすることができることになる。

ただし、これはあくまでエネルギーの計算けいさんじょうというだけで、実際じっさいには健康けんこう状態じょうたい維持いじすることは不可能ふかのうちかい。その理由りゆうは、ヒトの体内たいないではタンパク質たんぱくしつ核酸かくさん無機むき塩類えんるい、その様々さまざま生理せいり活性かっせい物質ぶっしつゆるやかに代謝たいしゃ回転かいてんしており、それらの新規しんき合成ごうせいのために、必須ひっすアミノ酸あみのさん必須ひっす脂肪酸しぼうさん、ミネラルるいや、様々さまざまビタミンなどを食物しょくもつより摂取せっしゅする必要ひつようがあるからである。ぎゃくにこれらの摂取せっしゅがない場合ばあい筋肉きんにくなどがアミノ酸あみのさん分解ぶんかいして、べつタンパク質たんぱくしつ合成ごうせいのためのアミノ酸あみのさんげんとう原料げんりょうとう新生しんせい)として使つかわれることになる。

参考さんこう事例じれい

編集へんしゅう
 
1958-61ねん中国ちゅうごくだい飢饉ききん中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくだい飢饉ききん)、1970年代ねんだいと80年代ねんだいから90年代ねんだいにかけてのエチオピアだい飢饉ききんen:1983–1985_famine_in_Ethiopia
飢饉ききん

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ FAO How the world is fed
  2. ^ FAO (2023-08-23) (英語えいご). Suite of Food Security Indicators(食料しょくりょう安全あんぜん保障ほしょう指標しひょうサイト). https://www.fao.org/faostat/en/#data/FS 2024ねん5がつ11にち閲覧えつらん. 
  3. ^ フランシス・ムア・ラッペ『ちいさな惑星わくせいみどり食卓しょくたく奥沢おくさわ喜久栄きくえやく講談社こうだんしゃ、1982ねん。i、16~17、62~63ぺーじ
  4. ^ 2008ねん02がつ24にち放送ほうそう「NHK海外かいがいネットワーク」NHKデジタル総合そうごう
  5. ^ FAO - The Swedish Institute for Food and Biotechnology (SIK) Global food losses and food waste
  6. ^ 世界せかい人口じんこう増大ぞうだい鈍化どんか、2050ねんに97おくにんたっしたのち、 2100ねんごろに110おくにん頭打あたまうちか:国連こくれん報告ほうこくしょ(プレスリリース日本語にほんごやく)*世界せかい人口じんこう推計すいけい2019年版ねんばんデータブックレット(日本語にほんごやく)をアップしました!”. 国連こくれん広報こうほうセンター. 2021ねん10がつ5にち閲覧えつらん
  7. ^ 世世せぜかい人口じんこう白書はくしょ2024”. 国連こくれん人口じんこう基金ききん 駐日ちゅうにち事務所じむしょ (2024ねん4がつ17にち). 2024ねん5がつ12にち閲覧えつらん
  8. ^ 代替だいたいにくはだれのため?未来みらい食生活しょくせいかつささえる植物しょくぶつ由来ゆらい救世主きゅうせいしゅ - マーケティング・パートナー「セルウェル」”. あらたな市場いちば創造そうぞうするマーケティング・パートナー:sellwell(セルウェル) (2019ねん11月18にち). 2021ねん10がつ5にち閲覧えつらん
  9. ^ 農林水産省のうりんすいさんしょう総合そうごう食料しょくりょうきょく (2004). くに食料しょくりょう自給じきゅうりつ-平成へいせい15年度ねんど食料しょくりょう自給じきゅうりつレポート (PDF) (Report). 農林水産省のうりんすいさんしょう. p. 10. 2024ねん5がつ12にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
  • フランシス・ムア・ラッペ、ジョセフ・コリンズ 『世界せかい飢餓きが構造こうぞう いま世界せかい食糧しょくりょう不足ふそくしているか』 鶴見つるみ宗之むねゆきかいやくさんいち書房しょぼう、1988ねんISBN 978-4380882210

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

外部がいぶリンク

編集へんしゅう