9K32

9K32 ストレラ-2
	ミサイル本体ほんたい（上段じょうだん）; ミサイルコンテナおよび発射はっしゃ装置そうち（下段げだん）
種類しゅるい	携帯けいたい式しき防空ぼうくうミサイルシステム
製造せいぞう国こく	ソビエト連邦れんぽう
性能せいのう諸しょ元もと
ミサイル直径ちょっけい	約やく100 mm
ミサイル全長ぜんちょう	約やく1,490 mm
ミサイル重量じゅうりょう	9.97 kg; （さらに発射はっしゃ装置そうち重量じゅうりょう 4.71 kg）
弾頭だんとう	HE破片はへん効果こうか（1.15 kg）
射程しゃてい	550 - 5,500 m
射い高だか	18 - 4,500 m
推進すいしん方式ほうしき	単たん段だん式しき固体こたいロケット・モーター
誘導ゆうどう方式ほうしき	パッシブ赤外線せきがいせんホーミング（IRH）; （PbS素子そし）
飛翔ひしょう速度そくど	430 m/s（ストレラ-2）; 500 m/s（ストレラ-2M）
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9K32 ストレラ-2（ロシア語ご: 9К32 Стрела-2 ヂェーヴャチ・カー・トリーッツァヂ・ドヴァー・ストリラー・ドヴァー、Strela-2）は、ソ連それんで開発かいはつされた携帯けいたい式しき防空ぼうくうミサイルシステム（MANPADS）。小型こがたの発射はっしゃ装置そうちと赤外線せきがいせん誘導ゆうどうミサイルの組くみ合あわせにより、歩兵ほへいが携行けいこう・発射はっしゃできる。ミサイル弾だん体たいは9M32（9М32 ヂェーヴャチ・エーム・トリーッツァヂ・ドヴァー）と呼よばれる。NATOによって用もちいられたNATOコードネームはグレイル（Grail）、DoD番号ばんごうはSA-7。なお、「ストレラ」はロシア語ごで「矢や」の意味いみ。

概要がいよう

9K32 ストレラ-2は、車載しゃさい式しきの9K31 ストレラと並行へいこうして1959年ねん頃ころから開発かいはつされ、1968年ねん前後ぜんごに量産りょうさんおよび配備はいびが開始かいしされた。筒つつ状じょうのコンテナにミサイルが入はいっており、その下したに小型こがたの発射はっしゃ装置そうちと引ひき金がね、ミサイル電源でんげん用ようの小型こがた熱ねつ電池でんちが取とり付つけられている。

ミサイルの射程しゃていは550-5,500m程度ていど、高度こうど18-4,500m程度ていどの目標もくひょうに対応たいおうする。誘導ゆうどう方式ほうしきはパッシブ赤外線せきがいせんホーミング方式ほうしきであり、ミサイル先端せんたんの赤外線せきがいせんシーカーが目標もくひょうの航空機こうくうきの熱ねつを感知かんちし追跡ついせきする。ただし、本ほん機きの赤外線せきがいせんシーカーは冷却れいきゃく措置そちを持もたない硫化りゅうか鉛なまり（PbS）焦こげ電でん素子そしを用もちいたものであり、検知けんち波長はちょうの関係かんけい上じょう、必かならずしも目標もくひょうを適切てきせつに捕捉ほそくできない場合ばあいがあり、特とくに初期しょき型がたは性能せいのうが劣おとるとされている。

目標もくひょうに直撃ちょくげきした場合ばあい、炸薬さくやく（HE）1.15kgが爆発ばくはつし目標もくひょうを破壊はかいする。また、目標もくひょうを逃のがした場合ばあいは、15秒びょう程度ていどで自爆じばくする仕組しくみになっている。発射はっしゃ装置そうちは別べつのミサイル容器ようきに取とりつけて再さい使用しようできる。

9K32は輸出ゆしゅつが積極せっきょく的てきに行おこなわれ、実戦じっせんでも多数たすうが用もちいられている。中東ちゅうとう戦争せんそうではアラブ諸国しょこくに供給きょうきゅうされ、ベトナム戦争せんそうでは北きたベトナム軍ぐんに供給きょうきゅうされて南みなみベトナム軍ぐんやアメリカ軍ぐんヘリコプターを相当そうとう数すう撃墜げきついしている。アフガニスタン紛争ふんそうにおいては、ムジャーヒディーン側そくが中国ちゅうごくやエジプトの9K32のコピー品ひんを使用しようしていた。これらはCIAやサウジアラビアの支援しえん団体だんたいなどが供給きょうきゅうしたものであり、皮肉ひにくにも自国じこくが開発かいはつした兵器へいきの複製ふくせい品ひんで自分じぶんたちの航空機こうくうきが狙ねらわれたのである。近年きんねんでは、湾岸わんがん戦争せんそうやイラク戦争せんそうでも存在そんざいが確認かくにんされている。2012年ねんには、ヒズボラが9K32を用もちいてイスラエルのヘリコプターを攻撃こうげきしたとの報道ほうどうもなされた^[2]。

基本きほん型がたの9K32は射程しゃていが短みじかく、炸薬さくやく量りょうが少すくない点てん、フレアに対たいして脆弱ぜいじゃくな点てんなどが欠点けってんだが、海外かいがい製せいの派生はせい型がたはこれらを改良かいりょうしているとされる。生産せいさん数すうも多おおく、現在げんざいでは世界中せかいじゅうに拡散かくさんしており、非ひ正規せいき軍ぐんやテロリストの手てにも渡わたっているものと見みられる。特とくに、2010年ねんのアラブの春はるに端はしを発はっする中東ちゅうとう各国かっこくの政権せいけん崩壊ほうかいの混乱こんらんにより、軍ぐんが保有ほゆうしている武器ぶきがテロリストに流出りゅうしゅつしており、9K32も例外れいがいではない^[3]。

後継こうけいは9K34 ストレラ-3。

派生はせい型がた

9K32 ストレラ-2

初期しょき量産りょうさん型がた。NATOコードネームはSA-7A。

9K32M ストレラ-2M: 改良かいりょう型がた。NATOコードネームはSA-7B。

HN-5

9K32を元もとに開発かいはつした中国ちゅうごくの携帯けいたい式しき防空ぼうくうミサイルシステム。

HN-5A: HN-5の改良かいりょう型がた。

화승총（Hwasung-Chong）

北朝鮮きたちょうせんでの生産せいさん型がた。

Ayn as Saqr

エジプトでの生産せいさん型がた。

Anza MK-1

パキスタンでの生産せいさん型がた。

このほかに、艦載かんさい型がた（運用うんよう側がわの名称めいしょうはストレラ-2のままだが、DoD番号ばんごうは新あらたにSA-N-5が付ふされている）、車載しゃさい型がたも開発かいはつ・配備はいびされている。そのほか、ユーゴスラビアなどでも派生はせい型がたが開発かいはつされている。また、現地げんち改修かいしゅう型がたと分類ぶんるいすべき派生はせい型がたも多おおく、必かならずしもすべては把握はあくされていない。

配備はいび国こく

アフガニスタン
アルバニア
アルジェリア
アンゴラ
アルメニア
ボツワナ
ベナン
ブルガリア
ブルキナファソ
カンボジア
カーボベルデ - 2023年ねん時点じてんで、カーボベルデ国家こっか警備けいび隊たいが9K32を保有ほゆうしている^[4]。
キューバ
キプロス
チェコ
エジプト
エチオピア
フィンランド - 回収かいしゅうまたは廃棄はいき。
東ひがしドイツ
ガーナ
ギニアビサウ
ハンガリー
インドネシア
インド - 回収かいしゅうまたは廃棄はいきの予定よてい。
イラン
イラク
エジプト - 「SaKr-Eye」の名なで生産せいさん。
クウェート
キルギス - 2023年ねん時点じてんで、キルギス陸軍りくぐんが9K32を保有ほゆうしている^[5]。
ラオス
レバノン - レバノン侵攻しんこう (2006年ねん)で国軍こくぐんが使用しよう。
- ヒズボラ
- レバノン軍団ぐんだん - 内戦ないせん時代じだいに装備そうび。
リビア
モーリタニア
モロッコ
モザンビーク
ミャンマー - HN-5/HN-5A。
- ワ州しゅう連合れんごう軍ぐん - HN-5Aを装備そうび。
- モンタイ軍ぐん - 入手にゅうしゅ経路けいろ不明ふめいであるがSA-7を装備そうびしていた。
ニカラグア
北朝鮮きたちょうせん
パキスタン
ロシア
ペルー
ポーランド
シエラレオネ
セルビア - 600基き。
スロバキア
ソマリランド
スーダン
シリア
タジキスタン - 2023年ねん時点じてんで、タジキスタン陸軍りくぐんが9K32を保有ほゆうしている^[6]。
タンザニア
ウクライナ
ベトナム
ユーゴスラビア連邦れんぽう共和きょうわ国こく
ザンビア
ジンバブエ

登場とうじょう作品さくひん

ドラマ

『ロシア特殊とくしゅ部隊ぶたいスペツナズ』

漫画まんが・アニメ

『ヨルムンガンド』: 民兵みんぺい組織そしき「バルドラ」が、ココたちの乗のるAn-12 カブ輸送ゆそう機きを迎撃げいげきする際さいに使用しよう。

ゲーム

『ARMA 2』
『Armed Assault』
『Operation Flashpoint: Cold War Crisis』: ソ連それん軍ぐんとレジスタンス陣営じんえいの対空たいくうミサイル手て兵科へいかで使用しよう可能かのうな地ち対空たいくうミサイルとして登場とうじょうする。
『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』: 「熱ねつ追尾ついび式しきロケットランチャー」の名称めいしょうで登場とうじょうする。航空機こうくうき・車両しゃりょう・船舶せんぱくに対たいしロックオンが可能かのう。
『コールオブデューティブラックオプス』: 名称めいしょうが「ストレラ3」になっている。
『バトルフィールドベトナム』: 北きたベトナム軍ぐんとベトコンで使用しよう可能かのう。
『フィクショナル・トルーパーズ』: エストビア連邦れんぽう軍ぐんの歩兵ほへい装備そうびとして登場とうじょうする。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ http://www.new-factoria.ru/missile/wobb/strela_2m/shema.htm. Retrieved: May 5th, 2009
^ “ガザで携行けいこう型がた地ち対空たいくうミサイルの初はつの攻撃こうげき、イスラエル機きを狙ねらう”. CNN News (CNN). (2012年ねん10月がつ18日にち) 2012年ねん10月がつ27日にち閲覧えつらん。
^ 瀬川せかわ明秀あきひで (2013年ねん1月がつ22日にち). “アルジェリア、なぜ人質ひとじち救出きゅうしゅつではなく軍事ぐんじ作戦さくせんに踏ふみ切きったのか”. 日経にっけいビジネスオンライン 2013年ねん1月がつ22日にち閲覧えつらん。
^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 439. ISBN 978-1-032-50895-5
^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 181. ISBN 978-1-032-50895-5
^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 198. ISBN 978-1-032-50895-5

外部がいぶリンク

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[1] ttp://www.new-factoria.ru/missile/wobb/strela_2m/shema.htm. Retrieved: May 5th, 2009

[2] “ガザで携行けいこう型がた地ち対空たいくうミサイルの初はつの攻撃こうげき、イスラエル機きを狙ねらう”. CNN News (CNN). (2012年ねん10月がつ18日にち) 2012年ねん10月がつ27日にち閲覧えつらん。

[3] 瀬川せかわ明秀あきひで (2013年ねん1月がつ22日にち). “アルジェリア、なぜ人質ひとじち救出きゅうしゅつではなく軍事ぐんじ作戦さくせんに踏ふみ切きったのか”. 日経にっけいビジネスオンライン 2013年ねん1月がつ22日にち閲覧えつらん。

[4] The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 439. ISBN 978-1-032-50895-5

[5] The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 181. ISBN 978-1-032-50895-5

[6] The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 198. ISBN 978-1-032-50895-5

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