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カタパルト (投石機) - Wikipedia

カタパルト (投石とうせき)

いしとおくにげるための機械きかい
投石とうせきから転送てんそう

カタパルトえい: Catapult)は、いしなどを投擲とうてきしててき人馬じんばもしくはしろなどの建築けんちくぶつ標的ひょうてきとし射出しゃしゅつ攻撃こうげきする兵器へいきおさむじょう兵器へいき)である[1]

カタパルトのレプリカ。フランス
だいいち世界せかい大戦たいせんでカタパルトをもちいて手榴弾しゅりゅうだん投擲とうてきするフランスぐん兵士へいし
13世紀せいきのついた可燃かねんぶつめたたる投擲とうてきしている様子ようすえがいた版画はんが

カタパルトに改良かいりょうくわえたものにオナガートレビュシェットがある。これらの兵器へいき総称そうしょうしてカタパルトと場合ばあいもある。日本にっぽんでは、律令りつりょうに、ほういし(ほうせき)、現代げんだいでは、投石とうせき(とうせきき)、あるいは投石とうせきとも表記ひょうきされる。後者こうしゃのように表記ひょうきすれば、Yがた投石とうせきスリングショット、ぱちんこ)やひもじょう投石とうせきスリング)とおな表記ひょうきとなり、しばしば両者りょうしゃ混同こんどうされる原因げんいんともなっている。射程しゃてい大型おおがたのものでもすうひゃくメートルにとどまった。

概要がいよう

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木材もくざいししけん植物しょくぶつせいつななどの弾力だんりょくと、てこ原理げんり利用りようして、いしなどをばすものである。またなかにはおおきなゆみけて威力いりょくをあげる改良かいりょうをほどこしたもの金属きんぞくせいのばねしきものもあった。おも工兵こうへい軍属ぐんぞくによって運用うんようされるが、そとから戦場せんじょうまれることはまれで、そのつくられることがおおかった。そのため即席そくせきつくれるよう簡便かんべん構造こうぞうのものがこのまれ、古代こだいから近世きんせいまで地中海ちちゅうかい世界せかいユーラシア大陸たいりく各地かくち使つかわれたにもかかわらず、基本きほんてき構造こうぞうはほぼおなじである。また、広義こうぎ意味いみではいしゆみバリスタなかでもいし投射とうしゃできるほど構造こうぞうもの投石とうせきないしカタパルトにふくことがある。

重量じゅうりょうのあるいしばす場合ばあい城壁じょうへき上部じょうぶ目指めざしてばし、城壁じょうへきはしからくずしていく方法ほうほうがとられた。いし砂利じゃりまったふくろばして城門じょうもんなどを攻撃こうげきするほか、のついたわら火薬かやくばして城内じょうない火災かさいこさせたり、汚物おぶつ死骸しがい投擲とうてきしててき士気しきげたり、疫病えきびょう流行りゅうこうさせたりするなどの使つかわれかたをすることもあった。また、もりじょうがわ攻撃こうげきふせぐために装甲そうこうけたり、おさむしろとううえ設置せっちすることもおおかった。野戦やせんにおいててき密集みっしゅう隊形たいけいくずすために使つかわれることもあった。投射とうしゃ使用しようするいし着弾ちゃくだんとべだんしてよりおおくの範囲はんい被害ひがいあたえられるように球状きゅうじょう加工かこうされていた。平時へいじにおいてはその投射とうしゃ力量りきりょうをひけらかすためもよおものはな投射とうしゃすることもあった。

古代こだい中国ちゅうごくではおそくとも紀元前きげんぜん5世紀せいき初頭しょとうには使つかわれはじめていた。欧州おうしゅうシチリア)ではバリスタしきもの紀元前きげんぜん4世紀せいき初頭しょとう開発かいはつされ、古代こだいギリシャでもアレクサンドロス大王だいおう東征とうせいにおいて使用しようされており、旧約きゅうやく聖書せいしょでもだい2歴代れきだい26しょう14せつ投石とうせきられる記述きじゅつがある。中世ちゅうせいには中央ちゅうおうアジア西にしアジア改良かいりょうくわえられ、オナガートレビュシェットへと進化しんかした。大型おおがた火砲かほう登場とうじょうしても安全あんぜんせい威力いりょく問題もんだいから投石とうせき併用へいようして使用しようされつづけた。

日本にっぽんにおいては、律令りつりょう時代じだいに「ほういし(ほうせき、ほうは、「ほうる」の)」とばれ、訓練くんれんされていた(『別冊べっさつ歴史れきし読本とくほん48 日本にっぽん古代こだい[争乱そうらん]の最前線さいぜんせん 戦乱せんらん政争せいそうなぞく』 新人物往来社しんじんぶつおうらいしゃ 1998ねん p.255)。使用しよう目的もくてきとしては、たいたてたい施設しせつかべ屋根やね破壊はかいほかふね破壊はかい目的もくてきとする(同書どうしょ)。応仁おうにんらんさいに「はつ石木いしき」「ほう」という投石とうせき使用しようされたことが、くもいずみ太極たいきょくの『あおやまろく』に記録きろくされている。

時代じだいすす火砲かほう改良かいりょうすすめられるにつれ主流しゅりゅう兵器へいきではなくなったが、だいいち世界せかい大戦たいせん塹壕ざんごうせんでは、手榴弾しゅりゅうだん投擲とうてきのためにカタパルトが使つかわれたという記録きろくのこっている。また、だい大戦たいせん末期まっき日本にっぽんでは、たい戦車せんしゃせんようとして爆薬ばくやく投射とうしゃするために室蘭むろらん大山おおやまかしわがカタパルトを制作せいさくした(実戦じっせんには投入とうにゅうされなかった)。

古代こだい中国ちゅうごくでは投石とうせきに「礮=ほう」のもちいたことがあり、そのうち火薬かやく投射とうしゃするものとく火砲かほう大砲たいほうなどとぶようになり、のち火砲かほう大砲たいほうなどがりゃくされて「ほう」のいちになっているので、古代こだい中国ちゅうごく文献ぶんけんあつか場合ばあいには解釈かいしゃく注意ちゅういようする。

種類しゅるい

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カタパルトの方式ほうしき以下いかの4種類しゅるいである。

人力じんりき利用りようした投石とうせき
古代こだい中国ちゅうごくほう小型こがたトレビュシェットがある。最初さいしょ投石とうせき
おおきなてこの一端いったんには投射とうしゃするいし設置せっちし、もう一端いったんいているひも複数ふくすう人間にんげん同時どうじこといし投射とうしゃした。
弾力だんりょく動物どうぶつけんなどをバネとして)を利用りようした投石とうせき
オナガーマンゴネルがある。構造こうぞうはほぼおなじで、名称めいしょうちがいは時代じだいによるもの。前者ぜんしゃ古代こだいローマの武器ぶきで、後者こうしゃはその中世ちゅうせい)に登場とうじょうした武器ぶき
移動いどう可能かのう包囲ほうい攻撃こうげきもちいられた。
曲射きょくしゃ弾道だんどう特徴とくちょう。その軌道きどうから迫撃はくげきほう系譜けいふとしてあつかわれることもある。
おもり位置いちエネルギー落下らっか)を利用りようした投石とうせき
トレビュシェットがある。
ちょう射程しゃていだが、非常ひじょうおおきく固定こていしき移動いどう不可ふか)。
曲射きょくしゃ弾道だんどう特徴とくちょう
いしゆみほう大型おおがたいしゆみ横倒よこだおししたゆみ)による投石とうせき
バリスタがある。金属弾きんぞくだんして利用りようされ、カタパルトとけてかんがえられることおおいが、まるいしして利用りようされたため、海外かいがいではカタパルトとしてあつかわれている。
たん射程しゃていだが、とてもねらいやすく城門じょうもん防衛ぼうえい兵器へいき破壊はかい利用りようされた。
直線ちょくせん弾道だんどう特徴とくちょう軍船ぐんせんへの搭載とうさいなど、歴史れきし登場とうじょうする大砲たいほうおな用途ようと使つかわれた。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 古代こだい(こだい)の秘密ひみつ兵器へいき(ひみつへいき)、カタパルトをつくろう”. 日本にっぽん科学かがく協会きょうかい. 2023ねん1がつ16にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク

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