新 ・古着 屋 総 兵衛
『
あらすじ
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登場 人物
大黒屋
鳶 沢 一族
大黒屋 総 兵衛 勝頼 (だいこくや そうべえ かつより)大黒屋 6代目 当主 。前作 『古着 屋 総 兵衛 影 始末 』シリーズ主人公 。大黒屋 の中興 の祖 として一族 に敬 われている。享 保 17年 (1732年 )2月 14日 に死去 。大黒屋 総 兵衛 勝典 (だいこくや そうべえ かつのり)大黒屋 9代目 当主 。物語 開始 時点 で36歳 。労咳 にかかり、1巻 『血 に非 ず』にて病死 。大黒屋 総 兵衛 勝雄 大黒屋 8代目 当主 。勝典 の父 。物語 開始 時点 で故人 。幸 之 輔(こうのすけ)勝典 の嫡男 。流行 り病 により、11歳 で死亡 。由紀乃 勝典 の内儀 。幸 之 輔の死後 、精神 を患 い実家 へ帰 る。光蔵 (みつぞう)大黒屋 の大 番頭 。物語 開始 当時 60歳 。大黒屋 の大 番頭 は、代々 庭 の一角 で薬草 を育 てるという伝統 があり、光蔵 もそれにならって薬草 園 を作 り手入 れをしている。信一郎 大黒屋 の一番 番頭 。琉球 出身 で、前作 『古着 屋 総 兵衛 影 始末 』シリーズの一番 番頭 ・信之 助 の孫 。英 吉利 製 の決闘 用 拳銃 2丁 を使 いこなす。祖父 から総 兵衛 勝頼 仕込 みの技 と素手 で戦 う琉球 武術 を仕込 まれる。琉球 武術 の腕前 は達人 級 で、また6代目 総 兵衛 を想起 させる祖 伝 夢想 流 の技 前 から「六 代目 仕込 み」の異名 を持 つ。参 次郎 大黒屋 の二 番 番頭 。雄三郎 (ゆうざぶろう)大黒屋 の三 番 番頭 。重吉 (じゅうきち)大黒屋 の四 番 番頭 。安 左衛門 (やすざえもん)駿府 鳶 沢村 の分家 の長老 。一族 の最 長老 で、物語 開始 当時 77歳 。仲蔵 (なかぞう)大黒屋 琉球 首 里 店 の総 支配人 。一番 番頭 ・信一郎 の実父 。物語 開始 当時 55歳 。田之助 大黒屋 の手代 。手足 が長 く、江戸 と駿府 鳶 沢村 の間 を4昼夜 で往来 するため、「早 走 り」の異名 を持 つ。華 吉 (かきち)大黒屋 の手代 。含 み針 の使 い手 で、畳 針 を急所 に打 ち込 む技 にも長 ける。九 輔(きゅうすけ)大黒屋 の手代 。身軽 で「猫 の九 輔」の異名 を持 ち、縄 の扱 いも巧 み。鳶 沢村 から奉公 に出 てきた当初 、江戸 の暮 らしに慣 れず、夜 には泣 いて過 ごしていたところ、大黒屋 の飼 い猫 だった先代 のひなに慰 められた。それ以来 、彼 もひなに懐 き、ひなも彼 の後 をついてくることが多 かったため「猫 つきの九 輔」と呼 ばれ、それがやがて「猫 の九 輔」となった。この異名 とは裏腹 に本当 は犬 好 き。- おりん
大黒屋 の女中 。奥 向 きを取 り仕切 っており、病 に伏 した勝典 の世話 を任 されていた。年齢 は25歳 (物語 開始 当初 )。安 左衛門 の姪 で、鳶 沢 一族 の中 でも美貌 と賢 さで知 られる。大黒屋 に奉公 に出 たのは13歳 の時 で、当初 から美 しさと才気 が評判 となり、「富沢 町 小町 」の異名 で呼 ばれている。銀次 大黒屋 の小僧 。鉤 縄 を使 う。松吉 大黒屋 の小僧 。天 松 (てんまつ)大黒屋 の小僧 。6巻 『転 び者 』で手代 見習 いに昇格 。背丈 が5尺 8寸 (約 176センチ)あり、同輩 から「ひょろりの天 松 」「ひょろ松 」と呼 ばれている。勘 が鋭 く、闇 に紛 れて尾行 することが得意 。長 さ2尺 5寸 (約 7.6センチ)の畳 針 に似 たものを指 の間 に隠 し、危機 に陥 った際 は呆 けた真似 をしながら相手 を油断 させ、隙 を窺 って片手 を振 り抜 いて相手 の顔 などに飛 ばした針 を突 き立 てる技 を得意 とする。江戸 育 ちで、富沢 町内 で古着 商 いをする鬼 六 とおつまを父母 に持 つ。鬼 六 とおつまは、情報 収集 のため荷 を担 いで行商 に出 る任務 を負 うこともある。後 に綾 縄 を使 いこなし、「二 代目 綾 縄 小僧 」を名乗 ることを勝臣 に許 される。潮 吉 船頭 。坊主 の権 造 (ぼうずのごんぞう)大黒屋 の荷 運 び頭 。坊主 頭 で、怪力 の大男 。棹 差 しの武男 権 造 の配下 。常五郎 (つねごろう)鳶 沢村 の若者 頭 。美吉 (よしきち)鳶 沢村 の若 い衆 。達 次 鳶 沢村 の若 い衆 。有 度 の恒蔵 (うどのつねぞう)鳶 沢村 の助 長老 の1人 で、久能山 衛士 を束 ねる組頭 。村 の道場 の師範代 の1人 で、鳶 沢村 四天王 の1人 。根古屋 の仁助 (じんすけ)鳶 沢村 に残 る戦闘 員 の中核 で四天王 の1人 。普段 は野菜 を作 って江尻 や府中 の旅籠 に卸 す仕事 をしている。五右衛門 (ごえもん)安 左衛門 の実弟 。鳶 沢村 の道場 で師範 を任 されている。鍛冶 屋 の稲 三郎 、漁師 の加 吉 鳶 沢村 四天王 。恒蔵 や仁助 とともに村 の道場 の師範代 をしている。- おしげ
鳶 沢村 の娘 。初 登場 時 は15歳 。鍛冶屋 の弥五郎 の娘 で、勝臣 の人別 (戸籍 )上 では妹 。壱 蔵 (いちぞう)深浦 の船 隠 しの浜 の長 。元 は大 黒丸 の船 手代 だったが、事故 で左足 を失 った後 、自 ら望 んで船 を下 り、深浦 の船 隠 しで一族 の下働 きとして奉公 するようになった。足 は不自由 だが、動 きは機敏 。市蔵 大黒屋 の見習 番頭 。満 次郎 大黒屋 の手代 。広一郎 (こういちろう)弥生 町 の古着 屋 「柏 や」の主 。「柏 や」は大黒屋 の出先 機関 であり、地下 通路 で大黒屋 と繋 がっている。百 蔵 (ひゃくぞう)古着 の担 ぎ商 い。- ひな
大黒屋 の飼 い猫 である黒 猫 。6代目 総 兵衛 以来 、大黒屋 の飼 い猫 は黒 猫 で、「ひな」と名付 けることになっている。- さくら、
甲斐 、信玄 大黒屋 で飼 っている甲斐 犬 。内藤 新宿 の古着 屋 から譲 り受 けてきた犬 で、さくらが雌 であとの2頭 が雄 。- お
香 - おりんの
母親 。おりんの前 に富沢 町 の奥 向 きを取 り仕切 っていた。おりんに奥 向 きのことを任 せて鳶 沢村 に隠棲 していたが、大黒屋 に今坂 一族 が加入 するのに伴 い、彼 らに日本語 や漢字 を教 える師匠 の役割 を担 うため再 び呼 び出 される。 - おりんの
父 は、安 左衛門 の末弟 の海 次郎 (かいじろう)。2人 で所帯 を持 とうと思 い合 っていたが安 左衛門 に反対 され、海 次郎 は村 を出 たところで始末 されたことになっていた。実際 には、追 っ手 の者 に死 んだということにされて、越前 国 の曹洞宗 永平寺 で修業 を続 けている。 武 七郎 (ぶしちろう)- 「
波乗 りの武 七郎 」の異名 をとる若者 。 華 四 番 番頭 ・重吉 の末 の妹 。鳶 沢村 から江戸 の大黒屋 に来 て、奥 向 き奉公 の見習 となる。海 生 (かいせい)信一郎 とおりんの子 。
池城 一族
池城 具 高 (いけぐすく ともたか)琉球 の池城 一族 の長 。幸地 達 高 (こうち たっこう)大 黒丸 の副 船頭 。舵 方 を務 める。のちに大 黒丸 の船長 に就任 。幸地 龍 助 (こうち りゅうすけ)達 高 の末弟 。金武 陣 七 (きん じんしち)大 黒丸 の主 船頭 。頭痛 持 ちで、天気 の変 わり目 に頭 が痛 む。金武 (きん)陣 三郎 大 黒丸 の水夫 頭 。陣 七 の息子 。利 き耳 の唐 助 池 城一 族 。聴覚 が人 の何 倍 も優 れている。阿呆 鳥 の朋 親 (あほうどりのともちか)池 城一 族 。18歳 。ヌンチャクの使 い手 。
今坂 一族
今 坂 勝臣 (かつおみ)- 6
代目 総 兵衛 勝頼 の曾孫 。交趾での名 はグェン・ヴァン・キ。身長 6尺 2寸 (約 188センチ)余 。交趾を訪 れた勝頼 と、当地 に住 む今 坂理 右 衛門 の孫娘 ソヒとの間 に生 まれた子 ・理 総 (としふさ)の孫 にあたる。今坂 一族 の嫡男 は日本語 の習得 を義務付 けられていたため、日本語 は堪能 。 - 9
代目 総 兵衛 勝典 の死 から6日 後 (影 七 日 )に、双 鳶 の紋 をつけた夏 羽織 を身 に着 けて大黒屋 に現 れる。安 南 の政変 で父母 を毒殺 され、イマサカ号 に一族 全 てを乗船 させて日本 まで航海 して来 た。後継 者 不在 により危機 に陥 った鳶 沢 一族 の新 当主 として迎 え入 れられ、当人 も熟慮 の末 それを受 け、大黒屋 10代目 となる。 - グェン・ヴァン・チ /
千恵 蔵 勝臣 の従兄弟 。イマサカ号 の航海 方 と副 船長 を兼務 する。「千恵 蔵 」は和名 。勝幸 (かつゆき)勝臣 の弟 。- おふく
勝臣 の妹 - お
由 勝臣 の大叔母 。今 坂 恭子 (いまさか きょうこ)勝臣 の母 。当初 は勝臣 の父 ・長 右 衛門 (ちょうえもん)とともに死亡 したと思 われていたが、難 を逃 れ、越 南 の一隅 に潜 んでいた。梅 香林 (ばい こうりん) /林 梅香 (はやし ばいこう)今坂 一族 とともに日本 へ渡 って来 た卜 師 。1尺 (約 30センチ)ほどの白 いあごひげを伸 ばした小柄 な老人 。柳沢 吉保 が鳶 沢 一族 にかけた呪 いに気 づく。林 梅香 の名 は、日本 に定住 する決意 をした際 に改名 したもの。- グェン・ヴァン・フォン /
具 円 伴 之 助 (ぐえん ばんのすけ) - イマサカ
号 船長 。和名 ・「具 円 伴 之 助 」。 海風 の帆 助 (はんすけ)- イマサカ
号 の水夫 頭 。「帆 助 」は和名 。 魚 吉 (うおきち) / ウォッキ- ツロン
河港 で働 いていた石工 の親方 。ウォッキは交趾での名前 。 風 吉 (かぜきち)今坂 一族 の者 で、火薬 方 を務 める。異国 の火薬 の扱 いに長 けた人物 。
柘植 衆
柘植 宗 部 (つげ そうぶ)柘植 衆 の頭領 。鳶 沢 一族 と合流 後 、信一郎 とともに準 長老 としての身分 を与 えられる。柘植 満 宗 (つげ みつむね)宗 部 の嫡男 。登場 時 、27歳 。新 羅 次郎 、新 羅 三郎 、信楽 助太郎 柘植 衆 の若者 たち。それぞれ20歳 、18歳 、17歳 。- だいなごん /
正 介 (しょうすけ) 柘植 一族 の元 で育 てられた孤児 。元 は加太 峠 に放置 されていた赤子 で、首 にかけたお守 りの中 に「だいなごん」と書 かれた札 があったことから、だいなごんの名 で呼 ばれてきた。お守 り袋 の中 には、元 ・幕府 の火 術 方 の同心 ・佐々木 五雄 の一 子 ・正 介 と書 かれた薄紙 が火薬 の作成 法 を記 した紙 とともに入 れられている。柘植 一族 が大黒屋 の配下 につくことになった後 、大黒屋 の一員 となるべく、本名 の正 介 を名乗 り小僧 として修業 を始 める。佐々木 五雄 は寛政 の改革 が行 われていた時分 に、与力 ・吉 阪 兵 右 衛門 の妻 ・小夜 と惹 かれ合 い、江戸 を出奔 したが、その後 の消息 は不明 となっていた。
その他 、大黒屋 に迎 え入 れられた人物
- ちゅう
吉 /忠吉 湯島天神 でおこもをしている少年 。天 松 に私淑 し、大黒屋 の密偵 のような役割 を果 たす。第 5巻 『○に十 の字 』にて、鳶 沢 一族 に迎 え入 れられ、大黒屋 の一員 となることが決 まる。北郷 陰 吉 (きたごう かげよし)薩摩 藩 の目付 配下 の密偵 。外城 道之 島 (奄美 群島 )出身 。鳶 沢 一族 に捕 らえられ、転 ぶ(寝返 る)。隆 吾郎 (りゅうごろう)、来 一郎 (きいちろう)- 3
代目 大黒屋 のころから、大黒屋 に代々 出入 りする大工 の家 の棟梁 と、その息子 。第 9巻 『たそがれ歌麿 』にて、大黒屋 の地下 にある船 隠 しの存在 に気付 いたことがきっかけで、鳶 沢 一族 に迎 え入 れられる。 加納 恭一郎 (かのう きょういちろう)外科 を専門 とする蘭方 医 。父 は御 典 医 で蘭方 医 の加納 玄 伯 (かのう げんぱく)。飛 助 (とびすけ)美濃 ・近江 の国境 にある伊吹山 を縄張 りにしてきた伊吹 衆 の若者 。黒 伊吹 流 の鎖鎌 の使 い手 。
影
本郷 丹後 守 康秀 (ほんごう たんごのかみ やすひで)- 7000
石 の直参 旗本 。御側 衆 を務 め、当代 将軍 の徳川 家斉 の寵愛 を受 けている。御 城 表 、中奥 、大奥 に勢力 を張 る実力 者 。鳶 沢 一族 と対立 し、薩摩 藩 と結託 して暗躍 するが、日光 の霊廟 で勝臣 に討 たれる。 鶴間 元 兵衛 (つるま もとべえ)康秀 の用人 。九 条文 女 (くじょう あやめ)五摂家 の1つ・九 条 家 の娘 。本郷 康秀 の死後 、影 の任 に就 く。
幕府 関係 者
寔 子 (ただこ)- 11
代 将軍 ・徳川 家斉 の正室 ・茂 姫 。薩摩 藩 の藩主 ・島津 重豪 の娘 。 牧野 備前 守 忠 精 (まきの びぜんのかみ ただきよ)老中 の1人 。越後 長岡 藩 の9代目 藩主 で、三 名 君 の1人 として名高 い。本庄 豊後 守義 親 (ほんじょうぶんごのかみよしちか)大目 付 。物語 開始 当初 35歳 。代々 大目 付 の職 に就 いてきた家柄 で、当代 の義親 も道中 奉行 を兼帯 する大目 付 首席 の地位 にある。6代目 総 兵衛 勝頼 以来 、大黒屋 とは100年余 にわたる親戚 付 き合 いをしてきた、大黒屋 の強力 な味方 であり理解 者 でもある。石出 帯刀 牢屋 奉行 。牧野 忠 精 江戸 幕府 老中 。越後 長岡 藩 藩主 。京都 所司代 を務 めていた当時 、九 条文 女 と深 い仲 になるが、牧野 の出世 を望 む野心 が幕府 、朝廷 のためにならないとみなされ、縁 を切 られる。
町奉行 所
根岸 肥前 守 鎮衛(ねぎしひぜんのかみしずもり)南 町奉行 。大黒屋 との会談 を通 し、古着 大市 の開催 を許可 する。田 之 内 泰 蔵 (たいぞう)南 町奉行 所 の内 与力 。昼行灯 と陰口 を叩 かれるが、根岸 鎮衛の懐刀 を務 める切 れ者 。鈴木 主税 (すずき ちから)北町 奉行 所 の定 町 廻 り同心 。大黒屋 代々 の出入 り役人 。小吉 - 「
葭 町 (よしちょう)の親分 」と慕 われる、大黒屋 出入 りの御用聞 き。 沢村 伝兵衛 南 町奉行 所 の市中 取締 諸色 掛 同心 。元 は牢屋 同心 の打 役 (罪人 を打擲 する役 )で、一撃 無 楽 流 居合 いの遣 い手 。土井 権 之 丞 (どい ごんのじょう)南 町奉行 所 の市中 取締 諸色 掛 与力 。薩摩 藩 の手先 となり、大黒屋 の商 いを妨害 するが、鳶 沢 一族 により始末 される。池辺 三 五 郎 南 町奉行 所 の市中 取締 諸色 掛 同心 。土井 の配下 。井上 正美 (まさみ)南 町奉行 所 の定 町 廻 り同心 。沢村 伝兵衛 とは幼馴染 の親友 。
薩摩 藩
島津 重豪 (しまづ しげひで)薩摩 藩 8代目 当主 。秩父 季 保 (ちちぶ ときやす)薩摩 藩 の家老 。強 臑 の冠 造 (こわすねのかんぞう)薩摩 藩 の急 ぎ飛脚 。藩 と京屋 敷 、江戸 藩邸 を結 ぶ役 。鬼 口 の弐 兵衛 (おにぐちのにへえ)冠 造 の弟分 。外城 (とじょう)衆 の1人 で、開聞岳 の西麓 の浜 で生 まれた。5尺 に満 たない小柄 な体 をどのような場所 にも紛 れ込 ませ、薩摩 と江戸 の間 を20日 余 で走 り切 る走 力 の持主 。- ゆだいくりの
虎次 (ゆだいくりのとらじ) 冠 造 の末弟 分 。弐 兵衛 と同様 、身分 の低 い外城 衆 の者 。6尺 を超 える長身 で、半開 きの口 の端 からゆだい(涎 )がいつも垂 れている。その痩身 からは予想 もつかない怪力 の持主 で、涎 を垂 らした顔 に油断 した相手 を両 腕 で締 め付 けて骨 まで砕 く。伊集院 監 物 (いじゅういん けんもつ)薩摩 藩 京屋 敷 詰 めの目付 。
ベトナム
その他
桂川 甫 周 国 瑞 (かつらがわ ほしゅう くにあきら)蘭医 。徳川 将軍家 の奥 医師 も務 める。総 兵衛 勝典 を診察 し、労咳 と診断 する。その後 も、勝典 の死 の間際 まで治療 を施 す。- お
香 元 ・大黒屋 の奥 向 きの女中 。勝典 との間 に男子 をもうけるが、8代目 総 兵衛 の勘気 に触 れ、解雇 される。現在 は、やくざ稼業 と荷揚 げ人足 の口 入 稼業 の二 足 のわらじを履 く安房 屋 宣 蔵 の情婦 となり、深川 櫓下 にある女郎 屋 「角一 楼 (かどいちろう)」の女 主 に収 まっている。勝 豊 (かつとよ)勝典 とお香 との間 に生 まれた子 。三井 八郎 右 衛門 高 清 呉服 商 ・三井 越後屋 の当代 。万屋 松 右 衛門 江戸 の古着 商 の代表 である年寄 の1人 。坊 城 麻子 (ぼうじょう あさこ)南蛮 骨董 商 を営 む女性 。中納言 坊 城 家 の出身 で、『古着 屋 総 兵衛 』シリーズに登場 した坊 城 崇子 の子孫 。坊 城 桜子 (ぼうじょう さくらこ)坊 城 麻子 の娘 。物語 開始 時点 で18歳 。南蛮 骨董 商 の仕事 を継 がせるため、京都 に修行 に出 されていた。父親 は松平 伊豆 守 乗 完 。坊 城 公望 (ぼうじょう きんもち)坊 城 家 の当主 。位 は中納言 。今上 天皇 の近習 を務 める。砂 村 葉 - 14
歳 。本郷 家 の陪臣 の娘 。 賀茂 火 睡 (かも かすい)大黒屋 を呪 う闇 祈祷 を行 っている陰陽 師 。柳沢 吉保 に命 を下 された初代 ・賀茂 火 睡 から数 えて4代目 。李 黒 (りこく)大黒屋 を呪 う闇 祈祷 を行 っている風水 師 。中村 歌 児 (なかむら うたじ) /里 次 (さとじ)本郷 康秀 のお気 に入 りの陰間 。本名 は里 次 。本郷 康秀 の日光 代参 に随行 させられ、殺害 されそうになるが勝臣 に救 われる。その後 、役者 になるため中村 座 で修行 を積 む。御蔵 屋 冶右衛門 (みくらややえもん)総 兵衛 勝頼 の代 から大黒屋 と取引 をしている加賀 の豪商 。当代 の冶右衛門 は11代目 。銭 屋 五 兵衛 (ぜにやごへえ)加賀 藩 御用 商人 。川端 次郎 兵衛 - ホイアンの
日本人 町 に住 み暮 らす和人 で妖術 師 。グェン・ヴァン・キ(今坂 勝臣 )の生存 を知 った今坂 一族 の政敵 によって、日本 に送 り込 まれた。 - ダン・ゴック・タイン
- グェン・ヴァン・キ(
今坂 勝臣 )の幼馴染 。ツロンに在住 していたイギリス人 で、グェンとは、ともに学 び将来 の夢 を語 り合 った仲 。タイン家 没落 後 、ツロンから退去 していたが、安 南 の政変 後 にツロンに帰国 。レピアー剣 の遣 い手 。 樫山 孫 六 (かしやま)長岡 藩 藩士 。中屋敷 の寄合 組 用人 。藩 の汚 れ仕事 を務 める。小此木 平四郎 (おこのぎ)長岡 藩 藩士 。真影 流 の免許皆伝 の腕前 で、日置 流 雪 荷 派 の弓術 の達人 でもある。御 番 衆 を務 めていたが、樫山 に抜擢 されて、中屋敷 付 となる。筑後 平十郎 (ちくご へいじゅうろう)西国 筑前 秋月 藩 の元 藩士 。丹 石 流 の免許皆伝 の腕前 。
用語
鳶 沢 一族 (とびさわいちぞく)初代 将軍 ・徳川 家康 より、徳川 幕府 を影 から護 る隠 れ旗本 としての任 を与 えられた一族 。江戸 時代 の初期 、開発 が始 まったばかりで治安 が悪 く無法者 が跋扈 する江戸 の地 を、助命 と引 き替 えにそこに巣食 う夜盗 達 を一掃 した鳶 沢 成 元 の子孫 。その後 、千代田 城 の鬼門 にあたる地 と古着 商 の権利 と共 に影 旗本 としての任務 を授 けられ、家康 の死後 はその最初 の埋葬 地 である久能山 の地 に隠 れ里 をつくり、徳川 幕府 の聖地 を護 る任務 も与 えられた。前 シリーズの主人公 ・6代目 総 兵衛 勝頼 を中興 の祖 とし、隠 れ旗本 として力 を蓄 えた。しかし、勝頼 が海外 へ渡航 し帰国 したことで幕府 に目 をつけられ、以来 公儀 による監視 の目 が注 がれるようになった。そして勝頼 の死後 、大黒屋 に度々 幕府 の手 が入 り、その度 に勢力 を削 がれてきた。また、長 らく実戦 から遠 ざかっていたため、戦 を知 らない者 も増 えた。鳶 沢 一族 は、直系 の男子 によって継承 されてきて、7代目 勝成 、8代目 勝雄 、9代目 勝典 と続 いたが、勝典 が跡継 ぎを遺 さないまま死 んだため、嫡流 は途絶 えることとなった。大黒屋 の当主 が死 に臨 んだとき、離 れにある当主 の座敷 から地下 の大広間 に移 され、そこで死 を迎 えることとなっており、亡骸 は久能山 の鳶 沢村 に移 し江戸 の大黒屋 で総 兵衛 の霊 が留 まる影 七 日 を一族 の後継 者 が臨終 の場 に残 って霊 をお護 りする習 わしとなっている。大黒屋 江戸 富沢 町 に店 を構 える古着 屋 。鳶 沢 一族 の表 の顔 である古着 商 としての拠点 で、琉球 首 里 にも支店 がある。庭 の中 に離 れがあり、そこを主 ・総 兵衛 の住 まいとしている。店 の地下 には大広間 が設 えてあり、一族 の集会 や武芸 の鍛錬 のために使用 されている。この大広間 は主 の住 む離 れや内蔵 から通 ずる秘密 の階段 から入 れる他 、店 の前 を流 れる入 堀 に架 かる栄橋 下 の石垣 の一部 から船 隠 しに船 で乗 り入 れることも出来 る。影 隠 れ旗本 である鳶 沢 一族 に、影 御用 を命 ずる存在 。連絡 をつける時 には、初代 “影 ”である本多 正純 の通称 である「弥八 郎 」の名 からとった「やはち」の崩 し文字 が記 された文 が届 けられる。6代目 総 兵衛 勝頼 が海外 渡航 より帰 ってからは、“影 ”からの連絡 は長 らく途絶 えていた。池 城一 族 (いけぐすくいちぞく)琉球 に住 まう一族 。大黒屋 が琉球 首 里 に支店 を構 えたことと6代目 総 兵衛 の琉球 訪問 をきっかけに鳶 沢 一族 との親交 が始 まり、この時代 に至 るまで血 の絆 によって固 い結束 を生 み出 している。今坂 一族 - 交趾(ベトナム)のツロンで
安 南 政庁 の重職 に就 く名家 。先祖 は日本 の西国 の大名 に仕 えていたが、当地 に流 れ着 いてそこに根 を張 って生 きてきた。政変 により国 を追 われ、残 った一族 全 てをイマサカ号 に乗 せて日本 にまで渡航 してきた。 一族 の男 達 は優 れた戦士 として鍛 えられており、弩 の扱 いにも長 じている。柘植 衆 (つげしゅう)本能寺 の変 の後 、徳川 家康 の伊賀越 えを援けた伊賀 衆 の一族 。家康 の東国 入 りに随身 せず、伊賀 の里 に残 った者 たちの末裔 で、山間 に潜 みながら貧 しい暮 らしを続 けてきた。- 五機内摂津高木助直
信一郎 が祖父 ・信之 助 から譲 られた刀 。刃渡 り2尺 4寸 3分 。来 国長 (らいくになが)総 兵衛 勝頼 が、ソヒとの間 に生 まれた理 総 に、双 鳶 の紋付 夏 羽織 と共 に贈 った脇差 。刃渡 り1尺 6寸 2分 (約 50センチメートル)。茎 には、「来 国長 」の銘 の脇 に「祝 勝頼 誕辰 」と刻 まれている。三池 典 太 光世 (みいけでんたみつよ)鳶 沢 成 元 が徳川 家康 から拝領 した刀 。大黒屋 10代目 就任 と共 に勝臣 に渡 される。第 三 大 黒丸 大黒屋 琉球 首 里 店 所蔵 の二 檣帆船 。異国 との交易 のために使用 される。6代目 総 兵衛 勝頼 の時代 の名残 のある船 で、前 シリーズに登場 した大 黒丸 から数 えて3代目 に当 たる。和船 の2700石 の荷 が積 まれ、前後 の帆柱 に2枚 ずつの帆 を張 れる。舵 は固定 型 で高 櫓 から梶棒 により操舵 する。舳先 の補助 帆 、船尾 の縦 帆 を含 め計 6枚 の帆 は帆柱 から横 桁 に縮小 固定 され、拡帆の際 は水夫 が縄梯子 を上 がって横 桁 から縄 を解 いて広 げる。海賊 などに遭遇 した際 の備 えとして、上 甲板 下 に一層 だけ砲 甲板 を設 け、18ポンド艦上 砲 を4門 ずつ計 8門 装備 している。- イマサカ
号 今坂 家 所有 のガレオン型 三 檣巨大 帆船 。イギリスではバーク型 と呼 ばれる3本 帆柱 の帆船 。安 南 の政変 でツロンの地 を追 われた一族 150数 人 を乗 せて日本 にまで到達 した。舳先 には鳶 沢 一族 の紋章 でもある双 鳶 の像 を据 えてあり、舳先 から船尾 まで200尺 (約 60メートル)以上 、船幅 は60尺 以上 。自衛 のため、砲 甲板 が3層 設置 され、上 砲 列 甲板 に12門 ずつ両 舷 に主力 砲 である24ポンド砲 が装備 されている。他 にも短 砲身 の巨大 なカロネード砲 2門 、12ポンド砲 など計 66門 を装備 している。砲弾 も、ぶどう砲弾 や短銃 の銃弾 を詰 めた散弾 、2つに割 れた砲弾 が鎖 に結 ばれたまま飛 び敵艦 を破壊 する鎖 弾 などが用意 されている。深浦 の船 隠 し大 黒丸 を停泊 させるため、深浦 湾 の入 り江 に造 られた大黒屋 の拠点 。6代目 総 兵衛 勝頼 が交易 で得 た資金 を投 じ、その死後 も7代目 勝成 、8代目 勝雄 と工事 を受 け継 いで完成 させた。浜 一帯 に船着場 と造船 場 と物産 蔵 7つを設 け、その背後 に一族 の頭領 が逗留 するための総 兵衛 館 と称 する城 館 が建 つ。物産 蔵 には琉球 首 里 店 で集 められた異国 の品々 を運 び込 み、小分 けにして富沢 町 の内蔵 に移送 される。総 兵衛 館 は湊 門 と山門 を持 ち、約 57000坪 の敷地 の周囲 を堀 が取 り巻 いている。長屋 も設置 され、鳶 沢 一族 と池城 一族 の者 がそこに常駐 している。宝永 四 年 の大 難破 総 兵衛 勝頼 の乗 った大 黒丸 が、南蛮 帆船 カディス号 と交戦 し、船体 に大 打撃 を受 けてその行方 を絶 った事件 (前 シリーズ『難破 !』より)。宝永 4年 (1707年 )の出来事 で、当主 が長期間 不在 となった大 事件 として、鳶 沢 一族 の間 で語 り継 がれている。鳶 沢 一族 戦記 鳶 沢 一族 の戦 いの歴史 を記録 した書 。初代 大 番頭 ・鳶 沢 正 右 衛門 (しょうえもん)に始 まって、大黒屋 の大 番頭 が代々 書 き続 けてきたもので、物語 開始 時点 で37巻 に達 している。決闘 用 拳銃 総 兵衛 勝臣 が所持 する、象嵌 が施 された八角 の滑 腔銃身 の拳銃 。イギリス商人 から贈 られたもので、元 は貴族 の持 ち物 。新 ・十文字 船団 薩摩 藩 の交易 船 を警護 するための武装 船団 。100年 前 に大黒屋 との海戦 に敗北 したことを踏 まえ、オランダの帆船 の長所 ・利点 を取 り入 れた和船 で結成 されている。和洋折衷 の大 帆船 ・薩摩 丸 を旗艦 とし、7隻 で構成 される。薩摩 丸 二 檣縦帆 型 帆船 。3000石 を超 える大船 で、24ポンド砲 を左右 両 舷 に7門 ずつ装備 。
作品 リスト
血 に非 ず(2011年 1月 28日 発売 )ISBN 978-4-10-138046-9百 年 の呪 い(2011年 9月 28日 発売 )ISBN 978-4-10-138047-6日光 代参 (2012年 2月 28日 発売 )ISBN 978-4-10-138048-3南 へ舵 を(2012年 7月 28日 発売 )ISBN 978-4-10-138049-0- ○に
十 の字 (2012年 11月28日 発売 )ISBN 978-4-10-138050-6 転 び者 (2013年 5月 27日 発売 )ISBN 978-4-10-138051-3二 都 騒乱 (2013年 11月28日 発売 )ISBN 978-4-10-138052-0安 南 から刺客 (2014年 5月 28日 発売 )ISBN 978-4-10-138053-7- たそがれ
歌麿 (2014年 11月28日 発売 )ISBN 978-4-10-138054-4 異国 の影 (2015年 5月 28日 発売 )ISBN 978-4-10-138055-1八 州 探訪 (2015年 11月28日 発売 )ISBN 978-4-10-138056-8死 の舞 い(2016年 5月 28日 発売 )ISBN 978-4-10-138057-5虎 の尾 を踏 む(2016年 11月28日 発売 )ISBN 978-4-10-138058-2- にらみ(2017
年 5月 27日 発売 )ISBN 978-4-10-138059-9 故郷 はなきや(2017年 12月23日 発売 )ISBN 978-4-10-138060-5敦盛 おくり(2018年 5月 27日 発売 )ISBN 978-4-10-138061-2- いざ
帰 りなん(2018年 11月28日 発売 )ISBN 978-4-10-138062-9 日 の昇 る国 へ(2019年 5月 29日 発売 )ISBN 978-4-10-138063-6
関連 項目
児玉 清 -当 シリーズのファンであり、新潮 文庫 発行 の小 冊子 「新 ・古着 屋 総 兵衛 」の無料 配布 小 冊子 「総 兵衛 見参 !」において2010年 11月に佐伯 と対談 している。