沢田さわだ昭夫あきお

沢田さわだ 昭夫あきお（澤田さわだ昭夫あきお、さわだ あきお、1928年ねん10月5日にち - 2015年ねん3月24日にち）は、日本にっぽんの歴史れきし学者がくしゃ。筑波大学つくばだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ。専せん門もんは近世きんせいイギリス史し・ヨーロッパ史しで、思想家しそうかトマス・モアの研究けんきゅう者しゃ。カトリック信徒しんとで洗礼せんれい名めいは「パウロ」。

生涯しょうがい

1928年ねん（昭和しょうわ3年ねん）10月5日にち、米国べいこく・ワシントンD.C.で生うまれる。代だい父ちちを務つとめたのは当時とうじ駐ちゅう米べいフランス大使たいしであったポール・クローデルで、洗礼せんれい名めい「パウロ」は彼かれに因ちなむ。

米国べいこく、フランス滞在たいざい約やく5年ねんを経へて日本にっぽんに帰国きこくし、暁星ぎょうせい、成城せいじょうに通とおった。

1940年代ねんだいにはロゲンドルフ神父しんぷに勧すすめられて、ロンドン大学だいがくのチェインバズ教授きょうじゅの『モア伝でん』を熟読じゅくどくし、これがトマス・モア研究けんきゅうへとつながった。太平洋戦争たいへいようせんそう(大だい東亜とうあ戦争せんそう)中ちゅうの1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）5月25日にちは、米べい軍ぐんによる東京とうきょう大だい空襲くうしゅうで家族かぞくとともに青山あおやま墓地ぼちに避難ひなん。表参道おもてさんどう北端ほくたん、明治めいじ神宮じんぐう、代々木よよぎ方面ほうめんに避難ひなんした親族しんぞくの一部いちぶは重度じゅうどの熱傷ねっしょうを負おい、青葉あおば町まち(神宮前じんぐうまえ)にあった自宅じたくは全焼ぜんしょうした。その後ご、親戚しんせきを転々てんてんとして鎌倉かまくらの借家しゃくやに住すんだが、通学つうがくが困難こんなんだったために上智大学じょうちだいがくの聖せいアロイジオ塾じゅくに移うつって、早朝そうちょうミサから夕ゆうの祈いのりまでと典礼てんれいと一体いったいの生活せいかつを送おくった。

1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）には聖せいアロイジオ塾じゅくの裏庭うらにわで後のちにカトリック浦和うらわ司し教区きょうく司教しきょうとなった長江ながえ恵めぐみ神父しんぷに出会であい、ファンとなってムニエ―の作品さくひんや労働ろうどう司祭しさい、解放かいほうの神学しんがく関係かんけいの本ほんを読よむと同時どうじに『赤旗あかはた』の愛読あいどく者しゃでもあった。

1951年ねん（昭和しょうわ26年ねん）に東京大学とうきょうだいがく文学部ぶんがくぶ西洋せいよう史し学科がっかを卒業そつぎょう後ご、米国べいこく・フォーダム大学だいがく、コーネル大学だいがくで修士しゅうし課程かていを経へて、コーネル大学だいがくで修士しゅうし号ごう取得しゅとく。更さらに英国えいこく・ロンドン大学だいがく、西にしドイツ・ボン大学だいがくで博士はかせ課程かていに進すすみ、ボン大学だいがくで文学ぶんがく博士はかせを取得しゅとくした。1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）南山大学なんざんだいがく教授きょうじゅ。同どう外国がいこく語学ごがく部長ぶちょうを経へて、1977年ねん（昭和しょうわ52年ねん）に筑波大学つくばだいがく教授きょうじゅ。同どう国際こくさい関係かんけい学がく類るい初代しょだい学がく類るい長ちょう、日本にっぽん大学だいがく教授きょうじゅを経へて、1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）に筑波大学つくばだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ。文藝春秋ぶんげいしゅんじゅうの『諸君しょくん』、『月曜げつよう評論ひょうろん』（保守ほしゅ系けいミニコミ誌し、2004年ねん休刊きゅうかん）などへの執筆しっぴつが多おおく、保守ほしゅ系けい論客ろんかくとして知しられ、新あたらしい歴史れきし教科書きょうかしょをつくる会かいに賛同さんどう者しゃとして名なを連つらねた。

2015年ねん（平成へいせい27年ねん）3月がつ24日にち、出血しゅっけつ性せいショックにより死去しきょ。

主張しゅちょう

2007年ねんに君きみが代よ・日ひの丸まる反対はんたい活動かつどうに賛同さんどう・支援しえんしている日本にっぽんのキリスト教きりすときょう団体だんたいを批判ひはんして、キリスト教きょう団体だんたいの左派さは転換てんかんを後のちにソ連それんのスパイだと判明はんめいした国内外こくないがいで煽動せんどうしていた牧師ぼくしに触ふれて解説かいせつしている。

親族しんぞく

父ちちは外交がいこう官かん（元もと国際こくさい連盟れんめい日本にっぽん代表だいひょう・ブラジル大使たいし）で東京外国語大学とうきょうがいこくごだいがく初代しょだい学長がくちょうの沢田さわだ節たかし蔵ぞう。

夫人ふじんは沢田さわだマルガレーテ（元もと愛知大学あいちだいがく・高千穂商科大学たかちほしょうかだいがく教授きょうじゅ、ケルン大学だいがく経済けいざい学がく博士はかせ)。

叔父おじに同おなじく外交がいこう官かん（外務がいむ次官じかんを二に度ど務つとめ初代しょだい国連こくれん大使たいしとなった外交がいこう界かいの重鎮じゅうちん）沢田さわだ廉れん三さんがあり、叔母おばの夫人ふじん美喜みき（三菱みつびし財閥ざいばつ三さん代目だいめ男爵だんしゃく岩崎いわさき久弥ひさやの長女ちょうじょ）はエリザベス・サンダース・ホーム創設そうせつ者しゃ。実兄じっけいはカトリック東京とうきょう教区きょうく司祭しさい沢田さわだ和夫かずお、実弟じっていはパリの国際こくさい仲裁ちゅうさい裁判所さいばんしょ副ふく所長しょちょう沢田さわだ寿夫としお。

主おもな著書ちょしょ

• 『ルターはマリアを崇敬すうけいしていたか？』教きょう文ぶん館かん、2001年ねん
• 『見みえないものを大切たいせつに』聖母せいぼ文庫ぶんこ・聖母せいぼの騎士きし社しゃ、2001年ねん
• 『ミサを生いきる』女子じょしパウロ会かい、1983年ねん　小しょう冊子さっし
• 『ヨーロッパ史し』明あきら玄げん書房しょぼう、1965年ねん
• 『論文ろんぶんの書かき方かた』講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ 初版しょはん1977年ねん
• 『論文ろんぶんのレトリック　わかりやすいまとめ方かた』同どう 初版しょはん1983年ねん
• 『外国がいこく語ごの習ならい方かた　国際こくさい人じん教育きょういくのために』同どう 初版しょはん1984年ねん
• 『革新かくしん的てき保守ほしゅ主義しゅぎのすすめ　進歩しんぽ史観しかんの終焉しゅうえん』PHP研究所けんきゅうじょ、1990年ねん　時事じじ論ろん文集ぶんしゅう

訳書やくしょ

• アーレティン『カトリシズム　教皇きょうこうと近代きんだい世界せかい』 平凡社へいぼんしゃ「世界せかい大学だいがく選書せんしょ」、1973年ねん
• トマス・モア『ユートピア』 中公ちゅうこう文庫ぶんこ、1978年ねん、改訳かいやく1993年ねん
  • 初刊しょかんは『世界せかいの名著めいちょ17　エラスムス　トマス・モア』（中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ）に収録しゅうろく。渡辺わたなべ一夫かずお責任せきにん編集へんしゅう・解説かいせつ

主おもな編著へんちょ

• 編へん訳やく『宗教しゅうきょう改革かいかく著作ちょさく集しゅう 13　カトリック改革かいかく』 教きょう文ぶん館かん、1994年ねん　

訳者やくしゃ代表だいひょう、マイスター・エックハルトほか多数たすうの原典げんてん史料しりょうを訳わけ・解説かいせつ

• 『原典げんてんによる歴史れきし学がくの歩あゆみ』 講談社こうだんしゃ、1974年ねん、講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ、1982年ねん。林はやし健太郎けんたろうと共編きょうへん
• 『トマス・モアとその時代じだい』 研究けんきゅう社しゃ出版しゅっぱん、1978年ねん
• 編へん訳やく『ユートピアと権力けんりょくと死し　トマス・モア没後ぼつご四よん五ご〇年ねん記念きねん』 日本にっぽんトマス・モア協会きょうかい編へん、荒あら竹たけ出版しゅっぱん、1987年ねん
• 『日本人にっぽんじんの国際こくさい化か　「地球ちきゅう市民しみん」の条件じょうけんを探さぐる』 門脇かどわき厚司あつしと共編きょうへん、日本経済新聞にほんけいざいしんぶん出版しゅっぱん社しゃ、1990年ねん

関連かんれん項目こうもく

• 第だい二にヴァチカン公こう会議かいぎ
• トマス・モア
• 長江ながえ恵めぐみ
• ポール・クローデル