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東京大空襲 - Wikipedia
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東京とうきょう大だい空襲くうしゅう

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんにおける米べい軍ぐんによる空襲くうしゅう
曖昧さ回避 「東京とうきょう空襲くうしゅう」はこの項目こうもくへ転送てんそうされています。東京とうきょう初はつ空襲くうしゅうについては「ドーリットル空襲くうしゅう」をご覧らんください。
曖昧さ回避 テレビドラマについては「東京とうきょう大だい空襲くうしゅう (テレビドラマ)」をご覧らんください。
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東京とうきょう大だい空襲くうしゅう（とうきょうだいくうしゅう）は、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん（太平洋戦争たいへいようせんそう）末期まっきにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにより行おこなわれた、東京とうきょう都区とく部ぶに対たいするM69焼夷弾しょういだんなどの焼夷弾しょういだんを用もちいた大だい規模きぼな戦略せんりゃく爆撃ばくげきの総称そうしょう。日本にっぽん各地かくちに対たいする日本にっぽん本土ほんど空襲くうしゅう、アメリカ軍ぐんによる広島ひろしま・長崎ながさきに対たいする原爆げんばく投下とうか、沖縄おきなわ戦せんと並ならんで、東京とうきょうの都市とし部ぶを標的ひょうてきとした無む差別さべつ爆撃ばくげきによって、市民しみんに大おおきな被害ひがいを与あたえた。爆ばく撃げき被災ひさい者しゃは約やく310万まん人にん、死者ししゃは11万まん5千せん人にん以上いじょう[注ちゅう 1][注ちゅう 2]、負傷ふしょう者しゃは15万まん人にん以上いじょう、損害そんがい家屋かおくは約やく85万まん戸こ以上いじょうの件数けんすうとなった[4]。

焦土しょうどと化かした東京とうきょう。本所ほんじょ区く松坂まつさか町まち、元町もとまち（現在げんざいの墨田すみだ区く両国りょうこく）付近ふきんで撮影さつえいされたもの。右側みぎがわにある川かわは隅田川すみだがわ、手前てまえの丸まるい屋根やねの建物たてものは両国りょうこく国技こくぎ館かん。
空襲くうしゅう前まえ（左ひだり）と空襲くうしゅう後ご（右みぎ）の航空こうくう写真しゃしん。左ひだりの縦たてに流ながれる川かわが隅田川すみだがわ、右みぎ上じょうの川かわが荒川あらかわ
3月10日にち未明みめい空襲くうしゅう後ごの浅草あさくさ松屋まつや屋上おくじょうから見みた仲見世なかみせとその周辺しゅうへん
東京とうきょうを空襲くうしゅうしているB-29爆撃ばくげき機き（1945年ねんのものであるが詳細しょうさいな日時にちじは不明ふめい）
東京とうきょう市し（当時とうじ）の空襲くうしゅう被害ひがい状況じょうきょうをまとめた地図ちず（戦災せんさい概況がいきょう図ず）[1]。空襲くうしゅう日ひごとの罹災りさい地域ちいきが分わかる。1945年ねん12月、戦災せんさいの概況がいきょうを復員ふくいん帰還きかん者しゃに知しらせるために第だい一いち復員ふくいん省しょうが作成さくせいした。

概要がいよう

編集へんしゅう

東京とうきょう都とは1944年ねん（昭和しょうわ19年ねん）11月24日にちから1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）8月がつ15日にちまで[5]合計ごうけい106回かいもの空襲くうしゅうを受うけたが、特とくに1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）3月がつ10日とおか、4月がつ13日にち、4月がつ15日にち、5月24日にち未明みめい、5月25日にち〜26日にちの5回かいは大だい規模きぼだった。

その中なかでも「東京とうきょう大だい空襲くうしゅう」と言いった場合ばあい、死者ししゃ数すうが10万まん人にん以上いじょうの1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）3月がつ10日とおかの夜間やかん空襲くうしゅう（下町したまち空襲くうしゅう。「ミーティングハウス二に号ごう」[6]。Meetinghouse 2[7]）を指さす（79年ねん前まえ）[注ちゅう 3][9][10][11]。この3月がつ10日とおかの空襲くうしゅうだけで、罹災りさい者しゃは100万まん人にんを超こえ[10]、死者ししゃは9万まん5千せん人にんを超こえたといわれる[12]。なお、当時とうじの新聞しんぶん報道ほうどうでは「東京とうきょう大だい焼しょう殺ころせ」と呼称こしょうされていた[4]。

対たい日にち戦略せんりゃく爆ばく撃げき計画けいかく

編集へんしゅう

焼夷弾しょういだん爆ばく撃げき有効ゆうこう度ど別べつ地域ちいき

編集へんしゅう
 
アメリカ軍ぐんによる空襲くうしゅう計画けいかくの地図ちず（米べい軍ぐん報告ほうこく「東京とうきょう-川崎かわさき-横浜よこはま都市とし複ふく合体がったいに対たいする空襲くうしゅう攻撃こうげきの効果こうか」）

1942年ねんにはナパームを使つかったM69焼夷弾しょういだんが開発かいはつされ、1943年ねんの国防こくぼう研究けんきゅう委員いいん会かい(NDRC) 焼夷弾しょういだん研究けんきゅう開発かいはつ部ぶのレポートでは、住宅じゅうたく密集みっしゅう地域ちいきに焼夷弾しょういだんを投下とうかして火災かさいを起おこし、住宅じゅうたくと工場こうじょうも一緒いっしょに焼やき尽つくすのが最適さいてきの爆ばく撃げき方法ほうほうであるとした上うえで、空爆くうばく目標もくひょうの日本にっぽん全国ぜんこく20都市としを選定せんてい、さらに東京とうきょう、川崎かわさき、横浜よこはまなど10都市としについては焼夷弾しょういだん爆ばく撃げきの有効ゆうこう度どによって地域ちいきを以下いかのように区分くぶんした[13][14]。

  • 最さい有効ゆうこう地域ちいき1:都市とし中心ちゅうしん部ぶ商店しょうてん街がい地域ちいき、密集みっしゅう地域ちいき、住宅じゅうたく工場こうじょう混在こんざい地域ちいきで一いちマイル四方しほうあたりの人口じんこう密度みつど9万まん1000人にん、都市とし人口じんこうの25%を占しめる地域ちいき。この地域ちいきは一いち平方へいほうマイルあたり6トンの焼夷弾しょういだんで焼やき尽つくすことが可能かのう。
  • 有効ゆうこう地域ちいき2:港湾こうわん施設しせつ、倉庫そうこ、貨車かしゃ操車そうしゃ場じょうなどもある住宅じゅうたく地域ちいき、住宅じゅうたく工場こうじょう混在こんざい地域ちいき、工場こうじょう地域ちいきで一いちマイル四方しほうあたり人口じんこう密度みつど5万まん4000人にん、都市とし人口じんこうの46%以上いじょうを占しめる地域ちいき。これは一いち平方へいほうマイルあたり10トンの焼夷弾しょういだんで焼やき尽つくすことが可能かのう。
  • 非ひ有効ゆうこう地域ちいき:最さい有効ゆうこう地域ちいき1、有効ゆうこう地域ちいき2以外いがいの郊外こうがいの住宅じゅうたく地域ちいきや防火ぼうか設備せつびの整ととのったオフィス街がいを含ふくむ工場こうじょう地帯ちたい。
  • 空爆くうばく目標もくひょうの日本にっぽん全国ぜんこく20都市とし主要しゅよう部ぶはM69焼夷弾しょういだん1700トンで焼やき尽つくすことが可能かのう。

大だい規模きぼ攻撃こうげき報告ほうこく書しょ

編集へんしゅう

日本にっぽん本土ほんどに対たいする空襲くうしゅう作戦さくせんは、綿密めんみつな地勢ちせい調査ちょうさと歴史れきし事例じれいの研究けんきゅうを踏ふまえて立案りつあんされていった。その過程かていはアメリカ経済けいざい戦争せんそう局きょくの1943年ねん2月がつ15日にち付づけ報告ほうこく書しょ「日本にっぽんの都市としに対たいする大だい規模きぼ攻撃こうげきの経済けいざい的てき意義いぎ」に詳くわしい。

アメリカ軍ぐんは早はやくから江戸えど時代じだいに頻発ひんぱつした江戸えどの大火たいかや1923年ねんの関東大震災かんとうだいしんさいの検証けんしょうを行おこない、火元ひもと・風向かざむき・延焼えんしょう状じょう況きょう・被災ひさい実態じったいなどの要素ようそが詳細しょうさいに分析ぶんせきされていた。その結果けっか、木造もくぞう住宅じゅうたくが密集みっしゅうする日本にっぽんの大都市だいとしは火災かさいに対たいして特とくに脆弱ぜいじゃくであり、焼夷弾しょういだんによる空襲くうしゅうが最もっとも大だい規模きぼな破壊はかいを最もっとも効果こうか的てきに与あたえることができると結論けつろんされていた。

具体ぐたい的てきな空襲くうしゅう対象たいしょう地域ちいきの選定せんていに際さいしては、人口じんこう密度みつど・火災かさい危険きけん度ど・輸送ゆそう機関きかんと工場こうじょうの配置はいちなどの要素ようそが徹底的てっていてきに検討けんとうされ、それを元もとに爆ばく弾だん爆ばく撃げき有効ゆうこう度どが計算けいさんされて一覧いちらん表ひょうが作成さくせいされた[13]。ここで特とくに重視じゅうしされたのは人口じんこう密度みつどだった。当時とうじの東京とうきょう各区かっくの人口じんこうは浅草あさくさ区くの13万まん5000人にんが最大さいだいで、これに本所ほんじょ区く・神田かんだ区く・下谷しもたに区く・荒川あらかわ区く・日本橋にほんばし区く・荏原えばら区くが8万まん人にん台だいで次ついでいた。このうち荏原えばら区くは他たから離はなれた郊外こうがいに位置いちするためこれを除のぞき、替かわりに人口じんこう7万まん人にん台だいの深川ふかがわ区くの北きた半分はんぶんを加くわえた都心としん一帯いったいが、焼夷弾しょういだん攻撃こうげき地域ちいき第だい一いち号ごうに策定さくていされた[13]。

使用しよう爆ばく弾だん

編集へんしゅう
 
日本にっぽんにも投下とうかされたM50焼夷弾しょういだんの原型げんけいであるイギリス軍ぐんの4ポンド焼夷弾しょういだん（六角形ろっかっけいをした金属きんぞく製せいの棒状ぼうじょうのもの）、この写真しゃしんのように小型こがたの焼夷弾しょういだんを多数たすう収束しゅうそくして投下とうかした
 
M69焼夷弾しょういだん（新潟にいがた県立けんりつ歴史れきし博物館はくぶつかん蔵くら）

アメリカ陸軍りくぐん航空こうくう隊たいの伝統でんとう的てきなドクトリンは軍事ぐんじ目標もくひょうに対たいしての精密せいみつ爆ばく撃げきであり、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんが始はじまった当時とうじは航空機こうくうきから投下とうかする焼夷弾しょういだんを保有ほゆうしていなかった。焼夷弾しょういだんの開発かいはつに迫せまられたアメリカ軍ぐんはアメリカ陸軍りくぐん航空こうくう軍ぐん司令しれい官かんヘンリー・アーノルド大将たいしょう自みずからイギリスに飛とんでイギリス軍ぐんの焼夷弾しょういだんと、イギリス軍ぐんがロンドン空襲くうしゅうにおいて回収かいしゅうしていたドイツ軍ぐんの不発ふはつ弾だん（900gマグネシウム弾たま）を譲ゆずり受うけて焼夷弾しょういだんの開発かいはつを開始かいしした[15]。

日本にっぽんに投下とうかされた主おもな焼夷弾しょういだん

  • M47焼しょう夷えびす爆ばく弾だん（AN－M47A2）。100ポンド（45㎏）のナパーム弾だん（ゲル化かガソリン）でアメリカ軍ぐん最初さいしょの焼夷弾しょういだん。鉄製てつせいの弾たま筒とう内ないにゼリー状じょうに加工かこうした油脂ゆし約やく18㎏を封入ふうにゅうし、弾頭だんとうに火薬かやくを装填そうてんした。屋根やねを突つき破やぶって屋内おくないに入はいり爆発ばくはつしてナパーム剤ざいを円錐えんすい状じょうに飛散ひさんさせた[16]
  • M50焼夷弾しょういだん（AN－M50A2）。4ポンド（1.8㎏）のマグネシウム焼夷弾しょういだんで、イギリス軍ぐんのM2焼夷弾しょういだんをアメリカ陸軍りくぐんが制式せいしき化かしたもので、アルミニウム粉末ふんまつと酸化さんか鉄てつを六角形ろっかっけいの形かたちをした筒つつ状じょうの金属きんぞく製せい容器ようきに充填じゅうてんしている。直径ちょっけい5cm、長ながさ35cm、重量じゅうりょう2㎏で小型こがたの焼夷弾しょういだんであり、34発はつが収束しゅうそくされていたが、一定いっていの高度こうどでバラバラになって落下らっかした。元々もともとはドイツのコンクリート建造けんぞう物ぶつを破壊はかいする目的もくてきで製造せいぞうされたが、木造もくぞうの家屋かおくによく適てきしていた[16][17]
  • M69焼夷弾しょういだん（AN－M69）。6.2ポンド（2.7㎏）ナパーム弾だん。1942年ねんに開発かいはつされたM56尾び部ぶ点火てんか式しき爆ばく弾だんの改良かいりょう型がた。直径ちょっけい8cm、長ながさ50cm、でM50焼夷弾しょういだんと同様どうように、六角形ろっかっけいの金属きんぞく製せい容器ようきにゼリー状じょうのナパーム剤ざいとマグネシウムが充填じゅうてんされてあったが、通常つうじょう38発はつが収束しゅうそくされてE46-500ポンド収束しゅうそく爆ばく弾だん（クラスター爆ばく弾だん）として投下とうかされた。一定いっていの高度こうどでバラバラになって落下らっかしたが、他たの焼夷弾しょういだんとの相違そうい点てんは水平すいへい安定あんてい板ばんがなく、代かわりに1.2ｍの「ストリーマー」と呼よばれる綿めん製せいのリボンが落下らっか時じに尾お部ぶから飛とび出だして、姿勢しせいの安定あんていと落下らっか速度そくどの調整ちょうせいを行おこなった。日本にっぽん家屋かおくの瓦かわら屋根やねを貫通つらぬきとおさせるためには激突げきとつ時じの速度そくどをあまり早はやくする必要ひつようはなく、ストリーマーによる減速げんそくで M50焼夷弾しょういだんの1/4の速度そくどに抑おさえられた。このストリーマーに火ひがついて燃もえながら落下らっかしてくることが多おおかったので、あたかも“火ひの雨あめ”が降ふってくるように見みえたという。六角形ろっかっけいの金属きんぞく製せい容器ようきが建物たてものの屋根やねを突つき破やぶると、導火どうか線せんが作動さどうし5秒びょう以内いないにTNT火薬かやくが炸裂さくれつ、その後ごに混入こんにゅうされたマグネシウム粒子りゅうしによって、布袋ほていに入はいったナパーム剤ざいを点火てんかし、その推力すいりょくで六角形ろっかっけいの金属きんぞく製せい容器ようきを30m飛とばして半径はんけい27ｍもの火ひの輪わを作つくり周囲しゅういを焼やき尽つくした[18][17]。内部ないぶに詰つめられたゼリー状じょうのナパーム剤ざいから、この焼夷弾しょういだんは「goop bomb」（ベトベト爆ばく弾だん）と呼よばれていた[19]。
アメリカ軍ぐんはM69焼夷弾しょういだんの開発かいはつにあたって、1943年ねん3月がつにダグウェイ実験じっけん場じょう（ユタ州しゅう）での実戦じっせんさながらの実験じっけんを行おこなっている。その実験じっけんというのは演習えんしゅう場じょうに日本にっぽん式しき家屋かおくが立たち並ならぶ市街地しがいちを建設けんせつし、そこで焼夷弾しょういだんの燃焼ねんしょう実験じっけんを行おこなうといった大だい規模きぼなものであったが、日本にっぽん家屋かおくの建築けんちくにあたっては、日系にっけい人じんの多おおいハワイからわざわざ資材しざいを取とり寄よせ、日本にっぽんに18年ねん在住ざいじゅうした建築けんちく家かが設計せっけいするといった凝こりようであり、こうして建たてられた日本にっぽん家屋かおく群ぐんには日本にっぽん村むらという名前なまえが付つけられた[20]。M69焼夷弾しょういだんのナパーム剤ざいで炎上えんじょうした日本にっぽん式しき家屋かおくは、日本にっぽんの消防しょうぼう隊たいを正確せいかくに再現さいげんした消防しょうぼう隊たいの装備そうびでは容易よういに消火しょうかできず、日本にっぽんに最適さいてきの焼夷弾しょういだんと認定にんていされた[19]。

3月がつ10日とおかの大だい規模きぼ空爆くうばくで使用しようされたナパーム弾だんは、ロッキーマウンテン兵器へいき工場こうじょうで製造せいぞうされた[21]。

毒どくガス散布さんぷ計画けいかく案あん

編集へんしゅう

連合れんごう国こくは、東京とうきょう市しに効果こうか的てきに毒どくガスを散布さんぷするための詳細しょうさいな研究けんきゅうを行おこなっており、散布さんぷする季き節ぶしや気象きしょう条件じょうけんを始はじめとして散布さんぷするガスの検討けんとうを行おこない、マスタードガス・ホスゲンなどが候補こうほに挙あがっていた[22]。アメリカ陸軍りくぐん参謀さんぼう総長そうちょうジョージ・マーシャルは「我々われわれが即座そくざに使つかえ、アメリカ人じんの生命せいめいの損失そんしつが間違まちがいなく低減ていげんされ、物理ぶつり的てきに戦争せんそう終結しゅうけつを早はやめるもので、我々われわれがこれまで使用しようしていない唯一ゆいいつの兵器へいきは毒どくガスである」とも述のべていた。アメリカ陸軍りくぐんはマスタードガスとホスゲンを詰つめ込こんださまざまなサイズの航空こうくう爆ばく弾だんを86,000発はつ準備じゅんびする計画けいかくも進すすめていた[23]。また、アメリカ軍ぐんは日本にっぽんの農産物のうさんぶつに対たいする有毒ゆうどく兵器へいきの使用しようも計画けいかくしていた。1942年ねんにメリーランド州しゅうベルツビル（英語えいご版ばん）にあるアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく農務のうむ省しょう研究けんきゅう本部ほんぶでアメリカ陸軍りくぐんの要請ようせいにより日本にっぽんの特定とくていの農産物のうさんぶつを枯かれ死しにさせる生物せいぶつ兵器へいきとなる細菌さいきんの研究けんきゅうが開始かいしされた。しかし、日本にっぽんの主要しゅような農産物のうさんぶつである米べいやサツマイモなどは細菌さいきんに対たいして極きわめて抵抗ていこう力りょくが強つよいことが判明はんめいしたので、細菌さいきんではなく化学かがく物質ぶっしつの散布さんぷを行おこなうこととなり、実際じっさいに日本にっぽんの耕作こうさく地帯ちたいにB-29で原油げんゆと廃油はいゆを散布さんぷしたが効果こうかはなかった。さらに検討けんとうが進すすめられて、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸さくさんを農作物のうさくもつの灌漑かんがい用水ようすいに散布さんぷする計画けいかくも進すすめられた[24]。

人間にんげんに対たいして使用しようする細菌さいきん兵器へいきの開発かいはつも進すすめられた。炭疽たんそ菌きんを充填じゅうてんするための爆ばく弾だん容器ようき100万まん個こが発注はっちゅうされ、ダウンフォール作戦さくせんまでにはその倍ばい以上いじょうの数かずの炭疽たんそ菌きんが充填じゅうてんされた爆ばく弾だんが生産せいさんされる計画けいかくであった。これら生物せいぶつ兵器へいきや化学かがく兵器へいきの使用しようについて、1944年ねん7月がつにダグラス・マッカーサー大将たいしょうたちとの作戦さくせん会議かいぎのためハワイへ向むかうフランクリン・ルーズベルト大統領だいとうりょうを乗のせた重じゅう巡洋艦じゅんようかんボルチモア艦内かんないで激はげしい議論ぎろんが交かわされた。合衆国がっしゅうこく陸海りくかい軍ぐん最高さいこう司令しれい官かん（大統領だいとうりょう）付づけ参謀さんぼう長ちょうウィリアム・リーヒは「大統領だいとうりょう閣かく下か、生物せいぶつ兵器へいきや化学かがく兵器へいきの使用しようは今いままで私わたしが耳みみにしてきたキリスト教きりすときょうの倫理りんりにも、一般いっぱんに認みとめられている戦争せんそうのあらゆる法律ほうりつにも背そむくことになります。これは敵てきの非ひ戦闘せんとう員いんへの攻撃こうげきになるでしょう。その結果けっかは明あきらかです。我々われわれが使つかえば、敵てきも使用しようするでしょう」とルーズベルトに反対はんたい意見いけんを述のべたが、ルーズベルトは否定ひていも肯定こうていもせず曖昧あいまいな返事へんじに終始しゅうししたという。結局けっきょく、生物せいぶつ兵器へいきや化学かがく兵器へいきが使つかわれる前まえに戦争せんそうは終結しゅうけつした[25]。

空襲くうしゅうの経過けいか

編集へんしゅう

背景はいけい

編集へんしゅう
 
フィリピン海うみ（図ず中央ちゅうおう）の東ひがしに位置いちするマリアナ諸島しょとう。南端なんたんはグアムで、北きたには小笠原諸島おがさわらしょとうがあり、伊豆いず・小笠原おがさわら・マリアナ島とう弧こを形成けいせいしている。
「日本にっぽん本土ほんど空襲くうしゅう」および「ドーリットル空襲くうしゅう」を参照さんしょう

1942年ねん4月がつ18日にちに、アメリカ軍ぐんによる初はじめての日本にっぽん本土ほんど空襲くうしゅうとなるドーリットル空襲くうしゅうが航空こうくう母艦ぼかんからのB-25爆ばく撃げき機きで行おこなわれ、東京とうきょうも初はつの空襲くうしゅうを受うけ、荒川あらかわ区く、王子おうじ区く、小石川こいしかわ区く、牛込うしごめ区くが罹災りさいした[26][27]。死者ししゃは39人にん[28]。

「マリアナ・パラオ諸島しょとうの戦たたかい」および「サイパンの戦たたかい」を参照さんしょう

1943年ねん8月がつ27日にち、アメリカ陸軍りくぐん航空こうくう軍ぐん司令しれい官かんヘンリー・アーノルド大将たいしょうは日本にっぽん打倒だとうの空戦くうせん計画けいかくを提出ていしゅつ、日本にっぽん都市とし産業さんぎょう地域ちいきへの大だい規模きぼで継続けいぞく的てきな爆ばく撃げきを主張しゅちょう、焼夷弾しょういだん（ナパーム弾だん）の使用しように関かんしても言及げんきゅう[29]。この時とき、アーノルドは科学かがく研究けんきゅう開発かいはつ局きょく長官ちょうかんヴァネヴァー・ブッシュから「焼しょう夷えびす攻撃こうげきの決定けっていの人道的じんどうてき側面そくめんについては高こうレベルで行おこなわれなければならない」と注意ちゅういされていたが、アーノルドが上層じょうそう部ぶへ計画けいかく決定けってい要請ようせいを行おこなった記録きろくはない[30]。

1944年ねんからのマリアナ・パラオ諸島しょとうの戦たたかいでマリアナ諸島しょとうに進出しんしゅつしたアメリカ軍ぐんは、6月15日にちにサイパンの戦たたかいでサイパン島とうに上陸じょうりくしたわずか6日にち後ご、まだ島内とうないで激戦げきせんが戦たたかわれている最中さいちゅうに、日本にっぽん軍ぐんが造成ぞうせいしたアスリート飛行場ひこうじょうを占領せんりょうするや、砲ほう爆ばく撃げきで開ひらいていた600個この弾たま着ぎ穴あなをわずか24時じ間あいだで埋うめ立たて、翌日よくじつにはP-47戦闘せんとう機き部隊ぶたいを進出しんしゅつさせている。その後ご、飛行場ひこうじょうの名称めいしょうを上陸じょうりく3日にち前まえにサイパンを爆撃ばくげき任務にんむ中ちゅうに日本にっぽん軍ぐんに撃墜げきついされ戦死せんししたロバート・H・イズリー中佐ちゅうさに因ちなんでコンロイ・イズリー飛行場ひこうじょう（現在げんざいサイパン国際こくさい空港くうこう）改名かいめい、飛行場ひこうじょうの長ながさ・幅はばを大幅おおはばな拡張かくちょう工事こうじを行おこない新鋭しんえい爆撃ばくげき機きB-29の運用うんようが可能かのうな飛行場ひこうじょうとし、10月13日にちに最初さいしょのB-29がイズリー飛行場ひこうじょうに着陸ちゃくりくした[31]。同様どうように、グアムでも8月がつ10日とおかにグアムの戦たたかいでアメリカ軍ぐんが占領せんりょうすると、日本にっぽん軍ぐんが造成ぞうせい中ちゅうであった滑走かっそう路ろを利用りようしてアンダーセン空軍くうぐん基地きちなど3か所しょの飛行場ひこうじょうが建設けんせつされ、8月がつ1日にちに占領せんりょうしたテニアン島とうにもハゴイ飛行場ひこうじょう（現げん・ノースフィールド飛行場ひこうじょう）とウエストフィールド飛行場ひこうじょう（現在げんざいテニアン国際こくさい空港くうこう）が建設けんせつされた。ドーリットル空襲くうしゅう後ご、東京とうきょうへの空襲くうしゅうは途絶とだえていたが、これらの巨大きょだい基地きちの建設けんせつによりB-29の攻撃こうげき圏内けんないに東京とうきょうを含ふくむ日本にっぽん本土ほんどのほぼ全土ぜんどが入はいるようになった[32]。日本にっぽんではマリアナ諸島しょとう陥落かんらくの責任せきにんを東条とうじょう内閣ないかくに求もとめ、1944年ねん7月がつ18日にちに内閣ないかく総そう辞職じしょくした[32]。

サン・アントニオ作戦さくせん

編集へんしゅう
 
1944年ねん11月のブリーフィングで地図ちず上じょうの東京とうきょうを指さし示しめす第だい21爆撃ばくげき機き集団しゅうだん司令しれいヘイウッド・ハンセル准じゅん将しょう

1944年ねん10月がつ12日にち、マリアナ諸島しょとうでB-29を運用うんようする第だい21爆ばく撃げき集団しゅうだんが新設しんせつされて、司令しれい官かんには第だい20空軍くうぐんの参謀さんぼう長ちょうであったヘイウッド・ハンセル准じゅん将しょうが任命にんめいされた。ハンセルはマリアナに向むかう第だい一いち陣じんのB-29の1機きに搭乗とうじょうして早々そうそうにサイパン島とうに乗のり込こんだ[33]。第だい20爆撃ばくげき機き集団しゅうだんが中国ちゅうごくを出撃しゅつげき基地きちとして1944年ねん6月がつ15日にちより開始かいしした九州きゅうしゅう北部ほくぶへの爆ばく撃げきは、八幡やはた製鐵せいてつ所しょなどの製鉄せいてつ所しょを主おも目標もくひょうとして行おこなわれていたが、これまでの爆ばく撃げきの効果こうかを分析ぶんせきした結果けっか、日本にっぽんへ勝利しょうりするためにはまずは航空機こうくうき工場こうじょうを破壊はかいした方ほうがいいのではないかという結論けつろんとなった。当時とうじの日本にっぽんの航空機こうくうき産業さんぎょうは、三菱重工業みつびしじゅうこうぎょう、中島なかじま飛行機ひこうき、川崎かわさき航空機こうくうき工業こうぎょうの3社しゃで80％のシェアを占しめていたが、その航空機こうくうき工場こうじょうの大半たいはんが、東京とうきょう、名古屋なごや、大阪おおさかなどの大都市だいとしに集中しゅうちゅうしており、新あらたな爆ばく撃げき目標もくひょう1,000か所しょがリストアップされたが、その中なかでは三さん都市とし圏けんの航空機こうくうき工場こうじょうが最さい優先ゆうせん目標もくひょうとされた[31]。次ついで、都市とし地域ちいき市街地しがいちが目標もくひょうとしてリストアップされたが、都市とし地域ちいきは、主要しゅよう目標もくひょうである航空機こうくうき工場こうじょうが雲くもに妨さまたげられて目視もくしによる精密せいみつ爆撃ばくげきができない場合ばあいに、雲くもの上うえからレーダー爆撃ばくげきするための目標もくひょうとされていた。同時どうじに都市とし圏けんの爆ばく撃げきについては、精密せいみつ爆ばく撃げきだけではなく、焼夷弾しょういだんによる絨毯じゅうたん爆撃ばくげきも行おこなって、その効果こうかを精密せいみつ爆ばく撃げきの効果こうかと比較ひかくする任務にんむも課かせられた。したがってアメリカ軍ぐんはマリアナ諸島しょとうからの出撃しゅつげきを機きに都市とし圏けんへの焼夷弾しょういだんによる無む差別さべつ爆撃ばくげきに舵かじをきっていたことになる[34]。

1944年ねん11月1日にちにB-29の偵察ていさつ型がたF-13のトウキョウローズがドーリットル以来いらい東京とうきょう上空じょうくうを飛行ひこうした。日本にっぽん軍ぐんは帝都ていと初はつ侵入しんにゅうのB-29を撃墜げきついしてアメリカ軍ぐんの出鼻でばなをくじこうと陸海りくかい軍ぐんの戦闘せんとう機き多数たすうを出撃しゅつげきさせたが、高度こうど10,000ｍ以上いじょうで飛行ひこうしていたので、日本にっぽん軍ぐんの迎撃げいげき機きはトウキョウローズを捉とらえることができなかった。なかには接せっ敵てきに成功せいこうした日本にっぽん軍機ぐんきもあり、40分ふん以上いじょうもかけてようやく高度こうど11,400ｍに達たっしトウキョウローズを目め視ししたが、トウキョウローズはさらにその上空じょうくうを飛行ひこうしており攻撃こうげきすることはできず、ゆうゆうと海上かいじょうに離脱りだつしていった[35]。この日ひはほかにも、のち戦時せんじ公債こうさい募集ぼしゅうキャンペーンにも用もちいられたヨコハマヨーヨーなど合計ごうけい3機きが、B-29としては初はじめて東京とうきょう上空じょうくうを飛行ひこうした[36]。これらの機きが撮影さつえいした7,000枚まいもの偵察ていさつ写真しゃしんがのちの東京とうきょう空襲くうしゅうの貴重きちょうな資料しりょうとなった。この後のちもF-13は東京とうきょう初はつ空襲くうしゅうまで17回かいに渡わたって偵察ていさつ活動かつどうを行おこなったが、日本にっぽん軍ぐんが撃墜げきついできたF-13はわずか1機きに過すぎなかった[37]。この夜よるに日本にっぽん軍ぐんは、対たい連合れんごう軍ぐん兵士へいし向むけのプロパガンダ放送ほうそう「ゼロ・アワー」で女性じょせいアナウンサー東京とうきょうローズに「東京とうきょうに最初さいしょの爆ばく弾だんが落おとされると、6時じ間あいだ後ごにはサイパンのアメリカ人じんは一人ひとりも生いきていないでしょう」という警告けいこくを行おこなわせているが、B-29の東京とうきょう侵入しんにゅうを防ふせぐことが不可能ふかのうなのは明あきらかとなった[38]。

11月11日にちに予定よていしていた東京とうきょう初はつ空襲くうしゅうは天候てんこうに恵めぐまれず延期えんきが続つづいていたが、11月24日にちにようやく天候てんこうが回復かいふくしたため、111機きのB-29がそれぞれ2.5トンの爆ばく弾だんを搭載とうさいして出撃しゅつげきした。主要しゅよう目標もくひょうは中島なかじま飛行機ひこうきの武蔵むさし製作所せいさくしょであった。作戦さくせん名めいは「サン・アントニオ1号ごう作戦さくせん」と名付なづけられた[39]。1号機ごうきの「ドーントレス・ドッティ」には第だい73爆ばく撃げき航空こうくう団だん司令しれいのエメット・オドネル准じゅん将しょうが乗のり込こんで、機長きちょうを押おしのけて自みずから操縦そうじゅう桿を握にぎった。東京とうきょう上空じょうくうはひどい天候てんこうであったが、特とくにB-29の操縦そうじゅう員いんを驚おどろかせたのが、高こう高度こうどを飛行ひこう中ちゅうに120ノット（220㎞/h）で吹ふき荒あれていた強風きょうふうであった。これはのちにジェット気流きりゅうであることが判明はんめいしたが、その強風きょうふうにのったB-29は対地たいち速度そくどが720㎞/hにもなり、目標もくひょうに到達とうたつできなかったり、故障こしょうで爆ばく撃げきを断念だんねんする機きが続出ぞくしゅつした。このジェット気流きりゅうはこのあともB-29を悩なやませることになった[40]。出撃しゅつげきしたB-29の111機きのうち、主要しゅよう目標もくひょうの武蔵むさし製作所せいさくしょに達たっしたのはわずか24機きであり、ノルデン爆ばく撃げき照準しょうじゅん器きを使つかって工場こうじょう施設しせつに限定げんてい精密せいみつ照準しょうじゅん爆ばく撃げきを行おこなったが、投下とうかした爆ばく弾だんが目標もくひょうから大おおきく外はずれるなどした結果けっか、命中めいちゅう率りつは2%程度ていどで[41]、主要しゅよう目標もくひょうの工場こうじょう施設しせつの損害そんがいは軽微けいびであった[42]。主要しゅよう目標もくひょうに達たっすることができなかった64機きは2次じ目標もくひょうであった港湾こうわん及および東京とうきょう市街地しがいちへ爆ばく弾だんを投なげ弾だんしたが、うち35機きが雲くもの上うえからのレーダー爆ばく撃げきで正確せいかく性せいを欠かき、被害ひがいは少すくなく、死者ししゃ57人にんと負傷ふしょう者しゃ75人にんが生しょうじた[26]。

東部とうぶ軍ぐん司令しれい部ぶには、小笠原諸島おがさわらしょとうに設置せっちされたレーダーや対空たいくう監視かんし所しょから続々ぞくぞくと大だい編隊へんたい接近せっきんの情報じょうほうが寄よせられたため、明あきらかに東京とうきょう空襲くうしゅうを意図いとしていると判断はんだん、隷下れいかの第だい10飛行ひこう師団しだんに迎撃げいげきを命めいじ、正午しょうごに空襲くうしゅう警報けいほうを発令はつれいした[43]。迎撃げいげきには陸軍りくぐん航空こうくう隊たいのほか、第だい三さん〇二海軍航空隊も加くわわり、鍾馗しょうき、零れい戦せん、飛燕ひえん、屠ほふ龍りゅう、月光げっこうといった多種たしゅ多様たような100機き以上いじょうが、途中とちゅうで17機きが引ひき返かえし94機きとなったB-29に襲おそい掛かかったが、B-29は9,150ｍの高こう高度こうどで進行しんこうしてきたため[44]、日本にっぽん軍機ぐんきや高射こうしゃ砲弾ほうだんの多おおくがその高度こうどまでは達たっせず、東京とうきょう初はつ空襲くうしゅうで緊張きんちょうしていたB-29搭乗とうじょう員いんらは予想よそう外がいの日本にっぽん軍ぐんの反撃はんげきの低調ていちょうさに胸むねをなでおろしている[45]。それでも日本にっぽん軍ぐんは震ふるえ天てん制せい空そら隊たいの見田みた義雄よしお伍長ごちょうの鍾馗しょうきの体当たいあたりにより撃墜げきついした1機きを含ふくめて撃墜げきつい5機き、損傷そんしょう9機きの戦果せんかと未み帰還きかん6機きを報ほうじたが[42]、アメリカ側がわの記録きろくによれば体当たいあたりによる損失そんしつ1機きと故障こしょうによる不時着ふじちゃく水すい1機きの合計ごうけい2機きの損失そんしつとしている[45][46]。

1944年ねん11月29日にち深夜しんやから30日にち未明みめいにかけて、第だい73爆ばく撃げき航空こうくう団だん所属しょぞく29機きが初はじめて東京とうきょう市街地しがいちへ夜間やかん爆ばく撃げきを行おこなった。名目めいもく上じょうは東京とうきょう工業こうぎょう地帯ちたいが目標もくひょうとされたが、実際じっさいは「サン・アントニオ1号ごう作戦さくせん」や11月27日にちに行おこなわれた「サン・アントニオ2号ごう作戦さくせん」と異ことなり、航空機こうくうき工場こうじょうなどの特定とくていの施設しせつを目標もくひょうとしない東京とうきょうの市街地しがいちへの無む差別さべつ焼夷弾しょういだん攻撃こうげきであり、のちの東京とうきょうへの大だい規模きぼ焼夷弾しょういだん攻撃こうげきに通つうじるものであった。作戦さくせん名めいは「ブルックリン1号ごう作戦さくせん」と名付なづけられ[39]、B-29は11月29日にち22時じ30分ふんから11月30日にち5時じ50分ふんにかけて数次すうじの波状はじょう攻撃こうげきで神田かんだ区くや日本橋にほんばし区くを爆撃ばくげきし、火災かさいは夜明よあけまで続つづいた[47]。10,000ｍからの高こう高度こうど爆撃ばくげきながら、この日ひの東京とうきょうは雨あめが降ふっており雲くもの上うえからのレーダー爆ばく撃げきとなったこと、攻撃こうげき機き数すうが少すくなかったことから被害ひがいは、死者ししゃ32人にん、家屋かおく2,952戸こと限定げんてい的てきであったが[26]、日本にっぽん軍ぐんも雨天うてんによりまともな迎撃げいげきができず、B-29の損失そんしつは、ハロルド・M・ハンセン少佐しょうさ指揮しきの機体きたい番号ばんごう42-65218機きのみであった[48]。

 
富士山ふじさんを見下みおろしながら飛行ひこうするB-29、東京とうきょう侵入しんにゅうの第だい一いちの目印めじるしは富士山ふじさんであった

その後ごも12月3日にちの「サン・アントニオ3号ごう作戦さくせん」で主要しゅよう目標もくひょうの武蔵むさし製作所せいさくしょを爆撃ばくげきできなかったB-29が、杉並すぎなみ区く、板橋いたばし区くなどの市街地しがいちに爆ばく弾だんを投なげ弾だんし死者ししゃ184人にんが生しょうじたが[26]、このように主要しゅよう目標もくひょうは航空機こうくうき工場こうじょうなどの軍事ぐんじ目標もくひょうとしながら、主要しゅよう目標もくひょうに爆撃ばくげきできなかったB-29による市街地しがいちへの爆ばく撃げきが恒常こうじょう化かし[41]、1944年ねんの年末ねんまつまでに東京とうきょう市街地しがいちへは10回かいの空襲くうしゅうがあったが、心理しんり的てき効果こうかはあったものの実質じっしつ的てきな効果こうかは少すくなかった。一方いっぽうで東京とうきょう以外いがいでの航空機こうくうき工場こうじょうに対たいする高こう高度こうど精密せいみつ爆ばく撃げきは効果こうかを挙あげつつあり、12月13日にちのB-29の75機きによる名古屋なごやの三菱みつびし発動はつどう機き工場こうじょうに対たいする空襲くうしゅう（メンフィス1号ごう作戦さくせん）は8,000ｍから9,800ｍの高こう高度こうどからの精密せいみつ爆ばく撃げきであったが[49]、投下とうかした爆ばく弾だんの16％は目標もくひょうの300ｍ以内いないに命中めいちゅう、工場こうじょう設備せつび17％が破壊はかいされて246名めいの技術ぎじゅつ者しゃや作業さぎょう員いんが死亡しぼう、同どう工場こうじょうの生産せいさん能力のうりょくは月産げっさん1,600台だいから1,200台だいに低下ていかした[50]。12月18日にちにも再度さいどハンセルは名古屋なごや爆ばく撃げきを命めいじたが、今回こんかいの目標もくひょうは三菱みつびしの飛行機ひこうき組くみ立たて工場こうじょうであった。63機きのB-29は目標もくひょうの殆ほとんどが雲くもに覆おおわれていたため、前回ぜんかいと同おなじ8,000ｍから9,850ｍの高こう高度こうどからレーダー爆ばく撃げきを行おこなったが[51]、爆ばく撃げき精度せいどは高たかく、工場こうじょうの17％が破壊はかいされて作業さぎょう員いん400名めいが死傷ししょうし10日間にちかんの操業そうぎょう停止ていしに追おい込こまれた。この2日間にちかんのB-29の損失そんしつは合あわせて8機きであった[52]。

ハンセルによる高こう高度こうど精密せいみつ爆撃ばくげきがようやく成果せいかを上あげていたころ、この2回かい目めの名古屋なごや空襲くうしゅうと同おなじ1944年ねん12月18日にちに、第だい20爆ばく撃げき集団しゅうだん司令しれい官かんカーチス・ルメイ准じゅん将しょうは、焼夷弾しょういだんを使用しようした大都市だいとし焼夷弾しょういだん無差別むさべつ爆ばく撃げきの実験じっけんとして、日本にっぽん軍ぐん占領せんりょう下かの中国ちゅうごく漢かん口こう市街地しがいちに対たいして中国ちゅうごく成都せいと基地きちを出撃しゅつげきした84機きのB-29に500トンもの焼夷弾しょういだんを投下とうかを命めいじた（漢かん口こう大だい空襲くうしゅう）。漢かん口こうはその後ご3日にちにわたって燃もえ続つづけて市街しがいの50％を灰はいにして、漢かん口こうの中国人ちゅうごくじん住民じゅうみん約やく20,000人にんが死亡しぼうした[53]。この爆撃ばくげきにより、市街地しがいちへの無む差別さべつ爆ばく撃げきの有効ゆうこう性せいが証明しょうめいされて、ルメイは自信じしんをつけ、上官じょうかんのアーノルドはルメイを高たかく評価ひょうかすることとなった[15]。

漢かん口こうで焼夷弾しょういだんによる無む差別さべつ爆ばく撃げきの効果こうかが大おおきいと判断はんだんした第だい20空軍くうぐんは、参謀さんぼう長ちょうローリス・ノースタッド准じゅん将しょうを通つうじてハンセルに名古屋なごや市街しがいへの全面ぜんめん的てきな焼夷弾しょういだんによる無む差別さべつ爆ばく撃げきを指示しじした[54]。ハンセルは市街地しがいちへの無む差別さべつ焼夷弾しょういだん爆ばく撃げきの効果こうかに懐疑かいぎ的てきであり、アーノルドに対たいして「我々われわれの任務にんむは、主要しゅような軍事ぐんじ、工業こうぎょう目標もくひょうに対たいして精密せいみつ爆ばく撃げきを行おこなうことで、市街地しがいちへの焼夷弾しょういだん攻撃こうげきは承服しょうふくしがたい」と手紙てがみを書かいて直接ちょくせつ抗議こうぎしたが、アーノルドはノースタッドを通つうじて、焼夷弾しょういだんによる無む差別さべつ爆ばく撃げきはあくまでも実験じっけんであり「将来しょうらいの計画けいかくの必要ひつよう性せいから出でた特別とくべつの要求ようきゅうに過すぎない」と説といて、ハンセルは納得なっとくしないままで、翌よく1945年ねん1月がつ3日にちに、アーノルドの命令めいれい通どおりに名古屋なごやの市街地しがいちへの実験じっけん的てきな焼夷弾しょういだん攻撃こうげきを97機きのB-29により行いったが、死者ししゃ70人にん、負傷ふしょう者しゃ346人にん、被害ひがい戸数こすう3,588戸こと被害ひがいは限定げんてい的てきであり、日本にっぽん側がわには空襲くうしゅう恐おそれるに足たらずという安心あんしん感かんが広ひろまることになった[55]。

年としも押おし迫せまった1944年ねん12月27日にちにハンセルは今年ことし1年ねんの総括そうかつを「その結果けっかは頼たのもしいものであるが。我々われわれが求もとめている標準ひょうじゅんには遠とおく及およばない」「我々われわれはまだ初期しょきの実験じっけん段階だんかいにある。我々われわれは学まなぶべきことの多おおくを、解決かいけつすべき多おおくの作戦さくせん的てき、技術ぎじゅつ的てき問題もんだいを抱かかえている。しかし、我々われわれの実験じっけんのいくつかは、満足まんぞくとまではいかないとしても、喜よろこばしい結果けっかを得えており、B-29は偉大いだいな戦争せんそう兵器へいきであることを立証りっしょうした」と報道ほうどう関係かんけい者しゃに発表はっぴょうしたが、この見解けんかいはアーノルドを失望しつぼうさせた。アーノルドはすでにB-29は実験じっけん段階だんかいを終おえて戦争せんそう兵器へいきとしての価値かちを確立かくりつしており、それはルメイの第だい20爆ばく撃げき集団しゅうだんが証明しょうめいしつつあると考かんがえていたので、ハンセルの見解けんかいとは全まったく異ことなっていた[56]。また、アーノルドはかつて「私わたしはB-29がいくらか墜落ついらくすることは仕方しかたないと思おもっている。しかし空襲くうしゅうのたびに3機きか4機き失うしなわれている。この調子ちょうしで損失そんしつが続つづけば、その数かずは極きわめて大おおきなものとなるだろう。B-29を戦闘せんとう機きや中型ちゅうがた爆撃ばくげき機きやB-17フライング・フォートレスと同おなじようにあつかってはならない。B-29は軍艦ぐんかんと同おなじように考かんがえるべきである。原因げんいんを完全かんぜんに分析ぶんせきもせずに軍艦ぐんかんをいっぺんに3隻せき、4隻せきと損失そんしつするわけにはいかない。」とハンセルを叱責しっせきしたこともあった。18万まんドルのB-17に対たいして、B-29の調達ちょうたつ価格かかくは63万まんドルと、高価こうかな機体きたいであったのにもかかわらず、挙あげた成果せいかに見合みあわない大おおきな損害そんがいを被こうむったハンセルに対たいする不信ふしん感かんもあって[57]、前々まえまえから検討けんとうしてきた通とおりにハンセルを更迭こうてつしルメイにB-29を任まかせることにしている[56]。

1945年ねん元旦がんたん、アーノルドは、ハンセルに更迭こうてつを伝つたえるため参謀さんぼう長ちょうのノースタッドをマリアナに派遣はけんし、また指揮しき権けん移譲いじょうの打うち合あわせのためルメイもマリアナに飛とぶよう命めいじた。この3人にんはお互たがいをよく知しった仲なかであり、ノースタッドは第だい20空軍くうぐんの参謀さんぼう長ちょうをハンセルから引ひき継ついでおり、2人ふたりは個人こじん的てきにも親したしかった。またルメイはヨーロッパ戦線せんせんでハンセルの部下ぶかとして働はたらいたこともあった[56]。3人にんとそれぞれの幕僚ばくりょうらは1月がつ7日にちに手短てみじかな打うち合あわせを行おこなって、ルメイは一旦いったんインドに帰かえった[58]。1945年ねん1月がつ20日はつか、ハンセルを更迭こうてつし、その後任こうにんに中国ちゅうごくでB-29を運用うんようしてきたルメイを任命にんめいする正式せいしきな辞令じれいが発令はつれいされた[59]。第だい20爆ばく撃げき集団しゅうだんはルメイ離任りにん後ごにはクアラルンプールに司令しれい部ぶを移うつして、日本にっぽん本土ほんど爆ばく撃げきを中止ちゅうしし、小規模しょうきぼな爆ばく撃げきを東南とうなんアジアの日本にっぽん軍ぐん基地きちに継続けいぞくしたが、1945年ねん3月がつには最後さいごまで残のこっていた第だい58爆撃ばくげき団だんがマリアナに合流ごうりゅうしている[60]。

戦後せんごハンセルは「もし自分じぶんが指揮しきを執とり続つづけていたら大だい規模きぼな地域ちいき爆撃ばくげき（無む差別さべつ爆ばく撃げき）を行おこなわなかっただろう。自分じぶんの罷免ひめんは精密せいみつ爆ばく撃げきから地域ちいき爆ばく撃げきへの政策せいさく転換てんかんの結果けっかである」と語かたっているが、実際じっさいはハンセルの任期にんき中ちゅうでも、あくまでも主しゅ目標もくひょうは航空機こうくうき工場こうじょうなどの軍事ぐんじ的てき目標もくひょうとしながら、東京とうきょうの市街地しがいちへも焼夷弾しょういだん攻撃こうげきを行おこなったり[61]、アーノルドからの圧力あつりょくとはいえ、市街地しがいちへの無む差別さべつ爆ばく撃げきの準備じゅんびを進すすめ実験じっけん的てきに実行じっこうしていた[62]。

ミーティングハウス作戦さくせん

編集へんしゅう

1号ごう作戦さくせん

編集へんしゅう
 
1945年ねん1月がつ27日にちの空襲くうしゅうで数寄屋橋すきやばし上うえを逃にげ惑まどう親子おやこ、この日ひの爆ばく撃げきの主しゅ目標もくひょうは中島なかじま飛行機ひこうき武蔵むさし製作所せいさくしょであったが、市街地しがいちも爆撃ばくげきされて大おおきな損害そんがいが生しょうじた

1945年ねん1月がつ27日にち、B-29は中島なかじま飛行機ひこうき武蔵むさし製作所せいさくしょを爆撃ばくげきするため76機きが出撃しゅつげきしたが（エンキンドル3号ごう作戦さくせん）、うち56機きが第だい2次じ目標もくひょうの東京とうきょう市街地しがいちである有楽町ゆうらくちょう・銀座ぎんざ地区ちくを爆撃ばくげきした。この空襲くうしゅうはのちに「銀座ぎんざ空襲くうしゅう」と呼よばれたが、被害ひがいは広範囲こうはんいに及および有楽町ゆうらくちょう駅えきは民間みんかん人じんの遺体いたいで溢あふれるなど[63]、死者ししゃ539人にん[26]、負傷ふしょう者しゃ1,064人にん、全ぜん半壊はんかい家屋かおく823戸こ、全ぜん半焼はんしょう家屋かおく418戸こ、罹災りさい者しゃ4,400人にんと今いままでで最大さいだいの被害ひがいが生しょうじた[42]。日本にっぽん軍ぐんも激烈げきれつに迎撃げいげきし、B-29撃墜げきつい22機きを報ほうじ、12機きの戦闘せんとう機きを失うしなった[64]。アメリカ軍ぐんの記録きろくではB-29の損失そんしつは9機きであった[65]。

1945年ねん2月がつ25日にち、当日とうじつに行おこなわれる予定よていのアメリカ海軍かいぐん高速こうそく空母くうぼ部隊ぶたいの艦載かんさい機きによる爆ばく撃げきと連携れんけいして、B-29は中島なかじま飛行機ひこうき武蔵むさし製作所せいさくしょを高こう高度こうど精密せいみつ爆撃ばくげきする計画けいかくであったが[66]、気象きしょう予報よほうでは日本にっぽんの本州ほんしゅう全域ぜんいきが雲くもに覆おおわれており、目視もくしでの精密せいみつ爆ばく撃げきは無理むりと判断はんだんされたため、急遽きゅうきょ、爆ばく撃げき目標もくひょうを武蔵むさし製作所せいさくしょから東京とうきょうの市街地しがいちへと改あらためられた。進路しんろも侵入しんにゅう高度こうどもそのまま武蔵野むさしの製作所せいさくしょ爆ばく撃げきのものを踏襲とうしゅうしたが、使用しよう弾だん種しゅの9割わりに焼夷弾しょういだんが導入どうにゅうされた。「エンキンドル3号ごう作戦さくせん」と異ことなる点てんは、最初さいしょからB-29全ぜん機きが東京とうきょうの市街地しがいちを目標もくひょうとして焼夷弾しょういだん攻撃こうげきを行おこなうことであった[67]。

作戦さくせん名めいはミーティングハウス1号ごう（Meetinghouse）とされたが、このミーティングハウスというのは、東京とうきょうの市街地しがいちのうちで標的ひょうてき区画くかく「焼しょう夷えびす地区ちく」として指定していした地域ちいきの暗号あんごう名めいで、1号ごうというのはその目標もくひょうに対たいする1回かい目めの攻撃こうげきを意味いみしていた[68]。ミーティングハウス1号ごう作戦さくせんでは、それまでで最多さいたの229機きが出撃しゅつげきし、神田かんだ駅えきを中心ちゅうしんに広範囲こうはんいを焼失しょうしつさせて、神田かんだ区く、本所ほんじょ区く、四谷よつや区く、赤坂あかさか区く、日本橋にほんばし区く、向島むこうじま区く、牛込うしごめ区く、足立あだち区く、麹こうじ町まち区く、本郷ほんごう区く、荒川あらかわ区く、江戸川えどがわ区く、渋谷しぶや区く、板橋いたばし区く、葛飾かつしか区く、城東じょうとう区く、深川ふかがわ区く、豊島としま区く、滝野川たきのがわ区く、浅草あさくさ区く、下谷しもたに区く、杉並すぎなみ区く、淀橋よどばし区く空襲くうしゅう、死者ししゃ195人にん、負傷ふしょう者しゃ432人にん、被害ひがい家屋かおく20,681戸こと人的じんてき被害ひがいは「銀座ぎんざ空襲くうしゅう」より少すくなかったが、火災かさいによる家屋かおくの損害そんがいは大おおきかった[26]。宮城みやぎも主おも馬ば寮りょう厩うまや仕合じあい宿所しゅくしょが焼夷弾しょういだんによって焼失しょうしつし、局きょく、大宮おおみや御所ごしょ、秩父宮ちちぶのみや御殿ごてんなどが被害ひがいにあった[28]。

ミーティングハウス1号ごう作戦さくせんは、天候てんこうによる目標もくひょうの急遽きゅうきょ変更へんこうによるもので、攻撃こうげき方法ほうほうも、この後のちの低空ていくうからの市街地しがいちへの無む差別さべつ焼夷弾しょういだん攻撃こうげきとは全まったく異ことなるものであり、直接ちょくせつの関連かんれんはなく[69]、この日ひに出撃しゅつげきしたB-29の搭乗とうじょう員いんらにも特別とくべつな説明せつめいもなく、あくまでも、これまでの出撃しゅつげきの延長線えんちょうせんのような認識にんしきであった[70]。作戦さくせん中ちゅうは常つねに悪天候あくてんこうであり、また急遽きゅうきょ作戦さくせん目標もくひょうを変更へんこうしたこともあってか、B-29は編隊へんたいをまともに組くむことができず、17機きの編隊へんたいで整然せいぜんと爆撃ばくげきした部隊ぶたいもあれば、まったく単機たんきで突入とつにゅうした機きもある始末しまつで全まったく統制とうせいがとれていなかったので成果せいかは期待きたい外はずれであったが[71]、結果けっか的てきには、3月がつ10日とおかから開始かいしされる市街地しがいちへの大だい規模きぼな無む差別さべつ焼夷弾しょういだん爆ばく撃げきの予告よこくとなるような作戦さくせんとなった[72]。悪天候あくてんこうとB-29の統制とうせいが取とれていなかった分ぶん、日本にっぽん軍ぐんの迎撃げいげきも分散ぶんさんしてしまい、この日ひのB-29の損失そんしつは空中くうちゅう衝突しょうとつによる2機きのみであった[73]。雲上うんじょうからの空襲くうしゅうで多おおくの家屋かおくが焼失しょうしつしたのに対たいしてまともな迎撃げいげきができなかった日本にっぽん軍ぐんは、東京とうきょう都民とみんの間あいだに沸わき起おこりつつあった「軍ぐん防空ぼうくう頼たのむに足たらず」という感情かんじょうを抑おさえ込こむために、特とくに悪天候あくてんこう時じにも迎撃げいげき機きが出動しゅつどうできるようレーダーの強化きょうかを図はかる必要ひつよう性せいに迫せまられた[74]。

1945年ねん2月がつ26日にちから28日にちまでの時期じきのB-29による東京とうきょう空襲くうしゅうは、昼間ひるまに8000メートル程度ていどの高こう高度こうどを編隊へんたいで飛とびながらノルデン爆ばく撃げき照準しょうじゅん器きによる目視もくし照準しょうじゅんを主用しゅようし、悪天候あくてんこう時じには雲くもより高空こうくうからレーダー照準しょうじゅんを活用かつようする精密せいみつ爆ばく撃げきを意図いとしたものだった。工場こうじょうなどが目標もくひょうのため、使用しよう弾だん種しゅも焼夷弾しょういだんではなく通常つうじょう爆ばく弾だんが中心ちゅうしんだった。攻撃こうげき隊たいは東京とうきょう西部せいぶからジェット気流きりゅうに従したがって侵入しんにゅうし爆ばく撃げきを行おこなうのが通例つうれいで、悪天候あくてんこうで攻撃こうげき目標もくひょうを捉とらえられない場合ばあいにはそのまま東進とうしんして市街地しがいちを爆撃ばくげきすることがあった[67]。

2号ごう作戦さくせん

編集へんしゅう
 
1945年ねん3月がつ10日とおか、空襲くうしゅう直後ちょくごの日にち中ちゅうの東京とうきょう
 
本所ほんじょ区く菊川きくかわ橋きょう付近ふきんでの水死すいし者しゃの遺体いたいの引上（石川いしかわ光陽こうよう撮影さつえい）
 
鎮火ちんか後ごの街まちの風景ふうけい（石川いしかわ光陽こうよう撮影さつえい）

1945年ねん1月がつ20日はつかに着任ちゃくにんしたルメイも、高こう高度こうど昼間ひるま精密せいみつ爆ばく撃げきはアメリカ陸軍りくぐん航空こうくう隊たいの伝統でんとう的てきドクトリンであり、前任ぜんにん者しゃハンセルの方針ほうしんを踏襲とうしゅうしていたが、工場こうじょうに対たいする高こう高度こうど精密せいみつ爆ばく撃げきはほとんど効果こうかがなく、逆ぎゃくに1月がつ23日にちの名古屋なごやの三菱みつびし発動はつどう機き工場こうじょうへの爆撃ばくげき（エラディケート3号ごう作戦さくせん）と1月がつ27日にちに行いった中島なかじま飛行機ひこうき武蔵むさし製作所せいさくしょへの爆撃ばくげき（エンキンドル3号ごう作戦さくせん）で合計ごうけい11機きのB-29を失うしなうという惨みじめな結果けっかに終おわった[15]。1945年ねん2月がつまでにアメリカ軍ぐんは、中国ちゅうごくからの出撃しゅつげきで80機き、マリアナ諸島しょとうからの出撃しゅつげきで78機き、合計ごうけい158機きのB-29を失うしなっており[75]、ルメイはあがらぬ戦果せんかと予想よそう外がいの損失そんしつに頭あたまを悩なやませていた[76]。信頼しんらいしていたルメイも結果けっかを出だせないことに業ごうを煮にやしたアーノルドは、また、ノースタッドをマリアナに派遣はけんしてルメイを「やってみろ。B-29で結果けっかを出しゅっせ。結果けっかが出でなかったら、君きみはクビだ」「結果けっかが出でなかったら、最終さいしゅう的てきに大だい規模きぼな日本にっぽん上陸じょうりく侵攻しんこうになり、さらに50万まん人にんのアメリカ人じんの命いのちが犠牲ぎせいになるかも知しれんのだ」と激はげしい言葉ことばで叱咤しったした[77]。

アーノルドに叱咤しったされたルメイは大胆だいたんな作戦さくせん方針ほうしんの変更へんこうを行おこなうこととした。偵察ていさつ写真しゃしんを確認かくにんしたルメイは、ドイツ本土ほんど爆ばく撃げきで悩なやまされた高射こうしゃ機関きかん砲ほうが日本にっぽんでは殆ほとんど設置せっちされていないことに気きが付ついた。そこでルメイは爆ばく撃げき高度こうどを思おもい切きって高度こうど9,000ｍ前後ぜんこうの高こう高度こうどから3,000ｍ以下いかに下さげることにした。高射こうしゃ機関きかん砲ほうが少すくない日本にっぽんでは爆ばく撃げき高度こうどを下さげても損失そんしつ率りつは上あがらないと考かんがえたからである。そして、爆ばく撃げき高度こうどを下さげることによる下記かきの利点りてんが想定そうていされた[78]。

  1. ジェット気流きりゅうの影響えいきょうを受うけないこと。平均へいきん風速ふうそく300㎞/ｈ、最大さいだい時じでは500㎞/hに達たっするジェット気流きりゅうは高度こうど10,000ｍぐらいに一番いちばん強つよく吹ふいていたが、ちょうどその高度こうどはB-29による高こう高度こうど爆ばく撃げきの高度こうどにあたっていたため、ジェット気流きりゅうに逆行ぎゃっこうするときには、ひどいときには対地たいち速度そくどが0になり、B-29が空中くうちゅうに浮うかんでいる凧たこ同然どうぜんになっていることもあった[79]
  2. エンジン負荷ふか軽減けいげんで燃料ねんりょうを節約せつやくし多おおくの爆ばく弾だんを積つめること
  3. 爆ばく撃げきの精度せいどが格段かくだんに向上こうじょうすること。アメリカ軍ぐんは弾道だんどう学がくに基もとづいて精密せいみつに計算けいさんして作成さくせいしたデーターブックを使用しようしていたが、高こう高度こうど爆ばく撃げきではジェット気流きりゅうの影響えいきょうもあって何なんの役やくにも立たっておらず、精密せいみつ爆ばく撃げきの精度せいどを低下ていかさせる最大さいだい要因よういんとなっていた[79]
  4. 高こう高度こうど爆ばく撃げきでは好天こうてんを待またなければならなかったが、爆ばく撃げき高度こうどを下さげれば雲くもの下したを飛行ひこうすればよく、出撃しゅつげき日びを増加ぞうかできることができた

ルメイの分析ぶんせきを後押あとおしするように、アメリカ軍ぐんの情報じょうほう部ぶは、今いままでの日本にっぽん本土ほんどへの空襲くうしゅうを検証けんしょうして、1,500ｍ以上いじょうでは日本にっぽん軍ぐんの高射こうしゃ機関きかん砲ほうは殆ほとんど効果こうかがなく、高射こうしゃ砲ほうは3,000ｍ以下いかの高度こうどはレーダー照準しょうじゅんによる命中めいちゅう率りつが大幅おおはばに低下ていかしていることを突つき止とめ、爆ばく撃げき高度こうどは1,500ｍから2,400ｍの間あいだがもっとも効果こうかが高たかいと分析ぶんせきした[80]。ルメイの作戦さくせん変更へんこうには漢かん口こう大だい空襲くうしゅうでの成功せいこう体験たいけんも後押あとおしとなった[15]。

しかし低空ていくうでは日本にっぽん軍ぐん戦闘せんとう機きによる迎撃げいげきが強化きょうかされるので夜間やかん爆ばく撃げきとした。夜間やかん戦闘せんとう機きが充実じゅうじつしていたドイツ軍ぐんと比較ひかくして、ルメイは日本にっぽん軍ぐんの夜間やかん戦闘せんとう機きをさして脅威きょういとは考かんがえておらず[81]、B-29尾お部ぶ銃座じゅうざ以外いがいの防御ぼうぎょ火器かき（旋回せんかい機関きかん銃じゅう）を撤去てっきょし爆ばく弾だん搭載とうさい量りょうを増ふやすことにした。この改造かいぞうにより軽量けいりょう化かができたため、爆ばく弾だん搭載とうさいを今いままでの作戦さくせんにおける搭載とうさい量りょうの2倍ばい以上いじょうの6トンとし、編隊へんたいは防御ぼうぎょ重視じゅうしのコンバット・ボックスではなく、イギリス軍ぐんがドイツ本土ほんどへの夜間やかん爆ばく撃げきで多用たようした、編隊へんたい先頭せんとうの練度れんどの高たかいパスファインダーの爆撃ばくげきにより引ひき起おこされた火災かさいを目印めじるしとして1機きずつ投なげ弾だんするというトレイル（単たん縦陣じゅうじん）に変更へんこうした[82]。

「ミーティングハウス2号ごう作戦さくせん」と呼よばれた1945年ねん3月がつ10日とおかの大だい空襲くうしゅう（下町したまち大だい空襲くうしゅう）は、前述ぜんじゅつの超ちょう低てい高度こうど・夜間やかん・焼夷弾しょういだん攻撃こうげきという新しん戦術せんじゅつが本格ほんかく的てきに導入どうにゅうされた初はじめての空襲くうしゅうだった。その目的もくてきは、木造もくぞう家屋かおくが多数たすう密集みっしゅうする下町したまちの市街地しがいちを、そこに散在さんざいする町まち工場こうじょうもろとも焼やき払はらうことにあった。この攻撃こうげきについてアメリカ軍ぐんは、日本にっぽんの中小ちゅうしょう企業きぎょうが軍需ぐんじゅ産業さんぎょうの生産せいさん拠点きょてんとなっているためと理由りゆう付づけしていた。東京とうきょう大だい空襲くうしゅう・戦災せんさい資料しりょうセンターによれば、大型おおがたの軍需ぐんじゅ工場こうじょうは精せい工こう舎しゃや大だい日本にっぽん機械きかい業平なりひら工場こうじょうのみで、築地つきじ、神田かんだ、江東こうとうなどの市場いちば、東京とうきょう、上野うえの、両国りょうこくの駅えき、総武そうぶ線せん隅田川すみだがわ鉄橋てっきょうなどが実際じっさいの目標もくひょうで、住民じゅうみんの大量たいりょう殺害さつがいにより戦争せんそう継続けいぞく意思いしを削そぐことが主しゅ目的もくてきだったとしている[12]。 アメリカ軍ぐんがミーティングハウス2号ごう作戦さくせんの実施じっしを3月がつ10日とおかに選えらんだ理由りゆうは、延焼えんしょう効果こうかの高たかい風ふうの強つよい日ひと気象きしょう予報よほうされたためである[83]。ルメイは出撃しゅつげきに先立さきだって部下ぶかの搭乗とうじょう員いんに「諸君しょくん、酸素さんそマスクを捨すてろ」と訓示くんじしている[84]。このルメイの訓示くんじに兵士へいしが難色なんしょくを示しめすと、ルメイは葉巻はまきを噛かみ切きって「何なにでもいいから低ひくく飛とぶんだ」と恫喝どうかつしている[85]。搭乗とうじょう員いんの中なかでは、このような自殺じさつ的てきな作戦さくせんでは、空襲くうしゅう部隊ぶたいの75%を失うしなうと強硬きょうこうに反対はんたいした幕僚ばくりょうに対たいしてルメイが「それ以上いじょうに補充ほじゅう要員よういんを呼よび寄よせれば済すむことではないか」とい放いはなったという真偽しんぎ不明ふめいの噂うわさも広ひろがり、出撃しゅつげき前まえの搭乗とうじょう員いんの不安ふあんはピークに達たっしていた[86]。アメリカ軍ぐんの参加さんか部隊ぶたいは第だい73、第だい313、第だい314の3個こ爆ばく撃げき航空こうくう団だんで、325機きのB-29爆撃ばくげき機きが出撃しゅつげきした。ルメイはこの出撃しゅつげきに際さいして作戦さくせん機きへの搭乗とうじょうし空中くうちゅう指揮しきすることも考かんがえたが、このときルメイは原子げんし爆ばく弾だんの開発かいはつ計画けいかくであるマンハッタン計画けいかくの概要がいようを聞きいており、撃墜げきついされ捕虜ほりょとなって尋問じんもんされるリスクを考かんがえて、自分じぶんがもっとも信頼しんらいしていた トーマス・パワー（英語えいご版ばん）准じゅん将しょうを代かわりに出撃しゅつげきさせることとした[87]。

 
出撃しゅつげきしたトーマス・パワー准じゅん将はた（右みぎ）から「ミーティングハウス2号ごう作戦さくせん」の報告ほうこくを受うける第だい20空軍くうぐん参謀さんぼう長ちょうローリス・ノースタッド准じゅん将はた（左ひだり）とカーチス・ルメイ少将しょうしょう（中央ちゅうおう）

本隊ほんたいに先行せんこうして、第だい73、第だい313編隊へんたいから先行せんこうした4機きのB-29が房総ぼうそう海岸かいがん近ちかくの海上かいじょうで1時じ間あいだ半はんにも渡わたって旋回せんかいしながら日本にっぽん本土ほんどに接近せっきんしている本隊ほんたいを無線むせん誘導ゆうどうした[88]。この日ひは非常ひじょうに強つよい風ふうが吹ふき荒あれており、日本にっぽん軍ぐんの監視かんしレーダー超ちょう短波たんぱ警戒けいかい機き乙おつは強風きょうふうにより殆ほとんど正常せいじょうに機能きのうしておらず、強風きょうふうによる破損はそんを恐おそれて取とり外はずしも検討けんとうしていたほどであった[89]。レーダーは役やくに立たっていなかったが、防空ぼうくう監視かんし哨が勝浦かちうら市し南方なんぽうで敵てき味方みかた不明ふめい機き（無線むせん誘導ゆうどうのために旋回せんかいしていたB-29）を発見はっけんし、日本にっぽん標準時ひょうじゅんじ9日にち22時じ30分ふんにはラジオ放送ほうそうを中断ちゅうだん、警戒けいかい警報けいほうを発令はつれいしたが、やがて敵てき味方みかた不明ふめい機きが房総半島ぼうそうはんとう沖おきに退去たいきょしたので、警戒けいかい警報けいほうを解除かいじょしてしまった[90]。しかし、その間あいだに本隊ほんたいは着々ちゃくちゃくと東京とうきょうに接近せっきんしており、9日にちの24時じちょうどに房総半島ぼうそうはんとう最さい西端せいたんの洲崎すざき対空たいくう監視かんし哨がB-29らしき爆音ばくおんを聴取ちょうしゅしたと報告ほうこく、その報告ほうこくを受うけた第だい12方面ほうめん軍ぐん (日本にっぽん軍ぐん)が情報じょうほうを検討けんとう中ちゅうの[89]、日付ひづけが変かわった直後ちょくごの3月がつ10日にち午前ごぜん0時じ7分ふんに爆ばく撃げきが開始かいしされた。325機きの出撃しゅつげき機きのうち279機きが第だい一いち目標もくひょうの東京とうきょう市街地しがいちへの爆ばく撃げきに成功せいこうし[90]、0時じ7分ふんに

へ初はつ弾たまが投下とうかされたのを皮切かわきりに、城東じょうとう区く（現在げんざいの江東こうとう区く）にも爆ばく撃げきが開始かいしされた。空襲くうしゅう警報けいほうは遅おくれて発令はつれいされ、初はつ弾たま投下とうか8分ふん後ごの0時じ15分ふんとなった。日本にっぽん軍ぐんと同様どうように多おおくの東京とうきょう都民とみんも虚きょを突つかれた形かたちとなり、作家さっかの海野うみの十三じゅうざは3月がつ10日とおかの日記にっきに「この敵てき、房総ぼうそうに入はいらんとして入はいらず、旋回せんかいなどして1時じ間あいだ半はんぐらいぐずぐずしているので、眠ねむくなって寝床ねどこにはいった」と書かいているなど、床ゆかに就ついたのちにB-29の爆音ばくおんで慌あわてて飛とび起おきたという都民とみんも多おおかったという[88]。

出撃しゅつげき各かく機きは武装ぶそうを撤去てっきょして焼夷弾しょういだんを大量たいりょうに搭載とうさいしたこともあり、この空襲くうしゅうでの爆ばく弾だんの制御せいぎょ投下とうか弾だん量りょうは38万まん1300発はつ、1,665トンにも上のぼったがその全部ぜんぶが焼夷弾しょういだんであった[91]。また、「低空ていくう進入しんにゅう」と呼よばれる飛行ひこう法ほうが初はじめて大だい規模きぼに実戦じっせん導入どうにゅうされた。この飛行ひこう法ほうではまず、先行せんこうするパス・ファインダー機き（投下とうか誘導ゆうどう機き）によって超ちょう低空ていくうからエレクトロン焼夷弾しょういだんを投なげ弾だん、その閃光せんこうは攻撃こうげき区域くいきを後続こうぞくする本隊ほんたいに伝つたえる役割やくわりを果はたした。パス・ファインダー機きはこの日ひのために、3月3日にち、5日にち、7日にちに戦闘せんとう任務にんむに出撃しゅつげきして訓練くんれんを繰くり返かえして腕うでを磨みがいていた[82]。その本隊ほんたいの爆ばく撃げき機き編隊へんたいも通常つうじょうより低空ていくうで侵入しんにゅうした上うえ、発火はっか点てんによって囲かこまれることになる領域りょういきに向むけて集束しゅうそく焼夷弾しょういだんE46を集中しゅうちゅう的てきに投なげ弾だんした。これは50キロの大型おおがた焼夷弾しょういだんで、目標もくひょう地域ちいきに4か所しょの爆ばく撃げき照準しょうじゅん点てんを設定せっていしてこれを投下とうかすることで、大だい火災かさいを起おこして消火しょうか活動かつどうをまひさせ、その後ごの小型こがたの油脂ゆし焼夷弾しょういだんを投下とうかする目印めじるしとなる照明しょうめいの役割やくわりを果はたすことを期待きたいしていたという[12]。この爆ばく撃げきの着弾ちゃくだん精度せいどは、高空こうくうからの爆ばく撃げきに比くらべて高たかいものだったが、アメリカ軍ぐんの想定そうてい以上いじょうの大だい火災かさいが生しょうじ、濃こい火災かさいの煙けむりが目標もくひょう上空じょうくうを覆おおってしまい、爆ばく撃げきを開始かいししてしばらく経たったころには秩序ちつじょある投とう弾だんというのは机上きじょうの空論くうろんに過すぎなくなってしまった[88]。

0時じ20分ふんには芝しば区く（現在げんざいの港みなと区く）に対たいする爆ばく撃げきも開始かいしされた。

北風きたかぜや西風せいふうの強風きょうふうの影響えいきょうもあり、火災かさいは目標もくひょう地域ちいきをこえ、東ひがしや南みなみに広ひろがり、本所ほんじょ区く、深川ふかがわ区く、城東じょうとう区くの全域ぜんいき、浅草あさくさ区く、神田かんだ区く、日本橋にほんばし区くの大だい部分ぶぶん、下谷しもたに区く東部とうぶ、荒川あらかわ区く南部なんぶ、向島むこうじま区く南部なんぶ、江戸川えどがわ区くの荒川あらかわ放水ほうすい路ろより西にしの部分ぶぶんなど下町したまちの大だい部分ぶぶんを焼やき尽つくした[12]。結局けっきょく、下谷しもたに区く、足立あだち区く、神田かんだ区く、麹こうじ町まち区く、日本橋にほんばし区く、本郷ほんごう区く、荒川あらかわ区く、向島むこうじま区く、牛込うしごめ区く、小石川こいしかわ区く、京橋きょうばし区く、麻布あざぶ区く、赤坂あかさか区く、葛飾かつしか区く、滝野川たきのがわ区く、世田谷せたがや区く、豊島としま区く、渋谷しぶや区く、板橋いたばし区く、江戸川えどがわ区く、深川ふかがわ区く、大森おおもり区くが被害ひがいにあった[26]。災難さいなんの中なかで昭和しょうわ天皇てんのうの初孫はつまごの東ひがし久邇くに信彦のぶひこが防空壕ぼうくうごうで誕生たんじょうした日ひでもあった。

一部いちぶでは爆ばく撃げきと並行へいこうして旋回せんかい機関きかん銃じゅうによる非ひ戦闘せんとう員いん、民間みんかん人じんに対たいする機銃きじゅう掃射そうしゃも行おこなわれた[92]。日本にっぽん側がわ資料しりょうでは「アメリカ軍機ぐんきが避難ひなん経路けいろを絶たつように市街地しがいちの円周えんしゅう部ぶから爆撃ばくげきした後のち、中心ちゅうしんに包囲ほういされた市民しみんを焼やき殺ころした」と証言しょうげんするものがあるが、そのような戦術せんじゅつはアメリカ軍ぐんの資料しりょうでは確認かくにんできない。アメリカ軍ぐんの作戦さくせん報告ほうこく書しょによれば、目標もくひょうが煙けむりで見みえなくなるのを避さけるため、風下かざしもの東側ひがしがわから順じゅんに攻撃こうげきする指示しじが出だされていた。体験たいけん者しゃの印象いんしょうによる誤解ごかいと考かんがえられる[93]。発生はっせいした大だい火災かさいによりB-29の搭乗とうじょう員いんは真夜中まよなかにもかかわらず、腕時計うでどけいの針はりを読よむことができたぐらいであった[18]。B-29が爆ばく撃げき区域くいきに入はいると、真まっ昼間ぴるまのように明あかるかったが、火ひの海うみの上空じょうくうに達たっすると、陰鬱いんうつなオレンジ色しょくの輝かがやきに変かわったという[94]。他たの焼夷弾しょういだん爆撃ばくげきと桁違けたちがいの被害ひがいをもたらせた最大さいだいの原因げんいんは関東大震災かんとうだいしんさいのさいにも発生はっせいした火災かさい旋風せんぷうが大だい規模きぼに発生はっせいしたためであったが、爆撃ばくげきしていたB-29も火災かさい旋風せんぷうによる乱気流らんきりゅうに巻まき込こまれた。荒あれ狂くるう気流きりゅうの中なかで機体きたいの安定あんていを保たもつのは至難しなんの業わざで、気きが付つくと高度こうどが1,500ｍ以上いじょうも上あがっていた[95]。なかには機体きたいが一いち回かい転ころがした機きもあり、搭乗とうじょう員いんは全員ぜんいん負傷ふしょうし、顔面がんめんを痛やめ打だして前歯まえばを欠かいたものもいた。あまりに機体きたいが上下じょうげするので、着用ちゃくようしていた防弾ぼうだん服ふくで顔面がんめんを何なん度どもたたかれ、最後さいごには全員ぜんいんが防弾ぼうだん服ふくを脱ぬいで座布団ざぶとんがわりに尻しりの下したに敷しいている[96]。そして、人ひとが燃もえる臭においはB-29の中なかにも充満じゅうまんしており、搭乗とうじょう員いんは息いきが詰つまる思おもいであった[95]。

誘導ゆうどう機きに搭乗とうじょうしたパワーは「まるで大だい草原そうげんの野火のびのように燃もえ広ひろがっている。地上ちじょう砲火ほうかは散発さんぱつ的てき。戦闘せんとう機きの反はん撃げきなし。」と実況じっきょう報告ほうこくしている。空襲くうしゅう時じの東京とうきょうを一定いってい時間じかんごとに空そらからスケッチするため高度こうど1万まんメートルに留とどまっていたB-29に対たいして、ルメイは帰還きかん後ごにそのスケッチを満足まんぞくげに受うけ取とると「この空襲くうしゅうが成功せいこうすれば戦争せんそうは間まもなく終結しゅうけつする。これは天皇てんのうすら予想よそうできぬ」と語かたった[97]。

被害ひがい規模きぼ
編集へんしゅう
 
警防団けいぼうだんと思おもわれる焼やけ焦こげた遺体いたいの山やま。死者ししゃ・行方ゆくえ不明ふめい者しゃは8万まん人にん、民間みんかんの調査ちょうさでは10万まん人にん以上いじょうといわれている。（石川いしかわ光陽こうよう撮影さつえい）
 
母子ぼしと思おもわれる2つの遺体いたい。子供こどもを背負せおって逃にげていたらしく、母親ははおやの背中せなかが焦こげていない。（石川いしかわ光陽こうよう撮影さつえい）
 
火葬かそうが間まに合あわないので仮かり埋葬まいそうするため上野公園うえのこうえんの両りょう大師だいし脇わきに下谷しもたに・浅草あさくさから運はこばれた遺体いたい

当時とうじの警視庁けいしちょうの調査ちょうさでの被害ひがい数すうは以下いかの通とおり。

  • 死亡しぼう：83,793人にん[26]
  • 負傷ふしょう者しゃ：40,918人にん
  • 被災ひさい者しゃ：1,008,005人にん
  • 被災ひさい家屋かおく：268,358戸こ[26]

人的じんてき被害ひがいの実数じっすうはこれよりも多おおく、死者ししゃ約やく8万まん-10万まん、負傷ふしょう4万まん-11万まん名めいともいわれる。上記じょうき警視庁けいしちょうの被害ひがい数すうは、早期そうきに遺体いたいが引ひき取とられた者ものを含ふくんでおらず、またそれ以外いがいにも行方ゆくえ不明ふめい者しゃが数すう万まん人にん規模きぼで存在そんざいする。民間みんかん団体だんたいや新聞しんぶん社しゃの調査ちょうさでは死亡しぼう・行方ゆくえ不明ふめい者しゃは10万まん人にん以上いじょうと言いわれており、単独たんどくの空襲くうしゅうによる犠牲ぎせい者しゃ数すうは世界せかい史上しじょう最大さいだいである。両親りょうしんを失うしなった戦災せんさい孤児こじが大量たいりょうに発生はっせいした。外国がいこく人じん、および外地がいち出身しゅっしん者しゃの被害ひがいの詳細しょうさいは不明ふめい。

また当時とうじ東京とうきょうに在住ざいじゅうしていた朝鮮ちょうせん人じん97632人にん中ちゅう、戦災せんさい者しゃは41300人にんで、死者ししゃは1万まん人にんを軽かるく越こすと見みられている[98][99]。

この空襲くうしゅうで一夜いちやにして、東京とうきょう市街地しがいちの東ひがし半はん部ぶ、実じつに東京とうきょう35区くの3分ぶんの1以上いじょうの面積めんせきにあたる約やく41平方へいほうキロメートルが焼失しょうしつした。爆ばく撃げきによる火災かさいの煙けむりは高度こうど1万まん5000メートルの成層圏せいそうけんにまで達たっし、秒速びょうそく100メートル以上いじょうという竜巻たつまき並なみの暴風ぼうふうが吹ふき荒あれ、火山かざんの大だい噴火ふんかを彷彿ほうふつとさせた。午前ごぜん2時じ37分ふんにはアメリカ軍機ぐんきの退去たいきょにより空襲くうしゅう警報けいほうは解除かいじょされたが、想像そうぞうを絶ぜっする大だい規模きぼな火災かさいは消火しょうか作業さぎょうも満足まんぞくに行おこなわれなかったため10日とおかの夜よるまで続つづいた。当時とうじの東京とうきょうの消防しょうぼうシステムは充実じゅうじつしており、東京とうきょうへの空襲くうしゅうを見越みこして、学生がくせいなどから急遽きゅうきょ採用さいようされた年少ねんしょう消防しょうぼう官かんを含ふくむ8,100人にんの訓練くんれんを受うけた消防しょうぼう士しに1,117台だいの消防車しょうぼうしゃが配備はいびされており、そのうちの716台だいが電動でんどう化かされていた。防火ぼうかの貯水ちょすい槽そうや手押ておしポンプ、バケツも多数たすう住宅じゅうたく地ちに設置せっちされてあった[100]。しかし、発生はっせいした火災かさいの規模きぼは想定そうていを遥はるかに超こえており、消防しょうぼうシステムは空襲くうしゅう開始かいし30分ふんで早はやくも機能きのう不全ふぜんに陥おちいり、95台だいの消防車しょうぼうしゃが破壊はかいされて125人にんの消防しょうぼう士しが殉職じゅんしょくした[101]。

当夜とうやの冬型ふゆがたの気圧きあつ配置はいちという気象きしょう条件じょうけんによる強つよい季節風きせつふう（いわゆる空からっ風かぜ）は、火災かさいの拡大かくだいに大おおきな影響えいきょうを及およぼした。強つよい北西ほくせいの季節風きせつふうによって火勢かせいが煽あふられ延焼えんしょうが助長じょちょうされ、規模きぼの大おおきい飛とび火ひも多発たはつし、特とくに郊外こうがい地区ちくを含ふくむ城東じょうとう地区ちくや江戸川えどがわ区内くないで焼失しょうしつ区域くいきが拡大かくだいする要因よういんとなった。さらに後続こうぞくするアメリカ軍ぐん編隊へんたいが爆ばく撃げき範囲はんいを非ひ炎上えんじょう地域ちいきにまで徐々じょじょに広ひろげ、当初とうしょの投下とうか予定よてい地域ちいきではなかった荒川あらかわ放水ほうすい路ろ周辺しゅうへんや、その外側そとがわの足立あだち区くや葛飾かつしか区く、江戸川えどがわ区くの一部いちぶの、当時とうじはまだ農村のうそん地帯ちたいだった地区ちくの集落しゅうらくを含ふくむ地域ちいきにまで焼夷弾しょういだんの実際じっさいの投下とうか範囲はんいが広ひろげられたことにより、被害ひがいが拡大かくだいした。これは早はやい段階だんかいで大だい火災かさいが発生はっせいした投下とうか予定よてい地域ちいきの上空じょうくうでは火災かさいに伴ともなう強風きょうふうが生しょうじたため、低空ていくうでの操縦そうじゅうが困難こんなんになったためでもあった。

爆ばく撃げきの際さいには火炎かえんから逃のがれようとして、隅田川すみだがわや荒川あらかわに架かかる多おおくの橋はしや、燃もえないと思おもわれていた鉄筋てっきんコンクリート造みやつこの学校がっこうなどに避難ひなんした人ひとも多おおかった。しかし火災かさいの規模きぼが常識じょうしきをはるかに超こえるものだったため、至いたる所ところで巨大きょだいな火災かさい旋風せんぷうが発生はっせいし、あらゆる場所ばしょに竜りゅうの如ごとく炎えんが流ながれ込こんだり、主おもな通とおりは軒並のきなみ「火ひの粉この川かわ」と化かした。そのため避難ひなんをしながらもこれらの炎ほのおに巻まかれて焼死しょうししてしまった人々ひとびとや、炎ほのおに酸素さんそを奪うばわれて窒息ちっそくによって命いのちを奪うばわれた人々ひとびとも多おおかった。焼夷弾しょういだんは建造けんぞう物ぶつ等とうの目標もくひょうを焼やき払はらうための兵器へいきだが、この空襲くうしゅうで使つかわれた焼夷弾しょういだんは小型こがたの子こ弾だんが分離ぶんりし大量たいりょうに降ふり注そそぐため、避難ひなん民みんでごった返がえす大通おおどおりに大量たいりょうに降ふり注そそぎ子供こどもを背負せおった母親ははおやや、上空じょうくうを見上みあげた人間にんげんの頭部とうぶ・首筋くびすじ・背中せなかに突つき刺ささり即死そくしさせ、そのまま爆発ばくはつ的てきに燃もえ上あがり周囲しゅういの人々ひとびとを巻まき添ぞえにするという凄惨せいさんな状況じょうきょうが多数たすう発生はっせいした。また、川かわも水面すいめんは焼夷弾しょういだんのガソリンなどの油あぶらにより引火いんかし、さながら「燃もえる川かわ」と化かし、水中すいちゅうに逃のがれても冬期とうきの低ひくい水温すいおんのために凍死とうしする人々ひとびとも多おおく、翌朝よくあさの隅田川すみだがわ・荒川あらかわ放水ほうすい路ろ等ひとしは焼死しょうし・凍死とうし・溺死できし者しゃで川面かわもがあふれた。これら水すいを求もとめて隅田川すみだがわから都心としんや東京とうきょう湾わん・江戸川えどがわ方面ほうめんへ避難ひなんした集団しゅうだんの死傷ししょう率りつは高たかかった一方いっぽう、内陸ないりく部ぶ、日光にっこう街道かいどう・東武とうぶ伊勢崎線いせさきせん沿そいに春日部かすかべ・古河ふるかわ方面ほうめんへ脱出だっしゅつした人々ひとびとには生存せいぞん者しゃが多おおかった。また、空襲くうしゅうを避さける為ため各地かくちで防空壕ぼうくうごうが設もうけられそこに避難ひなんした人々ひとびとも多おおかったが、防空壕ぼうくうごうの換気かんきが不十分ふじゅうぶんの為ため酸さん欠かけ状態じょうたいとなりそこで窒息ちっそく死しする人々ひとびとも多おおかった[102]。

日本にっぽんの総理そうり大臣だいじん小磯こいそ國昭くにあき（小磯こいそ内閣ないかく）はこの空襲くうしゅうを「もっとも残酷ざんこく、野蛮やばんなアメリカ人じん」と激はげしく非難ひなんし[103]、国民こくみんに対たいしては「都民とみんは空襲くうしゅうを恐おそれることなく、ますます一致いっち団結だんけつして奮ふるって皇すめらぎ都と庇護ひごの大任たいにんを全まっとうせよ」と呼よびかけた[104]。ラジオ東京とうきょうは空襲くうしゅうを「虐殺ぎゃくさつ」と断だんじ、ルメイを現代げんだいのローマ皇帝こうていネロと比喩ひゆし「東京とうきょうの住宅じゅうたく街がいと商業しょうぎょう街がいを囲かこむ炎ほのおの海うみは、皇帝こうていネロによるローマ大火たいかの大だい虐殺ぎゃくさつを彷彿ほうふつとさせる」とも報ほうじた[105]。この惨禍さんかはこれから日本にっぽん全土ぜんどに広ひろがっていくこととなり、ルメイは、その後ごも3月がつ11日にち、B-29の310機きで名古屋なごや（名古屋大なごやだい空襲くうしゅう）、3月13日にち、295機きで大阪おおさか（大阪大おおさかだい空襲くうしゅう）、3月16日にち、331機きで神戸こうべ（神戸大こうべだい空襲くうしゅう）、3月18日にち、310機きで再度さいど名古屋なごやを東京とうきょう大だい空襲くうしゅうと同様どうように、夜間やかん低空ていくうでのM69焼夷弾しょういだんによる無む差別さべつ爆ばく撃げきを行おこなった[106]。日本にっぽん全土ぜんどに被害ひがいが広ひろがると、日本にっぽんのマスコミはルメイに対たいする舌戦ぜっせんをさらに激化げきかさせ、朝日新聞あさひしんぶんなどは「元凶げんきょうルメー、思おもひ知しれ」という記事きじで「やりをったな、カーチス・ルメー」「暴爆専門せんもん、下劣げれつな敵てき将しょう」「嗜虐しぎゃく性せい精神せいしん異常いじょう者しゃのお前まえは、焼やける東京とうきょうの姿すがたに舌した舐なめづりして狂喜きょうきしてゐるに相違そういない」「われわれはどうあつてもこのルメーを叩つ斬きらねばなるまい」などと思おもいつく限かぎりの誹謗ひぼうと罵倒ばとうを新聞しんぶん紙上しじょうで浴あびせている[107]。

日本にっぽん軍ぐんによる迎撃げいげき
編集へんしゅう
 
日本にっぽん本土ほんどと満州まんしゅうでB-29迎撃げいげきに活躍かつやくした二に式しき単座たんざ戦闘せんとう機き「鍾馗しょうき」

房総半島ぼうそうはんとう南端なんたんの洲崎すざき監視かんし廠しょうがB-29らしき爆音ばくおんを確認かくにんし、慌あわてて第だい12方面ほうめん軍ぐん司令しれい部ぶに報告ほうこくしたが、そのわずか数すう分ふん後ごの0時じ8分ふんには東京とうきょうの東部とうぶが焼夷弾しょういだん攻撃こうげきを受うけたため、空襲くうしゅう警報けいほうは空襲くうしゅうが開始かいしされたのち0時じ15分ふんとなり、市民しみんの避難ひなんも日本にっぽん軍ぐんによる迎撃げいげきも間まに合あわなかった[108]。それでも、第だい10飛行ひこう師団しだん の飛行ひこう第だい23戦隊せんたい（一式いっしき戦せん「隼はやぶさ」）、飛行ひこう第だい53戦隊せんたい（二に式しき複ふく戦せん「屠ほふ龍りゅう」）、飛行ひこう第だい70戦隊せんたい（二に式しき戦せん「鍾馗しょうき」）の計けい42機きと海軍かいぐんの第だい三さん〇二海軍航空隊から月光げっこう4機きが出撃しゅつげきし、陸軍りくぐんの高射こうしゃ砲ほう部隊ぶたい（高射こうしゃ第だい1師団しだん）との戦果せんかを合あわせてB-29を15機き撃墜げきつい、50機き撃破げきはの戦果せんかを報ほうじた[108]。アメリカ軍ぐん側がわの記録きろくでもB-29が14機き失うしなわれ[109]、今いままでの爆ばく撃げき任務にんむで最大さいだい級きゅうの損失そんしつとはなったが、その劇的げきてきな成果せいかと比較ひかくすると決けっして大おおきな損失そんしつではなかった[103]。出撃しゅつげき時じにルメイに不満ふまんを抱だいていたB-29搭乗とうじょう員いんらも予想よそう外がいの損害そんがいの少すくなさに、ルメイの戦術せんじゅつ変更へんこうが正ただしかったと感想かんそうを抱だいている[110]。

損失そんしつの内訳うちわけは日本にっぽん軍ぐんの対空たいくう火器かきでの撃墜げきつい2機き、事故じこ1機き、その他た4機き（3機きが燃料ねんりょう切きれ墜落ついらく、1機き不明ふめい）、7機きが原因げんいん未み確認かくにん（lost to unknown reasons）とされている。原因げんいん未み確認かくにんの7機きはすべて連絡れんらくのないまま行方ゆくえ不明ふめいとなった機きであるが[111]、この日ひに出撃しゅつげきして無事ぶじ帰還きかんしたB-29搭乗とうじょう員いんからは、東京とうきょう上空じょうくうでは合計ごうけい7機きのB-29が撃墜げきついされたという報告ほうこくがあり[112]、さらに行方ゆくえ不明ふめいとされていた1機きについては銚子ちょうし岬みさきの上空じょうくうで4本ほんの探照灯たんしょうとうに捉とらえられて、大小だいしょうの対空たいくう火器かきの集中しゅうちゅう砲火ほうかで撃墜げきついされたという詳細しょうさいな報告ほうこくがあったのにもかかわらず、原因げんいん未み確認かくにんの損失そんしつとされ[111]、この日ひに日本にっぽん軍ぐんにより撃墜げきついされたと判定はんていされたのは、東京とうきょう上空じょうくうで対空たいくう火器かきで撃墜げきついされた1機きと、対空たいくう火器かきの損傷そんしょうで不時ふじ着水ちゃくすいして搭乗とうじょう員いん全員ぜんいんが救助きゅうじょされた1機きの合計ごうけい2機きのみに止とまった。当時とうじのアメリカ軍ぐんは日本にっぽん軍ぐんの攻撃こうげき（Enemy Action）による損失そんしつと認定にんていするにはよっぽどの確証かくしょうが必要ひつようで、それ以外いがいは未知みち（ないし未み確認かくにん）の原因げんいん（lost to unknown reasonsもしくはcauses）とする慣習かんしゅうであったので、原因げんいん未み確認かくにんの損失そんしつが増加ぞうかする傾向けいこうにあった[113]。

この日ひは高射こうしゃ砲ほうによる戦果せんかが目立めだっている。高こう高度こうど精密せいみつ爆ばく撃げきの際さいは、数すう的てきには日本にっぽんの高射こうしゃ砲ほう戦力せんりょくの主力しゅりょくを担になっていた最大さいだい射しゃ高だか9,100mの八はち八はち式しき七なな糎せんちめーとる野戦やせん高射こうしゃ砲ほうと、10,000mの九きゅう九きゅう式しき八はち糎せんちめーとる高射こうしゃ砲ほうは高度こうど8,000ｍ以上いじょうで爆撃ばくげきしていたB-29に対たいしては射い高だか不足ふそくであり、少すこしでも高度こうどを稼かせぐため、日本にっぽん劇場げきじょうや両国りょうこく国技こくぎ館かんの屋上おくじょうなどにも設置せっちされたが、なかなか捉とらえることができず、日本にっぽん国民こくみんから「当あたらぬ高射こうしゃ砲ほう」と悪口わるぐちを言いわれた。しかし、ルメイによる作戦さくせん変更へんこうによりB-29の爆ばく撃げき高度こうどが下さがったので、日本にっぽん軍ぐんの高射こうしゃ砲ほうはB-29を捉とらえることができるようになった[114]。高射こうしゃ第だい1師団しだんにいた新井あらい健之けんし大尉たいい（のちタムロン社長しゃちょう）は「いや実際じっさいは言いわれているほどではない。とくに高度こうどの低ひくいときはかなり当あたった。本当ほんとうは高射こうしゃ砲ほうが落おとしたものなのに、防空ぼうくう戦闘せんとう機きの戦果せんかになっているものがかなりある。いまさら言いっても仕方しかたないが3月がつ10日とおかの下町したまち大だい空襲くうしゅうのときなど、火災かさいに照てらされながら低空ていくうを飛とぶ敵てき機きを相当そうとう数すう撃墜げきついした」と発言はつげんしている。代々木公園よよぎこうえんにあった高射こうしゃ砲ほう陣地じんちから撃うたれた高射こうしゃ砲ほうはよく命中めいちゅうしていたという市民しみんの証言しょうげんもある。高射こうしゃ砲弾ほうだんが命中めいちゅうしたB-29は赤々あかあかと燃もえながら、その巨体きょたいが青山あおやまの上空じょうくうぐらいで爆発ばくはつして四散しさんしていた[113]。日本にっぽん軍ぐんの戦闘せんとう機きによる迎撃げいげきを過小かしょう評価ひょうかしていたルメイも高射こうしゃ砲ほうに対たいしてはかなり警戒けいかいしていた[115]。

その後ごの東京とうきょう都とへの空襲くうしゅう

編集へんしゅう

 
1945年ねん5月がつ25日にち夜間やかんに空襲くうしゅうを受うける東京とうきょう市街しがい。画面がめん中央ちゅうおうは現在げんざいの東京とうきょう女おんな学がく館かん・日赤にっせき医療いりょうセンター付近ふきん、画面がめん下かから右みぎ上じょうに延のびるのは渋谷しぶや川がわ、画面がめん下かに山手やまて線せんと東横線とうよこせんの交差こうさと思おぼしきものが見みえることから広尾ひろお上空じょうくうと推定すいていされる。なお、北きた方向ほうこうは写真しゃしん左側ひだりがわとなる。撮影さつえい当時とうじ、現地げんちを南南西なんなんせいの風かぜが吹ふいていたことがこの写真しゃしんから見みて取とれる。

ミーティングハウス2号ごうの約やく1か月げつ後ごとなる4月がつ13日にちに東京とうきょうに大だい規模きぼ焼夷弾しょういだん攻撃こうげきが計画けいかくされた。今回こんかいは市街地しがいちへの無む差別さべつ爆ばく撃げきではなく、目標もくひょうは東京とうきょう第だい一いち陸軍りくぐん造兵ぞうへい廠しょう、東京とうきょう第だい二に陸軍りくぐん造兵ぞうへい廠しょうを含ふくむ兵器へいき工場こうじょう群ぐんとされたが、目標もくひょうの中なかには「工場こうじょう作業さぎょう員いんの住居じゅうきょ」も含ふくむとされており、結局けっきょくのところは市街地しがいちへの無む差別さべつ焼夷弾しょういだん攻撃こうげきであった[113]。作戦さくせん名めいは造兵ぞうへい廠しょう群ぐんを含ふくむ目標もくひょう区域くいきの暗号あんごう名めいをとってパーディション作戦さくせんと名付なづけられた[113]。327機きのB-29が出撃しゅつげきして[116]、3月がつ10日とおかの空襲くうしゅうを上回うわまわる2,119トンの爆ばく弾だんが、今いままでの空襲くうしゅうで最長さいちょうとなる3時じ間あいだにも渡わたって投下とうかされたが、そのうち96.1パーセントが焼夷弾しょういだんであり、11.4平方へいほうマイル（29.5 km2）が焼失しょうしつした[117]。空襲くうしゅうにより兵器へいき工場こうじょう群ぐんに大おおきな被害ひがいがあったのに加くわえて、皇居こうきょの一部いちぶと大宮おおみや御所ごしょと明治めいじ神宮じんぐうにも被害ひがいが出でた。新宿しんじゅく御苑ぎょえんには火災かさいから逃のがれようと市民しみんが殺到さっとうしたが、守衛しゅえいが門もんを固かたく閉とざして御苑ぎょえん内ないに市民しみんを入いれなかった。市民しみんのうちの1人ひとりがなぜ入いれないのか問とい詰つめたところ、守衛しゅえいは「天皇陛下てんのうへいかの芋いもが植うえてある」と答こたえたため激高げっこうした市民しみんが門もんを打うち壊こわしにかかり、結局けっきょく門もんは開放かいほうされて多おおくの市民しみんが御苑ぎょえん内ないに避難ひなんしている[118]。

皇居こうきょなどに被害ひがいが出でたことについて、阿南あなみ惟幾これちか陸軍りくぐん大臣だいじんと梅津うめづ美治よしはる郎ろう陸軍りくぐん参謀さんぼう総長そうちょうが宮中きゅうちゅうに参内さんだいして昭和しょうわ天皇てんのうにお詫わびを言上ごんじょうしたが、昭和しょうわ天皇てんのうからは「41機きの撃墜げきついを報ほうじていた戦果せんかについての御ご嘉賞かしょうの言葉ことばがあった」という[119]。この日ひのB-29の損失そんしつはアメリカ軍ぐんの記録きろくによれば7機きであった[120]。

沖縄おきなわ戦せんが開始かいしされると、九州きゅうしゅうの各かく航空こうくう基地きちから出撃しゅつげきした特攻とっこう機きにアメリカ海軍かいぐんは大おおきな損害そんがいを被こうむったので、アメリカ太平洋艦隊たいへいようかんたい司令しれい長官ちょうかん兼けん太平洋たいへいよう戦域せんいき最高さいこう司令しれい官かんのチェスター・ニミッツ元帥げんすいからの強つよい要請ようせいにより、4月がつ上旬じょうじゅんから延のべ2,000機きのB-29が、都市としの無む差別さべつ爆ばく撃げき任務にんむから、特攻とっこう機きの出撃しゅつげき基地きちである九州きゅうしゅうの飛行場ひこうじょうの爆ばく撃げき任務にんむに回まわされた[121]。特攻とっこう機き出撃しゅつげき基地きちへの爆ばく撃げきは1か月げつ以上いじょう行おこなわれたが、結局けっきょく、B-29は飛行場ひこうじょう施設しせつを破壊はかいしただけで、特攻とっこう機きに大おおきな損害そんがいを与あたえることができず、特攻とっこうによるアメリカ海軍かいぐんの損害そんがいはさらに拡大かくだいしていった。その後ご、沖縄おきなわの飛行場ひこうじょうが整備せいびされて戦術せんじゅつ作戦さくせん担当たんとうの爆ばく撃げき機きなどが配備はいびされたこともあり、5月11日にちにはB-29は本来ほんらいの戦略せんりゃく爆ばく撃げき任務にんむに復帰ふっきしたがその間あいだは大都市だいとし圏けんに対たいする無差別むさべつ焼夷弾しょういだん攻撃こうげきは中止ちゅうしされていた[122]。

戦略せんりゃく爆撃ばくげきが中止ちゅうしされている間あいだに、英えい領りょうインドに展開てんかいしていた第だい20爆ばく撃げき集団しゅうだんの第だい58爆ばく撃げき航空こうくう団だんがマリアナに合流ごうりゅうし、第だい21爆撃ばくげき機き集団しゅうだん は4個こ航空こうくう団だんとなっていた[60]。B-29の配備はいびも順調じゅんちょうで、5月から6月がつにかけて、常時じょうじ400機きのB-29が全力ぜんりょく出撃しゅつげきできる十分じゅうぶんな量りょうの焼夷弾しょういだんと航空こうくう燃料ねんりょうが準備じゅんびされ、稼働かどう機きも常つねに400機き以上いじょうが揃そろっていた[123]。ルメイは充実じゅうじつした戦力せんりょくで都市とし圏けんへの無む差別さべつ焼夷弾しょういだん攻撃こうげきを強化きょうかし、5月14日にち昼間ひるまに529機き、5月16日にち夜間やかんに522機きで名古屋なごやを爆撃ばくげき（名古屋大なごやだい空襲くうしゅう）、高こう高度こうど精密せいみつ爆ばく撃げきでは大おおきな損害そんがいを与あたえられなかった名古屋なごや市街しがいと工場こうじょうに甚大じんだいな損害そんがいを与あたえて、完全かんぜんに破壊はかいしてしまった。焼夷弾しょういだんで焼失しょうしつした建物たてもののなかには名古屋なごや城じょうも含ふくまれていた[124]。

ミーティングハウス2号ごうとその後ごの爆撃ばくげきにより大だい損害そんがいを被こうむっていた東京とうきょうにも総そう仕上しあげとして最大さいだい規模きぼの焼夷弾しょういだん攻撃こうげきが計画けいかくされることになった。今いままではミーティングハウスやパーディションなど目標もくひょう区域くいきの暗号あんごう名めいに則そくした作戦さくせん名めいが付ふされていたが、総そう仕上しあげの空襲くうしゅうという意味合いみあいもあってか、目標もくひょう区域くいきは“東京とうきょう市街地しがいち”とされ、暗号あんごう名めいで呼よばれることもなく、特別とくべつな作戦さくせん名めいも付ふされなかった[125]。

 
1945年ねん8月がつ下旬げじゅんの終戦しゅうせん直後ちょくごの皇居こうきょ、建物たてものの多おおくが焼失しょうしつしている。アメリカ軍ぐん重じゅう巡洋艦じゅんようかん「クインシー」の偵察ていさつ機きが撮影さつえい

5月24日にち未明みめいにB-29が558機き、5月25日にちの夜間やかんにB-29が498機きという、3月がつ10日とおかのミーティングハウス2号ごうを上回うわまわる大だい兵力へいりょくが仕上しあげの焼夷弾しょういだん攻撃こうげきに投入とうにゅうされた[126]。投下とうかした爆ばく弾だんはすべて焼夷弾しょういだんであり、5月23日にちに3,645トン[127]、5月25日にちに3,262トンが投下とうかされた[127]。これは3月がつ10日とおかに投下とうかされた1,665トンの4倍ばいに近ちかい量りょうとなった[91]。

1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）4月がつ13日にち以降いこうの主要しゅような空襲くうしゅうによる東京とうきょう都との被害ひがい状況じょうきょう[128][61]

4月がつ13日にち（任務にんむ番号ばんごう56番ばん） 5月24日にち（任務にんむ番号ばんごう181番ばん） 5月25日にち（任務にんむ番号ばんごう183番ばん）
死者ししゃ 2,459人にん 762人にん 3,651人にん
負傷ふしょう者しゃ 4,746人にん 4,130人にん 17,899人にん
被害ひがい家屋かおく 200,277戸こ 64,487戸こ 165,545戸こ
罹災りさい者しゃ 666,986人にん 224,601人にん 620,125人にん
 
恵比寿えびすで焼やけ野原のはらの上うえのバラック小屋こやに住すむ親子おやこ

ミーティングハウス2号ごうのときより死傷ししょう者しゃが格段かくだんに少すくなかったのは、3月がつ10日とおかには警戒けいかい警報けいほうが解除かいじょされたあとに爆ばく撃げきが開始かいしされ、空襲くうしゅう警報けいほうの発令はつれいが最初さいしょの爆ばく弾だん投下とうかから7分ふん後ごと遅おくれたのに対たいして[108]、4月がつ13日にちは警戒けいかい警報けいほう発令はつれいが午後ごご10時じ44分ふん、B-29の爆ばく撃げき開始かいしが午後ごご10時じ57分ふん、空襲くうしゅう警報けいほうが午後ごご11時じと、警戒けいかい警報けいほうの解除かいじょはなかったものの前回ぜんかいに引ひき続つづき空襲くうしゅう警報けいほうが3分ふん遅おくれていたが[129]、その後ごの5月がつ24日にちは警戒けいかい警報けいほう発令はつれいが午前ごぜん1時じ5分ふん、空襲くうしゅう警報けいほうが午前ごぜん1時じ36分ふん、B-29の爆ばく撃げき開始かいしが午前ごぜん1時じ39分ふん[130]、5月25日にちは警戒けいかい警報けいほう発令はつれいが午後ごご10時じ2分ふん、空襲くうしゅう警報けいほうが10時じ22分ふん、B-29の爆ばく撃げき開始かいしが午後ごご10時じ38分ふんと[131]、空襲くうしゅう開始かいし前まえに空襲くうしゅう警報けいほうが発令はつれいできたことや、疎開そかいが進すすんだこと、市民しみんが消火しょうかより避難ひなんを優先ゆうせんするようになったことが挙あげられる[132]。東京とうきょうの人員じんいん疎開そかいは1944年ねん3月がつ3日にちに東條とうじょう内閣ないかく閣議かくぎ決定けっていした「一般いっぱん疎開そかい促進そくしん要綱ようこう」に基もとづき進すすめられ、1944年ねん2月がつに6,658,162人にんであった東京とうきょうの人口じんこうは1945年ねん2月がつには4,986,600人にん（1944年ねん2月がつ比ひ75％）まで減少げんしょうしていた。3月10日にちの焼夷弾しょういだん攻撃こうげきののち、東京とうきょう都とはさらに疎開そかいを進すすめることとし、3月13日にちから4月がつ4日にちの約やく1か月げつで82万まん人にん、4月がつ13日にちの空襲くうしゅうののちにさらに60万まん人にん、5月25日にちの空襲くうしゅうののちには77万まん人にんを地方ちほうに転出てんしゅつさせた。そのため、1945年ねん5月がつの人口じんこうは3,286,010人にんと1944年ねん2月がつ比ひで半減はんげんし、6月がつには2,537,848人にん（同どう39％）まで減へっている。それでも残のこった都民とみんは焼やけ野原のはらに仮かり小屋こやを建たてたり防空壕ぼうくうごうで生活せいかつする者ものもあった[133]。

焼失しょうしつ面積めんせきは2日間にちかんで合計ごうけい22.1平方へいほうマイル（57.2 km2）に及および、1945年ねん2月がつ19日にち、2月がつ25日にち、3月がつ10日とおかの3回かいの空襲くうしゅうで焼失しょうしつした16.8平方へいほうマイル（43.5 km2）を上回うわまわった。そしてこの2日間にちかん分ぶんを含ふくめた東京とうきょうの空襲くうしゅうでの焼失しょうしつ面積めんせきは56.3平方へいほうマイル（145.8 km2）となり、緑地りょくちや建物たてものがまばらな地域ちいきを除のぞいてアメリカ軍ぐんが東京とうきょう市街地しがいちとして判定はんていしていた110.8平方へいほうマイル（286.9 km2）の50.8%を焼やき払はらったこととなった[117]。すでに東京とうきょうは、名古屋なごや、大阪おおさか、横浜よこはま、川崎かわさきなどの主要しゅよう都市としと同様どうように破壊はかいされつくされたと判定はんていされて、主要しゅよう爆ばく撃げきリストの目標もくひょうから外はずされることとなった[134]。

1945年ねん5月がつ25日にちの空襲くうしゅうでは、今いままでアメリカ軍ぐんが意図いと的てきに攻撃こうげきを控ひかえてきた皇居こうきょの半蔵門はんぞうもんに焼夷弾しょういだんを誤爆ごばくしてしまい、門もんと衛兵えいへい舎しゃを破壊はかいした。焼夷弾しょういだんによる火災かさいは表おもて宮殿きゅうでんから奥宮おくのみや殿どのに延焼えんしょうし、消防しょうぼう隊たいだけでは消火しょうか困難こんなんであったので、近衛このえ師団しだんも消火しょうかにあたったが火ひの勢いきおいは弱よわまらず、皇居こうきょ内ないの建物たてものの28,520 m2のうち18,239 m2を焼失しょうしつして4時じ間あいだ後ごにようやく鎮火ちんかした。御ご文庫ぶんこ附属ふぞく庫こに避難ひなんしていた昭和しょうわ天皇てんのうと香こう淳じゅん皇后こうごうは無事ぶじであったが、宮みや内省ないせいの職員しょくいんら34名めいと近衛このえ師団しだんの兵士へいし21名めいが死亡しぼうした。また、この日ひには鈴木すずき貫太郎かんたろう首相しゅしょうの首相しゅしょう官邸かんていも焼失しょうしつし、鈴木すずきは防空壕ぼうくうごうに避難ひなんしたが、防空壕ぼうくうごうから皇居こうきょが炎上えんじょうしているのを確認かくにんすると、防空壕ぼうくうごうの屋根やねに登のぼって、涙なみだをぬぐいながら炎上えんじょうする皇居こうきょを拝はいしている[135]。また、阿南あなみ惟幾これちか陸軍りくぐん大臣だいじんが責任せきにんをとって辞職じしょくを申もうし出でたが、昭和しょうわ天皇てんのうが慰留いりゅうしたため、思おもいとどまっている[136]。皇居こうきょは1945年ねん7月がつ20日はつかに、原子げんし爆ばく弾だん投下とうかの演習えんしゅうとして全国ぜんこく各地かくちに投下とうかされていたパンプキン爆ばく弾だんの目標もくひょうとなっている。この日ひ、パンプキン爆ばく弾だん投下とうか訓練くんれんのため東京とうきょうを飛行ひこうしていたクロード・イーザリー少佐しょうさ操縦そうじゅうのストレートフラッシュ号ごうで、副ふく航空こうくう機関きかん士しジャック・ビヴァンスの提案ていあんにより、昭和しょうわ天皇てんのうを殺害さつがいするために攻撃こうげきが禁止きんしされていた皇居こうきょを目標もくひょうとすることにした。しかし、皇居こうきょの上空じょうくうには雲くもが立たち込こめており、レーダー照準しょうじゅんでの爆ばく撃げきとなったので、パンプキン爆ばく弾だんは八重洲やえす口こう側がわの皇居こうきょの堀ほりに着弾ちゃくだんして、死者ししゃ1人にんと負傷ふしょう者しゃ62人にんを出だした。日本にっぽんのラジオ放送ほうそうで皇居こうきょ爆ばく撃げきの事実じじつを知しった爆ばく撃げき団だん司令しれい部ぶによりイーザリーらは厳きびしく叱責しっせきされたが、原子げんし爆ばく弾だん投下とうか任務にんむから外はずされることはなかった[137]。

日本にっぽんの大都市だいとしを破壊はかいしつくしたルメイは、目標もくひょうを人口じんこう10万まん人にんから20万まん人にんの中小ちゅうしょう都市とし58に対たいする焼夷弾しょういだん攻撃こうげきを行おこなうこととした。この作戦さくせんは6月がつ17日にちに開始かいしされて、鹿児島かごしま、大牟田おおむた、浜松はままつ、四日市よっかいち、豊橋とよはし、福岡ふくおか、静岡しずおか、富山とやまなどが目標もくひょうとなり終戦しゅうせんまで続つづけられた。このころになると日本にっぽん国民こくみんはアメリカ軍ぐんのどの兵器へいきよりもB-29を恐おそれるようになっており、上智大学じょうちだいがくの神父しんぷとして日本にっぽんに在住ざいじゅうし、日本人にっぽんじんとの親交しんこうが深ふかかったブルーノ・ビッテルによれば「日本にっぽん国民こくみんの全ぜん階層かいそうにわたって、敗戦はいせんの意識いしきが芽生めばえ始はじめるようになったのは、B-29の大だい空襲くうしゅうによってであった」と証言しょうげんしている[138]。戦後せんごにアメリカ軍ぐんによる戦略せんりゃく爆ばく撃げきの効果こうかを調査ちょうさした米国べいこく戦略せんりゃく爆ばく撃げき調査ちょうさ団だんが、日本にっぽんの戦争せんそう指導しどう者しゃや一般いっぱん国民こくみんに調査ちょうさしたところ、日本にっぽんが戦争せんそうに敗北はいぼくすると認識にんしきした国民こくみんの割合わりあいについては、1944年ねん6月がつまではわずか国民こくみんの2％に過すぎなかったが、1945年ねん3月がつ10日とおかの空襲くうしゅう以降いこうに19％、その後ご空襲くうしゅうが激化げきかした1945年ねん6月がつには46％に跳はね上あがり、終戦しゅうせん直前ちょくぜんに68％となっていた[139]。

日本にっぽん軍ぐんによる迎撃げいげき

編集へんしゅう
 
八はち八はち式しき七なな糎せんちめーとる野戦やせん高射こうしゃ砲ほう。旧式きゅうしきで射い高だか不足ふそくながら、低空ていくうで爆撃ばくげきするB-29には効果こうかがあった。写真しゃしんは1940年ねん満州まんしゅうのもの

5月24日にちには、前回ぜんかいの東京とうきょう大だい空襲くうしゅうと同おなじ轍わだちを踏ふむまいと、日本にっぽん陸海りくかい軍ぐんの首都しゅと防空ぼうくうを担になう第だい10飛行ひこう師団しだんと第だい三さん〇二海軍航空隊と横浜よこはま海軍かいぐん航空こうくう隊たいが全力ぜんりょくで迎撃げいげきし、迎撃げいげき機きの総数そうすうは140機きにもなった[140]。なかでも飛行ひこう第だい64戦隊せんたい（いわゆる「加藤かとう隼はやぶさ戦闘せんとう隊たい」）で中隊ちゅうたい長ちょうとして勇名ゆうめいをはせた黒江くろえ保彦やすひこ少佐しょうさが四よん式しき戦闘せんとう機き「疾風しっぷう」で3機きのB-29撃墜げきついを記録きろくするなど[141]、陸軍りくぐん23機き、海軍かいぐん7機きの合計ごうけい30機きの撃墜げきついを報ほうじた。（高射こうしゃ砲ほう隊たいの戦果せんかも含ふくむ）アメリカ軍ぐん側がわの記録きろくでも17機き損失そんしつ、69機き損傷そんしょうと大おおきな損害そんがいを被こうむっている[142]。5月25日にちには、日本にっぽん軍ぐんの迎撃げいげきはさらに激烈げきれつとなり、日本にっぽん軍ぐん側がわは47機き撃墜げきついを報ほうじ、アメリカ軍ぐん側がわでも26機き損失そんしつ100機き損傷そんしょうとB-29の出撃しゅつげきのなかで最悪さいあくの損害そんがいを被こうむることになったが[140]、アメリカ軍ぐんが日本にっぽん軍ぐんに撃墜げきついされたと記録きろくしているのは対空たいくう火器かきで撃墜げきついされた3機きのみで、対空たいくう砲ほうと戦闘せんとう機きの攻撃こうげきで大破たいはし硫黄いおう島とう近辺きんぺんで放棄ほうきされた2機きと、3月がつ10日とおかと同様どうように連絡れんらくつかずに行方ゆくえ不明ふめいとなった20機きは原因げんいん未み確認かくにんの損失そんしつとされて、アメリカ軍ぐんの記録きろく上じょうは日本にっぽん軍ぐんの攻撃こうげき（Enemy Action）による損失そんしつには含ふくまれていない[143]。

しかし、日本にっぽん軍ぐん側がわによれば、第だい302海軍かいぐん航空こうくう隊たいだけで、月光げっこう7機き、彗星すいせい（斜はす銃じゅう装備そうびの夜間やかん戦闘せんとう機き型がた）4機き、雷電らいでん5機き、零れい戦せん5機きが迎撃げいげきして、B-29の16機き撃墜げきついを報告ほうこくし[144][145]、陸軍りくぐんの高射こうしゃ砲ほうも5月25日にちの1日にちだけで、八はち八はち式しき7cm野戦やせん高射こうしゃ砲ほう7,316発はつ、九きゅう九きゅう式しき8cm高射こうしゃ砲ほう6,119発はつ、三さん式しき12cm高射こうしゃ砲ほう1,041発はつ、合計ごうけい14,476発はつの高射こうしゃ砲弾ほうだんを消費しょうひするなど激はげしい対空たいくう砲火ほうかを浴あびせて、海軍かいぐんの戦果せんかも合あわせてB-29合計ごうけい47機き撃墜げきついを記録きろくしており[136]、日本にっぽん軍ぐん側がわの戦果せんか記録きろくは過大かだいとは言いえ、原因げんいん未み確認かくにんの損失そんしつの中なかの大だい部分ぶぶんは日本にっぽん軍ぐんにより撃墜げきついしたものと推定すいていされる[146]。この日ひに出撃しゅつげきした航空こうくう機関きかん士しチェスター・マーシャルによれば、今いままでの25回かいの出撃しゅつげきの中なかで対空たいくう砲火ほうかがもっとも激はげしく探照灯たんしょうとうとの連携れんけいも巧たくみであったとのことで、帰還きかん後ごに26機きが撃墜げきついされたと聞きかされたB-29の搭乗とうじょう員いんらが恐おそれをなしたと著書ちょしょに記述きじゅつしている[147]。

日本にっぽん軍ぐんは探知たんちだけではなく火器かき管制かんせいレーダーについても配備はいびを進すすめており、大戦たいせん初期しょきにシンガポールで鹵獲ろかくしたイギリス軍ぐんのGL Mk.IIレーダー(英えい)をデッドコピーしたり、ドイツからウルツブルグレーダーの技術ぎじゅつ供与きょうよを受うけたりして、「タチ1号ごう」・「タチ2号ごう」・「タチ3号ごう」・「タチ4号ごう」などの電波でんぱ標定ひょうてい機きを開発かいはつして本土ほんど防空ぼうくう戦せんに投入とうにゅうしている[148]。B-29が作戦さくせん変更へんこうにより夜間やかんの爆ばく撃げきが増加ぞうかしたため、日本にっぽん軍ぐんは高射こうしゃ砲ほうと探照灯たんしょうとうの照準しょうじゅんを射撃しゃげき管制かんせいレーダーに頼たよるようになった。各かく高射こうしゃ砲ほう陣地じんちには「た号ごう」（タチの略称りゃくしょう）が設置せっちされて、レーダーの誘導ゆうどうで射撃しゃげきする訓練くんれんを徹底てっていして行おこなうようになり[149]、6基き - 12基きで1群ぐんを編成へんせいする探照灯たんしょうとう陣地じんちにもレーダーもしくは聴音ちょうおん機きが設置せっちされて、レーダーや聴音ちょうおん機きに制御せいぎょされた探照灯たんしょうとうがB-29を照射しょうしゃすると、他たの探照灯たんしょうとうもそのB-29を照射しょうしゃした[150]。

アメリカ軍ぐんは日本にっぽん軍ぐんの射撃しゃげき管制かんせいレーダーがイギリス製せいのものをもとに開発かいはつしていることを掴つかむと、その対抗たいこう手段しゅだんを講こうじることとし、B-29にジャミング装置そうちを装備そうびした。そしてB-29に搭乗とうじょうしてジャミング装置そうちを操作そうさする特別とくべつな訓練くんれんを受うけた士官しかんを「レイヴン」（ワタリガラス）と呼よんだ。東京とうきょう大だい空襲くうしゅう以降いこうの作戦さくせん変更へんこうにより、B-29が単たん縦陣じゅうじんで個別こべつに爆ばく弾だんを投下とうかするようになると、爆ばく弾だんを投下とうかしようとするB-29は多数たすうの日本にっぽん軍ぐん火器かき管制かんせいレーダーの焦点しょうてんとなって、機体きたい個別こべつのジャミングでは対応たいおうできなくなった。そこで、アメリカ軍ぐんはB-29数すう機きをECM機きに改造かいぞうして、専門せんもん的てきにジャミングを行おこなわせることとした。そのB-29には18基きにものぼる受信じゅしん・分析ぶんせき・妨害ぼうがい装置そうちが搭載とうさいされたが、機体きたいのあらゆ方向ほうこうにアンテナが突つき出だしており、その形状けいじょうから「ヤマアラシ」と呼よばれることとなった[151]。ヤマアラシは、1回かいの作戦さくせんごとに10機き以上いじょうが真まっ先さきに目標もくひょうに到着とうちゃくして、熟練じゅくれんしたレイヴンの操作そうさにより電波でんぱ妨害ぼうがいをして探照灯たんしょうとうや高射こうしゃ砲ほうを撹乱かくらん、聴音ちょうおん機きに対たいしてはエンジンの回転かいてん数すうをずらしてエンジン特性とくせいを欺瞞ぎまんするなど[152]、日本にっぽん軍ぐん防空ぼうくう陣じんとB-29の間あいだで激はげしい駆かけ引ひきが行おこなわれていた。

この東京とうきょうへの2回かいの爆ばく撃げきでB-29は今いままでで最悪さいあくの43機きを損失そんしつ、169機きが損傷そんしょうを被こうむるという大おおきな損害そんがいを被こうむった。ルメイは爆ばく撃げきが甚大じんだいな損害そんがいを与あたえているのだから、B-29の損害そんがいは当然とうぜんであると考かんがえていた。しかし、第だい20空軍くうぐん司令しれい部ぶではB-29の損失そんしつ増加ぞうかを懸念けねんして対策たいさくを講こうじるように指示しじしてきたので、ルメイは5月29日にちの横浜よこはまへの大だい規模きぼ焼夷弾しょういだん攻撃こうげき（横浜よこはま大だい空襲くうしゅう）のさいには、B-29の454機きに硫黄いおう島とうに展開てんかいするP-51D101機きを護衛ごえいにつけた[153]。次ついで6月がつ1日にちのB-29の454機きによる神戸こうべと大阪おおさかの大だい規模きぼ焼夷弾しょういだん攻撃こうげきにもP-51の護衛ごえいを出撃しゅつげきさせたが、離陸りりく直後ちょくごに暴風ぼうふう圏けんにぶつかって、P-51が一いち度どに27機きも墜落ついらくしている。編隊へんたいで計器けいき飛行ひこうができないP-51に対たいしては、B-29が航法こうほう誘導ゆうどうする必要ひつようがあり、ルメイは護衛ごえい戦闘せんとう機きは足手あしてまといぐらいに考かんがえていた。B-29は搭載とうさいしている防御ぼうぎょ火器かきで日本にっぽん軍機ぐんきに十分じゅうぶん対抗たいこうできるため、狭せまい硫黄いおう島とうの飛行場ひこうじょうに多おおくの戦闘せんとう機きを置おくのは勿体もったいなく、戦闘せんとう機きを減へらして、B-29を配置はいちすべきとも考かんがえていたが[154]、P-51の護衛ごえいにより、それまでB-29迎撃げいげきの主力しゅりょくであった陸軍りくぐん「屠ほふ龍りゅう」海軍かいぐん「月光げっこう」などの運動うんどう性能せいのうが低ひくい双発そうはつ戦闘せんとう機きは使用しようできなくなり、単発たんぱつ戦闘せんとう機きの迎撃げいげきも一段いちだんと困難こんなんになってしまった[155]。さらに、P-51がB-29の護衛ごえいとして多数たすう飛来ひらいする頃ころには、大本営だいほんえいは敵てき本土ほんど上陸じょうりく部隊ぶたいへの全ぜん機き特攻とっこう戦法せんぽうへの航空機こうくうき確保かくほが優先ゆうせんし防空ぼうくう戦闘せんとうを局限きょくげんする方針ほうしんをとっている[156]。具体ぐたい的てきな運用うんようとしては、損害そんがいが増大ぞうだいする敵てき小型こがた機き（戦闘せんとう機き）への迎撃げいげきは原則げんそく抑制よくせいしたため、B-29への戦闘せんとう機きによる迎撃げいげきはB-29にP-51の護衛ごえいがなく有利ゆうりな状況じょうきょうの時ときに限かぎる方針ほうしんとなり日本にっぽん軍機ぐんきの迎撃げいげきは極きわめて低調ていちょうで、日本にっぽん軍ぐん戦闘せんとう機きからのB-29の損害そんがいは激減げきげんしている[157]。それでも、アメリカ陸軍りくぐん航空こうくう軍ぐんの統計とうけいによれば、B-29の太平洋戦争たいへいようせんそう（大だい東亜とうあ戦争せんそう）における延のべ出撃しゅつげき数すうに対たいする戦闘せんとう損失そんしつ率りつは1.32%とされているが[158]、東京とうきょうに対たいする空襲くうしゅうにおいては損失そんしつ率りつが跳はね上あがり3.3%となっており、首都しゅと圏けんで日本にっぽん軍ぐんは奮戦ふんせんしていた。一方いっぽうで、同おなじ枢軸すうじく国こくドイツの首都しゅとベルリン空襲くうしゅうにおけるアメリカ軍ぐんとイギリス軍ぐん爆撃ばくげき機きの損失そんしつ率りつは6.6%と東京とうきょう空襲くうしゅうの2倍ばいの損失そんしつ率りつで[159]、B-29の高性能こうせいのうさと日本にっぽん軍ぐんの防空ぼうくう戦闘せんとう能力のうりょくの脆弱ぜいじゃくさを如実にょじつに表あらわしており、もはや日本にっぽん軍ぐんにB-29を押おしとどめる力ちからは残のこっていないことが明あきらかになった[160]。

戦後せんご

編集へんしゅう

慰霊いれい

編集へんしゅう
 
「戦災せんさいにより亡なくなられた方々かたがたの碑いしぶみ」
台東たいとう区く浅草あさくさ七なな丁目ちょうめ一番いちばん
映像えいぞう外部がいぶリンク
  炎ほのおの記憶きおく - 東京とうきょう都と慰霊いれい堂どう(ガイダンス映像えいぞう) (YouTube)

身元みもと不明ふめいの犠牲ぎせい者しゃの遺骨いこつは関東大震災かんとうだいしんさいの犠牲ぎせい者しゃを祀まつった「震災しんさい記念きねん堂どう」に合あわせて納おさめられた。このため1951年ねんには、震災しんさい記念きねん堂どうから東京とうきょう都と慰霊いれい堂どうに名称めいしょうが改あらためられた。慰霊いれい堂どうでは毎年まいとし3月がつ10日とおかに追悼ついとう行事ぎょうじが行おこなわれているほか、隣接りんせつする東京とうきょう都と復興ふっこう記念きねん館かんに関東大震災かんとうだいしんさいおよび東京とうきょう大だい空襲くうしゅうについての展示てんじがある。この他ほか、大だい規模きぼ被災ひさい地域ちいきには、主おもに住民じゅうみんの手てによる慰霊いれい碑ひが数多かずおおく設置せっちされている。

映像えいぞう外部がいぶリンク
  利光としみつはる子こさんの空襲くうしゅうの記憶きおく【東京とうきょう大だい空襲くうしゅう】 - 全国ぜんこく空襲くうしゅう被害ひがい者しゃ連絡れんらく協議きょうぎ会かい (YouTube)

東京とうきょう都とは1990年ねん（平成へいせい2年ねん）、空襲くうしゅう犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうし平和へいわを願ねがうことを目的もくてきとして、3月がつ10日とおかを「東京とうきょう都と平和へいわの日ひ」とすることを条例じょうれいで定さだめた。東京とうきょう都とでは墨田すみだ区くの横網よこあみ町まち公園こうえんに「東京とうきょう空襲くうしゅう犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうし平和へいわを祈念きねんする碑いしぶみ」を設置せっちし、遺族いぞくなどからの申もうし出でにより判明はんめいした1942年ねんから1945年ねんの空襲くうしゅう犠牲ぎせい者しゃの犠牲ぎせい者しゃ名簿めいぼ（2013年ねん3月がつ時点じてんで79941名めいが登載とうさい）を納おさめている[26]。2019年ねん3月がつ現在げんざい、81147名めい登載とうさい[8]。2020年ねん3月がつに81,273名めい登載とうさい[161]。東京とうきょう都とは名簿めいぼへの登載とうさいを受うけ付つけている。(受付うけつけについて 東京とうきょう都と生活せいかつ文化ぶんか局きょく　東京とうきょう空襲くうしゅう犠牲ぎせい者しゃ名簿めいぼ)

毎年まいとし、横網よこあみ町まち公園こうえんは、大だい法要ほうようが行おこなわれる3月がつ10日とおか(東京とうきょう都と平和へいわの日ひ)と9月1日にちには東京とうきょう空襲くうしゅう犠牲ぎせい者しゃ名簿めいぼが納おさめられている「東京とうきょう空襲くうしゅう犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうし平和へいわを祈念きねんする碑いしぶみ」の内部ないぶを公開こうかいしている[161]。

関連かんれん文献ぶんけん

編集へんしゅう
  • 木村きむら豊ゆたか「空襲くうしゅうの犠牲ぎせい者しゃ・死者ししゃを想起そうきする : 「せめて名前なまえだけでも」という語かたりを通とおして」『慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく大学院だいがくいん社会しゃかい学がく研究けんきゅう科か紀要きよう』第だい69号ごう、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく大学院だいがくいん社会しゃかい学がく研究けんきゅう科か、2010年ねん、15-33頁ぺーじ、ISSN 0912456X、NAID 120002791524。 

補償ほしょう問題もんだい

編集へんしゅう

2007年ねん3月がつ9日にち、「東京とうきょう空襲くうしゅう犠牲ぎせい者しゃ遺族いぞく会かい」の被災ひさい者しゃ・犠牲ぎせい者しゃの遺族いぞく112人にん（平均へいきん年齢ねんれい74歳さい）は、日本にっぽん政府せいふに対たいし、謝罪しゃざいおよび総額そうがく12億おく3,200万まん円えんの損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめて東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょに集団しゅうだん提訴ていそを行おこなった[162]。アメリカ軍ぐんの空襲くうしゅうによる民間みんかんの被害ひがい者しゃが集団しゅうだんとなって日本にっぽん国こくに責任せきにんを問とうのは初はつ。目的もくてきは、旧きゅう軍人ぐんじん・軍属ぐんぞくが国家こっか補償ほしょうを受うけているのに対たいして国家こっか総動員そうどういん法ほうによって動員どういんされた民間みんかん人じんは補償ほしょうが行おこなわれていないことを理由りゆうに、「東京とうきょう空襲くうしゅうが国際こくさい法ほう違反いはんの無む差別さべつ絨毯じゅうたん爆撃ばくげきだったことを裁判所さいばんしょに認みとめさせ、誤あやまった国策こくさくにより戦争せんそうを開始かいしした政府せいふの責任せきにんを追及ついきゅうする」ことである[10]。法的ほうてき根拠こんきょは、ハーグ陸戦りくせん条約じょうやく3条じょう違反いはんの無む差別さべつ攻撃こうげきであった東京とうきょう大だい空襲くうしゅうを行おこなったアメリカ政府せいふに対たいして被災ひさい者しゃは損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう権けんがあるが、日本にっぽん政府せいふはサンフランシスコ平和へいわ条約じょうやくにより空襲くうしゅう被害ひがいについて外交がいこう保護ほご権けんを放棄ほうきした。これは憲法けんぽう17条じょうの公務員こうむいんの不法ふほう行為こういに該当がいとうする、また戦時せんじ災害さいがい保護ほご法ほうによって国くには救済きゅうさい義務ぎむを負おっているが懈怠けたいした、などというものだった[10]。なお、2006年ねんには日本にっぽん軍ぐんによる重慶たーちん爆ばく撃げきに対たいする謝罪しゃざいと賠償ばいしょうを求もとめた重じゅう慶大けいだい爆ばく撃げき賠償ばいしょう請求せいきゅう訴訟そしょうが開始かいししている。

2009年ねん12月14日にちの1審しん判決はんけつで請求せいきゅう棄却ききゃく [163]。原告げんこく側がわは控訴こうそしたが控訴こうそ棄却ききゃく。2013年ねん5月がつ9日にちに最高裁さいこうさいが原告げんこく側がわの上告じょうこくを棄却ききゃくし、原告げんこく側がわの全面ぜんめん敗訴はいそが確定かくていした[164]。棄却ききゃく理由りゆうの中なかで、空襲くうしゅう被害ひがい者しゃ救済きゅうさいは裁判所さいばんしょでは判断はんだんが出だせず、国会こっかいが立法りっぽうで行おこなうとした点てんについて、敗訴はいそした原告げんこく側がわ弁護べんご団だんも「国民こくみんの受忍じゅにん限度げんどとした旧来きゅうらいの判断はんだんから踏ふみ込こんだ」として評価ひょうかした[165]。

2010年ねん8月がつ14日にち、日本にっぽん政府せいふが空襲くうしゅう被害ひがい者しゃに補償ほしょうを行おこなう「空襲くうしゅう被害ひがい者しゃ等とう援護えんご法ほう」の制定せいていを目指めざした「全国ぜんこく空襲くうしゅう被害ひがい者しゃ連絡れんらく協議きょうぎ会かい」が結成けっせい[166]。2011年ねん6月がつ15日にちには、超党派ちょうとうはの議員ぎいん連盟れんめい「空襲くうしゅう被害ひがい者しゃ等とう援護えんご法ほうを実現じつげんする議員ぎいん連盟れんめい」が設立せつりつされた[167]

「朝鮮ちょうせん人じん強制きょうせい連行れんこう」および「日本にっぽんの戦争せんそう賠償ばいしょうと戦後せんご補償ほしょう」を参照さんしょう

朝鮮ちょうせん人じん被害ひがい者しゃについては体験たいけん者しゃの証言しょうげんから当時とうじの状況じょうきょうを記録きろくする運動うんどうもあり[168]、さらに、朝鮮ちょうせん人じん強制きょうせい連行れんこうによって東京とうきょうに強制きょうせい連行れんこうされた朝鮮ちょうせん人じんが東京とうきょう大だい空襲くうしゅうの被害ひがいにあったと主張しゅちょうする朝鮮ちょうせん人じん強制きょうせい連行れんこう被害ひがい者しゃ・遺族いぞく協会きょうかいも2008年ねんに報告ほうこく書しょを発表はっぴょうしている[169]。報告ほうこく書しょでは、東京とうきょうでの朝鮮ちょうせん人じん強制きょうせい労働ろうどう犯罪はんざい、そして東京とうきょう大だい空襲くうしゅうによる朝鮮ちょうせん人じん強制きょうせい連行れんこう被害ひがい者しゃの惨状さんじょうなどが報告ほうこくされた[98]。朝鮮ちょうせん新報しんぽうは2008年ねん6月がつ6日にち記事きじで「日にち帝みかどは、空襲くうしゅうがあった後のちに天皇てんのうがこの地域ちいきを訪おとずれるという口実こうじつを設もうけて、朝鮮ちょうせん人じんら死者ししゃに対たいする身元みもと調査ちょうさすらしないまま、67カ所かしょの公園こうえんと寺院じいん、学校がっこうの運動うんどう場じょうなどに土葬どそうし、後あとで掘ほり起おこして合ごう葬そうするなど、息いきを引ひき取とった朝鮮ちょうせん人じんの遺骨いこつを自分勝手じぶんがってにむちゃくちゃに処理しょりする反はん人倫じんりん的てきな蛮行ばんこうを働はたらいた」「東京とうきょう大だい空襲くうしゅうで多数たすうの朝鮮ちょうせん人じんが犠牲ぎせいになったのは、全的ぜんてきに旧きゅう日本にっぽん政府せいふと軍部ぐんぶの対たい朝鮮ちょうせん軍事ぐんじ的てき占領せんりょうに起因きいんする」とし、日本にっぽん政府せいふは被害ひがい者しゃの遺骨いこつを遺族いぞくに送おくるべきだったし、さらに南北朝鮮なんぼくちょうせんを差別さべつして北朝鮮きたちょうせんには一切いっさいの遺骨いこつが返還へんかんされておらず、これは国際こくさい人道じんどう法ほうと日本にっぽんの刑法けいほうに違反いはんしている重大じゅうだいな人権じんけん侵害しんがい犯罪はんざいとし、徹底的てっていてきに謝罪しゃざいと賠償ばいしょうを早急そうきゅうに講こうじるべきと主張しゅちょうしている[98]。

戦争せんそう犯罪はんざい問題もんだい

編集へんしゅう
「戦争せんそう犯罪はんざい」、「人道じんどうに対たいする罪つみ」、「連合れんごう軍ぐんによる戦争せんそう犯罪はんざい (第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん)」、および「アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの戦争せんそう犯罪はんざい」を参照さんしょう

空襲くうしゅうは、建前たてまえでは軍ぐん施設しせつや軍需ぐんじゅ産業さんぎょうに対たいする攻撃こうげきだが、東京とうきょう大だい空襲くうしゅうは東京とうきょうそのものの殲滅せんめつを目的もくてきとする無む差別さべつ爆ばく撃げきで多数たすうの非ひ戦闘せんとう員いんたる民間みんかん人じんが犠牲ぎせいになっており、戦争せんそう犯罪はんざいではないかとの指摘してきも強つよく、2007年ねんの東京とうきょう大だい空襲くうしゅう訴訟そしょうでも無む差別さべつ攻撃こうげきはハーグ陸戦りくせん条約じょうやく3条じょう違反いはんという主張しゅちょうがなされた[10]。第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん後ごの1922年ねん、ハーグ空戦くうせん規則きそくが採択さいたくされ、軍事ぐんじ目標もくひょう以外いがいの民間みんかん人じんの損傷そんしょうを目的もくてきとした無む差別さべつ空爆くうばくは禁止きんしされていた[10]。

日本にっぽん政府せいふは、サンフランシスコ平和へいわ条約じょうやくにより賠償ばいしょう請求せいきゅう権けんを放棄ほうきしている。

国内こくない法ほうでも軍人ぐんじん、軍属ぐんぞくとその遺族いぞくへの特別とくべつ援護えんご政策せいさくが採とられた一方いっぽうで、非ひ軍人ぐんじんに対たいしては不十分ふじゅうぶんな対策たいさくしか講こうじられていないとして議論ぎろんがある[170]。

1964年ねん12月4日にち、日本にっぽん本土ほんど爆ばく撃げきを含ふくむ対たい日にち無差別むさべつ爆ばく撃げきを指揮しきした米べい空軍くうぐん司令しれい官かんカーチス・ルメイ大将たいしょうに対たいし、第だい1次じ佐藤さとう内閣ないかくが勲一等くんいっとう旭日きょくじつ章あきらの叙勲じょくんを閣議かくぎ決定けっていする[171]。理由りゆうは航空こうくう自衛隊じえいたい育成いくせいの協力きょうりょくで、授与じゅよは7日にちに行おこなわれた[172]。

当時とうじ非難ひなんの声こえがあり国会こっかいで追及ついきゅうされたが、佐藤さとう栄作えいさく首相しゅしょうは「今いまはアメリカと友好ゆうこう関係かんけいにあり、功績こうせきがあるならば過去かこは過去かことして功こうに報むくいるのが当然とうぜん、大国たいこくの民みんとはいつまでもとらわれず今後こんごの関係かんけい、功績こうせきを考かんがえて処置しょちしていくべきもの」と答こたえる。小泉こいずみ純じゅん也防衛庁ぼうえいちょう長官ちょうかんも「功績こうせきと戦時せんじの事情じじょうは別個べっこに考かんがえるもの」と答こたえている[173]。勲一等くんいっとうの授与じゅよは天皇てんのう親授しんじゅが通例つうれいだが、昭和しょうわ天皇てんのうはルメイと面会めんかいすることはなかった。NHK取材しゅざいでは戦争せんそう責任せきにんについての問といにルメイは勲章くんしょうを示しめして見みせた[174]。

爆ばく撃げき直後ちょくごにルメイは「近代きんだい航空こうくう戦史せんしで画期的かっきてきなできごととなった」と空襲くうしゅうの成果せいかに胸むねをはったが、民間みんかん人じんの大量たいりょう虐殺ぎゃくさつについては、「幸しあわせな気分きぶんになれなかった」としつつも、日本にっぽん軍ぐんがフィリピンでアメリカ兵へいやフィリピンの民間みんかん人じんに対たいして行いったとされる残虐ざんぎゃく行為こういを引ひき合あいに出だして、「（大量たいりょう虐殺ぎゃくさつが）私わたしの決心けっしんを何なんら鈍なまらせなかった」と回想かいそうしたり[175]、「我々われわれは軍事ぐんじ目標もくひょうを狙ねらっていた。単たんなる殺戮さつりくのために民間みんかん人じんを殺戮さつりくする目的もくてきなどはなかった…我々われわれが黒焦くろこげにしたターゲットの一ひとつに足あしを向むけてみれば、どの家いえの残骸ざんがいからもボぼール盤るばんが突つき出でているのが見みえたはずだ。国民こくみん全員ぜんいんが戦争せんそうに従事じゅうじし、飛行機ひこうきや弾薬だんやくを造つくるために働はたらいていたのだ…大勢おおぜいの女性じょせいや子供こどもを殺ころすことになるのはわかっていた、だが、我々われわれはやらねばならなかった」と当時とうじの日本にっぽん工業こうぎょう生産せいさんの特徴とくちょうでもあった家内かない工業こうぎょうのシステムの破壊はかいが目的もくてきであり、仕方しかたなかったとも述のべている[176]。

また、ルメイは日本にっぽん爆ばく撃げきに道徳どうとく的てきな考慮こうりょは影響えいきょうしたかと質問しつもんされ、「当時とうじ日本人にっぽんじんを殺ころすことについてたいして悩なやみはしなかった。私わたしが頭あたまを悩なやませていたのは戦争せんそうを終おわらせることだった」「もし戦争せんそうに敗やぶれていたら私わたしは戦争せんそう犯罪はんざい人じんとして裁さばかれていただろう。幸運こううんなことにわれわれは勝者しょうしゃになった」「答こたえは“イエス”だ。軍人ぐんじんは誰だれでも自分じぶんの行為こういの道徳どうとく的てき側面そくめんを多少たしょうは考かんがえるものだ。だが、戦争せんそうは全すべて道徳どうとくに反はんするものなのだ」と答こたえた[177]。ルメイは「我々われわれは日本にっぽん降伏ごうぶくを促うながす手段しゅだんとして火災かさいしかなかったのだ」とも述懐じゅっかいしている[97]。兵士へいしに向むけては「戦争せんそうとはどんなものか教おしえてやろう。君きみたちは人間にんげんを殺ころさなければならない。そして、できるだけ多おおく殺ころしたときに、敵てきは戦たたかいをやめるのだ」とも語かたっている[178]。

日本にっぽん本土ほんど爆撃ばくげきに関かんして、ルメイは人道じんどうに反はんすることを知しりつつも戦争せんそうにおける必要ひつよう性せいを優先ゆうせんし現場げんばで効果こうか的てきな戦術せんじゅつを考案こうあんし実行じっこうした責任せきにんがあるが、爆ばく撃げきは航空こうくう軍ぐん司令しれい官かんヘンリー・アーノルドに命めいじられた任務にんむであり、ルメイの役割やくわりが誇大こだいに語かたられる傾向けいこうがある。ルメイの就任しゅうにんでB-29の攻撃こうげき法ほうが夜間やかん中心ちゅうしんに変かわったが、都市とし爆撃ばくげき（無む差別さべつ爆ばく撃げき）の枠組わくぐみは、統合とうごう参謀さんぼう本部ほんぶの決定けってい、焼夷弾しょういだん攻撃こうげきの準備じゅんび、東京とうきょうや名古屋なごやでのハンセルによる無む差別さべつ爆ばく撃げきの試行しこうなどルメイ就任しゅうにん前まえから進すすめられていた[179][180]。

2013年ねん5月がつ7日にち、第だい2次じ安倍あべ内閣ないかくは東京とうきょう大だい空襲くうしゅうについての答弁とうべん書しょを閣議かくぎ決定けっていした[181]。答弁とうべん書しょでは、「国際こくさい法ほうの根底こんていにある基本きほん思想しそうの一ひとつたる人道じんどう主義しゅぎに合致がっちしない」点てんを強調きょうちょうする一方いっぽう、「当時とうじの国際こくさい法ほうに違反いはんして行おこなわれたとは言いい切きれない」とも指摘してきし、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくへの直接的ちょくせつてきな批判ひはんは事実じじつ上じょう避さけている[181]。

空襲くうしゅうの一覧いちらん

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1944年ねん

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11月

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12月

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1945年ねん

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1月がつ

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2月がつ

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3月がつ

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  • 1945年ねん3月がつ4日にち、豊島としま区く、滝野川たきのがわ区く、城東じょうとう区く、向島むこうじま区く、杉並すぎなみ区く、本郷ほんごう区く、葛飾かつしか区く、足立あだち区く、深川ふかがわ区く、荒川あらかわ区く、下谷しもたに区く、江戸川えどがわ区く、北多摩きたたま郡ぐん田無たなし町まち、保谷ほうや町まち、府中ふちゅう町まち、久留米くるめ村むら空襲くうしゅう。死者ししゃ650人にん、被害ひがい家屋かおく4085戸こ[26]。
  • 1945年ねん3月がつ5日にち、江戸川えどがわ区く、城東じょうとう区く、目黒めぐろ区く、蒲田かまた区く空襲くうしゅう。死者ししゃ2人にん[26]。
  • 1945年ねん3月がつ7日にち、八丈島はちじょうじま空襲くうしゅう、死者ししゃ1人にん[26]。
  • 1945年ねん3月がつ10日とおか、ミーティングハウス2号ごう作戦さくせん

(東京とうきょう大だい空襲くうしゅう・下町したまち空襲くうしゅう)。死者ししゃ10万まん人にん。負傷ふしょう者しゃ100万まん人にん。

 
1945年ねんの戸越とごし公園こうえん駅えき。空襲くうしゅうで周囲しゅういが焼やけ野原のはらと化かしている
  • 1945年ねん3月がつ14日にち、新島にいじま空襲くうしゅう、死者ししゃ7人にん[26]。
  • 1945年ねん3月がつ18日にち、浅草あさくさ区く空襲くうしゅう、死者ししゃ2人にん[26]。
  • 1945年ねん3月がつ30日にち、深川ふかがわ区く空襲くうしゅう、死者ししゃ6人にん[26]。
  • 1945年ねん3月がつ31日にち、四谷よつや区く、牛込うしごめ区く空襲くうしゅう、死者ししゃ19人にん[26]。

4月がつ

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  • 1945年ねん4月がつ1日にち、淀橋よどばし区く、豊島としま区く空襲くうしゅう、死者ししゃ17人にん[26]。
  • 1945年ねん4月がつ2日にち、北多摩きたたま郡ぐん武蔵野むさしの町まち、板橋いたばし区く、杉並すぎなみ区く空襲くうしゅう、死者ししゃ220人にん[26]。
  • 1945年ねん4月がつ4日にち、淀橋よどばし区く、下谷しもたに区く、芝しば区く、向島むこうじま区く、深川ふかがわ区く、品川しながわ区く、大森おおもり区く、荏原えばら区く、蒲田かまた区く、江戸川えどがわ区く、世田谷せたがや区く、立川たつかわ市し、北多摩きたたま郡ぐん府中ふちゅう町まち、武蔵野むさしの町まち、田無たなし町まち、東村山ひがしむらやま町まち、小平こだいら町まち、清瀬きよせ村むら、保谷ほうや村むら、久留米くるめ村むら、拝島はいじま村むら、村山むらやま村むら、国分寺こくぶんじ町まち、三鷹みたか町まち、昭和しょうわ町まち、南多摩みなみたま郡ぐん日野ひの町まち、加住かすみ村むら、川口かわぐち村むら、西多摩にしたま郡ぐん福生ふっさ村むら、西秋留にしあきる村むら空襲くうしゅう、死者ししゃ710人にん[26]。
  • 1945年ねん4月がつ7日にち、新島にいじま、杉並すぎなみ区く、四谷よつや区く、大森おおもり区く、蒲田かまた区く、板橋いたばし区く、世田谷せたがや区く、北多摩きたたま郡ぐん調布ちょうふ町まち、武蔵野むさしの町まち空襲くうしゅう。死者ししゃ44人にん[26]。
  • 1945年ねん4月がつ12日にち、杉並すぎなみ区く、板橋いたばし区く、荒川あらかわ区く、滝野川たきのがわ区く、北多摩きたたま郡ぐん武蔵野むさしの町まち、大和やまと村むら、保谷ほうや町まち、田無たなし町まち、南多摩みなみたま郡ぐん七生しちしょう町まち、新島にいじま、空襲くうしゅう。死者ししゃ94人にん[26]。
  • 1945年ねん4月がつ13日にち - 4月がつ14日にち、城北しろきた大だい空襲くうしゅう[183]。B29は330機き。神田かんだ区く、豊島としま区く・渋谷しぶや区く・向島むこうじま区く・深川ふかがわ区く、淀橋よどばし区く、小石川こいしかわ区く、四谷よつや区く、麹こうじ町まち区く、滝野川たきのがわ区く、赤坂あかさか区く、牛込うしごめ区く、荒川あらかわ区く、板橋いたばし区く、中野なかの区く、王子おうじ区く（現在げんざいの北きた区く北部ほくぶ）、足立あだち区く、本郷ほんごう区く、下谷しもたに区く、葛飾かつしか区く、日本橋にほんばし区く、杉並すぎなみ区く、江戸川えどがわ区く、城東じょうとう区く、浅草あさくさ区く空襲くうしゅう。死者ししゃ2459人にん、焼失しょうしつ17万まん1370戸こ[26]。宮城みやぎ御所ごしょも被害ひがいにあう[28]。
  • 1945年ねん4月がつ15日にち - 4月がつ16日にち、八丈島はちじょうじま、荏原えばら区く、大森おおもり区く、品川しながわ区く、目黒めぐろ区く、蒲田かまた区く、芝しば区く、麻布あざぶ区く、世田谷せたがや区く、渋谷しぶや区く、向島むこうじま区く、日本橋にほんばし区く、江戸川えどがわ区く空襲くうしゅう[26]。B29・202機き。死者ししゃ841名めい。焼失しょうしつ5万まん874戸こ[26]。主しゅとして羽田はた・大森おおもり・荏原えばら・蒲田かまた方面ほうめん。隣接りんせつしている川崎かわさき市しも同時どうじに空襲くうしゅうを受うけた（城南じょうなん京浜けいひん大だい空襲くうしゅう）。空襲くうしゅう・機銃きじゅう掃射そうしゃを受うけ死傷ししょう者しゃ4004人にん、約やく22万まん戸こもの家屋かおくを焼失しょうしつした。
  • 1945年ねん4月がつ18日にち、北多摩きたたま郡ぐん府中ふちゅう町まち空襲くうしゅう[26]
  • 1945年ねん4月がつ19日にち、荏原えばら区く、目黒めぐろ区く、大森おおもり区く、渋谷しぶや区く、杉並すぎなみ区く、世田谷せたがや区く、立川たつかわ市し、北多摩きたたま郡ぐん府中ふちゅう町まち、昭和しょうわ町まち、大和やまと村むら、三鷹みたか町まち、小平こだいら町まち空襲くうしゅう。死者ししゃ8人にん[26]。
  • 1945年ねん4月がつ24日にち、立川たつかわ市し、北多摩きたたま郡ぐん大和やまと村むら、砂川いさがわ村むら、小平こだいら町まち、東村山ひがしむらやま町まち、昭和しょうわ町まち、西多摩にしたま郡ぐん三田みた村むら、古里こざと村むら空襲くうしゅう。死者ししゃ246人にん[26]。
  • 1945年ねん4月がつ25日にち、北多摩きたたま郡ぐん砂川いさがわ村むら空襲くうしゅう[26]
  • 1945年ねん4月がつ28日にち - 4月がつ29日にち、北多摩きたたま郡ぐん昭和しょうわ町まち空襲くうしゅう[26]
  • 1945年ねん4月がつ30日にち、立川たつかわ市し、北多摩きたたま郡ぐん昭和しょうわ町まち、大和やまと村むら、南多摩みなみたま郡ぐん由井ゆい村むら、神津島こうづしま空襲くうしゅう[26]

5月

編集へんしゅう
 
1945年ねん5月がつ25日にちの空襲くうしゅうで焼失しょうしつした明治めいじ宮殿きゅうでん
 
明治めいじ宮殿きゅうでん豊明とよあき殿どの。跡地あとちには1968年ねん現在げんざいの宮殿きゅうでんが建設けんせつされた。
 
1945年ねん5月がつ25日にちの空襲くうしゅうを受うけた東京とうきょう駅えき
 
東京とうきょう駅えきのプラットホームの屋根やねも焼失しょうしつした。
  • 1945年ねん5月がつ1日にち、八丈島はちじょうじま、三宅島みやけじま空襲くうしゅう[26]
  • 1945年ねん5月がつ7日にち、足立あだち区く、王子おうじ区く空襲くうしゅう[26]
  • 1945年ねん5月がつ12日にち、足立あだち区く空襲くうしゅう。死者ししゃ3人にん[26]。
  • 1945年ねん5月がつ19日にち、浅草あさくさ区く、荒川あらかわ区く、向島むこうじま区く空襲くうしゅう。死者ししゃ10人にん[26]。
  • 1945年ねん5月がつ20日はつか、東京とうきょう湾わん羽田はた沖おき
  • 1945年ねん5月がつ23日にち、浅草あさくさ区く、麻布あざぶ区く
  • 1945年ねん5月がつ24日にち、B29・525機き。死者ししゃ762名めい。焼失しょうしつ6万まん5千せん戸こ。主しゅとして麹こうじ町まち・麻布まふ・牛込うしごめ・本郷ほんごう方面ほうめん。日本橋にほんばし区く、浅草あさくさ区く、麹こうじ町まち区く、麻布あざぶ区く、牛込うしごめ区く、本郷ほんごう区く、品川しながわ区く、中野なかの区く、板橋いたばし区く、四谷よつや区く、江戸川えどがわ区く、京橋きょうばし区く、豊島としま区く、蒲田かまた区く、荏原えばら区く、渋谷しぶや区く、杉並すぎなみ区く、赤坂あかさか区く、世田谷せたがや区く、目黒めぐろ区く、芝しば区く、大森おおもり区く、淀橋よどばし区く空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ762人にん、被害ひがい家屋かおく64,487戸こ[26]。
  • 1945年ねん5月がつ25日にち、山やまの手てに470機きものB29が来襲らいしゅう（山やまの手て大だい空襲くうしゅう）。死者ししゃ3651名めい。焼失しょうしつ16万まん6千せん戸こ。主しゅとして中野なかの・四谷よつや・牛込うしごめ・麹こうじ町まち・赤坂あかさか・麻布あざぶ、芝しば、世田谷せたがや、渋谷しぶや区く、青山あおやま通どおり方面ほうめん。目黒めぐろ区く、杉並すぎなみ区く、小石川こいしかわ区く、本郷ほんごう区く、大森おおもり区く、品川しながわ区く、城東じょうとう区く、深川ふかがわ区く、浅草あさくさ区く、葛飾かつしか区く、荒川あらかわ区く、江戸川えどがわ区く、滝野川たきのがわ区く、下谷しもたに区く、京橋きょうばし区く、淀橋よどばし区く、足立あだち区く、神田かんだ区く、荏原えばら区く、豊島としま区く、日本橋にほんばし区く、王子おうじ区く、板橋いたばし区く、向島むこうじま区く、立川たつかわ市し、北多摩きたたま郡ぐん国分寺こくぶんじ町まち、調布ちょうふ町まち、三鷹みたか町まち、田無たなし町まち、小平こだいら町まち、谷保やほ村むら、昭和しょうわ町まち、砂川いさがわ村むら、村山むらやま村むら、狛江こまえ村むら、多磨たま村むら、南多摩みなみたま郡ぐん町田まちだ町まち、忠生ただお村むら、鶴川つるかわ村むら、稲城いなぎ村むら、浅川あさがわ町まち、西多摩にしたま郡ぐん大久野おおぐの村むら、平井ひらい村むら、西多摩にしたま村むら、瑞穂みずほ町まち、調布ちょうふ村むら空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ3242人にん、被害ひがい家屋かおく156,430戸こ[26]。国会こっかい議事堂ぎじどう周辺しゅうへんや東京とうきょう駅えき、皇居こうきょも被災ひさいし明治めいじ宮殿きゅうでんが焼失しょうしつした[28]。御ご文庫ぶんこに避難ひなんしていた昭和しょうわ天皇てんのうと香こう淳じゅん皇后こうごうは無事ぶじだった。死傷ししょう者しゃは7415人にん[要よう出典しゅってん]となった。また東京とうきょう陸軍りくぐん刑務所けいむしょに収容しゅうようされていた62人にんのアメリカ人じん捕虜ほりょが焼死しょうしした（東京とうきょう陸軍りくぐん刑務所けいむしょ飛行ひこう士し焼死しょうし事件じけん）。
  • 1945年ねん5月がつ29日にち、大森おおもり区く、蒲田かまた区く、芝しば区く、品川しながわ区く、目黒めぐろ区く、四谷よつや区く、牛込うしごめ区く空襲くうしゅうで死者ししゃ41人にん[26]。
  • 1945年ねん5月がつ31日にち、大島おおしま空襲くうしゅう[26]

6月がつ

編集へんしゅう
  • 1945年ねん6月がつ5日にち、新島にいじま空襲くうしゅう[26]。6月9日にち、八丈島はちじょうじま空襲くうしゅう[26]。
  • 1945年ねん6月がつ10日とおか、板橋いたばし区く、立川たつかわ市し、北多摩きたたま郡ぐん大和やまと村むら、村山むらやま村むら、国分寺こくぶんじ町まち空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ291人にん[26]。同日どうじつの八丈島はちじょうじま空襲くうしゅうでは死者ししゃ2人にん[26]。
  • 1945年ねん6月がつ11日にち、杉並すぎなみ区く、世田谷せたがや区く、北多摩きたたま郡ぐん昭和しょうわ町まち、大和やまと村むら、八王子はちおうじ市し、西多摩にしたま郡ぐん西多摩にしたま村むら空襲くうしゅう[26]。
  • 1945年ねん6月がつ12日にち、6月15日にち神津島こうづしま空襲くうしゅう、6月19日にち神津島こうづしまと式根島しきねじま空襲くうしゅう[26]。
  • 1945年ねん6月がつ20日はつか、八丈島はちじょうじま空襲くうしゅう[26]

7月がつ

編集へんしゅう
  • 1945年ねん7月がつ1日にち（死者ししゃ5人にん）、7月がつ3日にち、7月がつ5日にち（死者ししゃ3人にん）、八丈島はちじょうじま空襲くうしゅう[26]。
  • 1945年ねん7月がつ6日にち、八王子はちおうじ市し、南多摩みなみたま郡ぐん加住かすみ村むら、元もと八王子はちおうじ村むら、北多摩きたたま郡ぐん村山むらやま村むら空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ4人にん[26]。
  • 1945年ねん7月がつ8日にち、板橋いたばし区く、立川たつかわ市し、北多摩きたたま郡ぐん久留米くるめ村むら、保谷ほうや村むら、昭和しょうわ町まち、谷保やほ村むら、南多摩みなみたま郡ぐん元もと八王子はちおうじ村むら、浅川あさがわ町まち空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ4人にん[26]。
  • 1945年ねん7月がつ9日にち、北多摩きたたま郡ぐん空襲くうしゅう[26]
  • 1945年ねん7月がつ10日とおか、下谷しもたに区く、板橋いたばし区く、立川たつかわ市し、北多摩きたたま郡ぐん東村山ひがしむらやま町まち、多磨たま村むら、調布ちょうふ町まち、西多摩にしたま郡ぐん福生ふっさ町まち、新島にいじま空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ6人にん[26]。
  • 1945年ねん7月がつ12日にち-7月がつ13日にち、蒲田かまた区く空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ16人にん[26]。
  • 1945年ねん7月がつ13日にち、新島にいじま空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ2人にん[26]。
  • （1945年ねん7月がつ16日にち、米国べいこくニューメキシコで最初さいしょの核かく実験じっけん成功せいこう[184]）
  • 1945年ねん7月がつ19日にち、江戸川えどがわ区く、新島にいじま空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ1人にん[26]。
  • 1945年ねん7月がつ20日はつか、東京とうきょう駅えき東側ひがしがわ空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ1人にん[26]。
  • 1945年ねん7月がつ27日にち、新島にいじま空襲くうしゅう[26]
  • 1945年ねん7月がつ28日にち、板橋いたばし区く、渋谷しぶや区く、城東じょうとう区く、三鷹みたか町まち、南多摩みなみたま郡ぐん横山よこやま村むら、元もと八王子はちおうじ村むら、西多摩にしたま郡ぐん西秋留にしあきる村むら、東秋留ひがしあきる村むら、霞かすみ村むら空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ4人にん[26]。
  • 1945年ねん7月がつ29日にち、北多摩きたたま郡ぐん保谷ほうや村むら空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ3人にん[26]。
  • 1945年ねん7月がつ30日にち、西多摩にしたま郡ぐん西秋留にしあきる村むら、新島にいじま空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ1人にん[26]。

8月がつ

編集へんしゅう
  • 1945年ねん8月がつ1日にち-8月がつ2日にち、八王子はちおうじ空襲くうしゅう B29・169機き。死者ししゃ225[26] - 473人にん[185]。焼失しょうしつ家屋かおく14,147戸こ[26]。八王子はちおうじ市し、立川たつかわ市し、北多摩きたたま郡ぐん昭和しょうわ町まち、砂川いさがわ村むら、西多摩にしたま郡ぐん福生ふっさ町まち、南多摩みなみたま郡ぐん日野ひの町まち、浅川あさがわ町まち、横山よこやま村むら、元もと八王子はちおうじ村むら、川口かわぐち村むら、恩おん方かた村むら、由井ゆい村むら、江戸川えどがわ区く空襲くうしゅう[26]。
  • 1945年ねん8月がつ3日にち、杉並すぎなみ区く、滝野川たきのがわ区く、王子おうじ区く、板橋いたばし区く空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ2人にん[26]。
  • 1945年ねん8月がつ5日にち、八王子はちおうじ空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ52人にん[26]。P-51戦闘せんとう機きが新宿しんじゅく発はつ長野ながの行いきの下くだり419列車れっしゃに機銃きじゅう掃射そうしゃをかけ、多数たすうの被害ひがい者しゃが出でた湯ゆの花はなトンネル列車れっしゃ銃撃じゅうげき事件じけんが発生はっせい。
  • 1945年ねん8月がつ7日にち、大島おおしま空襲くうしゅう[26]
  • 1945年ねん8月がつ8日にち、足立あだち区く、板橋いたばし区く、北多摩きたたま郡ぐん武蔵野むさしの町まち、新島にいじま空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ72人にん[26]。
  • 1945年ねん8月がつ10日とおか、板橋いたばし区く、王子おうじ区く、滝野川たきのがわ区く、足立あだち区く、西多摩にしたま郡ぐん霞かすみ村むら、多た西村にしむら空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ195人にん[26]。
  • 1945年ねん8月がつ13日にち、京橋きょうばし区く、蒲田かまた区く、大森おおもり区く、品川しながわ区く、荏原えばら区く、芝しば区く、下谷しもたに区く空襲くうしゅう[26]。死者ししゃ29人にん[26]。
  • 1945年ねん8月がつ15日にち、西多摩にしたま郡ぐん青梅おうめ町まち空襲くうしゅう[26]

被害ひがい

編集へんしゅう

死傷ししょう者しゃ数すう

編集へんしゅう

空襲くうしゅうによる被害ひがい者しゃの総数そうすうは不明ふめいであるが、1995年ねんの東京とうきょう新聞しんぶん調査ちょうさでは全国ぜんこくで55万まん9197人にん、東京とうきょうで11万まん6959人にんであった[170]。8万まん3793名めいが死亡しぼうしたとする説せつもある[186][187]。

死亡しぼうした著名ちょめい人じん

編集へんしゅう
 
1945年ねん5月がつ25日にちの空襲くうしゅうで焼失しょうしつした東京とうきょう府ふ庁舎ちょうしゃ（1930年代ねんだい）。妻木つまき頼よりゆき黄き設計せっけいで1894年ねん完工かんこう。
 
空襲くうしゅうで焼失しょうしつした大日本帝国だいにっぽんていこく陸軍りくぐん参謀さんぼう本部ほんぶ（明治めいじ末期まっき撮影さつえい

† 行方ゆくえ不明ふめい（死亡しぼう認定にんてい）

建造けんぞう物ぶつ

編集へんしゅう
 
1945年ねん5月がつ25日にちの空襲くうしゅうで焼失しょうしつした東京とうきょう駅えきの全景ぜんけい（1945年ねん撮影さつえい）
御所ごしょ・御殿ごてん
  • 宮城みやぎ（1945年ねん4月がつ13日にち空襲くうしゅう[28]）
  • 賢所かしこどころ参集さんしゅう所しょ（1945年ねん4月がつ13日にち空襲くうしゅうで焼失しょうしつ[28]）
  • 賢所かしこどころ仮かり殿どの（1945年ねん4月がつ13日にち空襲くうしゅうで焼失しょうしつ[28]）
  • 御羽車おはぐるま舎しゃ（1945年ねん4月がつ13日にち空襲くうしゅうで焼失しょうしつ[28]）
  • 進すすむ修おさむ館かん（1945年ねん4月がつ13日にち空襲くうしゅうで焼失しょうしつ[28]）
  • 明治めいじ宮殿きゅうでん（1945年ねん5月がつ25日にち空襲くうしゅう[28]）
  • 主しゅ馬うま寮りょう厩うまや仕合じあい宿所しゅくしょ（1945年ねん2月がつ25日にち空襲くうしゅう[28]）
  • 赤坂あかさか御ご用地ようち内うちにある各かく宮みや邸てい
  • 大宮おおみや御所ごしょ（1945年ねん2月がつ25日にち、5月25日にち空襲くうしゅう[28]）
  • 秩父宮ちちぶのみや御殿ごてん（1945年ねん2月がつ25日にち、5月25日にち空襲くうしゅう[28]）
  • 東宮御所とうぐうごしょ（1945年ねん5月がつ25日にち空襲くうしゅう[28]）
  • 青山あおやま御殿ごてん（1945年ねん5月がつ25日にち空襲くうしゅう[28]）
  • 三笠みかさ宮みや御殿ごてん（1945年ねん5月がつ25日にち空襲くうしゅう[28]）
  • 伏見ふしみ宮みや御殿ごてん（1945年ねん5月がつ25日にち空襲くうしゅう[28]）
  • 閑院宮みや御殿ごてん（1945年ねん5月がつ25日にち空襲くうしゅう[28]）
  • 梨本なしもと宮みや御殿ごてん（1945年ねん5月がつ25日にち空襲くうしゅう[28]）
  • 霞ヶ関かすみがせき離宮りきゅう（1945年ねん5月がつ25日にち空襲くうしゅう[28]）
官公かんこう署しょ
鉄道てつどう施設しせつ
宗教しゅうきょう施設しせつ
 
空襲くうしゅうで焼失しょうしつした徳川とくがわ家継いえつぐ霊廟れいびょう有ゆう章しょう院いん霊廟れいびょう

東京とうきょう都内とない神社じんじゃ236〜326社しゃが被災ひさいしたとされる[189]。

教育きょういく・研究けんきゅう施設しせつ
 
空襲くうしゅうで全焼ぜんしょうした東京文理科大とうきょうぶんりかだい学がく
 
1945年ねん5月がつ25日にちの空襲くうしゅうで焼失しょうしつした慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく三田みた大だい講堂こうどう
 
1945年ねん5月がつ25日にちの空襲くうしゅうで全焼ぜんしょうした法政大学ほうせいだいがく旧きゅう第だい一いち校舎こうしゃ
医療いりょう施設しせつ
文化ぶんか的てき建造けんぞう物ぶつ等とう
 
5月25日にちの空襲くうしゅうで焼失しょうしつした歌舞伎座かぶきざ

美術びじゅつ工芸こうげい

編集へんしゅう
 
空襲くうしゅうで焼失しょうしつした戦国せんごく時代じだいに大名だいみょう結城ゆうき晴朝はるともが作つくらせた御ご手杵てきね(復元ふくげん)。全長ぜんちょう約やく3.8m、重量じゅうりょうは6貫ぬき (22.5kg) あったという。

戦災せんさいで焼失しょうしつしたものは国くにの指定してい文化財ぶんかざいだけでも170点てんに上のぼる[206]。

空襲くうしゅうを免まぬかれた地区ちく

編集へんしゅう

東京とうきょうの市街地しがいちでも空襲くうしゅうを免まぬかれた区域くいきがある（上うえ図ず「戦災せんさい概況がいきょう図ず」参照さんしょう[1]）。周囲しゅういが空襲くうしゅうで甚大じんだいな被害ひがいを受うけながらも奇跡きせき的てきに延焼えんしょうを免まぬかれた地域ちいきとしては、神田かんだ区く須田すだ町まち（現在げんざいの千代田ちよだ区く神田須田かんだすだ町まち）や向島むこうじま区く（現在げんざいの墨田すみだ区く京島きょうじま）が挙あげられる。須田すだ町まちでは神田かんだ川がわが、向島むこうじま区くでは東武とうぶ亀戸線かめいどせん沿ぞいを流ながれていた小川おがわがそれぞれ防火ぼうか線せんとなり、住民じゅうみんが川かわの泥どろや豆腐とうふなどを投とうじてまで懸命けんめいな防火ぼうか活動かつどうにあたったことから、被害ひがいを免まぬかれた。またこの地区ちくにも焼夷弾しょういだんが落おちたが、空中くうちゅうで分解ぶんかいされずにそのまま落下らっかしたため不発ふはつ弾だんとなって軟弱なんじゃくな土中どちゅうに深ふかく埋うまってしまい[注ちゅう 4]、そのため亀戸線かめいどせんで限かぎられた地域ちいきが焼やけ残のこった。この両りょう地域ちいきは空襲くうしゅう以前いぜんにも関東大震災かんとうだいしんさいの際さいにも延焼えんしょうを免まぬかれ、ほぼ大正たいしょう初期しょきの路地ろじ構成こうせいや建物たてものの面影おもかげを今いまに残のこす、下町したまち一帯いったいの中なかでは希有けうな地域ちいきである。ただし、「生いき残のこった」ことにより、自動車じどうしゃも通とおれない明治めいじ大正たいしょう期きの極ごく狭せま路地ろじが迷路めいろのように走はしる同どう地帯ちたいは、現在げんざいでは防災ぼうさい面めんで深刻しんこくな問題もんだいのある地域ちいきとして懸念けねんされ、現在げんざいに至いたるまでさまざまな防災ぼうさいに関かんするまちづくり、取とり組くみが行おこなわれているが[207]、自動車じどうしゃが通とおれないがゆえに重大じゅうだいな交通こうつう事故じこの発生はっせいを大幅おおはばに防ふせぐことができているという実態じったいもある。中央ちゅうおう区くの佃つくだ島とう・月島つきしま地区ちくも晴海はるみ運河うんがが延焼えんしょうを食くい止とめたことから戦火せんかを免まぬかれ、現在げんざいも戦前せんぜんからの古ふるい木造もくぞう長屋ながやが残のこっている。3月10日にちの下町したまち空襲くうしゅうで壊滅かいめつ状態じょうたいとなった対岸たいがん部ぶの深川ふかがわ区く（現在げんざいの江東こうとう区く）とは、明暗めいあんが分わかれた形かたちとなった。

丸まるの内うち・有楽町ゆうらくちょう付近ふきんでは東京とうきょう府庁ふちょうと東京とうきょう駅えきが空襲くうしゅうを受うけ全ぜん半壊はんかいしたものの、内堀うちぼり通どおり一帯いったいの第一生命だいいちせいめい館かんや明治生命めいじせいめい館かんなどが立たち並ならんでいた界隈かいわいは空襲くうしゅうを免まぬかれている。これは、占領せんりょう後ごの軍ぐん施設しせつに使用しようすることを想定そうていしていたと言いわれている。宮城みやぎは対象たいしょうから外はずされていたが、5月25日にちの空襲くうしゅうでは類焼るいしょう[要よう出典しゅってん]により明治めいじ宮殿きゅうでんが炎上えんじょうした。このため、松平まつだいら恒雄つねお宮内みやうち大臣だいじんが責任せきにんを取とって辞任じにんしている。

東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく付近ふきんはロックフェラー財団ざいだんの寄付きふで建たてられた図書館としょかんがあったことから空襲くうしゅうの被害ひがいは軽微けいびだったが、懐ふところ徳とく館かんを焼失しょうしつしている。

また築地つきじや神田かんだ神保じんぼう町まち一帯いったいが空襲くうしゅうされなかったのも、アメリカ聖せい公会こうかいの建たてた聖路加国際病院せいるかこくさいびょういんや救世きゅうせい軍ぐん本営ほんえい[要よう出典しゅってん]があったからとも言いわれるが定さだかではない。築地つきじには木村きむら屋や總そう本店ほんてんのパン工場こうじょうがあり、戦後せんごの占領せんりょう・駐留ちゅうりゅうを見越みこして、食糧しょくりょう調達ちょうたつのため爆ばく撃げきの対象たいしょうから外はずしたとされる[208]。神保じんぼう町まちを空襲くうしゅうしなかった理由りゆうに古書こしょ店てん街がいの蔵書ぞうしょの焼失しょうしつを恐おそれたためという俗説ぞくせつもあるが、アメリカ軍ぐんは5月14日にちの名古屋大なごやだい空襲くうしゅうで国宝こくほう名古屋なごや城じょうを焼やいたり、ドイツのドレスデン爆ばく撃げきなどで文化財ぶんかざいの破壊はかいを容赦ようしゃなく行いっていることから信憑しんぴょう性せいは低ひくい。なお、日本にっぽん正教会せいきょうかいのニコライ堂どう（東京とうきょう復活ふっかつ大だい聖堂せいどう）およびその関連かんれん施設しせつも空襲くうしゅうを免まぬかれ、現代げんだいに残のこっている。遺体いたいの収容しゅうよう場所ばしょが足たりなくなったことによる本郷ほんごうの町会ちょうかいの要請ようせいにより、大だい聖堂せいどうには一時いちじ的てきに遺体いたいが収容しゅうようされた[209]。

記録きろく

編集へんしゅう

3月がつ10日とおかの空襲くうしゅうの惨状さんじょうは、警視総監けいしそうかんより撮影さつえいの任務にんむを受うけた、警視庁けいしちょうの石川いしかわ光陽こうようによって、33枚まいの写真しゃしんが残のこされた（上うえの画像がぞう参照さんしょう）。それらは戦後せんご、連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれい官かん総そう司令しれい部ぶ (GHQ) からネガを引ひき渡わたすよう命令めいれいが下くだるが、石川いしかわはこれを拒否きょひし、ネガの代かわりにプリントを提出ていしゅつすることで追求ついきゅうを逃のがれる一方いっぽう、ネガを自宅じたくの庭にわに埋うめて守まもり保管ほかんしたという。この33枚まいの写真しゃしんは、東京とうきょう大だい空襲くうしゅうの悲惨ひさんさを伝つたえる貴重きちょうな資料しりょうとなっているが、石川いしかわ自身じしんは本当ほんとうはこのような写真しゃしんは撮とりたくないと言いっている。なお、石川いしかわはほかにも1942年ねんのドーリットル空襲くうしゅうから1945年ねん5月がつ25日にちの空襲くうしゅうまで記録きろく写真しゃしんを撮影さつえいしており、東京とうきょうの空襲くうしゅう全体ぜんたいでは撮影さつえい枚数まいすうは600枚まいを越こえる。

東京とうきょう都と江戸えど東京とうきょう博物館はくぶつかんやすみだ郷土きょうど文化ぶんか資料しりょう館かんには東京とうきょう大だい空襲くうしゅうに関かんする展示てんじがある。2001年ねん開館かいかんを目指めざして東京とうきょう都と平和へいわ祈念きねん館かんの建設けんせつも計画けいかくされたが、実現じつげんしていない。

東京とうきょう大だい空襲くうしゅうの描写びょうしゃが登場とうじょうする作品さくひん

編集へんしゅう
映像えいぞう
小説しょうせつ
ラジオドラマ
  • 君きみの名なは - 1952年ねんに放送ほうそうされたラジオドラマ、および、それを原作げんさくとした映画えいが、舞台ぶたい、テレビドラマ作品さくひん。序盤じょばんで東京とうきょう大だい空襲くうしゅうが起おこり、ヒロインの氏家うじいえ真知子まちこと後宮こうきゅう春樹はるきが出会であう。
映画えいが
テレビドラマ
  • 君きみの名なは - 1962年ねん、フジテレビ、詳細しょうさいは上記じょうきを参照さんしょう
  • 君きみの名なは - 1966年ねん、日本にほんテレビ、詳細しょうさいは上記じょうきを参照さんしょう
  • 君きみの名なは - 1976年ねん、NETテレビ、詳細しょうさいは上記じょうきを参照さんしょう
  • ガラスのうさぎ - 1980年ねん、NHK、詳細しょうさいは上記じょうきを参照さんしょう
  • 終おわりに見みた街まち - 1982年ねん、テレビ朝日てれびあさひ、詳細しょうさいは上記じょうきを参照さんしょう
  • NHK連続れんぞくテレビ小説しょうせつ
    • 君きみの名なは（1991年ねん放映ほうえい）- 詳細しょうさいは上記じょうきを参照さんしょう。
    • おしん 主人公しゅじんこうおしんの家いえは焼失しょうしつを免まぬかれるものの、工場こうじょうが焼失しょうしつ。その後ご満州まんしゅうから引ひき揚あげてきた家主やぬしによっておしん一家いっかは家いえを失うしなってしまう。
    • すずらん（1999年ねん放映ほうえい）- 萌もえが母親ははおや探さがしのため、生うまれ故郷こきょうを離はなれ上京じょうきょうするが、東京とうきょう大だい空襲くうしゅうに遭遇そうぐうする（その後ご、長男ちょうなん・光太郎こうたろうを連つれて、北海道ほっかいどうに疎開そかいする）。
    • 純情じゅんじょうきらり（2006年ねん放映ほうえい）- 劇げき中ちゅうで佳境かきょうに差さし掛かかった頃ころに東京とうきょう大だい空襲くうしゅうが起おこる。
    • おひさま（2011年ねん放映ほうえい）- 主人公しゅじんこうの親友しんゆうが東京とうきょう大だい空襲くうしゅうに罹災りさい、戦火せんかの中なかで命いのちの恩人おんじんに恋こいをするシーンが描えがかれている。
    • 花子はなことアン（2014年ねん放映ほうえい）- 第だい1話わ序盤じょばん及および第だい24週しゅう後半こうはんで、1945年ねん4月がつ15日にちの東京とうきょう大だい空襲くうしゅうに遭あい大森おおもりの自宅じたく兼けん印刷いんさつ会社かいしゃが焼失しょうしつ。
    • なつぞら（2019年ねん放映ほうえい） - 第だい1話わ序盤じょばんで主人公しゅじんこう・なつが母ははとともに東京とうきょう大だい空襲くうしゅうの戦火せんかから逃にげるも母ははとはぐれ、幼馴染おさななじみに導みちびかれて一緒いっしょに学校がっこうのプールに飛とび込こみ命拾いのちびろいしたシーンが、実写じっしゃとアニメで描えがかれている。
  • 終おわりに見みた街まち - 2005年ねん、テレビ朝日てれびあさひ、詳細しょうさいは上記じょうきを参照さんしょう
  • 東京とうきょう大だい空襲くうしゅう - 2008年ねん、日本にほんテレビ。監修かんしゅう海老名えびな香葉子かよこ。
  • 3月がつ10日とおか東京とうきょう大だい空襲くうしゅう 語かたられなかった33枚まいの真実しんじつ - 2008年ねん、TBS
  • オリンピックの身代金みのしろきん - 2013年ねん、テレビ朝日てれびあさひ、奥田おくだ英えい朗ろう原作げんさく。主人公しゅじんこうの落合おちあい昌夫まさおが15歳さいの時ときに、妹いもうとの有美ゆみと共ともに東京とうきょう大だい空襲くうしゅうに遭遇そうぐうし、母ははが亡なくなるという回想かいそう場面ばめんが存在そんざいする（ちなみにこのエピソードはドラマオリジナル要素ようそであり、原作げんさくでは落合おちあい昌夫まさおの過去かこについて言及げんきゅうされていない）。
  • 東京とうきょうが戦場せんじょうになった日ひ - 2014年ねん、NHK
アニメ
絵本えほん
漫画まんが

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 確認かくにんされた死者ししゃの遺体いたい数すうは約やく10万まん5400人にんである[2]。
  2. ^ 疎開そかいなどによる住民じゅうみん避難ひなんなどが始はじまる前まえの、1940年ねん時点じてんでの東京とうきょう市しの人口じんこうは約やく680万まん人にんである[3]。
  3. ^ 『昭和しょうわ37年ねん警視庁けいしちょう史し昭和しょうわ前編ぜんぺん』の記録きろくで、死者ししゃは8万まん4千せん人にんに及およんだとされる[8]。
  4. ^ 二に発はつが不発ふはつ弾だんとなったことは確実かくじつで、更さらに一発いっぱつが不発ふはつ弾だんとなったと言いわれているが確定かくてい的てきではない。

出典しゅってん

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  1. ^ a b “戦災せんさい概況がいきょう図ず東京とうきょう”. 2019年ねん9月がつ17日にち閲覧えつらん。
  2. ^ “東京とうきょう大だい空襲くうしゅうとは”. 東京とうきょう大だい空襲くうしゅう・戦災せんさい資料しりょうセンター. November 29, 2020閲覧えつらん。
  3. ^ “35区くの人口じんこう 1908年ねん~1945年ねん”. 東京とうきょう都と総務そうむ局きょく. November 29, 2020閲覧えつらん。
  4. ^ a b 水間みずま 2013, pp. 142–146.
  5. ^ 内田うちだ百閒ひゃっけん『東京とうきょう焼盡しょうじん』11 月がつ 24 日にち、12 月がつ 6 日にち分ぶん。筑摩書房ちくましょぼう〈ちくま文庫ぶんこ、内田うちだ百閒ひゃっけん集成しゅうせい 22〉、2004年ねん、19 ページ、23 ページ。
  6. ^ 奥住おくずみ善重よししげ・早乙女さおとめ勝元かつもと『東京とうきょうを爆撃ばくげきせよ - 作戦さくせん任務にんむ報告ほうこく書しょは語かたる - <三省堂さんせいどう新書しんしょ 157>』三省堂さんせいどう、1990年ねん6月がつ20日はつか 第だい1刷さつ発行はっこう、ISBN 4-385-43157-4、57頁ぺーじ。
  7. ^ Ronald Schaffer, Wings of Judgment - American Bombing in World War II, 1988, Oxford University Press, ISBN 0-19-505640-X (PBK.), p. 238, Report of Operations 10 March 1945 (LeMay to Commanding General Twentieth Air force, Apr.15, 1945), folder Meetinghouse 2, Mission 40, Tokyo Urban Area, RG 18, NA.
  8. ^ “東京とうきょう都とにおける戦災せんさいの状況じょうきょう（東京とうきょう）”. 総務そうむ省しょう. November 29, 2020閲覧えつらん。
  9. ^ 奥住おくずみ（1990年ねん）、58頁ぺーじ。
  10. ^ a b c d e f 内藤ないとう光博みつひろ 2009.
  11. ^ “Hellfire on Earth: Operation MEETINGHOUSE”. The National WWII Museum (2020年ねん3月がつ8日にち). 2021年ねん3月がつ8日にち閲覧えつらん。
  12. ^ a b c d “東京とうきょう大だい空襲くうしゅうとは”. 東京とうきょう大だい空襲くうしゅう・戦災せんさい資料しりょうセンター. 2023年ねん7月がつ15日にち閲覧えつらん。
  13. ^ a b c 今井いまい清一せいいち「戦略せんりゃく爆撃ばくげきと日本にっぽん」日本にっぽんペンクラブ 電子でんし文藝ぶんげい館かん編輯へんしゅう室しつ、2007年ねん。2014.10.27閲覧えつらん
  14. ^ E・バートレット・カー『戦略せんりゃく・東京とうきょう大空おおぞら爆ばく』 大谷おおや勲いさお訳やく、光人みつひと社しゃ、1994年ねん
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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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