(Translated by https://www.hiragana.jp/)
警防団 - Wikipedia

警防団けいぼうだん(けいぼうだん)とは、だい世界せかい大戦たいせん勃発ぼっぱつ直前ちょくぜん1939ねん昭和しょうわ14ねん)に「警防団けいぼうだんれい[1](1がつ25にち公布こうふ、4がつ1にち施行しこう)を根拠こんきょとして、おも空襲くうしゅうあるいは災害さいがいから市民しみんまもるためにつくられた団体だんたいである。警察けいさつおよび消防しょうぼう[注釈ちゅうしゃく 1]補助ほじょ組織そしきとしての任務にんむされていた[2]

陸軍りくぐん兵士へいし民間みんかんじんうつ警防団けいぼうだんいんくろえり人物じんぶつ)。階級かいきゅうあきら前列ぜんれつひだりより警防団けいぼうだんちょう班長はんちょうれつ部長ぶちょう、そのひだりおく警防けいぼういん(1945ねん9がつべい海軍かいぐん撮影さつえい

日本にっぽん敗戦はいせんともなって存在そんざい意義いぎうすくなったため1947ねん昭和しょうわ22ねん)に廃止はいしされ、消防しょうぼうだん改組かいそ移行いこうされた。

概要がいよう

編集へんしゅう

警防団けいぼうだん設立せつりつ以前いぜんには現在げんざい消防しょうぼうだん相当そうとうする「消防しょうぼうぐみ」という組織そしきがあり、水火すいか消防しょうぼう任務にんむになっていた。警防団けいぼうだんれい施行しこうともない、従来じゅうらいの「水火すいか消防しょうぼう[2]くわえ「防空ぼうくう監視かんし[2]、「警報けいほう発令はつれい」、「灯火ともしび管制かんせい[3]、「警戒けいかい警護けいご[2]、「交通こうつう整理せいり」、「被災ひさいしゃ応急おうきゅう救護きゅうご[3]、「どくガスたいする防護ぼうご」、「被災ひさいしゃ避難ひなんしょ管理かんり[3] ひとし役割やくわり追加ついかして改組かいそされた。

組織そしき階級かいきゅう

編集へんしゅう

警防団けいぼうだん原則げんそくとしてだん本部ほんぶかく分団ぶんだんはんという編成へんせいとすることとなっていたが、設置せっちけんしゃである地方ちほう長官ちょうかん現在げんざい知事ちじ)および設置せっち主体しゅたいである市町村しちょうそん監督かんとく指導しどうする府県警ふけんけい察部規模きぼにより編成へんせいには相当そうとう地域ちいきがあった。このため、「典型てんけいてき警防団けいぼうだん組織そしき編成へんせい」といったものを例示れいじすることは困難こんなんである[注釈ちゅうしゃく 2]

なお、警防団けいぼうだんれいによってさだめられた警防団けいぼうだんいん階級かいきゅう上位じょういからじゅん団長だんちょうふく団長だんちょう分団ぶんだんちょう部長ぶちょう班長はんちょう警防けいぼういんであったが、実際じっさいにはだん編成へんせいによりふく分団ぶんだんちょうふく部長ぶちょうふく班長はんちょうといった階級かいきゅうもうけられている場合ばあいもあった[4]。この場合ばあいふく分団ぶんだんちょう分団ぶんだんちょうふく部長ぶちょう部長ぶちょうふく班長はんちょう班長はんちょうおな階級かいきゅうあきら襟章えりしょう)をもちい、「ふく」の腕章わんしょう着用ちゃくようすることとされた[4]。また、分団ぶんだんちょう部長ぶちょう班長はんちょうかれず、団長だんちょうふく団長だんちょう以外いがい全員ぜんいん階級かいきゅう警防けいぼういんという場合ばあいもあった[5]

制服せいふく

編集へんしゅう

警防団けいぼうだん制服せいふくには甲種こうしゅ乙種おつしゅの2種類しゅるい制定せいていされていた。 

警防団けいぼうだんいんふくせい[6]によれば詳細しょうさい以下いかとおりである。

甲種こうしゅ制服せいふく帝国ていこく陸軍りくぐん軍服ぐんぷく折襟おりえりたて折襟おりえりぐんころもをモチーフにしたとおもわれるデザインであり、上衣うわぎはかまズボン)とも服地ふくじいろ茶褐色ちゃかっしょくカーキしょく)で上衣うわぎえり部分ぶぶんいろ黒色こくしょくむね物入ものいれ(ポケット)はプリーツぼたんぶたきの貼付ちょうふがたこし物入ものいれはぼたんぶたきのがた階級かいきゅうあきら独自どくじのデザインの襟章えりしょう上着うわぎ袖章そでしょうである(ただし、甲種こうしゅ制服せいふくのデザイン自体じたい警防団けいぼうだん前身ぜんしんである消防しょうぼうぐみ制服せいふくとも共通きょうつうてんおおく、消防しょうぼうぐみ制服せいふくを「国防こくぼうしょく」とばれたカーキしょくえて階級かいきゅうあきらとうのデザインを追加ついか変更へんこうしたとの見方みかたもできる[7])。えり階級かいきゅうあきらりょうわきにはだん本部ほんぶのある自治体じちたいめい徽章きしょうく。こしには上衣うわぎうえから幅広はばひろのベルトをめており、ベルトのバックル警防団けいぼうだん徽章きしょうはいっていた。はかま(ズボン)はたんはかま乗馬じょうばズボン)と長袴ながばかま(スラックス)の2種類しゅるい制帽せいぼう[注釈ちゅうしゃく 3]黒色こくしょく陸軍りくぐん戦闘帽せんとうぼうとほぼ同型どうけいもの警防団けいぼうだんのマークの帽章ぼうしょうく(ぼうぜん階級かいきゅう共通きょうつうのデザイン・材質ざいしつ階級かいきゅう役職やくしょくによる一切いっさいない)。また、制帽せいぼう従来じゅうらい消防しょうぼうぐみ制帽せいぼう(いわゆるかんぼう軍帽ぐんぼう同様どうようかた帽子ぼうし)の帽章ぼうしょうのみを警防団けいぼうだんものえたものや、制服せいふくおなじカーキしょく生地きじつくった制帽せいぼう警防団けいぼうだん帽章ぼうしょうけたもの着用ちゃくようしている実例じつれい当時とうじ写真しゃしんから確認かくにんできる[8]くつ規定きていでは黒色こくしょくかわせい短靴たんぐつであるが、実際じっさいには長靴ながぐつ地下足袋じかたびなども使用しようされた。また、ゲートル黒色こくしょくまたは濃紺のうこんしょくものである。

なお、甲種こうしゅ制服せいふく現存げんそんする実物じつぶつでは資源しげん不足ふそくからか濃緑こみどりしょくはい褐色かっしょくとう様々さまざまいろ雑多ざった材質ざいしつものられる。ポケットの形状けいじょうについても制式せいしきとはことなるれい散見さんけんされる[9]

乙種おつしゅ制服せいふく黒色こくしょく法被はっぴ股引ももひき腹掛はらがけであり、法被はっぴひだりえり背面はいめん警防団けいぼうだんめいれい:○○まち警防団けいぼうだん)、みぎえり職名しょくめい階級かいきゅう)を白色はくしょくすこととされていた。警防団けいぼうだんいん制服せいふく繊維せんい製品せいひん配給はいきゅう消費しょうひ統制とうせい規則きそく適応てきおうがいとされており、衣料いりょう切符きっぷなしで作製さくせい購入こうにゅう可能かのうとされていた[10]。しかし実際じっさいには前述ぜんじゅつとおせん時下じか物資ぶっし不足ふそくから作製さくせいおもうようにすすまなかった。

警防団けいぼうだんいん法的ほうてき身分みぶん

編集へんしゅう

現在げんざい消防しょうぼうだんいん地方ちほう公務員こうむいんほうにおいて特別とくべつしょく公務員こうむいん非常勤ひじょうきん公務員こうむいん)であるとの法的ほうてき身分みぶん明示めいじされているが、警防団けいぼうだんいん法的ほうてき身分みぶんについては警防団けいぼうだんれいとう明確めいかく規定きていがなかった。このため、私怨しえんから警防団けいぼうだんいん活動かつどう妨害ぼうがいしたもの公務こうむ執行しっこう妨害ぼうがい容疑ようぎ逮捕たいほ起訴きそされたが「警防団けいぼうだんいん公務員こうむいんであるとの法的ほうてき根拠こんきょがないので公務こうむ執行しっこう妨害ぼうがいには該当がいとうしない」としてあらそった裁判さいばんがある。この裁判さいばん最終さいしゅうてきに「警防団けいぼうだんいん公務員こうむいんであり、その職務しょくむ妨害ぼうがいすることは公務こうむ執行しっこう妨害ぼうがいである」との判決はんけつ確定かくていした。この判例はんれいにより警防団けいぼうだんいん法的ほうてき身分みぶんがはじめて明確めいかくなものとなった[11]

愛知あいちけん西尾にしお1962ねん昭和しょうわ37ねん)に消防しょうぼうだんかいだんし、水防すいぼうだん警防団けいぼうだん改編かいへんした。2だん同一どういつのものでありみず警防団けいぼうだんともばれる。

参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
  • 官報かんぽう だい3760ごう 昭和しょうわ14ねん7がつ19にち水曜日すいようび国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん所蔵しょぞう
  • 官報かんぽう だい4239ごう 昭和しょうわ16ねん5がつ3にち土曜日どようび国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん所蔵しょぞう
  • 株式会社かぶしきがいしゃ警防けいぼう通信つうしんしゃかんだい日本にっぽん警防けいぼう』(昭和しょうわ16ねん発行はっこう国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん所蔵しょぞう
  • 財団ざいだん法人ほうじんだい日本にっぽん警防けいぼう協会きょうかいかんだい日本にっぽん警防けいぼう各号かくごう国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん所蔵しょぞう
  • 太田おおた臨一ろう日本にっぽんふくせい ちゅうまき文化出版局ぶんかしゅっぱんきょく 1989ねん
  • 中田なかた忠夫ただお製作せいさく大日本帝国だいにっぽんていこく陸海りくかいぐん 軍装ぐんそう装備そうびしお書房しょぼう 1997ねん
  • 中田なかた忠夫ただお製作せいさく大日本帝国だいにっぽんていこく陸海りくかいぐん 軍装ぐんそう装備そうび2』
  • 日本赤十字社にほんせきじゅうじしゃかん赤十字せきじゅうじ条約じょうやくしゅう』 2005ねん
  • 近代きんだい消防しょうぼうしゃかんしんてい がんばれ消防しょうぼうだん!』 2006ねん

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく

編集へんしゅう
  1. ^ 戦前せんぜん日本にっぽん消防しょうぼう警察けいさついち部門ぶもんであった。
  2. ^ かく組織そしきなどが発行はっこうしている「警察けいさつ」・「消防しょうぼう」・「都道府県とどうふけん」・「市町村しちょうそん」などに断片だんぺんてき記述きじゅつられることがあるが、ぐん警察けいさつことなり全国ぜんこく組織そしき実際じっさい統括とうかつ指揮しきする官公庁かんこうちょうかったため、記録きろく資料しりょう自体じたいぐん警察けいさつ比較ひかくした場合ばあい絶対ぜったいすうすくない。
  3. ^ ふくせいではたんに「ぼう」とんでいるだけだが、いわゆる「りゃくぼう」のさだめはなく、「ぼう」が名実めいじつともに制帽せいぼうである。

出典しゅってん

編集へんしゅう
  1. ^ 昭和しょうわ14ねん1がつ24にちみことのりれいだい20ごう警防団けいぼうだんれい
  2. ^ a b c d 警防団けいぼうだんれいだい1じょう、および『だい日本にっぽん警防けいぼう昭和しょうわ15ねん4がつごう6-7ぺーじ
  3. ^ a b c 昭和しょうわ16ねん法律ほうりつだい91ごう防空ぼうくうほうだい1じょう
  4. ^ a b だい日本にっぽん警防けいぼう』116-118ぺーじによる
  5. ^ 警防団けいぼうだんれいだい5じょう参照さんしょう
  6. ^ 昭和しょうわ14ねん7がつ19にち内務省ないむしょう訓令くんれいだい12ごう警防団けいぼうだんいんふくせい
  7. ^ 日本にっぽんふくせい ちゅうまき』262-267ぺーじ参照さんしょう
  8. ^ 大日本帝国だいにっぽんていこく陸海りくかいぐん 軍装ぐんそう装備そうび2』216-217ぺーじ
  9. ^ 大日本帝国だいにっぽんていこく陸海りくかいぐん 軍装ぐんそう装備そうび』230-231ぺーじ参照さんしょう
  10. ^ だい日本にっぽん警防けいぼう昭和しょうわ17ねん4がつごう53ぺーじ参照さんしょう
  11. ^ だい日本にっぽん警防けいぼう昭和しょうわ15ねん5がつごう40-41ぺーじ参照さんしょう

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

外部がいぶリンク

編集へんしゅう