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帽子ぼうし

頭あたまにかぶる衣類いるいの一種いっしゅ
曖昧さ回避 NHKのテレビドラマについては「帽子ぼうし (テレビドラマ)」を、僧尼そうにが防寒ぼうかん用ようとして用もちいる襟巻えりまきについては「帽子ぼうし (衣ころも体たい)」を、刀かたなの切きっ先さきについては「日本にっぽん刀がたな#各部かくぶ名称めいしょう」をご覧らんください。

帽子ぼうし（ぼうし）は、防暑ぼうしょ、防寒ぼうかん、防砂ぼうさ、装飾そうしょくを主おもな目的もくてきとして頭あたまにかぶる衣類いるいの一種いっしゅ[1]。西洋せいよう化か以前いぜんは広義こうぎに布ぬのの被かぶり物もの、狭義きょうぎでは烏帽子えぼしの略語りゃくごであったが、西洋せいよう化かとともに多おおくの頭あたまにかぶる被かぶり物ものを帽子ぼうしと言いうようになった[1]。

概説がいせつ 編集へんしゅう

素材そざいには布ぬのや織お、皮革ひかくや毛皮けがわ、ゴムやプラスチックなどが用もちいられ、用途ようとに応おうじたさまざまな形状けいじょうがある。冠かんむりやターバン、ヘルメット、兜かぶと、カツラなどを帽子ぼうしに含ふくめるか否ひかについては議論ぎろんがある。

大だい分類ぶんるい
英語えいごの大分おおいた類るいのハットとキャップ

英語えいごでは、頭あたまに乗のせるものの総称そうしょうとしてハット（hat）、比較的ひかくてき柔やわらかい素材そざいで頭部とうぶにフィットする形状けいじょうのものをキャップ（cap）と呼よんでいる[2]。 ハットと呼よばれるものは一般いっぱんに装飾そうしょく的てきで全ぜん周しゅうにつば（ブリム）を持もつものが多おおいが、例外れいがいもあるため一概いちがいには言いえない。現代げんだいに使用しようされる実用じつよう的てきな帽子ぼうしの大半たいはんはキャップに分類ぶんるいされるが、習慣しゅうかん的てきにハットと呼よばれるものもあり、その境界きょうかいは曖昧あいまいである。

細こまかな種類しゅるい

帽子ぼうしの種類しゅるいは非常ひじょうに多おおいので、記事きじ末尾まつびの#種類しゅるいの節ふしに列挙れっきょする。

なお、帽子ぼうしは種類しゅるいごとに様々さまざまな呼よび方かたがあり、各かく言語げんごでも指さす範囲はんいが若干じゃっかんズレている場合ばあいもあるので、各かく名称めいしょうが具体ぐたい的てきに何なにを指さすかは、これらの呼よび方かたを理解りかいする必要ひつようがある。

歴史れきし 編集へんしゅう

世界せかい
帽子ぼうしの歴史れきしは、紀元前きげんぜん4000年ねんの古代こだいエジプトにまでさかのぼる[3][4]。


日本にっぽん
弥生やよい時代じだいの人物じんぶつ埴輪はにわに帽子ぼうし風ふうの装飾そうしょくがみられる[3][5]。『古事記こじき』『日本書紀にほんしょき』にも、冠かんむり・笠かさの表記ひょうきがみられる[3]。冠婚葬祭かんこんそうさいという語かたりにあるように、成人せいじん式しきに冠かんむりを身みに着つけ、死者ししゃは閻魔えんま大王だいおうと謁見えっけんする前まえに、中国ちゅうごくのしきたりにならって天てん冠かんむりを被こうむる[6]。
日本にっぽんでは、明治めいじ4年ねん8月がつ9日にち（1871年ねん9月23日にち）の散髪さんぱつ脱だつ刀かたな令れい（いわゆる断髪だんぱつ令れい）により髷まげを結ゆう男性だんせいが激減げきげんし、髷まげの代かわりとして帽子ぼうしが急速きゅうそくに普及ふきゅうし、外出がいしゅつ時じの冠かんむり帽ぼう率りつが100％近ちかい数字すうじとなった[4]。西洋せいよう式しきの帽子ぼうしは当初とうしょフランス語ふらんすごで「シャッポ[† 1]」「シャポー」（仏ふつ: chapeau[† 2]）などと呼よばれ、「和服わふくにシャッポ」というスタイルで男性だんせいを中心ちゅうしんに広ひろまった（後のちに洋服ようふくも普及ふきゅう）[4]。

用途ようと 編集へんしゅう

歴史れきし的てきには特定とくていの頭部とうぶの装身具そうしんぐは、その人物じんぶつの社会しゃかいでの立場たちばを示しめすこともある。

白しろいトックブランシェ（仏ふつ: Toque blanche、コック帽ぼう）[† 3]は、白しろい上下じょうげのシェフの制服せいふく（英えい: Chef's uniform）と共ともに一目いちもくで洋食ようしょくの料理人りょうりにんと認識にんしきされるアイテム[† 4]である。ベレー帽ぼうは画家がかを、麦藁むぎわら帽ぼうは夏なつや農村のうそんを連想れんそうさせるものである。

今日きょうでは特定とくていの帽子ぼうしを身みにつけるように求もとめられる状況じょうきょうは限かぎられている。代かわって、ファッションとして帽子ぼうしの必要ひつよう性せいが認識にんしきされるようになった。特定とくていの被こうむり方かたや、帽子ぼうしが所属しょぞくする地域ちいきやサブカルチャーを示しめす他ほか、擬似ぎじ的てきに制服せいふくに近ちかい意味合いみあいを持もつものもある。野球やきゅう帽ぼうは一般いっぱんに特定とくていチームへの支持しじを示しめすものだが、ヒップホップ、ストリートファッションのアイテムとしても多用たようされる。

帽子ぼうしと礼儀れいぎ 編集へんしゅう

近きん・現代げんだいヨーロッパ流りゅうの礼儀れいぎと帽子ぼうし
 
イギリス紳士しんし

19世紀せいきから20世紀せいきにかけて、山高やまたか帽ぼうが紳士しんしの礼装れいそうとして認識にんしきされていた。当時とうじのヨーロッパでは以下いかのように言いわれていたという[7]。

もしその人物じんぶつが家いえの中なかに入はいって来きて、帽子ぼうしを脱ぬぐようなら真しんの紳士しんし。
帽子ぼうしを脱ぬがないのなら紳士しんしのふりをしている男おとこ。
そして帽子ぼうしをかぶっていない人物じんぶつは、紳士しんしのふりをすることさえあきらめている男おとこ。

このエチケットは軍隊ぐんたいのそれに準じゅんじており、入隊にゅうたい教育きょういくの中なかで新兵しんぺいは帽子ぼうしの取とり扱あつかいについて、講義こうぎを受うける。軍隊ぐんたいでは戦闘せんとう中ちゅうでなければ、屋内おくないだけでなく艦船かんせんの中なかでも脱ぬいでいなくてはならない（逆ぎゃくに旧きゅうドイツ国防こくぼう軍ぐんの様ように、上官じょうかんに対面たいめんする時ときの無む帽ぼうは軍規ぐんき違反いはんになる軍隊ぐんたいもある）。また、敬礼けいれいの一ひとつとして帽子ぼうしを取とることがある（脱帽だつぼう、シャッポを脱ぬぐ）。

これ以外いがいの状況じょうきょうでは、葬式そうしきや国歌こっか斉唱せいしょう、食事しょくじなどが帽子ぼうしを脱ぬぐべき状況じょうきょうである。男性だんせいの挨拶あいさつとして帽子ぼうしに手てを当あて軽かるく前まえに傾かたむける・一瞬いっしゅんだけ持もち上あげ掲かかげるという方法ほうほうがある。女性じょせいの場合ばあい、帽子ぼうしは正装せいそうの一部いちぶと見み做されている為ためこの挨拶あいさつをする必要ひつようは無なく、小ちいさくお辞儀じぎをする・スカートをつまみ、右みぎ脚あしを引ひいて屈かがんで小ちいさく身みを沈しずめる（カーテシー）などで十分じゅうぶんである。日にち中ちゅう、女性じょせいは室内しつないでも食事しょくじの時ときも、帽子ぼうしをぬぐ必要ひつようはない。夜よるの行事ぎょうじでは、帽子ぼうしはかぶらない。ただし、夕刻ゆうこくのパーティーでは、カクテルハットをかぶる場合ばあいがある。

宗教しゅうきょう上じょうの礼儀れいぎや敬虔けいけんさと帽子ぼうし
 
ユダヤ教徒きょうとのキッパー（インドのシナゴーグにて）

ユダヤ教徒きょうとはタルムードにより独特どくとくのキッパーをかぶることが決きめられている。これはヤハウェの偉大いだいさ、人ひとの卑小ひしょうさ矮小わいしょうさを、被こうむる者ものに認識にんしきさせるためである。ユダヤ教きょう徒とはシナゴーグで帽子ぼうしを取とる必要ひつようはない。 またイスラム教いすらむきょう徒ともモスクで帽子ぼうしを取とる必要ひつようがない。いずれも神かみへの敬虔けいけんさを示しめす。 一方いっぽう、キリスト教きりすときょうの教会堂きょうかいどうでは、男性だんせいは帽子ぼうしを取とることが求もとめられる（が、女性じょせいは帽子ぼうしを取とらないのがむしろエチケット。ちなみに女性じょせいクリスチャンの一部いちぶは、伝統でんとうを重おもんじて教会堂きょうかいどうでは男性だんせいにあまり顔がおを見みせないようにヴェールを被こうむる場合ばあいもある。）。男性だんせいキリスト教徒きりすときょうとが帽子ぼうしを脱ぬぐのは膝ひざをつくことや頭あたまを下さげることと同おなじ意味いみで、やはり神かみに対たいする敬虔けいけんさからである。

古代こだい中国ちゅうごくの礼儀れいぎと冠かんむり

古代こだい中国ちゅうごくでは冠かんむりを被こうむることが礼儀れいぎであった。7世紀せいきに書かかれた『晋すすむ書しょ』には、南蛮なんばんの装束しょうぞくは被ひ髪かみ文身いれずみ（冠かんむりを被かぶらず、入いれ墨ずみをしている）ので野蛮やばんである[要よう出典しゅってん]という記述きじゅつがある[8]。儒教じゅきょうの経典きょうてん『礼れい記き』には、夫おっと礼れい、始はじめ于冠（礼れいは冠かんむりに始はじまる）という記述きじゅつがある[9]。

各部かくぶの名称めいしょう 編集へんしゅう

本体ほんたい 編集へんしゅう

クラウン
帽子ぼうしの山やまの部分ぶぶん
天てん（天井てんじょう、トップ）
クラウンの頭頂とうちょう部分ぶぶん。
天てん玉だま
天てんとジガミとの境さかいに入はいる玉たま縁えん縫込ぬいこみ。
天てん張ばり（パッキン）
天てんを整形せいけいするために天てんの端はしに一周いっしゅうする形かたちで入はいる細ほそい芯しん。主おもにプラスチック製せいか鉄てつ製せいで、学生がくせい帽ぼうなどでは入はいらないこともある。
腰こし（サイド）
クラウンの基部きぶ。制帽せいぼう・軍帽ぐんぼう・官かん帽ぼうなどでは「鉢巻はちまき」と呼よばれることもある。
ジガミ（マチ、ヨツ）
天てんと腰こしとをつなぐ部位ぶい。4枚まいの生地きじを縫ぬい合あわせて作つくる。
庇ひさし（鍔つば、ブリム）
日除ひよけ。野球やきゅう帽ぼうのように前部ぜんぶのみのものはバイザーと呼よぶ。

付属ふぞく部ぶ 編集へんしゅう

縁えん（へり）（帯おび・帽ぼう帯たい・周章しゅうしょう）
腰こしの上うえに巻まかれる帯おび布ぬの。蛇腹じゃばら、リボンなど。これが付つかずに腰こしのままとされることもある。
顎あご紐ひも（あごひも）
革かわ製せいが多おおいが布製ぬのせいやビニール製せい、ゴム製せいなどもある。
耳みみ章あきら
顎あご紐ひもを腰こしに留とめる付属ふぞく品ひん。主おもに金属きんぞく製せいで、無む装飾そうしょくの場合ばあいと、団体だんたいの徽章きしょうが入はいる場合ばあいがある。
帽章ぼうしょう
主おもに制帽せいぼうとして用もちいられる帽子ぼうしにつける徽章きしょう。

種類しゅるい 編集へんしゅう

Category:Hatsも参照さんしょう

宗教しゅうきょう 編集へんしゅう

儀礼ぎれい 編集へんしゅう

制帽せいぼう 編集へんしゅう

軍隊ぐんたい 編集へんしゅう

学校がっこう 編集へんしゅう

その他た 編集へんしゅう

スポーツ 編集へんしゅう

 
1955年ねんの服飾ふくしょく辞典じてんより

民族みんぞく衣装いしょう 編集へんしゅう

実用じつよう 編集へんしゅう

防寒ぼうかん 編集へんしゅう

防暑ぼうしょ 編集へんしゅう

ファッション 編集へんしゅう

 
1955年ねんの服飾ふくしょく辞典じてんの婦人ふじん用よう帽子ぼうし一覧いちらん。
1.ベレー帽ぼう　2.クローシェ　3.トロッター(チロリアンハット)　4.トーク帽ぼう　5.キャプリーヌ　6.キャノチエ
 
1955年ねんの服飾ふくしょく辞典じてんの婦人ふじん用よう帽子ぼうし一覧いちらん。
7.ブルトン　8.ボンネット　9.ボレロ(セーラー帽ぼう)　10.ターバン　11.カクテルハット（ヘッドドレス）

ヘルメット 編集へんしゅう

頭巾ずきん 編集へんしゅう

その他た・未み分類ぶんるい 編集へんしゅう

ギャラリー 編集へんしゅう

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく 編集へんしゅう

  1. ^ 「チャッポ」「シッポ」とも発音はつおん・表記ひょうきされる。現在げんざいでは死語しごに近ちかく、方言ほうげんと誤解ごかいされる場合ばあいもある。
  2. ^ フランス語ふらんすご発音はつおん: [ʃapo] シャポ。概おおむね英語えいごのhatに相当そうとうする。fr:Chapeau参照さんしょう。
  3. ^ トック=高たかい、ブランシェ=白しろ。18世紀せいきの名なシェフ、アントナン・カレームが山高やまたか帽ぼうから思おもいついたとの説せつあり）
  4. ^ トックブランシェには大体だいたい3段階だんかいの高たかさがあり、料理りょうり長ちょうクラスの40cm、普通ふつうのコックの30cm、そして見習みならいクラスの15cmで本来ほんらいは髪かみの毛けが料理りょうりに落おちるのを防ふせぐために被かぶられていたものが地位ちいの象徴しょうちょうとなった訳わけである。ただ規定きていがあるわけではなく、暗黙あんもくの了解りょうかいとして背せの高たかい帽子ぼうしが権威けんいづけられている。

出典しゅってん 編集へんしゅう

  1. ^ a b 字じ通どおり,世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん内ない言及げんきゅう, 精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん,百科ひゃっか事典じてんマイペディア,ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてん,デジタル大辞泉だいじせん,世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん 第だい２版はん,普及ふきゅう版ばん. “帽子ぼうしとは”. コトバンク. 2022年ねん5月がつ13日にち閲覧えつらん。
  2. ^ dictionary.com
  3. ^ a b c “｢帽子ぼうし｣の真実しんじつを一体いったいどれだけ知しっていますか”. 東洋とうよう経済けいざいオンライン (2016年ねん10月がつ16日にち). 2022年ねん5月がつ13日にち閲覧えつらん。
  4. ^ a b c 帽子ぼうしの変遷へんせん 繊維せんい製品せいひん消費しょうひ科か学会がっかい誌し Vol.41 (2000) No.6 p.519-528, doi:10.11419/senshoshi1960.41.519
  5. ^ 第だい２版はん,世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん内ない言及げんきゅう, ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてん,精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん,デジタル大辞泉だいじせん,百科ひゃっか事典じてんマイペディア,岩石がんせき学がく辞典じてん,世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん. “冠かんむりとは”. コトバンク. 2022年ねん5月がつ13日にち閲覧えつらん。
  6. ^ 国立こくりつ国会こっかい図書館としょかん. “死者ししゃや幽霊ゆうれいが額がくにつけている白しろい三角巾さんかくきんについて，名称めいしょうと意味いみを知しりたい。”. レファレンス協同きょうどうデータベース. 2022年ねん5月がつ13日にち閲覧えつらん。
  7. ^ ハットの予備よび知識ちしき（帽子ぼうし専門せんもん店てん・文ぶん二に郎ろう帽子ぼうし店てん）
  8. ^ 古代こだい・中ちゅう近世きんせい史し 総論そうろん サイト：外務省がいむしょう 日び中ちゅう歴史れきし共同きょうどう研究けんきゅう
  9. ^ “【12-02】中日ちゅうにち両国りょうこくの成人せいじん儀礼ぎれいに関かんする史話しわ”. spc.jst.go.jp. 2022年ねん5月がつ14日にち閲覧えつらん。

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

 
ウィキメディア・コモンズには、帽子ぼうしに関連かんれんするカテゴリがあります。
 
ウィクショナリーに関連かんれんの辞書じしょ項目こうもくがあります。
  • 鬘かずら（かつら）
  • 靴くつ
  • en:Hat brim
  • マルシェ・ド・シャポー 東京とうきょう・浅草橋あさくさばしで年とし2回かい開催かいさいされる帽子ぼうしの展示てんじ会かい。20名めい以上いじょうの若手わかて帽子ぼうし作家さっかが出展しゅってんする。
職業しょくぎょう
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