絹(きぬ, 英: Silk)は、カイコの繭からとった動物繊維である。カイコが体内で作り出すたんぱく質・フィブロインを主成分とするが、1個の繭から約800 - 1,200mとれるため、天然繊維の中では唯一の長繊維(フィラメント糸)である。独特の光沢と滑らかな質感を持ち、古来、衣類の材料(絹織物)などとして珍重されてきた。
カイコの繭を製糸し、引き出した極細の繭糸を数本揃えて繰糸の状態にしたままの絹糸を生糸(きいと)というが、これに対して生糸をアルカリ性の薬品(石鹸・灰汁・曹達など)で精練してセリシンという膠質成分を取り除き、光沢や柔軟さを富ませた絹糸を練糸(ねりいと)と呼ぶ。ただし、100%セリシンを取り除いたものは数%セリシンを残したものに比べ、光沢は著しく劣る。生糸は化学染料、練糸はいわゆる草木染めに向くが、歴史的に前者の手法が用いられ始めたのは19世紀(明治維新)以降であり、昔の文献や製品にあたる際には現在の絹織物とは別物に近い外観と性質をもつことに注意が必要である。また、養殖(養蚕)して作る家蚕絹と野生の繭を使う野蚕絹に分けられる。
- 家庭での洗濯が困難(水に弱いため)
- 汗によりしみになりやすい
- 変色しやすい
- 虫に食われやすい
- 日光で黄変する
- 値段が高い
絹の布をこすりあわせると「キュッキュッ」と音がする。これを「絹鳴り」という。繊維断面の形が三角形に近く、こすり合わせたとき繊維が引っかかりあうためで、凹凸のないナイロン繊維ではこの音はしない。
生糸の検査をおこなうために設けられた。
国立生糸検査所は、横浜および神戸にもうけられた。
輸出される生糸はかならず国立の検査所でその正量および品位の検査を受けなければならなかった。
検査の結果、「格付」がさだめられた。
内国使用の生糸は、請求があれば、検査された。
明治28年、横浜および神戸に創設され、生糸検査がおこなわれていたが、明治34年、神戸生糸検査所は閉鎖された。
昭和初年には輸出用生糸は大部分品位検査をへて取引されるようになり、昭和2年7月1日からは輸出生糸検査法が実施され、輸出生糸のすべてについて正量検査をおこない、昭和6年、輸出生糸検査法が改正され、7月1日からは生糸格付検査がおこなわれることになった。
福井、石川、京都3府県にも地方生糸検査所があり、神戸には市立検査所があって、昭和6年4月から国立になった。
- 江戸末期、前橋商人の活躍によって、日本産生糸はロンドン市場まで知られ、「まえばし」という名は地名としてより、日本産生糸のこととして捉えられた。この生糸による巨万の富を得た在地豪商は、「一加部、二佐羽、三鈴木」と呼ばれる[5]。
- ギリシアやローマでは、絹はセル(ser)、セリクム(sericum)と呼ばれ、中国は「絹の地、シルクの国」を意味するセリス(ギリシア語: σηρικός、中国語: 赛里斯)[6][7]、 セリカ(Serica)と呼ばれた[8]。
- ^ China, Record. “8500年前に絹織物を作っていた証拠、中国河北省で発見―中国メディア”. Record China. 2023年4月3日閲覧。
- ^ Gong, Yuxuan; Li, Li; Gong, Decai; Yin, Hao; Zhang, Juzhong (2016-12-12). Zhou, Fengfeng. ed. “Biomolecular Evidence of Silk from 8,500 Years Ago” (英語). PLOS ONE 11 (12): e0168042. doi:10.1371/journal.pone.0168042. ISSN 1932-6203. PMC 5152897. PMID 27941996. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0168042.
- ^ 昌司, 高野 (1998). “古代の織物技術”. 繊維機械学会誌 51 (2): 45–48. doi:10.4188/transjtmsj.51.2_45. https://doi.org/10.4188/transjtmsj.51.2_45.
- ^ 久米邦武 編『米欧回覧実記・4』田中彰 校注、岩波書店(岩波文庫)1996年、283,312,342頁
- ^ 『群馬の歴史』 群馬県歴史研究会編 1970年 pp.92 - 93
- ^ 『中国文化あれこれ』著:馮凌宇, 史衛民 訳:章輝夫 ISBN 780113818X p.44
- ^ “500年他者的中国梦--理论-人民网”. theory.people.com.cn. 2023年4月3日閲覧。
- ^ 「セレス(中国人)」。https://kotobank.jp/word/%E3%82%BB%E3%83%AC%E3%82%B9%EF%BC%88%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E4%BA%BA%EF%BC%89。コトバンクより2023年4月3日閲覧。
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