京都きょうと

京都きょうと（きょうと、みやこ、きょうのみやこ、英えい: Kyoto）は、日本にっぽんの地名ちめい、都市とし。794年ねん以降いこう日本にっぽんの首都しゅとであった平安京へいあんきょうが位置いちし、都ともしくは京きょうなどとも呼よばれていた。古ふるくから日本にっぽんの政治せいじ・文化ぶんかの中心ちゅうしん地ちとして栄さかえ、金閣寺きんかくじや清水寺きよみずでらをはじめとする文化財ぶんかざいが多おおく残のこる地域ちいきである。

新旧しんきゅう京都きょうとの象徴しょうちょう
（平安京へいあんきょう羅ら城門じょうもん模型もけいと京都きょうとタワー）

現在げんざい京都きょうとといえば、広義こうぎでは京都きょうと府ふを、狭義きょうぎではその府庁ふちょう所在地しょざいちたる自治体じちたいの京都きょうと市し、もしくはその中心ちゅうしん部ぶの地域ちいきを指さす。

名称めいしょう

「京都きょうと」の語かたりの由来ゆらい

東ひがしアジアでは古来こらい、歴史れきし的てきに「天子てんし様さまの住すむ都と」「首都しゅと」を意味いみする普通ふつう名詞めいしとして京きょう（きょう）、京師けいし（けいし）が多おおく使用しようされていた。西にし晋すすむ時代じだいに世よ宗むねの諱いみなである「師し」の文字もじを避さけて京都きょうと（けいと）というようになり、以後いごは京きょう、京師けいし、京都きょうとなどの呼よび名なが用もちいられた。

日本にっぽんでも飛鳥あすか京きょうや恭きょう仁ひとし京きょうなどが「京都きょうと」とも呼よばれた。平安京へいあんきょうを指さして日本にっぽんの文献ぶんけんで「京都きょうと」の語かたりが固有名詞こゆうめいしとして使つかわれる初出しょしゅつ（学術がくじゅつ的てきに存在そんざいが確認かくにんされている最古さいこの文献ぶんけん）は、永えい延のべ2年ねん（988年ねん）の『尾張おわり国こく郡司ぐんじ百姓ひゃくしょう等とう解かい』であるが、これ以後いごあまり用もちいられることはなく、平安へいあん時代じだい末期まっきに固有名詞こゆうめいしとして定着ていちゃくし、鎌倉かまくら時代じだい初頭しょとうにかけてその使用しようの頻度ひんどが増ます。なお平安京へいあんきょうは造みやつこ都と当時とうじは「北京ぺきん」とも呼よばれた。（なおこう呼よぶ場合ばあい、奈良ならの平城京へいじょうきょうのことを対比的たいひてきに「南京なんきん」と呼よんでおり、以後いご長ながらく奈良ならの代名詞だいめいしとしては「南都なんと」が多用たようされた。）

つまり、造みやつこ都と当時とうじは平安京へいあんきょうの普段ふだんの呼よび方かたが定さだまっていなかったのである。平安京へいあんきょうを「京都きょうと」と呼よぶことが定着ていちゃくしたのは平安へいあん時代じだい後期こうきからで、「京きょう」や「京師けいし」という呼よび名なも併用へいようされていた。その後ご、次第しだいに「京きょうの都と」（きょうのみやこ）、「京きょう」（きょう）、「京都きょうと」（きょうと）などが平安京へいあんきょうを指さすための固有名詞こゆうめいしのようになり定着ていちゃくしていった。

なお、「京きょう」の異体いたい字じ（俗字ぞくじ）である「亰」の字じは、 日本にっぽんでも「京きょう」と同様どうように古ふるくから用もちいられ、正せい倉くら院いん蔵くらの『雑ざつ集しゅう』には聖武天皇しょうむてんのうの筆ふでによる「平城ひらじろ亰」の用字ようじが見みえる。大阪おおさかでは、生國しょうごく魂たましい神社じんじゃの北門きたもん近ちかくに天保てんぽう15年ねん冬ふゆ10月がつの建立こんりゅうの「右みぎ亰道」の石碑せきひがある。京都きょうとでの用例ようれいとしては、京都大学きょうとだいがく東南とうなんアジア研究けんきゅうセンターの煉瓦れんが造づくりの壁面へきめんに「亰都織物おりもの會社かいしゃ」の石板せきばんが嵌はめこまれている。

「長安ながやす」「洛陽らくよう」「洛らく」という呼よび方かた

かつて京都きょうとに存在そんざいし、日本一にっぽんいちの高たかさを誇ほこっていた方広寺ほうこうじ大仏だいぶつ（京きょうの大仏だいぶつ）のスケッチ。方広寺ほうこうじ大仏だいぶつは洛陽らくよう大仏だいぶつ・洛らく東ひがし大仏だいぶつとも称しょうされていた。

「洛中らくちゅう」も参照さんしょう

平安京へいあんきょう（京都きょうと）は、古ふるく詩文しぶんにおいて中国ちゅうごく王朝おうちょうの都とに因ちなみ洛陽らくよう、長安ながやすなどとも呼よばれた。一説いっせつに、平安京へいあんきょうを東西とうざいに分割ぶんかつし、西側にしがわ（右京うきょう）を「長安ながやす」、東側ひがしがわ（左京さきょう）を「洛陽らくよう」と呼よんだという。これらの呼よび名なが定着ていちゃくした時期じきは明あきらかになっていない。また、命名めいめいの記録きろくもなく、これら「長安ながやす」「洛陽らくよう」が正式せいしき名称めいしょうであったとは考かんがえられず、文学ぶんがく上じょうの雅称がしょうであったとの指摘してきがある。「長安ながやす城じょう」という呼よび方かたは平安へいあん中期ちゅうきで一旦いったん姿すがたを消けし、再ふたたび現あらわれるのは鎌倉かまくら末期まっき以降いこう、『拾ひろえ芥あくた抄しょう』において洞ほら院いん公おおやけ賢けんが「東京とうきょう号ごう洛陽らくよう城じょう、西京にしぎょう号ごう長安ながやす城じょう」と付記ふきして以降いこうのことである。ところが、右京うきょうすなわち「長安ながやす」側がわは湿地しっち帯たいが多おおかったことなどから程ほどなく廃すたれ、市街地しがいちは実質じっしつ的てきに左京さきょうすなわち「洛陽らくよう」だけとなった。このため、「洛陽らくよう」とはすなわち京都きょうとを指さす言葉ことばになり、その一いち字じを採とって「洛らく」だけでも京都きょうとを意味いみすることになったとされる。「本朝ほんちょう文ぶん粋いき」に収おさめられた源順みなもとのしたごう（911 - 983）が書かいた漢詩かんしに平安京へいあんきょうを指さして「洛らく城じょう」と呼よぶ例れいが見みられる。これをもってして「洛らく」の一いち字じをもって京都きょうとを表あらわす慣習かんしゅうは早はやくから成立せいりつしていたと考かんがえられる。一説いっせつに、平安へいあん初期しょきの文学ぶんがくに現あらわれる洛陽らくよう、長安ながやすはそれぞれ左京さきょう、右京うきょうを指さしているとは考かんがえられず、ともに都と全体ぜんたいを指さしていると考かんがえられるところから、長安ながやすとも洛陽らくようとも呼よんでいたものが、のちに「洛陽らくよう」のみが使つかわれるようになったと考かんがえられるという。京きょう域内いきないを「洛中らくちゅう」と呼よび、京きょう域いき縁辺えんぺんを「洛外らくがい」、京都きょうと以外いがいから京都きょうとへ行いくことを上洛じょうらくと呼よんだ。特殊とくしゅな例れいではあるが「下しも洛らく」という呼よびかたも平家ひらか物語ものがたりに見みられる。これは山法師やまほうしが京きょう中ちゅうを侵おかすことを指さした。

「洛陽らくよう」という呼よび方かたは現在げんざいでも私立しりつ洛陽らくよう総合そうごう高等こうとう学校がっこうといった固有名詞こゆうめいしに残のこる。

「洛らく」のほうに関かんしては、現在げんざいでも京都きょうとに行いくあるいは来くること、すなわち京都きょうと入いりを「入洛にゅうらく」ということがある。 また今日きょうの「洛らく南みなみ」「洛らく北きた」「洛らく西にし」「洛らく東ひがし」などといった表現ひょうげんはいずれも、京きょうの外側そとがわの南みなみ・北きた・西にし・東ひがしを指さす表現ひょうげんにすぎないが、これらの表現ひょうげんも京きょうのことを「洛らく」の字じで指さすことで成立せいりつしている。

歴史れきし

平安へいあん遷都せんと

詳細しょうさいは「平安京へいあんきょう」を参照さんしょう

平安京へいあんきょう復元ふくげん模型もけい（京都きょうと市し平安京へいあんきょう創そう生せい館かんで撮影さつえい）

京都きょうとは桓武かんむ天皇てんのうが784年ねんの長岡京ながおかきょうに続つづいて、794年ねん平安京へいあんきょうに遷都せんとしたことに始はじまる千せん年ねんの都とである。京都きょうとに都とが移うつされた理由りゆうは諸説しょせつある。例たとえば、長岡京ながおかきょうの建設けんせつ責任せきにん者しゃであった藤原ふじわら種たね継つぎが暗殺あんさつされたことや、長岡京ながおかきょうが桂川かつらがわや小畑おばた川がわ氾濫はんらんによりしばしば水害すいがいに遭あったからとする説せつ、長岡京ながおかきょうでの早良親王さわらしんのう怨霊おんりょう説せつなどである。

平安京へいあんきょうは中国ちゅうごくの風水ふうすいに適かなう地ち（「四よん神かみ相応そうおうの地ち」）として撰せん地ちされたとの伝つたえがあり、南みなみに開あけ、他たの三さん方ぽうを山やまに囲かこまれ、東ひがしに鴨川かもがわが、西にしに桂川かつらがわが蛇行だこうしながら南みなみへと流ながれている。

京きょう域いきは、東西とうざい約やく4.5km、南北なんぼく約やく5.2kmの長方形ちょうほうけいで、内部ないぶは正方形せいほうけいの街まち区くをもっていた。これら街がい区くは、平城京へいじょうきょうでは街路がいろの中心ちゅうしん線せんを基準きじゅんとしていたため街路がいろの幅はばの違ちがいによって宅地たくち面積めんせきの広狭こうきょう差さが生うまれたが、平安京へいあんきょうでは街路がいろの幅はばを除のぞいて形成けいせいされたため、場所ばしょによる宅地たくちの広狭こうきょうが生うまれることはなかった。本来ほんらいなら羅ら城しろを巡めぐらすべきであったが、羅ら城門じょうもんの両側りょうがわのみ羅ら城しろ風ふうの塀へいを設もうけた。南北なんぼくは北辺ほくへんの一いち条じょう大路おおじから九きゅう条じょう大路おおじまで、東西とうざいは東京とうきょう極大きょくだい路ろから西京極にしきょうごく大路おおじまで、皇居こうきょと官庁かんちょう街がいを含ふくむ大内裏だいだいりは一いち条じょう大路おおじと二に条じょう大路おおじの間あいだ、（東ひがし）大宮おおみや大路おおじと西にし大宮おおみや大路おおじの間あいだに設もうけられた。現在げんざいの千本せんぼん通どおりが当時とうじの南北なんぼくの中心ちゅうしん街路がいろである朱雀すざく大路おおじにあたり、真ま北きたには造みやつこ都との基準きじゅんとなったとされる船岡ふなおか山さんが位置いちしていた。また、大内裏だいだいりのすぐ南みなみには禁苑きんえんである「神泉苑しんせんえん」が設もうけられ貴顕きけんの遊あそびの場ばとなるとともに干かんばつに際さいしては雨乞あまごいの場ばとなった。この池いけは太古たいこに京都きょうと盆地ぼんちに広ひろがっていた「古こ京都きょうと湖こ（古こ山城やましろ湖こ）」の名残なごりとされる。平城京へいじょうきょうで寺院じいんの政治せいじ介入かいにゅうが甚はなはだしく悪弊あくへいをもたらせたため、京きょう域内いきないの新設しんせつ寺院じいんは官かん寺てらである東寺とうじと西寺にしてらに限かぎられた。造みやつこ都とに際さいして河川かせんの付つけ替がえが行おこなわれたとされ、堀川ほりかわは鴨川かもがわの旧きゅう河かわ道どうとの説せつがあるが、異論いろんもある。

建設けんせつ開始かいしから12年ねん後ごの805年ねんに、民みん苦くを理由りゆうとして新しん京きょう造営ぞうえいを司つかさどる造みやつこ宮みや職しょく（ぞうぐうしき）が廃止はいしされ、計画けいかくされた右京うきょう区くの約やく半分はんぶんが未み完成かんせいのまま、平安京へいあんきょうの建設けんせつは終了しゅうりょうした。近年きんねんの研究けんきゅうでは、平安京へいあんきょうは歴史れきしの教科書きょうかしょの図面ずめんのように整然せいぜんとした都市としではなく、左京さきょうに偏かたよった都市としになっていたと考かんがえられている。

平安へいあん時代じだいの律令制りつりょうせいの形骸けいがい化かにともなって次第しだいに本来ほんらいの領域りょういきにとらわれない、鴨川かもがわと大内裏だいだいり・御所ごしょを中心ちゅうしんとする都市としになり、経済けいざい的てきに発展はってんしていった。平安へいあん中ちゅう末期まっきには東山ひがしやま山麓さんろくに法性寺ほっしょうじ、鴨川かもがわ左岸さがんに六ろく勝しょう寺てら、鳥羽とばに貴族きぞくの別荘べっそうが建たてられた。特とくに六ろく波は羅らには当時とうじ隆盛りゅうせいを極きわめていた平たいら氏し一門いちもんの屋敷やしきが軒のきを連つらねた。

鎌倉かまくら幕府ばくふの設置せっち

鎌倉かまくら時代ときよにも京都きょうとの朝廷ちょうていは政治せいじ機能きのうを発揮はっきしていたが、東国とうごく支配しはいを強つよめていた鎌倉かまくら殿どのに1185年ねん守護しゅご・地頭じとうの設置せっちを認みとめ、鎌倉かまくら幕府ばくふが全国ぜんこく支配しはいを強つよめたため、京都きょうとは相対そうたい的てきに経済けいざい都市としとしての性格せいかくを強つよめた。承久じょうきゅうの乱らんを契機けいきに鎌倉かまくら幕府ばくふは平家へいけの本拠地ほんきょち跡あとの六ろく波は羅らに六ろく波は羅ら探題たんだいを設置せっちして、公家くげ勢力せいりょくの監視かんしを行おこなう。鎌倉かまくら時代じだい末期まっきに足利尊氏あしかがたかうじが六ろく波は羅ら探題たんだいを滅ほろぼし、幕府ばくふ滅亡めつぼう後ごには京きょうで後醍醐天皇ごだいごてんのうによる建たて武たけしの新政しんせいが行おこなわれた。その後ご新政しんせいから離反りはんした尊たかし氏しが北朝ほくちょうを立たて、南北なんぼく朝あさ時代じだいとなると、京都きょうと争奪そうだつ戦せんが何なん度ども行おこなわれる（南北なんぼく朝あさ分裂ぶんれつ以後いご、南朝なんちょうによる京都きょうと占領せんりょうは4度ど行おこなわれたが、いずれも短期間たんきかんで足利あしかが軍ぐんに撃退げきたいされている）。

室町むろまち幕府ばくふの設置せっち

花はなの御所ごしょ（洛中らくちゅう洛外らくがい図ず）

南朝なんちょうが衰微すいびして室町むろまち時代ときよになると京きょうには室町むろまち幕府ばくふが置おかれたために政治せいじ都市としとして復活ふっかつする一方いっぽうで経済けいざい発展はってんを遂とげ、町衆まちしゅうと呼よばれる有力ゆうりょく市民しみんによる自治じちの伝統でんとうが生うまれた。京きょう内ないには武家ぶけの屋敷やしきは建たてないとするそれまでの慣習かんしゅうに反はんして足利尊氏あしかがたかうじが御池おいけ高倉たかくら辺あたりに屋敷やしきを構かまえると、以後いご次々つぎつぎと武家ぶけは市中しちゅうに進出しんしゅつした。足利あしかが義満よしみつは北小路室きたこうじむろ町まち（上京かみぎょう区く）に花はなの御所ごしょと呼よばれる邸宅ていたくを建造けんぞうし、応仁おうにんの乱らんで焼失しょうしつするまで将軍家しょうぐんけの在所ざいしょとなり、足利あしかが将軍しょうぐんは在所ざいしょから「室町むろまち殿どの」と呼よばれた。現在げんざいの小しょう京都きょうとの起源きげんは、当時とうじの京都きょうとの街まちづくりの導入どうにゅうにたどれるともいわれる。

戦国せんごく時代じだい・安土あづち桃山ももやま時代じだい

聚楽第じゅらくだい

戦国せんごく時代じだいの端緒たんしょとなる応仁おうにんの乱らんで市街しがい、特とくに北側きたがわの大半たいはんが焼失しょうしつし、荒廃こうはい。その後ごもたびたび戦乱せんらんに巻まき込こまれた。この頃ころ、京都きょうとは上京じょうきょうと下京しもぎょうに分わかれ、それぞれ「構」によって囲かこまれていた。その間あいだは畑はたけになっていたといわれ、室町むろまち通どおりでかろうじてつながっていた。 中世ちゅうせい史家しかの瀬田せだ勝哉かつやは、応仁おうにんの乱らん以前いぜんの京都きょうとは激はげしい人口じんこうの増加ぞうかによって絶たえず膨張ぼうちょうし輪郭りんかくと構造こうぞうが掴つかみにくいが、応仁おうにんの乱らんを境さかいとして都市としの枠組わくぐみが明確めいかくになり、内うちと外そとがはっきりとした都市としとなったと述のべている。

この後のち、織田おだ信長のぶなが、豊臣とよとみ秀吉ひでよしの保護ほごと町衆まちしゅうの力ちからにより復興ふっこうした。特とくに、秀吉ひでよしの都市とし改造かいぞうは大だい規模きぼなもので、巨大きょだいな環状かんじょうの御ご土居どい（おどい）の築造ちくぞうによる、戦乱せんらんによって領域りょういきが曖昧あいまいになっていた京都きょうとの内側うちがわと外側そとがわ（洛中らくちゅう、洛外らくがい）の確定かくてい（線引せんひき）、聚楽第じゅらくだいと武家ぶけ町まちの建設けんせつ、内裏だいりの修理しゅうりと公家くげ町まちの建設けんせつ、御ご土居どいの構築こうちく、洛中らくちゅうに散在さんざいしていた寺てらをあつめた寺町てらまちや寺てら之の内うちの建設けんせつなどを行おこない、現在げんざいでもしばしばその都市とし構造こうぞうを確認かくにんすることができる（→天正てんしょうの地割じわり）。天正てんしょう19年ねん、秀吉ひでよしは伏見ふしみの指ゆび月がつに隠居いんきょしたが、文ぶん禄ろく4年ねん関白かんぱく位いを引ひき継ついだ豊臣とよとみ秀次しゅうじが切腹せっぷくすると、政治せいじの中心ちゅうしんは完全かんぜんに伏見ふしみに移うつった。秀吉ひでよしの没後ぼつごも徳川とくがわ家康いえやすが伏見ふしみ城じょうに入はいり伏見ふしみは引ひき続つづき政治せいじの中心ちゅうしん地ちであった。また、この時代じだいを中心ちゅうしんに栄さかえた文化ぶんかを桃山ももやま文化ぶんかと呼よぶが、桃山ももやまの名称めいしょうは江戸えど時代じだいになって廃はい城じょうされた伏見ふしみ城じょうの跡地あとちに桃ももの木きが植うえられ、安永やすなが9年ねん『伏見ふしみ鑑あきら』が発行はっこうされた頃ころから「桃山ももやま」と呼よばれるようになったことから名付なづけられたものである。

江戸えど幕府ばくふの設置せっち

1696年ねんの地図ちず

関ヶ原せきがはら合戦かっせん後ご、1603年ねん3月24日にち（慶長けいちょう8年ねん2月がつ12日にち）に徳川とくがわ家康いえやすが伏見ふしみ城じょうにて征夷大将軍せいいたいしょうぐんに任官にんかんされる。以後いご三さん代だい徳川とくがわ家光いえみつまで伏見ふしみ城じょうで将軍しょうぐん宣下せんげ式しきを行おこなっている。江戸えど幕府ばくふが誕生たんじょうすると政治せいじの中枢ちゅうすうは徐々じょじょに伏見ふしみから江戸えどに移うつったものの、こうした政せい都との移動いどうにもかかわらず京都きょうとは国くに都とであることに変かわりはなく、徳川とくがわ政権せいけんは、幕府ばくふの京都きょうとの拠点きょてんとして二条城にじょうじょうを築きずき、京都きょうと所司代しょしだい・京都きょうと町まち奉行ぶぎょうを設置せっちして直轄ちょっかつ下かに置おいた。以後いご京都きょうとは文ぶん・工芸こうげいの中心ちゅうしん地ちとして人口じんこうが50万まん人にんを超こえ、最大さいだい都市としの江戸えどや、天下てんかの台所だいどころ大坂おおさかに次つぐ都市としとして繁栄はんえいした。各かく藩はんも京都きょうとに藩邸はんていを構かまえ対たい朝廷ちょうてい及および各かく藩はん間あいだの外交がいこうを行おこなったため、京都きょうとは独特どくとくの地位ちいを有ゆうしたが、幕府ばくふはこのことを好このまず例たとえば西国さいこく大名だいみょうが参勤交代さんきんこうたいの際さい、京都きょうとに入はいることを禁きんじた。政情せいじょうが不安定ふあんていになった幕末ばくまつは政治せいじが再ふたたび京都きょうとを中心ちゅうしんに動うごき、幕府ばくふは京都きょうと守護しゅご職しょくを置おいて、その下もとで新撰しんせん組ぐみや見廻組みまわりぐみが倒幕とうばく派はの摘発てきはつを担になった。

東京とうきょうへの首都しゅと移転いてんから現在げんざいまで

京都きょうとと清水寺きよみずでら（1870年代ねんだい）

MAP of KIYOTO（1873年ねん）

京都きょうと周辺しゅうへん地図ちず（1873年ねん）

1867年ねん11月9日にち（慶応けいおう3年ねん10月14日にち）の大政奉還たいせいほうかんにより、統治とうち権けんが幕府ばくふから京都きょうとの朝廷ちょうていに返上へんじょうされて新しん政府せいふが誕生たんじょうした。京都きょうとには京都きょうと府ふが置おかれた（府ふ藩はん県けん三さん治ち制せい・廃藩置県はいはんちけん参照さんしょう）。しかし、天皇てんのうが江戸えどで直接ちょくせつ政治せいじをみるため、江戸えどを東京とうきょうとして行幸ぎょうこう・滞在たいざい（東京とうきょう行幸ぎょうこう）することになり、太政官だじょうかん（政府せいふ）も移動いどうされた（東京とうきょう奠都てんと参照さんしょう）。その後ご京都きょうとへの還幸かんこうは延期えんきされ、明治天皇めいじてんのうは1877年ねん（明治めいじ10年ねん）に京都きょうと御所ごしょの保存ほぞんを命めいじた。そして天皇てんのうの実際じっさいの居所きょしょは東京とうきょうとなった。これ以降いこうから現在げんざいまで日本にっぽんの首都しゅとは東京とうきょうと認識にんしきされている。長州ちょうしゅう藩はんや薩摩さつま藩はんが中心ちゅうしんとなって打うち立たてた明治めいじ政府せいふは天皇てんのうを中心ちゅうしんとした国くにづくりを進すすめ、やはり天皇てんのうの実際じっさいの居所きょしょこそがまつりごとの場ばであり首都しゅとであると考かんがえたからである。

（なお江戸えどのことを東ひがしのほうにある京きょうという意味いみの「東京とうきょう」と改称かいしょうする構想こうそうは江戸えど時代じだい後期こうきの経世けいせい家かである佐藤さとう信淵のぶひろが文政ぶんせい6年ねん（1823年ねん）に著あらわした『混同こんどう秘策ひさく』にすでに現あらわれていて、佐藤さとうは、日本にっぽんが世界せかいに躍おどり出でるためにはそもそも日本にっぽんの守まもりを強固きょうこにする必要ひつようがあるので都とは江戸えどに移うつし、江戸えどを「東京とうきょう」と呼よび、大阪おおさかを「西京にしぎょう」と呼よび、東京とうきょう・西京にしぎょう・京都きょうとの三京さんきょうにする、という構想こうそうを記しるした。つまり佐藤さとうの構想こうそうは京都きょうとは従来じゅうらいどおり「京都きょうと」と呼よび続つづけ、大阪おおさかのことを「西京にしぎょう」、江戸えどを「東京とうきょう」と呼よぶものであった。この段階だんかいで、都とを、つまり首都しゅとを、東ひがしに移うつす計画けいかくがあったわけである。佐藤さとうの書しょを読よみ影響えいきょうを受うけた大久保おおくぼ利通としみちが江戸えどを東京とうきょうと改称かいしょうすることを明治天皇めいじてんのうに建言けんげんしたという。なお「西京にしぎょう」という名称めいしょうについては明治めいじ以降いこうに実際じっさいに起おきたことは佐藤さとうの構想こうそうとは異ことなり、大阪おおさかではなくて京都きょうとを「西京にしぎょう（さいきょう）」と呼よぶ風潮ふうちょうが京都きょうとで広ひろまり、例たとえば第だい二に次じ大戦たいせん後ごに新制しんせい大学だいがくとして発足ほっそくした京都府立大学きょうとふりつだいがくは最初さいしょ「西京にしぎょう大学だいがく」と称しょうした。）

1879年ねん（明治めいじ12年ねん）には郡こおり区く町村ちょうそん編制へんせい法ほうにより、京都きょうとに上京かみぎょう区くと下京しもぎょう区くの2区くが置おかれた。1889年ねん（明治めいじ22年ねん）には市制しせいのうち三さん市しに対たいして実施じっしされた市制しせい特例とくれいにより、上京かみぎょう区く・下京しもぎょう区くを存置そんちしたまま府ふ管轄かんかつ下かに置おかれる「京都きょうと市し」となった。1898年ねん（明治めいじ31年ねん）に市制しせいが改正かいせいされたことにより、一般いっぱん市しと同等どうとうの市制しせいが施行しこうされた。1956年ねん（昭和しょうわ31年ねん）9月1日にちからは政令せいれい指定してい都市としに移行いこうした。

現在げんざいの京都きょうと府ふは、江戸えど時代じだいまでの令れい制せい国こくの区分くぶんでは、平安京へいあんきょうが含ふくまれている山城やましろ国こくのほかに丹後たんご国こくと丹波たんば国こくの一部いちぶを含ふくむ。京都きょうと市しは、京きょうと別べつの都市としだった伏見ふしみ市しや旧きゅう丹波たんば国こくに位置いちする京北けいほく地域ちいきなどに市域しいきが広ひろっている。

市街しがい路ろの変遷へんせん

793年ねん（延のべ暦れき12年ねん）平安京へいあんきょうが新あたらしい都とに選えらばれ、その翌年よくねんの794年ねんに長岡京ながおかきょうから遷都せんとされたときは、東西とうざい約やく4.5 kmのあいだに33本ほんの通とおり、南北なんぼく5.2 kmのあいだに39本ほんの通とおりが通とおされて、碁盤ごばんの目め状じょうに整然せいぜんと区画くかくされた。平安京へいあんきょうの町並まちなみは、室町むろまち時代じだいに勃発ぼっぱつした南北なんぼく朝あさの戦たたかい（1336年ねん - 1392年ねんごろ）や応仁おうにんの乱らん（1467年ねん - 1477年ねん）で幾度いくども焼失しょうしつして荒廃こうはいした。その復興ふっこうの際さいに市し街路がいろを狭せまくして、それまで市街しがい路ろがあったところに家屋かおくが建たてられたりしたもしたが、市街しがい路ろのどこの場所ばしょを狭せまくするかは京都きょうと市街しがいの場所ばしょによってまちまちであったため、道幅みちはばの広ひろい所ところや狭せまい所ところがあったり、まっすぐになっていない道みちが出来できたりもした。しだいに市街しがい路ろに面めんしたところに商店しょうてんが軒のきを連つらねるようになって土地とちが不足ふそくするようになっていったが、市街しがい路ろで区画くかくされた土地とちの中央ちゅうおう部分ぶぶんは空あき地ちになっていた。京都きょうとの土地とち不足ふそくは、桃山ももやま時代じだいの豊臣とよとみ秀吉ひでよしによって、各かく区画くかくの中央ちゅうおう部ぶで空あき地ちになっている土地とちを有効ゆうこう利用りようして土地とち不足ふそくを解消かいしょうするために、南北なんぼく方向ほうこうに道路どうろが5本ほん増ふやされた。これが功こうを奏そうし、さらに京都きょうとの人々ひとびとの手てによって南北なんぼく方向ほうこうの道路どうろが増ふやし続つづけられた。このため、現在げんざいの京都きょうと市街地しがいちの通とおりは碁盤ごばんの目め状じょうではなくなっており、東西とうざい方向ほうこうの通とおりと比較ひかくして、南北なんぼく方向ほうこうの通とおりの方ほうが数かずが多おおく、間隔かんかくは狭せまく並ならんでおり、街路がいろに囲かこわれた土地とち区画くかくも長方形ちょうほうけいになっているところが多おおい。

「京都きょうと市内しないの通とおり」も参照さんしょう

都市とし災害さいがいと文化財ぶんかざい

京都きょうと市内しないには活かつ断層だんそうの存在そんざいが確認かくにんされ、歴史れきし的てきにも大おおきな被害ひがいをもたらしている。また、応仁おうにんの乱らん・禁門きんもんの変へんなどの戦乱せんらん、太郎たろう焼亡しょうぼう・団栗どんぐり焼やけなどの大火たいかが発生はっせいし、太平洋戦争たいへいようせんそう下したでも東京とうきょうや大阪おおさかなどに比くらべて被害ひがいは小ちいさかったものの空襲くうしゅうの対象たいしょうとなっている。

ところで、現在げんざい京都きょうと市内しないには、多おおくの木造もくぞう建築けんちく物ぶつや仏像ぶつぞうなどの文化財ぶんかざいが数多かずおおく現存げんそんしているが、その理由りゆうとして、これらの文化財ぶんかざいは昭和しょうわ初期しょきまでほとんどが住宅じゅうたく地ちの外そとにあり、幾いくたびかの市街地しがいちからの延焼えんしょうをまぬがれてきたから存在そんざいするとの研究けんきゅう結果けっかが認知にんちされつつある。 ところが、近時きんじ住宅じゅうたく地ちにのみこまれた文化財ぶんかざいは、地震じしんなどによる大火たいかで失うしなわれる確かく率りつが過去かこに無ないほど高たかくなり「非常ひじょうに危険きけんな状態じょうたいにある」と危惧きぐする声こえが有識者ゆうしきしゃの中なかから上あがっている。また、それら文化財ぶんかざい自体じたいの地震じしんなどへの耐震たいしん性せいについても、現在げんざいの基準きじゅんで判断はんだんすると問題もんだいのある建物たてものも相当そうとう数すうあるが、解体かいたい修理しゅうりは世紀せいき単位たんいで一いち度どしかできない上うえに莫大ばくだいな費用ひようを要ようする。

学校がっこう

「番組ばんぐみ小学校しょうがっこう」および「京都きょうとの元もと学区がっく」も参照さんしょう

日本にっぽんにおける最初さいしょの学区がっく制せい小学校しょうがっこうは、国くにの学校がっこう制度せいど創設そうせつ（1872年ねん）に先立さきだち、地区ちく単位たんいである番組ばんぐみごとに1869年ねんに創設そうせつされた64校こうの京都きょうとの番組ばんぐみ小学校しょうがっこうである。これらの小学校しょうがっこうのうち多おおくは統廃合とうはいごうされたが、22校こうは現在げんざいも残のこっている。教育きょういく機関きかんとしての機能きのうだけでなく、役所やくしょ・警察けいさつ・消防しょうぼう・保健所ほけんじょなどの機能きのうも併あわせ持もっていた。現在げんざいでも、番組ばんぐみ小学校しょうがっこうの学区がっくは元もと学区がっくと呼よばれ、自治じち会かい組織そしきの単位たんいとなっている。

京都きょうとの観光かんこう

京都きょうとは世界せかい的てきな観光かんこう地ちである。

観光かんこうで訪おとずれる場所ばしょとしての魅力みりょくを評価ひょうかするために米国べいこくの有力ゆうりょく旅行りょこう誌しの『トラベル＋レジャー』誌し（Travel + Leisure）が行おこなった読者どくしゃの投票とうひょうによる評価ひょうかで順位じゅんいづけをした「世界せかいのベスト都市としトップ25　2021年ねん」によると、京都きょうとは世界せかいで第だい5位いにランクインした。 （なお1位いサン・ミゲル・デ・アジェンデ（メキシコ）、2位い ウダイプル（インド）、3位い イスタンブール（トルコ）、4位い ウブド（インドネシア） 5位い 京都きょうとという順じゅんであり、京都きょうとはイタリアのフィレンツェやメキシコのメキシコシティよりも上位じょういだと評価ひょうかされた。）

1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）に京都きょうと市しが（おそらく日本人にっぽんじんを対象たいしょうに）おこなった調査ちょうさによると、京都きょうとを訪問ほうもんした理由りゆうは次つぎのようになっていた。 1位い 「気持きもちが京都きょうとにひかれた」（26.2%） 2位い 「季き節ぶしがら」（20.6%） 3位い 「ひまがあったから」 （15.4%）

具体ぐたい的てきな場所ばしょ、神社じんじゃ仏閣ぶっかくなど

「京都きょうと府ふの観光かんこう地ち」および「:Category:京都きょうと市しの観光かんこう地ち」も参照さんしょう

京都きょうと・観光かんこう文化ぶんか検定けんてい

京都きょうとに関かんする知識ちしきを検定けんていする試験しけんとして京都きょうと商工しょうこう会議かいぎ所しょの主催しゅさいにより京都きょうと・観光かんこう文化ぶんか検定けんていが2004年ねんから実施じっしされている。通称つうしょうは京都きょうと検定けんていである。

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• ロム・インターナショナル（編へん）『道路どうろ地図ちず びっくり!博学はくがく知識ちしき』河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ〈KAWADE夢ゆめ文庫ぶんこ〉、2005年ねん2月がつ1日にち。ISBN 4-309-49566-4。 
• 倉部くらべきよたか『京都きょうと人じんは日本一にっぽんいち薄情はくじょうか──落第らくだい小僧こぞうの京都きょうと案内あんない』文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう（文春ぶんしゅん新書しんしょ）、2005年ねん7月がつ20日はつか。ISBN 4-16-660452-X。
• 福井ふくい栄一えいいち『上方かみがた学がく ～ 知しってはりますか、上方かみがたの歴史れきしとパワー』2003年ねん、ＰＨＰ研究所ぴーえいちぴーけんきゅうしょ、ISBN 978-4569578842

関連かんれん項目こうもく

• 京きょう言葉ことば
• 京きょうの花街はなまち
• 京町きょうまち家か
• 京きょう料理りょうり
• 京都きょうとの難読なんどく地名ちめい
• そうだ 京都きょうと、行いこう。
• 京都きょうと・東山ひがしやま花はな灯とう路ろ
• 京都きょうと・嵐山あらしやま花はな灯とう路ろ
• 京阪神けいはんしん
• 京阪けいはん
• 京きょう津つ
• 京滋けいじ

外部がいぶリンク

• 京都きょうとの歴史れきし年表ねんぴょうと解説かいせつシート
• 京都きょうと府立ふりつ京都きょうと学がく・歴れき彩いろどり館かんデジタルアーカイブ
• 京都きょうと府ふ公式こうしきメディア KYOTO SIDE