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機銃掃射 - Wikipedia

機銃きじゅう掃射そうしゃ(きじゅうそうしゃ)は、機関きかんじゅうてきをなぎはらうように射撃しゃげきすること[1]歩兵ほへい部隊ぶたい要塞ようさい陣地じんち船舶せんぱく航空機こうくうきなどが装備そうびした機関きかんじゅう機関きかんほう使用しようして、地上ちじょうまたは海上かいじょう目標もくひょう連射れんしゃ速射そくしゃにより攻撃こうげきする方法ほうほうである。

概要がいよう

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機関きかんじゅう実用じつようはじめた19世紀せいき後半こうはんインディアン戦争せんそうひろしふつ戦争せんそう北越ほくえつ戦争せんそうころから実戦じっせん投入とうにゅうされはじめ、にち戦争せんそうではにちりょうぐんにおいてその制圧せいあつりょく証明しょうめいした。機銃きじゅう掃射そうしゃは、それまでの小銃しょうじゅう単発たんぱつ射撃しゃげき比較ひかくし、制圧せいあつ範囲はんい格段かくだんひろ[2]とく密集みっしゅう隊形たいけい歩兵ほへい部隊ぶたいたいしてはおおきな戦果せんかげた[3]

航空機こうくうき兵器へいきとして確立かくりつしてからは、航空機こうくうき搭載とうさいされた機関きかんじゅう上空じょうくうから地上ちじょうおよび海上かいじょう目標もくひょう攻撃こうげきするようになり、だい世界せかい大戦たいせん以降いこう小型こがた軍用ぐんよう積載せきさいりょく向上こうじょうしたため、ロケットだん小型こがたばくだんによるばくげき併用へいようするようになった。

航空機こうくうきによる機銃きじゅう掃射そうしゃ

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F-16 ファイティングファルコンによる機銃きじゅう掃射そうしゃ機動きどう

基本きほんてき航空機こうくうきは、低速ていそく機体きたいであっても地上ちじょう海上かいじょう移動いどうする物体ぶったいよりもはやいことがおおいため、一度いちどねらわれたら十分じゅうぶん強度きょうどつもののかげかくれるか、対空たいくう機関きかん銃砲じゅうほう高射こうしゃほう対空たいくうミサイルなどの対空たいくう兵器へいきかえちにする以外いがいることは困難こんなんである。航空機こうくうきによる機銃きじゅう掃射そうしゃ地上ちじょう銃撃じゅうげき地上ちじょう砲撃ほうげきとも呼称こしょうされる。

戦闘せんとう筆頭ひっとうとする軍用ぐんよう携行けいこうできる航空こうくう機関きかん銃砲じゅうほうじゅう砲弾ほうだん数量すうりょうは、機種きしゅにもよるが1銃砲じゅうほうあたりだい口径こうけいたま100-300はつしょう口径こうけいだんで500はつ程度ていどであり[4]発射はっしゃ速度そくどたか携行けいこうすうかぎりがある航空こうくう機関きかん銃砲じゅうほうゆえに、掃射そうしゃ時間じかん連続れんぞく時間じかんにしてすうびょう-すうじゅうびょう程度ていどである。しかし、だい口径こうけい対物たいぶつ対人たいじんだんによる機銃きじゅう掃射そうしゃ制圧せいあつりょく非常ひじょうたかく、けい装甲そうこう戦闘せんとう車両しゃりょう列車れっしゃ輸送ゆそう船舶せんぱく待避たいひごうなどの装甲そうこう容易ようい貫通かんつうするうえ、人体じんたい命中めいちゅうすれば致命傷ちめいしょうわせることになり、効果こうか非常ひじょうたかい。

また、操縦そうじゅう航空こうくう機関きかん銃砲じゅうほう破壊はかいできると判断はんだんしたものはすべ掃射そうしゃ目標もくひょうになり、ロケットだんなどのより強力きょうりょく攻撃こうげき手段しゅだんゆうする場合ばあい移動いどうしない状態じょうたいにある物体ぶったい移動いどうできない物体ぶったいは、格好かっこう攻撃こうげき目標もくひょうになる。なお、7ミリメートル (mm)クラス程度ていど火器かきでは、たれることを前提ぜんていにして重要じゅうよう部分ぶぶん装甲そうこうされた攻撃こうげきがた軍用ぐんようたいして十分じゅうぶん対抗たいこうすることはむずかしい[5]

トーチカなどのじゅう防護ぼうご設備せつびなどは銃砲じゅうほうだん貫徹かんてつりょく不足ふそくがあり攻撃こうげき対象たいしょうにはいていないが、けい装甲そうこう装甲そうこうのもののほか、戦車せんしゃであっても上面うわつら装甲そうこううすいために機銃きじゅう掃射そうしゃ対象たいしょうとなる。また、心理しんりてき制圧せいあつりょくなどから、かならずしも目標もくひょうぶつ破壊はかい殺傷さっしょう目的もくてきとしない機銃きじゅう掃射そうしゃさかんにおこなわれる。

だい世界せかい大戦たいせんなかにおいては、とく機銃きじゅう掃射そうしゃ重視じゅうしした機体きたいとしてB-25G/H ミッチェル開発かいはつされ、太平洋たいへいよう戦線せんせん投入とうにゅうされた。B-25Hは、前方ぜんぽうけた75mmほう1もんのほか、12.7mm機銃きじゅう8ちょう装備そうびした。B-25Jも12.7mm機銃きじゅう6ちょう装備そうびし、日本にっぽんぐん地上ちじょう部隊ぶたい艦船かんせん攻撃こうげき威力いりょく発揮はっきした[6]

機銃きじゅう掃射そうしゃ絶好ぜっこう攻撃こうげき目標もくひょうは、燃料ねんりょうタンクや燃料ねんりょう輸送ゆそう車両しゃりょう輸送ゆそう船団せんだん製油せいゆしょパイプラインなどであり、あるいは武器ぶき弾薬だんやく輸送ゆそう部隊ぶたい補給ほきゅう基地きち備蓄びちく倉庫そうこなど引火いんかせい爆発ばくはつせいのある攻撃こうげき対象たいしょうにはきわめて有効ゆうこうである。そのほかにも移動いどうする物体ぶったいなかとくねらわれやすいものを以下いかかかげる。

列車れっしゃ
列車れっしゃは、基本きほんてきレールじょうしか移動いどうせず、自動車じどうしゃ戦車せんしゃ当然とうぜんのようにおこなうジグザグ走行そうこう急激きゅうげきなハンドル操作そうさなどの回避かいひ行動こうどうができないため、移動いどうちゅうであっても移動いどうさき簡単かんたん予測よそくして見切みき射撃しゃげきができることから、航空機こうくうき兵器へいきとして確立かくりつして以来いらい機銃きじゅう掃射そうしゃねらわれやすい目標もくひょうになった。
だい大戦たいせんまでは装甲そうこう列車れっしゃ列車れっしゃほうなどももちいられており、列車れっしゃ輸送ゆそう兵站へいたん中心ちゅうしんでもあった。このことから、連合れんごうぐん防空ぼうくうりょく低下ていかしたドイツおよび日本にっぽん勢力せいりょく圏内けんないにおいて、機関きかんじゅうほかにロケットだん使用しようして積極せっきょくてき列車れっしゃ牽引けんいんする動力どうりょくとなる機関きかんしゃ破壊はかいし、列車れっしゃあしめたうえ路線ろせん不通ふつうにしたり、積荷つみに客車きゃくしゃなどへの攻撃こうげきおこなった。
列車れっしゃがわは、編成へんせいんだ対空たいくう兵器へいき積載せきさいした貨車かしゃから応戦おうせんしながら、トンネルむなどの方法ほうほうがある。
船舶せんぱく
船舶せんぱくは、小型こがた高速こうそくボートであっても一般いっぱんかんがえるより回避かいひ能力のうりょくちいさいため、機銃きじゅう掃射そうしゃ目標もくひょうになりやすい。また、潜水せんすいかんたいしても機銃きじゅう掃射そうしゃ仕掛しかけているケースもある[7]外洋がいようではかくれる場所ばしょがないため、複数ふくすうにより、空中くうちゅうせんロッテ戦術せんじゅつ要領ようりょう反復はんぷくして攻撃こうげきされた場合ばあいは、てきたまれや燃料ねんりょうれをこして帰還きかんするまでまわるか、船舶せんぱく装備そうびされた機関きかんじゅうなどの武器ぶき撃墜げきついする以外いがいには、なすじゅつがない[6]
とく輸送ゆそうせんのように防御ぼうぎょりょくひく艦船かんせんは、ブリッジ攻撃こうげきされて機能きのううしなった場合ばあい撃沈げきちんることにつながりかねない。また、たとえ対空たいくう戦闘せんとう能力のうりょくゆうし、防御ぼうぎょりょくのある戦闘せんとう艦艇かんていであっても、対空たいくうほう砲座ほうざなどにたいする機銃きじゅう掃射そうしゃ有効ゆうこうであり、だい世界せかい大戦たいせんちゅうアメリカ海軍かいぐんでは、航空機こうくうき日本にっぽん海軍かいぐん軍艦ぐんかん相手あいてにするさいは、事情じじょうゆるかぎり、雷撃らいげきなどの本格ほんかくてき攻撃こうげきまえ対空たいくう銃座じゅうざかって機銃きじゅう掃射そうしゃとロケットだんによる攻撃こうげきおこなうことによって、対空たいくう銃座じゅうざ沈黙ちんもくさせるのがつねであった。
なお、日本にっぽん海軍かいぐん駆逐くちくかん如月きさらぎ」のように、アメリカ海軍かいぐんF4F ワイルドキャット艦上かんじょう戦闘せんとう12.7mmだん機銃きじゅう掃射そうしゃが「撃沈げきちん」の一因いちいんとなったれいもある(魚雷ぎょらいないし爆雷ばくらい誘爆ゆうばく)。
人間にんげん
兵士へいし民間みんかんじんたいする恐怖きょうふ攻撃こうげきとして実施じっしするもの。人間にんげんは、車両しゃりょう船舶せんぱく比較ひかくして標的ひょうてきちいさいものの、けた場所ばしょうごまわ人間にんげんは、低空ていくうまで降下こうかした航空機こうくうきのパイロットのには非常ひじょう目立めだつため、これも機銃きじゅう掃射そうしゃ目標もくひょうとなる。
とくアメリカぐんは、太平洋戦争たいへいようせんそうにおいて日本にっぽんぐんたいして航空機こうくうき機銃きじゅう掃射そうしゃによる対人たいじん攻撃こうげき積極せっきょくてきった。輸送ゆそうせんなどの防御ぼうぎょりょくひく艦船かんせんやその乗員じょういん地上ちじょう展開てんかいする兵士へいしへの攻撃こうげきかえされた結果けっか有効ゆうこう対空たいくう兵器へいきをほとんど装備そうびしていなかった日本にっぽんぐんけた被害ひがい甚大じんだいなものとなった。

実例じつれい

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日本にっぽん本土ほんど空襲くうしゅうにおいて、戦闘せんとういん機銃きじゅう掃射そうしゃけた実例じつれい

個人こじん体験たいけん

そのほか多数たすう

べいぐん戦闘せんとうつばさには、戦果せんか記録きろくするためにガンカメラ設置せっちされており、機銃きじゅうがねくと同時どうじ録画ろくが開始かいしされる仕組しくみになっていた[14]2015ねん3月9にちTBSで、米国べいこく公文書こうぶんしょかん保存ほぞんされ、大分おおいたけん宇佐うさ地域ちいきおこし団体だんたいである「ゆたかくに宇佐うさじゅく」によって場所ばしょ日時にちじ特定とくていされた日本にっぽん各地かくちでの機銃きじゅう掃射そうしゃ記録きろくしたガンカメラの映像えいぞう多数たすう紹介しょうかいされ、機銃きじゅう掃射そうしゃけてのこった日本人にっぽんじんや、機銃きじゅう掃射そうしゃおこなったべいぐんパイロットの証言しょうげんによって、日本にっぽん民間みんかんじんたいする機銃きじゅう掃射そうしゃ実態じったい検証けんしょうするドキュメンタリー「戦後せんご70ねん せん証言しょうげんスペシャル わたしまち戦場せんじょうだった」[14]放送ほうそうされた。

文献ぶんけん情報じょうほう

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  • 全国ぜんこく戦災せんさい都市としべつ被害ひがい状況じょうきょうひょう財団ざいだん法人ほうじん太平洋たいへいようせん全国ぜんこく空爆くうばく犠牲ぎせいしゃ慰霊いれい協会きょうかい[1][2]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 三省堂さんせいどう 大辞林だいじりん(だいはん)
  2. ^ ドイツぐん機関きかんじゅう戦術せんじゅつ 歴史れきしぐんぞう2007ねん12がつごう
  3. ^ 歩兵ほへい戦術せんじゅつ
  4. ^ これは、だい世界せかい大戦たいせんP-40からさい新鋭しんえいF-22までさほど変化へんかはない。戦闘せんとう爆撃ばくげきとしても活躍かつやくしたP-47比較的ひかくてきおおく1じゅうあたり425はつ、8じゅう最大さいだい3,400はつ携行けいこうした
  5. ^ だい大戦たいせんIl-2きゅうきゅうしき襲撃しゅうげきなどは、コックピット全体ぜんたいエンジン下部かぶなどかくよう装甲そうこうほどこしており、現代げんだいA-10 サンダーボルトIIはさらなるじゅう装甲そうこうほどこし、エンジンの位置いち工夫くふうすることによって損害そんがいおさえる配慮はいりょがされている
  6. ^ a b 「エア・アパッチ」歴史れきしぐんぞう76ごう 2006ねん4がつ
  7. ^ Submarines Sunk by Patrol Squadrons During World War II P697
  8. ^ 戦跡せんせきあるく(2)養老ようろう小学校しょうがっこう市原いちはら児童じどうおそった機銃きじゅう掃射そうしゃ 東京とうきょう新聞しんぶん 千葉ちばばん 2013ねん8がつ15にち
  9. ^ 樋口ひぐち武男たけおわたし履歴りれきしょ日本経済新聞にほんけいざいしんぶん、2012ねん3がつ3にち
  10. ^ 野中のなかいく次郎じろうわたし経営けいえいがく 05三菱総研みつびしそうけん倶楽部くらぶ Vol.5 No.5、2008ねん5がつ
  11. ^ 開高かいこうけんい 3」(ちょうけい詩文しぶん往還おうかん」)日本経済新聞にほんけいざいしんぶん 2013ねん8がつ25にち
  12. ^ わたし履歴りれきしょ日本経済新聞にほんけいざいしんぶん 2014ねん1がつ4にち
  13. ^ わたし履歴りれきしょ日本経済新聞にほんけいざいしんぶん 2020ねん5がつ3にち
  14. ^ a b 戦後せんご70ねん せん証言しょうげんスペシャル わたしまち戦場せんじょうだった TBS

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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