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魚雷 - Wikipedia

魚雷ぎょらい

水中すいちゅう自己じこ推進すいしんし、爆発ばくはつによって目標もくひょうとした艦船かんせんなどを破壊はかいすることを目的もくてきとした兵器へいき

魚雷ぎょらい(ぎょらい、えい: torpedo トーピード)は、さかながた水雷すいらい略称りゃくしょうであり、水中すいちゅうはしする葉巻はまきがた兵器へいき[1]水中すいちゅう航行こうこうし、目標もくひょう艦船かんせんるい浸水しんすい爆発ばくはつによって破壊はかいすることを目的もくてきとした兵器へいきである。兵器へいき比較ひかくしてその発射はっしゃ装置そうち維持いじ管理かんり困難こんなんであるため、国家こっか規模きぼ運営うんえいされる軍隊ぐんたいでしか運用うんようされておらず、攻撃こうげき兵器へいきとしてしかもちいられていない。[注釈ちゅうしゃく 1]

べいぐんルーズベルト(ミサイル駆逐くちくかんから発射はっしゃされるMk54魚雷ぎょらい
インド海軍かいぐんのVarunastra。(ちょう魚雷ぎょらい一種いっしゅ
Mk46搭載とうさいしたLynx WG13ヘリコプター(フランス)
海上かいじょう自衛隊じえいたい12しき魚雷ぎょらい

基本きほん構造こうぞうとして弾頭だんとうエンジン推進すいしんわされている。高度こうどなものでは航行こうこう深度しんど感知かんちするセンサー水平すいへい方向ほうこう針路しんろジャイロスコープでそれぞれ感知かんちしている[1]

魚雷ぎょらいは、水上すいじょう艦船かんせん喫水きっすいした部分ぶぶん破壊はかいするため、多大ただい浸水しんすいあたえ、機関きかんについては行動こうどうりょくうばう。潜水艦せんすいかん攻撃こうげき目標もくひょうとする場合ばあい沈没ちんぼつにつながる致命傷ちめいしょうあたえやすい。また、弾頭だんとう搭載とうさいしない特殊とくしゅ用途ようと魚雷ぎょらい一部いちぶ存在そんざいする。

だい世界せかい大戦たいせんころまでは、おも中小ちゅうしょうがた水上すいじょうかん潜水せんすいかん雷撃らいげきまた艦上かんじょう攻撃こうげきなどに搭載とうさいされて運用うんようされた。その水上すいじょうかんもちいるたい水上すいじょうかん兵器へいきとしてはたいかんミサイル主力しゅりょくになったが、より先進せんしんてき誘導ゆうどう能力のうりょく付与ふよされた魚雷ぎょらいつづひろ配備はいび運用うんようされている。現代げんだい魚雷ぎょらいおおきく2つに分類ぶんるいすることもでき、一方いっぽうたいかん攻撃こうげきよう大型おおがたちょう射程しゃてい魚雷ぎょらいでありこれを「ちょう魚雷ぎょらい」あるいは「じゅう魚雷ぎょらい」といい、もうひとつはたい潜水せんすいかん攻撃こうげきよう小型こがたたん射程しゃてい魚雷ぎょらいであり、これを「たん魚雷ぎょらい」あるいは「けい魚雷ぎょらい」という。たとえば潜水せんすいかんちょう魚雷ぎょらいもちいて水上すいじょう艦船かんせん水中すいちゅう潜水せんすいかん攻撃こうげきし、水上すいじょう艦艇かんてい上空じょうくうたいせん哨戒しょうかいたん魚雷ぎょらいもちいて水中すいちゅう潜水せんすいかん攻撃こうげきする。

魚雷ぎょらい爆雷ばくらいもちいて攻撃こうげきすることを雷撃らいげき魚雷ぎょらい命中めいちゅう爆雷ばくらい爆発ばくはつびることかみなりぶ。

参考さんこう地雷じらい機雷きらいへの接触せっしょくは、『さわかみなり』とぶ。)

水面すいめん使用しようされるものであるうえ軍事ぐんじ機密きみつおおふくまれるため、とく近年きんねん魚雷ぎょらい詳細しょうさい情報じょうほう不明ふめいてんおおい。

概要がいよう

編集へんしゅう

開発かいはつ当初とうしょ魚雷ぎょらい信頼しんらいせいひくかったが、こうはし距離きょり延伸えんしん命中めいちゅうりつ向上こうじょうさせるためにおおくの技術ぎじゅつ改良かいりょうがなされる一方いっぽうで、その防御ぼうぎょ方法ほうほうされた。初期しょき魚雷ぎょらい単純たんじゅんジャイロ誘導ゆうどうであり、直進ちょくしんすることしかできなかった。当時とうじひく命中めいちゅうりつおぎなうため同時どうじ複数ふくすう魚雷ぎょらいおうぎじょう発射はっしゃし、いずれか1ほんでも命中めいちゅうすることを期待きたいする戦術せんじゅつっていた(通常つうじょう商船しょうせんなど低速ていそく目標もくひょうたいしては1-2ほんだが、軍艦ぐんかんなどの高速こうそく目標もくひょうたいしては4-6ほん発射はっしゃしていた)。だい世界せかい大戦たいせんときから、艦船かんせん音響おんきょうなどを感知かんちして追跡ついせきするホーミング魚雷ぎょらい開発かいはつ配備はいびすすんだ。

魚雷ぎょらい発射はっしゃにはいくつかの方法ほうほうがある。潜水せんすいかんにおいては魚雷ぎょらい発射はっしゃかんもちい、かん装填そうてんした魚雷ぎょらいこうあつ空気くうきまたは水圧すいあつす。潜水せんすいかん運動うんどう性能せいのうひくかった時代じだい[いつ?]には、かんくびかん発射はっしゃかん装備そうびしているのが一般いっぱんてきであった。潜水せんすいかん速度そくど向上こうじょうした現在げんざいでは、対戦たいせんする艦船かんせん近距離きんきょり追尾ついびされる状況じょうきょうったので、かんくびだけに装備そうびすることがほとんどである。

水上すいじょうかんにおいては、喫水線きっすいせんしただいいち世界せかい大戦たいせんころまでの戦艦せんかん)または甲板かんぱんだい世界せかい大戦たいせんごろまでの巡洋艦じゅんようかん駆逐くちくかん)、かんくび付近ふきん初期しょき小型こがたてい)に設置せっちされた魚雷ぎょらい発射はっしゃかんもちいることが一般いっぱんてきであった。魚雷ぎょらいてい(PTボート、Sボート)などでは、甲板かんぱんじょうからがわかた後方こうほうへ落射させるものもあった。航空機こうくうきからの発射はっしゃでは、だい世界せかい大戦たいせんとき飛行ひこうする航空機こうくうき雷撃らいげき)から投下とうかする方法ほうほうおもであった。 だい世界せかい大戦たいせんにおいては、艦艇かんていへの攻撃こうげきりょくとしてたか期待きたいされていたため、各国かっこくにおいて威力いりょく向上こうじょう誘導ゆうどう方法ほうほう向上こうじょう検討けんとうされており、現在げんざいミサイルちか高価こうか高度こうど兵器へいきとしてあつかわれた。

反面はんめん魚雷ぎょらい艦船かんせんにとって防御ぼうぎょじょう弱点じゃくてんにもなりた。魚雷ぎょらいへいそう甲板かんぱんじょう合計ごうけいすうひゃくキログラムからすうトンにもなる爆薬ばくやくがほぼ防備ぼうびかれている状態じょうたいであり、とく装甲そうこう防御ぼうぎょたない駆逐くちくかんでは機銃きじゅう砲弾ほうだん破片はへん程度ていどでも魚雷ぎょらい弾頭だんとう爆発ばくはつする危険きけんがあり、だい世界せかい大戦たいせんでは搭載とうさい魚雷ぎょらい爆発ばくはつによる轟沈ごうちんかん多数たすうている。戦艦せんかん一部いちぶ装備そうびされていた魚雷ぎょらい発射はっしゃかんせんあいだ撤去てっきょすすみ、巡洋艦じゅんようかんなかには魚雷ぎょらい弱点じゃくてんとなることをきらって搭載とうさいしないかんおおかった。

だい世界せかい大戦たいせんごろまでは一部いちぶ海岸かいがん防衛ぼうえい施設しせつにも配備はいびされ、実戦じっせん戦果せんかげたれいもある(オスロフィヨルドのたたか)。

 
P-3哨戒しょうかいウエポンベイ搭載とうさいされたMk54魚雷ぎょらい

現代げんだいでは甲板かんぱんじょう魚雷ぎょらい発射はっしゃかんから水中すいちゅうけて射出しゃしゅつする従来じゅうらい方法ほうほうくわえ、魚雷ぎょらいロケットエンジン装着そうちゃくしたアスロックなどのたいせんミサイルをミサイル発射はっしゃ装置そうち発射はっしゃする方法ほうほうや、ヘリコプターたいせん哨戒しょうかいとう魚雷ぎょらい投下とうかする方法ほうほうられている。これはたいせんぜんとう兵器へいき発展はってんることもでき、艦船かんせんから自由自在じゆうじざい位置いち誘導ゆうどう魚雷ぎょらい投下とうかする手法しゅほうひとつでもある。たいせんミサイルや航空機こうくうきから投下とうかされた魚雷ぎょらいパラシュート装着そうちゃくした状態じょうたい落下らっかし、軟着水ちゃくすいしたのち目標もくひょう追尾ついび開始かいしする。

現代げんだい魚雷ぎょらいは、おもたい潜水せんすいかんせん想定そうていして製作せいさくされており、音波おんぱ利用りようした誘導ゆうどう装置そうち搭載とうさいしている。また有線ゆうせん誘導ゆうどうがた利用りようされている。

魚雷ぎょらい対抗たいこう手段しゅだんとしてはデコイ主流しゅりゅうであるが、魚雷ぎょらい迎撃げいげきよう魚雷ぎょらい研究けんきゅうされている[2]

現在げんざい torpedo (魚雷ぎょらい) とばれるこうしき魚雷ぎょらい発明はつめいされるまで、torpedoという単語たんごは、ラテン語らてんご海底かいていかくれて獲物えもの電気でんき麻痺まひさせるシビレエイ由来ゆらいとし[3]現代げんだいうところのブービートラップ地雷じらい機雷きらい意味いみするものだった。南北戦争なんぼくせんそう当時とうじ多用たようされた外装がいそう水雷すいらいえい:スパートーピード〈Spar torpedo〉)もこれであり、なが竿ざおさき爆薬ばくやくけて敵艦てきかん吃水線きっすいせん爆発ばくはつさせるとげ突爆かみなり一種いっしゅである。初期しょき水雷すいらいてい潜水せんすいてい主要しゅよう武器ぶきであったが、体当たいあたりするまで接近せっきんする必要ひつようがあるので危険きけんで、成功せいこうしたとしても自分じぶん爆発ばくはつまれる場合ばあいおおく、ほとんど特攻とっこう兵器へいきってつかえがないが、南北戦争なんぼくせんそうではスループ装甲そうこうかんしずめるそれなりの成果せいかげており、有効ゆうこうせいもあるため用兵ようへいがわからは改良かいりょうのぞまれていた。

ホワイトヘッド魚雷ぎょらい

編集へんしゅう

史上しじょうはつこうしき魚雷ぎょらいはししき魚雷ぎょらい)のプロトタイプは、オーストリア=ハンガリー帝国ていこく海軍かいぐん士官しかんジョヴァンニ・ルッピス英語えいごばん (クロアチア: Ivan Lupis) と イギリスじん技術ぎじゅつしゃロバート・ホワイトヘッド英語えいごばんによって1866ねん完成かんせいしたホワイトヘッド魚雷ぎょらいである。ルッピスはオーストリア・ハンガリー帝国ていこく港町みなとちょうフィウーメ(現在げんざいクロアチアリエカ) 出身しゅっしんオーストリア=ハンガリー帝国ていこく海軍かいぐん士官しかんであり、ホワイトヘッドはイギリスじん技術ぎじゅつしゃまち工場こうじょう経営けいえいしゃだった。1864ねん、ルッピスはホワイトヘッドに、りくからロープをることによって駆動くどうする浮遊ふゆう兵器へいき、salascoste (沿岸えんがん防御ぼうぎょ) の計画けいかく披露ひろうし、これを完成かんせいさせるための契約けいやくおこなった。ルッピスの計画けいかくでは、時限じげんしきのモーター、接続せつぞくされたロープ、海面かいめんじょう攻撃こうげきする方法ほうほうによって、おそくてまわしのきかない兵器へいきになっていた。ホワイトヘッドはすぐには改善かいぜんできなかったが、検討けんとうつづけ、やがて圧縮あっしゅく空気くうきにより水中すいちゅうみずかすすむよう設計せっけいされた管状かんじょう装置そうち、Minenschiff (機雷きらいせん) を開発かいはつした。これによってはつこうしき魚雷ぎょらい完成かんせいし、1866ねん12月21にちひらかれたオーストリア帝国ていこく海軍かいぐん委員いいんかい公式こうしき発表はっぴょうされた。初期しょきには適切てきせつ深度しんどたもつことが非常ひじょうむずかしかったが、ホワイトヘッドは1868ねんPendulum-and-hydrostat_control という、水平すいへいかじにより魚雷ぎょらい適切てきせつ深度しんどになるように調整ちょうせいする制御せいぎょ方法ほうほう開発かいはつし、克服こくふくした。オーストリア政府せいふがその発明はつめい投資とうしすることを正式せいしき決定けっていしたのち、ホワイトヘッドはフィウーメに最初さいしょ魚雷ぎょらい工場こうじょうもうけ、1870ねんには、最大さいだいやく1,000ヤード (910 m)、6ノット (11 km/h) になるまで改善かいぜんし、1881ねんまでに国外こくがい10カ国かこく輸出ゆしゅつされた。魚雷ぎょらい圧縮あっしゅく空気くうき動力どうりょくげんとし、ニトロセルロース爆薬ばくやくとして充填じゅうてんしていた。ホワイトヘッドは効率こうりつをすすめ、1876ねんに18ノット (33km/h)、1886ねんには24ノット (44km/h) 、1890ねんには30ノット (56km/h) のデモンストレーションをおこなうまでになった。

世界せかいはじめてこうようかんからこうようかんたいして魚雷ぎょらい使用しようされたのは1877ねん5月29にち1714ふんイギリス海軍かいぐん帆走はんそう巡洋艦じゅんようかんシャー」からペルー海軍かいぐん(反乱はんらんぐん使用しよう)砲艦ほうかんワスカル」への雷撃らいげきであるが、これは命中めいちゅうはしなかった[4]

またこの魚雷ぎょらい戦争せんそう戦闘せんとう試用しようされ、1878ねん1がつ16にちオスマン帝国ていこく汽船きせん「インティバー (Intibah)」は、ロシア帝国ていこく海軍かいぐん水雷すいらいてい装備そうびしたホワイトヘッド魚雷ぎょらいによって撃沈げきちんされた[5][注釈ちゅうしゃく 2]。これは史上しじょうはつこうしき魚雷ぎょらいによる戦果せんかであった[6]

水雷すいらいてい

編集へんしゅう

魚雷ぎょらいは、大砲たいほうくら小型こがた発射はっしゃ運用うんようできるじょう砲弾ほうだんよりもおおくの火薬かやく搭載とうさいして目標もくひょうにぶつけることができるので、モーターボートのようなふねでも大型おおがた戦艦せんかん撃沈げきちんする能力のうりょくをもっていた。そのため魚雷ぎょらい実用じつようされた1870年代ねんだいには魚雷ぎょらい搭載とうさいした小型こがたていとして水雷すいらいてい開発かいはつされた。水雷すいらいてい大型おおがたかん肉薄にくはくし、魚雷ぎょらいによる攻撃こうげきおこなった。水雷すいらいてい駆逐くちく大型おおがたかんまもるために駆逐くちくかん水雷すいらいてい駆逐くちくかん)が開発かいはつされたが、魚雷ぎょらい駆逐くちくかんしゅへいそうひとつだったため、駆逐くちくかん水雷すいらいてい役割やくわりたすようになった。日本にっぽんでは、水雷すいらいていが、より大型おおがた外洋がいよう航行こうこう能力のうりょく獲得かくとくした駆逐くちくかんと、沿岸えんがん海域かいいきでの運用うんようとく小型こがた高速こうそく追求ついきゅうした魚雷ぎょらいてい分化ぶんかしたととらえられている。さらに潜水せんすいかんによる水中すいちゅうからの魚雷ぎょらい攻撃こうげき航空機こうくうきから投下とうかされる魚雷ぎょらい航空こうくう魚雷ぎょらい)もだいいち世界せかい大戦たいせんちゅうから実戦じっせん使用しよう開始かいしされ、だい世界せかい大戦たいせんちゅうにはたいかん攻撃こうげき手段しゅだんとしてひろもちいられるようになった。

だい大戦たいせんちゅう魚雷ぎょらいは、日本にっぽんぐん酸素さんそ魚雷ぎょらいのようにじゅう反転はんてんスクリュー推進すいしんされるものがおおい。回転かいてんじくおなじで前後ぜんごかさなったふたつのスクリューがぎゃく方向ほうこう回転かいてんしてトルクすことにより、本体ほんたい回転かいてんによる推進すいしんりょく低下ていかふせいで効率こうりつよく前進ぜんしんする方式ほうしきである。

日本にっぽん海軍かいぐん魚雷ぎょらい

編集へんしゅう
 
ゆう就館展示てんじされている回天かいてんいちがた
 
大和やまとミュージアム展示てんじされているきゅうしき魚雷ぎょらい

にちしん戦争せんそうでの水雷すいらいていによる威海衛いかいえい夜襲やしゅう戦果せんかと、にち戦争せんそう日本海にほんかい海戦かいせん夜戦やせんにおける水雷すいらいてい駆逐くちくかん活躍かつやくにより、日本にっぽん海軍かいぐん魚雷ぎょらい有用ゆうようせい注目ちゅうもくして高性能こうせいのう魚雷ぎょらい開発かいはつちからそそいだ。

1933ねん昭和しょうわ8ねん)に日本にっぽん海軍かいぐん酸素さんそ魚雷ぎょらい開発かいはつ実用じつようし、だい世界せかい大戦たいせんにおいて使用しようしていた。レーダー一般いっぱんするまで日本にっぽん海軍かいぐん夜戦やせん得意とくいとしており、水雷すいらい戦隊せんたいによっててきおおきな損害そんがいあたつづけた。アメリカ海軍かいぐんじゅう巡洋艦じゅんようかん魚雷ぎょらい発射はっしゃかん廃止はいししていたのにたいし、日本にっぽん海軍かいぐんじゅう巡洋艦じゅんようかん多数たすう魚雷ぎょらい発射はっしゃかん装備そうびしていたことにも、日本にっぽん海軍かいぐん雷撃らいげきせん重視じゅうしがうかがえる。大戦たいせんちゅう日本にっぽんぐん使用しようした酸素さんそ魚雷ぎょらいは、べいぐん魚雷ぎょらいくらべて炸薬さくやくりょう射程しゃていてん優位ゆういにあった。また航跡こうせきがほとんど発生はっせいしないので、夜間やかんはもちろん昼間ひるまであっても視認しにん困難こんなんであったという。戦後せんごに「long lance(ちょうやり)」とばれた。

高速こうそく航空機こうくうきからでも投下とうかできる本格ほんかくてき航空こうくう魚雷ぎょらい世界せかい先駆さきがけて実現じつげんしたのは、日本にっぽん海軍かいぐんきゅう一式いっしき魚雷ぎょらいだった。この魚雷ぎょらいは2てん特徴とくちょうをもっていた。

  • 1936ねんから、木製もくせい空中くうちゅう姿勢しせい安定あんていばんの「かまちばん」を装着そうちゃくした(きゅう一式いっしき航空こうくう魚雷ぎょらいあらため1)。
  • 1941ねんから、ローリング安定あんてい制御せいぎょするかく加速度かそくど制御せいぎょ安定あんていそなえた(きゅう一式いっしき航空こうくう魚雷ぎょらいあらため2)。この安定あんてい航空こうくう魚雷ぎょらいにとって最大さいだいのブレークスルーだった。

これらによって、きゅう一式いっしき魚雷ぎょらい高度こうど 20m速度そくど 333km/h でも、海底かいていあさ港湾こうわん魚雷ぎょらい発射はっしゃできるようになっただけでなく、波立なみだうみでも発射はっしゃできるようになった。1941ねん12月8にち真珠湾しんじゅわん攻撃こうげきで、だいいちきゅうななしき艦上かんじょう攻撃こうげき40は、15はつ以上いじょうきゅう一式いっしき魚雷ぎょらい命中めいちゅうさせたと報告ほうこくしている。歴史れきしてきに、航空こうくう魚雷ぎょらい巡航じゅんこうミサイル前身ぜんしんといえる[7][8]

日本にっぽん海軍かいぐん攻撃こうげきでは、飛行場ひこうじょうなどてき基地きち攻撃こうげきには大型おおがたばくだんを、敵艦てきかんたい攻撃こうげきにはおも魚雷ぎょらい利用りようしていた。ミッドウェー海戦かいせんでは、南雲なぐも艦隊かんたい空母くうぼ攻撃こうげきてき基地きち攻撃こうげきようばくだん搭載とうさいしていた途中とちゅうてき艦隊かんたい発見はっけんし、魚雷ぎょらいえているところをてきおそわれて格納庫かくのうこないばくだん魚雷ぎょらい誘爆ゆうばくした[注釈ちゅうしゃく 3]。これによって日本にっぽん海軍かいぐん空母くうぼ4せきうしない、戦局せんきょく逆転ぎゃくてんするきっかけとなった。なお、このとき命中めいちゅうしたのはばくだんだけであり、魚雷ぎょらい命中めいちゅうは1はつもない。

だい世界せかい大戦たいせん末期まっきには、大型おおがた魚雷ぎょらい操縦そうじゅうせきもうけて人間にんげん誘導ゆうどうし、敵艦てきかんせん搭乗とうじょういんごと体当たいあたり攻撃こうげきする人間にんげん魚雷ぎょらい回天かいてん」という特攻とっこう兵器へいき開発かいはつされた。イタリアでも人間にんげん搭乗とうじょうする魚雷ぎょらいつくられたが、こちらは弾頭だんとう目標もくひょうとするかんそこ設置せっちしたのち搭乗とうじょうしゃ脱出だっしゅつするという運用うんようほうであり、人間にんげん魚雷ぎょらい名前なまえはついていても戦死せんし前提ぜんていとする特攻とっこう兵器へいきではない。

なお、試験しけんてき装甲そうこうすくないかんそこ爆発ばくはつするように、たこげのようにうわきをり、うわきが敵艦てきかん側面そくめん接触せっしょくしたときかんそこした起爆きばくする構造こうぞう魚雷ぎょらい考案こうあんされた。機関きかんとして電気でんきモーターしか使用しようできず、速度そくどが30ノットに制限せいげんされ、射程しゃていみじかかったので、実戦じっせんでは試験しけんてき使用しようされただけであったが、戦果せんかはあげている。

アメリカ海軍かいぐん魚雷ぎょらい

編集へんしゅう

アメリカ海軍かいぐんだい世界せかい大戦たいせん使用しようしたMk13Mk14Mk15魚雷ぎょらい当初とうしょ性能せいのうわるく、命中めいちゅうしても爆発ばくはつしないことがたびたびあった。海軍かいぐん徴用ちょうようされた捕鯨ほげい母船ぼせんだいさん南丸みなみまる」は、1943ねん7がつ24にちべい潜水せんすいかんティノサ」から12はつ雷撃らいげきけたが、うち10はつ不発ふはつであり、船体せんたいりょうふなばた不発ふはつ魚雷ぎょらい10はつさったままトラックとう曳航えいこうされてきた。その魚雷ぎょらいさったようがかんざしをかみした花魁おいらん(おいらん)のようだったことから「花魁おいらんせん」とわれた。また、潜水せんすいかんタリビー」「タング」のようにかじ故障こしょうにより発射はっしゃした魚雷ぎょらい潜水せんすいかん自身じしん命中めいちゅうして沈没ちんぼつするという悲劇ひげきしょうじた。しかし、大戦たいせん末期まっきになるとアメリカぐんはこれらの欠点けってん克服こくふくしたうえ、TNT火薬かやくの1.6ばい破壊はかいりょくをもつHBX爆薬ばくやくによる魚雷ぎょらいもちいるようになり、日本にっぽん船舶せんぱくおおきな被害ひがいあたえた。

こうした通商つうしょう破壊はかい以外いがいに、アメリカ海軍かいぐんトラックとう空襲くうしゅうレイテおき海戦かいせん坊ノ岬ぼうのみさきおき海戦かいせんなどで雷撃らいげきおこない、多数たすう日本にっぽん艦艇かんてい船舶せんぱく撃沈げきちんした。

Mk24機雷きらいなど音響おんきょう誘導ゆうどうしき魚雷ぎょらい実用じつようされた。また電波でんぱ使用しようする誘導ゆうどう魚雷ぎょらい開発かいはつされたが、ナチスの妨害ぼうがい電波でんぱにより命中めいちゅうりつひくかった。

だい世界せかい大戦たいせん

編集へんしゅう

魚雷ぎょらい砲弾ほうだんのち登場とうじょうするたいかんミサイルくらべて推進すいしん速度そくどおそく、誘導ゆうどう魚雷ぎょらい遠距離えんきょりから発射はっしゃすると命中めいちゅうかくりついちじるしくがるため、可能かのうかぎ近距離きんきょりから発射はっしゃする必要ひつようがあった。しかし、だい世界せかい大戦たいせんちゅう登場とうじょうしたレーダーにより艦船かんせん航空機こうくうき遠距離えんきょりから発見はっけんすることが容易よういになり、艦艇かんてい防空ぼうくう火力かりょくたい水上すいじょう砲撃ほうげき精度せいど向上こうじょうした。これらの進歩しんぽかくれる遮蔽しゃへいぶつがない外洋がいようにおいて雷撃らいげき水雷すいらいてい駆逐くちくかん魚雷ぎょらい実用じつよう発射はっしゃ距離きょりないへの接近せっきん困難こんなんなものとし、雷撃らいげき水雷すいらいてい消滅しょうめつおよび駆逐くちくかんにおけるたい水上すいじょうかん攻撃こうげきようじゅう魚雷ぎょらい発射はっしゃかん撤去てっきょにつながった。さらに魚雷ぎょらいより高速こうそくちょう射程しゃていたいかんミサイルの実用じつようにより、沿岸えんがん地域ちいきでの運用うんよう前提ぜんていとする魚雷ぎょらいていミサイルていってわられ、水上みずかみ艦艇かんていたいかん攻撃こうげき手段しゅだんとしてはほとんどもちいられなくなった。現在げんざいでは魚雷ぎょらいおもへいそうとするのは潜水せんすいかんのみであり、水上すいじょうかん航空機こうくうき搭載とうさいされる魚雷ぎょらいたい潜水せんすいかんよう誘導ゆうどう魚雷ぎょらい主流しゅりゅうめている。

フォークランド紛争ふんそうで1982ねん5がつ2にちイギリス海軍かいぐん原子力げんしりょく潜水せんすいかんコンカラー」がアルゼンチン海軍かいぐん巡洋艦じゅんようかんヘネラル・ベルグラノ」をマーク8魚雷ぎょらい撃沈げきちんした。これは2018ねん時点じてんにおいて原子力げんしりょく潜水せんすいかんから発射はっしゃされた魚雷ぎょらいによって撃沈げきちんした唯一ゆいいつれいである。このとき使用しようされたマーク8魚雷ぎょらいだい世界せかい大戦たいせん開発かいはつされた魚雷ぎょらいで、ホーミング装置そうち装備そうびされていなかった[9]

だい世界せかい大戦たいせん実戦じっせん魚雷ぎょらい使用しようされたのは、朝鮮ちょうせん戦争せんそうでのダム攻撃こうげきベトナム戦争せんそうでのトンキンわん事件じけん、そして上記じょうきフォークランド紛争ふんそうのみである[9]

魚雷ぎょらい種類しゅるい直径ちょっけい

編集へんしゅう
 
フランス潜水せんすいかんアルゴノート魚雷ぎょらい発射はっしゃかん魚雷ぎょらい装填そうてんする途中とちゅう状態じょうたい展示てんじされている

現代げんだい魚雷ぎょらい目的もくてきによりおおきく2種類しゅるい分類ぶんるいされる。ひとつはしゅとしてたいかん攻撃こうげきよう大型おおがたちょう射程しゃてい魚雷ぎょらいであり、ちょう魚雷ぎょらいじゅう魚雷ぎょらい)とばれる。もうひとつはたい潜水せんすいかん攻撃こうげきよう小型こがたたん射程しゃてい魚雷ぎょらいであり、たん魚雷ぎょらいけい魚雷ぎょらい)とばれる。たいかんミサイルの発達はったつによりちょう魚雷ぎょらいかずらしており、潜水艦せんすいかん搭載とうさいよう一部いちぶのぞ水上すいじょうかんようのものはすでにもちいられていない。たん魚雷ぎょらい現代げんだい魚雷ぎょらい主流しゅりゅうであり、水上すいじょうかん航空機こうくうきなどに搭載とうさいされる。たん魚雷ぎょらい誘導ゆうどう兵器へいきであり、誘導ゆうどう魚雷ぎょらいしてたん魚雷ぎょらい場合ばあいもある。

魚雷ぎょらい直径ちょっけいは、内部ないぶ容積ようせきおおきさに直結ちょっけつ射程しゃてい炸薬さくやく重量じゅうりょう影響えいきょうがあるので、ほう口径こうけい同様どうよう重要じゅうようである。魚雷ぎょらい直径ちょっけいほうほどではないが魚雷ぎょらいのクラスけにももちいられる。全長ぜんちょう重量じゅうりょう、その要素ようそ相互そうご影響えいきょうされる。航空機こうくうき発射はっしゃがた魚雷ぎょらい場合ばあい重量じゅうりょう重要じゅうようであり、装着そうちゃくてん発射はっしゃ速度そくど影響えいきょうがある。近年きんねん魚雷ぎょらい設計せっけいにおいて補助ほじょ魚雷ぎょらいさかんに開発かいはつされていて、通常つうじょう集合しゅうごうがたパッケージが使用しようされる。飛行機ひこうき発射はっしゃ装置そうちのバージョンによってことなるものになる。形状けいじょう標準ひょうじゅんあつかいやすさと運搬うんぱん主眼しゅがんかれ、兵器へいき体系たいけい効率こうりつはかられる。運搬うんぱん効率こうりつ実行じっこうされると運用うんようじょう有利ゆうりになる。

いくつかの一般いっぱんてき魚雷ぎょらい直径ちょっけい以下いかのとおりである。:

  • 324 mm(12.75 インチ )はもっと一般いっぱんてきたん魚雷ぎょらいである。
  • 406 mm(16 インチ)はソビエト連邦れんぽう初期しょきASW魚雷ぎょらい使用しようされた。エコーきゅう初期しょきデルタきゅう潜水せんすいかん搭載とうさい、21インチ魚雷ぎょらい発射はっしゃかん付加ふかされた。
  • 450 mm(17.7 インチ)はきゅう日本にっぽん海軍かいぐんにおいて標準ひょうじゅんだったほか、だい2世界せかい大戦たいせんちゅうのイタリア海軍かいぐんでも使用しようされた。また、雷撃らいげき使用しようされた。ときどき、18インチとかわそうされた。
  • 483 mm(19 インチ)は最初さいしょにアメリカ海軍かいぐん誘導ゆうどう魚雷ぎょらいであるMark 24 FIDO 魚雷ぎょらい(en:Mark 24 Mine)で採用さいようされたほか、Mk.27魚雷ぎょらい英語えいごばんMk.32魚雷ぎょらいMk.37魚雷ぎょらいでももちいられたが、現在げんざいではすべて退役たいえきしている。
  • 533 mm(21 インチ)はだい世界せかい大戦たいせんにおけるじゅう魚雷ぎょらい標準ひょうじゅんてきなサイズであった。以下いかのものがふくまれる:
    • だい世界せかい大戦たいせん魚雷ぎょらい
    • きゅう日本にっぽん海軍かいぐん潜水せんすいかん
    • ドイツ海軍かいぐん魚雷ぎょらいG7a / G7e
    • NATO魚雷ぎょらい
    • いくつかのソ連それんとロシアの魚雷ぎょらい、ASWがたふくむ。
  • 550 mm(22 インチ)は、フランス海軍かいぐん使用しようされる規格きかくである。
  • 610 mm(24 インチ)きゅうさんしき魚雷ぎょらい酸素さんそ魚雷ぎょらい)はきゅう日本にっぽん海軍かいぐん駆逐くちくかん巡洋艦じゅんようかん使用しようされ、人間にんげん魚雷ぎょらい回天かいてん原型げんけいにもなった。
  • 650 mm(およそ25.6 インチ)はロシア連邦れんぽう海軍かいぐん最大さいだい魚雷ぎょらい直径ちょっけいである。タイプ65魚雷ぎょらい代表だいひょうてき形式けいしきである。533mmがたが650mm発射はっしゃかん増設ぞうせつされる。

直径ちょっけいおおきな魚雷ぎょらいとしては660 mm(26 インチ)、762 mm(30 インチ)と916 mmやく 36 インチ)があり、複数ふくすう原子力げんしりょく潜水せんすいかん搭載とうさいされる。これらの魚雷ぎょらい発射はっしゃかんだい口径こうけいなので、スタンダード21がたじゅう魚雷ぎょらいだけでなく巡航じゅんこうミサイル発射はっしゃにも対応たいおうできる。有人ゆうじん特攻とっこう魚雷ぎょらい回天かいてんφふぁい1mきゅう上部じょうぶ搭乗とうじょうハッチ潜望鏡せんぼうきょうなどがしていた)。さら巨大きょだいな、ロシアで開発かいはつちゅう原子力げんしりょく推進すいしんかく魚雷ぎょらい(ドローンとも)ポセイドン (原子力げんしりょく潜水せんすいドローン)ロシアばんそとみちは、1.6-2mにたっするとするせつがある。

制御せいぎょ

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1944ねん2がつ17にちトラック諸島しょとう魚雷ぎょらい攻撃こうげきける日本にっぽんぐん輸送ゆそうせん

初期しょき魚雷ぎょらい制御せいぎょ装置そうちたなかったので潮流ちょうりゅうなみ影響えいきょうけやすく、目的もくてき方向ほうこうすすむことすらままならなかった。こうはし距離きょりみじかかったこともあるが、命中めいちゅうさせるためにはできるかぎ目標もくひょう接近せっきんして発射はっしゃすることが要求ようきゅうされた。

だいいち世界せかい大戦たいせんころになると、深度しんど速度そくど進路しんろ調整ちょうせい可能かのうにする装置そうち開発かいはつされた。これにより命中めいちゅう精度せいど向上こうじょうするとともに、標的ひょうてきたいして放射状ほうしゃじょう複数ふくすう魚雷ぎょらい発射はっしゃすることや、航行こうこうする遠距離えんきょり艦船かんせん攻撃こうげき目標もくひょうとすることなどが可能かのうになった。

オーストリアの海軍かいぐん士官しかん技師ぎしルートヴィヒ・オプリー(Ludwig Obry)が1895ねん魚雷ぎょらい操舵そうだようのジャイロスコープ装置そうち英語えいごではObry's Gyroscope、ロシアではприбор обри)を考案こうあんし、魚雷ぎょらい精度せいどたかめた。

深度しんど調整ちょうせい装置そうち
つね一定いってい深度しんどたもたせる(深度しんどあさぎればなみ影響えいきょうけ、ふかすぎると敵艦てきかんしたとおけてしまうが、のちかんそこ直下ちょっか起爆きばくさせることねらようにもなった)ための装置そうち。また、標的ひょうてきによりおおきな被害ひがいあたえるため、敵艦てきかんしゅによってこうはし深度しんど変更へんこうするのに使用しようした。
速度そくど調整ちょうせい装置そうち
速度そくどつね一定いっていになるように調整ちょうせいする装置そうちなんびょうなんメートルすすむか正確せいかく設定せっていできるようになり、航行こうこうする標的ひょうてきたいし、魚雷ぎょらい未来みらい位置いち予測よそくして発射はっしゃすることが可能かのうになった。
自動じどう操舵そうだ装置そうち
ジャイロスコープ連動れんどうしており、発射はっしゃまえ方位ほうい設定せっていしておくと、魚雷ぎょらい外乱がいらんによって進行しんこう方向ほうこうがずれてもジャイロスコープのしめ方位ほうい操舵そうだ装置そうち設定せっていした進路しんろとのずれを感知かんちし、設定せっていした進路しんろもどるよう自動的じどうてきかじ制御せいぎょすることで直進ちょくしんができるようになった。

誘導ゆうどう装置そうち

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電子でんし工学こうがく発達はったつにより魚雷ぎょらい搭載とうさい可能かのう誘導ゆうどう装置そうち登場とうじょうしたことでちっぱな能力のうりょくそなえた魚雷ぎょらい登場とうじょうした。これにより潜航せんこうちゅう潜水せんすいかんたいしても魚雷ぎょらい命中めいちゅうさせることが可能かのうになり、それまでの主流しゅりゅうだった爆雷ばくらいわるたいせん兵器へいきとしても使用しようされるようになった。また通信つうしん装置そうち搭載とうさい命中めいちゅう以前いぜん自爆じばくさせたり、デコイまどわされないように軌道きどう修正しゅうせいしたりするなどたいかんミサイルのような使つかかた可能かのうとなった。

音波おんぱ誘導ゆうどう
敵艦てきかんはっするおと追尾ついびするパッシブがたと、みずかはっした音波おんぱ反射はんしゃ目標もくひょう追跡ついせきするアクティブがたがある。ちっぱなしが可能かのうであるがデコイにより欺瞞ぎまんされる可能かのうせいがある。
有線ゆうせん誘導ゆうどう
後部こうぶから通信つうしんようワイヤーをばして艦船かんせんから直接ちょくせつ操作そうさする。命中めいちゅう以前いぜん自爆じばくさせたり軌道きどう修正しゅうせいしたりすることが可能かのうだが、ワイヤーのながさや発射はっしゃかんとの角度かくど制限せいげんける。電線でんせんわりにひかりファイバー利用りようするれいもある。
現代げんだいでは、有線ゆうせん誘導ゆうどうほか音波おんぱ誘導ゆうどうなどを併用へいようしたハイブリッド誘導ゆうどう方式ほうしきもある。そのような魚雷ぎょらいでは、途中とちゅうまでを有線ゆうせん誘導ゆうどうして敵艦てきかん補足ほそく誘導ゆうどうケーブルをはなし、音波おんぱなどによる誘導ゆうどうえることが可能かのう射程しゃてい機動きどう誘導ゆうどうケーブルによって制限せいげんされることはなく、音波おんぱ誘導ゆうどうのみにくら欺瞞ぎまんつよい。
無線むせん誘導ゆうどう
だい世界せかい大戦たいせんちゅうにはアメリカ海軍かいぐん電波でんぱ誘導ゆうどうする方式ほうしき実用じつようしたが、ナチスの妨害ぼうがい電波でんぱにより失敗しっぱいおおかった。対抗たいこうさくとしてヘディ・ラマージョージ・アンタイルによりスペクトラム拡散かくさん技術ぎじゅつ考案こうあんされたが当時とうじ実装じっそうむずかしく、特許とっきょ秘匿ひとくされたことで主流しゅりゅうとはならなかった。

弾頭だんとう

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魚雷ぎょらい弾頭だんとうには各国かっこく魚雷ぎょらいよう開発かいはつされた爆薬ばくやく搭載とうさいされていた。魚雷ぎょらい爆雷ばくらいは、水中すいちゅう爆発ばくはつ発生はっせいするバブルパルスによって目標もくひょう破壊はかいする。このため、空気くうきちゅう使用しようする爆薬ばくやくとは成分せいぶんことなるものが使用しようされている。信管しんかんについても、触発しょくはつ信管しんかんのほか、遅延ちえん信管しんかんたい水上すいじょうかんけについては磁気じき信管しんかん直撃ちょくげきによらず艦船かんせん直下ちょっか起爆きばくし、竜骨りゅうこつ船底ふなそこ破壊はかいする)を使用しようしているものもある。磁気じき信管しんかんは「かんそこ起爆きばく魚雷ぎょらい」として、太平洋戦争たいへいようせんそうちゅう日本にっぽん海軍かいぐんでも開発かいはつされ、一部いちぶ潜水せんすいかん実戦じっせん使用しようされた。[10]

イギリス
トーペックス
アメリカ
HBX爆薬ばくやく
PBXN-103
PBXN-111
日本にっぽん
きゅうななしき爆薬ばくやく
ドイツ
SW18:  TNT 50%, HMD 24%, アルミ 15%
SW36S: TNT 67%, HMD 8%, アルミ 25%
SW39:  TNT 45%, HMD 5%, 硝酸しょうさんアンモニウム 30%, アルミ 20%
SW39a: TNT 50%, HMD 10%, 硝酸しょうさんアンモニウム 5%, アルミ 35%

かく魚雷ぎょらい

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べい冷戦れいせん時代じだい、より高速こうそくで、ふかく、しずかに航行こうこうできるようになった潜水せんすいかん優勢ゆうせい水上すいじょう艦隊かんたい確実かくじつ撃沈げきちんできるように、核弾頭かくだんとう装備そうびしたかく魚雷ぎょらい開発かいはつされた。アメリカ海軍かいぐんは「Mk45」を一時いちじ配備はいびした。キューバ危機ききでは、アメリカ海軍かいぐん封鎖ふうさせん阻止そしされたソビエト連邦れんぽう海軍かいぐん潜水せんすいかん「B59」がかく魚雷ぎょらい発射はっしゃ寸前すんぜんいたった。

推進すいしん機構きこう

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初期しょき魚雷ぎょらい内燃ないねん機関きかんにより気泡きほうかみなりあと)が発生はっせいするため、てきがわから発見はっけんされ回避かいひ行動こうどうをとられたり、発射はっしゃした潜水せんすいかん位置いちがすぐ特定とくていされたりすることおおかった。そのためかみなりあとのこさない様々さまざま推進すいしん方式ほうしき考案こうあんされたが、当然とうぜん射程しゃてい距離きょりかみなりそく最大さいだい対応たいおう深度しんどとのいもあった。

ひえはし魚雷ぎょらい

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推進すいしん内燃ないねん機関きかんをもたない方式ほうしき魚雷ぎょらい草創そうそう方式ほうしきである。

圧縮あっしゅく空気くうき

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草創そうそう成功せいこうおさめた推進すいしん方式ほうしきのひとつに圧縮あっしゅく空気くうきもちいたものがげられる。圧縮あっしゅく空気くうきは2.55Mpaに保持ほじされ、その空気くうきをピストンエンジンにおくって1のスクリューをまいぶん100回転かいてんさせた。やく180mを平均へいきん速度そくど6.5ノット(時速じそく12km)で推進すいしんするものであった。1906ねんに Whitehead が製作せいさくした魚雷ぎょらいは1000mを推進すいしんし、平均へいきん速度そくどは35ノット(時速じそく64km)にたっする。こうあつ空気くうき膨張ぼうちょうするとまわりのねつうば機関きかん凍結とうけつする問題もんだいしょうじたが、海水かいすい使つかってあたためることで解決かいけつし、性能せいのう向上こうじょうにつながった。

蒸気じょうき

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アルコール(最初さいしょエチルアルコールのちメチルアルコール)と圧縮あっしゅく空気くうきから蒸気じょうき発生はっせいさせて推進すいしんりょくとする方式ほうしき圧縮あっしゅく空気くうきだけの場合ばあい比較ひかくしてスピードはしたが、航跡こうせきがはっきりしてしまうという欠点けってんがあった。[11]アルコール以外いがいに、過酸化水素かさんかすいそ分解ぶんかいによって発生はっせいする蒸気じょうきもちいるヴァルター機関きかん搭載とうさいする魚雷ぎょらい開発かいはつされている。

ねつはし魚雷ぎょらい

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内燃ないねん機関きかんによる推進すいしんおこな方式ほうしき魚雷ぎょらい。1904ねんごろから開発かいはつはじまった。

ウェットヒーター

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燃焼ねんしょう発生はっせいするねつみず冷却れいきゃくしていたが、冷却れいきゃく過程かてい発生はっせいした水蒸気すいじょうきをエンジンにおくんで推進すいしん活用かつようする方法ほうほう見出みいだされた。蒸気じょうき利用りようする魚雷ぎょらいウェットヒーターばれ、蒸気じょうき利用りようしない形式けいしきドライヒーターばれる。ウェットヒーターしき魚雷ぎょらいは、だいいち世界せかい大戦たいせんからだい世界せかい大戦たいせんにかけて使用しようされた。

圧縮あっしゅく酸素さんそ

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燃料ねんりょうをエンジンで燃焼ねんしょうさせて推進すいしんする魚雷ぎょらい航続こうぞく距離きょりは、燃料ねんりょうのほかに酸化さんかざい搭載とうさいりょうにもおおきく影響えいきょうされる。旧来きゅうらい圧縮あっしゅく空気くうきもちいた形式けいしきでは燃焼ねんしょう不要ふよう窒素ちっそなどがおおふくまれているため(酸素さんそは21%程度ていど)、純粋じゅんすい酸素さんそだけを圧縮あっしゅくし、よりおおくの酸化さんかざいとして搭載とうさいすることが検討けんとうされた。みずけにくい窒素ちっそ燃焼ねんしょうのち排出はいしゅつされないので航跡こうせきえにくくなるという利点りてんられるが、燃焼ねんしょうのコントロールがむずかしく爆発ばくはつ事故じこ相次あいついだために各国かっこくでは実用じつよういていた。1933ねん日本にっぽんが、最初さいしょ空気くうき燃焼ねんしょう開始かいしし、徐々じょじょ酸素さんそえるという手法しゅほうもちいることで開発かいはつ成功せいこうし、世界せかい先駆さきがけて実用じつようした。このとき開発かいはつされたきゅうさんしき魚雷ぎょらい戦後せんごアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく歴史れきしモリソンによって“long lance(ちょうやり)”とあだされた)は36ノットで40kmにもおよぶ最大さいだい射程しゃていほこった。

電気でんきしき魚雷ぎょらい

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だい世界せかい大戦たいせんにドイツが最初さいしょ電池でんちしき魚雷ぎょらいG7e開発かいはつした。従来じゅうらいがた加熱かねつ魚雷ぎょらいG7aよりも射程しゃていみじか速度そくどおそいが、航跡こうせきがなく安価あんかであるという利点りてんがあった。ただし、充電じゅうでん可能かのうなまり蓄電池ちくでんち衝撃しょうげきよわく、使用しようまえ頻繁ひんぱん整備せいびようし、さらには最高さいこう性能せいのう発揮はっきさせるには、あらかじめ適度てきど温度おんどげておく必要ひつようがあった。使つかての電池でんち使用しようした実験じっけんモデル(G7ep)も開発かいはつされている。

Mk24 タイガーフィッシュやDM2のような現在げんざい電気でんき推進すいしんしき魚雷ぎょらいは、整備せいび必要ひつようがなく、すうねん以上いじょうにわたって保管ほかんしても性能せいのう低下ていかしない酸化さんかぎん電池でんち使用しようしている。ほかに、電池でんち電解でんかいしつ溶融ようゆうしお使用しようしたものがある。

現代げんだい推進すいしん方法ほうほう

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電気でんき、ガスタービン(イギリスのスピアフィッシュ魚雷ぎょらい)、モノプロペラントなどさまざまなものがある。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく最新さいしんがた魚雷ぎょらいひとつである Mk.50 バラクーダは、ろくフッ硫黄いおうリチウム化学かがく反応はんのう発生はっせいするガスによる閉サイクル・蒸気じょうき機関きかんもちいている。

近年きんねん魚雷ぎょらいには、推進すいしんポンプジェット採用さいようしたものもてきており、その速力そくりょくは60ノットえる場合ばあいもある。ロシアのシクヴァルやドイツのバラクーダは、スーパーキャビテーションによって200ノット(時速じそく370km)以上いじょう速度そくどせる。一方いっぽう、スーパーキャビテーションをもちいないMk.46魚雷ぎょらい速度そくどは28ノット(時速じそく52km)である。

2018ねんロシア連邦れんぽうウラジーミル・プーチン大統領だいとうりょうは、開発かいはつ配備はいびすすめているとかたった新型しんがた核兵器かくへいきひとつに、原子力げんしりょくエンジンで長距離ちょうきょりこうそうし、海軍かいぐん基地きち海岸かいがん都市とし艦隊かんたいかく攻撃こうげきできる戦略せんりゃく魚雷ぎょらいふくまれることをあきらかにした[12]

魚雷ぎょらい一覧いちらん

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対策たいさく

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 海洋かいよう障害しょうがいぶつ除去じょきょなどにもちいられることはほとんどない
  2. ^ Torpedo, p. 171によれば攻撃こうげきは1がつ25にちで、しずめられたのは国税庁こくぜいちょう汽船きせん「Intikbah」
  3. ^ 小室こむろ直樹なおき 日下くさか公人きみとだい東亜とうあ戦争せんそう、こうすればてた』117~118ぺーじによると、澤地さわじ久枝くしかみなりばくてんそうはなかったことをめたという。

出典しゅってん

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  1. ^ a b ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん魚雷ぎょらい
  2. ^ a b 世界せかいはつ 魚雷ぎょらい迎撃げいげき魚雷ぎょらい「シースパイダー」あらわる 潜水せんすいかん水上すいじょうかんたたかわるのか? サイト:ものニュース ちょ稲葉いなばよしやすし軍事ぐんじライター) 更新こうしん:2019.12.15
  3. ^ torpedo サイト:Online Etymology Dictionary
  4. ^ 新見にいみ志朗しろう軍艦ぐんかん装甲そうこうしお書房しょぼう光人みつひとしゃ、2016ねん、p.74
  5. ^ Delgado, James P. (2011). Silent Killers: Submarines and Underwater Warfare. Osprey Publishing. pp. 74. ISBN 978-1-84908-365-2 
  6. ^ Polutov, Andrey V.「ソ連それん/ロシア駆逐くちくかん建造けんぞう (だい1かい)」『世界せかい艦船かんせんだい755ごう海人あましゃ、2012ねん2がつ、187-193ぺーじNAID 40019142092 
  7. ^ Hughes, Thomas Parke. American genesis: a century of invention and technological enthusiasm, 1870?1970, p. 127. University of Chicago Press, 2004. ISBN 0226359271
  8. ^ Stoff, Joshua (2001). Historic Aircraft and Spacecraft in the Cradle of Aviation Museum. Courier Dover Publications. p. 16. ISBN 0486420418. https://books.google.ca/books?id=DANK-SZZh7YC&pg=PA16&lpg=PA16&dq=modern+aerial+torpedo&source=bl&ots=NJ4S4lYbJZ&sig=3mar-lBQUmNu8y8dJfDmFJ8OXGc&hl=en&ei=ORTGStrOJ4LY8Aa7tehC&sa=X&oi=book_result&ct=result#v=onepage&q=modern%20aerial%20torpedo&f=false 2010ねん2がつ22にち閲覧えつらん 
  9. ^ a b 魚雷ぎょらい技術ぎじゅつ
  10. ^ 板倉いたくらひかり 「あゝごう潜水せんすいかんうみきた強者きょうしゃ青春せいしゅん記録きろく光人みつひとしゃ ISBN 9784769820055
  11. ^ Blair, p.30-1.
  12. ^ ロシアがほこる「無敵むてき核兵器かくへいきをアメリカはとせない『ニューズウィーク』日本にっぽんばん(2018ねん3がつ7にち)2018ねん4がつ18にち閲覧えつらん

出典しゅってん

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  • Blair, Clay. Silent Victory. Philadelphia: Lippincott, 1975.
  • Milford, Frederick J. "U.S. Navy Torpedoes: Part One--Torpedoes through the Thirties". The Submarine Review, April 1996. {quarterly publication of the Naval Submarine League, P.O. Box 1146, Annandale, VA, 22003)
  • _______. "U.S. Navy Torpedoes: Part Two--The Great Torpedo Scandal, 1941-43". The Submarine Review, October 1996.
  • _______. "U.S. Navy Torpedoes: Part Three--WW II development of conventional torpedoes 1940-1946". The Submarine Review, January 1997.
  • The Columbia Encyclopedia, Sixth Edition, online.
  • O'Kane, Richard H. (1987). "Seventh Patrol", Wahoo: The Patrols of America's Most Famous World War II Submarine. Novato, California: Presidio Press.
  • Perry, Milton F. "Infernal Machines: The story of Confederate submarine and mine warfare." Louisiana State University Press, 1985.
  • Crowley, R.O. "Confederate Torpedo Service" in The Century / Volume 56, Issue 2, The Century Company, New York, June 1898.

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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