法定ほうてい刑けい(ほうていけい)とは、ある犯罪はんざいに対たいして科かされるべきものとして、法令ほうれいが罰則ばっそくにより規定きていしている刑罰けいばつをいう。
罪刑法定ざいけいほうてい主義しゅぎによれば、いかなる行為こういが犯罪はんざいとなるか(構成こうせい要件ようけん)だけでなく、その行為こういに対たいしていかなる刑罰けいばつが科かされるかをも、法律ほうりつ(又または法律ほうりつの委任いにんに基もとづく命令めいれい)が前まえもって規定きていしなければならない。こうして規定きていされた刑罰けいばつが法定ほうてい刑けいである。
法定ほうてい刑けいには裁量さいりょう的てきな選択せんたくの余地よちがないもの(絶対ぜったい的てき法定ほうてい刑けい→外患がいかん誘致ゆうち罪ざい(刑法けいほう81条じょう):死刑しけいのみ)もあるが、大だい多数たすうの場合ばあいには、刑けい種しゅの選択せんたく(選択せんたく刑けい)や刑期けいきの量定りょうてい(相対そうたい的てき法定ほうてい刑けい)について裁判所さいばんしょに裁量さいりょう的てきな選択せんたくの余地よちが与あたえられている。
個々ここの刑事けいじ訴訟そしょうにおいて、個々ここの被告人ひこくにんにつき、法定ほうてい刑けいに刑法けいほう総則そうそくの諸しょ規定きていを適用てきようした上うえで処断しょだん刑けいが定さだまり、その範囲はんい内ないで刑罰けいばつが宣告せんこくされる。
なお、律令りつりょうをはじめとする東ひがしアジア・日本にっぽんの前ぜん近代きんだいの法体ほうたい系けいは原則げんそくとして絶対ぜったい的てき法定ほうてい刑けいに基もとづいて刑罰けいばつが定さだめられており、その弾力だんりょく的てき運用うんようのために断罪だんざい無む正せい条じょう・不ふ応おう為ため条じょうなど、裁判官さいばんかんの情理じょうりや類推るいすい適用てきように基もとづく刑事けいじ処分しょぶんを認みとめるという、罪刑法定ざいけいほうてい主義しゅぎとは対極たいきょくの法ほう運用うんようが行おこなわれることになった[1]。