海賊かいぞく行為こういの処罰しょばつ及および海賊かいぞく行為こういへの対処たいしょに関かんする法律ほうりつ

海賊かいぞく行為こういの処罰しょばつ及および海賊かいぞく行為こういへの対処たいしょに関かんする法律ほうりつ
	; 日本にっぽんの法令ほうれい
通称つうしょう・略称りゃくしょう	海賊かいぞく対処たいしょ法ほう
法令ほうれい番号ばんごう	平成へいせい21年ねん法律ほうりつ第だい55号ごう
種類しゅるい	刑法けいほう
効力こうりょく	現行げんこう法ほう
成立せいりつ	2009年ねん6月がつ19日にち
公布こうふ	2009年ねん6月がつ24日にち
施行しこう	2009年ねん7月がつ24日にち
主おもな内容ないよう	海賊かいぞく行為こういに対たいする対処たいしょと罰則ばっそく
関連かんれん法令ほうれい	刑法けいほう、海上保安庁かいじょうほあんちょう法ほう、自衛隊じえいたい法ほう、日本にっぽん船せん警備けいび特措法とくそほう
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海賊かいぞく行為こういの処罰しょばつ及および海賊かいぞく行為こういへの対処たいしょに関かんする法律ほうりつ（かいぞくこういのしょばつおよびかいぞくこういへのたいしょにかんするほうりつ）は、2009年ねん（平成へいせい21年ねん）6月19日にちに成立せいりつした、海賊かいぞく行為こういに関かんする日本にっぽんの法律ほうりつ。法令ほうれい番号ばんごうは平成へいせい21年ねん法律ほうりつ第だい55号ごう、2009年ねん（平成へいせい21年ねん）6月がつ24日にちに公布こうふされた。海賊かいぞく対処たいしょ法ほうなどと略りゃくされる。

成立せいりつの背景はいけい

2005年ねん頃ころからソマリア沖おきやアデン湾わんでは、海賊かいぞくによる航行こうこう船舶せんぱくに対たいする海賊かいぞく行為こういが相次あいついでいた。2008年ねん中頃なかごろから海賊かいぞく被害ひがいは急増きゅうぞうし、各国かっこく政府せいふは現地げんちに海軍かいぐん艦船かんせんを派遣はけんし航行こうこう船舶せんぱくに対たいする護衛ごえいを開始かいしした。一方いっぽう、日本にっぽん関係かんけい船舶せんぱくは同どう海域かいいきの年間ねんかん通航つうこう量りょうのおよそ1割わりを占しめていたが、これらの船舶せんぱくの護衛ごえいは外国がいこく任まかせの状況じょうきょうであった。

このような状況じょうきょうで、日本にっぽんも国際こくさい社会しゃかいの中なかの責任せきにんある国家こっかとして、ソマリア沖おき海賊かいぞくの対策たいさく部隊ぶたい派遣はけんを実行じっこうする必要ひつよう性せいが高たかまった。しかし、海上かいじょう保安ほあん官かんや海上かいじょう警備けいび行動こうどう下したの自衛じえい官かんの、職務しょくむ執行しっこう時じの武器ぶき使用しよう基準きじゅんを定さだめた警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこう法ほう7条じょうでは、正当せいとう防衛ぼうえいや緊急きんきゅう避難ひなんや重大じゅうだい犯罪はんざい容疑ようぎ者しゃ（懲役ちょうえき3年ねん以上いじょう）が逮捕たいほ時じに抵抗ていこう・逃亡とうぼうする場合ばあいを除のぞいて、武器ぶきを使用しようして容疑ようぎ者しゃに危害きがいを与あたえることが禁止きんしされていた。このため、仮かりに海賊かいぞくが警告けいこくを無視むしして海賊かいぞく行為こういをしようと航行こうこう船舶せんぱくに海賊かいぞく船せんを接近せっきんさせるだけでは懲役ちょうえき3年ねん以上いじょうの重大じゅうだい犯罪はんざいではないため、海上かいじょう保安ほあん官かんは危害きがいを与あたえる恐おそれのある海賊かいぞく船せんへの船体せんたい射撃しゃげきができないでいた。また、海賊かいぞくの定義ていぎも定さだめられておらず、国内こくないに対応たいおうした海上かいじょう警備けいび行動こうどうでは海賊かいぞくから外国がいこく船舶せんぱくを護衛ごえいできなかったため、実じつ効力こうりょくのある取とり締しまり活動かつどうは不可能ふかのうであった。

そこで、2009年ねん1月がつに政府せいふは海賊かいぞく対策たいさくプロジェクトチームを発足ほっそくさせ、同月どうげつ20日にちに報告ほうこく案あんをまとめ、海賊かいぞく対処たいしょ法ほうの制定せいていに向むけた検討けんとうを決定けっていした。同月どうげつ28日にちには、海賊かいぞく対処たいしょ法ほうの制定せいていを待またずに閣議かくぎ決定けっていに基もとづき防衛ぼうえい大臣だいじんが海上かいじょう自衛隊じえいたいに対たいし自衛隊じえいたい法ほう第だい82条じょうに基もとづく海上かいじょう警備けいび行動こうどうを発令はつれいし、これを根拠こんきょ法ほうとして護衛ごえい艦かんの派遣はけんを決定けっていし、取調とりしらべなどの司法しほう警察けいさつ活動かつどうは護衛ごえい艦かんに同乗どうじょうした海上かいじょう保安ほあん官かんが実施じっしすることも決定けっていした。

こうして2009年ねん3月がつ14日にちから護衛ごえい艦かんの派遣はけんが開始かいしされたが、派遣はけん当初とうしょは海賊かいぞく対処たいしょ法ほうが未み施行しこうで海上かいじょう警備けいび行動こうどう下かでの取とり締しまり活動かつどうであったため、海賊かいぞく対策たいさく水上すいじょう部隊ぶたいが行おこなう射撃しゃげきは正当せいとう防衛ぼうえい射撃しゃげきなどに限かぎって認みとめられ、外国がいこく船舶せんぱくの救難きゅうなん要請ようせいに対たいしては、船員せんいん法ほう14条じょうを根拠こんきょに救援きゅうえんしていた^[1]。

第だい171回かい国会こっかいで本ほん法案ほうあんの審議しんぎが長引ながびき、国会こっかい会期かいき期限きげんの6月がつ3日にちを超こえたが、同月どうげつ11日にちに与野党よやとうが本ほん法案ほうあんを同月どうげつ19日にちにまでに成立せいりつするよう調整ちょうせいし^[2]、同月どうげつ19日にちに本ほん法案ほうあんは成立せいりつした。本法ほんぽうは同月どうげつ24日にちに公布こうふ、30日にち後ごの7月がつ24日にちに施行しこうされ、同日どうじつに既すでに派遣はけんされていた部隊ぶたいが活動かつどうするための根拠こんきょ法ほうが海上かいじょう警備けいび行動こうどうから海賊かいぞく対処たいしょ法ほうに変かわった。

成立せいりつした本法ほんぽうの第だい6条じょうにおいて、警職法ほう第だい7条じょうの要件ようけんの他ほかに、海賊かいぞく行為こういをする目的もくてきで接近せっきん・付つきまとい・進路しんろ妨害ぼうがいする海賊かいぞく船せんを停船ていせんさせるために海上かいじょう保安ほあん官かんが武器ぶきを使用しようできることを明文化めいぶんかしたことで、警告けいこくを無視むしして接近せっきんする海賊かいぞく船せんの船体せんたいに武器ぶきを使用しようして海賊かいぞくの身体しんたいに危害きがいを与あたえても海上かいじょう保安ほあん官かんの違法いほう性せい阻却事由じゆうが成立せいりつすることが明あかり定じょうされた。これにより海上かいじょう保安ほあん官かんは、護衛ごえいする航行こうこう船舶せんぱくに接近せっきんする海賊かいぞく船せんへの船体せんたい射撃しゃげきを容易よういにできるようになり、さらに外国がいこく船舶せんぱくも護衛ごえいできるようになったことから、実効じっこう性せいのある海賊かいぞく取締とりしまりが可能かのうになった。

内容ないよう

法律ほうりつの目的もくてきと海賊かいぞく行為こういの定義ていぎ、対処たいしょに関かんする根拠こんきょや海賊かいぞく行為こういへの罰則ばっそくを定さだめる。2条じょうは、海賊かいぞくの行為こういを、船舶せんぱく（軍艦ぐんかん等とうを除のぞく）に乗船じょうせんした者ものが、私的してき目的もくてきで公海こうかいまたは日本にっぽん国こく領海りょうかい等とうで行おこなう次つぎの7項目こうもくと定義ていぎする。

暴行ぼうこう若もしくは脅迫きょうはくを用もちい、又またはその他たの方法ほうほうにより人ひとを抵抗ていこう不能ふのうの状態じょうたいに陥おとしいれて、航行こうこう中ちゅうの他ほかの船舶せんぱくを強つよ取とし、又またはほしいままにその運航うんこうを支配しはいする行為こうい
暴行ぼうこう若もしくは脅迫きょうはくを用もちい、又またはその他たの方法ほうほうにより人ひとを抵抗ていこう不能ふのうの状態じょうたいに陥おとしいれて、航行こうこう中ちゅうの他ほかの船舶せんぱく内ないにある財物ざいぶつを強つよ取とし、又または財産ざいさん上じょう不法ふほうの利益りえきを得え、若もしくは他人たにんにこれを得えさせる行為こうい
第三者だいさんしゃに対たいして財物ざいぶつの交付こうふその他た義務ぎむのない行為こういをすること又または権利けんりを行おこなわないことを要求ようきゅうするための人質ひとじちにする目的もくてきで、航行こうこう中ちゅうの他ほかの船舶せんぱく内ないにある者ものを略取りゃくしゅする行為こうい
強つよ取とされ若もしくはほしいままにその運航うんこうが支配しはいされた航行こうこう中ちゅうの他ほかの船舶せんぱく内ないにある者もの又または航行こうこう中ちゅうの他ほかの船舶せんぱく内ないにおいて略取りゃくしゅされた者ものを人質ひとじちにして、第三者だいさんしゃに対たいし、財物ざいぶつの交付こうふその他た義務ぎむのない行為こういをすること又または権利けんりを行おこなわないことを要求ようきゅうする行為こうい
前ぜん各号かくごうのいずれかに係かかる海賊かいぞく行為こういをする目的もくてきで、航行こうこう中ちゅうの他ほかの船舶せんぱくに侵入しんにゅうし、又またはこれを損壊そんかいする行為こうい
1から4までのいずれかに係かかる海賊かいぞく行為こういをする目的もくてきで、船舶せんぱくを航行こうこうさせて、航行こうこう中ちゅうの他ほかの船舶せんぱくに著いちじるしく接近せっきんし、若もしくはつきまとい、又またはその進行しんこうを妨さまたげる行為こうい
1から4までのいずれかに係かかる海賊かいぞく行為こういをする目的もくてきで、凶器きょうきを準備じゅんびして船舶せんぱくを航行こうこうさせる行為こうい

上記じょうき1から4は、無期むきまたは5年ねん以上いじょうの懲役ちょうえきに処しょせられる（3条じょう1項こう）。1から3は未遂みすいも処罰しょばつされる（3条じょう2項こう）。
- さらに人ひとを負傷ふしょうさせた場合ばあいは無期むきまたは6年ねん以上いじょうの懲役ちょうえき、死亡しぼうさせた場合ばあいは死刑しけいまたは無期むき懲役ちょうえきに処しょせられる（4条じょう）。未遂みすいも（致死傷ちししょう未遂みすい罪ざいとして）処罰しょばつされる（4条じょう2項こう）。
上記じょうき5と6は、5年ねん以下いかの懲役ちょうえきに処しょせられる。
上記じょうき7は、3年ねん以下いかの懲役ちょうえきに処しょせられる。

刑事けいじ訴訟そしょう

2011年ねん3月がつ5日にち、ソマリア沖おきを航行こうこう中ちゅうの商船しょうせん三井みついのタンカー「グアナバラ号ごう」（船籍せんせきは外国がいこく）に4人にんの海賊かいぞくが小型こがた船せんで乗のり込こんで船長せんちょう室しつのドアに向むけて自動じどう小銃しょうじゅうを発射はっしゃするソマリア沖おき商船しょうせん三井みついタンカー襲撃しゅうげき事件じけんが発生はっせい。その後ご、アメリカ海軍かいぐんによって身柄みがら拘束こうそくされた4人にんの海賊かいぞくが海上保安庁かいじょうほあんちょうに引ひき渡わたされた。同年どうねん4月がつに日本にっぽんで初はじめて海賊かいぞく処罰しょばつ法ほうで4人にんの容疑ようぎ者しゃが起訴きそ。裁判さいばん員いん裁判さいばんの対象たいしょうとなった。

主務しゅむ官庁かんちょう

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ 世界せかい日報にっぽう^{[リンク切きれ]} - 海賊かいぞく対策たいさく第だい2陣じん海自かいじ活動かつどうに不十分ふじゅうぶんな法体ほうたい系けい、2009年ねん7月がつ6日にち。愛媛えひめ新聞しんぶんONLINE^{[リンク切きれ]} - 海賊かいぞく対処たいしょ法ほう成立せいりつ自衛隊じえいたいに頼たよる外交がいこう力りょくの貧まずしさ、2009年ねん6月がつ22日にち。
^ 47NEWS - 19日にちまでに成立せいりつへ海賊かいぞく対処たいしょ、年金ねんきん法案ほうあんなど、2009年ねん6月がつ11日にち。