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産前産後休業 - Wikipedia

産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう

女性じょせい労働ろうどうしゃ母体ぼたい保護ほごのため出産しゅっさん前後ぜんごにおいてとる休業きゅうぎょう
産休さんきゅうから転送てんそう

産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう(さんぜんさんごきゅうぎょう)は、女性じょせい労働ろうどうしゃ母体ぼたい保護ほごのため出産しゅっさん前後ぜんごにおいてとる休業きゅうぎょう期間きかんである。産休さんきゅうともしょうされる。ほん記事きじでは産前さんぜん産後さんごにおける労働ろうどう基準きじゅんほうじょう就業しゅうぎょうじょう措置そちについてもあわせてべる。

1982ねんのILOだい158ごう条約じょうやくでは、出産しゅっさん休暇きゅうか取得しゅとくしたことによる解雇かいこ不当ふとう解雇かいこにあたるとさだめられた(日本にっぽん批准ひじゅん)。

さらに1919ねんILOだい3ごう条約じょうやくでは、産前さんぜん6しゅう申出もうしで産後さんご6しゅう強制きょうせい)の休業きゅうぎょうおよ休業きゅうぎょうちゅう所得しょとく保障ほしょうはじめてさだめた。その1952ねんのILO103ごう条約じょうやく改正かいせいがあり、2000ねんILO183ごう条約じょうやくでは産前さんぜん産後さんごわせて14しゅう休業きゅうぎょう拡大かくだいした(日本にっぽん中国ちゅうごく韓国かんこくはいずれも批准ひじゅん)。

日本にっぽんにおいては、工場こうじょうほう(1911ねん)において5しゅう産後さんご休業きゅうぎょうさだめたことにはじまり、その産前さんぜん4しゅう産後さんご6しゅう拡大かくだいされ、戦後せんご労働ろうどう基準きじゅんほうにも産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう規定きていもうけられた。1986ねん改正かいせいにより産後さんご8しゅう拡大かくだい、また多胎たたい妊娠にんしん場合ばあい産前さんぜん10しゅう拡大かくだいされ、1997ねん改正かいせい現行げんこう規定きていとなる。一方いっぽうで、1970年代ねんだい男女だんじょ同一どういつ賃金ちんぎんとしていた企業きぎょうでも、産休さんきゅう欠勤けっきんあつかいとするれいもあった[3]

1908ねん1がつ長野ながのけんは、おんな教員きょういん妊娠にんしん規定きていさだめる(はじめて産前さんぜん産後さんご2かげつ有給ゆうきゅう休養きゅうよう獲得かくとく[4]。1911ねん10がつ24にちおんな教員きょういん妊娠にんしん分娩ぶんべん休暇きゅうか期間きかんを3週間しゅうかんから5週間しゅうかん改正かいせい[5]。1922ねん9がつ18にち文部省もんぶしょうは、おんな教員きょういん保姆ほぼはじめて産前さんぜん産後さんご有給ゆうきゅう休養きゅうようみとめるよう訓令くんれいはっした。

日本にっぽん法的ほうてき規制きせい

編集へんしゅう

女性じょせい労働ろうどうしゃ妊娠にんしんしているかかについて事業じぎょうぬし早期そうき把握はあくし、適切てきせつ対応たいおうはかることが必要ひつようであり、そのため、事業じぎょうじょうにおいて女性じょせい労働ろうどうしゃからの申出もうしで診断しんだんしょ提出ていしゅつとう所要しょよう手続てつづきさだめ、適切てきせつ運用うんようされることがのぞましい(平成へいせい18ねん10がつ11にちもとはつ1011001ごう)。以下いか規定きてい女性じょせい管理かんり監督かんとくしゃとうの、いわゆるだい41じょう該当がいとうしゃであっても、だい66じょう1こう、2こうのぞ同様どうよう適用てきようされる。

なお、船員せんいんには労働ろうどう基準きじゅんほう妊産婦にんさんぷとう規定きてい適用てきようされないが(だい116じょう)、妊娠にんしんちゅう女子じょし船内せんない使用しようすることは原則げんそく禁止きんしされる(船員せんいんほうだい87じょう)。産後さんご8しゅうおよ軽易けいい作業さぎょうについては船員せんいんについても労働ろうどう基準きじゅんほう同様どうようである。

休業きゅうぎょう期間きかん

編集へんしゅう

だい65じょう産前さんぜん産後さんご

  1. 使用しようしゃは、6週間しゅうかん多胎たたい妊娠にんしん場合ばあいにあつては、14週間しゅうかん以内いない出産しゅっさんする予定よてい女性じょせい休業きゅうぎょう請求せいきゅうした場合ばあいにおいては、そのもの就業しゅうぎょうさせてはならない。
  2. 使用しようしゃは、産後さんご8週間しゅうかん経過けいかしない女性じょせい就業しゅうぎょうさせてはならない。ただし、産後さんご6週間しゅうかん経過けいかした女性じょせい請求せいきゅうした場合ばあいにおいて、そのものについて医師いし支障ししょうがないとみとめた業務ぎょうむかせることは、つかえない。

産前さんぜんにおいては、使用しようしゃは、6週間しゅうかん多胎たたい妊娠にんしん場合ばあいにあっては14週間しゅうかん以内いない出産しゅっさんする予定よてい女性じょせい休業きゅうぎょう請求せいきゅうした場合ばあいにおいては、そのもの就業しゅうぎょうさせてはならない(だい65じょう1こう)。ILO183ごう条約じょうやく対応たいおうしている。

  • 起算きさん原則げんそくとして自然しぜん分娩ぶんべん予定よていである。
  • 実際じっさい出産しゅっさん予定よていである場合ばあい休業きゅうぎょう期間きかんはそのおくれた日数にっすうぶん延長えんちょうされる。なお、出産しゅっさん当日とうじつは「産前さんぜん」にふくまれる(昭和しょうわ25ねん3がつ31にちもとおさむ4057ごう)。
  • 女性じょせい請求せいきゅうしなければ、出産しゅっさんまで就業しゅうぎょうさせてつかえない。

産後さんごにおいては、使用しようしゃは、産後さんご8週間しゅうかん経過けいかしない女性じょせいを、就業しゅうぎょうさせることができない。ただし、産後さんご6週間しゅうかん経過けいかした女性じょせい請求せいきゅうした場合ばあいにおいて、そのものについて医師いし支障ししょうがないとみとめた業務ぎょうむかせることは、つかえない(だい65じょう2こう)。

  • 起算きさんは、1こうとはことなり、現実げんじつ出産しゅっさんである。
  • この場合ばあいの「出産しゅっさん」には、妊娠にんしんだい4がつ以降いこう流産りゅうざん早産そうざんおよ人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ[ちゅう 1]ならびに、死産しざん場合ばあいふくむ(昭和しょうわ23ねん12月23にちもとはつ1885ごう昭和しょうわ26ねん4がつ2にちはつ113ごう)。
  • 産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう期間きかんちゅうに、その女性じょせい労働ろうどうしゃぞくする労働ろうどう組合くみあいによる争議そうぎ行為こういストライキひとし)がおこなわれたとしても、その期間きかん当該とうがい女性じょせい労働ろうどうしゃ産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょうとしてあつかわれる(昭和しょうわ27ねん7がつ25にちもとおさむ383ごう)。

解雇かいこ制限せいげん

編集へんしゅう

使用しようしゃは、産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう期間きかんちゅうおよびその30日間にちかんは、当該とうがい労働ろうどうしゃ解雇かいこしてはならない(だい19じょう)。懲戒ちょうかい解雇かいこ場合ばあいであっても同様どうようである。ただし、天災てんさい事変じへんそのやむをない事由じゆうのため事業じぎょう継続けいぞく不可能ふかのうとなった場合ばあいには、行政ぎょうせい官庁かんちょう所轄しょかつ労働ろうどう基準きじゅん監督かんとくしょちょう)の認定にんていけたうえ解雇かいこ制限せいげん解除かいじょされる。船員せんいんにも同様どうよう規定きていがある(船員せんいんほうだい44じょうの2)[ちゅう 2]。なお、産前さんぜん6週間しゅうかん女性じょせい休業きゅうぎょう請求せいきゅうせずに就労しゅうろうしている場合ばあい解雇かいこ制限せいげん対象たいしょうとはならないが、労働ろうどう基準きじゅん監督かんとくしょではその期間きかん当該とうがい女性じょせい労働ろうどうしゃ解雇かいこしないよう行政ぎょうせい指導しどうおこなっている(昭和しょうわ25ねん6がつ16にちもとおさむ1526ごう)。

事業じぎょうぬしは、その雇用こようする女性じょせい労働ろうどうしゃ妊娠にんしんしたこと、出産しゅっさんしたこと、産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう請求せいきゅうし、また産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょうをしたこととう理由りゆうとして、当該とうがい女性じょせい労働ろうどうしゃたいして解雇かいこその不利益ふりえき取扱とりあつかいをしてはならず(男女だんじょ雇用こよう機会きかい均等きんとうほうだい9じょう3こう)、妊娠にんしんちゅうおよ産後さんご1ねん経過けいかしない女性じょせい労働ろうどうしゃたいしてなされた解雇かいこその不利益ふりえき取扱とりあつかいは、無効むこうとなる(さいはんひらめ26.10.23)。ただし、事業じぎょうぬし当該とうがい解雇かいこがこれらを理由りゆうとする解雇かいこでないことを証明しょうめいしたときは、このかぎりでない(男女だんじょ雇用こよう機会きかい均等きんとうほうだい9じょう4こう)。男女だんじょ雇用こよう機会きかい均等きんとうほう罰則ばっそくさだめはないが、厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんは、違反いはんした事業じぎょうぬしたいして勧告かんこくすることができ、事業じぎょうぬし勧告かんこくしたがわなかったときは、そのむね公表こうひょうすることができる(男女だんじょ雇用こよう機会きかい均等きんとうほうだい29じょうだい30じょう)。また事業じぎょうぬし職場しょくばにおける産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょうとうかんする言動げんどうにより労働ろうどうしゃ就業しゅうぎょう環境かんきょうがいされている事実じじつ把握はあくしていながら、男女だんじょ雇用こよう機会きかい均等きんとうほうじょう各種かくしゅ雇用こよう管理かんりじょう必要ひつよう措置そちこうじなかったことにより当該とうがい労働ろうどうしゃ離職りしょくした場合ばあい当該とうがい離職りしょくしゃ雇用こよう保険ほけん基本きほん手当てあて受給じゅきゅうたり、「特定とくてい受給じゅきゅう資格しかくしゃ」としてあつかわれ、一般いっぱん受給じゅきゅう資格しかくしゃよりも所定しょてい給付きゅうふ日数にっすうおおくなる。また特定とくてい受給じゅきゅう資格しかくしゃ発生はっせいさせた事業じぎょうぬしは、雇用こよう保険ほけんほうじょう各種かくしゅ助成じょせいきん当分とうぶんあいだけられなくなる。

産前さんぜん産後さんごにおける就業しゅうぎょうじょう措置そち

編集へんしゅう

軽易けいい業務ぎょうむへの転換てんかん

編集へんしゅう

だい65じょう

3 使用しようしゃは、妊娠にんしんちゅう女性じょせい請求せいきゅうした場合ばあいにおいては、軽易けいい業務ぎょうむ転換てんかんさせなければならない。

だい65じょう3こう原則げんそくとして妊娠にんしんちゅう女性じょせい請求せいきゅうした業務ぎょうむ転換てんかんさせる趣旨しゅしである(昭和しょうわ22ねん9がつ13にちはつもと17ごう)。この「軽易けいい業務ぎょうむ」については、軽易けいい業務ぎょうむがない場合ばあいにおいてあらたに軽易けいい業務ぎょうむ創設そうせつしてまであたえる義務ぎむはない(昭和しょうわ61ねん3がつ20日はつかもとはつ151ごうはつ69ごう)。また軽易けいい業務ぎょうむがないためにやむを休業きゅうぎょうする場合ばあいにおいては、休業きゅうぎょう手当てあて支払しはら必要ひつようはない。

妊産婦にんさんぷ労働ろうどう時間じかん特例とくれい

編集へんしゅう

だい66じょう

  1. 使用しようしゃは、妊産婦にんさんぷ請求せいきゅうした場合ばあいにおいては、だい32じょうの2だい1こうだい32じょうの4だい1こうおよだい32じょうの5だい1こう規定きていにかかわらず、1週間しゅうかんについてだい32じょうだい1こう労働ろうどう時間じかん、1にちについてどうじょうだい2こう労働ろうどう時間じかんえて労働ろうどうさせてはならない。
  2. 使用しようしゃは、妊産婦にんさんぷ請求せいきゅうした場合ばあいにおいては、だい33じょうだい1こうおよだい3こうならびにだい36じょうだい1こう規定きていにかかわらず、時間じかんがい労働ろうどうをさせてはならず、また休日きゅうじつ労働ろうどうさせてはならない。
  3. 使用しようしゃは、妊産婦にんさんぷ請求せいきゅうした場合ばあいにおいては、深夜しんやぎょうをさせてはならない。

妊産婦にんさんぷ」とは、妊娠にんしんちゅう女性じょせいおよ産後さんご1ねん経過けいかしない女性じょせいをいう。だい66じょう1こうは、1カ月かげつ単位たんい変形へんけい労働ろうどう時間じかんせい1ねん単位たんい変形へんけい労働ろうどう時間じかんせい1週間しゅうかん単位たんい定型ていけいてき変形へんけい労働ろうどう時間じかんせい採用さいようしている場合ばあいであっても、時間じかんがい労働ろうどうかか妊産婦にんさんぷ取扱とりあつかいとの均衡きんこうにかんがみ、妊産婦にんさんぷについては1週間しゅうかんについて1しゅう法定ほうてい労働ろうどう時間じかん、1にちについて1にち法定ほうてい労働ろうどう時間じかんえて労働ろうどうさせてはならないこととするものである(昭和しょうわ63ねん1がつ1にちもとはつ1ごう)。なおフレックスタイムせいについてはこのかぎりではない。

だい66じょう2こうは、災害さいがいひとししくは公務こうむのために臨時りんじ必要ひつようがある場合ばあいまたさんろく協定きょうてい締結ていけつしている場合ばあいであっても、妊産婦にんさんぷについては時間じかんがい労働ろうどう休日きゅうじつ労働ろうどうをさせてはならないこととするものであり、だい66じょう3こう妊産婦にんさんぷについては深夜しんやぎょうをさせてはならないこととするものである。なお妊産婦にんさんぷ請求せいきゅうしなければ、時間じかんがい休日きゅうじつ労働ろうどう深夜しんやぎょうをさせてよい。また、だい41じょう該当がいとうしゃたる妊産婦にんさんぷについては請求せいきゅうがあったとしても、時間じかんがい休日きゅうじつ労働ろうどうをさせてよいが深夜しんやぎょうはさせてはならない(昭和しょうわ61ねん3がつ20日はつかもとはつ151ごうはつ69ごう)。

妊娠にんしんちゅう女性じょせいについては、だい65じょう3こう軽易けいい業務ぎょうむへの転換てんかんだい66じょう時間じかんがい労働ろうどうとう制限せいげんのいずれか一方いっぽうまた双方そうほうおこなうことをさまたげない(昭和しょうわ61ねん3がつ20日はつかもとはつ151ごうはつ69ごう)。

育児いくじ時間じかん

編集へんしゅう

だい67じょう育児いくじ時間じかん

  1. 生後せいごまん1ねんたっしないなまそだてる女性じょせいは、だい34じょう休憩きゅうけい時間じかんのほか、1にち2かい各々おのおのすくなくとも30ふん、そのなまそだてるための時間じかん請求せいきゅうすることができる。
  2. 使用しようしゃは、前項ぜんこう育児いくじ時間じかんちゅうは、その女性じょせい使用しようしてはならない。

だい67じょうは、ILO3ごう条約じょうやく日本にっぽん批准ひじゅん)にならって工場こうじょうほう施行しこう規則きそくさだめた哺育ほいく時間じかんいだ規定きていである。哺乳ほにゅうのための時間じかん休憩きゅうけい時間じかんとはべつ確保かくほする立法りっぽう趣旨しゅしであるので、男性だんせい請求せいきゅうしても、育児いくじ時間じかんあたえる必要ひつようはない。なお「なま」については、かならずしもその女性じょせい出産しゅっさんしたである必要ひつようはない。

  • だい67じょう実効じっこう確保かくほするためだい規模きぼ事業じぎょうじょうにはできるかぎ託児たくじしょ設置せっちするよう指導しどうすること、とされている(昭和しょうわ22ねん9がつ13にちはつもと17ごう)。
  • 育児いくじ時間じかんは、労働ろうどう時間じかんはじめ、途中とちゅうわりのいずれの時間じかんあたえてもよい。育児いくじ時間じかん有給ゆうきゅうとするかかは、当事とうじしゃ自由じゆうであり、無給むきゅうでもよい(昭和しょうわ33ねん6がつ25にちもとおさむ4317ごう[ちゅう 3]
  • 1にち労働ろうどう時間じかんが4時間じかん以内いないである場合ばあいには、1にち1かい育児いくじ時間じかん付与ふよりる(昭和しょうわ36ねん1がつ9にちもとおさむ8996ごう)。
  • 「30ふん」には、託児たくじしょまでの往復おうふく時間じかんふくが、往復おうふく所要しょよう時間じかんのぞいた実質じっしつてき育児いくじ時間じかんあたえられることがのぞましい(昭和しょうわ25ねん7がつ22にちもとおさむ2314ごう)。

だい67じょう使用しようしゃ許可きょか承認しょうにんさだめていないので、育児いくじ時間じかん取得しゅとくは、女性じょせい労働ろうどうしゃ請求せいきゅうのみで成立せいりつする(形成けいせいけん)。なお、女性じょせい労働ろうどうしゃ請求せいきゅうしなければ、育児いくじ時間じかんあたえなくてもよい。

だい67じょう上述じょうじゅつとお本来ほんらい授乳じゅにゅうのための時間じかんという趣旨しゅしであるが、それに限定げんていされるものではない。だい67じょう制度せいど授乳じゅにゅうよりも一般いっぱんてき育児いくじのために利用りようされれば女性じょせいのみを保障ほしょう対象たいしょうとする根拠こんきょ薄弱はくじゃくとなり、育児いくじ従事じゅうじする男女だんじょ労働ろうどうしゃ共通きょうつう権利けんりとしてさい構成こうせいされる必要ひつようがある[6]。なお2009ねん平成へいせい21ねん)の育児いくじ介護かいご休業きゅうぎょうほう改正かいせいによりさだめられた「3さい未満みまん養育よういくする労働ろうどうしゃ所定しょてい労働ろうどう時間じかん短縮たんしゅく措置そち」(育児いくじ介護かいご休業きゅうぎょうほうだい23じょう)とだい67じょう育児いくじ時間じかん両方りょうほう請求せいきゅうすることは可能かのうである(平成へいせい28 ねん8がつ2にちしょくはつ0802だい1ごう)。

賃金ちんぎん支払しはらいとう

編集へんしゅう

産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう期間きかんちゅう賃金ちんぎん支払しはらいについては、労働ろうどう基準きじゅんほうじょう産前さんぜん産後さんご期間きかんちゅう賃金ちんぎん保障ほしょう義務付ぎむづけておらず、かく企業きぎょう就業しゅうぎょう規則きそくひとしによる。そのために賃金ちんぎん支払しはらいけられないものたいして、健康けんこう保険ほけんひとし保険ほけんしゃであって所定しょてい要件ようけんたすものは、出産しゅっさん手当てあてきんとして休業きゅうぎょう1にちにつき標準ひょうじゅん報酬ほうしゅう日額にちがくの3ぶんの2相当そうとうがく支給しきゅうされる。

ほう改正かいせいにより、平成へいせい26ねん4がつ30にち以降いこう産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう終了しゅうりょうとなる保険ほけんしゃについては、 産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう期間きかんちゅう健康けんこう保険ほけん厚生こうせい年金ねんきん保険ほけん保険ほけんりょうが、事業じぎょうぬしさるにより、保険ほけんしゃぶんおよ事業主じぎょうぬしぶんとも免除めんじょされる。この申出もうしでしょは、産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう期間きかんちゅう事業じぎょうぬし日本にっぽん年金ねんきん機構きこう提出ていしゅつする。保険ほけんしゃ産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう期間きかん変更へんこうしたとき、または産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう終了しゅうりょう予定よてい前日ぜんじつまでに産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう終了しゅうりょうしたときは、すみやかに「産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう取得しゅとくしゃ変更へんこう終了しゅうりょうとどけ」を日本にっぽん年金ねんきん機構きこう提出ていしゅつする。

産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう終了しゅうりょう平成へいせい26ねん4がつ1にち以降いこう保険ほけんしゃ対象たいしょうに、産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう終了しゅうりょう当該とうがい産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょうかか養育よういくしている保険ほけんしゃは、一定いってい条件じょうけんたす場合ばあい産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう終了しゅうりょう翌日よくじつぞくするつき以後いご3ヶ月かげつあいだけた報酬ほうしゅう平均へいきんがくもとづき、4かげつ標準ひょうじゅん報酬ほうしゅう月額げつがくから改定かいていすることができる。つまり、休業きゅうぎょうによる賃金ちんぎん低下ていか即応そくおうして標準ひょうじゅん報酬ほうしゅう月額げつがく減額げんがく改定かいていし、健康けんこう保険ほけん厚生こうせい年金ねんきん保険ほけん保険ほけんりょうやすくできる。保険ほけんしゃ事業じぎょうぬし経由けいゆして、「産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう終了しゅうりょう報酬ほうしゅう月額げつがく変更へんこうとどけ」を日本にっぽん年金ねんきん機構きこうすみやかに提出ていしゅつする。ただし、産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう終了しゅうりょう翌日よくじつ育児いくじ休業きゅうぎょう開始かいししている場合ばあいは、この申出もうしではできず、育児いくじ休業きゅうぎょう終了しゅうりょう同様どうようさるおこなう。またこれらの規定きていにより標準ひょうじゅん報酬ほうしゅう月額げつがく減額げんがく改定かいていされても、が3さいになるまでは年金ねんきんがく計算けいさんについては、減額げんがく改定かいていされるまえ標準ひょうじゅん報酬ほうしゅう月額げつがく計算けいさんされ、保険ほけんりょう負担ふたんおさえられたまま従来じゅうらい年金ねんきんがく保障ほしょうされる。

平均へいきん賃金ちんぎん算定さんていするさいには、産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう期間きかんちゅう日数にっすう算定さんてい期間きかんから除外じょがいされる(だい12じょう3こう2ごう)。この期間きかんふくめると、不当ふとう平均へいきん賃金ちんぎんひくくなるおそれがあるためである。また、年次ねんじ有給ゆうきゅう休暇きゅうか付与ふよ判断はんだんする出勤しゅっきんりつ計算けいさんにおいては、産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう期間きかんちゅう出勤しゅっきんしたものとしてあつかわれる(だい39じょう10こう)。

罰則ばっそく

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だい19じょうだい65じょう~だい67じょう規定きてい違反いはんしたものは、6ヶ月かげつ以下いか懲役ちょうえきまたは30まんえん以下いか罰金ばっきんしょする(だい119じょう)。

産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう取得しゅとく状況じょうきょう

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労働ろうどう基準きじゅんほうじょう産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう労働ろうどうしゃ権利けんりとしてみとめられていて、事業じぎょうぬし産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう請求せいきゅうおうじなければならないが、日本にっぽん企業きぎょう社会しゃかいには、「おとこおんなことなる社会しゃかいてき役割やくわりがある。おとこ社会しゃかいはたら家族かぞくやしな収入しゅうにゅうる。おんな専業せんぎょう主婦しゅふとして家事かじ育児いくじをする。」というかんがえや、「産前さんぜん産後さんご休業きゅうぎょう取得しゅとくされたら、おな職場しょくばはたらひとにとっても、経営けいえいしゃにとっても迷惑めいわくでしかない。」というかんがえをち、ほう違反いはん承知しょうち結婚けっこん妊娠にんしんした女性じょせいを、様々さまざま方法ほうほう退職たいしょく事業じぎょうぬし存在そんざいする(マタニティハラスメント)。結婚けっこん妊娠にんしんした女性じょせいがわも、そのような職場しょくば見限みかぎって、自分じぶん家族かぞく利益りえきまもるためにやむなく退職たいしょく転職てんしょくする事例じれいられる。その結果けっか日本にっぽんでは、結婚けっこん出産しゅっさん以前いぜんや、子供こども成長せいちょうにより育児いくじ負担ふたんすくなくなる以後いご比較ひかくして、結婚けっこん出産しゅっさんから子供こども小学校しょうがっこうてい学年がくねん育児いくじ女性じょせい就業しゅうぎょうりつひくくなっている。このことは、女性じょせい労働ろうどうりょくりつしめ指標しひょうにおいて、いわゆる「Mカーブ」とばれる現象げんしょう如実にょじつあらわれている[7]。その事例じれいとして、職場しょくばからの長期ちょうき離脱りだつ理由りゆう正社員せいしゃいんから契約けいやく社員しゃいん変更へんこうしたところ問題もんだいとなったことから、今後こんご対応たいおう懸念けねんさせる[8][9][10]

海外かいがい

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  • 厳格げんかく学術がくじゅつ小児科しょうにか先駆せんくしゃ」は、罪悪ざいあくかんたずに産休さんきゅうることを推奨すいしょうしている[11]
  • アメリカではくにとして産休さんきゅう育休いくきゅう制度せいどいため、職場しょくばによっては出産しゅっさん直後ちょくご出勤しゅっきんする必要ひつようがあった[12]対応たいおうさくとしてバラク・オバマ政権せいけん時代じだい企業きぎょう搾乳さくにゅうする場所ばしょ時間じかん提供ていきょう義務ぎむした[12]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ場合ばあい産前さんぜん6しゅう問題もんだいしょうじない(昭和しょうわ26ねん4がつ2にちはつ113ごう)。
  2. ^ 船員せんいん解雇かいこ制限せいげん解除かいじょについての認定にんていは、国土こくど交通こうつう大臣だいじんおこなう。
  3. ^ 2000ねん平成へいせい12ねん)に採択さいたくされたILO183ごう条約じょうやく日本にっぽん批准ひじゅん)では、哺育ほいくのための時間じかん労働ろうどう時間じかんとして算定さんていされ、その算定さんていしたがって報酬ほうしゅうあたえられる、とさだめている。

出典しゅってん

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  1. ^ 野田のだすすむ休暇きゅうか概念がいねん法的ほうてき意義いぎ休暇きゅうか政策せいさく─「休暇きゅうかとして」やすむということ」『日本にっぽん労働ろうどう研究けんきゅう雑誌ざっしだい625かん労働ろうどう政策せいさく研究けんきゅう研修けんしゅう機構きこう、2012ねん8がつNAID 40019394013 
  2. ^ 神吉かんきとも郁子むべ休日きゅうじつ休暇きゅうか休業きゅうぎょう」『日本にっぽん労働ろうどう研究けんきゅう雑誌ざっしだい657かん労働ろうどう政策せいさく研究けんきゅう研修けんしゅう機構きこう、2015ねん4がつ 
  3. ^ 関西かんさいらす・はたら女性じょせい発信はっしんするライフスタイルコミュニティ「関西かんさいウーマン」”. 関西かんさいウーマン. 2023ねん12月25にち閲覧えつらん
  4. ^ 教育きょういく時論じろん 明治めいじ41ねん1がつ15にち
  5. ^ 下川しもかわ耿史 『環境かんきょう年表ねんぴょう 明治めいじ大正たいしょうへん(1868-1926)』p332 河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ 2003ねん11月30日刊にっかん 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:20522067
  6. ^ 西谷にしたにさとし労働ろうどうほう だい2はん日本にっぽん評論ひょうろんしゃ p.350
  7. ^ 女性じょせい労働ろうどうりょくりつ(Mカーブ)の形状けいじょう背景はいけい ないかく男女だんじょ共同きょうどう参画さんかくきょく
  8. ^ やと”. 2019ねん11月28にち閲覧えつらん
  9. ^ 判決はんけつ”. 2020ねん12月9にち閲覧えつらん
  10. ^ 解説かいせつ”. 2020ねん12月9にち閲覧えつらん
  11. ^ October, Tessie W. (2015-09-17). “Work–Life Balance is an Illusion: Replace Guilt with Acceptance”. Frontiers in Pediatrics 3. doi:10.3389/fped.2015.00076. ISSN 2296-2360. PMC PMC4585105. PMID 26442236. http://journal.frontiersin.org/Article/10.3389/fped.2015.00076/abstract. 
  12. ^ a b 日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい. “復帰ふっきママのなやみ “搾乳さくにゅう”のつらさをって | NHK | WEB特集とくしゅう”. NHKニュース. 2022ねん4がつ27にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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