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綾瀬川 - Wikipedia
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綾瀬川あやせがわ

埼玉さいたま県けんおよび東京とうきょう都とを流ながれる河川かせん。利根川とねがわ水系すいけい中川なかがわの支流しりゅうである。
曖昧さ回避 この項目こうもくでは、関東かんとう地方ちほうの河川かせんについて説明せつめいしています。大相撲おおずもう力士りきしについては「綾瀬川あやせがわ (四股しこ名めい)」をご覧らんください。

綾瀬川あやせがわ（あやせかわ、あやせがわ）は、埼玉さいたま県けんおよび東京とうきょう都とを流ながれる河川かせん。利根川とねがわ水系すいけい中川なかがわの支流しりゅうである。

綾瀬川あやせがわ
綾瀬川
綾瀬あやせ川がわと草加そうか松原まつばら（埼玉さいたま県けん草加そうか市し）
水系すいけい 一級いっきゅう水系すいけい 利根川とねがわ
種別しゅべつ 一級いっきゅう河川かせん
延長えんちょう 49.0[1] km
平均へいきん流量りゅうりょう -- m³/s
流域りゅういき面積めんせき 165.2[1] km²
水源すいげん 埼玉さいたま県けん桶川おけがわ市し
水源すいげんの標高ひょうこう -- m
河口かこう・合流ごうりゅう先さき 中川なかがわ（東京とうきょう都と葛飾かつしか区く）
流域りゅういき 埼玉さいたま県けん、東京とうきょう都と
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綾瀬川あやせがわ起点きてんの碑いしぶみ（桶川おけがわ市し小針領家こばりりょうけ）

地理ちり 編集へんしゅう

埼玉さいたま県けん桶川おけがわ市しの小針領家こばりりょうけ[1]の田園でんえん地帯ちたいの排水はいすいに源みなもとを発はっし、桶川おけがわ市営しえい運動うんどう場じょう付近ふきんを流ながれ東ひがしに向むかう。徐々じょじょに方向ほうこうを南東なんとうに変かえて北足立きたあだち郡ぐん伊奈いな町まちと蓮田はすだ市しの境さかいとなる。右岸うがんが上尾あげお市しに変かわるところで、原市はらいち沼川ぬまかわを合あわせる。以後いご蛇行だこうしながら南東なんとうに流ながれ、いくつもの農業のうぎょう用水ようすいや排水はいすい路ろの水みずをあわせて次第しだいに流量りゅうりょうを増ます。綾瀬川あやせがわによって形成けいせいされた低地ていちによって大宮おおみや台地だいちの片柳かたやなぎ支ささえ台だい、鳩ヶ谷はとがや支ささえ台だいおよび岩槻いわつき支ささえ台だいが隔へだてられている。

以後いご中川なかがわ低地ていちに至いたり、草加そうか市し、越谷こしがや市しあたりでは川幅かわはばが数すう十じゅうメートルになる。しかし草加そうか市しで綾瀬川あやせがわ放水ほうすい路ろを東ひがしに分わけ、一気いっきに流量りゅうりょうを減へらす。綾瀬川あやせがわ放水ほうすい路ろは洪水こうずい防止ぼうしのために作つくられたもので、東京とうきょう外がい環たまき自動車じどうしゃ道どうの下したを通とおって中川なかがわに流ながれ込こむ[注釈ちゅうしゃく 1]。

草加そうか市内しないでは古こ綾瀬川あやせがわを合あわせ、東京とうきょう都と足立あだち区くと埼玉さいたま県けん八潮やしお市しの境さかいに入はいる辺あたりで伝右でんね川がわ、毛もう長川ながかわを合あわせる。足立あだち区くでは花畑はなはた運河うんがで中川なかがわと連絡れんらくする。葛飾かつしか区くで荒川あらかわ放水ほうすい路ろの左ひだりに沿そって流ながれ、葛飾かつしか区く東四ひがしよつ木ぎで中川なかがわに合流ごうりゅうする。

荒川あらかわ放水ほうすい路ろが開削かいさくされる前まえは、現在げんざいの旧きゅう綾瀬川あやせがわを経由けいゆし隅田川すみだがわに合流ごうりゅうしていた[2]。

歴史れきし 編集へんしゅう

 
札場ふだば河岸かわぎし公園こうえん（日光にっこう街道かいどう・綾瀬川あやせがわの荷揚にあげ場じょう跡あと、草加そうか市し）の芭蕉ばしょう像ぞう

中世ちゅうせい 編集へんしゅう

戦国せんごく時代じだいの頃ころは利根川とねがわと荒川あらかわの本流ほんりゅうであった。当時とうじの利根川とねがわ・荒川あらかわは、現在げんざいの綾瀬川あやせがわ源流げんりゅうの近ちかく、桶川おけがわ市しと久喜くき市しの境さかいまで元荒川もとあらかわの流りゅう路ろをたどり、そこから現在げんざいの綾瀬川あやせがわの流りゅう路ろに入はいった[2]。現在げんざいの元荒川もとあらかわ下流かりゅうは、当時とうじ星川ほしかわのものであった。戦国せんごく時代じだいにこの間あいだを西にしから東ひがしにつなぐ水路すいろが開削かいさくされて本流ほんりゅうが東ひがしに流ながれるようになり、江戸えど時代じだいに備前びぜん堤つつみが築きずかれて綾瀬川あやせがわが分離ぶんりした[3]。この経緯けいいにより、一部いちぶの地図ちずには綾瀬川あやせがわ（旧きゅう荒川あらかわ）の括弧かっこ書がきが行おこなわれる事ことがある。

綾瀬川あやせがわの川筋かわすじは、武蔵むさし国こく内うちの足立あだち郡ぐんと埼玉さいたま郡ぐんの境界きょうかいとされていた[2]。

 
綾瀬川あやせがわ鐘がねか淵ふち（1857年ねん、歌川うたがわ広重ひろしげ）

近世きんせい 編集へんしゅう

江戸えど時代じだい初はじめまで、綾瀬あやせ川中かわなか下流かりゅうは低湿ていしつ地ちで通行つうこうが困難こんなんであった。また大雨おおあめが降ふるたびに川筋かわすじが変かわり、一定いっていしないことから「あやし川かわ」と呼よばれ[4][5][6]、後のちに「綾瀬川あやせがわ」と変かわっていったと伝つたえられる。まず伊奈いな忠次ただつぐらによって堤つつみが整備せいびされ、伊奈いな忠治ただはるらによって流量りゅうりょうを調整ちょうせいするために武蔵むさし国こく足立あだち郡ぐん内匠たくみ新田しんでん（現げん・足立あだち区く南花畑みなみはなはたの内匠たくみ橋きょう付近ふきん）-葛飾かつしか郡ぐん小菅こすが間あいだに平行へいこうして新しん綾瀬川あやせがわが開削かいさくされた（現在げんざいの綾瀬川あやせがわはこの新あたらしい流りゅう路ろを指さす）。流末りゅうまつは隅田川すみだがわに合流ごうりゅうしていたが、1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）の荒川あらかわ放水ほうすい路ろの開削かいさくによって分断ぶんだんされ、その左岸さがん側がわに沿そうように新しん流りゅう路ろが開削かいさくされて中川なかがわに合流ごうりゅうするように改あらためられ、1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）に竣工しゅんこうしている[7]。

備前びぜん堤つつみ（綾瀬川あやせがわ流域りゅういき）の開発かいはつ
 
綾瀬川あやせがわの雪ゆき（1915年ねん、高橋たかはし松まつ亭てい）

慶長けいちょう年間ねんかん（1596年ねん - 1615年ねん）には備前びぜん堤つつみが築造ちくぞうされ、綾瀬川あやせがわが荒川あらかわから切きり離はなされ、綾瀬川あやせがわ流域りゅういきの低湿ていしつ地ちの開発かいはつと綾瀬川あやせがわ自身じしんを流域りゅういきの用水ようすい源げんとしたという[8][注釈ちゅうしゃく 2]。

当時とうじの日光にっこう街道かいどう（奥州おうしゅう街道かいどう）は、江戸えど付近ふきんの千住せんじゅ宿やどから、いったん東ひがしに回まわって松戸まつど宿やどを経由けいゆし、西にしに戻もどって越えつヶ谷たに宿やどに出でてから北きたに向むかっていた。寛永かんえい7年ねん（1630年ねん）に草加そうか宿やどの設置せっちが決きまり、おそらく[要よう出典しゅってん]これにあわせて、天和てんわ3年ねん（1683年ねん）に綾瀬川あやせがわの直線ちょくせん化かの工事こうじが行おこなわれた。これ以後いご、日光にっこう街道かいどうは一部いちぶ綾瀬川あやせがわ沿ぞいを通とおるようになった。

舟運しゅううん 編集へんしゅう

綾瀬川あやせがわは「緩なる流りゅう河川かせんのために舟運しゅううんには極きわめて都合つごうよく、草加そうか、蒲生がもう、戸塚とつか、縄手なわて、妙見みょうけん、簀すの子こ、馬込まごめの河岸かわぎし場じょうのほか積荷つみに場じょうが設置せっちされ、貨物かもつの輸送ゆそうが盛さかん」であった[9]。

環境かんきょう 編集へんしゅう

 
さいたま市し見沼みぬま区く丸まるヶ崎さき地区ちく 水神すいじん橋きょう付近ふきん

20世紀せいき半なかばまでホタルが飛とび交かうほどのきれいな川かわであったが、高度こうど成長せいちょう期きには生活せいかつ排水はいすいや工業こうぎょう排水はいすいが流入りゅうにゅうし水質すいしつが悪化あっかした。近年きんねんは徐々じょじょに回復かいふくし、コイやフナ、サッパ、スズキなどが増ふえてきている。2007年ねんにはアユも確認かくにんされた。上うえ流域りゅういきでは用水ようすい堰せきが設もうけられ、農業のうぎょう用水ようすいとしての利水りすいもある[10]。

1980年ねんから15年ねん連続れんぞくで全国ぜんこくの一いち級きゅう河川かせん水質すいしつランキングのワースト1位いにランキングされ[11]、水質すいしつの改善かいぜんは進すすんではいるが、2004年ねんの調査ちょうさで日本一にっぽんいち汚よごれた川かわ（2010年ねんの調査ちょうさでは2年ねん連続れんぞくでワースト1位い）となるなど、他たの河川かせんと比くらべると更さらなる改善かいぜんが必要ひつようとされている。現在げんざい、埼玉さいたま高速こうそく鉄道てつどう線せんのトンネルを活用かつようして荒川あらかわの水みずを引ひき込こみ、芝川しばかわなどと同様どうよう、綾瀬川あやせがわに注そそぐことで水質すいしつを改善かいぜんする工夫くふうが行おこなわれている[11]。

2006年ねんには、公共こうきょう用よう水域すいいき環境かんきょう基準きじゅんを超こえるダイオキシン類るいが環境省かんきょうしょうにより検出けんしゅつされ、対策たいさくが検討けんとうされている。支流しりゅうの古こ綾瀬川あやせがわの底そこ質しつダイオキシン類るい対策たいさくについても先進せんしん的てきな取とり組くみがなされている。

綾瀬川あやせがわ由来ゆらいの町村ちょうそん名めい 編集へんしゅう

町制ちょうせい施行しこうの際さいに改称かいしょうされたり編入へんにゅうされた結果けっか、現在げんざいはいずれも存在そんざいしないが、これによって本来ほんらいは河川かせんの名前なまえであった「綾瀬あやせ」が綾瀬川あやせがわ流域りゅういきのうちの特定とくていの地域ちいき名めいまたは地区ちく名めいとして定着ていちゃくすることになった。

  • 埼玉さいたま県けん南埼玉みなみさいたま郡ぐん綾瀬あやせ村むら
  • 東京とうきょう府ふ南みなみ足立あだち郡ぐん綾瀬あやせ村むら
  • 東京とうきょう府ふ南みなみ葛飾かつしか郡ぐん南みなみ綾瀬あやせ村むら
    • 1889年ねん5月がつ1日にち - 下した千葉ちば村むら・上うえ千葉ちば村むら・小菅こすげ村むら・小谷おたに野村のむら・堀切ほっきり村むら・柳原やぎわら村むらなどが合併がっぺいして「南みなみ綾瀬あやせ村むら」が発足ほっそく。
    • 1928年ねん2月がつ1日にち - 町制ちょうせいを施行しこうして「南みなみ綾瀬あやせ町まち」となる。
    • 1932年ねん10月がつ1日にち - 東京とうきょう市しへ編入へんにゅう。葛飾かつしか区くの一部いちぶとなる。

支流しりゅう 編集へんしゅう

 
綾瀬川あやせがわ右岸うがんに合流ごうりゅうする原市はらいち沼川ぬまかわ

橋梁きょうりょう 編集へんしゅう

埼玉さいたま県けん
 
大堰おおせぎ橋きょう付近ふきん（伊奈いな町まち小室こもろ地区ちく）
 
風間かざま橋きょう付近ふきん（さいたま市し岩槻いわつき区く並木なみき地区ちく）
 
川口かわぐち市し東川口ひがしかわぐち六ろく丁目ちょうめ付近ふきん
 
蒲生がもう大橋おおはしより夕景ゆうけいを撮影さつえい
埼玉さいたま県けん及および東京とうきょう都と
東京とうきょう都と
  • 桑くわ袋ぶくろ大橋おおはし
  • 内匠たくみ橋きょう（埼玉さいたま県けん道どう・東京とうきょう都道とどう102号ごう平方へいほう東京とうきょう線せん）- これより上流じょうりゅうは国土こくど交通省こうつうしょう江戸川えどがわ河川かせん事務所じむしょ、下流かりゅう側がわは東京とうきょう都とが管理かんり。
 
足立あだち区く内匠たくみ橋きょう付近ふきん
 
綾瀬あやせ川がわと中川なかがわの合流ごうりゅう点てん

調節ちょうせつ池ち 編集へんしゅう

  • 大門おおもん上池かみいけ調節ちょうせつ池ち
  • 大門おおもん下池しもいけ調節ちょうせつ池ち
  • 新和しんわ西にし調節ちょうせつ池ち

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
注釈ちゅうしゃく
  1. ^ 綾瀬川あやせがわの水質すいしつ改善かいぜんを図はかる為ため、この放水ほうすい路ろを活用かつようし中川なかがわから導水どうすいする場合ばあいもある。
  2. ^ 備前びぜん堤つつみの築造ちくぞう時期じきには慶長けいちょう年間ねんかんとする説せつの他ほかに、中条ちゅうじょう堤つつみ、箕田みた郷さと堤つつみ等とうの築造ちくぞうと符号ふごうさせて中世ちゅうせいとする説せつ、寛永かんえい年間ねんかん伊奈いな忠治ただはるの築造ちくぞうとする説せつなど主おもなものに3説せつある（秋葉あきば(1987),368p）。
出典しゅってん
  1. ^ a b c d 綾瀬川あやせがわ、埼玉さいたま県けん、2010年ねん3月がつ19日にち、2015年ねん12月7日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b c “流ながれ路ろ変遷へんせんにまつわる荒川あらかわ七ななふしぎ” (PDF). 国土こくど交通省こうつうしょう 関東かんとう地方ちほう整備せいび局きょく (2008年ねん11月12日にち). 2013年ねん1月がつ22日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2015年ねん7月がつ16日にち閲覧えつらん。
  3. ^ 松浦まつうら『国土こくどづくりの礎いしずえ』 p40, 47。
  4. ^ 綾瀬川あやせがわの歴史れきし・文化ぶんか - 国土こくど交通省こうつうしょう　関東かんとう地方ちほう整備せいび局きょく
  5. ^ “区内くないを流ながれる川かわの名前なまえ（綾瀬川あやせがわ・毛もう長川ながかわ）”. 足立あだち区役所くやくしょ (2017年ねん7月がつ8日にち). 2017年ねん11月24日にち閲覧えつらん。
  6. ^ 本間ほんま清利きよとし (1993, pp. 44–46)
  7. ^ 本間ほんま清利きよとし (1993, pp. 58–59)
  8. ^ 秋葉あきば(1987),368p
  9. ^ 秋葉あきば、(1987年ねん)、370頁ぺーじ。
  10. ^ 「角川かどかわ日本にっぽん地名ちめい大だい辞典じてん」編纂へんさん委員いいん会かい『角川かどかわ日本にっぽん地名ちめい大だい辞典じてん 11 埼玉さいたま県けん』角川書店かどかわしょてん、1980年ねん7月がつ8日にち、81頁ぺーじ。ISBN 4040011104。 
  11. ^ a b “荒川あらかわ水系すいけい河川かせん整備せいび基本きほん方針ほうしん” (PDF). 国土こくど交通こうつう省しょう. p. 70 (2002年ねん4月がつ4日にち). 2017年ねん10月がつ22日にち閲覧えつらん。

参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

  • 『国土こくどづくりの礎いしずえ』（松浦まつうら茂樹しげき、1997年ねん、鹿島かしま出版しゅっぱん会かい。ISBN 4-306-02320-6）
  • 秋葉あきば一男かずお「第だい4章しょう 近世きんせい社会しゃかいの荒川あらかわ 第だい1節せつ 荒川あらかわ流域りゅういきの開発かいはつと瀬せ替がえ」『荒川あらかわ 人文じんぶんI －荒川あらかわ総合そうごう調査ちょうさ報告ほうこく書しょ 2 -』（1987年ねん）、365-393頁ぺーじ。
  • 本間ほんま清利きよとし『写真しゃしんで見みる埼玉さいたま東部とうぶ今昔こんじゃく物語ものがたり』望月もちづき印刷いんさつ、1993年ねん10月がつ30日にち、44-63頁ぺーじ。 

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

 
ウィキメディア・コモンズには、綾瀬川あやせがわに関連かんれんするカテゴリがあります。

外部がいぶリンク 編集へんしゅう

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