自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう (じこめんえきせいしょうのうしっちょうしょう、英 えい : autoimmune cerebellar ataxia )または免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう (immune-mediated cerebellar ataxia、IMCA)は免疫 めんえき 性 せい 機 き 序 じょ により小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症状 しょうじょう を示 しめ す疾患 しっかん の総称 そうしょう であり、様々 さまざま な疾患 しっかん が含 ふく まれる。痙攣 けいれん 、辺 あたり 縁 えん 系 けい 脳炎 のうえん 、眼球 がんきゅう 運動 うんどう 障害 しょうがい 、stiff-person症候群 しょうこうぐん 、末梢 まっしょう 神経 しんけい 障害 しょうがい など小脳 しょうのう 以外 いがい の病変 びょうへん による症状 しょうじょう を合併 がっぺい することがある。自己 じこ 免疫 めんえき 的 てき な機 き 序 じょ で小脳 しょうのう とその入出力 にゅうしゅつりょく 系 けい が障害 しょうがい されていることを証明 しょうめい することによって診断 しんだん される。免疫 めんえき 療法 りょうほう が適応 てきおう となるが、予 よ 後 ご は良好 りょうこう なものから不良 ふりょう なものまで様々 さまざま である。ここでは傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 神経 しんけい 症候群 しょうこうぐん である腫瘍 しゅよう 随伴 ずいはん 性 せい 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう も免疫 めんえき 介在 かいざい 性 せい の機 き 序 じょ であり含 ふく めて述 の べる。非 ひ 腫瘍 しゅよう 性 せい の自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう としてよく知 し られているのは抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう 高力 こうりき 価 か 型 がた 、抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 型 がた 低 てい 力 ちから 価 か 型 がた 、橋本 はしもと 脳症 のうしょう 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 型 がた 、抗 こう クリアジン抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう 、全身 ぜんしん 性 せい エリテマトーデス 、シェーグレン症候群 しょうこうぐん 、神経 しんけい ベーチェット病 びょう などである。自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう に含 ふく まれる疾患 しっかん は小脳 しょうのう 皮質 ひしつ のプルキンエ細胞 さいぼう の変性 へんせい が主体 しゅたい のものが多 おお い。
小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう には様々 さまざま な疾患 しっかん が含 ふく まれており[1] 、多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 、遺伝 いでん 性 せい 脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう 、皮質 ひしつ 性 せい 小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく 症 しょう 、その他 た の原因 げんいん が判明 はんめい した症候 しょうこう 性 せい 皮質 ひしつ 性 せい 小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく 症 しょう が含 ふく まれる。症候 しょうこう 性 せい 皮質 ひしつ 性 せい 小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく 症 しょう には先天 せんてん 奇形 きけい など構造 こうぞう 的 てき なものや、腫瘍 しゅよう 性 せい のものをはじめ、中毒 ちゅうどく (アルコール、抗 こう てんかん薬 やく 、抗 こう うつ薬 やく 、リチウム、抗 こう がん剤 ざい など)、代謝 たいしゃ (甲状腺 こうじょうせん 機能 きのう 低下 ていか 症 しょう 、ビタミン欠乏 けつぼう )、免疫 めんえき 介在 かいざい 性 せい (抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう 、抗 こう グリアジン抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう )、傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい (傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 神経 しんけい 症候群 しょうこうぐん 、特 とく に抗 こう 神経 しんけい 抗体 こうたい として抗 こう Hu、Yo、Ri、Tr、CV2、Ma、PCA2などが知 し られている)など数 すう 多 おお くの原因 げんいん が報告 ほうこく されている。以下 いか に成人 せいじん 発症 はっしょう で緩徐 かんじょ 進行 しんこう 性 せい に小脳 しょうのう 失調 しっちょう を起 お こす症候 しょうこう 性 せい 皮質 ひしつ 性 せい 小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく 症 しょう をまとめる。
鑑別 かんべつ すべき病態 びょうたい
鑑別 かんべつ のポイント
腫瘍 しゅよう 性 せい
腫瘍 しゅよう 性 せい 疾患 しっかん
頭部 とうぶ MRIなど画像 がぞう 検査 けんさ
中毒 ちゅうどく 性 せい
アルコール性 せい
中毒 ちゅうどく 性 せい 全体 ぜんたい として詳細 しょうさい な病歴 びょうれき 、生活 せいかつ 歴 れき 、血 ち 中 ちゅう 濃度 のうど など
薬剤 やくざい 性 せい
抗 こう てんかん薬 やく 、睡眠薬 すいみんやく や鎮静 ちんせい 剤 ざい 、抗 こう うつ薬 やく 、リチウム、抗 こう 悪性 あくせい 腫瘍 しゅよう 薬 やく の使用 しよう
重金属 じゅうきんぞく
水銀 すいぎん や鉛 なまり などの使用 しよう 状 じょう 況 きょう
化学 かがく 薬品 やくひん
農薬 のうやく や溶剤 ようざい の使用 しよう 状 じょう 況 きょう
代謝 たいしゃ 性 せい
ビタミン欠乏症 けつぼうしょう
血 ち 中 ちゅう ビタミンの測定 そくてい (Vt.E、B1、B6、B12)
甲状腺 こうじょうせん 機能 きのう 低下 ていか 症 しょう
甲状腺 こうじょうせん 機能 きのう の測定 そくてい
免疫 めんえき 介在 かいざい 性 せい
抗 こう GAD抗体 こうたい 関連 かんれん
抗 こう GAD抗体 こうたい 、てんかん、糖尿 とうにょう 病 びょう の合併 がっぺい
抗 こう グリアジン抗体 こうたい 関連 かんれん
抗 こう グリアジン抗体 こうたい 、下痢 げり 、体重 たいじゅう 減少 げんしょう 、皮膚 ひふ 炎 えん の合併 がっぺい
橋本 はしもと 脳症 のうしょう
抗 こう 甲状腺 こうじょうせん 抗体 こうたい 、抗 こう NAE抗体 こうたい 、軽度 けいど 認知 にんち 機能 きのう 障害 しょうがい や精神 せいしん 症状 しょうじょう
傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい
傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 神経 しんけい 症候群 しょうこうぐん
全身 ぜんしん の腫瘍 しゅよう 検索 けんさく と抗 こう 神経 しんけい 抗体 こうたい
免疫 めんえき 的 てき な機 き 序 じょ を介 かい して小脳 しょうのう 失調 しっちょう が出現 しゅつげん することは1868年 ねん にジャン=マルタン・シャルコー の有名 ゆうめい な講演 こうえん に遡 さかのぼ る。ジャン=マルタン・シャルコー は神経 しんけい 炎 えん と麻痺 まひ に加 くわ え、小脳 しょうのう 失調 しっちょう を呈 てい した多発 たはつ 性 せい 硬化 こうか 症 しょう の症例 しょうれい を報告 ほうこく した[2] 。この小脳 しょうのう 失調 しっちょう は企図 きと 振 ふ 戦 たたかえ 、断 だん 綴 つづり 性 せい 言語 げんご 、眼 め 振 ふ であり、シャルコーの3徴 ちょう として知 し られる。1919年 ねん にはブローウェル (Brouwer)が小脳 しょうのう 失調 しっちょう と卵巣 らんそう 腫瘍 しゅよう の合併 がっぺい した症例 しょうれい を報告 ほうこく し、これが傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう (paraneoplastic cerebellar degeneration、PCD)の最初 さいしょ の記載 きさい とされている[3] 。1980年代 ねんだい になると2つの大 おお きな発展 はってん があった。ひとつは1983年 ねん に卵巣 らんそう 腫瘍 しゅよう 合併 がっぺい したPCDで抗 こう Yo抗体 こうたい が発見 はっけん されたことである[4] これを契機 けいき に腫瘍 しゅよう の種類 しゅるい と関連 かんれん を示 しめ す自己 じこ 抗体 こうたい である抗 こう Hu抗体 こうたい 、抗 こう Tr抗体 こうたい 、抗 こう CV2抗体 こうたい 、抗 こう Ri抗体 こうたい 、抗 こう Ma2抗体 こうたい 、抗 こう VGCC抗体 こうたい が見出 みいだ された。これにより自己 じこ 抗体 こうたい に注目 ちゅうもく して自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう を診断 しんだん する道 みち が開 ひら かれた。もうひとつは非 ひ 腫瘍 しゅよう 随伴 ずいはん 性 せい の主要 しゅよう な2つの病 やまい 型 がた の疾患 しっかん 概念 がいねん が確立 かくりつ したことである。Hadjivassiliouらの体系 たいけい 的 てき な研究 けんきゅう によりグルテン感受性 かんじゅせい が誘因 ゆういん で引 ひ き起 お こされるグルテン失調 しっちょう 症 しょう が[5] 、一方 いっぽう Honnoratらの報告 ほうこく によって抗 こう GAD抗体 こうたい 関連 かんれん 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう の臨床 りんしょう 像 ぞう が明 あき らかになった[6] 。
2010年 ねん 以降 いこう はこれらを体系 たいけい 化 か する試 こころ みが行 おこな われるようになった[7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] 。
自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう の分類 ぶんるい はまだ十分 じゅうぶん な合意 ごうい が得 え られていない。2016年 ねん にSociety for Research on Cerebellum and Ataxia(SRCA)によるconsensus paperで初 はじ めて分類 ぶんるい が提唱 ていしょう された。SRCA consensus paper 2016分類 ぶんるい には3つの特徴 とくちょう が知 し られている[8] 。1つ目 め は自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 性 せい を小脳 しょうのう 障害 しょうがい を主 おも とするものと様々 さまざま な部位 ぶい が障害 しょうがい され小脳 しょうのう 障害 しょうがい はそのひとつとするものに分類 ぶんるい したことである。後者 こうしゃ には多発 たはつ 性 せい 硬化 こうか 症 しょう やSLE などの膠 にかわ 原 ばら 病 びょう が含 ふく まれる。2つ目 め として、小脳 しょうのう 障害 しょうがい を主 おも とするものを自己 じこ 免疫 めんえき の誘因 ゆういん が明確 めいかく なものと自己 じこ 免疫 めんえき の誘因 ゆういん が不 ふ 明確 めいかく なものに分類 ぶんるい していることである。自己 じこ 免疫 めんえき の誘因 ゆういん が明 あき らかなものにはグルテン失調 しっちょう 症 しょう 、急性 きゅうせい 小脳 しょうのう 炎 えん (acute cerebellitisまたは感染 かんせん 後 ご 小脳 しょうのう 炎 えん 、post-infectious cerebellitis)、フィッシャー症候群 しょうこうぐん 、傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう が挙 あ げられる。自己 じこ 免疫 めんえき の誘因 ゆういん が不 ふ 明確 めいかく なものには抗 こう GAD抗体 こうたい 関連 かんれん 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう や橋本 はしもと 脳症 のうしょう があげられる。自己 じこ 免疫 めんえき の誘因 ゆういん が明確 めいかく な場合 ばあい は誘因 ゆういん の除去 じょきょ が治療 ちりょう の第 だい 一 いち 選択 せんたく になるため、この分類 ぶんるい は治療 ちりょう 戦略 せんりゃく に基 もと づいた分類 ぶんるい である。3つ目 め の特徴 とくちょう としてprimary autoimmune cerebellar ataxia(PACA)という病 やまい 型 がた を設 もう けていることである。PACAは自己 じこ 免疫 めんえき の機 き 序 じょ で小脳 しょうのう 失調 しっちょう を主 おも 徴 しるし とするが上記 じょうき の病 やまい 型 がた の特徴 とくちょう に合 あ わないものの総称 そうしょう である。既知 きち の病 やまい 型 がた に属 ぞく さないが亜 あ 急性 きゅうせい の経過 けいか で、小脳 しょうのう 失調 しっちょう と小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく を示 しめ し、自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 疾患 しっかん の既往 きおう があり、免疫 めんえき 療法 りょうほう に反応 はんのう 性 せい を示 しめ す症例 しょうれい がしばしば経験 けいけん される。髄 ずい 液 えき で小脳 しょうのう 皮質 ひしつ を標的 ひょうてき とする抗体 こうたい がみられることもある。このような症例 しょうれい はPACAという疾患 しっかん スペクトラムの中 なか に位置 いち づけられる[15] 。したがってPACAは複数 ふくすう の未知 みち の病 やまい 型 がた を含 ふく んでいる。
SRCA consensus paper 2016をたたき台 だい にして、その後 ご 若干 じゃっかん の修正 しゅうせい が提唱 ていしょう されている。オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群 しょうこうぐん が自己 じこ 免疫 めんえき の誘因 ゆういん が明確 めいかく な自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう に位置 いち づけられている[11] [12] [13] 。橋本 はしもと 脳症 のうしょう を単一 たんいつ の病 やまい 型 がた とすることに欧米 おうべい では異論 いろん が強 つよ く、PACAの中 なか にステロイド反応 はんのう 性 せい を占 し めす例 れい として位置 いち づけられることが多 おお い[9] 。橋本 はしもと 脳症 のうしょう はその定義 ていぎ から幅広 はばひろ い症例 しょうれい が含 ふく まれ、抗 こう GAD抗体 こうたい 関連 かんれん 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう やグルテン失調 しっちょう 症 しょう など他 た の病 やまい 型 がた とも重 かさ なり合 あ い、臨床 りんしょう 的 てき に均一 きんいつ ではないのが理由 りゆう である。PACAの診断 しんだん 基準 きじゅん はSRCAから提唱 ていしょう されている[16] 。
primary autoimmune cerebellar ataxia(PACA)
編集 へんしゅう
2020年 ねん のTask Force paperでPACAの診断 しんだん 基準 きじゅん が提唱 ていしょう された[17] 。これはよく知 し られた自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう の除外 じょがい 、下記 かき の3項目 こうもく のうち2項目 こうもく をみたすこと、他 た の小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう の否定 ひてい からなる。3項目 こうもく は脳 のう 脊髄 せきずい 液 えき の細胞 さいぼう 数 すう 増 ぞう 多 おお またはオリゴクローナルバンド陽性 ようせい 、自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 疾患 しっかん の既往 きおう あるいは家族 かぞく 歴 れき 、抗 こう 甲状腺 こうじょうせん 抗体 こうたい など自己 じこ 免疫 めんえき の状態 じょうたい を示 しめ す自己 じこ 抗体 こうたい の合併 がっぺい である。またPACAではミコフェノール酸 さん モフェチル の有効 ゆうこう 性 せい が報告 ほうこく されている[18] 。
Hadjivassiliouらは英国 えいこく で1500例 れい の進行 しんこう 性 せい の小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう の原因 げんいん を精査 せいさ した[19] 。家族 かぞく 性 せい に発症 はっしょう し遺伝子 いでんし 異常 いじょう を示 しめ すものが30%、多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう が9%であり、自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 性 せい が25%であった。自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 性 せい は従来 じゅうらい 考 かんが えられていたよりも高 こう 頻度 ひんど であることが明 あき らかになった。自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう の病 やまい 型 がた としてはグルテン失調 しっちょう 症 しょう が20%と最 もっと も多 おお く、PCDが2%、急性 きゅうせい 小脳 しょうのう 炎 えん が1%であった。
亜 あ 急性 きゅうせい から慢性 まんせい の小脳 しょうのう 失調 しっちょう で、特 とく に歩行 ほこう 失調 しっちょう が顕著 けんちょ な場合 ばあい に自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 性 せい を疑 うたが う[8] [13] 。小脳 しょうのう 失調 しっちょう が主 しゅ 徴 しるし であるが、他 た の神経 しんけい 症候 しょうこう を伴 ともな うこともある。髄 ずい 液 えき に細胞 さいぼう 増 ぞう 多 た やオリゴクローナルバンドを認 みと める場合 ばあい もある。MRIでは病 やまい 期 き に相当 そうとう した小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく を認 みと める。確定 かくてい 診断 しんだん には他 た の原因 げんいん を除外 じょがい すること、自己 じこ 免疫 めんえき の機 き 序 じょ が背景 はいけい に存在 そんざい することを確認 かくにん することが肝要 かんよう である。自己 じこ 免疫 めんえき の機 き 序 じょ の存在 そんざい は自己 じこ 免疫 めんえき 疾患 しっかん の合併 がっぺい と主 おも に小脳 しょうのう に対 たい する自己 じこ 抗体 こうたい の存在 そんざい で推定 すいてい される。小脳 しょうのう に対 たい する自己 じこ 抗体 こうたい は多 おお くのものが知 し られている。これらは3種類 しゅるい に分類 ぶんるい される[20] 1つ目 め は特定 とくてい の病 やまい 型 がた を示 しめ すwell characterized autoantibodies、2つ目 め は自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう を含 ふく み様々 さまざま な免疫 めんえき 性 せい 疾患 しっかん に合併 がっぺい するautoantibodies、3つ目 め は少数 しょうすう 例 れい の自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう にしか報告 ほうこく されておらず、その性状 せいじょう がまだ不明 ふめい なautoantibodiesである。
自己 じこ 抗体 こうたい が原因 げんいん であるのかそれとも結果 けっか であるのかという議論 ぎろん はしばしばおこる。自己 じこ 抗体 こうたい が原因 げんいん という場合 ばあい は以下 いか の3つの条件 じょうけん を実験 じっけん で示 しめ す必要 ひつよう がある[21] 。
accessibilityの証明 しょうめい
抗体 こうたい が抗原 こうげん にアクセスできること
pathogenic actionの証明 しょうめい
抗体 こうたい が神経症 しんけいしょう 状 じょう を発症 はっしょう できることを細胞 さいぼう 、神経 しんけい 回路 かいろ レベルで示 しめ すこと
passive transferの証明 しょうめい
抗体 こうたい を動物 どうぶつ に注入 ちゅうにゅう することで症状 しょうじょう が再現 さいげん されること
この3つの条件 じょうけん を満 み たす例 れい は少 すく ない、特 とく に傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 神経 しんけい 症候群 しょうこうぐん で抗原 こうげん が細胞 さいぼう 内 ない にある場合 ばあい はpassive transferの証明 しょうめい ができないことが多 おお い。抗 こう Hu抗体 こうたい 、抗 こう Yo抗体 こうたい ではpassive transferは証明 しょうめい されていない。上記 じょうき 3つを満 み たすものは2013年 ねん 現在 げんざい 、腫瘍 しゅよう 随伴 ずいはん 性 せい では抗 こう VGCC抗体 こうたい 、抗 こう mGluR抗体 こうたい であり非 ひ 腫瘍 しゅよう 随伴 ずいはん 性 せい では抗 こう GAD抗体 こうたい だけである。抗 こう GAD抗体 こうたい は細胞 さいぼう 内 ない に取 と り込 こ まれてGABAの放出 ほうしゅつ を抑制 よくせい する作用 さよう がある。証明 しょうめい された3つの抗体 こうたい はいずれも抗体 こうたい がシナプス伝達 でんたつ に作用 さよう している。一方 いっぽう でGrausやDalmauらは抗 こう GAD抗体 こうたい は病原 びょうげん 抗体 こうたい ではないと主張 しゅちょう している[21] 。
Daniel B Drachmanが提唱 ていしょう した病原 びょうげん 自己 じこ 抗体 こうたい の5つの条件 じょうけん [22] は対象 たいしょう となる自己 じこ 抗体 こうたい が患者 かんじゃ で検出 けんしゅつ される、自己 じこ 抗体 こうたい がターゲットとなる抗原 こうげん と反応 はんのう する、自己 じこ 抗体 こうたい の投与 とうよ によって病態 びょうたい が再現 さいげん される、対応 たいおう する抗原 こうげん の免疫 めんえき により疾患 しっかん モデルが発現 はつげん される、自己 じこ 抗体 こうたい の力 ちから 価 か 低下 ていか によって病態 びょうたい が改善 かいぜん するである。上記 じょうき の条件 じょうけん とは若干 じゃっかん 異 こと なる。臨床 りんしょう 医学 いがく で証明 しょうめい するべき内容 ないよう は患者 かんじゃ からの抗体 こうたい の検出 けんしゅつ と治療 ちりょう による抗体 こうたい 価 か の減少 げんしょう であり、それ以外 いがい は実験 じっけん 室 しつ で証明 しょうめい する内容 ないよう である。
自己 じこ 免疫 めんえき の機 き 序 じょ が明確 めいかく な場合 ばあい は、まずはこれを取 と り除 のぞ き、抗原 こうげん 刺激 しげき を回避 かいひ することが優先 ゆうせん される。抗原 こうげん 刺激 しげき の回避 かいひ とはグルテン失調 しっちょう 症 しょう の場合 ばあい は無 む グルテン食 しょく であり、傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう の場合 ばあい は腫瘍 しゅよう の治療 ちりょう である[9] [11] [13] 。これが無効 むこう の場合 ばあい 、あるいは自己 じこ 免疫 めんえき の機 き 序 じょ が不 ふ 明確 めいかく な場合 ばあい は免疫 めんえき 療法 りょうほう が導入 どうにゅう される。免疫 めんえき グロブリン大量 たいりょう 療法 りょうほう 、ステロイド 、免疫 めんえき 抑制 よくせい 薬 やく 、アフェレーシス 、リツキシマブ を単独 たんどく あるいは組 く み合 あ わせて実施 じっし される。寛解 かんかい 導入 どうにゅう 療法 りょうほう では小脳 しょうのう 失調 しっちょう を可能 かのう な限 かぎ り改善 かいぜん させるような積極 せっきょく 的 てき な治療 ちりょう が行 おこな われることが多 おお い。その後 ご 、再発 さいはつ をふせぐ目的 もくてき で維持 いじ 療法 りょうほう が行 おこな われる。病 やまい 型 がた によって選択 せんたく される方法 ほうほう が若干 じゃっかん 異 こと なる。
免疫 めんえき 療法 りょうほう 後 ご の経過 けいか は完全 かんぜん 寛解 かんかい 、部分 ぶぶん 寛解 かんかい 、不変 ふへん 、再発 さいはつ 、緩徐 かんじょ 増悪 ぞうあく 、急速 きゅうそく 増悪 ぞうあく の6種類 しゅるい に分類 ぶんるい される。急性 きゅうせい 小脳 しょうのう 炎 えん 、グルテン失調 しっちょう 症 しょう 、亜 あ 急性 きゅうせい の抗 こう GAD抗体 こうたい 関連 かんれん 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう は比較的 ひかくてき 免疫 めんえき 療法 りょうほう に反応 はんのう する。慢性 まんせい の抗 こう GAD抗体 こうたい 関連 かんれん 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう や傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう は免疫 めんえき 療法 りょうほう に抵抗 ていこう 性 せい である。特 とく に傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう は免疫 めんえき 療法 りょうほう に反応 はんのう するのは10%以下 いか と考 かんが えられている。小脳 しょうのう には他 た の中枢 ちゅうすう 神経 しんけい 部位 ぶい と比較 ひかく しても強 つよ い自己 じこ 代償 だいしょう 、修復 しゅうふく 機能 きのう が備 そな わっている[23] 。従 したが ってこの予備 よび 能 のう (cerebellar reserve)が維持 いじ されている間 あいだ に治療 ちりょう 介入 かいにゅう し、病勢 びょうせい の進行 しんこう を止 と めた上 うえ で、回復 かいふく につなげることが治療 ちりょう の目標 もくひょう となる[24] 。
細胞 さいぼう 性 せい 免疫 めんえき を介 かい する自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 性 せい は傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう が代表 だいひょう 例 れい である。病理 びょうり 学的 がくてき にはリンパ球 だま (T細胞 さいぼう 、B細胞 さいぼう )、形質 けいしつ 細胞 さいぼう 、ミクログリア またはマクロファージ が血管 けっかん 周囲 しゅうい から小脳 しょうのう 皮質 ひしつ へ浸潤 しんじゅん し、プルキンエ細胞 さいぼう が広範 こうはん に脱落 だつらく する[25] 。YoやHuなどonconeural antigensは腫瘍 しゅよう 細胞 さいぼう や神経 しんけい 細胞 さいぼう の細胞 さいぼう 質 しつ に存在 そんざい することから。細胞 さいぼう 性 せい 免疫 めんえき を介 かい する機 き 序 じょ が推定 すいてい されている[26] 。実際 じっさい にこれらの抗体 こうたい の投与 とうよ やペプチドによるimmunizationを行 おこな っても、実験 じっけん 動物 どうぶつ は失調 しっちょう 症状 しょうじょう を発症 はっしょう せず、passive transferは証明 しょうめい されていない[27] 。抗 こう Yo(cdr2)抗体 こうたい 陽性 ようせい の傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう の患者 かんじゃ の血清 けっせい 、髄 ずい 液 えき にはcdr2特異 とくい 的 てき なリンパ球 だま が存在 そんざい し[28] 、これらの血清 けっせい 、髄 ずい 液 えき リンパ球 だま 、そして腫瘍 しゅよう 組織 そしき 内 ない リンパ球 だま は同 おな じクローン由来 ゆらい である[29] 。小脳 しょうのう 皮質 ひしつ に浸潤 しんじゅん するリンパ球 だま はCD8陽性 ようせい 、CD3陽性 ようせい リンパ球 だま が多 おお く、一部 いちぶ にCD4陽性 ようせい リンパ球 だま も認 みと められる。これらのことから、次 つぎ のような3つの段階 だんかい を経 へ た機 き 序 じょ が推定 すいてい される[30] 。
まずは末梢 まっしょう リンパ節 ぶし において、樹 き 状 じょう 細胞 さいぼう により抗原 こうげん 提示 ていじ されたonconeural antigen(cdr2など)によりナイーブCD4陽性 ようせい リンパ球 だま が感 かん 作 さく され、抗原 こうげん 特異 とくい 的 てき なTh1細胞 さいぼう 、濾胞ヘルパーT細胞 さいぼう に分化 ぶんか する。前者 ぜんしゃ によりCD8陽性 ようせい 細胞 さいぼう が活性 かっせい 化 か され、標的 ひょうてき 癌 がん 細胞 さいぼう はFas受容 じゅよう 体 たい やgranzyme-B/perforinを介 かい したアポトーシスで細胞 さいぼう 死 し に至 いた る。また後者 こうしゃ によりBリンパ球 だま /形質 けいしつ 細胞 さいぼう が活性 かっせい 化 か され、抗 こう Yo(cdr2)抗体 こうたい などの自己 じこ 抗体 こうたい が産出 さんしゅつ される。
次 つぎ になんらかの機 き 序 じょ でこれらのリンパ球 だま や自己 じこ 抗体 こうたい が血液 けつえき 脳 のう 関門 かんもん から脳 のう 内 ない に浸潤 しんじゅん する。
小脳 しょうのう ではCD4陽性 ようせい リンパ球 だま はTh1に分化 ぶんか しIFN-γ がんま /TNF-α あるふぁ を分泌 ぶんぴつ する。これにより活性 かっせい 化 か されたCD8陽性 ようせい リンパ球 だま は標的 ひょうてき 神経 しんけい 細胞 さいぼう に接着 せっちゃく し、末梢 まっしょう と同 おな じ機 き 序 つい でアポトーシス を誘発 ゆうはつ する。
しかし、ほとんどの腫瘍 しゅよう 細胞 さいぼう がcdr2やHuなどのonconeural antigensを発現 はつげん しているにもかかわらず、傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう は極 きわ めて稀 まれ であり、また患者 かんじゃ 由来 ゆらい のリンパ球 だま を実験 じっけん 動物 どうぶつ に末梢 まっしょう 投与 とうよ してもプルキンエ細胞 さいぼう の障害 しょうがい は観察 かんさつ されない[31] 。このことは、生体 せいたい では神経 しんけい 細胞 さいぼう のonconeural antigensに対 たい する寛容 かんよう が強 つよ いことを示唆 しさ している。免疫 めんえき 的 てき 寛容 かんよう を破綻 はたん させてCD8陽性 ようせい T細胞 さいぼう を活性 かっせい 化 か させる仕組 しく みを今後 こんご 明 あき らかにする必要 ひつよう がある[31] 。
自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう のいくつかの病 やまい 型 がた では自己 じこ 抗体 こうたい が病因 びょういん で小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう が起 お きることがin vitroとin vivoの実験 じっけん 系 けい を用 もち いて証明 しょうめい されている[10] 。これらの実験 じっけん 結果 けっか から自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう では自己 じこ 抗体 こうたい がシナプス伝達 でんたつ を阻害 そがい することで小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう が起 お こると考 かんが えられている。さらにその自己 じこ 抗体 こうたい は放出 ほうしゅつ 機構 きこう 、シナプス構成 こうせい 蛋白 たんぱく 、受容 じゅよう 体 たい を3つのうちのどれかを標的 ひょうてき にすることが明 あき らかになった。自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 辺 あたり 縁 えん 系 けい 脳炎 のうえん の病因 びょういん 自己 じこ 抗体 こうたい も同様 どうよう に放出 ほうしゅつ 機構 きこう 、シナプス構成 こうせい 蛋白 たんぱく 、受容 じゅよう 体 たい の3つのうちどれかを標的 ひょうてき とする。これらの自己 じこ 抗体 こうたい は受容 じゅよう 体 たい に抗体 こうたい が結合 けつごう すると細胞 さいぼう 内 ない に取 と り込 こ まれる内在 ないざい 化 か が起 お こる点 てん が特徴 とくちょう である。
放出 ほうしゅつ 機構 きこう を標的 ひょうてき とする抗体 こうたい
編集 へんしゅう
抗 こう GAD抗体 こうたい
GAD(glutamic acid decarboxylase)は興奮 こうふん 性 せい 伝達 でんたつ 物質 ぶっしつ であるグルタミン酸 ぐるたみんさん からGABAを合成 ごうせい する酵素 こうそ である。GADには分子 ぶんし 量 りょう の異 こと なる2種類 しゅるい のアイソタイプ が存在 そんざい する[32] 。分子 ぶんし 量 りょう 65のGAD65は主 おも に神経 しんけい 終末 しゅうまつ のシナプス小 しょう 胞に存在 そんざい しており、抑制 よくせい 性 せい 神経 しんけい 伝達 でんたつ 物質 ぶっしつ であるGABA合成 ごうせい に関与 かんよ すると考 かんが えられている[33] 。一方 いっぽう 、GAD67は細胞 さいぼう 質 しつ 全体 ぜんたい に存在 そんざい し、細胞 さいぼう 内 ない のGABA生成 せいせい している[34] 。抗 こう GAD抗体 こうたい が認識 にんしき するのはGAD65である。
患者 かんじゃ 髄 ずい 液 えき 中 ちゅう のIgGやモノクローナルの抗 こう GAD抗体 こうたい は抑制 よくせい 性 せい ニューロンからのGABA放出 ほうしゅつ を減少 げんしょう させる[35] [36] [37] 。一方 いっぽう 、患者 かんじゃ 髄 ずい 液 えき 中 ちゅう のIgGやモノクローナルの抗 こう GAD抗体 こうたい をマウス、ラットに投与 とうよ すると、失調 しっちょう 様 さま 歩行 ほこう 、小脳 しょうのう による運動 うんどう 制御 せいぎょ の障害 しょうがい 、認知 にんち 機能 きのう 障害 しょうがい も再現 さいげん される[37] [38] 。
このことから抗 こう GAD抗体 こうたい が原因 げんいん であることが示唆 しさ されたが、次 つぎ のようなシナプスレベルの障害 しょうがい が明 あき らかになった。抗 こう GAD抗体 こうたい はGABA放出 ほうしゅつ を抑制 よくせい する。髄 ずい 液 えき で抗 こう GAD抗体 こうたい を吸着 きゅうちゃく した場合 ばあい 、あるいは、GAD65ノックアウトマウス(GAD67が代償 だいしょう 的 てき に抑制 よくせい 性 せい 伝達 でんたつ を担 にな っている)で検証 けんしょう した場合 ばあい 、これらの作用 さよう は観察 かんさつ されなかった[37] [39] 。これはGAD65と抗 こう GAD抗体 こうたい の結合 けつごう によって、病因 びょういん 的 てき 作用 さよう が起 お こることを示 しめ している[37] 。抗 こう GAD抗体 こうたい は小 しょう 胞が開口 かいこう してGABAを放出 ほうしゅつ するときに小 しょう 胞内に取 と り込 こ まれる。開口 かいこう 時 じ には小 しょう 胞の外側 そとがわ に重合 じゅうごう していたGAD65はなんらかの機 き 序 じょ で小 しょう 胞内に抗体 こうたい 結合 けつごう 部位 ぶい が露出 ろしゅつ すると考 かんが えられており、このときにGAD65と抗 こう GAD抗体 こうたい が結合 けつごう する可能 かのう 性 せい が考 かんが えられている。抗 こう GAD抗体 こうたい は、合成 ごうせい されたGABAの小 しょう 胞へのpackagingとrelease sitesへの輸送 ゆそう の過程 かてい というGAD65の機能 きのう を障害 しょうがい し、これによりGABAの放出 ほうしゅつ が減少 げんしょう する。
これらの作用 さよう はエピトープ特異 とくい 的 てき であり、糖尿 とうにょう 病 びょう 患者 かんじゃ に認 みと められる抗 こう GAD抗体 こうたい では発現 はつげん しない[37] 。また、小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう 、けいれん 、スティッフパーソン症候群 しょうこうぐん の抗 こう GAD抗体 こうたい 間 あいだ でもエピトープの差 さ が示 しめ されておりエピトープ特異 とくい 的 てき に神経症 しんけいしょう 状 じょう を発症 はっしょう する可能 かのう 性 せい が示唆 しさ されている。GABAはプルキンエ細胞 さいぼう への抑制 よくせい 性 せい 作用 さよう を示 しめ すのみならず、シナプス間隙 かんげき から拡散 かくさん し周囲 しゅうい の興奮 こうふん 性 せい シナプスに作用 さよう しグルタミン酸 ぐるたみんさん の放出 ほうしゅつ を抑制 よくせい する[40] 。したがってGABAの放出 ほうしゅつ が減少 げんしょう すると、抑制 よくせい 性 せい シナプスの抑制 よくせい のみならず、興奮 こうふん 性 せい シナプスの増強 ぞうきょう が同時 どうじ に起 お きてしまう。このGABAとグルタミン酸 ぐるたみんさん の著 いちじる しい不 ふ 均衡 きんこう のため、プルキンエ細胞 さいぼう は顕著 けんちょ な興奮 こうふん を示 しめ すことが予想 よそう される。剖検 ぼうけん 例 れい ではプルキンエ細胞 さいぼう は広範 こうはん に消失 しょうしつ していた[41] 。機能 きのう 障害 しょうがい から細胞 さいぼう 死 し へ病 やまい 期 き が変化 へんか する[35] 。
シナプス構成 こうせい 蛋白 たんぱく を標的 ひょうてき とする抗体 こうたい
編集 へんしゅう
抗 こう GluRδ でるた 抗体 こうたい
抗 こう GluRδ でるた 抗体 こうたい は急性 きゅうせい 小脳 しょうのう 炎 えん の一部 いちぶ の症例 しょうれい で認 みと められる[11] 。GluRδ でるた はグルタミン酸 ぐるたみんさん に活性 かっせい 化 か されず、ニューレキシン 、CbLn1と複 ふく 合体 がったい を形成 けいせい し、シナプスの形成 けいせい 、維持 いじ 、伝達 でんたつ の調節 ちょうせつ に関 かか わるシナプス構成 こうせい 蛋白 たんぱく である。GluRδ でるた 2の結合 けつごう 部位 ぶい に作用 さよう する抗体 こうたい を含 ふく んだポリクローナルな抗体 こうたい は、培養 ばいよう 細胞 さいぼう のAMPA型 がた グルタミン酸 ぐるたみんさん 受容 じゅよう 体 たい を内在 ないざい 化 か する[42] 。またこれをマウス髄 ずい 腔に注入 ちゅうにゅう することで小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう と考 かんが えられる症状 しょうじょう が再現 さいげん される[42] 。この病因 びょういん 的 てき 作用 さよう は、患者 かんじゃ 髄 ずい 液 えき 中 ちゅう の抗体 こうたい を用 もち いては証明 しょうめい されていない。この点 てん が今後 こんご の課題 かだい である。
抗 こう mGluR1抗体 こうたい
代謝 たいしゃ 調節 ちょうせつ 型 がた グルタミン酸 ぐるたみんさん 受容 じゅよう 体 たい 1型 がた に対 たい する抗体 こうたい はホジキンリンパ腫 しゅ に合併 がっぺい する傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう とPACAに認 みと められる[8] [11] 。患者 かんじゃ 髄 ずい 液 えき のIgGによって培養 ばいよう 細胞 さいぼう のイノシトールリン酸 さん の合成 ごうせい は減少 げんしょう し、マウス髄 ずい 腔に注入 ちゅうにゅう すると失調 しっちょう 症 しょう 様 さま 症状 しょうじょう が再現 さいげん された[43] 。また、患者 かんじゃ 髄 ずい 液 えき IgGはプルキンエ細胞 さいぼう での長期 ちょうき 抑圧 よくあつ の誘導 ゆうどう を阻害 そがい し、眼球 がんきゅう 運動 うんどう の学習 がくしゅう 過程 かてい も障害 しょうがい する[44] 。
抗 こう NAE抗体 こうたい
N末端 まったん 領域 りょういき のα あるふぁ エノラーゼ抗体 こうたい である抗 こう NAE抗体 こうたい は橋本 はしもと 脳症 のうしょう のバイオマーカー である。α あるふぁ エノラーゼはプラスミノーゲン受容 じゅよう 体 たい として細胞 さいぼう 膜 まく に存在 そんざい する。抗 こう NAE抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 型 がた 橋本 はしもと 脳症 のうしょう の患者 かんじゃ 髄 ずい 液 えき がラット小脳 しょうのう スライスのシナプス伝達 でんたつ を抑制 よくせい する[45] 。
傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう
編集 へんしゅう
悪性 あくせい 腫瘍 しゅよう の0.2%に小脳 しょうのう 症状 しょうじょう が出現 しゅつげん することが知 し られている。その歴史 れきし は1934年 ねん のGreenfieldの乳癌 にゅうがん と肺癌 はいがん を伴 ともな う「亜 あ 急性 きゅうせい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう 」の記載 きさい にさかのぼることができる。多 おお くは亜 あ 急性 きゅうせい に小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう が出現 しゅつげん し、数 すう 週 しゅう から数ヶ月 すうかげつ で進行 しんこう し、徐々 じょじょ に小脳 しょうのう の萎縮 いしゅく を示 しめ す。小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう が出現 しゅつげん した時 とき には悪性 あくせい 腫瘍 しゅよう を認 みと めず、約 やく 1年 ねん 以内 いない に悪性 あくせい 腫瘍 しゅよう が発見 はっけん されることが多 おお い。その原因 げんいん については「遠隔 えんかく 効果 こうか 」という表現 ひょうげん で様々 さまざま な可能 かのう 性 せい が議論 ぎろん されてきたが1980年代 ねんだい 以降 いこう は腫瘍 しゅよう と神経 しんけい 細胞 さいぼう の共通 きょうつう 抗原 こうげん の関係 かんけい が注目 ちゅうもく されるようになった。1983年 ねん にはGreenleeとBrashearが卵巣 らんそう 腫瘍 しゅよう を伴 ともな う小脳 しょうのう 失調 しっちょう 患者 かんじゃ において、小脳 しょうのう プルキンエ細胞 さいぼう の細胞 さいぼう 質 しつ と反応 はんのう し、さらに神経 しんけい 組織 そしき 免疫 めんえき ブロットで58kDaと34kDaに反応 はんのう バンドが生 しょう じる抗体 こうたい 、すなわち抗 こう Yo抗体 こうたい を報告 ほうこく した。これ以降 いこう 、免疫 めんえき 組織 そしき 化学 かがく 法 ほう の免疫 めんえき ブロット法 ほう 用 もち いて様々 さまざま な抗体 こうたい が見出 みいだ された。2004年 ねん にヨーロッパ神経 しんけい 学会 がっかい ではこれらの抗体 こうたい の生理 せいり を行 おこな いwell characterized onconeural antibodyというものが定義 ていぎ された。well characterized onconeural antibodyとは免疫 めんえき 組織 そしき 化学 かがく で患者 かんじゃ 髄 ずい 液 えき ・血清 けっせい の染色 せんしょく パターンとリコンビナント蛋白 たんぱく を抗原 こうげん とする染色 せんしょく パターンが同一 どういつ で特異 とくい 性 せい があること、腫瘍 しゅよう に関連 かんれん して多数 たすう の報告 ほうこく があること、抗体 こうたい に関連 かんれん して特徴 とくちょう 的 てき な神経症 しんけいしょう 状 じょう を発症 はっしょう すること、腫瘍 しゅよう のない症例 しょうれい での陽性 ようせい 率 りつ も知 し られていることの5つの条件 じょうけん を満 み たす抗体 こうたい である。これに属 ぞく する亜 あ 急性 きゅうせい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう の抗体 こうたい は抗 こう Yo抗体 こうたい 、抗 こう Ri抗体 こうたい 、抗 こう Hu抗体 こうたい 、抗 こう Ma2抗体 こうたい 、抗 こう CRMP-5抗体 こうたい である。ヨーロッパ神経 しんけい 学会 がっかい のガイドラインでは亜 あ 急性 きゅうせい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう は傍 はた 腫瘍 しゅよう 性 せい 神経 しんけい 症候群 しょうこうぐん のclassical syndromeとして位置 いち づけられている。したがって亜 あ 急性 きゅうせい に小脳 しょうのう 症状 しょうじょう を示 しめ しかつ小脳 しょうのう に萎縮 いしゅく を示 しめ した場合 ばあい は、腫瘍 しゅよう を発見 はっけん した場合 ばあい (抗 こう 神経 しんけい 抗体 こうたい の有無 うむ を問 と わず)に診断 しんだん される。腫瘍 しゅよう が発見 はっけん されなかった場合 ばあい でもwell characterized onconeural antibodyが認 みと められれば診断 しんだん は確定 かくてい される。予 よ 後 ご は悪性 あくせい 腫瘍 しゅよう 合併 がっぺい のため不良 ふりょう のことが多 おお い。早期 そうき の腫瘍 しゅよう の除去 じょきょ と免疫 めんえき 療法 りょうほう を行 おこな う。しかし抗原 こうげん が細胞 さいぼう 内 ない に存在 そんざい する場合 ばあい は免疫 めんえき 療法 りょうほう に抵抗 ていこう 性 せい の場合 ばあい が多 おお い。
細胞 さいぼう 質 しつ の抗原 こうげん 蛋白 たんぱく を認識 にんしき する抗体 こうたい
編集 へんしゅう
小脳 しょうのう 症状 しょうじょう を主 おも に示 しめ す場合 ばあい と小脳 しょうのう 症状 しょうじょう に加 くわ え多彩 たさい な神経症 しんけいしょう 状 じょう を合併 がっぺい する場合 ばあい がある。抗原 こうげん 蛋白 たんぱく は発生 はっせい 段階 だんかい で神経 しんけい 細胞 さいぼう の分化 ぶんか に関与 かんよ し、小 しょう 脳神経 のうしんけい 回路 かいろ の発生 はっせい と維持 いじ に重要 じゅうよう なものが多 おお い。
抗 こう Yo抗体 こうたい
免疫 めんえき 組織 そしき 学 がく では小脳 しょうのう のプルキンエ細胞 さいぼう 、顆粒 かりゅう 細胞 さいぼう 層 そう の神経 しんけい 細胞 さいぼう の細胞 さいぼう 質 しつ に浅 あさ 色 しょく 性 せい を示 しめ す。認識 にんしき する蛋白質 たんぱくしつ はcdr2であり、この蛋白 たんぱく は小 しょう 脳神経 のうしんけい 細胞 さいぼう の分化 ぶんか と維持 いじ に関与 かんよ している可能 かのう 性 せい がある。子宮 しきゅう 癌 がん 、卵巣 らんそう 癌 がん 、乳癌 にゅうがん に随伴 ずいはん し小脳 しょうのう 症状 しょうじょう のみをしめすのが特徴 とくちょう である。
抗 こう Zic抗体 こうたい
肺 はい 小 しょう 細胞 さいぼう 癌 がん に随伴 ずいはん し小脳 しょうのう 症状 しょうじょう のみを示 しめ す。
抗 こう CARPⅧ抗体 こうたい
悪性 あくせい 黒色 こくしょく 腫 しゅ に合併 がっぺい する小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう で記載 きさい された。
抗 こう Tr抗体 こうたい
ホジキン病 びょう に随伴 ずいはん し小脳 しょうのう 症状 しょうじょう のみを示 しめ す。
小脳 しょうのう 症状 しょうじょう に加 くわ え多彩 たさい な神経症 しんけいしょう 状 じょう がみられるもの
編集 へんしゅう
抗 こう Ri抗体 こうたい
抗 こう Ri抗体 こうたい は小児 しょうに では神経 しんけい 芽 め 細胞腫 さいぼうしゅ 、成人 せいじん では乳癌 にゅうがん や肺 はい 小 しょう 細胞 さいぼう 癌 がん に随伴 ずいはん する。小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう に加 くわ え、オプソクローヌスやミオクローヌスを示 しめ す
抗 こう Hu抗体 こうたい
歴史 れきし 的 てき には肺 はい 小 しょう 細胞 さいぼう 癌 がん に伴 ともな う亜 あ 急性 きゅうせい 感覚 かんかく 性 せい 末梢 まっしょう 神経 しんけい 障害 しょうがい において報告 ほうこく されたが、その後 ご 、肺 はい 小 しょう 細胞 さいぼう 癌 がん に伴 ともな う小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう の抗 こう プルキンエ細胞 さいぼう 抗体 こうたい typeⅡa抗体 こうたい と同一 どういつ のものであると判明 はんめい した。抗 こう Hu抗体 こうたい は肺 はい 小 しょう 細胞 さいぼう 癌 がん のほかに前立腺 ぜんりつせん 癌 がん 、肺 はい 腺 せん 癌 がん 、副腎 ふくじん 癌 がん 、神経 しんけい 芽 め 細胞腫 さいぼうしゅ に随伴 ずいはん する小脳 しょうのう 失調 しっちょう でも報告 ほうこく されている。また小脳 しょうのう 症状 しょうじょう のみならず辺 あたり 縁 えん 系 けい 脳炎 のうえん 、脳幹 のうかん 脳炎 のうえん 、脊髄 せきずい 症 しょう など多彩 たさい な症状 しょうじょう を示 しめ す。
抗 こう Ma抗体 こうたい
抗 こう Ma抗体 こうたい は中枢 ちゅうすう 神経 しんけい 系 けい のほとんどの神経 しんけい 細胞 さいぼう の核 かく 小体 こてい に免疫 めんえき 組織 そしき 化学 かがく で染色 せんしょく 性 せい を示 しめ しMa1、Ma2、Ma3すべての蛋白 たんぱく を認識 にんしき する。抗 こう Ma抗体 こうたい を合併 がっぺい する小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう は精巣 せいそう 癌 がん に合併 がっぺい することが多 おお いが、肺癌 はいがん や乳癌 にゅうがん も報告 ほうこく されている。一方 いっぽう 、Ma2のみを認識 にんしき する抗 こう Ma2抗体 こうたい は辺 あたり 縁 えん 系 けい 脳炎 のうえん 、脳幹 のうかん 脳炎 のうえん に出現 しゅつげん する。この場合 ばあい も小脳 しょうのう 症状 しょうじょう を示 しめ すことがある。
抗 こう CRMP-5/CV-2抗体 こうたい
抗 こう CRMP-5(CV-2)抗体 こうたい は乏 とぼし 突起 とっき 膠 にかわ 細胞 さいぼう の細胞 さいぼう 質 しつ に結合 けつごう する抗体 こうたい で免疫 めんえき 組織 そしき 化学 かがく では小脳 しょうのう 分子 ぶんし 層 そう 、脳幹 のうかん 、脊髄 せきずい の白 しろ 質 しつ に染色 せんしょく 性 せい が認 みと められる。肺 はい 小 しょう 細胞 さいぼう 癌 がん や胸 むね 腺腫 せんしゅ に随伴 ずいはん し、小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう 、末梢 まっしょう 神経 しんけい 障害 しょうがい をほぼ同 おな じ頻度 ひんど で示 しめ す。また舞踏 ぶとう 病 びょう 、ジストニア、パーキンソン症候群 しょうこうぐん 、視神経 ししんけい 炎 えん 、嗅覚 きゅうかく 障害 しょうがい 、味覚 みかく 障害 しょうがい 、脳神経 のうしんけい 症状 しょうじょう など多彩 たさい な神経症 しんけいしょう 状 じょう を示 しめ すことも特徴 とくちょう である。
抗 こう ANNA-3抗体 こうたい
プルキンエ細胞 さいぼう とゴルジ細胞 さいぼう に染色 せんしょく 性 せい を示 しめ し170kDaの神経 しんけい 蛋白 たんぱく を認識 にんしき する抗体 こうたい である
多 おお くは肺 はい 小 しょう 細胞 さいぼう 癌 がん に合併 がっぺい し小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう を示 しめ すが、他 た に辺 あたり 縁 えん 系 けい 脳炎 のうえん 、感覚 かんかく 性 せい 発作 ほっさ 、脳幹 のうかん 脳炎 のうえん 、脊髄 せきずい 症 しょう 、末梢 まっしょう 神経 しんけい 障害 しょうがい を呈 てい する。
抗 こう PCA-2抗体 こうたい
プルキンエ細胞 さいぼう に染色 せんしょく 性 せい を示 しめ し280kDaの神経 しんけい 蛋白 たんぱく を認識 にんしき する抗体 こうたい である。肺 はい 小 しょう 細胞 さいぼう 癌 がん に合併 がっぺい し、小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう を示 しめ す。また辺 あたり 縁 えん 系 けい 脳炎 のうえん 、脳幹 のうかん 脳炎 のうえん 、ランバート・イートン症候群 しょうこうぐん が合併 がっぺい することもある。
細胞 さいぼう 膜 まく の抗原 こうげん 蛋白 たんぱく を認識 にんしき する抗体 こうたい の病 やまい 型 がた
編集 へんしゅう
抗 こう VGCC抗体 こうたい
肺 はい 小 しょう 細胞 さいぼう 癌 がん に随伴 ずいはん するランバート・イートン症候群 しょうこうぐん に出現 しゅつげん し、アセチルコリンの放出 ほうしゅつ を阻害 そがい することで易 えき 疲労 ひろう 性 せい の筋力 きんりょく 低下 ていか 、末梢 まっしょう 神経 しんけい 反復 はんぷく 刺激 しげき で漸増 ぜんぞう 現象 げんしょう (waxing)を示 しめ す。ランバート・イートン症候群 しょうこうぐん の約 やく 9%に小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう を合併 がっぺい することが明 あき らかになっている。
抗 こう mGluR抗体 こうたい
抗 こう 代謝 たいしゃ 調節 ちょうせつ 型 がた グルタミン酸 ぐるたみんさん 受容 じゅよう 体 たい (mGluR)抗体 こうたい はホジキン病 びょう の緩解 かんかい 期 き に小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう を発症 はっしょう した2症例 しょうれい に報告 ほうこく されている。
急性 きゅうせい 小脳 しょうのう 炎 えん (acute cerebellitis)あるいは感染 かんせん 後 ご 小脳 しょうのう 炎 えん (post-infectious cerebellitis)はウイルス感染 かんせん あるいは細菌 さいきん 感染 かんせん で惹起 じゃっき された免疫 めんえき 応答 おうとう で小脳 しょうのう に炎症 えんしょう が起 お きるものである。小脳 しょうのう の直接 ちょくせつ 侵 おかせ 襲 かさね による炎症 えんしょう は含 ふく まない。小児 しょうに に多 おお いが成人 せいじん にも発症 はっしょう する。水痘 すいとう 帯状疱疹 たいじょうほうしん ウイルス やEBウイルス で多 おお い。1994年 ねん のConnollyらによる報告 ほうこく では、70%の患者 かんじゃ に先行 せんこう 感染 かんせん がある[46] 。軽度 けいど の認知 にんち 機能 きのう 障害 しょうがい を示 しめ すことが多 おお く、髄 ずい 液 えき 検査 けんさ では単 たん 核 かく 球 だま の増加 ぞうか が認 みと められる。治療 ちりょう としては抗 こう ウイルス役 やく を投与 とうよ しながら経過 けいか 観察 かんさつ し、症状 しょうじょう が持続 じぞく する、あるいは悪化 あっか する場合 ばあい はステロイド、免疫 めんえき グロブリン大量 たいりょう 療法 りょうほう やアフェレーシス を検討 けんとう する。
自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう
編集 へんしゅう
自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう は症候 しょうこう 性 せい 皮質 ひしつ 性 せい 小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく 症 しょう のひとつであるが治療 ちりょう 可能 かのう である点 てん が非常 ひじょう に重要 じゅうよう である。脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう が鑑別 かんべつ にあがる。40〜50歳 さい 代 だい に発症 はっしょう し、歩行 ほこう 障害 しょうがい を呈 てい するものの小脳 しょうのう の萎縮 いしゅく が軽度 けいど から正常 せいじょう であり、脳幹 のうかん の萎縮 いしゅく が認 みと められない場合 ばあい は特 とく に自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう の可能 かのう 性 せい が高 たか い。鑑別 かんべつ を行 おこな うには小脳 しょうのう 症状 しょうじょう の特徴 とくちょう 、性別 せいべつ 、全身 ぜんしん 症状 しょうじょう 、他 た の神経 しんけい 所見 しょけん の組 く み合 あ わせが重要 じゅうよう である。眼 め 振 ふ や眼球 がんきゅう 運動 うんどう 障害 しょうがい ではグルテン運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう では出現 しゅつげん 頻度 ひんど が高 たか いが橋本 はしもと 脳症 のうしょう では頻度 ひんど が低 ひく い。抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう では女性 じょせい の割合 わりあい があ高 たか く、臓器 ぞうき 特異 とくい 的 てき な自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 疾患 しっかん の合併 がっぺい や家族 かぞく 歴 れき を示 しめ すものが多 おお い。高力 こうりき 価 あたい 群 ぐん では糖尿 とうにょう 病 びょう を先行 せんこう することが多 おお く、抗 こう グリアジン抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう では吸収 きゅうしゅう 障害 しょうがい による下痢 げり を合併 がっぺい することがある。また抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう では痙攣 けいれん 、stiff-person症候群 しょうこうぐん を抗 こう グリアジン抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう では末梢 まっしょう 神経 しんけい 障害 しょうがい 、抗 こう 甲状腺 こうじょうせん 抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう では軽度 けいど の精神 せいしん 症状 しょうじょう や認知 にんち 機能 きのう 障害 しょうがい を合併 がっぺい することがある。治療 ちりょう 効果 こうか では高力 こうりき 価 あたい 型 がた 抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう では治療 ちりょう 抵抗 ていこう 性 せい を示 しめ し、小脳 しょうのう が萎縮 いしゅく し運動 うんどう 失調 しっちょう が進行 しんこう するが抗 こう 甲状腺 こうじょうせん 抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう はステロイドで軽快 けいかい する。低 てい 力 ちから 価 か 抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう と抗 こう グリアジン抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう では両者 りょうしゃ の中 なか 間 あいだ を示 しめ す。脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう と自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう の鑑別 かんべつ に頭部 とうぶ MRIのVBMまたは脳 のう 血 ち 流 りゅう シンチが有効 ゆうこう という報告 ほうこく もある。脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう では対称 たいしょう な萎縮 いしゅく や血 ち 流 りゅう 低下 ていか を示 しめ すが自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう では非対称 ひたいしょう な分布 ぶんぷ を示 しめ すことが多 おお い。HLA-DQ2や抗 こう 小脳 しょうのう 抗体 こうたい が自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう のマーカーになる可能 かのう 性 せい があるという報告 ほうこく もある[47] 。以下 いか に代表 だいひょう 疾患 しっかん を述 の べる。
抗 こう GAD抗 こう 体高 たいこう 力 りょく 価 あたい 型 がた
抗 こう GAD抗体 こうたい 低 てい 力 ちから 価 か 型 がた
抗 こう グリアジン抗体 こうたい (グルテン運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう )
抗 こう 甲状腺 こうじょうせん 抗体 こうたい (橋本 はしもと 脳症 のうしょう )
平均 へいきん 発症 はっしょう 年齢 ねんれい
51歳 さい
53歳 さい
48歳 さい
56歳 さい
男女 だんじょ 差 さ
女性 じょせい 93%
女性 じょせい 83%
有意 ゆうい 差 さ なし
女性 じょせい 61%
家族 かぞく 歴 れき
報告 ほうこく あり
合併症 がっぺいしょう
1型 がた 糖尿 とうにょう 病 びょう 71%、慢性 まんせい 甲状腺 こうじょうせん 炎 えん 57%
1型 がた 糖尿 とうにょう 病 びょう 33%、シェーグレン症候群 しょうこうぐん の報告 ほうこく あり
吸収 きゅうしゅう 障害 しょうがい 24%、慢性 まんせい 甲状腺 こうじょうせん 炎 えん など
慢性 まんせい 甲状腺 こうじょうせん 炎 えん 38%
小脳 しょうのう 失調 しっちょう
歩行 ほこう 失調 しっちょう
100%
100%
100%
100%
上肢 じょうし 失調 しっちょう
86%
75%
69%
構音障害 しょうがい
57%
66%
62%
眼 め 振 ふ ・眼球 がんきゅう 運動 うんどう 障害 しょうがい
57%
84%
17%
他 た の神経症 しんけいしょう 状 じょう
stiff-person症候群 しょうこうぐん 、進行 しんこう すると痙攣 けいれん 、意識 いしき 障害 しょうがい
報告 ほうこく なし
末梢 まっしょう 神経 しんけい 障害 しょうがい 45%
軽度 けいど の意識 いしき 障害 しょうがい ・精神 せいしん 症状 しょうじょう ・認知 にんち 機能 きのう 障害 しょうがい 54%
頭部 とうぶ MRI
正常 せいじょう から軽度 けいど の萎縮 いしゅく
軽度 けいど の萎縮 いしゅく 100%
軽度 けいど の萎縮 いしゅく 79%
軽度 けいど の萎縮 いしゅく 38%
血清 けっせい の抗体 こうたい
抗 こう GAD抗体 こうたい (37200±30460U/ml)
抗 こう GAD抗体 こうたい (19.2±24.8U/ml)
抗 こう グリアジン抗体 こうたい (IgA、IgG)
抗 こう TPO抗体 こうたい 、抗 こう Tg抗体 こうたい 、抗 こう NAE抗体 こうたい (62%)
髄 ずい 液 えき の抗体 こうたい
抗 こう GAD抗体 こうたい 100%
抗 こう GAD抗体 こうたい 80%
測定 そくてい されていない
抗 こう NAE抗体 こうたい 33%
IgG index
全 ぜん 例 れい で>1.0
75%で>1.0
治療 ちりょう
ステロイドは効果 こうか 乏 とぼ しい、IVIgやや改善 かいぜん 、しかし効果 こうか 乏 とぼ しく進行 しんこう する
ステロイド、IVIgで改善 かいぜん 、しかし一 いち 次 じ 的 てき で徐々 じょじょ に効果 こうか がなくなる。超 ちょう 綺麗 きれい でも効果 こうか あり
無 む グルテン食 しょく で長期 ちょうき に改善 かいぜん 、効果 こうか がない場合 ばあい はIVIgなど、長期 ちょうき 例 れい でも効果 こうか あり
ステロイド反応 はんのう 良好 りょうこう 、62%で完全 かんぜん 緩解 かんかい または軽度 けいど の失調 しっちょう が残 のこ るまでに改善 かいぜん 、長期 ちょうき 例 れい でも効果 こうか あり
Hadjivassiliouらは多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 、遺伝 いでん 性 せい 脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう を除 のぞ いた孤 こ 発 はつ 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう 320名 めい の病因 びょういん を調 しら べ、グルテン失調 しっちょう 症 しょう が37%、抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう が2.6%であったことを報告 ほうこく した[48] 。原因 げんいん 不明 ふめい の特発 とくはつ 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう の60%が抗 こう 小脳 しょうのう 抗体 こうたい 陽性 ようせい で、自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 疾患 しっかん 患者 かんじゃ は47%であった。自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 疾患 しっかん で最 もっと も多 おお かったのは甲状腺 こうじょうせん 疾患 しっかん の橋本 はしもと 病 びょう であった。原因 げんいん が明確 めいかく でないものの自己 じこ 免疫 めんえき 機 き 序 じょ の小脳 しょうのう 失調 しっちょう と考 かんが えられる疾患 しっかん 群 ぐん をPACD(primary autoimmune cerebellar ataxia)と呼 よ び、小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう では自己 じこ 免疫 めんえき 機 き 序 じょ の疾患 しっかん の頻度 ひんど が高 たか いことを報告 ほうこく した。また自己 じこ 抗体 こうたい 陽性 ようせい の皮質 ひしつ 性 せい 小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく 症 しょう (cortical cerebellar atrophy、CCA)と陰性 いんせい CCAでは陽性 ようせい 例 れい の方 ほう がADL低下 ていか も早 はや く、予 よ 後 ご も悪 わる い。陽性 ようせい 抗体 こうたい 数 すう と進行 しんこう 速度 そくど に量 りょう 反応 はんのう 関係 かんけい が認 みと められる[49] 。日本 にっぽん では南里 なんり らが、多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう と遺伝 いでん 性 せい 脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう を除外 じょがい した特発 とくはつ 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう 58例 れい の病因 びょういん に関 かん して報告 ほうこく している[50] 。抗 こう グリアジン抗体 こうたい または脱 だつ アミド化 か グリアジン抗体 こうたい 陽性 ようせい 患者 かんじゃ が24%、抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう 13%、抗 こう 甲状腺 こうじょうせん 抗体 こうたい 単独 たんどく 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう 17%と、半数 はんすう 以上 いじょう で小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう 関連 かんれん 自己 じこ 抗体 こうたい が陽性 ようせい となった。さらに抗体 こうたい 陽性 ようせい 者 しゃ 22人 にん に免疫 めんえき 療法 りょうほう を行 おこな ったところ59%にあたる13名 めい で失調 しっちょう 症状 しょうじょう の改善 かいぜん が認 みと められた。これは特発 とくはつ 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう の22%以上 いじょう で免疫 めんえき 療法 りょうほう が有効 ゆうこう な可能 かのう 性 せい を示唆 しさ する。さらに南里 なんり らは抗 こう 甲状腺 こうじょうせん 抗体 こうたい 陽性 ようせい のSCA3の患者 かんじゃ で免疫 めんえき 治療 ちりょう で失調 しっちょう 症状 しょうじょう が改善 かいぜん した例 れい を報告 ほうこく し、遺伝 いでん 性 せい 脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう であっても自己 じこ 免疫 めんえき が悪化 あっか 要因 よういん になっている可能 かのう 性 せい があると考察 こうさつ した[51] 。さらに横田 よこた らはSCA31と小脳 しょうのう 失調 しっちょう 型 がた 橋本 はしもと 脳症 のうしょう の合併 がっぺい 例 れい を報告 ほうこく した[52] 。
自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう では急性 きゅうせい 、亜 あ 急性 きゅうせい 、慢性 まんせい のいずれの発症 はっしょう 様式 ようしき があり、回転 かいてん 性 せい めまいをうったえることがある。遺伝 いでん 性 せい 脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう は緩徐 かんじょ な進行 しんこう であり、回転 かいてん 性 せい めまいや症状 しょうじょう が急 きゅう に悪化 あっか しあたり、改善 かいぜん することはまれである。頭部 とうぶ MRIではVBMを行 おこな うと脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう では左右 さゆう 対称 たいしょう の白 はく 質 ただし 、灰 はい 白 しろ 質 しつ 萎縮 いしゅく を示 しめ すが自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう では左右 さゆう 非対称 ひたいしょう 性 せい の灰 はい 白 しろ 質 しつ 萎縮 いしゅく を示 しめ すことが多 おお く、白 はく 質 ただし 萎縮 いしゅく をきたすことは少 すく ない。多発 たはつ 性 せい 硬化 こうか 症 しょう や神経 しんけい ベーチェット病 びょう では脳幹 のうかん を含 ふく めた多彩 たさい な萎縮 いしゅく 所見 しょけん が認 みと められる。
抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう
編集 へんしゅう
グルタミン酸 ぐるたみんさん 脱 だつ 炭酸 たんさん 酵素 こうそ (GAD)は興奮 こうふん 性 せい 神経 しんけい 伝達 でんたつ 物質 ぶっしつ であるグルタミン酸 ぐるたみんさん から抑制 よくせい 性 せい 伝達 でんたつ 物質 ぶっしつ のGABA を合成 ごうせい する酵素 こうそ である。GAD65とGAD67の2種類 しゅるい が存在 そんざい し[53] 、抗 こう GAD抗体 こうたい はGAD65を認識 にんしき する。抗 こう GAD抗体 こうたい は1型 がた 糖尿 とうにょう 病 びょう と新規 しんき に診断 しんだん される患者 かんじゃ の80%に認 みと められると報告 ほうこく されている。1型 がた 糖尿 とうにょう 病 びょう 患者 かんじゃ に自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 甲状腺 こうじょうせん 疾患 しっかん を合併 がっぺい した場合 ばあい は多 た 腺 せん 性 せい 自己 じこ 免疫 めんえき 症候群 しょうこうぐん の定義 ていぎ を満 み たすので注意 ちゅうい が必要 ひつよう である。抗 こう GAD抗体 こうたい は1型 がた 糖尿 とうにょう 病 びょう や多 た 腺 せん 性 せい 自己 じこ 免疫 めんえき 症候群 しょうこうぐん などの内分泌 ないぶんぴつ 疾患 しっかん のみならずstiff-person症候群 しょうこうぐん や小脳 しょうのう 運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう 、辺 あたり 縁 えん 系 けい 脳炎 のうえん 、難治 なんじ 性 せい てんかん 、眼球 がんきゅう 運動 うんどう 障害 しょうがい などの神経 しんけい 疾患 しっかん でも認 みと められる[54] 。抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう は抗 こう GAD抗体 こうたい 関連 かんれん 免疫 めんえき 性 せい 神経 しんけい 疾患 しっかん のなかではstiff-person症候群 しょうこうぐん についで2番 ばん めに多 おお い。小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう は抗 こう GAD抗体 こうたい が高力 こうりき 価 か であるものと低 てい 力 ちから 価 か であるものの2種類 しゅるい が知 し られている。
抗 こう GAD抗 こう 体高 たいこう 力 りょく 価 あたい 型 がた
抗 こう GAD抗体 こうたい を伴 ともな う小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう の症例 しょうれい は1988年 ねん のsolimenaによってはじめて記載 きさい され、1995年 ねん にHonnoratらによっても報告 ほうこく された[55] 。2001年 ねん にHonnoratらにより欧州 おうしゅう での網羅 もうら 的 てき な調査 ちょうさ で疾患 しっかん 概念 がいねん は明確 めいかく にされた[56] 。この調査 ちょうさ は9000症例 しょうれい の血清 けっせい を対称 たいしょう にし、レトロスペクティブな解析 かいせき を行 おこな ったもので抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう が14症例 しょうれい 存在 そんざい した。14例 れい 中 ちゅう 13例 れい が女性 じょせい であり小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう の発症 はっしょう の中 なか 間 あいだ 値 ち は51歳 さい であった。10例 れい で1型 がた 糖尿 とうにょう 病 びょう を合併 がっぺい しその発症 はっしょう 年齢 ねんれい の中央 ちゅうおう 値 ち は47歳 さい であり小脳 しょうのう 失調 しっちょう に先行 せんこう した。臓器 ぞうき 特異 とくい 的 てき な自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 疾患 しっかん を合併 がっぺい し(57%で慢性 まんせい 甲状腺 こうじょうせん 炎 えん 、他 た に重症 じゅうしょう 筋 すじ 無力 むりょく 症 しょう や乾癬 かんせん など)、43%で血縁 けつえん 者 しゃ に自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 疾患 しっかん の既往 きおう が存在 そんざい した。抗 こう グリアジン抗体 こうたい 陽性 ようせい 例 れい も14名 めい 中 ちゅう 2名 めい で認 みと められた。小脳 しょうのう 失調 しっちょう は歩行 ほこう 障害 しょうがい が顕著 けんちょ でありMRIでは小脳 しょうのう の軽度 けいど の萎縮 いしゅく を認 みと めることが多 おお く、脳幹 のうかん の萎縮 いしゅく は認 みと められなかった。抗 こう GAD抗体 こうたい は抗体 こうたい 価 か は1型 がた 糖尿 とうにょう 病 びょう の抗体 こうたい 価 か と比 くら べて著 いちじる しく高値 たかね であり髄 ずい 液 えき にも抗 こう GAD抗体 こうたい が存在 そんざい し、IgG indexの上昇 じょうしょう があり、髄 ずい 腔内抗体 こうたい 産出 さんしゅつ が示唆 しさ されている。その後 ご の報告 ほうこく もほぼ同様 どうよう の特徴 とくちょう を示 しめ していた[54] 。自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう であるが治療 ちりょう 効果 こうか は限定 げんてい 的 てき である[57] [58] [59] 。ステロイド、免疫 めんえき グロブリン療法 りょうほう の報告 ほうこく がある。また高力 こうりき 価 あたい 型 がた の抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう にstiff-person症候群 しょうこうぐん を合併 がっぺい する例 れい [60] [61] 、末梢 まっしょう 神経 しんけい 障害 しょうがい とこわばりを合併 がっぺい する例 れい [56] 、重症 じゅうしょう 筋 すじ 無力 むりょく 症 しょう を合併 がっぺい する例 れい [62] の報告 ほうこく がある。原因 げんいん 不明 ふめい のめまい、一過 いっか 性 せい の複 ふく 視 し 、一過 いっか 性 せい の構音障害 しょうがい 、一過 いっか 性 せい の失調 しっちょう 症状 しょうじょう が小脳 しょうのう 失調 しっちょう 発症 はっしょう に先行 せんこう してみられる例 れい があり、早期 そうき 診断 しんだん のためにも前駆症状 ぜんくしょうじょう のみがみられる症例 しょうれい において抗 こう GAD抗体 こうたい を積極 せっきょく 的 てき に測定 そくてい するよう推奨 すいしょう した報告 ほうこく もある[63] 。
剖検 ぼうけん 報告 ほうこく ではプルキンエ細胞 さいぼう の脱落 だつらく 、ベルグマングリアの増 ぞう 生 せい が確認 かくにん されているが炎症 えんしょう 細胞 さいぼう の浸潤 しんじゅん は認 みと められなかった[64] 。
抗 こう GAD抗体 こうたい 低 てい 力 ちから 価 か 型 がた
2012年 ねん に東京 とうきょう 医大 いだい の南里 なんり らが報告 ほうこく した疾患 しっかん 単位 たんい である[65] 。南里 なんり らは6症例 しょうれい をまとめてその特徴 とくちょう を以下 いか のようにまとめている。抗 こう GAD抗 こう 体高 たいこう 力 りょく 価 あたい 型 がた との違 ちが いとしては、必 かなら ずしも1型 がた 糖尿 とうにょう 病 びょう が先行 せんこう しないこと、小脳 しょうのう 失調 しっちょう の家族 かぞく 歴 れき を示 しめ すことがあり遺伝 いでん 性 せい 脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう が鑑別 かんべつ になること、抗 こう GAD抗体 こうたい は血清 けっせい で低 てい 力 ちから 価 か 陽性 ようせい であり必 かなら ずしも髄 ずい 腔内で産出 さんしゅつ されていないこと、治療 ちりょう 効果 こうか は一過 いっか 性 せい であり治療 ちりょう を繰 く り返 かえ すうちに反応 はんのう が乏 とぼ しくなること、高力 こうりき 価 あたい 型 がた よりも進行 しんこう が緩徐 かんじょ であり長期 ちょうき 刑 けい 加 か 齢 よわい でも良好 りょうこう の反応 はんのう を示 しめ す例 れい があることなどがしられている。6名 めい 中 ちゅう 2名 めい (33%)で小脳 しょうのう 失調 しっちょう の家族 かぞく 歴 れき があり遺伝子 いでんし 検索 けんさく では脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう と診断 しんだん できなかった。また甲状腺 こうじょうせん 自己 じこ 抗体 こうたい が6例 れい 中 ちゅう 2例 れい (33%)で陽性 ようせい であった。
抗 こう GAD抗体 こうたい の病因 びょういん 的 てき な役割 やくわり
編集 へんしゅう
抗 こう GAD抗体 こうたい に関 かん しては以下 いか の2点 てん に関 かん して議論 ぎろん が知 し られている。まず第 だい 一 いち に抗 こう GAD抗体 こうたい は標的 ひょうてき 抗原 こうげん を機能 きのう 的 てき あるいは器質 きしつ 的 てき に障害 しょうがい するのか、すなわち病因 びょういん となりうるかという点 てん である。そして第 だい 二 に にどのようなメカニズムによって様々 さまざま な神経 しんけい 疾患 しっかん 病 びょう 型 がた をとるのかという点 てん である。
抗 こう GAD抗体 こうたい は病因 びょういん なのか?
臨床 りんしょう 観察 かんさつ では、抗 こう GAD抗体 こうたい 関連 かんれん 神経 しんけい 疾患 しっかん の多 おお くが免疫 めんえき 治療 ちりょう に抵抗 ていこう 性 せい を示 しめ すこと、血清 けっせい の抗体 こうたい 価 か も髄 ずい 液 えき の抗体 こうたい 価 か も疾患 しっかん 重症 じゅうしょう 度 ど に関連 かんれん 性 せい がないことが知 し られていた。また実験 じっけん 医学 いがく 的 てき にはGADは細胞 さいぼう 質 しつ 蛋白質 たんぱくしつ であるため、抗体 こうたい が抗原 こうげん に結合 けつごう することが困難 こんなん と考 かんが えられたため抗 こう GAD抗体 こうたい に病因 びょういん 的 てき な役割 やくわり がないと予想 よそう されていた[66] 。しかし三苫 みとま らは二 に 重 じゅう 染色 せんしょく による免疫 めんえき 組織 そしき 化学 かがく 法 ほう を用 もち いて、髄 ずい 液 えき の抗体 こうたい がプルキンエ細胞 さいぼう に投射 とうしゃ する抑制 よくせい 性 せい 神経 しんけい 細胞 さいぼう の終末 しゅうまつ 部 ぶ に結合 けつごう していることを明 あき らかにし、さらにスライス標本 ひょうほん に対 たい してパッチクランプ法 ほう を用 もち いて抗 こう GAD抗体 こうたい が抑制 よくせい 性 せい 神経 しんけい 細胞 さいぼう の終末 しゅうまつ 部 ぶ に作用 さよう してGABAの放出 ほうしゅつ を阻害 そがい することを明 あき らかにした[67] [36] [68] 。これらによってpathogenic actionが証明 しょうめい された。さらに2007年 ねん にMantoらは患者 かんじゃ 髄 ずい 液 えき をラットの小脳 しょうのう 内 ない に注入 ちゅうにゅう すると、小脳 しょうのう 刺激 しげき によって生 しょう じる大脳 だいのう 運動 うんどう 野 の に対 たい する抑制 よくせい が阻害 そがい されることから抗体 こうたい の投与 とうよ で症状 しょうじょう が再現 さいげん されpassive transferが証明 しょうめい された。そして抗 こう GAD抗原 こうげん エピトープはシナプス小 しょう 胞 が開口 かいこう 放出 ほうしゅつ する際 さい に一過 いっか 性 せい に細胞 さいぼう 表面 ひょうめん に露出 ろしゅつ するため抗体 こうたい と反応 はんのう するといった考 かんが え方 かた 、ラット小脳 しょうのう 器官 きかん 培養 ばいよう 実験 じっけん において、免疫 めんえき グロブリン がプルキンエ細胞 さいぼう に取 と り込 こ まれること、抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい のstiff-person症候群 しょうこうぐん 患者 かんじゃ のIgGがin vitroでGAD酵素 こうそ 活性 かっせい を阻害 そがい することなどからaccessibilityの証明 しょうめい もされつつある[69] [70] 。以上 いじょう からaccessibilityの証明 しょうめい 、pathogenic actionの証明 しょうめい 、passive transferの証明 しょうめい がすべて満 み たされ病因 びょういん として確立 かくりつ したという意見 いけん もある。しかし抗 こう GAD抗体 こうたい 関連 かんれん 免疫 めんえき 性 せい 疾患 しっかん では細胞 さいぼう 表面 ひょうめん 抗原 こうげん に対 たい する自己 じこ 抗体 こうたい が共存 きょうぞん することがある[71] [72] [73] [74] 。細胞 さいぼう 表面 ひょうめん 抗原 こうげん に対 たい する自己 じこ 抗体 こうたい を有 ゆう する疾患 しっかん では免疫 めんえき 治療 ちりょう に反応 はんのう 性 せい がよい例 れい が多 おお く、自己 じこ 抗体 こうたい が病因 びょういん 的 てき な役割 やくわり を果 は たす可能 かのう 性 せい が高 たか い[75] [76] 。それを踏 ふ まえて抗 こう GAD抗体 こうたい 関連 かんれん 疾患 しっかん においても、抗 こう GAD抗体 こうたい 自身 じしん ではなく、共存 きょうぞん する神経 しんけい 細胞 さいぼう 表面 ひょうめん 抗原 こうげん に対 たい する自己 じこ 抗体 こうたい が病因 びょういん 的 てき な役割 やくわり をはたすのではないかという考 かんが え方 かた も出 で てきているが、確定 かくてい 的 てき な実験 じっけん 的 てき 証拠 しょうこ はない[77] [78] [79] 。GrausやDalmauらは抗 こう GAD抗体 こうたい は病原 びょうげん 抗体 こうたい ではないと主張 しゅちょう している[21] 。
様々 さまざま な神経 しんけい 疾患 しっかん 病 びょう 型 がた をとるメカニズム
同 おな じ抗 こう GAD抗体 こうたい 陽性 ようせい であっても糖尿 とうにょう 病 びょう 、stiff-person症候群 しょうこうぐん 、小脳 しょうのう 運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう と症状 しょうじょう が異 こと なる理由 りゆう は抗体 こうたい のGADの認識 にんしき 部位 ぶい の違 ちが いと考 かんが えられている。神経症 しんけいしょう 状 じょう を発症 はっしょう する抗体 こうたい はGADのC末端 まったん を認識 にんしき する。stiff-person症候群 しょうこうぐん ではGADの酵素 こうそ 活性 かっせい を抑制 よくせい し、小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう ではGABAの放出 ほうしゅつ を抑制 よくせい する。一方 いっぽう で糖尿 とうにょう 病 びょう で認 みと められる抗体 こうたい はGADのmiddle portionを認識 にんしき する。ポリクローナルに産出 さんしゅつ される抗 こう GAD抗体 こうたい のサブタイプの割合 わりあい によって臨床 りんしょう 症状 しょうじょう が異 こと なると考 かんが えられている[80] 。
抗 こう 甲状腺 こうじょうせん 抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう (橋本 はしもと 脳症 のうしょう )
編集 へんしゅう
歴史 れきし 的 てき には1966年 ねん に英国 えいこく のBrainらが橋本 はしもと 病 びょう に伴 ともな い、意識 いしき 混濁 こんだく 、幻覚 げんかく 、片 かた 麻痺 まひ 、失語 しつご など精神 せいしん 神経症 しんけいしょう 状 じょう を呈 てい した48歳 さい の男性 だんせい 患者 かんじゃ を報告 ほうこく したことにはじまる[81] 。この患者 かんじゃ は甲状腺 こうじょうせん ホルモンの値 ね は正常 せいじょう であるにもかかわらず、精神 せいしん 神経症 しんけいしょう 状 じょう を繰 く り返 かえ し症状 しょうじょう の変動 へんどう と関連 かんれん してサイロイドテストの異常 いじょう や髄 ずい 腋 わき 蛋白 たんぱく の上昇 じょうしょう が認 みと められた。甲状腺 こうじょうせん 生 せい 検 けん では橋本 はしもと 病 びょう に特徴 とくちょう 的 てき な病理 びょうり 所見 しょけん が得 え られた。甲状腺 こうじょうせん ホルモンの補充 ほじゅう では症状 しょうじょう の改善 かいぜん が認 みと められず粘液 ねんえき 水腫 すいしゅ 性 せい 脳症 のうしょう とは異 こと なる自己 じこ 免疫 めんえき 的 てき な機 き 序 じょ を背景 はいけい とした脳症 のうしょう の存在 そんざい が示唆 しさ された。1988年 ねん にBehanらが急性 きゅうせい 散在 さんざい 性 せい 脳 のう 脊髄 せきずい 炎 えん 患者 かんじゃ を免疫 めんえき 学 がく 的 てき に解析 かいせき し、橋本 はしもと 病 びょう に伴 ともな う自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 脳症 のうしょう の一群 いちぐん があることを改 あらた めて指摘 してき した<。1991年 ねん にShawらが抗 こう 甲状腺 こうじょうせん 抗体 こうたい 陽性 ようせい でステロイド反応 はんのう 性 せい 有 ゆう する5名 めい の脳症 のうしょう 患者 かんじゃ を報告 ほうこく した[82] 。このときはじめて「Hashimoto encephalopathy」という新 あたら しい疾患 しっかん 概念 がいねん が提唱 ていしょう された。Shawらの基準 きじゅん [82] では精神 せいしん 神経症 しんけいしょう 状 じょう (脳症 のうしょう )の存在 そんざい 、抗 こう 甲状腺 こうじょうせん 抗体 こうたい の存在 そんざい 、ステロイドに対 たい する反応 はんのう 性 せい という3点 てん を強調 きょうちょう している。この診断 しんだん 基準 きじゅん の問題 もんだい 点 てん は甲状腺 こうじょうせん 自己 じこ 抗体 こうたい の疾患 しっかん 特異 とくい 性 せい である。抗 こう 甲状腺 こうじょうせん 抗体 こうたい の陽性 ようせい 率 りつ は日本人 にっぽんじん 全体 ぜんたい で5\25%に達 たっ するため診断 しんだん の契機 けいき になりえても確定 かくてい 診断 しんだん になりえない。しかし抗 こう NAE抗体 こうたい は橋本 はしもと 脳症 のうしょう の診断 しんだん 感度 かんど は50%で特異 とくい 度 ど が91%であり感度 かんど に問題 もんだい がある。抗 こう 甲状腺 こうじょうせん 抗体 こうたい が特徴 とくちょう の橋本 はしもと 脳症 のうしょう でも小脳 しょうのう 失調 しっちょう を示 しめ すものが知 し られている。福井大学 ふくいだいがく の調査 ちょうさ では16%が小脳 しょうのう 失調 しっちょう 型 がた である。Shawらの基準 きじゅん を満 み たした小脳 しょうのう 失調 しっちょう 型 がた 橋本 はしもと 脳症 のうしょう 13例 れい の検討 けんとう 例 れい の報告 ほうこく がある[83] 。抗 こう NAE抗体 こうたい 陽性 ようせい 例 れい は8例 れい で陰性 いんせい 例 れい が5例 れい であった(陽性 ようせい 率 りつ 62%)。62%が慢性 まんせい 進行 しんこう 性 せい の経過 けいか であり、半数 はんすう でSPECTで小脳 しょうのう の血 ち 流 りゅう 低下 ていか があり脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう との類似 るいじ 点 てん が認 みと められた。眼 め 振 ふ が17%と乏 とぼ しく、小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく も38%と乏 とぼ しかった。免疫 めんえき 学 がく 的 てき 治療 ちりょう の効果 こうか は著 ちょ 効 こう が4例 れい 、中等 ちゅうとう 度 ど 効果 こうか が4例 れい 、軽度 けいど 効果 こうか が5例 れい であった。三苫 みとま らは抗 こう NAE抗体 こうたい 陽性 ようせい の小脳 しょうのう 失調 しっちょう 型 がた 橋本 はしもと 脳症 のうしょう の患者 かんじゃ の髄 ずい 腋 わき をラットの小脳 しょうのう プルキンエ細胞 さいぼう に灌流しパッチクランプ法 ほう を用 もち いてプルキンエ細胞 さいぼう 伝達 でんたつ の阻害 そがい を明 あき らかにした[45] 。
抗 こう グリアジン抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう (グルテン失調 しっちょう 症 しょう )
編集 へんしゅう
グリアジン とは小麦粉 こむぎこ に含 ふく まれている蛋白質 たんぱくしつ であり、グルテニンと結合 けつごう しグルテン を形成 けいせい している。グルテンは粘 ねば りと弾性 だんせい を形成 けいせい する成分 せいぶん である。グリアジンに対 たい する抗体 こうたい は小麦 こむぎ アレルギー、小麦 こむぎ 依存 いぞん 性 せい 運動 うんどう 誘発 ゆうはつ アナフィラキシー、セリアック病 びょう で認 みと められる。神経 しんけい 障害 しょうがい については大脳 だいのう 萎縮 いしゅく 、認知 にんち 障害 しょうがい 、てんかん 、末梢 まっしょう 神経 しんけい 障害 しょうがい 、小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう などが報告 ほうこく されている。1998年 ねん と2003年 ねん にHadjivassiliouらは抗 こう グリアジン抗体 こうたい の出現 しゅつげん 頻度 ひんど を検討 けんとう し、正常 せいじょう 対称 たいしょう 群 ぐん は1200例 れい 中 ちゅう 149例 れい (12%)、家族 かぞく 性 せい 失調 しっちょう 症 しょう では59例 れい 中 ちゅう 8例 れい (14%)、MSA-Cでは33例 れい 中 ちゅう 5例 れい (15%)であったのに対 たい して孤 こ 発 はつ 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう の群 ぐん では132例 れい 中 ちゅう 54例 れい の41%と有意 ゆうい に高 たか いことを見出 みいだ した。これにより抗 こう グルアジン抗体 こうたい 陽性 ようせい の小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう は1つの疾患 しっかん 単位 たんい と推定 すいてい し、これをグルテン失調 しっちょう 症 しょう (またはグルテン運動 うんどう 失調 しっちょう )と名 な づけた[84] [85] 。
グルテン運動 うんどう 失調 しっちょう の臨床 りんしょう 像 ぞう は男女 だんじょ 比 ひ に有意 ゆうい 差 さ はなく、慢性 まんせい 甲状腺 こうじょうせん 炎 えん を合併 がっぺい していることもある。また1型 がた 糖尿 とうにょう 病 びょう の合併 がっぺい 例 れい の報告 ほうこく もある。小脳 しょうのう 症状 しょうじょう を発症 はっしょう した年齢 ねんれい は平均 へいきん 値 ち で48歳 さい であり24%に吸収 きゅうしゅう 不良 ふりょう を合併 がっぺい していた。ほぼ全 ぜん 例 れい で歩行 ほこう 失調 しっちょう を示 しめ し、眼球 がんきゅう 運動 うんどう 障害 しょうがい や眼 め 振 ふ も84%で頻度 ひんど が高 たか い、末梢 まっしょう 神経 しんけい 障害 しょうがい (軸 じく 索 さく ニューロパチー)の合併 がっぺい も45%にみられる。頭部 とうぶ MRIでは軽度 けいど の小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく を示 しめ すことが多 おお く、抗 こう グリアジン抗体 こうたい (IgGまたはIgA)陽性 ようせい であることで診断 しんだん される。治療 ちりょう は無 む グルテン食 しょく が行 おこな われ、多 おお くの症例 しょうれい である程度 ていど 運動 うんどう 失調 しっちょう は改善 かいぜん し、長期 ちょうき 的 てき にも効果 こうか が持続 じぞく する[59] 。無効 むこう 例 れい には免疫 めんえき グロブリン療法 りょうほう が行 おこな われ有効 ゆうこう 例 れい もある。日本 にっぽん ではセリアック病 びょう の頻度 ひんど が少 すく なくグルテン運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう は注目 ちゅうもく されていなかった。しかし京都 きょうと 大学 だいがく の猪原 いのはら らは多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう を除外 じょがい した14例 れい の原因 げんいん 不明 ふめい の小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう について抗 こう グリアジン抗体 こうたい 検査 けんさ を行 おこな い5例 れい (36%)で陽性 ようせい 、正常 せいじょう コントロール群 ぐん では2%の陽性 ようせい であったと報告 ほうこく した[86] 。このことからも抗 こう グリアジン抗体 こうたい 陽性 ようせい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう は稀 まれ な疾患 しっかん ではない可能 かのう 性 せい もある[87] 。日本 にっぽん では抗 こう グリアジンIgA抗体 こうたい 陽性 ようせい 例 れい が多 おお い。
HLA-DQ2とHLA-DQ8と強 つよ く関連 かんれん している。日本 にっぽん ではHLA-DQ2を保有 ほゆう する人 ひと は1%のみであり欧米 おうべい とは遺伝 いでん 的 てき な背景 はいけい が異 こと なる。南里 なんり らは日本 にっぽん のグルテン失調 しっちょう 症 しょう の治療 ちりょう 効果 こうか と剖検 ぼうけん 例 れい に関 かん して報告 ほうこく している[88] 。58名 めい の特発 とくはつ 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう 患者 かんじゃ のうち14人 にん (24%)で抗 こう グリアジン抗体 こうたい または脱 だつ アミド化 か 抗 こう グリアジン抗体 こうたい が陽性 ようせい であった。免疫 めんえき 療法 りょうほう は12例 れい 中 ちゅう 7例 れい で有効 ゆうこう であった。
プルキンエ細胞 さいぼう や顆粒 かりゅう 細胞 さいぼう とグルテン ペプチドの抗原 こうげん 性 せい エピトープ では、抗体 こうたい の交差 こうさ 反応 はんのう があることが知 し られている。抗 こう グリアジン抗体 こうたい はプルキンエ細胞 さいぼう と反応 はんのう する[89] 。病理 びょうり 報告 ほうこく [89] では小脳 しょうのう 皮質 ひしつ 全域 ぜんいき にPatchyなプルキンエ細胞 さいぼう の消失 しょうしつ 、Tリンパ球 だま の広範 こうはん な浸潤 しんじゅん が認 みと められる。小脳 しょうのう 白 しろ 質 しつ や脊髄 せきずい の後 のち 索 さく におもにTリンパ球 だま 、少数 しょうすう のBリンパ球 だま やマクロファージなどの炎症 えんしょう 細胞 さいぼう 浸潤 しんじゅん であるperivascular cuffingが認 みと められた。また、小脳 しょうのう 、脳幹 のうかん に抗 こう TG6抗体 こうたい IgAが沈着 ちんちゃく していた。
多発 たはつ 性 せい 硬化 こうか 症 しょう の約 やく 11〜33%に小脳 しょうのう 失調 しっちょう が認 みと められる。小脳 しょうのう 皮質 ひしつ の脱 だつ 髄 ずい 、プルキンエ細胞 さいぼう の脱落 だつらく は進行 しんこう 期 き の多発 たはつ 性 せい 硬化 こうか 症 しょう で認 みと められる[90] 。上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし や中小 ちゅうしょう 脳 のう 脚 あし 、脳幹 のうかん や小脳 しょうのう 白 しろ 質 しつ の障害 しょうがい を伴 ともな う。
シェーグレン症候群 しょうこうぐん に小脳 しょうのう 失調 しっちょう を示 しめ す例 れい がある。シェーグレン症候群 しょうこうぐん ではいくつかの神経 しんけい 組織 そしき に対 たい する自己 じこ 抗体 こうたい が報告 ほうこく されており、プルキンエ細胞 さいぼう と反応 はんのう する抗体 こうたい が含 ふく まれていると考 かんが えられる[91] 。
全身 ぜんしん 性 せい エリテマトーデス患者 かんじゃ で小脳 しょうのう 失調 しっちょう を示 しめ す例 れい は稀 まれ である。
HLA-B51関連 かんれん 小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく 症 しょう (神経 しんけい ベーチェット病 びょう )
編集 へんしゅう
慢性 まんせい 進行 しんこう 型 がた 神経 しんけい ベーチェット病 びょう では小脳 しょうのう 失調 しっちょう を示 しめ す例 れい がある。HLA-B51陽性 ようせい 、粘膜 ねんまく 皮膚 ひふ 眼 め 症状 しょうじょう は神経 しんけい ベーチェット病 びょう による小脳 しょうのう 失調 しっちょう の可能 かのう 性 せい を疑 うたが う。
BRAIN AND NERVE - 神経 しんけい 研究 けんきゅう の進歩 しんぽ 2013年 ねん 04月 がつ 増大 ぞうだい 号 ごう Antibody Update
脳神経 のうしんけい 内科 ないか 科学評論社 かがくひょうろんしゃ 2020 VOL.93 No.1
自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう 東 ひがし 医大 いだい 誌 し 2013 71 115-121
小脳 しょうのう と運動 うんどう 失調 しっちょう 小脳 しょうのう はなにをしているのか ISBN 9784521734422
医学 いがく のあゆみ 小脳 しょうのう の最新 さいしん 知見 ちけん vol.255 no.10 ASIN B018INS0XO
医学 いがく のあゆみ 免疫 めんえき 性 せい 神経 しんけい 疾患 しっかん vol.255 no.5 ASIN B016V3ITOI
南里 なんり 和紀 かずのり 、「自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 小脳 しょうのう 失調 しっちょう 症 しょう 」『東京醫科大學 とうきょういかだいがく 雜誌 ざっし 』 71(2), 115-121, 2013-04-30,NAID 10031182941