多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう (たけいとういしゅくしょう、英語 えいご : Multiple System Atrophy; MSA )は、代表 だいひょう 的 てき な神経 しんけい 変性 へんせい 疾患 しっかん の1つである。
進行 しんこう 性 せい の小脳 しょうのう 症状 しょうじょう をしばしば呈 てい することから、脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう の1型 がた (孤 こ 発 はつ 性 せい )と分類 ぶんるい され、日本 にっぽん の脊髄 せきずい 小脳 しょうのう 変性 へんせい 症 しょう の中 なか で最 もっと も多 おお い。多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう は国 くに の指定 してい 難病 なんびょう の一 ひと つである[1] 。多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう は成年 せいねん 期 き (人間 にんげん の30歳 さい 以降 いこう 、殆 ほとん どが40歳 さい 以降 いこう )に発症 はっしょう し、組織 そしき 学的 がくてき には神経 しんけい 細胞 さいぼう とオリゴデンドログリアに不溶化 ふようか したα あるふぁ シヌクレインが蓄積 ちくせき し、この病気 びょうき の進行 しんこう 性 せい の細胞 さいぼう 変性 へんせい 脱落 だつらく を来 きた す疾患 しっかん である。初発 しょはつ から病 やまい 初期 しょき の症候 しょうこう が小 しょう 脳性 のうせい 運動 うんどう 失調 しっちょう であるものはオリーブ橋 きょう 小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく 症 しょう (olivopontocerebellar atrophy:OPCA)、パーキンソニズムであるものの場合 ばあい 、線条 せんじょう 体 たい 黒 くろ 質 しつ 変性 へんせい 症 しょう 、特 とく に起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ など自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい の顕著 けんちょ であるものはシャイ・ドレーガー症候群 しょうこうぐん と各々 おのおの の原著 げんちょ に従 したが い称 しょう される。いずれも進行 しんこう するとこれら三 さん 大 だい 症候 しょうこう は重複 じゅうふく してくること、画像 がぞう 診断 しんだん でも脳幹 のうかん と小脳 しょうのう の萎縮 いしゅく や線条 せんじょう 体 たい の異常 いじょう 等 とう の所見 しょけん が認 みと められ、かつ組織 そしき 病理 びょうり も共通 きょうつう していることから多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう と総称 そうしょう される[2] 。
かつては小脳 しょうのう 症候 しょうこう を主 おも 徴 しるし とするものはオリーブ橋 きょう 小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく 症 しょう (OPCA、1900年 ねん )、起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ 、排尿 はいにょう 障害 しょうがい 、睡眠 すいみん 時 じ 無 む 呼吸 こきゅう (喉頭 こうとう 喘鳴 ぜんめい )などの自律 じりつ 神経 しんけい 症状 しょうじょう を主 おも 徴 しるし とするものはシャイ・ドレーガー症候群 しょうこうぐん (Shy-Drager Syndrome、SDS、1960年 ねん )、動作 どうさ 緩慢 かんまん 、小刻 こきざ み歩行 ほこう 、姿勢 しせい 反射 はんしゃ 障害 しょうがい などのパーキンソン症候群 しょうこうぐん を主 おも 徴 しるし とするものは線条 せんじょう 体 たい 黒 くろ 質 しつ 変性 へんせい 症 しょう (SND、1960-64年 ねん )と分類 ぶんるい され、1960年代 ねんだい の終 お わりからこれら3つの疾患 しっかん の臨床 りんしょう 症状 しょうじょう と病理 びょうり 学 がく 的 てき 所見 しょけん には共通 きょうつう した内容 ないよう が多 おお いことが注目 ちゅうもく された。該当 がいとう 内容 ないよう を包括 ほうかつ する概念 がいねん として1969年 ねん にGrahamやOppenheimerらが多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう という疾患 しっかん 概念 がいねん を考案 こうあん した。1989年 ねん に米国 べいこく のPappらがMSAでは臨床 りんしょう 病 びょう 型 がた に関係 かんけい なく100%の例 れい でオリゴデンドログリアに嗜銀性 せい 封入 ふうにゅう 体 たい が出現 しゅつげん することを報告 ほうこく し疾患 しっかん 概念 がいねん として確立 かくりつ した。この封入 ふうにゅう 体 たい がグリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい (GCI)と呼 よ ばれMSAに特異 とくい 的 てき な封入 ふうにゅう 体 たい である。1998年 ねん にはグリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい がα あるふぁ -シヌクレイン陽性 ようせい となることが報告 ほうこく され、多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう はパーキンソン病 びょう やレビー小体 こてい 病 びょう とともにα あるふぁ シヌクレノパチーという新 あら たな疾患 しっかん 概念 がいねん を形成 けいせい することになった。MSAは臨床 りんしょう 症状 しょうじょう によりMSA-P(multiple system atrophy predominated in parkinsonism)と小脳 しょうのう 失調 しっちょう が優位 ゆうい になるMSA-C(multiple system atrophy predominated in cerebellar ataxia)に大 おお きく分類 ぶんるい される[3] 。
Gilmanらによって提唱 ていしょう された診断 しんだん 基準 きじゅん では臨床 りんしょう 病 びょう 型 がた は小脳 しょうのう 失調 しっちょう の強 つよ いMSA-Cとパーキンソン症候群 しょうこうぐん が強 つよ いMSA-Pに分 わ かれる。第 だい 2回 かい コンセンサス会議 かいぎ では優勢 ゆうせい な運動 うんどう 症状 しょうじょう が経時 きょうじ 的 てき に変化 へんか しうることを踏 ふ まえてMSA-PとMSA-Cの呼称 こしょう は評価 ひょうか 時点 じてん の主 しゅ 症状 しょうじょう を指 さ すことになった。発症 はっしょう 時期 じき は運動 うんどう 症状 しょうじょう (パーキンソン症状 しょうじょう または小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう )もしくは自律 じりつ 神経症 しんけいしょう 状 じょう (起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ または排尿 はいにょう 障害 しょうがい )を自覚 じかく した時 とき である。あるいは疑 うたが い例 れい の基準 きじゅん で定義 ていぎ された自律 じりつ 神経症 しんけいしょう 状 じょう を自覚 じかく した時 とき とされている。発症 はっしょう 時期 じき に陰萎 いんい や女性 じょせい の性器 せいき 感度 かんど 低下 ていか は含 ふく まれていない。MSA-CとMSA-Pの相対 そうたい 的 てき 頻度 ひんど は地域 ちいき や人種 じんしゅ の違 ちが いによって異 こと なる可能 かのう 性 せい がある。ヨーロッパではMSA-Pが多 おお いが日本 にっぽん ではMSA-Cが多 おお い。日本 にっぽん から家族 かぞく 性 せい の発症 はっしょう の報告 ほうこく もある[4] 。
排尿 はいにょう 障害 しょうがい と起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ が重視 じゅうし されている。高度 こうど な自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい はパーキンソン病 びょう の除外 じょがい 基準 きじゅん ではないことにも注意 ちゅうい が必要 ひつよう である[5] 。
神経 しんけい 因 いん 性 せい 膀胱 ぼうこう (排尿 はいにょう 障害 しょうがい )
排尿 はいにょう 障害 しょうがい はMSAでは早期 そうき から高 こう 頻度 ひんど に出現 しゅつげん することが多 おお い。MSAの排尿 はいにょう 障害 しょうがい では蓄尿障害 しょうがい と排出 はいしゅつ 障害 しょうがい の両方 りょうほう がみられる。アンケート調査 ちょうさ [6] では日 にち 中 ちゅう 頻 しき 尿 にょう 、夜間 やかん 頻 しき 尿 にょう 、尿意 にょうい 切迫 せっぱく 感 かん 、切迫 せっぱく 性 せい 尿 にょう 失禁 しっきん 、排尿 はいにょう 開始 かいし 遅延 ちえん 、排尿 はいにょう 時間 じかん 延長 えんちょう 、尿 にょう 勢 ぜい 低下 ていか 、間欠 かんけつ 排尿 はいにょう 、腹 はら 圧 あつ 排尿 はいにょう が健常 けんじょう 者 しゃ 比較 ひかく して高 こう 頻度 ひんど であった。またMSA患者 かんじゃ の自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい では排尿 はいにょう 障害 しょうがい は96%で認 みと められ起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ の46%よりも高 こう 頻度 ひんど であった[7] 。この検討 けんとう では残 ざん 尿 にょう が74%認 みと められ、100ml以上 いじょう の残 ざん 尿 にょう が52%で認 みと められていた。発症 はっしょう 1年 ねん 目 め は平均 へいきん 残 ざん 尿 にょう 量 りょう が71mlであったが5年 ねん 後 ご には170mlと有意 ゆうい な増加 ぞうか が認 みと められる[8] 。MSA患者 かんじゃ 20例 れい とパーキンソン病 びょう 患者 かんじゃ 20例 れい の検討 けんとう ではMSA患者 かんじゃ では残 ざん 尿 にょう 量 りょう がパーキンソン病 びょう 患者 かんじゃ よりも多 おお く、100ml以上 いじょう の残 ざん 尿 にょう はMSAでは11例 れい に認 みと められたがパーキンソン病 びょう 患者 かんじゃ では1例 れい のみでしか認 みと められなかった[9] 。頻 しき 尿 にょう や夜間 やかん 頻 しき 尿 にょう はMSAとPDのどちらでも認 みと められるが尿 にょう 失禁 しっきん と残 ざん 尿 にょう はMSAでは早期 そうき から認 みと められるがPDでは早期 そうき から認 みと められることが稀 まれ のため鑑別 かんべつ や早期 そうき 診断 しんだん に重要 じゅうよう である。MSAの18.2%は最長 さいちょう 7年間 ねんかん 、排尿 はいにょう 障害 しょうがい のみで経過 けいか する。
起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ
正常 せいじょう の人 ひと では、立 た ちあがったときにふらついたり、気 き を失 うしな ったりすることはないが、このような症状 しょうじょう の出 で る時 とき を起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ 症 しょう という。起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ は排尿 はいにょう 障害 しょうがい に比 くら べて頻度 ひんど は低 ひく く、進行 しんこう してから顕在 けんざい 化 か することが多 おお い。起立 きりつ 3分 ふん 後 ご よりも10分 ふん 後 ご の測定 そくてい によりOHの頻度 ひんど が増 ふ えることが報告 ほうこく されている。初期 しょき より高度 こうど の起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ を示 しめ し、失神 しっしん を繰 く り返 かえ す例 れい もある。急 きゅう に立 た ち上 あ がったり、起 お き上 あ がった時 とき に血圧 けつあつ が低下 ていか し、軽 かる い意識 いしき 障害 しょうがい 、いわゆる立 た ちくらみをおこすことである。 正常 せいじょう 者 しゃ でもありますが、症状 しょうじょう が強 つよ く病的 びょうてき な場合 ばあい 起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ という。 脳 のう への血液 けつえき 循環 じゅんかん が減少 げんしょう することによって起 お こり、めまい(回転 かいてん 性 せい ではない)や吐 は き気 け がおこり、意識 いしき がなくなることもある[10] 。
呼吸 こきゅう 障害 しょうがい 、睡眠 すいみん 時 じ 無 む 呼吸 こきゅう 、喉頭 こうとう 喘鳴 ぜんめい
声帯 せいたい の奇異 きい 性 せい 運動 うんどう が上気 じょうき 道 どう 閉塞 へいそく の原因 げんいん として重要 じゅうよう である。吸気 きゅうき 時 じ の気道 きどう 狭窄 きょうさく 音 おん や吸気 きゅうき 時 じ のため息 いき もMSAに特徴 とくちょう 的 てき な呼吸 こきゅう 障害 しょうがい とされている。診断 しんだん 基準 きじゅん では喘鳴 ぜんめい はMSA疑 うたが い例 れい の基準 きじゅん における補足 ほそく 的 てき 特徴 とくちょう のひとつになっており、吸気 きゅうき 性 せい ため息 いき はred flagsのひとつになっている。
神経 しんけい 因 いん 性 せい 消化 しょうか 管 かん 障害 しょうがい (便秘 べんぴ )
陰茎 いんけい 勃起 ぼっき 障害 しょうがい
パーキンソン症候群 しょうこうぐん が知 し られている。振 ふ 戦 せん では不規則 ふきそく でミオクローヌスも合併 がっぺい しうる姿勢 しせい 時 じ 振 ふ 戦 せん や動作 どうさ 時 じ 振 ふ 戦 せん を認 みと める一方 いっぽう で丸薬 がんやく 丸 まる め様 さま のPDに特徴 とくちょう 的 てき な安静 あんせい 時 じ 振 ふ 戦 せん は稀 まれ である。パーキンソン症状 しょうじょう は左右 さゆう 対称 たいしょう の場合 ばあい が多 おお いが非対称 ひたいしょう 例 れい も少 すく なくない。姿勢 しせい 保持 ほじ 反射 はんしゃ 障害 しょうがい はPDよりも早期 そうき に出現 しゅつげん し、進行 しんこう 速度 そくど がはやい。L-DOPAへの反応 はんのう 性 せい は初期 しょき には認 みと められることもある。
日本 にっぽん では稀 まれ であるが深部 しんぶ 腱 けん 反射 はんしゃ 亢進 こうしん やバビンスキー反射 はんしゃ が認 みと められることがある。錐 きり 体外 たいがい 路 ろ 障害 しょうがい の代表 だいひょう 的 てき な症状 しょうじょう はパーキンソニズムである。 パーキンソン病 びょう で見 み られるような筋 すじ 強 きょう 剛 つよし 、振 ふ 戦 たたかえ 、動作 どうさ 緩慢 かんまん が起 お こる。 また体 からだ が勝手 かって に動 うご いてしまうジストニア(不 ふ 随意 ずいい 運動 うんどう )、ジスキネジアといった症状 しょうじょう も錐 きり 体外 たいがい 路 ろ 障害 しょうがい の一 ひと つである。ジスキネジアとは、錐 きり 体外 たいがい 路 ろ の中 なか でも大脳 だいのう 基底 きてい 核 かく という部位 ぶい が障害 しょうがい されて出現 しゅつげん する、おかしな動 うご きの総称 そうしょう を意味 いみ する[11] 。
歩行 ほこう 運動 うんどう 失調 しっちょう が最多 さいた で小脳 しょうのう 性 せい 構音障害 しょうがい や小脳 しょうのう 性 せい 眼球 がんきゅう 運動 うんどう 障害 しょうがい を伴 ともな う症例 しょうれい も多 おお い。早期 そうき の眼球 がんきゅう 運動 うんどう 異常 いじょう では眼 め 振 ふ は認 みと められず、短 たん 形 かたち 波 は 様 さま 律動 りつどう 性 せい 眼球 がんきゅう 運動 うんどう 、衝動 しょうどう 性 せい 追従 ついしょう 運動 うんどう および測定 そくてい 障害 しょうがい 性 せい サッケードなどが生 しょう じる。核 かく 上 うえ 性 せい 注視 ちゅうし 障害 しょうがい や衝動 しょうどう 性 せい 眼球 がんきゅう 運動 うんどう 速度 そくど の緩徐 かんじょ 化 か はMSAの特徴 とくちょう には含 ふく まれない。
かつては認知 にんち 症 しょう はMSA診断 しんだん に否定 ひてい 的 てき な症候 しょうこう であったが、MSAでは遂行 すいこう 機能 きのう 障害 しょうがい を中心 ちゅうしん とした前頭葉 ぜんとうよう 機能 きのう 障害 しょうがい を認 みと めることが明 あき らかになった[12] 。
MSAでも軽度 けいど の垂直 すいちょく 方向 ほうこう 性 せい 核 かく 上 うえ 性 せい 注視 ちゅうし 麻痺 まひ は認 みと められることがある。とくにprobable MSAでは27%で認 みと められたという報告 ほうこく もある[13] 。垂直 すいちょく 方向 ほうこう 性 せい 核 かく 上 うえ 性 せい 注視 ちゅうし 麻痺 まひ が認 みと めらた場合 ばあい 、進行 しんこう 性 せい 核 かく 上 うえ 性 せい 麻痺 まひ と鑑別 かんべつ が必要 ひつよう である。
MSAでは家族 かぞく 例 れい は極 きわ めて稀 まれ である[14] 。例外 れいがい 的 てき に家族 かぞく 性 せい に発症 はっしょう する家系 かけい が複数 ふくすう 報告 ほうこく されている[15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] 。遺伝 いでん 形式 けいしき は優性 ゆうせい 遺伝 いでん が推定 すいてい される家系 かけい もあれば[15] [16] [18] 、同胞 どうほう 発症 はっしょう で劣性 れっせい 遺伝 いでん の可能 かのう 性 せい がある家系 かけい もある[17] [19] [20] [21] 。特 とく に家系 かけい 内 ない でMSA-CとMSA-Pの発症 はっしょう 例 れい がある[16] [17] [20] [21] 。東京大学 とうきょうだいがく の研究 けんきゅう グループは家族 かぞく 性 せい 多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の検討 けんとう からCOQ2遺伝子 いでんし が発症 はっしょう に関与 かんよ していると報告 ほうこく した[20] 。
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 症例 しょうれい の40%に神経 しんけい 変性 へんせい 疾患 しっかん の家族 かぞく 歴 れき があり、18%でパーキンソン病 びょう の家族 かぞく 歴 れき があるという報告 ほうこく がある[22] 。この結果 けっか は遺伝 いでん 的 てき な因子 いんし が多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の発症 はっしょう の関与 かんよ している可能 かのう 性 せい やパーキンソン病 びょう と多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう で共通 きょうつう する病態 びょうたい があることを示唆 しさ する。
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう はα あるふぁ シヌクレイン の脳 のう 内 ない 蓄積 ちくせき を特徴 とくちょう とする神経 しんけい 変性 へんせい 疾患 しっかん である。パーキンソン病 びょう ではα あるふぁ シヌクレインは主 おも に神経 しんけい 細胞 さいぼう 内 ない に蓄積 ちくせき しレビー小体 こてい を形成 けいせい するのに対 たい して多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう では主 おも にオリゴデンドログリア の胞体内 ない に蓄積 ちくせき し、グリア細胞 さいぼう 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい (glial cytoplasmic inclusion、GCI)を形成 けいせい する。GCIは疾患 しっかん 特異 とくい 的 てき な構造 こうぞう 物 ぶつ であり、健常 けんじょう 者 しゃ の脳 のう に認 みと められることはほとんどないため、多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の病理 びょうり 学 がく 的 てき 診断 しんだん 指標 しひょう である。
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の病理 びょうり 診断 しんだん は線条 せんじょう 体 たい 黒 くろ 質 しつ 系 けい やオリーブ橋 きょう 小脳 しょうのう 系 けい の変性 へんせい と中枢 ちゅうすう 神経 しんけい 系 けい の広範 こうはん な領域 りょういき に豊富 ほうふ なグリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい を認 みと めることによって確定 かくてい する[23] [24] [25] 。オリゴデンドログリア内 ない のGCIの他 ほか 、ミエリン崩壊 ほうかい 、ミクログリア 活性 かっせい 化 か を含 ふく む神経 しんけい 炎症 えんしょう 所見 しょけん が多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の神経 しんけい 病理 びょうり 学 がく 的 てき 特徴 とくちょう と考 かんが えられている[26] 。
MSA-Cでは下 しも オリーブ核 かく 、橋 はし 核 かく 、小脳 しょうのう 皮質 ひしつ (プルキンエ細胞 さいぼう )にMSA-Pでは被 ひ 殻 から の背 せ 外 がい 側部 そくぶ と黒 くろ 質 しつ に高度 こうど の神経 しんけい 細胞 さいぼう 脱落 だつらく とグリオーシス が認 みと められる。さらに自律 じりつ 神経 しんけい 系 けい (視床 ししょう 下部 かぶ 、迷走 めいそう 神経 しんけい 背 せ 側 がわ 核 かく 、脊髄 せきずい 中間 なかま 質 しつ 外側 そとがわ 核 かく 、脊髄 せきずい オヌフ核 かく )にも神経 しんけい 脱落 だつらく が認 みと められる。しかし、これらの系統 けいとう が単独 たんどく で障害 しょうがい される例 れい が存在 そんざい せず、実際 じっさい にはオリーブ橋 きょう 小脳 しょうのう 系 けい 、線条 せんじょう 体 たい 黒 くろ 質 しつ 系 けい 、自律 じりつ 神経 しんけい 系 けい の3系統 けいとう が様々 さまざま な程度 ていど と組 く み合 あ わせで障害 しょうがい される。どの系統 けいとう が最 もっと も早期 そうき から障害 しょうがい されるかによって臨床 りんしょう 的 てき 病 びょう 型 がた が決定 けってい される。運動 うんどう ニューロン系 けい (大脳 だいのう 運動 うんどう 野 の 、錐 きり 体 からだ 路 ろ 、脊髄 せきずい 前 ぜん 角 かく )もMSAの病変 びょうへん 部位 ぶい となる。また前頭葉 ぜんとうよう 、側 がわ 頭 あたま 葉 は の萎縮 いしゅく 、大脳 だいのう 白 しろ 質 しつ 広範 こうはん 変性 へんせい などが認 みと められる場合 ばあい もある。
線条 せんじょう 体 たい 黒 くろ 質 しつ 系 けい やオリーブ橋 きょう 小脳 しょうのう 系 けい の構造 こうぞう 物 ぶつ に様々 さまざま な程度 ていど で萎縮 いしゅく や色調 しきちょう 変化 へんか を認 みと める。外見 がいけん 上 じょう 、大脳 だいのう に比 ひ し小脳 しょうのう と脳幹 のうかん の萎縮 いしゅく が強 つよ いことが多 おお い[23] 。割 わり 面 めん では被 ひ 殻 から の後方 こうほう かつ背 せ 外 がい 側部 そくぶ 優位 ゆうい に萎縮 いしゅく と褐色 かっしょく 調 ちょう 変化 へんか を認 みと め、中 ちゅう 脳 のう 黒 くろ 質 しつ の黒 くろ 色調 しきちょう は減 げん じて褐色 かっしょく 調 ちょう を呈 てい する。橋 はし 底部 ていぶ は、しばしば高度 こうど に萎縮 いしゅく し、中小 ちゅうしょう 脳 のう 脚 あし も萎縮 いしゅく する。延髄 えんずい の下 しも オリーブ核 かく のリボン様 さま 構造 こうぞう は不明瞭 ふめいりょう 化 か する小脳 しょうのう では、白 しろ 質 しつ の萎縮 いしゅく と褐色 かっしょく 調 ちょう 変化 へんか が強 つよ く、それに比 ひ し皮質 ひしつ の萎縮 いしゅく は軽 かる く、歯 は 状 じょう 核 かく や上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし も比較的 ひかくてき 保 たも たれることが特徴 とくちょう である。
組織 そしき 学的 がくてき には変性 へんせい 部位 ぶい には多数 たすう のGCIの出現 しゅつげん を伴 ともな って、様々 さまざま な程度 ていど で神経 しんけい 細胞 さいぼう や有 ゆう 髄 ずい 線維 せんい の脱落 だつらく 、アストロサイト の増殖 ぞうしょく 、ミクログリアの活性 かっせい 化 か が観察 かんさつ される。変性 へんせい の程度 ていど と分布 ぶんぷ は臨床 りんしょう 病 びょう 型 がた や罹病 りびょう 期間 きかん に大 おお きく依存 いぞん し多様 たよう である。人種 じんしゅ 間 あいだ でオリーブ橋 きょう 小脳 しょうのう 系 けい の優位 ゆうい タイプと線条 せんじょう 体 たい 黒 くろ 質 しつ 系 けい 優位 ゆうい タイプの比率 ひりつ に差 さ があることも報告 ほうこく されている[23] 。神経 しんけい 細胞 さいぼう 脱落 だつらく は、後部 こうぶ 被 ひ 殻 から 背 せ 外 がい 側部 そくぶ 、黒 くろ 質 しつ 、青 あお 斑 むら 核 かく 、プルキンエ細胞 さいぼう 層 そう 、橋 はし 核 かく 、下 しも オリーブ核 かく 、迷走 めいそう 神経 しんけい 背 せ 側 がわ 核 かく 、胸 むね 髄 ずい 中間 なかま 質 しつ 外側 そとがわ 核 かく 、オヌフ核 かく でしばしば高度 こうど に認 みと められる。オリーブ橋 きょう 小脳 しょうのう 系 けい では、小脳 しょうのう 入力 にゅうりょく 系 けい の変性 へんせい に比 ひ して出力 しゅつりょく 系 けい が保 たも たれることが特徴 とくちょう である。橋 はし 核 かく や、その軸 じく 索 さく が形成 けいせい する橋 はし 横走 よこはしり 線維 せんい は高度 こうど に変性 へんせい 消失 しょうしつ することが多 おお い。一方 いっぽう 、歯 は 状 じょう 核 かく の神経 しんけい 細胞 さいぼう は萎縮 いしゅく するものの、脱落 だつらく やグルモース変性 へんせい は軽度 けいど であり、白 はく 質 ただし 変性 へんせい は歯 は 状 じょう 核 かく 門 もん には及 およ ばない。
線条 せんじょう 体 たい 黒 くろ 質 しつ 系 けい では被 ひ 殻 から 後部 こうぶ の神経 しんけい 細胞 さいぼう はしばしば高度 こうど に脱落 だつらく し、ニューロピルは海綿 かいめん 状 じょう を呈 てい し、内部 ないぶ を走 はし る有 ゆう 髄 ずい 線維 せんい 束 たば 減少 げんしょう する。尾 お 状 じょう 核 かく は外側 そとがわ 優位 ゆうい 、淡 あわ 蒼 あお 球 だま は外 そと 節 ぶし 優位 ゆうい に変性 へんせい する。黒 くろ 質 しつ の変性 へんせい は緻密 ちみつ 帯 たい 腹 はら 外側 そとがわ に強 つよ く、網 あみ 様 さま 体 たい におよぶ[24] 。
各 かく 部位 ぶい の神経 しんけい 細胞 さいぼう 脱落 だつらく はグリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい の出現 しゅつげん 数 すう と相関 そうかん することが報告 ほうこく されている[27] がオリゴデンドログリアの脱落 だつらく が高度 こうど になるとGCIも減少 げんしょう する。グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい は抗 こう リン酸化 さんか α あるふぁ シヌクレイン抗体 こうたい で標識 ひょうしき され、ガリアス・ブラーク染色 せんしょく で嗜銀性 せい を示 しめ し、三 さん 角錐 かくすい や円錐 えんすい 、鎌形 かまがた 、楕円 だえん 形 がた など多彩 たさい な形態 けいたい を示 しめ す[23] 。
α あるふぁ シヌクレインはオリゴデンドログリア の胞体内 ない のみではなく、神経 しんけい 細胞 さいぼう の胞体にも蓄積 ちくせき し、neuronal cytoplasmic inclusion(NCI)を形成 けいせい する。また、パーキンソン病 びょう とは異 こと なり、神経 しんけい 細胞 さいぼう やオリゴデンドログリアの核 かく 内 ない にも蓄積 ちくせき し、それぞれneuronal nuclear inclusion(NNI)、glial nuclear inclusion(GNI)を形成 けいせい する。神経 しんけい 突起 とっき 内 ない の蓄積 ちくせき であるdystrophic neuriteも観察 かんさつ される。しかし、これらの構造 こうぞう 物 ぶつ の出現 しゅつげん 量 りょう はGCIに比 ひ し圧倒的 あっとうてき に少 すく なく、通常 つうじょう 、NCIが多数 たすう 認 みと められるのは橋 はし 核 かく 、下 しも オリーブ核 かく 、被 ひ 殻 から に限 かぎ られる。
グリア細胞 さいぼう 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい (GCI)
α あるふぁ シヌクレイン免疫 めんえき 染色 せんしょく ではオリゴデンドログリアの細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない にGCIが認 みと められる
グリア細胞 さいぼう 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい (glial cytoplasmic inclusion、GCI)はオリゴデンドログリアに認 みと められMSAの病理 びょうり 診断 しんだん では必須 ひっす である。グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい はHE染色 せんしょく では淡 あわ いピンク色 ぴんくいろ であり見落 みお としやすいがガリアス染色 せんしょく またはα あるふぁ シヌクレイン免疫 めんえき 染色 せんしょく を用 もち いると明瞭 めいりょう に検出 けんしゅつ できる。グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい は異常 いじょう フィラメントが集 しゅう 簇 むらが した構造 こうぞう 物 ぶつ である。グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい は中枢 ちゅうすう 神経 しんけい 系 けい に広範 こうはん に分布 ぶんぷ し、特 とく に神経 しんけい 細胞 さいぼう 脱落 だつらく を呈 てい する神経 しんけい 核 かく ならびにその投射 とうしゃ 線維 せんい に多 おお い。グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい が多 おお く認 みと められる部位 ぶい としては線条 せんじょう 体 たい 、淡 あわ 蒼 あお 球 だま 、内包 ないほう 、外 そと 包 つつめ 、橋 はし 底部 ていぶ 、中小 ちゅうしょう 脳 のう 脚 あし 、小脳 しょうのう 白 しろ 質 しつ 、大脳 だいのう 運動 うんどう 野 の などがあげられる。その一方 いっぽう で上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし にはグリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい があまり認 みと めないと報告 ほうこく されている[28] 。MSAではオリーブ橋 きょう 小脳 しょうのう 系 けい でも線条 せんじょう 体 たい 黒 くろ 質 しつ でも線条 せんじょう 体 たい 黒 くろ 質 しつ 系 けい でもグリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい の出現 しゅつげん 数 すう と神経 しんけい 脱落 だつらく の程度 ていど は相関 そうかん している。MSAにおけるもっとも早期 そうき の変化 へんか はオリゴデンドログリアにおけるα あるふぁ シヌクレインの蓄積 ちくせき 、凝集 ぎょうしゅう でありその後 ご 、ミエリン、軸 じく 索 さく の変性 へんせい を経 へ て神経 しんけい 細胞 さいぼう 死 し と向 む かうと考 かんが えられている。GCIは脳 のう 広範 こうはん に出現 しゅつげん し、広範 こうはん にオリゴデンドログリアが障害 しょうがい されることでMSAの多 た 系統 けいとう の障害 しょうがい は説明 せつめい される。
グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい を含 ふく むオリゴデンドログリアでは核 かく 内 ない にも点 てん 状 じょう ないし線 せん 状 じょう の封入 ふうにゅう 体 たい 、GNIが認 みと められることもある、また神経 しんけい 細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい であるNCI、神経 しんけい 細胞 さいぼう 核 かく 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい NNIや神経 しんけい 突起 とっき 内 うち にneuropil threadsなど知 し られている。GCI、GNI、NCI、NNI、neuropil threadsという5種類 しゅるい の構造 こうぞう 物 ぶつ が知 し られている。グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい の増加 ぞうか と広 ひろ がりに伴 ともな いNCIも増加 ぞうか しやがて神経 しんけい 細胞 さいぼう 脱落 だつらく が認 みと められる。
パーキンソン病 びょう とMSAでは蓄積 ちくせき するα あるふぁ シヌクレインの化学 かがく 的 てき 構造 こうぞう は同一 どういつ と考 かんが えられている。パーキンソン病 びょう ではレビー小体 こてい の形成 けいせい 過程 かてい が観察 かんさつ されるがMSAのグリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい は形成 けいせい 過程 かてい が観察 かんさつ されない。パーキンソン病 びょう ではグリア内 ない 蓄積 ちくせき はあるが核 かく 内 ない 蓄積 ちくせき は認 みと められないがMSAではGNIなど核 かく 内 ない 蓄積 ちくせき がある。α あるふぁ シヌクレイン遺伝子 いでんし の異常 いじょう はパーキンソン病 びょう は起 お こすがMSAは起 お こさないといった違 ちが いが認 みと められる。
小脳 しょうのう 失調 しっちょう
小脳 しょうのう 失調 しっちょう の責任 せきにん 病巣 びょうそう は多数 たすう ある。橋 はし 底部 ていぶ にある橋 はし 核 かく 神経 しんけい 細胞 さいぼう 、その遠心 えんしん 路 ろ である橋 はし 小脳 しょうのう 線維 せんい 、中小 ちゅうしょう 脳 のう 脚 あし 、小脳 しょうのう 白 しろ 質 しつ 、オリーブ小脳 しょうのう 線維 せんい 、小脳 しょうのう のプルキンエ細胞 さいぼう のなどが変性 へんせい 、脱落 だつらく する。
パーキンソン症候群 しょうこうぐん
MSAのパーキンソン症候群 しょうこうぐん の責任 せきにん 病巣 びょうそう は被 ひ 殻 から と中 ちゅう 脳 のう の黒 くろ 質 しつ である。被 ひ 殻 から では小型 こがた 神経 しんけい 細胞 さいぼう が脱落 だつらく し、黒 くろ 質 しつ では緻密 ちみつ 帯 たい のニューロメラニン含有 がんゆう 細胞 さいぼう が脱落 だつらく する。被 ひ 殻 から 病変 びょうへん は背 せ 外 がい 側部 そくぶ で黒 くろ 質 しつ 病変 びょうへん は外側 そとがわ で強 つよ い。
自律 じりつ 神経 しんけい 系 けい
視床 ししょう 下部 かぶ 、迷走 めいそう 神経 しんけい 背 せ 側 がわ 核 かく 、脊髄 せきずい 中間 なかま 質 しつ 外側 そとがわ 核 かく 、脊髄 せきずい オヌフ核 かく の神経 しんけい 脱落 だつらく が認 みと められる。突然 とつぜん 死 し の責任 せきにん 病巣 びょうそう としては延髄 えんずい のセロトニンニューロンの脱落 だつらく が指摘 してき されている。多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう における自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい は脳幹 のうかん や脊髄 せきずい の節 ふし 前 ぜん 自律 じりつ 神経 しんけい 細胞 さいぼう の変性 へんせい によって生 しょう じると考 かんが えられている[29] 。
認知 にんち 機能 きのう
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう では罹病 りびょう 後期 こうき の認知 にんち 機能 きのう 障害 しょうがい は稀 まれ ではない。遂行 すいこう 機能 きのう 障害 しょうがい や注意 ちゅうい 障害 しょうがい をはじめとする前頭葉 ぜんとうよう 機能 きのう 障害 しょうがい 目立 めだ つのが特徴 とくちょう である[30] 。しかし、認知 にんち 機能 きのう 障害 しょうがい の組織 そしき 学 がく 的 てき 責任 せきにん 病巣 びょうそう はいまだ明 あき らかではない。認知 にんち 機能 きのう 障害 しょうがい を呈 てい する多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の中 なか に、多数 たすう のneuronal cytoplasmic inclusionを伴 ともな い側 がわ 頭 あたま 葉 は が高度 こうど に萎縮 いしゅく する稀 まれ な一群 いちぐん も報告 ほうこく されている[31] 。
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の病態 びょうたい はα あるふぁ シヌクレイン病態 びょうたい 、オリゴデンドログリア の機能 きのう 障害 しょうがい 、ミトコンドリア 機能 きのう 障害 しょうがい 、神経 しんけい 炎症 えんしょう などがなる。細胞 さいぼう 内 ない 病態 びょうたい としては鉄 てつ 代謝 たいしゃ 異常 いじょう やオートファジー 機能 きのう 障害 しょうがい や遺伝 いでん 的 てき な要因 よういん やエピジェネティックな機 き 序 じょ も関係 かんけい している。
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう ではα あるふぁ シヌクレイン発現 はつげん ・代謝 たいしゃ 異常 いじょう がもたらす細胞 さいぼう 生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 変化 へんか がα あるふぁ シヌクレインの凝集 ぎょうしゅう ・線維 せんい 化 か に始 はじ まる病的 びょうてき カスケードを誘導 ゆうどう する。また凝集 ぎょうしゅう α あるふぁ シヌクレインがプリオン 同様 どうよう に細胞 さいぼう 間 あいだ を伝播 でんぱ し病変 びょうへん を拡大 かくだい させるという病態 びょうたい 仮説 かせつ に加 くわ え[32] 、特定 とくてい の高次 こうじ 構造 こうぞう を有 ゆう する凝集 ぎょうしゅう α あるふぁ シヌクレインと各 かく シヌクレイノパチー の病理 びょうり ・臨床 りんしょう 像 ぞう 形成 けいせい の関係 かんけい も近年 きんねん 注目 ちゅうもく されている[33] 。
MDSによる多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の診断 しんだん 基準 きじゅん を主導 しゅどう したオーストリア のインスブルック医科 いか 大学 だいがく のGregor Wenning教授 きょうじゅ は多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の病態 びょうたい をα あるふぁ シヌクレインの凝集 ぎょうしゅう 、特異 とくい 的 てき α あるふぁ シヌクレイン株 かぶ と伝搬 でんぱん 、α あるふぁ シヌクレインの役割 やくわり 、神経 しんけい 炎症 えんしょう シグナル伝達 でんたつ 、その他 た に分類 ぶんるい している[34] 。
蛋白質 たんぱくしつ の凝集 ぎょうしゅう は神経 しんけい 変性 へんせい 疾患 しっかん の病理 びょうり 学 がく 的 てき な特徴 とくちょう の一 ひと つである。多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう ではオリゴデンドログリア におけるα あるふぁ シヌクレイン蓄積 ちくせき とグリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい 形成 けいせい が重要 じゅうよう 視 し されている。グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい 出現 しゅつげん 頻度 ひんど は神経 しんけい 細胞 さいぼう の核 かく 内 ない および細胞 さいぼう 質 しつ におけるα あるふぁ シヌクレイン蓄積 ちくせき に勝 まさ ること、グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい 出現 しゅつげん は神経 しんけい 細胞 さいぼう 脱落 だつらく とグリオーシス に先行 せんこう すること、グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい 出現 しゅつげん 頻度 ひんど は多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 病 びょう 早期 そうき の重症 じゅうしょう 度 ど と罹病 りびょう 期間 きかん によく一致 いっち すること、一部 いちぶ のα あるふぁ シヌクレイン遺伝子 いでんし (SNCA)点 てん 変異 へんい あるいは二 に 重 じゅう ・三重 みえ 重複 じゅうふく を有 ゆう する家系 かけい の一部 いちぶ の患者 かんじゃ において多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 類似 るいじ の臨床 りんしょう 像 ぞう とグリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい 病理 びょうり を認 みと めること、ミスフォールド から凝集 ぎょうしゅう に至 いた るα あるふぁ シヌクレインの構造 こうぞう 変化 へんか が細胞 さいぼう 死 し に関与 かんよ すること、多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 患者 かんじゃ 脳 のう では特定 とくてい の高次 こうじ 構造 こうぞう を有 ゆう する凝集 ぎょうしゅう α あるふぁ シヌクレイン株 かぶ が存在 そんざい し、同 どう 構造 こうぞう は細胞 さいぼう 間 あいだ を跨 また いで伝播 でんぱ することなどが重症 じゅうしょう 視 し される根拠 こんきょ になる[35] 。一方 いっぽう 、正常 せいじょう 脳 のう ではα あるふぁ シヌクレインをほとんど発現 はつげん しないオリゴデンドログリア内 ない において、多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう では多量 たりょう のα あるふぁ シヌクレインが検出 けんしゅつ される理由 りゆう は不明 ふめい である。多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 病変 びょうへん 部 ぶ のオリゴデンドログリアでα あるふぁ シヌクレイン発現 はつげん が病的 びょうてき に高 たか まっている可能 かのう 性 せい 、α あるふぁ シヌクレイン分解 ぶんかい 機能 きのう が低下 ていか している可能 かのう 性 せい 、あるいは神経 しんけい 細胞 さいぼう が分泌 ぶんぴつ したα あるふぁ シヌクレインをオリゴデンドログリアが取 と り込 こ んでいる可能 かのう 性 せい (プリオン仮説 かせつ )が推定 すいてい されているが、いずれも確証 かくしょう が得 え られていない[35] [36] 。
グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい の形成 けいせい 機 き 序 じょ に関 かん しても未 いま だ解明 かいめい されていないが、1つの可能 かのう 性 せい としてオリゴデンドログリア特異 とくい 蛋白 たんぱく であるTPPP(tubulin polymerization promoting protein)が多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 患者 かんじゃ の脳 のう 内 ない でミエリン 鞘 さや から細胞 さいぼう 質 しつ へ異常 いじょう 分布 ぶんぷ し、これがα あるふぁ シヌクレイン凝集 ぎょうしゅう を促進 そくしん し、続発 ぞくはつ 性 せい の神経 しんけい 細胞 さいぼう 死 し を起 お こすという説 せつ もある。これはprimary oligodendrogliopathy説 せつ と言 い われている[37] 。また多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 患者 かんじゃ の脳 のう 内 ない には特有 とくゆう の高次 こうじ 構造 こうぞう を有 ゆう する線維 せんい 化 か α あるふぁ シヌクレイン株 かぶ が存在 そんざい し、グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい 病理 びょうり を誘導 ゆうどう する可能 かのう 性 せい も指摘 してき されている[33] [38] 。α あるふぁ シヌクレインが多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の病態 びょうたい に深 ふか く関与 かんよ することは疑 うたが いないがα あるふぁ シヌクレイン単一 たんいつ 分子 ぶんし で病態 びょうたい の全 すべ てを説明 せつめい できるかは議論 ぎろん の余地 よち がある。実際 じっさい 、グリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい には14-3-3 、ユビキチン 、α あるふぁ Bクリスタリン 、TPPPなど多 おお くの分子 ぶんし が検出 けんしゅつ される[39] 。また、複数 ふくすう のα あるふぁ シヌクレイントランスジェニック多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう マウスモデルでグリア細胞 さいぼう 質 しつ 内 ない 封入 ふうにゅう 体 たい 病理 びょうり 形成 けいせい に成功 せいこう しているが、ヒトの多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の臨床 りんしょう ・病理 びょうり 像 ぞう を正確 せいかく に模倣 もほう するまでに至 いた っていない[40] 。その他 た の疾患 しっかん 感受性 かんじゅせい 遺伝子 いでんし の候補 こうほ も報告 ほうこく されておりα あるふぁ シヌクレイン以外 いがい の分子 ぶんし が病態 びょうたい に関与 かんよ する可能 かのう 性 せい も残 のこ されている[41] [40] 。
特異 とくい 的 てき α あるふぁ シヌクレイン株 かぶ と伝搬 でんぱん
編集 へんしゅう
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう で凝集 ぎょうしゅう するα あるふぁ シヌクレイン はパーキンソン病 びょう で観察 かんさつ されるものと大 おお きく異 こと なる。クライオ電子 でんし 顕微鏡 けんびきょう による解析 かいせき では多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 患者 かんじゃ の脳 のう から単 たん 離 はな されたα あるふぁ シヌクレイン線維 せんい [33] とパーキンソン病 びょう 患者 かんじゃ 脳 のう から単 たん 離 はな されたα あるふぁ シヌクレイン線維 せんい [42] は構造 こうぞう が異 こと なることが報告 ほうこく されている。多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 患者 かんじゃ のGCIに由来 ゆらい するα あるふぁ シヌクレイン株 かぶ 、特 とく にオリゴマーは霊長 れいちょう 類 るい 脳 のう の神経 しんけい 細胞 さいぼう 喪失 そうしつ と脱 だつ 髄 ずい を引 ひ き起 お こすがGCI凝集 ぎょうしゅう は示 しめ さなかった[43] 。げっ歯 は 類 るい でも同様 どうよう の傾向 けいこう が認 みと められた[44] [45] 。またパーキンソン病 びょう ではα あるふぁ シヌクレイン凝集 ぎょうしゅう 体 たい が細胞 さいぼう 間 あいだ でプリオン様 さま に伝搬 でんぱん することが知 し られているが多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう のような急速 きゅうそく な病態 びょうたい がプリオン様 さま の伝搬 でんぱん で説明 せつめい するのは困難 こんなん と考 かんが えられている。
α あるふぁ シヌクレインのオリゴマー やポリマー が神経 しんけい 変性 へんせい に関与 かんよ する知見 ちけん は多数 たすう ある[46] [47] [48] [49] 。その一方 いっぽう でα あるふぁ シヌクレインのオリゴデンドログリアへの伝搬 でんぱん のメカニズムは完全 かんぜん には解明 かいめい されていない。Gregor Wenning教授 きょうじゅ らは多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の病態 びょうたい をミトコンドリア機能 きのう 障害 しょうがい [50] [51] から始 はじ まるオリゴデンドログリア の機能 きのう 障害 しょうがい につながる多 た 因子 いんし 疾患 しっかん と考 かんが えている[34] 。環境 かんきょう 要因 よういん 、遺伝 いでん 的 てき 要因 よういん 、エピジェネティックな要因 よういん 、感染 かんせん 症 しょう や神経 しんけい 炎症 えんしょう はミトコンドリア 機能 きのう 障害 しょうがい の上流 じょうりゅう と考 かんが えられる。
一方 いっぽう 、同 おな じシヌクレイノパチーであるパーキンソン病 びょう では抗 こう シヌクレイン抗体 こうたい を用 もち いた免疫 めんえき 治療 ちりょう はプラセボと比 くら べて有効 ゆうこう 性 せい を示 しめ すことができなかった[52] [53] 。この結果 けっか から細胞 さいぼう 外 がい α あるふぁ シヌクレインオリゴマーの除去 じょきょ だけでは病態 びょうたい 修飾 しゅうしょく に不十分 ふじゅうぶん と考 かんが えられる。神経 しんけい 変性 へんせい 疾患 しっかん では凝集 ぎょうしゅう 蛋白質 たんぱくしつ の蓄積 ちくせき による細胞 さいぼう 死 し だけではなく免疫 めんえき 細胞 さいぼう が引 ひ き起 お こす細胞 さいぼう 障害 しょうがい も知 し られている。そのため凝集 ぎょうしゅう 蛋白質 たんぱくしつ の除去 じょきょ だけでは十分 じゅうぶん な治療 ちりょう 効果 こうか が得 え られないとう意見 いけん もある[54] 。
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の病態 びょうたい に神経 しんけい 炎症 えんしょう が関 かか わっていると考 かんが えられている[26] 。多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の脳 のう 病理 びょうり ではアストロサイト の増 ぞう 生 せい (アストログリオーシス)とミクログリア の活性 かっせい 化 か が顕著 けんちょ である[55] [56] [57] [58] [59] 。また、多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の脳 のう 病理 びょうり でT細胞 さいぼう の浸潤 しんじゅん を確認 かくにん したという報告 ほうこく もある[60] 。モデルマウスによる検討 けんとう ではα あるふぁ シヌクレイン がミクログリアを活性 かっせい 化 か することを示 しめ し[61] 、ミクログリアを抑制 よくせい することで黒 くろ 質 しつ ドパミン作動 さどう 性 せい ニューロンが回復 かいふく することが示 しめ されている[62] 。またPET を用 もち いた検討 けんとう では多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 患者 かんじゃ の脳 のう では疾患 しっかん の初期 しょき 段階 だんかい からミクログリア が活性 かっせい 化 か していること示 しめ されている[63] [64] [65] 。
TLR シグナルと多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう との関連 かんれん を示唆 しさ する報告 ほうこく もあるが[62] [66] [67] 、
ミノサイクリン を用 もち いた臨床 りんしょう 研究 けんきゅう では一部 いちぶ で脳 のう 内 ない ミクログリアの活性 かっせい の抑制 よくせい が認 みと められたがUMSARSスコアでプラセボと有意 ゆうい 差 さ が認 みと められなかった[68] 。
鉄 てつ 代謝 たいしゃ 異常 いじょう やオートファジー 機能 きのう 障害 しょうがい や遺伝 いでん 的 てき な要因 よういん やエピジェネティックな機 き 序 じょ も関係 かんけい している。
MSAでは橋 はし や小脳 しょうのう 、被 ひ 殻 から の萎縮 いしゅく などを中心 ちゅうしん に様々 さまざま な異常 いじょう を呈 てい する。これらの異常 いじょう は基本 きほん 的 てき にMSAに生 しょう じる病理 びょうり 学 がく 的 てき な変化 へんか を捉 とら えていると考 かんが えられている。MRI検査 けんさ では被 ひ 殻 から 、橋 はし 、中小 ちゅうしょう 脳 のう 脚 あし 、小脳 しょうのう 皮質 ひしつ の病変 びょうへん が特徴 とくちょう 的 てき である。そして臨床 りんしょう 症状 しょうじょう に対応 たいおう するようにMSA-Pでは被 ひ 殻 から 病変 びょうへん が出現 しゅつげん しやすく、MSA-Cでは橋 はし や小脳 しょうのう の病変 びょうへん が出現 しゅつげん しやすい。またMSAでは上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし に目立 めだ った異常 いじょう を示 しめ さないため進行 しんこう 性 せい 核 かく 上 うえ 性 せい 麻痺 まひ などとの鑑別 かんべつ に有効 ゆうこう である。MSAにおけるMRIの異常 いじょう 所見 しょけん は病 やまい 初期 しょき に認 みと めなくとも病 やまい 期 き の進行 しんこう に伴 ともな って新 あら たに出現 しゅつげん することが報告 ほうこく されている[69] 。
八木 はちぼく 下 か らは0.5TのMRIでMSAに属 ぞく するオリーブ橋 きょう 小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく 症 しょう (OPCA)、線条 せんじょう 体 たい 黒 くろ 質 しつ 変性 へんせい 症 しょう (SND)、シャイ・ドレーガー症候群 しょうこうぐん (SDS)の脳幹 のうかん と小脳 しょうのう の病変 びょうへん の特徴 とくちょう を解析 かいせき している[70] 。
彼 かれ らの解析 かいせき では脳幹 のうかん と小脳 しょうのう の萎縮 いしゅく はOPCAが最 もっと も高度 こうど で広範 こうはん であり、次 つ いでSND、SDSという順 じゅん になった。3疾患 しっかん とも橋 はし 底部 ていぶ は下部 かぶ が上部 じょうぶ より、小脳 しょうのう は上部 じょうぶ が下部 かぶ よりも高度 こうど な萎縮 いしゅく が認 みと められた。この結果 けっか から橋 はし 小脳 しょうのう 路 ろ の変性 へんせい は橋 はし 底部 ていぶ 下部 かぶ と小脳 しょうのう 上部 じょうぶ を結 むす ぶ線維 せんい から進行 しんこう することが示唆 しさ された。
部位 ぶい
正常 せいじょう 測定 そくてい 値 ち (mm)
OPCA(mm)
SND(mm)
SDS(mm)
中 ちゅう 脳 のう 視 し 蓋 ぶた
2.6±0.6
2.2±0.4
2.3±0.4
2.5±0.7
中 ちゅう 脳 のう 被 ひ 蓋 ぶた
11.1±1.4
9.6±0.9
9.6±1.2
10.2±0.9
橋 はし 上部 じょうぶ 被 ひ 蓋 ぶた
6.5±0.8
4.8±1.1
5.9±0.7
5.9±1.1
橋 はし 上部 じょうぶ 底部 ていぶ
17.4±1.4
11.1±3.0
12.0±3.3
13.8±2.5
橋 はし 下部 かぶ 被 ひ 蓋 ぶた
4.6±0.9
3.6±0.4
4.5±1.0
4.6±0.7
橋 はし 下部 かぶ 底部 ていぶ
15.3±1.0
8.3±2.7
9.8±2.0
11.7±1.7
延髄 えんずい
11.3±1.4
10.0±1.3
10.3±2.0
11.0±1.3
第 だい 四 よん 脳 のう 室 しつ 前後 ぜんこう 径 みち
11.7±1.7
15.1±2.4
15.3±2.7
13.6±1.9
第 だい 四 よん 脳 のう 室 しつ 横 よこ 径 みち
15.4±2.3
22.9±3.5
20.6±2.7
19.3±3.7
被 ひ 殻 から
MSAにおいて被 ひ 殻 から では神経 しんけい 細胞 さいぼう の変性 へんせい と脱落 だつらく 、グリオーシスと鉄 てつ の沈着 ちんちゃく などをきたし全体 ぜんたい として萎縮 いしゅく する。萎縮 いしゅく は特 とく に腹 はら 側 がわ よりも背 せ 側 がわ に強 つよ いことが一般 いっぱん 的 てき である。被 ひ 殻 から が萎縮 いしゅく することによってMRI上 じょう 、外側 そとがわ の境界 きょうかい が正常 せいじょう では外側 そとがわ に凸 とつ になっているがMSAでは直線 ちょくせん 上 じょう になる。被 ひ 殻 から の萎縮 いしゅく に伴 ともな い、被 ひ 殻 から の最 さい 外側 そとがわ を中心 ちゅうしん にT2強調 きょうちょう 画像 がぞう で線 せん 状 じょう の高 こう 信号 しんごう となる病変 びょうへん を認 みと める。被 ひ 殻 から 外縁 がいえん や外 そと 包 つつみ で組織 そしき 菲薄化 か に伴 ともな い細胞 さいぼう 外 がい スペースでの水分 すいぶん 含有 がんゆう 量 りょう が増加 ぞうか したことを反映 はんえい した所見 しょけん と考 かんが えられている。この病変 びょうへん をDPH(dorolateral putaminal high intensity)またはスリットサインという。使用 しよう するMRIの磁場 じば 強度 きょうど で信号 しんごう が異 こと なる。すなわち萎縮 いしゅく の程度 ていど (T2高 だか 信号 しんごう を反映 はんえい )と鉄 てつ の含有 がんゆう (T2低 てい 信号 しんごう を反映 はんえい )の総和 そうわ で決 き まる。DPHはMSAで特徴 とくちょう 的 てき な所見 しょけん であるがSCA17[71] や成人 せいじん 型 がた GM1ガングリオシドーシス[72] などでも認 みと められることがある。
健常 けんじょう 者 しゃ でもしばしば被 ひ 殻 から 外縁 がいえん がT2高 だか 信号 しんごう を示 しめ す場合 ばあい もある。健常 けんじょう 者 しゃ では外縁 がいえん 全体 ぜんたい あるいは前方 ぜんぽう 部 ぶ にみられやすく、2mm以下 いか の厚 あつ さで連続 れんぞく 性 せい が保 たも たれることが多 おお いのに対 たい して、MSAでみられる異常 いじょう は後方 こうほう 優位 ゆうい で連続 れんぞく 性 せい が失 うしな われていることがあり被 ひ 殻 から の萎縮 いしゅく を伴 ともな うことが多 おお い。被 ひ 殻 から の外側 そとがわ が正常 せいじょう では外側 そとがわ に向 む けて凸 とつ になるがMSAでは被 ひ 殻 から の萎縮 いしゅく のため直線 ちょくせん 上 じょう になっていることが多 おお い。線 せん 状 じょう の高 こう 信号 しんごう が被 ひ 殻 から を超 こ えて内包 ないほう 前 ぜん 脚 あし に達 たっ するのはMSAの所見 しょけん ではない。
橋 はし
MSAにおいて橋 はし では、橋 はし 核 かく の神経 しんけい 細胞 さいぼう の変性 へんせい と脱落 だつらく 、グリオーシスと横走 よこはしり 線維 せんい の変性 へんせい などをきたし、全体 ぜんたい として萎縮 いしゅく を認 みと める。橋 はし の萎縮 いしゅく は橋 はし 蓋 ぶた 部 ぶ に比 くら べて底部 ていぶ に強 つよ いことが特徴 とくちょう である。橋 はし 底部 ていぶ では正常 せいじょう では腹 はら 側 がわ に向 む け凸 とつ になっているがMSAでは逆 ぎゃく に陥 おちい 凹 へこま している。また病理 びょうり 学 がく 上 じょう 、橋 はし では橋 はし 核 かく とともに横走 よこはしり 線維 せんい が変性 へんせい するため橋 はし 内 ない にT2強調 きょうちょう 画像 がぞう 十 じゅう 字 じ 状 じょう に高 こう 信号 しんごう を呈 てい するhot cross bun sign(HCB)が認 みと められる。HCBを認 みと めた場合 ばあい 診断 しんだん 的 てき 価値 かち も高 たか いが病 やまい 初期 しょき には認 みと めないことも多 おお い。病 やまい 初期 しょき には軽度 けいど の横走 よこはしり 線維 せんい の変性 へんせい を反映 はんえい し、横走 よこはしり するT2高 だか 信号 しんごう は認 みと めず、縦走 じゅうそう するT2高 だか 信号 しんごう のみ認 みと めることがある。この場合 ばあい 連続 れんぞく する2スライス以上 いじょう で縦走 じゅうそう するT2高 だか 信号 しんごう を認 みと めた場合 ばあい はMSAとして診断 しんだん 価値 かち があるとされている。HCBはDPHと同様 どうよう にMSAに特徴 とくちょう 的 てき とされているがSCA2 、SCA3 、SCA7、SCA8などでも認 みと められることが報告 ほうこく されている[73] [74] [75] 。HCBはMSAに特異 とくい 的 てき ではない。
小脳 しょうのう
MSAにおいては小脳 しょうのう では広範 こうはん なプルキンエい細胞 さいぼう の脱落 だつらく や小脳 しょうのう 白 しろ 質 しつ 有 ゆう 髄 ずい 線維 せんい の脱落 だつらく 、顆粒 かりゅう 細胞 さいぼう の減少 げんしょう 、グリオーシスなどが認 みと められる。下 しも 小脳 しょうのう 脚 あし と中小 ちゅうしょう 脳 のう 脚 あし の萎縮 いしゅく が認 みと められるが上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし は比較的 ひかくてき 保 たも たれる特徴 とくちょう がある 。MRIではこれらを反映 はんえい し小脳 しょうのう および中小 ちゅうしょう 脳 のう 脚 あし の萎縮 いしゅく などをきたす。小脳 しょうのう の萎縮 いしゅく はMRI上 じょう 、水平 すいへい 断 だん では横走 よこはしり slitが多数 たすう 入 はい るようになり、矢 や 状 じょう 断 だん ではシダの葉 は のような形態 けいたい をとることになる。小脳 しょうのう では小脳 しょうのう 皮質 ひしつ の萎縮 いしゅく が認 みと められる。また中 ちゅう 小脳 しょうのう 脚 あし では萎縮 いしゅく に伴 ともな い、T2高 だか 信号 しんごう の病変 びょうへん を伴 ともな うことがある。中小 ちゅうしょう 脳 のう 脚 あし のT2高 だか 信号 しんごう はFAXTASなど他 た 疾患 しっかん でも認 みと められることがある。
上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし
小脳 しょうのう 失調 しっちょう を来 きた す疾患 しっかん には上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし が障害 しょうがい される進行 しんこう 性 せい 核 かく 上 うえ 性 せい 麻痺 まひ (PSP)、SCA3 、歯 は 状 じょう 核 かく 赤 あか 核 かく 淡 あわ 蒼 あお 球 だま ルイ体 からだ 萎縮 いしゅく 症 しょう (DRPLA)と上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし の障害 しょうがい が軽 かる いMSAの初期 しょき 、SCA2 、SCA6 、SCA31 などが知 し られている。特 とく にPSPにおいては歯 は 状 じょう 核 かく の変性 へんせい や赤 あか 核 かく および視床 ししょう の腹 はら 外側 そとがわ 核 かく が脱 だつ 髄 ずい を示 しめ すため上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし の病変 びょうへん が必発である。Tsuboiらは剖検 ぼうけん 例 れい で対照 たいしょう と比較 ひかく してPSP患者 かんじゃ における上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし の幅 はば が有意 ゆうい に短縮 たんしゅく を示 しめ していることを報告 ほうこく している[76] 。一方 いっぽう でMSAは一般 いっぱん 的 てき に上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし の異常 いじょう を示 しめ さないためにPSPの鑑別 かんべつ に上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし 病変 びょうへん の有無 うむ に着目 ちゃくもく することが有用 ゆうよう と考 かんが えられている[77] [78] [79] 。
MSA-Cでは小脳 しょうのう と脳幹 のうかん の血 ち 流 りゅう 低下 ていか が報告 ほうこく されている[80] 。
1989年 ねん にQuinnは自身 じしん の経験 けいけん や文献 ぶんけん 的 てき な知見 ちけん に基 もと づく、多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の診断 しんだん 基準 きじゅん を提唱 ていしょう した[81] 。この診断 しんだん 基準 きじゅん では多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう を線条 せんじょう 体 たい 黒 くろ 質 しつ 変性 へんせい 症 しょう 型 がた とオリーブ橋 きょう 小脳 しょうのう 萎縮 いしゅく 症 しょう 型 がた に分 わ け、診断 しんだん の確度 かくど をpossible、probable、definiteの3段階 だんかい とし、パーキンソン病 びょう よりも多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう を支持 しじ する所見 しょけん をred flagsとして挙 あ げるなど、その後 ご の診断 しんだん 基準 きじゅん の骨格 こっかく となる要素 ようそ が含 ふく まれている。
1998年 ねん に多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の診断 しんだん 基準 きじゅん に関 かん する第 だい 1回 かい 合意 ごうい 声明 せいめい が出 だ された[82] 。パーキンソン症候群 しょうこうぐん を主体 しゅたい とする場合 ばあい はMSA-P、小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう を主体 しゅたい とする場合 ばあい はMSA-Cという2つの分類 ぶんるい になった。シャイ・ドレーガー症候群 しょうこうぐん に相当 そうとう する病 やまい 型 がた はQuinnの診断 しんだん 基準 きじゅん 同様 どうよう になくなった。これはシャイ・ドレーガー症候群 しょうこうぐん と呼 よ ばれる病 やまい 型 がた の中 なか に多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 以外 いがい にレビー小体 こてい 病 びょう としての純粋 じゅんすい 自律 じりつ 神経 しんけい 不全 ふぜん 症 しょう やパーキンソン病 びょう などが混在 こんざい してしまう可能 かのう 性 せい を考慮 こうりょ した結果 けっか である。また診断 しんだん の確度 かくど をpossible、probable、definiteの3段階 だんかい とした点 てん 、probable以上 いじょう の臨床 りんしょう 診断 しんだん では自律 じりつ 神経症 しんけいしょう 状 じょう が必発であり、自律 じりつ 神経症 しんけいしょう 状 じょう の重要 じゅうよう 性 せい が強調 きょうちょう された点 てん はQuinnの診断 しんだん 基準 きじゅん から引 ひ き継 つ がれた。
2008年 ねん に多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の診断 しんだん 基準 きじゅん に関 かん する第 だい 2回 かい 合意 ごうい 声明 せいめい が出 だ された[83] [84] 。Gilman分類 ぶんるい 第 だい 2次 じ コンセンサス分類 ぶんるい とも言 い われる。
第 だい 2回 かい 合意 ごうい 声明 せいめい の特徴 とくちょう としてはpossible例 れい 、probable例 れい ともに診断 しんだん のためには自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい の存在 そんざい が必須 ひっす になった、感度 かんど を高 たか めるためにadditional featuresが追加 ついか された、red flagsが採用 さいよう された、α あるふぁ シヌクレイン陽性 ようせい GCIが規定 きてい されたことなどが挙 あ げられる。第 だい 1回 かい 合意 ごうい 声明 せいめい に比 くら べて、ほぼ確 かく 実例 じつれい の診断 しんだん は大幅 おおはば に簡素 かんそ 化 か された。しかしこの基準 きじゅん では自律 じりつ 神経 しんけい 系 けい と運動 うんどう 系 けい (小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう またはパーキンソン症候群 しょうこうぐん )が診断 しんだん に必須 ひっす であるため診断 しんだん 時 じ にはかなり進行 しんこう した状態 じょうたい になっている。
確 かく 定例 ていれい
確 かく 定例 ていれい は病理 びょうり 診断 しんだん された症例 しょうれい である。中枢 ちゅうすう 神経 しんけい に広範囲 こうはんい かつ大量 たいりょう のα あるふぁ シヌクレイン陽性 ようせい GCIを伴 ともな う神経 しんけい 病理 びょうり 学 がく 的 てき 所見 しょけん が認 みと められ、線条 せんじょう 体 たい 黒 くろ 質 しつ またはオリーブ橋 きょう 小脳 しょうのう の神経 しんけい 変性 へんせい を伴 ともな う。
ほぼ確 かく 実例 じつれい
尿 にょう 失禁 しっきん もしくは起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ を含 ふく む自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい の存在 そんざい を必須 ひっす とし、L-DOPA反応 はんのう 不良 ふりょう のパーキンソン症状 しょうじょう もしくは小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう の存在 そんざい が必要 ひつよう である。
疑 うたが い例 れい
小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう もしくはL-DOPA反応 はんのう 性 せい を問 と わないパーキンソン症候群 しょうこうぐん に加 くわ え、ほぼ確 かく 実例 じつれい の基準 きじゅん を満 み たさない自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい に加 くわ えて、少 すく なくともひとつの補足 ほそく 的 てき 特徴 とくちょう を有 ゆう する。MSA-PないしMSA-C疑 うたが い例 れい の補足 ほそく 的 てき 特徴 とくちょう は
MSA-P疑 うたが い例 れい の補足 ほそく 的 てき 特徴 とくちょう は
急速 きゅうそく 進行 しんこう 性 せい のパーキンソン症候群 しょうこうぐん
L-DOPAへの反応 はんのう 不良 ふりょう
運動 うんどう 症状 しょうじょう 発現 はつげん 3年 ねん 以内 いない の姿勢 しせい 保持 ほじ 反射 はんしゃ 障害 しょうがい
小脳 しょうのう 性 せい 運動 うんどう 失調 しっちょう 、肢 し 節 ぶし 運動 うんどう 失調 しっちょう 、もしくは小脳 しょうのう 性 せい 眼球 がんきゅう 運動 うんどう 障害 しょうがい
運動 うんどう 症状 しょうじょう 発現 はつげん 5年 ねん 以内 いない の嚥下 えんか 障害 しょうがい
MRI上 じょう の被 ひ 殻 から 、中小 ちゅうしょう 脳 のう 脚 あし 、橋 はし 、もしくは小脳 しょうのう の萎縮 いしゅく
FDG-PETでの被 ひ 殻 から 、脳幹 のうかん もしくは小脳 しょうのう の代謝 たいしゃ 低下 ていか
MSA-C疑 うたが い例 れい の補足 ほそく 的 てき 特徴 とくちょう は
パーキンソン症候群 しょうこうぐん
MRI上 じょう の被 ひ 殻 から 、中小 ちゅうしょう 脳 のう 脚 あし 、もしくは橋 はし の萎縮 いしゅく
FDG-PETでの被 ひ 殻 から 、脳幹 のうかん もしくは小脳 しょうのう の代謝 たいしゃ 低下 ていか
SPECTあるいはPETでのシナプス前 ぜん 黒 くろ 質 しつ 線条 せんじょう 体 たい ドパミン作動 さどう 性 せい 脱 だつ 神経 しんけい
である。
MSAの診断 しんだん を支持 しじ する特徴 とくちょう (red flags)
MSAの診断 しんだん を支持 しじ する特徴 とくちょう としては
口 くち 顔面 がんめん ジストニア
過度 かど の頸部前 まえ 屈 こごめ
腰 こし 曲 ま がり(Camptocormia、詳細 しょうさい は首 くび 下 さ がり症候群 しょうこうぐん も参照 さんしょう )
手 て または足 あし の拘 かかわ 縮 ちぢみ
吸気 きゅうき 性 せい ため息 いき
重度 じゅうど の発声 はっせい 障害 しょうがい
重度 じゅうど の構音障害 しょうがい
いびきの新規 しんき 発生 はっせい あるいは増強 ぞうきょう
手足 てあし の冷 ひや 感 かん
病的 びょうてき 笑 わら いあるいは病的 びょうてき 泣 な き
ジャーク様 さま 、ミオクロニー姿勢 しせい 時 じ /運動 うんどう 時 じ 振 ふ 戦 せん がある。
MSAの診断 しんだん を支持 しじ しない特徴 とくちょう
当初 とうしょ は支持 しじ しない特徴 とくちょう とされていたが下記 かき の特徴 とくちょう をもつMSAは決 けっ して稀 まれ ではないことが明 あき らかになりつつある。
古典 こてん 的 てき な丸薬 がんやく 丸 まる め様 よう 静止 せいし 時 じ 振 ふ 戦 せん
臨床 りんしょう 的 てき に明 あき らかなニューロパチー
非 ひ 薬剤 やくざい 性 せい 幻覚 げんかく
75歳 さい 以上 いじょう の発症 はっしょう
運動 うんどう 失調 しっちょう もしくはパーキンソン症候群 しょうこうぐん の家族 かぞく 歴 れき
認知 にんち 症 しょう
多発 たはつ 性 せい 硬化 こうか 症 しょう を示唆 しさ する白 しろ 質 しつ 病変 びょうへん
診断 しんだん の評価 ひょうか
MSA-Cが多 おお くを占 し める日本 にっぽん と状況 じょうきょう は異 こと なるがアメリカでの検討 けんとう [85] では臨床 りんしょう 診断 しんだん でMSAであっても病理 びょうり 診断 しんだん でMSAとなる例 れい は62%のみであり、残 のこ りの38%は別 べつ の疾患 しっかん であった。その内訳 うちわけ はレビー小 しょう 体型 たいけい 認知 にんち 症 しょう が37%で進行 しんこう 性 せい 核 かく 上 うえ 性 せい 麻痺 まひ が29%であった。probable MSAでの正 せい 診 み 率 りつ は71%、possible MSAでは60%であった。
鑑別 かんべつ 診断 しんだん
自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい という点 てん ではレビー小 しょう 体型 たいけい 認知 にんち 症 しょう 、小脳 しょうのう 失調 しっちょう という点 てん では進行 しんこう 性 せい 核 かく 上 うえ 性 せい 麻痺 まひ が重要 じゅうよう な鑑別 かんべつ 疾患 しっかん となる。レビー小体 こてい 病 びょう でも高度 こうど な自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい を伴 ともな うことはあるがMSAの自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい は節 ふし 前 ぜん 線維 せんい 、レビー小体 こてい 病 びょう の自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい は節 ふし 後 ご 神経 しんけい を首座 しゅざ とかんがられているためMIBGシンチグラフィーが鑑別 かんべつ に有効 ゆうこう である。MSAの小脳 しょうのう 失調 しっちょう は中小 ちゅうしょう 脳 のう 脚 あし 、PSPの小脳 しょうのう 失調 しっちょう は上 うえ 小脳 しょうのう 脚 あし が首座 しゅざ と考 かんが えられており頭部 とうぶ MRIの評価 ひょうか が重要 じゅうよう である。
第 だい 2回 かい 合意 ごうい 声明 せいめい の問題 もんだい 点 てん
編集 へんしゅう
第 だい 2回 かい 合意 ごうい 声明 せいめい は簡便 かんべん で汎用 はんよう 性 せい が高 たか いが様々 さまざま な問題 もんだい 点 てん が指摘 してき されている[86] 。診断 しんだん の正確 せいかく 性 せい 、起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ の取 と り扱 あつか い、除外 じょがい 基準 きじゅん 、画像 がぞう 所見 しょけん の問題 もんだい 点 てん がしばしば指摘 してき されている。
診断 しんだん の正確 せいかく 性 せい
第 だい 2回 かい 合意 ごうい 声明 せいめい は診断 しんだん 感度 かんど が低 ひく いと言 い われている。第 だい 1回 かい 合意 ごうい 声明 せいめい よりも初回 しょかい 受診 じゅしん 時 じ における疑 うたが い例 れい の感度 かんど が向上 こうじょう すると期待 きたい されていたが第 だい 1回 かい 合意 ごうい 声明 せいめい の28%から41%と13%の改善 かいぜん に留 とど まった[87] 。多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう は発症 はっしょう 時 じ からほぼ同時 どうじ に運動 うんどう 機能 きのう 異常 いじょう と自律 じりつ 神経 しんけい 不全 ふぜん をともに認 みと める症例 しょうれい は11%と少 すく ない[88] 。発症 はっしょう から診断 しんだん 基準 きじゅん を満 み たすまでの中央 ちゅうおう 値 ち は2年 ねん であった[89] 。
他 た 疾患 しっかん との鑑別 かんべつ の問題 もんだい もある。1998年 ねん から2014年 ねん に米国 べいこく で多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう と臨床 りんしょう 診断 しんだん された134例 れい の連続 れんぞく 剖検 ぼうけん 例 れい の検討 けんとう をした[90] 。62%(83/134)の病理 びょうり 診断 しんだん は多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう であったが、38%(51/134)の病理 びょうり 診断 しんだん は多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 以外 いがい であった。その内訳 うちわけ はレビー小 しょう 体型 たいけい 認知 にんち 症 しょう (19/51)、進行 しんこう 性 せい 核 かく 上 うえ 性 せい 麻痺 まひ (15/51)、パーキンソン病 びょう (8/51)、その他 た (9/51)であった。1989年 ねん から2017年 ねん に英国 えいこく で多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう と臨床 りんしょう 診断 しんだん された203例 れい の剖検 ぼうけん 例 れい の検討 けんとう がある[91] 79%(160/203)は病理 びょうり 診断 しんだん も多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう であったが、21%(43/203)は多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 以外 いがい であった。その内訳 うちわけ はパーキンソン病 びょう (26/43)、進行 しんこう 性 せい 核 かく 上 うえ 性 せい 麻痺 まひ (13/43)、その他 た (4/43)であった。
起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ の取 と り扱 あつか い
1989年 ねん から2017年 ねん に英国 えいこく で多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう と臨床 りんしょう 診断 しんだん された203例 れい の剖検 ぼうけん 例 れい の検討 けんとう がある[91] 。この検討 けんとう では26例 れい が病理 びょうり 診断 しんだん はパーキンソン病 びょう であった。この検討 けんとう でMSAと臨床 りんしょう 診断 しんだん されたパーキンソン病 びょう 患者 かんじゃ の自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい の頻度 ひんど と程度 ていど を検討 けんとう したところ、パーキンソン病 びょう 患者 かんじゃ の60%が高度 こうど の起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ を呈 てい しており、その頻度 ひんど は多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう と同等 どうとう であった。これらの症例 しょうれい は高度 こうど な自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい を呈 てい したため多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう と臨床 りんしょう 診断 しんだん されたと考 かんが えられる。
かつては、パーキンソン病 びょう の診断 しんだん 基準 きじゅん において高度 こうど の起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ は除外 じょがい 基準 きじゅん であった[92] 。しかしその後 ご の検討 けんとう ではパーキンソン病 びょう の30%に起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ が認 みと められ[93] 、起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ で発症 はっしょう するパーキンソン病 びょう も報告 ほうこく されている[94] 。2015年 ねん のMDSのパーキンソン病 びょう 診断 しんだん 基準 きじゅん では起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ は除外 じょがい 基準 きじゅん に位置 いち づけられていない[95] 。またレビー小 しょう 体型 たいけい 認知 にんち 症 しょう でも効率 こうりつ に起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ が認 みと められる[96] 。
除外 じょがい 基準 きじゅん
発症 はっしょう 年齢 ねんれい 、家族 かぞく 歴 れき 、認知 にんち 機能 きのう 低下 ていか の除外 じょがい 基準 きじゅん は見直 みなお しが必要 ひつよう と指摘 してき されている。日本 にっぽん からの報告 ほうこく では多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう と病理 びょうり 診断 しんだん された193例 れい 中 ちゅう 9例 れい (およそ5%)が75歳 さい 以上 いじょう で発症 はっしょう しており[97] 、高齢 こうれい 発症 はっしょう の多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう は稀 まれ であるが存在 そんざい する。また非常 ひじょう に稀 まれ であるが家族 かぞく 性 せい 多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう も報告 ほうこく されている[98] 。また多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう と病理 びょうり 診断 しんだん された148例 れい の検討 けんとう では30例 れい (およそ20%)になんらかの認知 にんち 機能 きのう 障害 しょうがい が認 みと められた[99] 。そのうち80%(24/30)では遂行 すいこう 機能 きのう 障害 しょうがい を主体 しゅたい とした前頭葉 ぜんとうよう 機能 きのう 障害 しょうがい を、60%(18/30)では種々 しゅじゅ の程度 ていど の記憶 きおく 障害 しょうがい を示 しめ した。
画像 がぞう 所見 しょけん
第 だい 2回 かい 合意 ごうい 声明 せいめい ではMRI所見 しょけん は萎縮 いしゅく のみを指標 しひょう としており、多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう に特徴 とくちょう とされる被 ひ 殻 から 背 せ 外側 そとがわ のT2高 だか 信号 しんごう もしくは低 てい 信号 しんごう 、橋 はし のhot cross bun signは基準 きじゅん に含 ふく まれていない。しかし、約 やく 30%の症例 しょうれい で、こうしたMRI の異常 いじょう 所見 しょけん の出現 しゅつげん が診断 しんだん 基準 きじゅん よりも先行 せんこう したとの報告 ほうこく がある[100] 。
2022年 ねん にオーストリア・インスブルック医科 いか 大学 だいがく のGregor Wenning教授 きょうじゅ が主導 しゅどう する形 かたち で第 だい 三 さん 回 かい 合意 ごうい 声明 せいめい が出 だ された[101] 。これをMDS(Movement Disorder Society)によるMSA診断 しんだん 基準 きじゅん という。MDSによるMSA診断 しんだん 基準 きじゅん では診断 しんだん の確実 かくじつ 性 せい が4つのレベルで評価 ひょうか される。その4つはNeuropathologically established MSA、clinically established MSA、clinically probable MSA、possible prodromal MSAである。 Neuropathologically established MSAは病理 びょうり 診断 しんだん である。その他 た の項目 こうもく は必須 ひっす の所見 しょけん 、中核 ちゅうかく 的 てき 臨床 りんしょう 所見 しょけん 、支持 しじ 的 てき 臨床 りんしょう 所見 しょけん 、MRIマーカー、除外 じょがい 項目 こうもく から基準 きじゅん が構成 こうせい される。この診断 しんだん 基準 きじゅん の妥当 だとう 性 せい は評価 ひょうか されており[102] 、clinically established MSAは特異 とくい 度 ど が極 きわ めて高 たか い。
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の治療 ちりょう は発症 はっしょう ・病態 びょうたい 進行 しんこう を阻止 そし する疾患 しっかん 修飾 しゅうしょく 療法 りょうほう と対症療法 たいしょうりょうほう に分 わ かれる。
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の疾患 しっかん 修飾 しゅうしょく 療法 りょうほう は確立 かくりつ していない。作用 さよう 機 き 序 じょ 別 べつ にα あるふぁ シヌクレイン発現 はつげん 抑制 よくせい 、α あるふぁ シヌクレイン凝集 ぎょうしゅう 抑制 よくせい 、免疫 めんえき 治療 ちりょう 、神経 しんけい 炎症 えんしょう 制御 せいぎょ 、細胞 さいぼう 内 ない 分解 ぶんかい 機能 きのう 促進 そくしん 、神経 しんけい 保護 ほご に大別 たいべつ される。
[103]
運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう 、パーキンソン症候群 しょうこうぐん 、自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい などの症状 しょうじょう に対 たい して対症療法 たいしょうりょうほう が行 おこな われる。
甲状腺 こうじょうせん 刺激 しげき ホルモン放出 ほうしゅつ ホルモン誘導体 ゆうどうたい であるプロチレリン(商品 しょうひん 名 めい 、ヒルトニン)[104] とタルチレリン(商品 しょうひん 名 めい 、セレジスト)[105]
が利用 りよう されている。タルチレリンの作用 さよう 機 き 序 じょ はアセチルコリン 、ドパミン 、ノルアドレナリン 、セロトニン 神経 しんけい 系 けい を活性 かっせい 化 か させ、脊髄 せきずい 反射 はんしゃ 増強 ぞうきょう 作用 さよう 、神経 しんけい 栄養 えいよう 因子 いんし 作用 さよう 、局所 きょくしょ グルコース代謝 たいしゃ 促進 そくしん 作用 さよう などにより運動 うんどう 失調 しっちょう 症 しょう を改善 かいぜん させると動物 どうぶつ 実験 じっけん で考 かんが えられている[106] [107] [108] 。運動 うんどう ・作業 さぎょう のリハビリテーションも有効 ゆうこう である。
パーキンソン症候群 しょうこうぐん に対 たい して、パーキンソン病 びょう に準 じゅん じてレボドパなどを用 もち いる。
起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ
起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ に対 たい して、弾性 だんせい ストッキング、姿勢 しせい 指導 しどう (急激 きゅうげき な起立 きりつ の回避 かいひ 、症状 しょうじょう 出現 しゅつげん 時 じ のしゃがみ込 こ みや足 あし 組 ぐ み、夜間 やかん 睡眠 すいみん 時 じ の頭部 とうぶ 挙 きょ 上 じょう )、塩分 えんぶん 負荷 ふか 食 しょく 、少量 しょうりょう の頻 しき 回 かい 食 しょく 、交感神経 こうかんしんけい 刺激 しげき 薬 やく 、塩分 えんぶん 保持 ほじ 性 せい ステロイドなどを用 もち いる。
薬物 やくぶつ
商品 しょうひん 名 めい
作用 さよう 機 き 序 じょ
フルドロコルチゾン(0.1 - 0.3mg)
フロリネフ
循環 じゅんかん 血液 けつえき 量 りょう の増加 ぞうか
エリスロポエチン(6000単位 たんい )
エポジンなど
循環 じゅんかん 血液 けつえき 量 りょう の増加 ぞうか
デスモプレシン
デスモプレシン
循環 じゅんかん 血液 けつえき 量 りょう の増加 ぞうか
ジヒドロエルゴタミン(36mg)
ジヒデルゴット®
静脈 じょうみゃく の交感神経 こうかんしんけい 刺激 しげき
ミドドリン(4?8mg)
メトリジン
直接的 ちょくせつてき α あるふぁ 2刺激 しげき
アメジニウム(20mg)
リズミック
ノルアドレナリン再 さい 吸収 きゅうしゅう 阻害 そがい
ドロキシドパ(600 - 900mg)
ドプス
ノルアドレナリンの前駆 ぜんく 物質 ぶっしつ
クロニジン(0.225 - 0.45mg)
カタプレス
部分 ぶぶん 的 てき α あるふぁ 2刺激 しげき
オクトレオチド
サンドスタチン
食後 しょくご 低 てい 血圧 けつあつ の予防 よぼう
β べーた 遮断 しゃだん 薬 やく
血管 けっかん 拡張 かくちょう 、頻 しき 脈 みゃく の抑制 よくせい
ピリドスチグミン
メスチノン
節 ふし 前 ぜん 線維 せんい 神経 しんけい 伝達 でんたつ 改善 かいぜん
排尿 はいにょう 障害 しょうがい
排尿 はいにょう 障害 しょうがい (尿 にょう 失禁 しっきん 、頻 しき 尿 にょう )に対 たい して抗 こう コリン薬 やく などを用 もち いる。残 ざん 尿 にょう が100 ml以上 いじょう ある場合 ばあい や尿 にょう 閉 に対 たい して、間欠 かんけつ 自己 じこ 導 しるべ 尿 にょう (CIC) を行 おこな う。
睡眠 すいみん 障害 しょうがい
睡眠 すいみん 時 じ 無 む 呼吸 こきゅう に対 たい して、簡易 かんい 呼吸 こきゅう 補助 ほじょ 器 き (CPAP) などを用 もち いる。
日本 にっぽん の多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 患者 かんじゃ 230名 めい の後 うし ろ向 む き検討 けんとう では中央 ちゅうおう 値 ち では発症 はっしょう 後 ご 3年 ねん で歩行 ほこう に介助 かいじょ が必要 ひつよう となり、5年 ねん で車椅子 くるまいす 生活 せいかつ となり8年 ねん で寝 ね たきり、9年 ねん で死亡 しぼう するという経過 けいか が示 しめ されていた[109] 。その後 ご は自然 しぜん 史 し 研究 けんきゅう のため多 た 施設 しせつ 共同 きょうどう 体制 たいせい で研究 けんきゅう がされている。日本 にっぽん ではJAMSAC(Japan Multiple System Atrophy Consortium)、ヨーロッパではEMSA SG(European multiple system atrophy group)、北米 ほくべい ではNAMSA SG(North American multiple system atrophy group)がある。NAMSA SGのMayらは北米 ほくべい のMSAの患者 かんじゃ を対象 たいしょう にUMSARS (PDF ) を用 もち いて自然 しぜん 史 し の前向 まえむ き縦断 じゅうだん 研究 けんきゅう を1年間 ねんかん 行 おこな い、治験 ちけん デザインに関 かん する検討 けんとう を行 おこな った[110] 。検討 けんとう したスケールの中 なか ではUMSARSの運動 うんどう 機能 きのう に関 かん する評価 ひょうか スコア(UMSARS partII)が進行 しんこう をとらえる評価 ひょうか スケールでは最 もっと も有用 ゆうよう であった。共 きょう 分散 ぶんさん 分析 ぶんせき を行 おこな いパワー計算 けいさん を行 おこな った。2群 ぐん 間 あいだ の違 ちが いを見逃 みのが さない可能 かのう 性 せい をパワーという。1年間 ねんかん の治験 ちけん 器官 きかん でUMSARSの運動 うんどう 機能 きのう に関 かん する評価 ひょうか スコアが20%減少 げんしょう するという改善 かいぜん 効果 こうか を検出 けんしゅつ するには90%パワーでは609名 めい 、80%パワーでは455名 めい の症例 しょうれい が必要 ひつよう という結果 けっか になった。これは現実 げんじつ 的 てき には不可能 ふかのう な症例 しょうれい 数 すう であり臨床 りんしょう 症状 しょうじょう 以外 いがい により感度 かんど の高 たか い評価 ひょうか 項目 こうもく が必要 ひつよう と考 かんが えられている。
アメリカ(US study)[111] と欧州 おうしゅう (European study[112] )で大 だい 規模 きぼ コホート研究 けんきゅう はそれぞれ2015年 ねん と2013年 ねん に結果 けっか が公表 こうひょう された。
US study
European study
研究 けんきゅう デザイン
米国 べいこく 12施設 しせつ で全 ぜん 方向 ほうこう 的 てき に175例 れい を6ヶ月 かげつ ごと、5年間 ねんかん にわたってフォロー
欧州 おうしゅう 15施設 しせつ で前 ぜん 方向 ほうこう 的 てき に141例 れい を6ヶ月 かげつ ごと、2年間 ねんかん にわたってフォロー
対象 たいしょう 症例 しょうれい
probable MSA-P、probable MSA-C
probable MSA-P、probable MSA-C、possible MSA-P、possible MSA-C
評価 ひょうか 項目 こうもく
UMSARSⅠ、UMSARSⅡ、COMPASSなど
UMSARSⅠ、UMSARSⅡ、COMPASSなど
生存 せいぞん 期間 きかん
中央 ちゅうおう 値 ち 9.8年 ねん
中央 ちゅうおう 値 ち 9.8年 ねん
評価 ひょうか 項目 こうもく
UMSARSⅠ、UMSARSⅡ、COMPASSなど
UMSARSⅠ、UMSARSⅡ、COMPASSなど
予 よ 後 ご 予測 よそく 因子 いんし
診断 しんだん 時 じ の重度 じゅうど の自律 じりつ 神経 しんけい 障害 しょうがい 、MSA-PとMSA-Cでは違 ちが いなし
MSA-PはMSA-Cよりも予 よ 後 ご 不良 ふりょう
進行 しんこう 速度 そくど
UMSARSⅠは1年 ねん 目 め は1ヶ月 かげつ で0.3ポイントの増悪 ぞうあく で2年 ねん 目 め も1ヶ月 かげつ で0.3ポイントの増悪 ぞうあく 、UMSARSⅡは1年 ねん 目 め は1ヶ月 かげつ で0.5ポイントの増悪 ぞうあく で2年 ねん 目 め も1ヶ月 かげつ で0.3ポイントの増悪 ぞうあく
UMSARSⅠは1年 ねん 目 め は1ヶ月 かげつ で0.5ポイント、2年 ねん 目 め も1ヶ月 かげつ で0.2ポイントの増悪 ぞうあく 、UMSARSⅡは1年 ねん 目 め は1ヶ月 かげつ で0.7ポイントの増悪 ぞうあく で2年 ねん 目 め も1ヶ月 かげつ で0.4ポイントの増悪 ぞうあく
臨床 りんしょう 治験 ちけん における予測 よそく
probable MSAは臨床 りんしょう スコアの変化 へんか が大 おお きくない進行 しんこう 期 き の段階 だんかい
Possibleと早期 そうき MSAは臨床 りんしょう スコアの変化 へんか の大 おお きさと関連 かんれん
剖検 ぼうけん による確認 かくにん
16/16(100%)
2/2(100%)
上記 じょうき に示 しめ したようにいずれも平均 へいきん 予 よ 後 ご は9.5年 ねん (中央 ちゅうおう 値 ち )で日本 にっぽん での検討 けんとう と一致 いっち した。その他 た の検討 けんとう では594例 れい のMSAの検討 けんとう で生命 せいめい 予 よ 後 ご の中央 ちゅうおう 値 ち は7.51年 ねん であり、発症 はっしょう 3年 ねん 以内 いない の転倒 てんとう 、膀胱 ぼうこう 症状 しょうじょう 、発症 はっしょう 3年 ねん 以内 いない の尿道 にょうどう カテーテルの使用 しよう 、発症 はっしょう 1年 ねん 以内 いない のOH、高齢 こうれい 発症 はっしょう 、自律 じりつ 神経 しんけい スケール(COMPASS)で評価 ひょうか した自律 じりつ 神経 しんけい 不全 ふぜん の程度 ていど が予 よ 後 ご 不良 ふりょう 因子 いんし であった[113] 。またMSAの予 よ 後 ご は起立 きりつ 性 せい 低 てい 血圧 けつあつ を伴 ともな うパーキンソン病 びょう よりも不良 ふりょう であると報告 ほうこく されている[114] 。
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう ではしばしば夜間 やかん 突然 とつぜん 死 し が報告 ほうこく されており、気管 きかん 切開 せっかい 下 か の機械 きかい 的 てき 人工 じんこう 呼吸 こきゅう 療法 りょうほう を行 おこな っても突然 とつぜん 死 し に至 いた る症例 しょうれい もありそのメカニズムは解明 かいめい されていない[115] [116] [117] 。突然 とつぜん 死 し した4例 れい の多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の病理 びょうり 学 がく 的 てき な解析 かいせき から心 しん 血管 けっかん 機能 きのう と呼吸 こきゅう 機能 きのう を司 つかさど る延髄 えんずい のセロトニン作動 さどう 性 せい ニューロンの障害 しょうがい が突然 とつぜん 死 し と関連 かんれん する可能 かのう 性 せい が示唆 しさ されている[118] 。
免疫 めんえき グロブリン大量 たいりょう 療法 りょうほう
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 患者 かんじゃ に免疫 めんえき グロブリン大量 たいりょう 療法 りょうほう を行 おこな いUMSARSが改善 かいぜん したという報告 ほうこく がある[119] 。
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう と自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 疾患 しっかん
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 47例 れい を対象 たいしょう に抗 こう NAE抗体 こうたい の測定 そくてい を行 おこな った研究 けんきゅう がある[120] 。抗 こう NAE抗体 こうたい の陽性 ようせい 率 りつ は31.9%であり抗 こう NAE抗体 こうたい 陽性 ようせい 例 れい は陰性 いんせい 例 れい よりも発症 はっしょう から車椅子 くるまいす 生活 せいかつ までの期間 きかん が短 みじか かった。抗 こう NAE抗体 こうたい は橋本 はしもと 脳症 のうしょう のバイオマーカー として知 し られている。しかし抗 こう NAE抗体 こうたい が陽性 ようせい で免疫 めんえき 治療 ちりょう が効果 こうか がなかった例 れい が報告 ほうこく されている[121] 。抗 こう IgLON5抗体 こうたい 関連 かんれん 疾患 しっかん は進行 しんこう 性 せい 核 かく 上 うえ 性 せい 麻痺 まひ や多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう など神経 しんけい 変性 へんせい 疾患 しっかん のような表現 ひょうげん 型 がた を示 しめ すことがあるが免疫 めんえき 治療 ちりょう での軽快 けいかい 例 れい もある[122] [123] [124] [125] 。大脳皮質 だいのうひしつ 基底 きてい 核 かく 変性 へんせい 症候群 しょうこうぐん や筋 すじ 萎縮 いしゅく 性 せい 側 がわ 索 さく 硬化 こうか 症 しょう のような表現 ひょうげん 系 けい の報告 ほうこく もある[126] [127] 。また抗 こう Homer-3抗体 こうたい 陽性 ようせい で免疫 めんえき 治療 ちりょう で症状 しょうじょう が悪化 あっか した多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう のような症状 しょうじょう の報告 ほうこく もある[128] 。
純粋 じゅんすい 自律 じりつ 神経 しんけい 不全 ふぜん 症 しょう との関係 かんけい
純粋 じゅんすい 自律 じりつ 神経 しんけい 不全 ふぜん 症 しょう の一部 いちぶ は同 おな じレビー小体 こてい 病 びょう であるパーキンソン病 びょう や多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう に変化 へんか する[129] [130] 。
バイオマーカー
多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう の早期 そうき 診断 しんだん にはバイオマーカー の開発 かいはつ が有効 ゆうこう である。クライオ電子 でんし 顕微鏡 けんびきょう を用 もち いることで多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう 患者 かんじゃ の脳 のう のα あるふぁ シヌクレイン封入 ふうにゅう 体 たい の構造 こうぞう が明 あき らかになった[33] 。
超 ちょう 音波 おんぱ 処理 しょり により人工 じんこう 的 てき にプリオン蛋白 たんぱく を増幅 ぞうふく する手法 しゅほう であるPMCAを用 もち いることで、パーキンソン病 びょう と多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう では脳 のう 脊髄 せきずい 液 えき 中 ちゅう のα あるふぁ シヌクレイン凝集 ぎょうしゅう 体 たい の凝集 ぎょうしゅう 速度 そくど や最大 さいだい 蛍光 けいこう の高 たか さが有意 ゆうい に異 こと なることが明 あき らかになった[131] 。またプリオン蛋白 たんぱく を検出 けんしゅつ する超 ちょう 高度 こうど 技術 ぎじゅつ であるRT-QuICを用 もち いた検討 けんとう でも、seeding活性 かっせい を示 しめ す指標 しひょう を用 もち いた多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう と他 た 疾患 しっかん の鑑別 かんべつ システムの開発 かいはつ が進 すす んでいる[132] 。ニューロフィラメント 軽 けい 鎖 くさり (NfL)も他 た の方法 ほうほう と組 く み合 あ わせて多 た 系統 けいとう 萎縮 いしゅく 症 しょう のバイオマーカーになるという報告 ほうこく もある[133] 。またα あるふぁ シヌクレインを可視 かし 化 か するPETをプローブも開発 かいはつ が進 すす んでいる[134] 。