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多系統萎縮症 - Wikipedia

系統けいとう萎縮いしゅくしょう(たけいとういしゅくしょう、英語えいご: Multiple System Atrophy; MSA)は、代表だいひょうてき神経しんけい変性へんせい疾患しっかんの1つである。

進行しんこうせい小脳しょうのう症状しょうじょうをしばしばていすることから、脊髄せきずい小脳しょうのう変性へんせいしょうの1がたはつせい)と分類ぶんるいされ、日本にっぽん脊髄せきずい小脳しょうのう変性へんせいしょうなかもっとおおい。系統けいとう萎縮いしゅくしょうくに指定してい難病なんびょうひとつである[1]系統けいとう萎縮いしゅくしょう成年せいねん人間にんげんの30さい以降いこうほとんどが40さい以降いこう)に発症はっしょうし、組織そしき学的がくてきには神経しんけい細胞さいぼうとオリゴデンドログリアに不溶化ふようかしたαあるふぁシヌクレインが蓄積ちくせきし、この病気びょうき進行しんこうせい細胞さいぼう変性へんせい脱落だつらくきた疾患しっかんである。初発しょはつからやまい初期しょき症候しょうこうしょう脳性のうせい運動うんどう失調しっちょうであるものはオリーブきょう小脳しょうのう萎縮いしゅくしょう(olivopontocerebellar atrophy:OPCA)、パーキンソニズムであるものの場合ばあい線条せんじょうたいくろしつ変性へんせいしょうとく起立きりつせいてい血圧けつあつなど自律じりつ神経しんけい障害しょうがい顕著けんちょであるものはシャイ・ドレーガー症候群しょうこうぐん各々おのおの原著げんちょしたがしょうされる。いずれも進行しんこうするとこれらさんだい症候しょうこう重複じゅうふくしてくること、画像がぞう診断しんだんでも脳幹のうかん小脳しょうのう萎縮いしゅく線条せんじょうたい異常いじょうとう所見しょけんみとめられ、かつ組織そしき病理びょうり共通きょうつうしていることから系統けいとう萎縮いしゅくしょう総称そうしょうされる[2]

かつては小脳しょうのう症候しょうこうおもしるしとするものはオリーブきょう小脳しょうのう萎縮いしゅくしょう(OPCA、1900ねん)、起立きりつせいてい血圧けつあつ排尿はいにょう障害しょうがい睡眠すいみん呼吸こきゅう喉頭こうとう喘鳴ぜんめい)などの自律じりつ神経しんけい症状しょうじょうおもしるしとするものはシャイ・ドレーガー症候群しょうこうぐん(Shy-Drager Syndrome、SDS、1960ねん)、動作どうさ緩慢かんまん小刻こきざ歩行ほこう姿勢しせい反射はんしゃ障害しょうがいなどのパーキンソン症候群しょうこうぐんおもしるしとするものは線条せんじょうたいくろしつ変性へんせいしょう(SND、1960-64ねん)と分類ぶんるいされ、1960年代ねんだいわりからこれら3つの疾患しっかん臨床りんしょう症状しょうじょう病理びょうりがくてき所見しょけんには共通きょうつうした内容ないようおおいことが注目ちゅうもくされた。該当がいとう内容ないよう包括ほうかつする概念がいねんとして1969ねんにGrahamやOppenheimerらが系統けいとう萎縮いしゅくしょうという疾患しっかん概念がいねん考案こうあんした。1989ねん米国べいこくのPappらがMSAでは臨床りんしょうびょうがた関係かんけいなく100%のれいでオリゴデンドログリアに嗜銀せい封入ふうにゅうたい出現しゅつげんすることを報告ほうこく疾患しっかん概念がいねんとして確立かくりつした。この封入ふうにゅうたいがグリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい(GCI)とばれMSAに特異とくいてき封入ふうにゅうたいである。1998ねんにはグリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたいαあるふぁ-シヌクレイン陽性ようせいとなることが報告ほうこくされ、系統けいとう萎縮いしゅくしょうはパーキンソンびょうやレビー小体こていびょうとともにαあるふぁシヌクレノパチーというあらたな疾患しっかん概念がいねん形成けいせいすることになった。MSAは臨床りんしょう症状しょうじょうによりMSA-P(multiple system atrophy predominated in parkinsonism)と小脳しょうのう失調しっちょう優位ゆういになるMSA-C(multiple system atrophy predominated in cerebellar ataxia)におおきく分類ぶんるいされる[3]

症状しょうじょう

編集へんしゅう

Gilmanらによって提唱ていしょうされた診断しんだん基準きじゅんでは臨床りんしょうびょうがた小脳しょうのう失調しっちょうつよいMSA-Cとパーキンソン症候群しょうこうぐんつよいMSA-Pにかれる。だい2かいコンセンサス会議かいぎでは優勢ゆうせい運動うんどう症状しょうじょう経時きょうじてき変化へんかしうることをまえてMSA-PとMSA-Cの呼称こしょう評価ひょうか時点じてんしゅ症状しょうじょうすことになった。発症はっしょう時期じき運動うんどう症状しょうじょう(パーキンソン症状しょうじょうまたは小脳しょうのうせい運動うんどう失調しっちょう)もしくは自律じりつ神経症しんけいしょうじょう起立きりつせいてい血圧けつあつまたは排尿はいにょう障害しょうがい)を自覚じかくしたときである。あるいはうたがれい基準きじゅん定義ていぎされた自律じりつ神経症しんけいしょうじょう自覚じかくしたときとされている。発症はっしょう時期じき陰萎いんい女性じょせい性器せいき感度かんど低下ていかふくまれていない。MSA-CとMSA-Pの相対そうたいてき頻度ひんど地域ちいき人種じんしゅちがいによってことなる可能かのうせいがある。ヨーロッパではMSA-Pがおおいが日本にっぽんではMSA-Cがおおい。日本にっぽんから家族かぞくせい発症はっしょう報告ほうこくもある[4]

自律じりつ神経症しんけいしょうじょう

編集へんしゅう

排尿はいにょう障害しょうがい起立きりつせいてい血圧けつあつ重視じゅうしされている。高度こうど自律じりつ神経しんけい障害しょうがいパーキンソンびょう除外じょがい基準きじゅんではないことにも注意ちゅうい必要ひつようである[5]

神経しんけいいんせい膀胱ぼうこう (排尿はいにょう障害しょうがい)

排尿はいにょう障害しょうがいはMSAでは早期そうきからこう頻度ひんど出現しゅつげんすることがおおい。MSAの排尿はいにょう障害しょうがいでは蓄尿障害しょうがい排出はいしゅつ障害しょうがい両方りょうほうがみられる。アンケート調査ちょうさ[6]ではにちちゅうしき尿にょう夜間やかんしき尿にょう尿意にょうい切迫せっぱくかん切迫せっぱくせい尿にょう失禁しっきん排尿はいにょう開始かいし遅延ちえん排尿はいにょう時間じかん延長えんちょう尿にょうぜい低下ていか間欠かんけつ排尿はいにょうはらあつ排尿はいにょう健常けんじょうしゃ比較ひかくしてこう頻度ひんどであった。またMSA患者かんじゃ自律じりつ神経しんけい障害しょうがいでは排尿はいにょう障害しょうがいは96%でみとめられ起立きりつせいてい血圧けつあつの46%よりもこう頻度ひんどであった[7]。この検討けんとうではざん尿にょうが74%みとめられ、100ml以上いじょうざん尿にょうが52%でみとめられていた。発症はっしょう1ねん平均へいきんざん尿にょうりょうが71mlであったが5ねんには170mlと有意ゆうい増加ぞうかみとめられる[8]。MSA患者かんじゃ20れいとパーキンソンびょう患者かんじゃ20れい検討けんとうではMSA患者かんじゃではざん尿にょうりょうがパーキンソンびょう患者かんじゃよりもおおく、100ml以上いじょうざん尿にょうはMSAでは11れいみとめられたがパーキンソンびょう患者かんじゃでは1れいのみでしかみとめられなかった[9]しき尿にょう夜間やかんしき尿にょうはMSAとPDのどちらでもみとめられるが尿にょう失禁しっきんざん尿にょうはMSAでは早期そうきからみとめられるがPDでは早期そうきからみとめられることがまれのため鑑別かんべつ早期そうき診断しんだん重要じゅうようである。MSAの18.2%は最長さいちょう7年間ねんかん排尿はいにょう障害しょうがいのみで経過けいかする。

起立きりつせいてい血圧けつあつ

正常せいじょうひとでは、ちあがったときにふらついたり、うしなったりすることはないが、このような症状しょうじょうとき起立きりつせいてい血圧けつあつしょうという。起立きりつせいてい血圧けつあつ排尿はいにょう障害しょうがいくらべて頻度ひんどひくく、進行しんこうしてから顕在けんざいすることがおおい。起立きりつ3ふんよりも10ふん測定そくていによりOHの頻度ひんどえることが報告ほうこくされている。初期しょきより高度こうど起立きりつせいてい血圧けつあつしめし、失神しっしんかえれいもある。きゅうがったり、がったとき血圧けつあつ低下ていかし、かる意識いしき障害しょうがい、いわゆるちくらみをおこすことである。 正常せいじょうしゃでもありますが、症状しょうじょうつよ病的びょうてき場合ばあい起立きりつせいてい血圧けつあつという。 のうへの血液けつえき循環じゅんかん減少げんしょうすることによってこり、めまい(回転かいてんせいではない)やがおこり、意識いしきがなくなることもある[10]

呼吸こきゅう障害しょうがい睡眠すいみん呼吸こきゅう喉頭こうとう喘鳴ぜんめい

声帯せいたい奇異きいせい運動うんどう上気じょうきどう閉塞へいそく原因げんいんとして重要じゅうようである。吸気きゅうき気道きどう狭窄きょうさくおん吸気きゅうきのためいきもMSAに特徴とくちょうてき呼吸こきゅう障害しょうがいとされている。診断しんだん基準きじゅんでは喘鳴ぜんめいはMSAうたがれい基準きじゅんにおける補足ほそくてき特徴とくちょうのひとつになっており、吸気きゅうきせいためいきはred flagsのひとつになっている。

神経しんけいいんせい消化しょうかかん障害しょうがい (便秘べんぴ)
陰茎いんけい勃起ぼっき障害しょうがい

きり体外たいがい症状しょうじょう

編集へんしゅう

パーキンソン症候群しょうこうぐんられている。せんでは不規則ふきそくでミオクローヌスも合併がっぺいしうる姿勢しせいせん動作どうさせんみとめる一方いっぽう丸薬がんやくまるさまのPDに特徴とくちょうてき安静あんせいせんまれである。パーキンソン症状しょうじょう左右さゆう対称たいしょう場合ばあいおおいが非対称ひたいしょうれいすくなくない。姿勢しせい保持ほじ反射はんしゃ障害しょうがいはPDよりも早期そうき出現しゅつげんし、進行しんこう速度そくどがはやい。L-DOPAへの反応はんのうせい初期しょきにはみとめられることもある。

きりからだ症状しょうじょう

編集へんしゅう

日本にっぽんではまれであるが深部しんぶけん反射はんしゃ亢進こうしんバビンスキー反射はんしゃみとめられることがある。きり体外たいがい障害しょうがい代表だいひょうてき症状しょうじょうはパーキンソニズムである。 パーキンソンびょうられるようなすじきょうつよしたたかえ動作どうさ緩慢かんまんこる。 またからだ勝手かってうごいてしまうジストニア(随意ずいい運動うんどう)、ジスキネジアといった症状しょうじょうきり体外たいがい障害しょうがいひとつである。ジスキネジアとは、きり体外たいがいなかでも大脳だいのう基底きていかくという部位ぶい障害しょうがいされて出現しゅつげんする、おかしなうごきの総称そうしょう意味いみする[11]

小脳しょうのう症状しょうじょう

編集へんしゅう

歩行ほこう運動うんどう失調しっちょう最多さいた小脳しょうのうせい構音障害しょうがい小脳しょうのうせい眼球がんきゅう運動うんどう障害しょうがいともな症例しょうれいおおい。早期そうき眼球がんきゅう運動うんどう異常いじょうではみとめられず、たんかたちさま律動りつどうせい眼球がんきゅう運動うんどう衝動しょうどうせい追従ついしょう運動うんどうおよび測定そくてい障害しょうがいせいサッケードなどがしょうじる。かくうえせい注視ちゅうし障害しょうがい衝動しょうどうせい眼球がんきゅう運動うんどう速度そくど緩徐かんじょはMSAの特徴とくちょうにはふくまれない。

認知にんちしょう

編集へんしゅう

かつては認知にんちしょうはMSA診断しんだん否定ひていてき症候しょうこうであったが、MSAでは遂行すいこう機能きのう障害しょうがい中心ちゅうしんとした前頭葉ぜんとうよう機能きのう障害しょうがいみとめることがあきらかになった[12]

MSAでも軽度けいど垂直すいちょく方向ほうこうせいかくうえせい注視ちゅうし麻痺まひみとめられることがある。とくにprobable MSAでは27%でみとめられたという報告ほうこくもある[13]垂直すいちょく方向ほうこうせいかくうえせい注視ちゅうし麻痺まひみとめらた場合ばあい進行しんこうせいかくうえせい麻痺まひ鑑別かんべつ必要ひつようである。

MSAでは家族かぞくれいきわめてまれである[14]例外れいがいてき家族かぞくせい発症はっしょうする家系かけい複数ふくすう報告ほうこくされている[15][16][17][18][19][20][21]遺伝いでん形式けいしき優性ゆうせい遺伝いでん推定すいていされる家系かけいもあれば[15][16][18]同胞どうほう発症はっしょう劣性れっせい遺伝いでん可能かのうせいがある家系かけいもある[17][19][20][21]とく家系かけいないでMSA-CとMSA-Pの発症はっしょうれいがある[16][17][20][21]東京大学とうきょうだいがく研究けんきゅうグループは家族かぞくせい系統けいとう萎縮いしゅくしょう検討けんとうからCOQ2遺伝子いでんし発症はっしょう関与かんよしていると報告ほうこくした[20]

系統けいとう萎縮いしゅくしょう症例しょうれいの40%に神経しんけい変性へんせい疾患しっかん家族かぞくれきがあり、18%でパーキンソンびょう家族かぞくれきがあるという報告ほうこくがある[22]。この結果けっか遺伝いでんてき因子いんし系統けいとう萎縮いしゅくしょう発症はっしょう関与かんよしている可能かのうせいやパーキンソンびょう系統けいとう萎縮いしゅくしょう共通きょうつうする病態びょうたいがあることを示唆しさする。

病理びょうり

編集へんしゅう

系統けいとう萎縮いしゅくしょうαあるふぁシヌクレインのうない蓄積ちくせき特徴とくちょうとする神経しんけい変性へんせい疾患しっかんである。パーキンソンびょうではαあるふぁシヌクレインはおも神経しんけい細胞さいぼうない蓄積ちくせきレビー小体こてい形成けいせいするのにたいして系統けいとう萎縮いしゅくしょうではおもオリゴデンドログリアの胞体ない蓄積ちくせきし、グリア細胞さいぼうない封入ふうにゅうたい(glial cytoplasmic inclusion、GCI)を形成けいせいする。GCIは疾患しっかん特異とくいてき構造こうぞうぶつであり、健常けんじょうしゃのうみとめられることはほとんどないため、系統けいとう萎縮いしゅくしょう病理びょうりがくてき診断しんだん指標しひょうである。

系統けいとう萎縮いしゅくしょう病理びょうり診断しんだん線条せんじょうたいくろしつけいやオリーブきょう小脳しょうのうけい変性へんせい中枢ちゅうすう神経しんけいけい広範こうはん領域りょういき豊富ほうふなグリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたいみとめることによって確定かくていする[23][24][25]。オリゴデンドログリアないのGCIのほか、ミエリン崩壊ほうかいミクログリア活性かっせいふく神経しんけい炎症えんしょう所見しょけん系統けいとう萎縮いしゅくしょう神経しんけい病理びょうりがくてき特徴とくちょうかんがえられている[26]

MSA-Cではしもオリーブかくはしかく小脳しょうのう皮質ひしつ(プルキンエ細胞さいぼう)にMSA-Pではからがい側部そくぶくろしつ高度こうど神経しんけい細胞さいぼう脱落だつらくグリオーシスみとめられる。さらに自律じりつ神経しんけいけい視床ししょう下部かぶ迷走めいそう神経しんけいがわかく脊髄せきずい中間なかましつ外側そとがわかく脊髄せきずいオヌフかく)にも神経しんけい脱落だつらくみとめられる。しかし、これらの系統けいとう単独たんどく障害しょうがいされるれい存在そんざいせず、実際じっさいにはオリーブきょう小脳しょうのうけい線条せんじょうたいくろしつけい自律じりつ神経しんけいけいの3系統けいとう様々さまざま程度ていどわせで障害しょうがいされる。どの系統けいとうもっと早期そうきから障害しょうがいされるかによって臨床りんしょうてきびょうがた決定けっていされる。運動うんどうニューロンけい大脳だいのう運動うんどうきりからだ脊髄せきずいぜんかく)もMSAの病変びょうへん部位ぶいとなる。また前頭葉ぜんとうようがわあたま萎縮いしゅく大脳だいのうしろしつ広範こうはん変性へんせいなどがみとめられる場合ばあいもある。

肉眼にくがん所見しょけん

編集へんしゅう

線条せんじょうたいくろしつけいやオリーブきょう小脳しょうのうけい構造こうぞうぶつ様々さまざま程度ていど萎縮いしゅく色調しきちょう変化へんかみとめる。外見がいけんじょう大脳だいのう小脳しょうのう脳幹のうかん萎縮いしゅくつよいことがおお[23]わりめんではから後方こうほうかつがい側部そくぶ優位ゆうい萎縮いしゅく褐色かっしょく調ちょう変化へんかみとめ、ちゅうのうくろしつくろ色調しきちょうげんじて褐色かっしょく調ちょうていする。はし底部ていぶは、しばしば高度こうど萎縮いしゅくし、中小ちゅうしょうのうあし萎縮いしゅくする。延髄えんずいしもオリーブかくのリボンさま構造こうぞう不明瞭ふめいりょうする小脳しょうのうでは、しろしつ萎縮いしゅく褐色かっしょく調ちょう変化へんかつよく、それに皮質ひしつ萎縮いしゅくかるく、じょうかくうえ小脳しょうのうあし比較的ひかくてきたもたれることが特徴とくちょうである。

組織そしき所見しょけん

編集へんしゅう

組織そしき学的がくてきには変性へんせい部位ぶいには多数たすうのGCIの出現しゅつげんともなって、様々さまざま程度ていど神経しんけい細胞さいぼうゆうずい線維せんい脱落だつらくアストロサイト増殖ぞうしょく、ミクログリアの活性かっせい観察かんさつされる。変性へんせい程度ていど分布ぶんぷ臨床りんしょうびょうがた罹病りびょう期間きかんおおきく依存いぞん多様たようである。人種じんしゅあいだでオリーブきょう小脳しょうのうけい優位ゆういタイプと線条せんじょうたいくろしつけい優位ゆういタイプの比率ひりつがあることも報告ほうこくされている[23]神経しんけい細胞さいぼう脱落だつらくは、後部こうぶからがい側部そくぶくろしつあおむらかく、プルキンエ細胞さいぼうそうはしかくしもオリーブかく迷走めいそう神経しんけいがわかくむねずい中間なかましつ外側そとがわかく、オヌフかくでしばしば高度こうどみとめられる。オリーブきょう小脳しょうのうけいでは、小脳しょうのう入力にゅうりょくけい変性へんせいして出力しゅつりょくけいたもたれることが特徴とくちょうである。はしかくや、そのじくさく形成けいせいするはし横走よこはしり線維せんい高度こうど変性へんせい消失しょうしつすることがおおい。一方いっぽうじょうかく神経しんけい細胞さいぼう萎縮いしゅくするものの、脱落だつらくやグルモース変性へんせい軽度けいどであり、はくただし変性へんせいじょうかくもんにはおよばない。 線条せんじょうたいくろしつけいではから後部こうぶ神経しんけい細胞さいぼうはしばしば高度こうど脱落だつらくし、ニューロピルは海綿かいめんじょうていし、内部ないぶはしゆうずい線維せんいたば減少げんしょうする。じょうかく外側そとがわ優位ゆういあわあおだまそとぶし優位ゆうい変性へんせいする。くろしつ変性へんせい緻密ちみつたいはら外側そとがわつよく、あみさまたいにおよぶ[24]

かく部位ぶい神経しんけい細胞さいぼう脱落だつらくはグリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい出現しゅつげんすう相関そうかんすることが報告ほうこくされている[27]がオリゴデンドログリアの脱落だつらく高度こうどになるとGCIも減少げんしょうする。グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたいこうリン酸化さんかαあるふぁシヌクレイン抗体こうたい標識ひょうしきされ、ガリアス・ブラーク染色せんしょくで嗜銀せいしめし、さん角錐かくすい円錐えんすい鎌形かまがた楕円だえんがたなど多彩たさい形態けいたいしめ[23]

αあるふぁシヌクレインはオリゴデンドログリアの胞体ないのみではなく、神経しんけい細胞さいぼうの胞体にも蓄積ちくせきし、neuronal cytoplasmic inclusion(NCI)を形成けいせいする。また、パーキンソンびょうとはことなり、神経しんけい細胞さいぼうやオリゴデンドログリアのかくないにも蓄積ちくせきし、それぞれneuronal nuclear inclusion(NNI)、glial nuclear inclusion(GNI)を形成けいせいする。神経しんけい突起とっきない蓄積ちくせきであるdystrophic neuriteも観察かんさつされる。しかし、これらの構造こうぞうぶつ出現しゅつげんりょうはGCIに圧倒的あっとうてきすくなく、通常つうじょう、NCIが多数たすうみとめられるのははしかくしもオリーブかくからかぎられる。

グリア細胞さいぼうない封入ふうにゅうたい(GCI)
 
αあるふぁシヌクレイン免疫めんえき染色せんしょくではオリゴデンドログリアの細胞さいぼうしつないにGCIがみとめられる

グリア細胞さいぼうない封入ふうにゅうたい(glial cytoplasmic inclusion、GCI)はオリゴデンドログリアにみとめられMSAの病理びょうり診断しんだんでは必須ひっすである。グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたいはHE染色せんしょくではあわピンク色ぴんくいろであり見落みおとしやすいがガリアス染色せんしょくまたはαあるふぁシヌクレイン免疫めんえき染色せんしょくもちいると明瞭めいりょう検出けんしゅつできる。グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい異常いじょうフィラメントがしゅうむらがした構造こうぞうぶつである。グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい中枢ちゅうすう神経しんけいけい広範こうはん分布ぶんぷし、とく神経しんけい細胞さいぼう脱落だつらくていする神経しんけいかくならびにその投射とうしゃ線維せんいおおい。グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたいおおみとめられる部位ぶいとしては線条せんじょうたいあわあおだま内包ないほうそとつつめはし底部ていぶ中小ちゅうしょうのうあし小脳しょうのうしろしつ大脳だいのう運動うんどうなどがあげられる。その一方いっぽううえ小脳しょうのうあしにはグリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたいがあまりみとめないと報告ほうこくされている[28]。MSAではオリーブきょう小脳しょうのうけいでも線条せんじょうたいくろしつでも線条せんじょうたいくろしつけいでもグリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい出現しゅつげんすう神経しんけい脱落だつらく程度ていど相関そうかんしている。MSAにおけるもっとも早期そうき変化へんかはオリゴデンドログリアにおけるαあるふぁシヌクレインの蓄積ちくせき凝集ぎょうしゅうでありその、ミエリン、じくさく変性へんせい神経しんけい細胞さいぼうかうとかんがえられている。GCIはのう広範こうはん出現しゅつげんし、広範こうはんにオリゴデンドログリアが障害しょうがいされることでMSAの系統けいとう障害しょうがい説明せつめいされる。

グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたいふくむオリゴデンドログリアではかくないにもてんじょうないしせんじょう封入ふうにゅうたい、GNIがみとめられることもある、また神経しんけい細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたいであるNCI、神経しんけい細胞さいぼうかくない封入ふうにゅうたいNNIや神経しんけい突起とっきうちにneuropil threadsなどられている。GCI、GNI、NCI、NNI、neuropil threadsという5種類しゅるい構造こうぞうぶつられている。グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい増加ぞうかひろがりにともないNCIも増加ぞうかしやがて神経しんけい細胞さいぼう脱落だつらくみとめられる。

パーキンソンびょうとMSAでは蓄積ちくせきするαあるふぁシヌクレインの化学かがくてき構造こうぞう同一どういつかんがえられている。パーキンソンびょうではレビー小体こてい形成けいせい過程かてい観察かんさつされるがMSAのグリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい形成けいせい過程かてい観察かんさつされない。パーキンソンびょうではグリアない蓄積ちくせきはあるがかくない蓄積ちくせきみとめられないがMSAではGNIなどかくない蓄積ちくせきがある。αあるふぁシヌクレイン遺伝子いでんし異常いじょうはパーキンソンびょうこすがMSAはこさないといったちがいがみとめられる。

小脳しょうのう失調しっちょう

小脳しょうのう失調しっちょう責任せきにん病巣びょうそう多数たすうある。はし底部ていぶにあるはしかく神経しんけい細胞さいぼう、その遠心えんしんであるはし小脳しょうのう線維せんい中小ちゅうしょうのうあし小脳しょうのうしろしつ、オリーブ小脳しょうのう線維せんい小脳しょうのうのプルキンエ細胞さいぼうのなどが変性へんせい脱落だつらくする。

パーキンソン症候群しょうこうぐん

MSAのパーキンソン症候群しょうこうぐん責任せきにん病巣びょうそうからちゅうのうくろしつである。からでは小型こがた神経しんけい細胞さいぼう脱落だつらくし、くろしつでは緻密ちみつたいのニューロメラニン含有がんゆう細胞さいぼう脱落だつらくする。から病変びょうへんがい側部そくぶくろしつ病変びょうへん外側そとがわつよい。

自律じりつ神経しんけいけい

視床ししょう下部かぶ迷走めいそう神経しんけいがわかく脊髄せきずい中間なかましつ外側そとがわかく脊髄せきずいオヌフかく神経しんけい脱落だつらくみとめられる。突然とつぜん責任せきにん病巣びょうそうとしては延髄えんずいのセロトニンニューロンの脱落だつらく指摘してきされている。系統けいとう萎縮いしゅくしょうにおける自律じりつ神経しんけい障害しょうがい脳幹のうかん脊髄せきずいふしぜん自律じりつ神経しんけい細胞さいぼう変性へんせいによってしょうじるとかんがえられている[29]

認知にんち機能きのう

系統けいとう萎縮いしゅくしょうでは罹病りびょう後期こうき認知にんち機能きのう障害しょうがいまれではない。遂行すいこう機能きのう障害しょうがい注意ちゅうい障害しょうがいをはじめとする前頭葉ぜんとうよう機能きのう障害しょうがい目立めだつのが特徴とくちょうである[30]。しかし、認知にんち機能きのう障害しょうがい組織そしきがくてき責任せきにん病巣びょうそうはいまだあきらかではない。認知にんち機能きのう障害しょうがいていする系統けいとう萎縮いしゅくしょうなかに、多数たすうのneuronal cytoplasmic inclusionをともながわあたま高度こうど萎縮いしゅくするまれ一群いちぐん報告ほうこくされている[31]

病態びょうたい

編集へんしゅう

系統けいとう萎縮いしゅくしょう病態びょうたいαあるふぁシヌクレイン病態びょうたいオリゴデンドログリア機能きのう障害しょうがいミトコンドリア機能きのう障害しょうがい神経しんけい炎症えんしょうなどがなる。細胞さいぼうない病態びょうたいとしてはてつ代謝たいしゃ異常いじょうオートファジー機能きのう障害しょうがい遺伝いでんてき要因よういんやエピジェネティックなじょ関係かんけいしている。

系統けいとう萎縮いしゅくしょうではαあるふぁシヌクレイン発現はつげん代謝たいしゃ異常いじょうがもたらす細胞さいぼう生物せいぶつがくてき変化へんかαあるふぁシヌクレインの凝集ぎょうしゅう線維せんいはじまる病的びょうてきカスケードを誘導ゆうどうする。また凝集ぎょうしゅうαあるふぁシヌクレインがプリオン同様どうよう細胞さいぼうあいだ伝播でんぱ病変びょうへん拡大かくだいさせるという病態びょうたい仮説かせつくわ[32]特定とくてい高次こうじ構造こうぞうゆうする凝集ぎょうしゅうαあるふぁシヌクレインとかくシヌクレイノパチー病理びょうり臨床りんしょうぞう形成けいせい関係かんけい近年きんねん注目ちゅうもくされている[33]

MDSによる系統けいとう萎縮いしゅくしょう診断しんだん基準きじゅん主導しゅどうしたオーストリアのインスブルック医科いか大学だいがくのGregor Wenning教授きょうじゅ系統けいとう萎縮いしゅくしょう病態びょうたいαあるふぁシヌクレインの凝集ぎょうしゅう特異とくいてきαあるふぁシヌクレインかぶ伝搬でんぱんαあるふぁシヌクレインの役割やくわり神経しんけい炎症えんしょうシグナル伝達でんたつ、その分類ぶんるいしている[34]

αあるふぁシヌクレインの凝集ぎょうしゅう

編集へんしゅう

蛋白質たんぱくしつ凝集ぎょうしゅう神経しんけい変性へんせい疾患しっかん病理びょうりがくてき特徴とくちょうひとつである。系統けいとう萎縮いしゅくしょうではオリゴデンドログリアにおけるαあるふぁシヌクレイン蓄積ちくせきとグリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい形成けいせい重要じゅうようされている。グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい出現しゅつげん頻度ひんど神経しんけい細胞さいぼうかくないおよび細胞さいぼうしつにおけるαあるふぁシヌクレイン蓄積ちくせきまさること、グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい出現しゅつげん神経しんけい細胞さいぼう脱落だつらくグリオーシス先行せんこうすること、グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい出現しゅつげん頻度ひんど系統けいとう萎縮いしゅくしょうびょう早期そうき重症じゅうしょう罹病りびょう期間きかんによく一致いっちすること、一部いちぶαあるふぁシヌクレイン遺伝子いでんし(SNCA)てん変異へんいあるいはじゅう三重みえ重複じゅうふくゆうする家系かけい一部いちぶ患者かんじゃにおいて系統けいとう萎縮いしゅくしょう類似るいじ臨床りんしょうぞうとグリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい病理びょうりみとめること、ミスフォールドから凝集ぎょうしゅういたαあるふぁシヌクレインの構造こうぞう変化へんか細胞さいぼう関与かんよすること、系統けいとう萎縮いしゅくしょう患者かんじゃのうでは特定とくてい高次こうじ構造こうぞうゆうする凝集ぎょうしゅうαあるふぁシヌクレインかぶ存在そんざいし、どう構造こうぞう細胞さいぼうあいだまたいで伝播でんぱすることなどが重症じゅうしょうされる根拠こんきょになる[35]一方いっぽう正常せいじょうのうではαあるふぁシヌクレインをほとんど発現はつげんしないオリゴデンドログリアないにおいて、系統けいとう萎縮いしゅくしょうでは多量たりょうαあるふぁシヌクレインが検出けんしゅつされる理由りゆう不明ふめいである。系統けいとう萎縮いしゅくしょう病変びょうへんのオリゴデンドログリアでαあるふぁシヌクレイン発現はつげん病的びょうてきたかまっている可能かのうせいαあるふぁシヌクレイン分解ぶんかい機能きのう低下ていかしている可能かのうせい、あるいは神経しんけい細胞さいぼう分泌ぶんぴつしたαあるふぁシヌクレインをオリゴデンドログリアがんでいる可能かのうせい(プリオン仮説かせつ)が推定すいていされているが、いずれも確証かくしょうられていない[35][36]

グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい形成けいせいじょかんしてもいま解明かいめいされていないが、1つの可能かのうせいとしてオリゴデンドログリア特異とくい蛋白たんぱくであるTPPP(tubulin polymerization promoting protein)が系統けいとう萎縮いしゅくしょう患者かんじゃのうないミエリンさやから細胞さいぼうしつ異常いじょう分布ぶんぷし、これがαあるふぁシヌクレイン凝集ぎょうしゅう促進そくしんし、続発ぞくはつせい神経しんけい細胞さいぼうこすというせつもある。これはprimary oligodendrogliopathyせつわれている[37]。また系統けいとう萎縮いしゅくしょう患者かんじゃのうないには特有とくゆう高次こうじ構造こうぞうゆうする線維せんいαあるふぁシヌクレインかぶ存在そんざいし、グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい病理びょうり誘導ゆうどうする可能かのうせい指摘してきされている[33][38]αあるふぁシヌクレインが系統けいとう萎縮いしゅくしょう病態びょうたいふか関与かんよすることはうたがいないがαあるふぁシヌクレイン単一たんいつ分子ぶんし病態びょうたいすべてを説明せつめいできるかは議論ぎろん余地よちがある。実際じっさい、グリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたいには14-3-3ユビキチンαあるふぁBクリスタリン、TPPPなどおおくの分子ぶんし検出けんしゅつされる[39]。また、複数ふくすうαあるふぁシヌクレイントランスジェニック系統けいとう萎縮いしゅくしょうマウスモデルでグリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい病理びょうり形成けいせい成功せいこうしているが、ヒトの系統けいとう萎縮いしゅくしょう臨床りんしょう病理びょうりぞう正確せいかく模倣もほうするまでにいたっていない[40]。その疾患しっかん感受性かんじゅせい遺伝子いでんし候補こうほ報告ほうこくされておりαあるふぁシヌクレイン以外いがい分子ぶんし病態びょうたい関与かんよする可能かのうせいのこされている[41][40]

特異とくいてきαあるふぁシヌクレインかぶ伝搬でんぱん

編集へんしゅう

系統けいとう萎縮いしゅくしょう凝集ぎょうしゅうするαあるふぁシヌクレインパーキンソンびょう観察かんさつされるものとおおきくことなる。クライオ電子でんし顕微鏡けんびきょうによる解析かいせきでは系統けいとう萎縮いしゅくしょう患者かんじゃのうからたんはなされたαあるふぁシヌクレイン線維せんい[33]とパーキンソンびょう患者かんじゃのうからたんはなされたαあるふぁシヌクレイン線維せんい[42]構造こうぞうことなることが報告ほうこくされている。系統けいとう萎縮いしゅくしょう患者かんじゃのGCIに由来ゆらいするαあるふぁシヌクレインかぶとくにオリゴマーは霊長れいちょうるいのう神経しんけい細胞さいぼう喪失そうしつだつずいこすがGCI凝集ぎょうしゅうしめさなかった[43]。げっるいでも同様どうよう傾向けいこうみとめられた[44][45]。またパーキンソンびょうではαあるふぁシヌクレイン凝集ぎょうしゅうたい細胞さいぼうあいだでプリオンさま伝搬でんぱんすることがられているが系統けいとう萎縮いしゅくしょうのような急速きゅうそく病態びょうたいがプリオンさま伝搬でんぱん説明せつめいするのは困難こんなんかんがえられている。

αあるふぁシヌクレインの役割やくわり

編集へんしゅう

αあるふぁシヌクレインのオリゴマーポリマー神経しんけい変性へんせい関与かんよする知見ちけん多数たすうある[46][47][48][49]。その一方いっぽうαあるふぁシヌクレインのオリゴデンドログリアへの伝搬でんぱんのメカニズムは完全かんぜんには解明かいめいされていない。Gregor Wenning教授きょうじゅらは系統けいとう萎縮いしゅくしょう病態びょうたいをミトコンドリア機能きのう障害しょうがい[50][51]からはじまるオリゴデンドログリア機能きのう障害しょうがいにつながる因子いんし疾患しっかんかんがえている[34]環境かんきょう要因よういん遺伝いでんてき要因よういん、エピジェネティックな要因よういん感染かんせんしょう神経しんけい炎症えんしょうミトコンドリア機能きのう障害しょうがい上流じょうりゅうかんがえられる。

一方いっぽうおなじシヌクレイノパチーであるパーキンソンびょうではこうシヌクレイン抗体こうたいもちいた免疫めんえき治療ちりょうはプラセボとくらべて有効ゆうこうせいしめすことができなかった[52][53]。この結果けっかから細胞さいぼうがいαあるふぁシヌクレインオリゴマーの除去じょきょだけでは病態びょうたい修飾しゅうしょく不十分ふじゅうぶんかんがえられる。神経しんけい変性へんせい疾患しっかんでは凝集ぎょうしゅう蛋白質たんぱくしつ蓄積ちくせきによる細胞さいぼうだけではなく免疫めんえき細胞さいぼうこす細胞さいぼう障害しょうがいられている。そのため凝集ぎょうしゅう蛋白質たんぱくしつ除去じょきょだけでは十分じゅうぶん治療ちりょう効果こうかられないとう意見いけんもある[54]

神経しんけい炎症えんしょうシグナル伝達でんたつ

編集へんしゅう

系統けいとう萎縮いしゅくしょう病態びょうたい神経しんけい炎症えんしょうかかわっているとかんがえられている[26]系統けいとう萎縮いしゅくしょうのう病理びょうりではアストロサイトぞうせい(アストログリオーシス)とミクログリア活性かっせい顕著けんちょである[55][56][57][58][59]。また、系統けいとう萎縮いしゅくしょうのう病理びょうりT細胞さいぼう浸潤しんじゅん確認かくにんしたという報告ほうこくもある[60]。モデルマウスによる検討けんとうではαあるふぁシヌクレインがミクログリアを活性かっせいすることをしめ[61]、ミクログリアを抑制よくせいすることでくろしつドパミン作動さどうせいニューロンが回復かいふくすることがしめされている[62]。またPETもちいた検討けんとうでは系統けいとう萎縮いしゅくしょう患者かんじゃのうでは疾患しっかん初期しょき段階だんかいからミクログリア活性かっせいしていることしめされている[63][64][65]

TLRシグナルと系統けいとう萎縮いしゅくしょうとの関連かんれん示唆しさする報告ほうこくもあるが[62][66][67]ミノサイクリンもちいた臨床りんしょう研究けんきゅうでは一部いちぶのうないミクログリアの活性かっせい抑制よくせいみとめられたがUMSARSスコアでプラセボと有意ゆういみとめられなかった[68]

てつ代謝たいしゃ異常いじょうオートファジー機能きのう障害しょうがい遺伝いでんてき要因よういんやエピジェネティックなじょ関係かんけいしている。

MSAでははし小脳しょうのうから萎縮いしゅくなどを中心ちゅうしん様々さまざま異常いじょうていする。これらの異常いじょう基本きほんてきにMSAにしょうじる病理びょうりがくてき変化へんかとらえているとかんがえられている。MRI検査けんさではからはし中小ちゅうしょうのうあし小脳しょうのう皮質ひしつ病変びょうへん特徴とくちょうてきである。そして臨床りんしょう症状しょうじょう対応たいおうするようにMSA-Pではから病変びょうへん出現しゅつげんしやすく、MSA-Cでははし小脳しょうのう病変びょうへん出現しゅつげんしやすい。またMSAではうえ小脳しょうのうあし目立めだった異常いじょうしめさないため進行しんこうせいかくうえせい麻痺まひなどとの鑑別かんべつ有効ゆうこうである。MSAにおけるMRIの異常いじょう所見しょけんやまい初期しょきみとめなくともやまい進行しんこうともなってあらたに出現しゅつげんすることが報告ほうこくされている[69]

八木はちぼくらは0.5TのMRIでMSAにぞくするオリーブきょう小脳しょうのう萎縮いしゅくしょう(OPCA)、線条せんじょうたいくろしつ変性へんせいしょう(SND)、シャイ・ドレーガー症候群しょうこうぐん(SDS)の脳幹のうかん小脳しょうのう病変びょうへん特徴とくちょう解析かいせきしている[70]

かれらの解析かいせきでは脳幹のうかん小脳しょうのう萎縮いしゅくはOPCAがもっと高度こうど広範こうはんであり、いでSND、SDSというじゅんになった。3疾患しっかんともはし底部ていぶ下部かぶ上部じょうぶより、小脳しょうのう上部じょうぶ下部かぶよりも高度こうど萎縮いしゅくみとめられた。この結果けっかからはし小脳しょうのう変性へんせいはし底部ていぶ下部かぶ小脳しょうのう上部じょうぶむす線維せんいから進行しんこうすることが示唆しさされた。

部位ぶい 正常せいじょう測定そくてい(mm) OPCA(mm) SND(mm) SDS(mm)
ちゅうのうぶた 2.6±0.6 2.2±0.4 2.3±0.4 2.5±0.7
ちゅうのうぶた 11.1±1.4 9.6±0.9 9.6±1.2 10.2±0.9
はし上部じょうぶぶた 6.5±0.8 4.8±1.1 5.9±0.7 5.9±1.1
はし上部じょうぶ底部ていぶ 17.4±1.4 11.1±3.0 12.0±3.3 13.8±2.5
はし下部かぶぶた 4.6±0.9 3.6±0.4 4.5±1.0 4.6±0.7
はし下部かぶ底部ていぶ 15.3±1.0 8.3±2.7 9.8±2.0 11.7±1.7
延髄えんずい 11.3±1.4 10.0±1.3 10.3±2.0 11.0±1.3
だいよんのうしつ前後ぜんこうみち 11.7±1.7 15.1±2.4 15.3±2.7 13.6±1.9
だいよんのうしつよこみち 15.4±2.3 22.9±3.5 20.6±2.7 19.3±3.7
から

MSAにおいてからでは神経しんけい細胞さいぼう変性へんせい脱落だつらく、グリオーシスとてつ沈着ちんちゃくなどをきたし全体ぜんたいとして萎縮いしゅくする。萎縮いしゅくとくはらがわよりもがわつよいことが一般いっぱんてきである。から萎縮いしゅくすることによってMRIじょう外側そとがわ境界きょうかい正常せいじょうでは外側そとがわとつになっているがMSAでは直線ちょくせんじょうになる。から萎縮いしゅくともない、からさい外側そとがわ中心ちゅうしんにT2強調きょうちょう画像がぞうせんじょうこう信号しんごうとなる病変びょうへんみとめる。から外縁がいえんそとつつみ組織そしき菲薄ともな細胞さいぼうがいスペースでの水分すいぶん含有がんゆうりょう増加ぞうかしたことを反映はんえいした所見しょけんかんがえられている。この病変びょうへんをDPH(dorolateral putaminal high intensity)またはスリットサインという。使用しようするMRIの磁場じば強度きょうど信号しんごうことなる。すなわち萎縮いしゅく程度ていど(T2だか信号しんごう反映はんえい)とてつ含有がんゆう(T2てい信号しんごう反映はんえい)の総和そうわまる。DPHはMSAで特徴とくちょうてき所見しょけんであるがSCA17[71]成人せいじんがたGM1ガングリオシドーシス[72]などでもみとめられることがある。

健常けんじょうしゃでもしばしばから外縁がいえんがT2だか信号しんごうしめ場合ばあいもある。健常けんじょうしゃでは外縁がいえん全体ぜんたいあるいは前方ぜんぽうにみられやすく、2mm以下いかあつさで連続れんぞくせいたもたれることがおおいのにたいして、MSAでみられる異常いじょう後方こうほう優位ゆうい連続れんぞくせいうしなわれていることがありから萎縮いしゅくともなうことがおおい。から外側そとがわ正常せいじょうでは外側そとがわけてとつになるがMSAではから萎縮いしゅくのため直線ちょくせんじょうになっていることがおおい。せんじょうこう信号しんごうからえて内包ないほうぜんあしたっするのはMSAの所見しょけんではない。

はし

MSAにおいてはしでは、はしかく神経しんけい細胞さいぼう変性へんせい脱落だつらく、グリオーシスと横走よこはしり線維せんい変性へんせいなどをきたし、全体ぜんたいとして萎縮いしゅくみとめる。はし萎縮いしゅくはしぶたくらべて底部ていぶつよいことが特徴とくちょうである。はし底部ていぶでは正常せいじょうでははらがわとつになっているがMSAではぎゃくおちいへこましている。また病理びょうりがくじょうはしでははしかくとともに横走よこはしり線維せんい変性へんせいするためはしないにT2強調きょうちょう画像がぞうじゅうじょうこう信号しんごうていするhot cross bun sign(HCB)がみとめられる。HCBをみとめた場合ばあい診断しんだんてき価値かちたかいがやまい初期しょきにはみとめないこともおおい。やまい初期しょきには軽度けいど横走よこはしり線維せんい変性へんせい反映はんえいし、横走よこはしりするT2だか信号しんごうみとめず、縦走じゅうそうするT2だか信号しんごうのみみとめることがある。この場合ばあい連続れんぞくする2スライス以上いじょう縦走じゅうそうするT2だか信号しんごうみとめた場合ばあいはMSAとして診断しんだん価値かちがあるとされている。HCBはDPHと同様どうようにMSAに特徴とくちょうてきとされているがSCA2SCA3、SCA7、SCA8などでもみとめられることが報告ほうこくされている[73][74][75]。HCBはMSAに特異とくいてきではない。

小脳しょうのう

MSAにおいては小脳しょうのうでは広範こうはんなプルキンエい細胞さいぼう脱落だつらく小脳しょうのうしろしつゆうずい線維せんい脱落だつらく顆粒かりゅう細胞さいぼう減少げんしょう、グリオーシスなどがみとめられる。しも小脳しょうのうあし中小ちゅうしょうのうあし萎縮いしゅくみとめられるがうえ小脳しょうのうあし比較的ひかくてきたもたれる特徴とくちょうがある。MRIではこれらを反映はんえい小脳しょうのうおよび中小ちゅうしょうのうあし萎縮いしゅくなどをきたす。小脳しょうのう萎縮いしゅくはMRIじょう水平すいへいだんでは横走よこはしりslitが多数たすうはいるようになり、じょうだんではシダののような形態けいたいをとることになる。小脳しょうのうでは小脳しょうのう皮質ひしつ萎縮いしゅくみとめられる。またちゅう小脳しょうのうあしでは萎縮いしゅくともない、T2だか信号しんごう病変びょうへんともなうことがある。中小ちゅうしょうのうあしのT2だか信号しんごうはFAXTASなど疾患しっかんでもみとめられることがある。

うえ小脳しょうのうあし

小脳しょうのう失調しっちょうきた疾患しっかんにはうえ小脳しょうのうあし障害しょうがいされる進行しんこうせいかくうえせい麻痺まひ(PSP)、SCA3じょうかくあかかくあわあおだまルイからだ萎縮いしゅくしょう(DRPLA)とうえ小脳しょうのうあし障害しょうがいかるいMSAの初期しょきSCA2SCA6SCA31などがられている。とくにPSPにおいてはじょうかく変性へんせいあかかくおよび視床ししょうはら外側そとがわかくだつずいしめすためうえ小脳しょうのうあし病変びょうへんが必発である。Tsuboiらは剖検ぼうけんれい対照たいしょう比較ひかくしてPSP患者かんじゃにおけるうえ小脳しょうのうあしはば有意ゆうい短縮たんしゅくしめしていることを報告ほうこくしている[76]一方いっぽうでMSAは一般いっぱんてきうえ小脳しょうのうあし異常いじょうしめさないためにPSPの鑑別かんべつうえ小脳しょうのうあし病変びょうへん有無うむ着目ちゃくもくすることが有用ゆうようかんがえられている[77][78][79]

のうりゅうシンチグラフィー

編集へんしゅう

MSA-Cでは小脳しょうのう脳幹のうかんりゅう低下ていか報告ほうこくされている[80]

診断しんだん

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Quinnの診断しんだん基準きじゅん

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1989ねんにQuinnは自身じしん経験けいけん文献ぶんけんてき知見ちけんもとづく、系統けいとう萎縮いしゅくしょう診断しんだん基準きじゅん提唱ていしょうした[81]。この診断しんだん基準きじゅんでは系統けいとう萎縮いしゅくしょう線条せんじょうたいくろしつ変性へんせいしょうがたとオリーブきょう小脳しょうのう萎縮いしゅくしょうがたけ、診断しんだん確度かくどをpossible、probable、definiteの3段階だんかいとし、パーキンソンびょうよりも系統けいとう萎縮いしゅくしょう支持しじする所見しょけんをred flagsとしてげるなど、その診断しんだん基準きじゅん骨格こっかくとなる要素ようそふくまれている。

だい1かい合意ごうい声明せいめい

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1998ねん系統けいとう萎縮いしゅくしょう診断しんだん基準きじゅんかんするだい1かい合意ごうい声明せいめいされた[82]。パーキンソン症候群しょうこうぐん主体しゅたいとする場合ばあいはMSA-P、小脳しょうのうせい運動うんどう失調しっちょうしょう主体しゅたいとする場合ばあいはMSA-Cという2つの分類ぶんるいになった。シャイ・ドレーガー症候群しょうこうぐん相当そうとうするやまいがたはQuinnの診断しんだん基準きじゅん同様どうようになくなった。これはシャイ・ドレーガー症候群しょうこうぐんばれるやまいがたなか系統けいとう萎縮いしゅくしょう以外いがいにレビー小体こていびょうとしての純粋じゅんすい自律じりつ神経しんけい不全ふぜんしょうパーキンソンびょうなどが混在こんざいしてしまう可能かのうせい考慮こうりょした結果けっかである。また診断しんだん確度かくどをpossible、probable、definiteの3段階だんかいとしたてん、probable以上いじょう臨床りんしょう診断しんだんでは自律じりつ神経症しんけいしょうじょうが必発であり、自律じりつ神経症しんけいしょうじょう重要じゅうようせい強調きょうちょうされたてんはQuinnの診断しんだん基準きじゅんからがれた。

だい2かい合意ごうい声明せいめい

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2008ねん系統けいとう萎縮いしゅくしょう診断しんだん基準きじゅんかんするだい2かい合意ごうい声明せいめいされた[83][84]。Gilman分類ぶんるいだい2コンセンサス分類ぶんるいともわれる。

だいかい合意ごうい声明せいめい特徴とくちょうとしてはpossibleれい、probableれいともに診断しんだんのためには自律じりつ神経しんけい障害しょうがい存在そんざい必須ひっすになった、感度かんどたかめるためにadditional featuresが追加ついかされた、red flagsが採用さいようされた、αあるふぁシヌクレイン陽性ようせいGCIが規定きていされたことなどがげられる。だい1かい合意ごうい声明せいめいくらべて、ほぼかく実例じつれい診断しんだん大幅おおはば簡素かんそされた。しかしこの基準きじゅんでは自律じりつ神経しんけいけい運動うんどうけい小脳しょうのうせい運動うんどう失調しっちょうまたはパーキンソン症候群しょうこうぐん)が診断しんだん必須ひっすであるため診断しんだんにはかなり進行しんこうした状態じょうたいになっている。

かく定例ていれい

かく定例ていれい病理びょうり診断しんだんされた症例しょうれいである。中枢ちゅうすう神経しんけい広範囲こうはんいかつ大量たいりょうαあるふぁシヌクレイン陽性ようせいGCIをともな神経しんけい病理びょうりがくてき所見しょけんみとめられ、線条せんじょうたいくろしつまたはオリーブきょう小脳しょうのう神経しんけい変性へんせいともなう。

ほぼかく実例じつれい

尿にょう失禁しっきんもしくは起立きりつせいてい血圧けつあつふく自律じりつ神経しんけい障害しょうがい存在そんざい必須ひっすとし、L-DOPA反応はんのう不良ふりょうのパーキンソン症状しょうじょうもしくは小脳しょうのうせい運動うんどう失調しっちょう存在そんざい必要ひつようである。

うたがれい

小脳しょうのうせい運動うんどう失調しっちょうもしくはL-DOPA反応はんのうせいわないパーキンソン症候群しょうこうぐんくわえ、ほぼかく実例じつれい基準きじゅんたさない自律じりつ神経しんけい障害しょうがいくわえて、すくなくともひとつの補足ほそくてき特徴とくちょうゆうする。MSA-PないしMSA-Cうたがれい補足ほそくてき特徴とくちょう

MSA-Pうたがれい補足ほそくてき特徴とくちょう

  • 急速きゅうそく進行しんこうせいのパーキンソン症候群しょうこうぐん
  • L-DOPAへの反応はんのう不良ふりょう
  • 運動うんどう症状しょうじょう発現はつげん3ねん以内いない姿勢しせい保持ほじ反射はんしゃ障害しょうがい
  • 小脳しょうのうせい運動うんどう失調しっちょうぶし運動うんどう失調しっちょう、もしくは小脳しょうのうせい眼球がんきゅう運動うんどう障害しょうがい
  • 運動うんどう症状しょうじょう発現はつげん5ねん以内いない嚥下えんか障害しょうがい
  • MRIじょうから中小ちゅうしょうのうあしはし、もしくは小脳しょうのう萎縮いしゅく
  • FDG-PETでのから脳幹のうかんもしくは小脳しょうのう代謝たいしゃ低下ていか

MSA-Cうたがれい補足ほそくてき特徴とくちょう

  • パーキンソン症候群しょうこうぐん
  • MRIじょうから中小ちゅうしょうのうあし、もしくははし萎縮いしゅく
  • FDG-PETでのから脳幹のうかんもしくは小脳しょうのう代謝たいしゃ低下ていか
  • SPECTあるいはPETでのシナプスぜんくろしつ線条せんじょうたいドパミン作動さどうせいだつ神経しんけい

である。

MSAの診断しんだん支持しじする特徴とくちょう(red flags)

MSAの診断しんだん支持しじする特徴とくちょうとしては

  • くち顔面がんめんジストニア
  • 過度かどの頸部まえこごめ
  • こしがり(Camptocormia、詳細しょうさいくびがり症候群しょうこうぐん参照さんしょう
  • またはあしかかわちぢみ
  • 吸気きゅうきせいためいき
  • 重度じゅうど発声はっせい障害しょうがい
  • 重度じゅうど構音障害しょうがい
  • いびきの新規しんき発生はっせいあるいは増強ぞうきょう
  • 手足てあしひやかん
  • 病的びょうてきわらいあるいは病的びょうてき
  • ジャークさま、ミオクロニー姿勢しせい運動うんどうせんがある。
MSAの診断しんだん支持しじしない特徴とくちょう

当初とうしょ支持しじしない特徴とくちょうとされていたが下記かき特徴とくちょうをもつMSAはけっしてまれではないことがあきらかになりつつある。

  • 古典こてんてき丸薬がんやくまるよう静止せいしせん
  • 臨床りんしょうてきあきらかなニューロパチー
  • 薬剤やくざいせい幻覚げんかく
  • 75さい以上いじょう発症はっしょう
  • 運動うんどう失調しっちょうもしくはパーキンソン症候群しょうこうぐん家族かぞくれき
  • 認知にんちしょう
  • 多発たはつせい硬化こうかしょう示唆しさするしろしつ病変びょうへん
診断しんだん評価ひょうか

MSA-Cがおおくをめる日本にっぽん状況じょうきょうことなるがアメリカでの検討けんとう[85]では臨床りんしょう診断しんだんでMSAであっても病理びょうり診断しんだんでMSAとなるれいは62%のみであり、のこりの38%はべつ疾患しっかんであった。その内訳うちわけレビーしょう体型たいけい認知にんちしょうが37%で進行しんこうせいかくうえせい麻痺まひが29%であった。probable MSAでのせいりつは71%、possible MSAでは60%であった。

鑑別かんべつ診断しんだん

自律じりつ神経しんけい障害しょうがいというてんではレビーしょう体型たいけい認知にんちしょう小脳しょうのう失調しっちょうというてんでは進行しんこうせいかくうえせい麻痺まひ重要じゅうよう鑑別かんべつ疾患しっかんとなる。レビー小体こていびょうでも高度こうど自律じりつ神経しんけい障害しょうがいともなうことはあるがMSAの自律じりつ神経しんけい障害しょうがいふしぜん線維せんい、レビー小体こていびょう自律じりつ神経しんけい障害しょうがいふし神経しんけい首座しゅざとかんがられているためMIBGシンチグラフィーが鑑別かんべつ有効ゆうこうである。MSAの小脳しょうのう失調しっちょう中小ちゅうしょうのうあし、PSPの小脳しょうのう失調しっちょううえ小脳しょうのうあし首座しゅざかんがえられており頭部とうぶMRIの評価ひょうか重要じゅうようである。

だい2かい合意ごうい声明せいめい問題もんだいてん

編集へんしゅう

だい2かい合意ごうい声明せいめい簡便かんべん汎用はんようせいたかいが様々さまざま問題もんだいてん指摘してきされている[86]診断しんだん正確せいかくせい起立きりつせいてい血圧けつあつあつかい、除外じょがい基準きじゅん画像がぞう所見しょけん問題もんだいてんがしばしば指摘してきされている。

診断しんだん正確せいかくせい

だい2かい合意ごうい声明せいめい診断しんだん感度かんどひくいとわれている。だい1かい合意ごうい声明せいめいよりも初回しょかい受診じゅしんにおけるうたがれい感度かんど向上こうじょうすると期待きたいされていたがだい1かい合意ごうい声明せいめいの28%から41%と13%の改善かいぜんとどまった[87]系統けいとう萎縮いしゅくしょう発症はっしょうからほぼ同時どうじ運動うんどう機能きのう異常いじょう自律じりつ神経しんけい不全ふぜんをともにみとめる症例しょうれいは11%とすくない[88]発症はっしょうから診断しんだん基準きじゅんたすまでの中央ちゅうおうは2ねんであった[89]

疾患しっかんとの鑑別かんべつ問題もんだいもある。1998ねんから2014ねん米国べいこく系統けいとう萎縮いしゅくしょう臨床りんしょう診断しんだんされた134れい連続れんぞく剖検ぼうけんれい検討けんとうをした[90]。62%(83/134)の病理びょうり診断しんだん系統けいとう萎縮いしゅくしょうであったが、38%(51/134)の病理びょうり診断しんだん系統けいとう萎縮いしゅくしょう以外いがいであった。その内訳うちわけレビーしょう体型たいけい認知にんちしょう(19/51)、進行しんこうせいかくうえせい麻痺まひ(15/51)、パーキンソンびょう(8/51)、その(9/51)であった。1989ねんから2017ねん英国えいこく系統けいとう萎縮いしゅくしょう臨床りんしょう診断しんだんされた203れい剖検ぼうけんれい検討けんとうがある[91]79%(160/203)は病理びょうり診断しんだん系統けいとう萎縮いしゅくしょうであったが、21%(43/203)は系統けいとう萎縮いしゅくしょう以外いがいであった。その内訳うちわけはパーキンソンびょう(26/43)、進行しんこうせいかくうえせい麻痺まひ(13/43)、その(4/43)であった。

起立きりつせいてい血圧けつあつあつか

1989ねんから2017ねん英国えいこく系統けいとう萎縮いしゅくしょう臨床りんしょう診断しんだんされた203れい剖検ぼうけんれい検討けんとうがある[91]。この検討けんとうでは26れい病理びょうり診断しんだんはパーキンソンびょうであった。この検討けんとうでMSAと臨床りんしょう診断しんだんされたパーキンソンびょう患者かんじゃ自律じりつ神経しんけい障害しょうがい頻度ひんど程度ていど検討けんとうしたところ、パーキンソンびょう患者かんじゃの60%が高度こうど起立きりつせいてい血圧けつあつていしており、その頻度ひんど系統けいとう萎縮いしゅくしょう同等どうとうであった。これらの症例しょうれい高度こうど自律じりつ神経しんけい障害しょうがいていしたため系統けいとう萎縮いしゅくしょう臨床りんしょう診断しんだんされたとかんがえられる。

かつては、パーキンソンびょう診断しんだん基準きじゅんにおいて高度こうど起立きりつせいてい血圧けつあつ除外じょがい基準きじゅんであった[92]。しかしその検討けんとうではパーキンソンびょうの30%に起立きりつせいてい血圧けつあつみとめられ[93]起立きりつせいてい血圧けつあつ発症はっしょうするパーキンソンびょう報告ほうこくされている[94]。2015ねんのMDSのパーキンソンびょう診断しんだん基準きじゅんでは起立きりつせいてい血圧けつあつ除外じょがい基準きじゅん位置いちづけられていない[95]。またレビーしょう体型たいけい認知にんちしょうでも効率こうりつ起立きりつせいてい血圧けつあつみとめられる[96]

除外じょがい基準きじゅん

発症はっしょう年齢ねんれい家族かぞくれき認知にんち機能きのう低下ていか除外じょがい基準きじゅん見直みなおしが必要ひつよう指摘してきされている。日本にっぽんからの報告ほうこくでは系統けいとう萎縮いしゅくしょう病理びょうり診断しんだんされた193れいちゅう9れい(およそ5%)が75さい以上いじょう発症はっしょうしており[97]高齢こうれい発症はっしょう系統けいとう萎縮いしゅくしょうまれであるが存在そんざいする。また非常ひじょうまれであるが家族かぞくせい系統けいとう萎縮いしゅくしょう報告ほうこくされている[98]。また系統けいとう萎縮いしゅくしょう病理びょうり診断しんだんされた148れい検討けんとうでは30れい(およそ20%)になんらかの認知にんち機能きのう障害しょうがいみとめられた[99]。そのうち80%(24/30)では遂行すいこう機能きのう障害しょうがい主体しゅたいとした前頭葉ぜんとうよう機能きのう障害しょうがいを、60%(18/30)では種々しゅじゅ程度ていど記憶きおく障害しょうがいしめした。

画像がぞう所見しょけん

だい2かい合意ごうい声明せいめいではMRI所見しょけん萎縮いしゅくのみを指標しひょうとしており、系統けいとう萎縮いしゅくしょう特徴とくちょうとされるから外側そとがわのT2だか信号しんごうもしくはてい信号しんごうはしのhot cross bun signは基準きじゅんふくまれていない。しかし、やく30%の症例しょうれいで、こうしたMRI異常いじょう所見しょけん出現しゅつげん診断しんだん基準きじゅんよりも先行せんこうしたとの報告ほうこくがある[100]

だい3かい合意ごうい声明せいめい

編集へんしゅう

2022ねんにオーストリア・インスブルック医科いか大学だいがくのGregor Wenning教授きょうじゅ主導しゅどうするかたちだいさんかい合意ごうい声明せいめいされた[101]。これをMDS(Movement Disorder Society)によるMSA診断しんだん基準きじゅんという。MDSによるMSA診断しんだん基準きじゅんでは診断しんだん確実かくじつせいが4つのレベルで評価ひょうかされる。その4つはNeuropathologically established MSA、clinically established MSA、clinically probable MSA、possible prodromal MSAである。 Neuropathologically established MSAは病理びょうり診断しんだんである。その項目こうもく必須ひっす所見しょけん中核ちゅうかくてき臨床りんしょう所見しょけん支持しじてき臨床りんしょう所見しょけん、MRIマーカー、除外じょがい項目こうもくから基準きじゅん構成こうせいされる。この診断しんだん基準きじゅん妥当だとうせい評価ひょうかされており[102]、clinically established MSAは特異とくいきわめてたかい。

治療ちりょう

編集へんしゅう

系統けいとう萎縮いしゅくしょう治療ちりょう発症はっしょう病態びょうたい進行しんこう阻止そしする疾患しっかん修飾しゅうしょく療法りょうほう対症療法たいしょうりょうほうかれる。

疾患しっかん修飾しゅうしょく療法りょうほう

編集へんしゅう

系統けいとう萎縮いしゅくしょう疾患しっかん修飾しゅうしょく療法りょうほう確立かくりつしていない。作用さようじょべつαあるふぁシヌクレイン発現はつげん抑制よくせいαあるふぁシヌクレイン凝集ぎょうしゅう抑制よくせい免疫めんえき治療ちりょう神経しんけい炎症えんしょう制御せいぎょ細胞さいぼうない分解ぶんかい機能きのう促進そくしん神経しんけい保護ほご大別たいべつされる。 [103]

対症療法たいしょうりょうほう

編集へんしゅう

運動うんどう失調しっちょうしょうパーキンソン症候群しょうこうぐん自律じりつ神経しんけい障害しょうがいなどの症状しょうじょうたいして対症療法たいしょうりょうほうおこなわれる。

運動うんどう失調しっちょうしょう

編集へんしゅう

甲状腺こうじょうせん刺激しげきホルモン放出ほうしゅつホルモン誘導体ゆうどうたいであるプロチレリン(商品しょうひんめい、ヒルトニン)[104]とタルチレリン(商品しょうひんめい、セレジスト)[105]利用りようされている。タルチレリンの作用さようじょアセチルコリンドパミンノルアドレナリンセロトニン神経しんけいけい活性かっせいさせ、脊髄せきずい反射はんしゃ増強ぞうきょう作用さよう神経しんけい栄養えいよう因子いんし作用さよう局所きょくしょグルコース代謝たいしゃ促進そくしん作用さようなどにより運動うんどう失調しっちょうしょう改善かいぜんさせると動物どうぶつ実験じっけんかんがえられている[106][107][108]運動うんどう作業さぎょうのリハビリテーションも有効ゆうこうである。

パーキンソン症候群しょうこうぐん

編集へんしゅう

パーキンソン症候群しょうこうぐんたいして、パーキンソンびょうじゅんじてレボドパなどをもちいる。

自律じりつ神経しんけい障害しょうがい

編集へんしゅう
起立きりつせいてい血圧けつあつ

起立きりつせいてい血圧けつあつたいして、弾性だんせいストッキング、姿勢しせい指導しどう(急激きゅうげき起立きりつ回避かいひ症状しょうじょう出現しゅつげんのしゃがみみやあしみ、夜間やかん睡眠すいみん頭部とうぶきょじょう)、塩分えんぶん負荷ふかしょく少量しょうりょうしきかいしょく交感神経こうかんしんけい刺激しげきやく塩分えんぶん保持ほじせいステロイドなどをもちいる。

薬物やくぶつ 商品しょうひんめい 作用さようじょ
フルドロコルチゾン(0.1 - 0.3mg) フロリネフ 循環じゅんかん血液けつえきりょう増加ぞうか
エリスロポエチン(6000単位たんい エポジンなど 循環じゅんかん血液けつえきりょう増加ぞうか
デスモプレシン デスモプレシン 循環じゅんかん血液けつえきりょう増加ぞうか
ジヒドロエルゴタミン(36mg) ジヒデルゴット® 静脈じょうみゃく交感神経こうかんしんけい刺激しげき
ミドドリン(4?8mg) メトリジン 直接的ちょくせつてきαあるふぁ2刺激しげき
アメジニウム(20mg) リズミック ノルアドレナリンさい吸収きゅうしゅう阻害そがい
ドロキシドパ(600 - 900mg) ドプス ノルアドレナリンの前駆ぜんく物質ぶっしつ
クロニジン(0.225 - 0.45mg) カタプレス 部分ぶぶんてきαあるふぁ2刺激しげき
オクトレオチド サンドスタチン 食後しょくごてい血圧けつあつ予防よぼう
βべーた遮断しゃだんやく 血管けっかん拡張かくちょうしきみゃく抑制よくせい
ピリドスチグミン メスチノン ふしぜん線維せんい神経しんけい伝達でんたつ改善かいぜん
排尿はいにょう障害しょうがい

排尿はいにょう障害しょうがい尿にょう失禁しっきんしき尿にょう)にたいしてこうコリンやくなどをもちいる。ざん尿にょうが100 ml以上いじょうある場合ばあい尿にょうたいして、間欠かんけつ自己じこしるべ尿にょう (CIC) をおこなう。

睡眠すいみん障害しょうがい

睡眠すいみん呼吸こきゅうたいして、簡易かんい呼吸こきゅう補助ほじょ (CPAP) などをもちいる。

日本にっぽん系統けいとう萎縮いしゅくしょう患者かんじゃ230めいうし検討けんとうでは中央ちゅうおうでは発症はっしょう3ねん歩行ほこう介助かいじょ必要ひつようとなり、5ねん車椅子くるまいす生活せいかつとなり8ねんたきり、9ねん死亡しぼうするという経過けいかしめされていた[109]。その自然しぜん研究けんきゅうのため施設しせつ共同きょうどう体制たいせい研究けんきゅうがされている。日本にっぽんではJAMSAC(Japan Multiple System Atrophy Consortium)、ヨーロッパではEMSA SG(European multiple system atrophy group)、北米ほくべいではNAMSA SG(North American multiple system atrophy group)がある。NAMSA SGのMayらは北米ほくべいのMSAの患者かんじゃ対象たいしょうUMSARS (PDF)もちいて自然しぜん前向まえむ縦断じゅうだん研究けんきゅうを1年間ねんかんおこない、治験ちけんデザインにかんする検討けんとうおこなった[110]検討けんとうしたスケールのなかではUMSARSの運動うんどう機能きのうかんする評価ひょうかスコア(UMSARS partII)が進行しんこうをとらえる評価ひょうかスケールではもっと有用ゆうようであった。きょう分散ぶんさん分析ぶんせきおこないパワー計算けいさんおこなった。2ぐんあいだちがいを見逃みのがさない可能かのうせいをパワーという。1年間ねんかん治験ちけん器官きかんでUMSARSの運動うんどう機能きのうかんする評価ひょうかスコアが20%減少げんしょうするという改善かいぜん効果こうか検出けんしゅつするには90%パワーでは609めい、80%パワーでは455めい症例しょうれい必要ひつようという結果けっかになった。これは現実げんじつてきには不可能ふかのう症例しょうれいすうであり臨床りんしょう症状しょうじょう以外いがいにより感度かんどたか評価ひょうか項目こうもく必要ひつようかんがえられている。

アメリカ(US study)[111]欧州おうしゅう(European study[112])でだい規模きぼコホート研究けんきゅうはそれぞれ2015ねんと2013ねん結果けっか公表こうひょうされた。

US study European study
研究けんきゅうデザイン 米国べいこく12施設しせつぜん方向ほうこうてきに175れいを6ヶ月かげつごと、5年間ねんかんにわたってフォロー 欧州おうしゅう15施設しせつぜん方向ほうこうてきに141れいを6ヶ月かげつごと、2年間ねんかんにわたってフォロー
対象たいしょう症例しょうれい probable MSA-P、probable MSA-C probable MSA-P、probable MSA-C、possible MSA-P、possible MSA-C
評価ひょうか項目こうもく UMSARSⅠ、UMSARSⅡ、COMPASSなど UMSARSⅠ、UMSARSⅡ、COMPASSなど
生存せいぞん期間きかん 中央ちゅうおう9.8ねん 中央ちゅうおう9.8ねん
評価ひょうか項目こうもく UMSARSⅠ、UMSARSⅡ、COMPASSなど UMSARSⅠ、UMSARSⅡ、COMPASSなど
予測よそく因子いんし 診断しんだん重度じゅうど自律じりつ神経しんけい障害しょうがい、MSA-PとMSA-Cではちがいなし MSA-PはMSA-Cよりも不良ふりょう
進行しんこう速度そくど UMSARSⅠは1ねんは1ヶ月かげつで0.3ポイントの増悪ぞうあくで2ねんも1ヶ月かげつで0.3ポイントの増悪ぞうあく、UMSARSⅡは1ねんは1ヶ月かげつで0.5ポイントの増悪ぞうあくで2ねんも1ヶ月かげつで0.3ポイントの増悪ぞうあく UMSARSⅠは1ねんは1ヶ月かげつで0.5ポイント、2ねんも1ヶ月かげつで0.2ポイントの増悪ぞうあく、UMSARSⅡは1ねんは1ヶ月かげつで0.7ポイントの増悪ぞうあくで2ねんも1ヶ月かげつで0.4ポイントの増悪ぞうあく
臨床りんしょう治験ちけんにおける予測よそく probable MSAは臨床りんしょうスコアの変化へんかおおきくない進行しんこう段階だんかい Possibleと早期そうきMSAは臨床りんしょうスコアの変化へんかおおきさと関連かんれん
剖検ぼうけんによる確認かくにん 16/16(100%) 2/2(100%)

上記じょうきしめしたようにいずれも平均へいきんは9.5ねん中央ちゅうおう)で日本にっぽんでの検討けんとう一致いっちした。その検討けんとうでは594れいのMSAの検討けんとう生命せいめい中央ちゅうおうは7.51ねんであり、発症はっしょう3ねん以内いない転倒てんとう膀胱ぼうこう症状しょうじょう発症はっしょう3ねん以内いない尿道にょうどうカテーテルの使用しよう発症はっしょう1ねん以内いないのOH、高齢こうれい発症はっしょう自律じりつ神経しんけいスケール(COMPASS)で評価ひょうかした自律じりつ神経しんけい不全ふぜん程度ていど不良ふりょう因子いんしであった[113]。またMSAの起立きりつせいてい血圧けつあつともなうパーキンソンびょうよりも不良ふりょうであると報告ほうこくされている[114]

系統けいとう萎縮いしゅくしょうではしばしば夜間やかん突然とつぜん報告ほうこくされており、気管きかん切開せっかい機械きかいてき人工じんこう呼吸こきゅう療法りょうほうおこなっても突然とつぜんいた症例しょうれいもありそのメカニズムは解明かいめいされていない[115][116][117]突然とつぜんした4れい系統けいとう萎縮いしゅくしょう病理びょうりがくてき解析かいせきからしん血管けっかん機能きのう呼吸こきゅう機能きのうつかさど延髄えんずいのセロトニン作動さどうせいニューロンの障害しょうがい突然とつぜん関連かんれんする可能かのうせい示唆しさされている[118]

免疫めんえきグロブリン大量たいりょう療法りょうほう

系統けいとう萎縮いしゅくしょう患者かんじゃ免疫めんえきグロブリン大量たいりょう療法りょうほうおこないUMSARSが改善かいぜんしたという報告ほうこくがある[119]

系統けいとう萎縮いしゅくしょう自己じこ免疫めんえきせい疾患しっかん

系統けいとう萎縮いしゅくしょう47れい対象たいしょうこうNAE抗体こうたい測定そくていおこなった研究けんきゅうがある[120]こうNAE抗体こうたい陽性ようせいりつは31.9%でありこうNAE抗体こうたい陽性ようせいれい陰性いんせいれいよりも発症はっしょうから車椅子くるまいす生活せいかつまでの期間きかんみじかかった。こうNAE抗体こうたい橋本はしもと脳症のうしょうバイオマーカーとしてられている。しかしこうNAE抗体こうたい陽性ようせい免疫めんえき治療ちりょう効果こうかがなかったれい報告ほうこくされている[121]こうIgLON5抗体こうたい関連かんれん疾患しっかん進行しんこうせいかくうえせい麻痺まひ系統けいとう萎縮いしゅくしょうなど神経しんけい変性へんせい疾患しっかんのような表現ひょうげんがたしめすことがあるが免疫めんえき治療ちりょうでの軽快けいかいれいもある[122][123][124][125]大脳皮質だいのうひしつ基底きていかく変性へんせい症候群しょうこうぐんすじ萎縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょうのような表現ひょうげんけい報告ほうこくもある[126][127]。またこうHomer-3抗体こうたい陽性ようせい免疫めんえき治療ちりょう症状しょうじょう悪化あっかした系統けいとう萎縮いしゅくしょうのような症状しょうじょう報告ほうこくもある[128]

純粋じゅんすい自律じりつ神経しんけい不全ふぜんしょうとの関係かんけい

純粋じゅんすい自律じりつ神経しんけい不全ふぜんしょう一部いちぶおなじレビー小体こていびょうであるパーキンソンびょう系統けいとう萎縮いしゅくしょう変化へんかする[129][130]

バイオマーカー

系統けいとう萎縮いしゅくしょう早期そうき診断しんだんにはバイオマーカー開発かいはつ有効ゆうこうである。クライオ電子でんし顕微鏡けんびきょうもちいることで系統けいとう萎縮いしゅくしょう患者かんじゃのうαあるふぁシヌクレイン封入ふうにゅうたい構造こうぞうあきらかになった[33]ちょう音波おんぱ処理しょりにより人工じんこうてきにプリオン蛋白たんぱく増幅ぞうふくする手法しゅほうであるPMCAをもちいることで、パーキンソンびょう系統けいとう萎縮いしゅくしょうではのう脊髄せきずいえきちゅうαあるふぁシヌクレイン凝集ぎょうしゅうたい凝集ぎょうしゅう速度そくど最大さいだい蛍光けいこうたかさが有意ゆういことなることがあきらかになった[131]。またプリオン蛋白たんぱく検出けんしゅつするちょう高度こうど技術ぎじゅつであるRT-QuICをもちいた検討けんとうでも、seeding活性かっせいしめ指標しひょうもちいた系統けいとう萎縮いしゅくしょう疾患しっかん鑑別かんべつシステムの開発かいはつすすんでいる[132]ニューロフィラメントけいくさり(NfL)も方法ほうほうわせて系統けいとう萎縮いしゅくしょうのバイオマーカーになるという報告ほうこくもある[133]。またαあるふぁシヌクレインを可視かしするPETをプローブも開発かいはつすすんでいる[134]

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 脊髄せきずい小脳しょうのう変性へんせいしょう臨床りんしょう ISBN 9784880022703
  • 小脳しょうのう運動うんどう失調しっちょう 小脳しょうのうはなにをしているのか ISBN 9784521734422
  • 臨床りんしょうのための神経しんけい形態けいたいがく入門にゅうもん ISBN 9784895903202
  • BRAIN and NERVE Vol.75 No.2 ISSN 18816096
  • 神経しんけい内科ないか VOL.82 NO.6
  • 神経しんけい内科ないか VOL.84 NO.5

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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