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小膠細胞 - Wikipedia

しょうにかわ細胞さいぼう(しょうこうさいぼう、えい: Microglia)またはそのまま英語えいごミクログリアは、のう脊髄せきずいちゅう存在そんざいするグリア細胞さいぼう一種いっしゅ中枢ちゅうすう神経しんけいけいにおける細胞さいぼうやく 5%から20%をめている[1]。Hortega細胞さいぼうともばれる。のグリア細胞さいぼうそと胚葉はいよう由来ゆらいであるのにたいし、ミクログリアはちゅう胚葉はいよう由来ゆらいであり、造血ぞうけつみき細胞さいぼうから分化ぶんかする。

しょうにかわ細胞さいぼう

マクロファージよう神経しんけいしょく現象げんしょうゆうし、神経しんけい組織そしき炎症えんしょう変性へんせいなどの傷害しょうがいけるとミクログリアが活性かっせいし、病変びょうへん修復しゅうふく関与かんよする。Fc受容じゅようたいたい受容じゅようたいMHC発現はつげんIL-1分泌ぶんぴつおこない、中枢ちゅうすう神経しんけいけい免疫めんえき細胞さいぼうとしての役割やくわりゆうする可能かのうせい示唆しさされている。

PET検査けんさ

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PET検査けんさにより神経しんけい炎症えんしょう確認かくにんされた慢性まんせい疲労ひろう症候群しょうこうぐん(CFS)患者かんじゃ頭部とうぶCT検査けんさMRI検査けんさは、あきらかな異常いじょう所見しょけんがなかったとの報告ほうこくがある。保険ほけん診療しんりょうみとめられている検査けんさでは神経しんけい炎症えんしょう判別はんべつすることは困難こんなんとされ、ミクログリアの活性かっせい評価ひょうかできるPET検査けんさ必要ひつようであることがしめされた[2]

細胞さいぼうすう

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ヒトやマウスののうないミクログリアは、細胞さいぼう分裂ぶんれつアポトーシスにより生涯しょうがい一定いっていかず維持いじされ、生涯しょうがいすうかい完全かんぜんわる[3]

41の研究けんきゅうメタ解析かいせきした結果けっか対照たいしょう(762にん)と比較ひかく統合とうごう失調しっちょうしょう患者かんじゃ(783にん)は、死後しごのうミクログリアの密度みつど有意ゆうい増加ぞうかしていた。アストロサイトおよびオリゴデンドロサイト密度みつど有意ゆういがなかった[4]

アルコールはグリアの機能きのう変更へんこうすることによりのう損傷そんしょうさせる。対照たいしょうてきに、運動うんどうはグリアの可塑かそせい健康けんこう促進そくしんさせる。ラットをエタノール強制きょうせい飼養しようし、グリアにたいするその運動うんどう効果こうか検証けんしょうした。対照たいしょうラットは運動うんどうによりうち前頭まえがしら前野まえののミクログリアすう増加ぞうかしたが、エタノール過剰かじょう摂取せっしゅラットはミクログリアすう有意ゆういすくなかった[5]

増減ぞうげんさせる薬剤やくざい

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CSF1R阻害そがいざい

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コロニー刺激しげき因子いんし1受容じゅようたい英語えいごばん(CSF1R)阻害そがいざいであるPLX3397英語えいごばんは、成体せいたいマウスののうないミクログリアを99%枯渇こかつさせる。そのマウスは行動こうどう認知にんち異常いじょうしめさなかった。阻害そがいざい投与とうよ中止ちゅうしから1週間しゅうかん以内いないあたらしいミクログリアが完全かんぜんさい増殖ぞうしょくした。中枢ちゅうすう神経しんけいけい(CNS)のミクログリアさい増殖ぞうしょくは、ネスチン陽性ようせい細胞さいぼう神経しんけいみき細胞さいぼう)の増殖ぞうしょくかいし、ミクログリアに分化ぶんかする[6]

成体せいたいマウスへPLX3397を投与とうよ長期間ちょうきかんミクログリアを枯渇こかつさせたところ、じょう突起とっきスパイン密度みつど増加ぞうかした。のう発達はったつもミクログリアがシナプス形成けいせいする証拠しょうこしめされた[7]

テトラサイクリンけい

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成体せいたいマウスへ4週間しゅうかんドキシサイクリン40ppm[ちゅう 1][8]こんえさ投与とうよした結果けっか、ミクログリアのかず有意ゆうい激減げきげんし、じょう突起とっきスパインの密度みつど有意ゆうい増加ぞうかした[9]

胎児たいじ18にちから出生しゅっしょう1にちまでマウスへミノサイクリン(45mg/kg, ip)を投与とうよし、最終さいしゅう投与とうよから8あいだ検査けんさしたところ、検査けんさしたのう組織そしきぜん領域りょういき細胞さいぼうアポトーシス)が10ばい以上いじょう増加ぞうかしていた。ほとんどの領域りょういきでミクログリアマーカーIBA1英語えいごばん)が増加ぞうかしていた。生後せいご3-5にちよわいへの投与とうよにおいても類似るいじ作用さようがみられた[10]

テトラヒドロカンナビノール

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青年せいねんめすせいラットへΔでるた9-THC(2.5 - 10mg/kg)やMDMA(10mg/kg, sc)の慢性まんせい投与とうよはミクログリアマーカー(IBA1)の割合わりあい減少げんしょうさせた。ゆうせいラットにおいては増加ぞうかさせた[11]思春期ししゅんき大麻たいま長期ちょうき乱用らんようするとのう成熟せいじゅくそこなわれ神経しんけい発達はったつ障害しょうがい傾向けいこうになりやすいとしめされているが、この関連かんれん基礎きそをなす神経しんけい生物せいぶつがくてきメカニズムだい部分ぶぶん不明ふめいであった。思春期ししゅんきめすせいラットへΔでるた9-THC(2.5 - 10mg/kg)慢性まんせい投与とうよ誘導ゆうどうされる長期間ちょうきかん認知にんち障害しょうがいとミクログリア活性かっせい因果いんが関係かんけいしめ証拠しょうこ提示ていじされた。ミクログリアの活性かっせい阻止そしすることで青年せいねん短期たんき記憶きおく障害しょうがい有意ゆういげんじゃくさせ、ミクログリアじょうカンナビノイド2受容じゅようたい(CB2R)の増加ぞうか防止ぼうしできた[12]おおくの神経しんけい変性へんせい疾患しっかんはCB2Rの増加ぞうか見出みいだされている[13]大麻たいま乱用らんよう英語えいごばん関連かんれんする有害ゆうがい作用さようにミクログリアおよびアストロサイト変化へんか寄与きよることを示唆しさする最近さいきんぜん臨床りんしょうてき証拠しょうこがある[14]

活性かっせい

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神経しんけいしょく現象げんしょう

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神経しんけいしょく現象げんしょう (英語えいごばんとは、壊死えしした神経しんけい細胞さいぼう除去じょきょする目的もくてき細胞さいぼう周囲しゅういおよび細胞さいぼうないにグリア細胞さいぼう集合しゅうごうする現象げんしょうウイルス感染かんせん中毒ちゅうどくなどでみとめられる[15][16]イソ-αあるふぁさんはミクログリアを活性かっせいさせ、アルツハイマーびょう原因げんいん物質ぶっしつとされるアミロイドβべーたタンパク質たんぱくしつ蓄積ちくせきおさえ、のうない炎症えんしょう抑制よくせいする[17][18]

神経しんけい炎症えんしょう

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ミクログリアの活性かっせい炎症えんしょうせいサイトカイン放出ほうしゅつ細胞さいぼう傷害しょうがい惹起じゃっきする。それはのうない炎症えんしょうであり、神経しんけい変性へんせい中枢ちゅうすう神経しんけいけい炎症えんしょう応答おうとうこす[19]重症じゅうしょう慢性まんせい疲労ひろう症候群しょうこうぐん(CFS)では、のうないミクログリアの活性かっせいによる神経しんけい炎症えんしょうこっていた[2]神経しんけいいんせい疼痛とうつう病態びょうたいとしてミクログリアの活性かっせいこされる。

トレーサーとしてTSPO英語えいごばん放射ほうしゃせいリガンドである[11C]DAA-1106英語えいごばんもちいたPET検査けんさ結果けっか喫煙きつえんしゃ喫煙きつえんしゃよりも[11C]DAA-1106結合けつごう全体ぜんたいてきすくなく、ミクログリアの活性かっせいすくないことがしめされた。それは、喫煙きつえんしゃ比較ひかくして喫煙きつえんしゃ炎症えんしょう機能きのうそこなわれていることをしめ先行せんこう研究けんきゅう一致いっちしていた[20]。TSPOの放射ほうしゃせいリガンドである[11C]PBR28をもちいたPET検査けんさ結果けっかアルコール依存いぞんしょう個体こたいのうないのミクログリア活性かっせいひくく、対照たいしょう比較ひかくしてにぶ炎症えんしょう応答おうとうしめした[21]

抑制よくせい

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ミクログリアはカンナビノイド1受容じゅようたい(CB1R)とカンナビノイド2受容じゅようたい(CB2R)を発現はつげん[22]、CB2Rの刺激しげきはミクログリアの活性かっせい抑制よくせいさせる[23]

神経しんけい保護ほご

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一般いっぱんてき神経しんけい保護ほごとは、神経しんけい細胞さいぼう傷害しょうがい死滅しめつおさえることをしており、ずいさや(ミエリンさや形成けいせいしてはいない。

マウスへTHC(5 or 20mg/kg, ip)を慢性まんせい投与とうよすると小脳しょうのうのミクログリアが活性かっせいした。投与とうよ中止ちゅうし5にち小脳しょうのうのCB1Rの発現はつげん減少げんしょうし、CB2Rの発現はつげん増加ぞうかしていた。そのときミノサイクリン(40mg/kg, ip)を投与とうよするとミクログリアの活性かっせい阻止そしされ、CB2Rの発現はつげん増強ぞうきょうされた。THCはミクログリアじょうのCB2Rアゴニストとして作用さようし、ミクログリアの活性かっせい抑制よくせいする可能かのうせいがある[24]

ミノサイクリンの神経しんけい保護ほご作用さようは、CB1Rアンタゴニスト(AM-251英語えいごばん)やCB2Rアンタゴニスト(AM-630英語えいごばん)によって阻止そしされた。ミノサイクリンによるミクログリア活性かっせい抑制よくせいは、エンドカンナビノイドシステム(ECS)の関与かんよ実証じっしょうされた[25][26][27]

合成ごうせいカンナビノイドである WIN 55,212-2英語えいごばんHU-210英語えいごばんJWH-133英語えいごばんアミロイドβべーたタンパク質たんぱくしつによるミクログリアの活性かっせい抑制よくせい神経しんけい毒性どくせいから保護ほごする[28]

治療ちりょう仮説かせつ

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ミクログリアは統合とうごう失調しっちょうしょう不安ふあんおよびストレス関連かんれん障害しょうがいなどの精神せいしん障害しょうがい影響えいきょうする。うつびょうがミクログリアびょうでありることを示唆しさする根拠こんきょしめされ、うつびょう治療ちりょう標的ひょうてきはミクログリアに発現はつげんしているCB2Rとしめされた[29]

インターフェロン(IFN-αあるふぁ)の副作用ふくさようひとつであるうつびょう原因げんいんは、IFN-αあるふぁのうないのミクログリアを活性かっせいし、海馬かいば神経しんけい新生しんせい阻止そしするためとの報告ほうこくがある[30][31]HPVワクチンガーダシル)を注射ちゅうしゃしたマウスの免疫めんえき組織そしき化学かがく分析ぶんせきでは、海馬かいばのCA1領域りょういきにおいてミクログリアの活性かっせいあきらかとなった。それは、アジュバントアルミニウムによるものと示唆しさされた[32]

IFN-αあるふぁ誘発ゆうはつせいそもそもうつは、ミクログリアの活性かっせい抑制よくせいする薬剤やくざい改善かいぜんできるかもしれない[30]。マウスの実験じっけんでは、IFN-αあるふぁ誘発ゆうはつせいそもそもうつ行動こうどうがミノサイクリン処置しょち抑制よくせいされた。ミノサイクリンはIFN-αあるふぁ誘発ゆうはつせいうつびょう患者かんじゃ治療ちりょう有望ゆうぼう薬剤やくざい示唆しさされた[31]。ミクログリアの活性かっせいおさえる薬剤やくざい慢性まんせい疲労ひろう症候群しょうこうぐん(CFS)の特効薬とっこうやくとして開発かいはつはじまっている[2]

神経しんけい毒性どくせい

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塩化えんかアルミニウム神経しんけいどくとして確立かくりつされている。ウサギでミクログリアの活性かっせい抑制よくせいする作用さようなどが示唆しさされている[33]

薬剤やくざい影響えいきょう

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活性かっせいさせる薬剤やくざい

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ミクログリアの活性かっせい促進そくしんさせる可能かのうせいがある薬剤やくざい[34]

ドーパミン受容じゅようたい作動さどうやく
プラミペキソール
精神せいしん刺激しげきやく
メチルフェニデート

抑制よくせいさせる薬剤やくざい

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潜在せんざいてきにミクログリアの活性かっせい抑制よくせいさせる薬剤やくざい[34]

神経しんけい弛緩しかんやく
クロルプロマジンチオリダジン (英語えいごばん[ちゅう 2][35]ロキサピン (英語えいごばん[ちゅう 3]
定型ていけいこう精神病せいしんびょうやく
アリピプラゾールオランザピンクエチアピンリスペリドンジプラシドン
気分きぶん安定あんていやく
カルバマゼピンバルプロさんリチウム
さんたまきけい
アミトリプチリンクロミプラミンイミプラミンノルトリプチリン
SSRI
シタロプラムエスシタロプラムフルオキセチンフルボキサミンパロキセチンセルトラリン
こううつやく
ベンラファキシンブプロピオン
ベンゾジアゼピンけいこう不安ふあんやく
クロナゼパムジアゼパム
認知にんち増強ぞうきょうざい
ドネペジルガランタミンメマンチン
薬物やくぶつ
デキストロメトルファンキニジンアマンタジンN-アセチルシステインステロイドせいこう炎症えんしょうやくナタリズマブ

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 成体せいたいマウス(C57BL/6)へ1週間しゅうかんドキシサイクリン50ppm飲料いんりょうすいあたえたとき、1にち18mg/kgを摂取せっしゅし、最高さいこうちゅう濃度のうどやく56.6ng/mLであった。
  2. ^ フェノチアジン誘導体ゆうどうたいであり、フェノチアジンけいこう精神病せいしんびょうやくとしてられるチオリダジンは、日本にっぽん国内こくないにおいて2005ねん12月に販売はんばい中止ちゅうしされた。
  3. ^ ロキサピンの活性かっせい代謝たいしゃぶつ (英語えいごばんアモキサピンである。

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 日本にっぽん獣医じゅうい解剖かいぼう学会がっかい編集へんしゅう獣医じゅうい組織そしきがく 改訂かいていだいはん学窓がくそうしゃ 2003ねん ISBN 4873621135

外部がいぶリンク

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