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蛍光 - Wikipedia

蛍光けいこう(けいこう、えい: fluorescence)とは、発光はっこう現象げんしょう分類ぶんるい

  • もっと広義こうぎには、ルミネセンスによるひかり発光はっこう全般ぜんぱんす。
    • 広義こうぎには、ルミネセンスのうち、電子でんし励起れいきみなもととして、エネルギーのたか短波たんぱちょうひかり電磁波でんじは)を照射しょうしゃすることによりしょうじる発光はっこうす(フォトルミネセンス)。このこうではおもにこの意味いみ蛍光けいこうについてべる。
      • 狭義きょうぎには、広義こうぎ蛍光けいこうのうち、励起れいきのための電磁波でんじはめるとすぐに発光はっこう消失しょうしつする、発光はっこう寿命じゅみょうみじかいものをす(厳密げんみつ定義ていぎ各種かくしゅある)。発光はっこう寿命じゅみょうながいものは燐光りんこうぶ(フォトルミネセンス以外いがいのルミネセンス全般ぜんぱんでもこのような発光はっこう寿命じゅみょうちがいで「蛍光けいこう」・「燐光りんこう」の使つかけはなされている。)。
短波たんぱ紫外線しがいせん照射しょうしゃされ蛍光けいこうするぼたるせき(B)だが可視かし光線こうせん白色はくしょく照射しょうしゃしても蛍光けいこうしない(A)
蛍光けいこうによるアート

なお、ぼたる(ホタル)の発光はっこう体内たいない酵素こうそ化学かがく反応はんのうによりしょうじるエネルギーを励起れいきげんとする発光はっこうバイオルミネセンス)(もっと広義こうぎ蛍光けいこうの1つ)であり、広義こうぎ蛍光けいこうひかりをエネルギーげんとする発光はっこうのフォトルミネセンス)とはメカニズムがことなる。

もっと広義こうぎ蛍光けいこう(ルミネセンス)

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ルミネセンスには、ルミノール発光はっこうのように、化学かがく反応はんのうによって生成せいせいした励起れいき状態じょうたいにある分子ぶんしからの発光はっこうケミルミネセンス)をふくむ。

広義こうぎ蛍光けいこう(フォトルミネセンス)

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生物せいぶつ実験じっけんでの使用しようれいにおいエチジウム染色せんしょくしたアガロースゲルにおいエチジウムはDNA分子ぶんしあいだはい紫外線しがいせん照射しょうしゃされると橙色だいだいいろ蛍光けいこうはっする。

広義こうぎ蛍光けいこうは、Xせん紫外線しがいせん可視かし光線こうせん照射しょうしゃされてそのエネルギーを吸収きゅうしゅうすることで電子でんし励起れいきし、それが基底きてい状態じょうたいもどさい余分よぶんなエネルギーを電磁波でんじはとして放出ほうしゅつするものである(フォトルミネセンス)。

フォトルミネセンスを直接ちょくせつ観察かんさつする機器ききとしては、おも分光ぶんこう蛍光けいこう光度こうどけい使用しようされる。また、蛍光けいこう観測かんそくするのは吸収きゅうしゅう観測かんそくするのにくらべて感度かんどてきすぐれているため、HPLC高速こうそく液体えきたいクロマトグラフィ)などで微量びりょう分析ぶんせきおこなうときなどには、対象たいしょうぶつ蛍光けいこうはっする誘導体ゆうどうたい変換へんかんして分析ぶんせきする方法ほうほうがしばしばもちいられる。

また、物質ぶっしつ波長はちょうみじかいXせん照射しょうしゃすると、その構成こうせい元素げんそうちから電子でんし原子げんしがいはじばされる。そのようにしてできたそら軌道きどう外側そとがわからから電子でんし遷移せんいし、余分よぶんなエネルギーをXせんとして放出ほうしゅつする。このXせん蛍光けいこうXせんばれる。蛍光けいこうXせんのエネルギーは放出ほうしゅつする元素げんそによってまっている。そのため特性とくせいXせん固有こゆうXせんともばれる。そこで、ある特性とくせいXせんがどれくらいてくるかを調しらべることで、物質ぶっしつちゅうのある元素げんそ定量ていりょうすることができる。このような元素げんそ分析ぶんせきほう蛍光けいこうXせん分析ぶんせきという。

蛍光けいこうのうゆうする染料せんりょう蛍光けいこう染料せんりょうばれる。普段ふだん無色むしょくであるが、むらさきがい可視かしこうちゅう短波たんぱちょういきひかり青色あおいろ蛍光けいこうはっする染料せんりょうは、かみぬのばみを隠蔽いんぺいする効果こうかがあるため、蛍光けいこうぞうしろざいとして使用しようされる。

蛍光けいこうとうは、低圧ていあつ水銀すいぎんとう内側うちがわめんに、水銀すいぎんはっする紫外線しがいせん吸収きゅうしゅうし、蛍光けいこうとして可視かし光線こうせんはっする物質ぶっしつ塗布とふしたものである。

蛍光けいこうはっしている物質ぶっしつたいして、そのエネルギーを吸収きゅうしゅうできるような適切てきせつなエネルギーじゅんをもつ物質ぶっしつ添加てんかすると、蛍光けいこう消失しょうしつする。これを消光しょうこうといい、消光しょうこうこす物質ぶっしつ消光しょうこうざいという。

蛍光けいこう狭義きょうぎ蛍光けいこう)と燐光りんこう

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蛍光けいこう燐光りんこうのメカニズムのちが

広義こうぎ蛍光けいこうのうち、一般いっぱんてき励起れいきのためのひかり電磁波でんじは)をめて、発光はっこう持続じぞくする寿命じゅみょうみじかい(ほぼい)ものを蛍光けいこう寿命じゅみょうながざんひかりするものを燐光りんこうという。

この分類ぶんるいによれば、分子ぶんしでは発光はっこう過程かていはじめ状態じょうたいおわり状態じょうたいスピン重度じゅうどおなじものを「蛍光けいこう」といい、こうあいだ交差こうさによりおなじでなくなるものを「燐光りんこう」という。スピン多重たじゅうことなる遷移せんい禁制きんせいであるから寿命じゅみょうながくなる。ただし、蛍光けいこうおな状態じょうたいあいだ遷移せんい由来ゆらいするにもかかわらず、発光はっこう寿命じゅみょうなが遅延ちえん蛍光けいこうばれる現象げんしょうもあることから、近年きんねんではべつ分類ぶんるい仕方しかたもなされている。遅延ちえん蛍光けいこうでは、励起れいきされたのち一旦いったんスピン多重たじゅうことなる状態じょうたいへの遷移せんいこり、そこから禁制きんせい遷移せんいこして発光はっこう過程かていはいる(三重みえ励起れいきからふたたいちじゅう励起れいきもどりそこから蛍光けいこう)ので、寿命じゅみょうながい。 一方いっぽう結晶けっしょうでは分子ぶんしことなり、スピン多重たじゅう特定とくてい困難こんなんであるので、発光はっこう寿命じゅみょう発光はっこう過程かてい遷移せんいかくりつまっているものを「蛍光けいこう」、励起れいきされてから発光はっこう過程かていうつるまでの遷移せんいかくりつまっているものを「燐光りんこう」という。

蛍光けいこうしょく

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蛍光けいこうしょくによるペイント。ブラックライトしたつよ発光はっこうしている。

蛍光けいこうイエロー、蛍光けいこうオレンジ、蛍光けいこうピンクなどで、ネオンカラーばれることもある。蛍光けいこうしょく黄色おうしょくは、通常つうじょう黄色おうしょくよりみどりがかった黄色おうしょくをしている。[よう出典しゅってん]

蛍光けいこう顔料がんりょうなどの蛍光けいこう色素しきそもちいて、塗料とりょう印刷いんさつインキ色鉛筆いろえんぴつクレヨン蛍光けいこうペンインク(ラインマーカー)などの文房具ぶんぼうぐや、玩具おもちゃ安全あんぜん防災ぼうさいようしょくざい防犯ぼうはん用品ようひんカラーボールなど)にも活用かつようされている。ロードコーン警備けいびいん蛍光けいこう反射はんしゃチョッキなどにも、蛍光けいこうしょくふう一般いっぱんしょく+蛍光けいこうしょく混合こんごうなど)のものがある。蛍光けいこうふくHi-visibility clothingこう視認しにんせいふく)とばれている。消防車しょうぼうしゃ塗装とそうにも蛍光けいこうしゅ赤色あかいろ使つかわれている[1]。これらは一般いっぱんこうにおいて、いろ通常つうじょう反射はんしゃくわえて、むらさきがい可視かしこうちゅう短波たんぱちょういきひかり吸収きゅうしゅうフォトルミネセンス発色はっしょくしているため一般いっぱんしょくくらべてより鮮明せんめいえる。また、太陽光たいようあきらなか可視かし光線こうせん減少げんしょうともなって可視かしこうたいするむらさきがいこう割合わりあいたかくなるあさ夕方ゆうがたくもり雨天うてんときでは、より視認しにんせい向上こうじょうしてえる。またブラックライト(なまのUVこう照射しょうしゃではさらつよ発光はっこうする。通常つうじょう、蓄光せいい。

紫外線しがいせん蛍光けいこうしめ鉱物こうぶつ

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UV発光はっこうする紫外線しがいせん蛍光けいこう鉱石こうせき

紫外線しがいせん照射しょうしゃによって蛍光けいこう(フォトルミネセンス)をはっする鉱物こうぶつにはつぎのようなものがある。ただし、産地さんちなどにより、蛍光けいこうはっしないものもある。

脚注きゃくちゅう

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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん人物じんぶつ

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関連かんれん項目こうもく

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