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資産 - Wikipedia

資産しさん

会計かいけいおよび複式ふくしき帳簿ちょうぼにおける勘定かんじょう項目こうもく区分くぶん

資産しさん(しさん、えい: assets)とは、会計かいけいがく用語ようごであり[1]財務ざいむ会計かいけいおよび簿記ぼきにおける勘定かんじょう科目かもく区分くぶんひとつ。会社かいしゃ帰属きぞくし、貨幣かへい尺度しゃくどとする評価ひょうか可能かのうで、かつ将来しょうらいてき会社かいしゃ収益しゅうえきをもたらすことが期待きたいされる経済けいざいてき価値かちのことをいう。資産しさんがくそう合計ごうけいそう資産しさん(そうしさん、total assets)とぶこともある。

広義こうぎでは、経済けいざい主体しゅたい家計かけい企業きぎょう政府せいふ)に帰属きぞくする金銭きんせん土地とち建物たてもの証券しょうけんなどの経済けいざいてき価値かち総称そうしょうのことをいい、一般いっぱんてき用法ようほうではこの意味いみもちいられる。

狭義きょうぎ意味いみとして投資とうしロバート・キヨサキは、家賃やちん収入しゅうにゅうのある土地とち不動産ふどうさん)や印税いんぜいなどインカムゲインをすものとしている(広義こうぎ資産しさんとされる自動車じどうしゃ住宅じゅうたくであっても、売却ばいきゃくえき取得しゅとく費用ひよう維持いじ下回したまわるものは「負債ふさい」としている。)。

概要がいよう

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会社かいしゃ収益しゅうえきをあげるために、出資しゅっししゃ債権さいけんしゃから調達ちょうたつした資本しほん運転うんてん資金しきん設備せつびなどとしてもちいる。これらの、会社かいしゃ帰属きぞく将来しょうらいてき会社かいしゃ収益しゅうえきをもたらすことが期待きたいされる経済けいざいてき価値かち資産しさんとしてとらえる。資産しさんには換金かんきん価値かちゆうするものだけではなく、繰延くりのべ資産しさんのようにそれ自体じたいでは換金かんきんできない項目こうもくふくまれる。将来しょうらい収益しゅうえきのためにまえもって支出ししゅつされたコストは繰延くりのべ資産しさんというえない資産しさんとみなされ、将来しょうらい費用ひようとして繰延くりのべられる。

資産しさん価値かち評価ひょうかかんがかたには取得しゅとく原価げんか主義しゅぎ時価じか主義しゅぎとがあるが、現在げんざい日本にっぽん財務ざいむ会計かいけいでは原則げんそくとして取得しゅとく原価げんか主義しゅぎ適用てきようされる。たとえば、建物たてもの購入こうにゅうし、その建物たてもの時価じか値上ねあがりしたとしても、資産しさん価値かち評価ひょうかえはおこなわない。ただし、環境かんきょう変化へんかなどにより将来しょうらいてき会社かいしゃ収益しゅうえきをもたらすことが期待きたいできなくなった資産しさんについては、減損げんそんおこなって評価ひょうかがく減少げんしょうさせなければならない。

財務ざいむ会計かいけいじょう資産しさんは、貨幣かへい尺度しゃくどとする評価ひょうか可能かのうであることも要件ようけんひとつである。人材じんざい資源しげん信用しんよう、ブランド価値かちといった要素ようそは、企業きぎょう経営けいえいにおいて重要じゅうよう要素ようそであるとかんがえられているが、合併がっぺいのぞけば財務ざいむ会計かいけいじょう資産しさんとして認識にんしきされない[注釈ちゅうしゃく 1]

製造せいぞうぎょうにおいては、企業きぎょう外部がいぶからさまざまな原価げんかざい購入こうにゅうし、製品せいひん製造せいぞうするためにそれらを消費しょうひし、直接ちょくせつ材料ざいりょう直接ちょくせつ労務ろうむ直接ちょくせつ経費けいひ製造せいぞう間接かんせつ発生はっせいする。さらにそれらは仕掛しかけひん製品せいひん変化へんかしていく。製品せいひん完成かんせいした時点じてんでそれらの原価げんか製造せいぞう原価げんかとして把握はあくされるが、ここまでは資産しさんなのである。つまり、資産しさん利益りえきることを目的もくてきおこなわれた努力どりょくのうち、まだ利益りえきしていない、「ける原価げんか」(資本しほんてき支出ししゅつ)となすことができる。そして、製品せいひん販売はんばいされた時点じてんで、製造せいぞう原価げんか売上うりあげ原価げんかとなり「費用ひよう」として認識にんしきされる。つまり、利益りえき獲得かくとくという役目やくめたし、「せる原価げんか」(収益しゅうえきてき支出ししゅつ)になるのである。

資産しさん種類しゅるい

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資産しさんは、貸借たいしゃく対照たいしょうひょう借方かりかたの「資産しさん」に計上けいじょうされ、流動りゅうどう資産しさん固定こてい資産しさん繰延くりのべ資産しさんの3種類しゅるい区分くぶんされる。

流動りゅうどう資産しさんは、通常つうじょう1ねん以内いない現金げんきん費用ひようができる資産しさんである[1]現金げんきん預金よきん現金げんきん普通ふつう預金よきん当座とうざ預金よきん[注釈ちゅうしゃく 2])、受取うけとり手形てがた売掛金うりかけきん棚卸たなおろし資産しさん前払まえばらい費用ひようなどの会社かいしゃ通常つうじょう営業えいぎょう取引とりひき過程かていしょうじた資産しさんには、正常せいじょう営業えいぎょう循環じゅんかん基準きじゅん適用てきようされ、原則げんそくとして流動りゅうどう資産しさん分類ぶんるいされる。有価ゆうか証券しょうけん貸付かしつけきんなどについてはいちねん基準きじゅん適用てきようされ、決算けっさん1ねん以内いない現金げんきんできるものが流動りゅうどう資産しさん分類ぶんるいされる。流動りゅうどう資産しさんのうち、たか確度かくど短期間たんきかんでの現金げんきん見込みこめる資産しさん当座とうざ資産しさんとして分類ぶんるいする場合ばあいもある。金銭きんせん債権さいけんかしたおせ見積みつもりがくであるかしたおせ引当ひきあてきんは、マイナスの資産しさんとして計上けいじょうし、資産しさん総額そうがくから控除こうじょされる。

固定こてい資産しさんは、通常つうじょう営業えいぎょう取引とりひき過程かていしょうじたものではなく、かつ1ねん以上いじょう継続けいぞくてき保有ほゆうされる資産しさんである。固定こてい資産しさんはさらに、有形ゆうけい固定こてい資産しさん無形むけい固定こてい資産しさん投資とうしその資産しさん分類ぶんるいされる[1]有形ゆうけい固定こてい資産しさんとはかたちゆうする資産しさんであり、土地とち建物たてもの機械きかい備品びひんなどがふくまれる[1]土地とち以外いがい有形ゆうけい固定こてい資産しさん時間じかんとともに経済けいざいてき価値かち減少げんしょうしていくため、減価げんか償却しょうきゃく処理しょりおこなう。かく会計かいけいごとの減価げんか償却しょうきゃくがくはマイナスの資産しさんとして計上けいじょうされ、資産しさん総額そうがくから控除こうじょされる。 無形むけい固定こてい資産しさんかたちゆうしないが経済けいざいてき価値かちゆうする資産しさんであり、のれん特許とっきょけん商標しょうひょうけん意匠いしょうけん著作ちょさくけん借地しゃくちけん鉱業こうぎょうけん漁業ぎょぎょうけんなどがふくまれる[1]無形むけい固定こてい資産しさんについても減価げんか償却しょうきゃくおこなわれる場合ばあいがある。投資とうしその資産しさんは、長期ちょうき保有ほゆうされる金融きんゆうなどの資産しさんであり、投資とうし有価ゆうか証券しょうけん長期ちょうき貸付かしつけきんなどがふくまれる。

繰延くりのべ資産しさんは、合理ごうりてき期間きかん損益そんえき計算けいさん観点かんてんから、ある営業えいぎょう年度ねんど特定とくてい支出ししゅつをその年度ねんどだけの費用ひようとはせずに、貸借たいしゃく対照たいしょうひょうじょう資産しさん計上けいじょうし、そのすう年度ねんどにわたって分割ぶんかつして償却しょうきゃくされる資産しさんである[1]。ただし、換金かんきんできない資産しさん貸借たいしゃく対照たいしょうひょう計上けいじょうすることはあくまで例外れいがいであるため、繰延くりのべ資産しさん商法しょうほうによって創立そうりつ開業かいぎょう開発かいはつ株式かぶしき交付こうふ社債しゃさい発行はっこうの5つに限定げんていされている。

代表だいひょうてき勘定かんじょう科目かもく

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流動りゅうどう資産しさん
現金げんきん預金よきん現金げんきん[注釈ちゅうしゃく 3]普通ふつう預金よきん当座とうざ預金よきん)、有価ゆうか証券しょうけん受取うけとり手形てがた売掛金うりかけきん短期たんき貸付かしつけきん未収みしゅうきん未収みしゅう収益しゅうえき前渡金ぜんときん前払まえばらい費用ひよう
商品しょうひんはん製品せいひん原材料げんざいりょう仕掛しかけひん
固定こてい資産しさん
土地とち建物たてもの備品びひん建設けんせつかり勘定かんじょう減価げんか償却しょうきゃく累計るいけいがく
のれん特許とっきょけん借地しゃくちけん
投資とうし有価ゆうか証券しょうけん子会社こがいしゃ株式かぶしき長期ちょうき貸付かしつけきん長期ちょうき前払まえばらい費用ひよう繰延くりのべ税金ぜいきん資産しさん
繰延くりのべ資産しさん
創立そうりつ開業かいぎょう開発かいはつ株式かぶしき交付こうふ社債しゃさい発行はっこう

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 経営けいえいコンサルティングなどの世界せかいでは、こうした要素ようそ無形むけい資産しさん無形むけい固定こてい資産しさんとはことなる)とづけて評価ひょうかしていこうといううごきもある。
  2. ^ 定期ていき預金よきんなどには「いちねん基準きじゅん」が適用てきようされ、満期まんきまた償還しょうかんまでの期間きかんが1ねん以内いないのものが現金げんきん預金よきんふくまれる。
  3. ^ 簿記ぼきでは、他者たしゃ小切手こぎってった場合ばあい現金げんきんとしてあつかう。浜田はまだ(2005)p.41

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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