通つう名めい

通つう名めい（つうめい、とおりな）とは、日本にっぽん国内こくないで主おもに外国がいこく籍せきの者ものが実名じつめいではないが、「国内こくないにおける社会しゃかい生活せいかつ上じょう通用つうようしている名前なまえ」と認みとめられ、住民じゅうみん票ひょうなど公的こうてき書類しょるいに記載きさい・公的こうてきに使用しよう出来できる名称めいしょうのこと。通称つうしょう名めいの略りゃく。

かつての日本にっぽんでは、日本にっぽん在住ざいじゅうの外国がいこく籍せき者しゃに安易あんいかつ何なん度どでも通称つうしょう名めい変更へんこうを認みとめていた。しかし、2013年ねん11月に頻繁ひんぱんな通称つうしょう名めいの変更へんこう登録とうろくが出来できることを悪用あくようした違法いほう行為こうい者しゃが報道ほうどうされて、日本にっぽん国内こくない世論せろんの大おおきな批判ひはんを呼よんだ。そのため、同月どうげつ15日にちの総務そうむ省しょう通達つうたつ以降いこうからは通称つうしょう名めいは一いち度ど登録とうろくした後のちは、婚姻こんいんや養子ようし縁組えんぐみによる姓せいの変更へんこうといった例外れいがいケースを除のぞき、通つう名めいの変更へんこうは原則げんそく不可ふかとなった。これによって、複数ふくすうの通つう名めい変更へんこうを悪用あくようした複数ふくすう口座こうざ作成さくせい、携帯けいたいなど契約けいやくなど犯罪はんざい行為こういは事実じじつ上じょう出来できなくなった。

狭義きょうぎの「通つう名めい」は、婚姻こんいん等とうにより姓せいを変更へんこうした者ものが旧姓きゅうせいを使用しようする場合ばあい、トランスジェンダーの個人こじんが性せい同一どういつ性せいを反映はんえいする場合ばあいなどに用もちいる名称めいしょうも指さす。法規ほうき等ひとしでは「通つう名めい」ではなく「通称つうしょう」（つうしょう）と呼よばれるが、本ほん項こうではこちらの意味いみについてを解説かいせつする。

人名じんめい以外いがいの事物じぶつもふくむ、広義こうぎの「通つう名めい」については「通称つうしょう」を参照さんしょうのこと。

概要がいよう

本名ほんみょうではなく、一ひとつ、もしくは複数ふくすうの通称つうしょう名めいを名乗なのって生活せいかつすることには現行げんこう法ほう上じょうの制限せいげんや規制きせいはないが、単たんなる自称じしょう名めいで法律ほうりつ行為こういを有効ゆうこうに行おこなうことは原則げんそくとしてできず、詐欺さぎ罪ざいや文書ぶんしょ偽造ぎぞう罪ざいなどに問とわれる場合ばあいがある。しかし、在日ざいにち外国がいこく人じんの通つう名めいは一ひとつに限かぎり、居住きょじゅうする区くや市町村しちょうそんへの登録とうろくを条件じょうけんとして法的ほうてきな効力こうりょくを持もつ。通つう名めいは住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょう法ほうに登録とうろく事項じこうとして規定きていされており、住民じゅうみん票ひょうに「通称つうしょう（氏名しめい以外いがいの呼称こしょう）」として記載きさいされる。2016年ねん時点じてんの実務じつむ上じょう、通つう名めいは登記とうきなどの公的こうてき手続てつづきに有効ゆうこうに使用しようすることができ、契約けいやく書しょなど民間みんかんの法的ほうてき文書ぶんしょにも使用しようできる。また、就労しゅうろうの際さいにも通つう名めいでの応募おうぼ及および就業しゅうぎょうが通用つうようしているとともに通つう名めいによる雇用こよう保険ほけんや年金ねんきんの手続てつづきも行おこなえるようになっており、地方ちほう公共こうきょう団体だんたいに限かぎらず通つう名めいで公務員こうむいんとして職務しょくむを行おこなえるようになっている。

印鑑いんかん登録とうろく証明しょうめい書しょや運転うんてん免許めんきょ証しょうには、本人ほんにんの申請しんせいにより本名ほんみょうに加くわえ、通つう名めいの併記へいきが可能かのうである（例れい：氏名しめい　金きむ 美よし淑よし（木村きむら 淑子としこ））。

また、国民こくみん健康けんこう保険ほけん被ひ保険ほけん者しゃ証しょうも通称つうしょう名めいの使用しようが可能かのうである。（被ひ保険ほけん者しゃが性せい同一どういつ性せい障害しょうがいである場合ばあいも通称つうしょう名めいの記載きさいが行おこなえるが、これは保険ほけん者しゃがやむを得えないと判断はんだんした場合ばあいに限かぎる。外国がいこく人じんの通称つうしょう名めい使用しようについては、国民こくみん健康けんこう保険ほけんや介護かいご保険ほけんの保険ほけん者しゃ（地方ちほう公共こうきょう団体だんたい）の判断はんだんで、自由じゆうに自みずからの裁量さいりょうで氏名しめい表記ひょうきを行おこなって差さし支つかえない（=主しゅたる面めんの「氏名しめい」の項目こうもくに通称つうしょう名めいの使用しようを行おこなっても差さし支つかえない。）とされている。）

通称つうしょう名めいは、韓国かんこく・中国ちゅうごく籍せきの外国がいこく人じんのみならず、アルファベットを本名ほんみょうとする外国がいこく人じんにも広ひろく使つかわれている。

在留ざいりゅう証明しょうめいに記載きさいされる本名ほんみょうはアルファベットである為ため、片仮名かたかな表記ひょうきを通称つうしょうとして登録とうろくする事ことで、片仮名かたかなの署名しょめいも法的ほうてき効力こうりょくを持もつ（通称つうしょう登録とうろくをしなければ本名ほんみょうはあくまでアルファベットの氏名しめいであり、片仮名かたかなの通つう名めいに法的ほうてき効力こうりょくはない）。また運転うんてん免許めんきょ証しょうや個人こじん番号ばんごうカードなどに片仮名かたかなの通つう名めいがカッコ書がきで表記ひょうきされる為ため、特とくに難解なんかいな発音はつおんの氏名しめいの場合ばあいは、誤読ごどくを防ふせぐ事ことが出来できる。

外国がいこく人じんとの婚姻こんいん届とどけを提出ていしゅつしても、外国がいこく人じんには戸籍こせき謄本とうほんが無ないため夫婦ふうふ別姓べっせいになるが、通称つうしょう名めい登録とうろくをする事ことで、法的ほうてきに夫婦ふうふ同姓どうせいを名乗なのる事ことが出来できる（例れい：山田やまだ太郎たろうと婚姻こんいんしたMarry Janeが、山田やまだメリーを法的ほうてきに使用しようする事ことが出来できるようになる）。日系にっけい二に世せい・三世さんぜが、親おやや祖父母そふぼの姓せいを合法ごうほう的てきに漢字かんじで使用しようする事ことが出来できるようになる（例れい：本名ほんみょうJames Yamadaが、漢字かんじと片仮名かたかなの山田やまだジェームスを法的ほうてきに使用しようする事ことが出来できるようになる）。

法的ほうてき根拠こんきょ・制度せいど改正かいせい・規制きせい

1940年ねん2月がつ11日にちに「日本にっぽん風ふうの氏し」の設定せっていと「改名かいめい」を申請しんせい者しゃに認みとめる創はじめ氏し改名かいめい制度せいどが施行しこうされたが、内地ないちではそれ以前いぜんから朝鮮ちょうせん人じんなどが「通称つうしょう」として「日本にっぽん名めい」を名乗なのるものが多おおかった。創はじめ氏し改名かいめい施行しこう以後いご、朝鮮ちょうせんや内地ないち在住ざいじゅうの朝鮮ちょうせん人じんなども日本にっぽん風ふうの「氏名しめい」を名乗なのることになった。これは法的ほうてきな「本名ほんみょう」であり、この日本にっぽん名めいで各種かくしゅ届出とどけでや証明しょうめい書類しょるいの交付こうふ、また登記とうきなどの公的こうてき手続てつづきが行おこなわれた。一方いっぽう戸籍こせき上じょうは従来じゅうらいの「姓せい」と「本ほん貫ぬき」も残のこったが、これらは「本名ほんみょう」ではなくなった。だが1945年ねん以降いこう、38度ど線せんの南みなみでは「朝鮮ちょうせん姓名せいめい復旧ふっきゅう令れい」（1946年ねん10月がつ23日にち）により、また北きたでも「北朝鮮きたちょうせんに施行しこうする法令ほうれいに関かんする件けん」布告ふこくにより、創はじめ氏し改名かいめいの根拠こんきょとなった朝鮮ちょうせん総督そうとく府ふ令れいは失効しっこうし、朝鮮ちょうせん人じんの創はじめ氏し改名かいめいによる日本にっぽん名めいは遡及そきゅう無効むこうとなって法的ほうてき根拠こんきょを喪失そうしつした。

しかし、日本にっぽん名めいでいったん公的こうてきに取得しゅとく・蓄積ちくせきされた在日ざいにち朝鮮ちょうせん人じんの各種かくしゅの公的こうてき記録きろくを一挙いっきょに無効むこうとすることは、事実じじつ上じょう困難こんなんであった。そのため行政ぎょうせいが選択せんたくしたのは、法的ほうてきな根拠こんきょを欠かく在日ざいにち朝鮮ちょうせん人じんの日本にっぽん名めい使用しようを運用うんよう上じょうは有効ゆうこうとする政策せいさくであった。

2012年ねん6月がつ以前いぜんの「法的ほうてき根拠こんきょ」

外国がいこく籍せきの者ものに、本名ほんみょうではない「通称つうしょう」の使用しようを認みとめる根拠こんきょ法ほうは、2009年ねん（平成へいせい21年ねん）7月がつ以前いぜんには存在そんざいしていなかった。通称つうしょう使用しようの根拠こんきょとなっていたのは、法務省ほうむしょう入国にゅうこく管理かんり局きょく長ちょう通知つうちの「外国がいこく人じん登録とうろく事務じむ取扱とりあつかい要領ようりょう」である。同どう通知つうちは「外国がいこく人じんの社会しゃかい生活せいかつ上じょうの利便りべん性せいを考慮こうりょし」外国がいこく人じん登録とうろく原票げんぴょうの記入きにゅうに際さいし、本名ほんみょうに加くわえ通称つうしょうを併記へいきすることを認みとめていた。そして、この原票げんぴょうを基もとに、2012年ねん（平成へいせい24年ねん）6月がつまでは通称つうしょう併記へいきの外国がいこく人じん登録とうろく証明しょうめい書しょが発行はっこうされていた。つまり、通称つうしょう使用しようを条文じょうぶんで認みとめた法律ほうりつは存在そんざいしておらず、行政ぎょうせいが運用うんよう上じょう認みとめていたに過すぎなかった。

外国がいこく人じん登録とうろく制せい廃止はいし

2012年ねん（平成へいせい24年ねん）7月がつ以降いこう、法務省ほうむしょうと市区しく町村ちょうそんが別々べつべつに行いっていた外国がいこく人じん管理かんり業務ぎょうむの一本いっぽん化かなどを目的もくてきに、従来じゅうらいの外国がいこく人じん登録とうろく制度せいどを基本きほんとした外国がいこく人じん管理かんり制度せいどが刷新さっしんされることとなった。住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょう法ほうが改正かいせいされて、外国がいこく人じん（短期たんき滞在たいざい者しゃ等とうは除のぞく。以下いか同おなじ）も日本人にっぽんじんと同一どういつの住民じゅうみん票ひょうに記載きさいされるようになると共ともに、外国がいこく人じん登録とうろく法ほうは廃止はいしされた。また、通称つうしょうが併記へいきされた外国がいこく人じん登録とうろく証明しょうめい書しょも廃止はいしとなった。

改正かいせい後ご住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょう法ほう第だい7条じょう第だい14号ごうの「政令せいれいで定さだめる事項じこう」の一いちとして、同どう法ほう施行しこう令れい第だい30条じょうの25第だい1号ごうにより、外国がいこく人じんは氏名しめい（本名ほんみょう）による住民じゅうみん票ひょうに、通称つうしょうを併記へいき登録とうろくすることができる。通称つうしょうの登録とうろくは「住民じゅうみん票ひょうに記載きさいされることが必要ひつようであることを証しょうするに足たりる資料しりょうを提示ていじしなければならない。」とされるものの、地方自治体ちほうじちたいではいわゆる特別とくべつ永住えいじゅう者しゃの通称つうしょう登録とうろくについて、従来じゅうらい保持ほじしていた外国がいこく人じん登録とうろく証明しょうめい書しょに通称つうしょうが記載きさいされていたという理由りゆうで引ひき続つづき受うけ付つけているケースが多おおい。ただし、外国がいこく人じんが住民じゅうみん票ひょうの写うつしや住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょうカードを取得しゅとくする場合ばあいは、氏名しめい（本名ほんみょう）が記載きさいされており、通称つうしょうのみの住民じゅうみん票ひょうの写うつしや住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょうカードは発行はっこうされない。

2012年ねん7月がつ9日にち外国がいこく人じん登録とうろく証明しょうめい書しょに代かわり、外国がいこく人じん在留ざいりゅう者しゃには「在留ざいりゅうカード」が、特別とくべつ永住えいじゅう者しゃには「特別とくべつ永住えいじゅう者しゃ証明しょうめい書しょ」が発行はっこうされることになった。これらには通称つうしょうは表記ひょうきされない。

安易あんいな通称つうしょう変更へんこうの禁止きんし化か

日本にっぽん国内こくない在住ざいじゅうの外国がいこく籍せき者しゃ(在日ざいにち外国がいこく人じん)に対たいして、日本にっぽんの公的こうてき機関きかんは安易あんいかつ何なん度どでも通称つうしょう名めい変更へんこうを認みとめていた。しかし、2013年ねん11月1日にちに日本にっぽん在住ざいじゅうの外国がいこく籍せき者しゃが通称つうしょう名めいの変更へんこう登録とうろくが簡単かんたんに出来できることを悪用あくようした違法いほう行為こういが報道ほうどうされた際さいに大おおきな批判ひはん世論せろんとなった。これを受うけて、同月どうげつ15日にちの総務そうむ省しょう通達つうたつ以降いこうからは通称つうしょう名めいは一度いちど登録とうろくした後のちは、「婚姻こんいんや養子ようし縁組えんぐみによる姓せいの変更へんこう」といった例外れいがいケースを除のぞき、一いち度どの登録とうろくした通つう名めいの変更へんこうは原則げんそく不可ふかとなった。キッカケとなった在日ざいにち韓国かんこく人じん男性だんせいは、通つう名めいを6回かいも変かえており、携帯けいたい電話でんわの転売てんばいに悪用あくようしていた。男おとこは、「自分じぶんと同おなじ通称つうしょうの人間にんげんが悪わるいことをした」「音楽おんがく活動かつどうをしている。業界ぎょうかいに同おなじ名前なまえがいる」などとし、通つう名めい変更へんこうしていた。

登録とうろく・変更へんこう

通つう名めいの届出とどけでや変更へんこうは、市町村しちょうそんが窓口まどぐちである。登録とうろく可能かのうな通つう名めいは一いち度どに一ひとつのみ(平成へいせい25年ねん11月15日にちから安易あんいな変更へんこう禁止きんし化か)、日本人にっぽんじんが戸籍こせきで登録とうろく可能かのうな文字もじ、国籍こくせきの限定げんていはなく、したがっていかなる国籍こくせきの外国がいこく人じんも、通つう名めい登録とうろくが可能かのうである。

住民じゅうみん票ひょうへの通つう名めい記載きさいを申もうし出でる際さいには、「当該とうがい呼称こしょうが居住きょじゅう関係かんけいの公証こうしょうのために住民じゅうみん票ひょうに記載きさいされることが必要ひつようであることを証しょうするに足たりる資料しりょうを提示ていじ」すると共ともに、申出もうしで書しょに「記載きさいを求もとめる呼称こしょうが国内こくないにおける社会しゃかい生活せいかつ上じょう通用つうようしていることその他たの居住きょじゅう関係かんけいの公証こうしょうのために住民じゅうみん票ひょうに記載きさいされることが必要ひつようであると認みとめられる事由じゆうの説明せつめい」を記載きさいする必要ひつようがある。（同どう法ほう施行しこう令れい第だい30条じょうの26第だい1項こう、同どう法ほう施行しこう規則きそく第だい45条じょう第だい1項こう）

立証りっしょう資料しりょうとしては「不動産ふどうさん登記とうき簿ぼ謄本とうほん、勤務きんむ先さきの給与きゅうよ明細めいさい、在職ざいしょく証明しょうめい書しょ、社員しゃいん証しょう、健康けんこう保険ほけん証しょう、金融きんゆう機関きかんの預金よきん通帳つうちょう又またはキャッシュカード、通学つうがく先さきの学生がくせい証しょう、学校がっこう生活せいかつで使用しようする名札なふだ、運転うんてん免許めんきょ証しょう、国家こっか資格しかくの証明しょうめい書しょ、ガス・水道すいどう・電気でんきの請求せいきゅう書しょ、固定こてい電話でんわ・携帯けいたい電話でんわの契約けいやく書しょ、アパートの契約けいやく書しょ、通称つうしょう名めいで受領じゅりょうしている郵便ゆうびん物ぶつ」などが例示れいじされており自治体じちたいによって異ことなる。登録とうろくした通つう名めいを変更へんこうできる回数かいすうや頻度ひんどについては統一とういつ的てきな法ほう規定きていがなく、各かく市町村しちょうそんでの判断はんだん事項じこうであるが、2013年ねん11月15日にち、総務そうむ省しょうは結婚けっこんや養子ようし縁組えんぐみ等とうの場合ばあいを除のぞき、原則げんそくとして通つう名めい変更へんこうを許可きょかしない旨むねの通達つうたつを出だした。

外国がいこく人じんの通つう名めいが住民じゅうみん票ひょうの記載きさい事項じこうになったことで、他たの事項じこうと同おなじく第三者だいさんしゃの閲覧えつらんが可能かのうになった（ただし、個人こじん情報じょうほう保護ほごの観点かんてんから、全すべての者ものに対たいし無制限むせいげんに閲覧えつらんが認みとめられるわけではない）。また市町村しちょうそんを越こえて自治体じちたいを転出てんしゅつ・転入てんにゅうした場合ばあいに、元もとの市町村しちょうそんが発行はっこうする「転出てんしゅつ証明しょうめい書しょ」にも氏名しめい（本名ほんみょう）のほか登録とうろくされた通つう名めいが記載きさいされているため、転出てんしゅつ・転入てんにゅうがあっても氏名しめい（本名ほんみょう）とそれに付随ふずいする通つう名めいは他た自治体じちたいへ引継ひきつがれる。

一方いっぽう、入国にゅうこくした外国がいこく人じんに発行はっこうされる在留ざいりゅうカードには、通つう名めいは（法律ほうりつ上じょうも運用うんよう上じょうも）記載きさいされないため、通つう名めいの使用しようを証明しょうめいするためには、本人ほんにんの住民じゅうみん票ひょうの写うつしや住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょうカードの提示ていじ（提出ていしゅつ）によるしかない。また、外国がいこく人じん登録とうろく制度せいどの当時とうじは、各かく市町村しちょうそんにおいて管理かんり・保管ほかんしていた外国がいこく人じん登録とうろく原票げんぴょうも、制度せいど改正かいせいと同時どうじに法務省ほうむしょうに返納へんのうすることとなったため、平成へいせい24年ねんの制度せいど改正かいせい前まえに使用しようしていた通つう名めいの証明しょうめいが必要ひつような場合ばあいは、本人ほんにんが直接ちょくせつ法務省ほうむしょうに、従前じゅうぜんの外国がいこく人じん登録とうろく原票げんぴょうの写うつしを請求せいきゅうする必要ひつようがある。

また、いわゆる特別とくべつ永住えいじゅう者しゃには、在留ざいりゅうカードに代かえて市町村しちょうそんが発行はっこうする「特別とくべつ永住えいじゅう者しゃ証明しょうめい書しょ」が交付こうふされる。この特別とくべつ永住えいじゅう者しゃ証明しょうめい書しょには通つう名めいは記載きさいされない。

なお、従前じゅうぜんの外国がいこく人じん登録とうろく証明しょうめい書しょが発行はっこうされていた外国がいこく人じんについては、移行いこう措置そちとして、当面とうめんはその外国がいこく人じん登録とうろく証明しょうめい書しょが在留ざいりゅうカードまたは特別とくべつ永住えいじゅう者しゃ証明しょうめい書しょとみなされるが、通つう名めいの変更へんこうがあってもそれには反映はんえいされない（外国がいこく人じん登録とうろく証明しょうめい書しょに記しるされたものと、住民じゅうみん票ひょうに記しるされたものが相違そういしている可能かのう性せいがある）ことに留意りゅういすべきである。

日本にっぽん国籍こくせきの者ものは通つう名めいを登録とうろくできない。しかし日本にっぽん国籍こくせきを取得しゅとくしたが改名かいめいしていない場合ばあいなど、日本にっぽん国籍こくせき者しゃでも通称つうしょう名めいを使用しようすることがある。その場合ばあい、その名称めいしょうを法律ほうりつ的てきに有効ゆうこうなものとするためには、家庭かてい裁判所さいばんしょで改名かいめいする必要ひつようがある。判例はんれいによれば「その通称つうしょう名めいで生活せいかつしている実態じったいがあること」は、改名かいめいの理由りゆうとなる。

後述こうじゅつの評価ひょうかにある通とおり、通つう名めいを使用しようして自身じしんの正体しょうたいを隠かくしたり、身分みぶんを偽いつわるといった悪用あくようを行おこなうケースがあったが、本名ほんみょうが必かならず記載きさいされるマイナンバーカードの普及ふきゅうにより、通つう名めいの悪用あくようを防ふせぐ効果こうかがある。

通つう名めい制度せいどに対たいする評価ひょうか

批判ひはん

通つう名めいの制度せいどは見直みなおすべき制度せいどであるとして、その問題もんだい点てんが批判ひはんされている。

在日ざいにち特権とっけんを許ゆるさない市民しみんの会かいは、犯罪はんざい容疑ようぎ者しゃが本名ほんみょうで報道ほうどうされないことで、在日ざいにち外国がいこく人じんが社会しゃかい的てき制裁せいさいを免まぬかれると指摘してきして、通つう名めいの存在そんざいを在日ざいにち特権とっけんであるとして批判ひはんしている。竹田たけだ恒ひさし泰やすしは、讀賣テレビ放送よみうりてれびほうそう『たかじんのそこまで言いって委員いいん会かい』への出演しゅつえん時じに、この在ざい特会とっかいの主張しゅちょうに賛同さんどうする意見いけんを述のべている。2013年ねん11月には、韓国かんこく籍せきの男おとこが6つの通つう名めいを使用しようして、携帯けいたい電話でんわなど約やく160台だいを契約けいやくし、契約けいやく後ごに転売てんばい。料金りょうきんなどの月々つきづきの支払しはらいを免まぬかれていた事件じけんが起おきている。通つう名めいを悪用あくようした犯行はんこうの組織そしき的てき犯罪はんざい処罰しょばつ法ほうでの立件りっけんは全国ぜんこく初はつの事例じれいとなる。

片山かたやまさつきは、「戦後せんご生うまれの人ひとは、通つう名めいを持もつ意味いみは少すくない。日本にっぽん名めいを名乗なのりたければ帰化きかすればいい。」と主張しゅちょうし、通つう名めい制度せいどの見直みなおしを主張しゅちょうしている。

なお、制度せいど面めんについて外国がいこく為替かわせ及および外国がいこく貿易ぼうえき法ほうに注目ちゅうもくして見みてみると、外為法がいためほう及および犯はん収おさむ法ほうに関かんする検査けんさの項目こうもくを定さだめた外国がいこく為替かわせ検査けんさマニュアルの中なかの「（別べつ添２）資産しさん凍結とうけつ等とう経済けいざい制裁せいさいに関かんする外為法がいためほう令れいの遵守じゅんしゅ状じょう況きょうに係かかるチェックリスト」では、「外国がいこく人名じんめい」が「本人ほんにん確認かくにん書類しょるいにより明あきらかに外国がいこく人じんであると判断はんだんできる氏名しめい又または名称めいしょう」という定義ていぎになっており（チェックリスト「Ⅱ．資産しさん凍結とうけつ等とう経済けいざい制裁せいさいへの対応たいおう状じょう況きょう」「２．預金よきん口座こうざの管理かんり」中ちゅうの記述きじゅつより）、これにより通つう名めい（※ここでは制度せいど上じょうの通称つうしょうあるいはそれ以外いがいの別名べつめいについても含ふくむ）を身分みぶん証明しょうめい書しょにそれのみの形かたちで記載きさいしている在日ざいにち外国がいこく人じんは、運用うんよう上じょう、「外国がいこく人名じんめい」でない名称めいしょうでの金融きんゆう機関きかん登録とうろくが行おこなえる事ことになる（なお、これにより資産しさん凍結とうけつ等とう経済けいざい制裁せいさい対象たいしょう者しゃとの照合しょうごう等とうに用もちいられる情報じょうほうシステムへの登録とうろく自体じたいを避さける事ことが可能かのうになる。）。

犯罪はんざい事件じけんの通つう名めい報道ほうどう

犯罪はんざいの被疑ひぎ者しゃが通つう名めいを使用しようしている外国がいこく籍せきの者ものであった場合ばあい、一部いちぶ報道ほうどう機関きかんは、本名ほんみょう（民族みんぞく名めい）ではなく通つう名めい（日本にっぽん名めい）で報道ほうどうすることもある。

• 2017年ねん、長野ながの県けん御代田みよた町まちで女性じょせいが面識めんしきのない無職むしょくの中国ちゅうごく籍せきの男おとこに殺害さつがいされた事件じけんでは、朝日新聞あさひしんぶんは、犯人はんにんの本名ほんみょうを伏ふせて通つう名めいのみの報道ほうどうを行おこなった。

批判ひはんに対たいする反論はんろん

一方いっぽう、在日本大韓民国民団ざいにっぽんだいかんみんこくみんだんは「1人ひとりの人ひとが2つも名前なまえを持もっているのは、確たしかにおかしい」としながらも、「本名ほんみょうを名乗なのることで就職しゅうしょくが難むずかしくなる」という「日本にっぽんの閉鎖へいさ性せい」を挙あげ、「通つう名めいを使つかうのはいけないというのは、問題もんだいのすり替かえ」とし、通つう名めい制度せいどに批判ひはん的てきな言説げんせつにたいして反論はんろんしている。また、通つう名めい変更へんこうの原則げんそく禁止きんしの通達つうたつを出だした総務そうむ省しょう自治じち行政ぎょうせい局きょく外国がいこく人じん住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょう室しつも、通つう名めいをすぐに廃止はいしすることについては「創はじめ氏し改名かいめいから通つう名めいが使つかわれ続つづけてきた経緯けいいがあり、現在げんざいも不動産ふどうさん登記とうきなどに使つかわれていること」「本名ほんみょうだと読よみ方かたが難むずかしい名前なまえがあること」を理由りゆうに否定ひてい的てきである。

脚注きゃくちゅう

関連かんれん項目こうもく

• 平和へいわ条約じょうやく国籍こくせき離脱りだつ者しゃ
• 外国がいこく人じん登録とうろく制度せいど - 特別とくべつ永住えいじゅう者しゃ
• 日本にっぽんの外国がいこく人じん
• 在日ざいにち韓国かんこく・朝鮮ちょうせん人じん
• 在日ざいにち特権とっけん