長ちょう徳いさお

長ちょう徳いさお（ちょうとく、（旧きゅう字体じたい：長ちょう德いさお）は、日本にっぽんの元号げんごうの一ひとつ。正せい暦こよみの後のち、長保ながほの前まえ。995年ねんから999年ねんまでの期間きかんを指さす。この時代じだいの天皇てんのうは一条天皇いちじょうてんのう。

改元かいげん

• 正せい暦こよみ6年ねん2月がつ22日にち（ユリウス暦れき995年ねん3月25日にち） 改元かいげん
• 長ちょう徳とく5年ねん1月がつ13日にち（ユリウス暦れき999年ねん2月がつ1日にち） 長保ながほに改元かいげん

出典しゅってん

揚あげ雄ゆうの『城門じょうもん校こう尉じょう箴』の「唐から虞おそれ長ちょう徳いさお、而四海しかい永ひさし懐ふところ」より。

長ちょう徳いさお期きにおきた出来事できごと

王朝おうちょう政治せいじ史上しじょう大おおきな変動へんどうがあった時期じき。改元かいげん前後ぜんこうに全国ぜんこくを席巻せっけんした疫病えきびょうが起おき、ついで中ちゅう関白かんぱく藤原ふじわら道隆みちたかの薨去こうきょとそれに伴ともなう政争せいそうがあり、程ほどなくして内大臣ないだいじん藤原伊周ふじわらのこれちか・中納言ちゅうなごん藤原隆家ふじわらのたかいえ兄弟きょうだいといった公卿くぎょうが政変せいへん（年号ねんごうに因ちなみ「長ちょう徳いさおの変へん」と称しょうされる）によって流ながされるといった騒動そうどうがあった。

• 長ちょう徳いさお元年がんねん（995年ねん）
  • 2月がつ22日にち、改元かいげんに付随ふずいして恩赦おんしゃ（重大じゅうだい犯罪はんざい者しゃを除のぞく）を行おこなう。
  • 9月、若狭わかさに来着らいちゃくした宋そう人じんを越後えちごに移うつす。
• 長ちょう徳とく2年ねん（996年ねん）
  • 3月28日にち、一条天皇いちじょうてんのうの母はは、東三条ひがしさんじょう院いん藤原ふじわら詮かい子この病臥びょうがに伴ともない、恩赦おんしゃ（重大じゅうだい犯罪はんざい者しゃを除のぞく）を行おこなう。
  • 6月14日にち、右みぎ近衛このえ大将たいしょうだった大納言だいなごんの藤原ふじわら顕あらわ光こうの邸宅ていたくに群盗ぐんとうが押おし入いり、在宅ざいたく中ちゅうだった橘内きつない成しげる（たちばなのうちなり）の息子むすこが負傷ふしょうする。
  • 11月、播磨はりま掾じょうで摂津せっつ守もりだった郎等ろうどうの高こう向むかい国明くにあきの私邸していが捜索そうさくを受うけ、財産ざいさんが差さし押おさえられる。
• 長ちょう徳とく3年ねん（997年ねん）
  • 3月25日にち、藤原ふじわら詮かい子この病臥びょうがに伴ともない、恩赦おんしゃ（重大じゅうだい犯罪はんざいを含ふくむ全すべての犯罪はんざい者しゃ）を行おこなう。
  • 6月5日にち、河内かわうち国こく若江わかえ郡ぐん（大阪おおさか府ふ八尾やお市し・東大阪ひがしおおさか市し）にて、豪族ごうぞくの美び努つとむ氏しの1人ひとりで、前ぜん淡路あわじ掾じょう（さきのあわじのじょう）だった美び務つとむ兼けん倫りん（みぬのかねとも）の家宅かたくに、同族どうぞくで太皇太后たいこうたいこう昌子しょうじ内親王ないしんのうの太皇太后たいこうたいこう宮みや職しょくの史生ふみおだった美び努つとむ真ま遠とお（みぬのさねとお）の指示しじの元もと、前まえ遠江とおとうみ介かい（さきのとおとうみのすけ）だった美び務つとむ公おおやけ忠ただし（みぬのきみただ）を首魁しゅかいとする武装ぶそう集団しゅうだんが夜討ようちをかけて殺害さつがいを目論もくろむも、「若江わかえ郡ぐん使し」であった源みなもと訪おとずれ（みなもとのたずぬ）など郎等ろうどうたちの加勢かせいもあって未遂みすいに終おわる。後日ごじつ、兼けん倫りんは都との検非違使けびいしに訴うったえ出でて、告発こくはつ状じょうは『前ぜん淡路あわじ掾じょう美び努つとむ兼けん倫りん解かい(さきのあわじのじょうみぬのかねともげ)』として『三条家本北山抄裏文書』に現存げんそんしている。
• 長ちょう徳とく4年ねん（998年ねん）
  • 2月がつ2日にち、備前びぜん国こくから難波なんば津つ（大阪おおさか湾わん）の淀川よどがわ河口かこうに向むかっていた260石積いしつみの運搬船うんぱんせん（備前びぜん国こく鹿田かつた荘そうの別当べっとう渋川しぶかわ辛からし運うんの所有しょゆう）が摂津せっつ国こく武庫むこ郡ぐんの港みなとで強風きょうふうによる高波たかなみで沈しずみかけるが、運搬船うんぱんせんを『寄より物ぶつ』と判断はんだんした現地げんちの豪族ごうぞく『秦はた押領使し』が、乗員じょういんだった秦はた米よね茂しげるの手引てびきで一方いっぽう的てきな略奪りゃくだつを行おこない、美作みさく国こくの荘園しょうえんから奈良ならの秋篠寺あきしのでらに運はこぶ予定よていだった積荷つみにの米こめ180石せきと塩しお20籠こめ、そして船体せんたいも解体かいたいされて持もち去さられ、梶取かんどり（船長せんちょう）の佐伯さえき吉永よしながも殺害さつがい未遂みすいに遭あう事件じけんが発生はっせいする。

西暦せいれきとの対照たいしょう表ひょう

※は小しょうの月つきを示しめす。

長ちょう徳いさお元年がんねん（乙未おとみ）	一いち月がつ※	二に月がつ	三さん月がつ	四よん月がつ※	五月ごがつ	六月ろくがつ※	七なな月がつ	八はち月がつ※	九きゅう月がつ	十じゅう月がつ※	十一月じゅういちがつ	十二月じゅうにがつ※
ユリウス暦れき	995/2/3	3/4	4/3	5/3	6/1	7/1	7/30	8/29	9/27	10/27	11/25	12/25
長ちょう徳とく二に年ねん（丙へい申さる）	一いち月がつ	二に月がつ※	三さん月がつ	四よん月がつ※	五月ごがつ	六月ろくがつ※	七なな月がつ	閏うるう七なな月がつ	八はち月がつ※	九きゅう月がつ	十じゅう月がつ※	十一月じゅういちがつ	十二月じゅうにがつ※
ユリウス暦れき	996/1/23	2/22	3/22	4/21	5/20	6/19	7/18	8/17	9/16	10/15	11/14	12/13	997/1/12
長ちょう徳とく三さん年ねん（丁ちょう酉とり）	一いち月がつ	二に月がつ※	三さん月がつ※	四よん月がつ	五月ごがつ※	六ろく月がつ	七なな月がつ	八はち月がつ	九きゅう月がつ※	十じゅう月がつ	十一月じゅういちがつ※	十二月じゅうにがつ
ユリウス暦れき	997/2/10	3/12	4/10	5/9	6/8	7/7	8/6	9/5	10/5	11/3	12/3	998/1/1
長ちょう徳とく四よん年ねん（戊つちのえ戌いぬ）	一いち月がつ※	二に月がつ	三さん月がつ※	四よん月がつ※	五月ごがつ	六月ろくがつ※	七なな月がつ	八はち月がつ	九きゅう月がつ※	十じゅう月がつ	十一月じゅういちがつ	十二月じゅうにがつ※
ユリウス暦れき	998/1/31	3/1	3/31	4/29	5/28	6/27	7/26	8/25	9/24	10/23	11/22	12/22
長ちょう徳とく五ご年ねん（己おのれ亥い）	一いち月がつ	二に月がつ※	三さん月がつ	閏うるう三さん月がつ※	四よん月がつ※	五月ごがつ	六月ろくがつ※	七なな月がつ	八はち月がつ※	九きゅう月がつ	十じゅう月がつ	十一月じゅういちがつ	十二月じゅうにがつ※
ユリウス暦れき	999/1/20	2/19	3/20	4/19	5/18	6/16	7/16	8/14	9/13	10/12	11/11	12/11	1000/1/10