風 の又 三郎
『
成立
1931
1931
なお、「
タイトル
しかし、
主 な登場 人物
風 の又 三郎 地元 で伝説 となっている風 の神 様 の子 。神 というよりも悪霊 に近 い存在 。作品 中 では、謎 の転校生 のあだ名 であり、直接 登場 しないものの、子供 たちの精神 世界 における主役 である。三郎 本名 高田 三郎 。北海道 から来 た、という村 に転校 してきた謎 の少年 。赤毛 の目立 つ姿 。尋常 小学校 の五 年生 だが、厚 かましい友人 に1本 しかない鉛筆 をやったり、口論 の後 、先 に謝 ったりするいさぎよさを持 っている。人 の気 を引 こうとする面 があり、意地悪 に対 して仕返 したり、口論 で言 い負 かし、手加減 を忘 れて友達 を溺 れさせたりするような少年 。鉱山 技師 の子 と説明 されるが、村 の子 達 は彼 を、風 の又 三郎 ではないかと怪 しむ。ほかの子供 たちがほぼ方言 だけで会話 しているのに対 して、三郎 は標準 語 に近 い言葉 を話 している。モリブデンの採掘 の仕事 で村 に来 たという白 服 を来 た父親 も少 しだけ登場 し、「父 の会社 から電報 があり、モリブデンの採掘 が中止 になったため三 郎 達 は村 を発 った」事 が最後 に先生 の口 から告 げられる。母親 は登場 しないが健在 であることがその際 の語 りから解 る。一郎 学校 でただ一人 の六 年生 。級長 であり、皆 から一目 置 かれている。嘉助 の従兄弟 。兄 がいる。嘉助 の、高田 三郎 が風 の又 三郎 ではないかという説 を信 じない側 であり、三郎 に好奇心 を示 している。嘉助 尋常 小学校 の五 年生 。最初 から三郎 のことを又 三 郎 だと信 じきり、「又 三郎 」と呼 ぶ。ときおり又 三郎 が人間 か否 か、認識 に戸惑 いが生 じている。耕 助 三郎 をいじめて、仕返 しを受 けた挙句 、口論 して負 けてしまう。先生 尋常 小学校 の教師 。村 の学校 の生徒 を一人 で受 け持 っている。
村 の小学校 について
あらすじ
- 9月1
日 (木曜 ):山 あいの小 さな学校 (分教場 )に変 わった姿 の転校生 高田 三郎 が現 れた。みんなは伝説 の風 の精 、風 の又 三 郎 だと思 う。 - 9月2
日 (金曜 ):彼 は学校 で少 し変 わった態度 を見 せ、みんなを緊張 させる。 - 9月4
日 (日曜 ):みんなで高原 へ遊 びに行 く。嘉助 が牧場 の柵 を開 けてしまう。逃 げた馬 を追 った嘉助 は、深 い霧 の中 で迷 って昏倒 し、幻想 の中 で三 郎 がガラスのマントを着 て空 を飛 ぶ姿 を見 る。気 づくと馬 と三郎 がすぐ近 くにいた。 - 9月6
日 (火曜 ):みんなと一緒 にヤマブドウ採 りに出 かけた三郎 はタバコ畑 の葉 をむしってみんなの非難 を浴 び(専売 局 に叱 られるという理由 )、また耕 助 と風 について言 い争 いをするが、最後 には仲直 りをする。 - 9月7
日 (水曜 ):みんなは川 へ泳 ぎに行 き、大人 の発破 漁 に遭遇 したり、専売 局 から来 たように見 えた男 から三 郎 を守 ろうとする。 - 9月8
日 (木曜 ):また川 で遊 ぶ(佐太郎 が持参 した山椒 の粉 で毒 もみを試 みるも失敗 )が、夢中 になって遊 ぶうちに天候 が急変 して不穏 な雰囲気 となる中 、雨宿 りする木 の下 でだれかが、こちらへ泳 いでくる三 郎 をはやしたて、皆 がそれに加 わる。皆 に合流 すると三 郎 は血相 を変 え、ふるえながら追及 するが、全員 とぼけて答 えない。 - 9月12
日 (月曜 ):一郎 は三郎 から聞 いた風 の歌 の夢 を見 て飛 び起 きる。折 からの台風 に一郎 と嘉助 は三郎 との別 れを予感 し、早 めに登校 する。すると案 の定 、先生 から三 郎 が前日 に転校 して学校 から去 ったことを知 らされる。
解説
その他
風 の「又 」三郎 岩手 県 や新潟 県 など複数 の地方 において、風 の神 を「風 の三郎 様 」と呼 んで祭礼 を行 う風習 がある(風 三郎 神社 も参照 )。しかし、「風 の又 三郎 」という名前 で呼 んでいるケースは報告 されておらず、「風 の三郎 」を元 に賢治 が造語 したものであると考 えられている。二 百 十 日 嘉助 の発言 に出 てくる二 百 十 日 とは立春 から数 えて210日 目 のこと。 9月1日 は、東北 では風 が荒 れて農作物 被害 を受 けることが多 いと言 われ、風 の神様 をなだめる日 としている地方 が多 い。嘉助 が転校生 を風 の又 三 郎 と言 ったのは自然 な成 り行 きであった。- モリブデンという
鉱石 について 作品 中 に出 てくるモリブデンは微弱 ながら毒性 を持 つ金属 で、当時 日本 の軍用 ヘルメット(クロムモリブデン鋼 )等 の素材 として需要 があった。また、空中 窒素 固定 の触媒 として生物 がモリブデンを利用 している事 もわかっていた。賢治 は鉱物 には博学 であったので、このような知識 を有 していたと思 われる。- さいかち
淵 花巻 市 豊沢 町 の豊沢川 に、当時 から残 っているサイカチの巨木 があり、現実 に存在 する場所 として現在 公園 に登録 されている。ただし、作中 に描 かれたような淵 は戦後 の台風 とその後 の河川 改修 によって現在 は消滅 した(最初 の映画 版 はその付近 でも撮影 を行 っている[9])。跡地 の近 くの石神 町 と[9]、豊沢川 の道地 橋 の近 くには、本 作 の前身 である「さいかち淵 」の一節 を刻 んだ「さいかち淵 の碑 」がそれぞれ建立 されている。
派生 作品
実写 映画
- 1940
年 『風 の又 三郎 』 -監督 :島 耕 二 /出演 :片山 明彦 ・中田 弘二 ・北 竜二 ・風見 章子 ・大泉 滉 ・林 寛 ・見明 凡太郎 ほか,日活 映画 . - 1957
年 『風 の又 三郎 』 -監督 :村山 新治 /出演 :左 卜 全 ・加藤 嘉 ・松山 省 次 ほか,東映 映画 . - 1989
年 『風 の又 三郎 ガラスのマント』 -監督 :伊藤 俊也 /出演 :早勢 美里 ・小林 悠 ・草刈 正雄 ・檀 ふみ・樹木 希林 ・内田 朝雄 ・岸部 一徳 ・すまけいほか,音楽 :冨田 勲 /製作 :朝日新聞社 ・東急 エージェンシー・日本ヘラルド映画 (製作 協力 :テレビ朝日 ).配給 収入 3億 円 [10]
テレビドラマ
OVA
- 1988
年 8月 20日 :宮澤 賢治 名作 アニメシリーズ「風 の又 三郞 」 -監督 :りんたろう、作画 監督 :兼 森 義則 、美術 :青木 勝志 ,声 の出演 :田中 真弓 、神 藤 一弘 ほか,ナレーター :C・W・ニコル、上映 時間 30分 、コナミ(制作 :マッドハウス)、媒体 :VHS.
劇場 アニメ
- 2016
年 『風 の又 三郎 』[11] -監督 :山田 裕 城 、作画 監督 :堀内 博之 、CGディレクター:中島 智 成 /声 の出演 :山崎 智史 、堀江 瞬 、関根 航 、諸星 すみれ、阿久津 秀寿 ほか,短編 アニメ映画 (上映 時間 30分 )、武 右 ェ門
舞台 ・戯曲
※
- 『
唐 版 風 の又 三郎 』(1974年 ) -唐 十郎 による戯曲 で、自 ら主催 する状況 劇場 で初演 された。 - 『
風 の又 三郎 』(2018年 3月 ) - CLIEの「極上 文學 」シリーズ第 12弾 として『よだかの星 』とともに上演 された[12]。演出 :キムラ真 (ナイスコンプレックス)、脚本 :神楽 澤 小 虎 (MAG.net)[12]。 - 『
賢治 島 探検 記 』(2002年 ) -演劇 集団 キャラメルボックスの公演 。宮沢 賢治 の作品 をオムニバス形式 で上演 する。 - 『
又 三郎 』(2020年 ) -石川 裕人 による戯曲 作品 [13]。
楽曲
- イーハトーヴ
交響 曲 (2012年 )-冨田 勲 作曲 ,初演 .※冨田 勲 は戦時 中 の学生 時代 、岡崎 で日活 版 の映画 「風 の叉 三 郎 」を観 て感銘 を受 けたと語 っている。 - 「
又 三郎 」(2021年 ) - ヨルシカの曲 。「現代 社会 の閉塞 感 を風 の子 に打 ち壊 してほしい」という思 いが込 められている。
その他
- 『
風 の又 三郎 』〈角川書店 あすかコミックスDX、1998年 〉ISBN 9784048529419。 -片山 愁によるコミカライズ。 朗読 紀行 にっぽんの名作 『風 の又 三郎 』(2003年 1月 24日 、NHK-BShi) -演出 :黒沢 清 /出演 :小泉 今日子 - 『ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ』(
集英社 、2005年 ) -高橋 源一郎 が賢治 の童話 作品 をモチーフに執筆 したアンソロジー。本 作 をタイトルとする作品 が収録 。
関連 文献
天 沢 退二郎 『謎 解 き・風 の又 三郎 』丸善 〈丸善 ライブラリー 33〉、1991年 12月。ISBN 4-621-05033-8。
脚注
- ^ a b c d
天 沢 退二郎 「本文 について」『宮沢 賢治 全集 7』筑摩書房 <ちくま文庫 >、1985年 、pp.589 - 594 - ^
天 沢 退二郎 「解説 」『宮沢 賢治 全集 7』筑摩書房 <ちくま文庫 >、1985年 、p.618 - ^
青空 文庫 に掲載 されている岩波 文庫 版 はそうした本文 を採用 している(ベースとなっているのは1956年 刊行 の筑摩書房 版 『宮澤 賢治 全集 』)。 - ^ 「
四 年生 」の列 にいる描写 あり(ちくま文庫 版 全集 7巻 、p.304)。また、「五 年生 と六 年生 の掃除 当番 」のときに自分 は違 うと立 ち去 る描写 もある(ちくま文庫 版 全集 7巻 、p.310)。 - ^ 「
四 年生 」の列 にいる描写 あり(ちくま文庫 版 全集 7巻 、p.304)。 - ^
嘉助 が「四 年生 」の列 にいる場面 でその後 ろにいると記 されている(ちくま文庫 版 全集 7巻 、p.304)。 - ^ 『
校本 宮澤 賢治 全集 』よりも前 に刊行 された全集 等 では「二 年生 」に改変 されていた。 - ^
宮沢 賢治 『風 の又 三郎 』(新編 )新潮社 、東京 都 〈新潮 文庫 〉、1989年 3月 1日 。ISBN 4-10-109204-4。OCLC 33829969 。[要 ページ番号 ] - ^ a b
石神 町 「さいかち淵 」碑 -花巻 ・宮沢 賢治 の会 (花巻 の賢治 碑 ) - ^ 「
邦画 フリーブッキング配 収 ベスト作品 」『キネマ旬報 』1990年 (平成 2年 )2月 下旬 号 、キネマ旬報社 、1990年 、175頁 。 - ^ “
風 の又 三郎 あにめたまご2016”. 2019年 12月3日 閲覧 。 - ^ a b “「
極上 文學 」第 12弾 上演 決定 、題材 は宮沢 賢治 「風 の又 三郎 ・よだかの星 」”. ステージナタリー. (2017年 5月 3日 ) 2017年 5月 4日 閲覧 。 - ^
仙台 ・劇 のまちトライアルシアター高校生 と創 る演劇 「又 三郎 」 -仙台 市 市民 文化 事業 団