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IEEE 1394 - Wikipedia

IEEE 1394(アイトリプルイー 1394)は、かつてAV機器ききコンピュータ接続せつぞくする端子たんしとして利用りようされていた高速こうそくシリアルバス規格きかくである。1986ねんApple提唱ていしょうしたFireWire(ファイアワイアもしくはファイヤーワイヤー)規格きかくソニーTIIBMなどと共同きょうどう1995ねんIEEE 1394-1995として標準ひょうじゅんしたもの[1]1990年代ねんだいから2000年代ねんだいごろまで利用りようされていたが、2011ねん事実じじつじょう後継こうけい規格きかくであるThunderbolt登場とうじょうし、その役割やくわりゆずった。

開発かいはつしゃ
開発かいはつねん 1986ねん
ホットプラグ 対応たいおう
ディジーチェーン 対応たいおう 最大さいだい63デバイス
外部がいぶ接続せつぞく 対応たいおう
ピンすう 4, 6, 9
許容きょよう電圧でんあつ 33 V
許容きょよう電流でんりゅう 1.5 A
データ信号しんごう
バンドいきはば 400 - 3200 Mbps
IEEE 1394端子たんしひだり:6ピン・みぎ:4ピン)

概要がいよう

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IEEE 1394は、SCSI後継こうけい意識いしきしつつ、ホットスワップにも対応たいおうしたシリアル汎用はんようバスとして設計せっけいされ、ビデオ・オーディオ分野ぶんややコンシューマストレージ接続せつぞくようとして普及ふきゅうしたほか、ビークルバスIDB-1394ほん規格きかく拡張かくちょうしたものである。同時どうじに64だい機器ききどういちネットワークじょう接続せつぞくでき、初期しょきは100 Mbps、200 Mbps、400 Mbps、のちに800 Mbpsという通信つうしん速度そくど策定さくてい普及ふきゅうした[2][3][4]最終さいしゅうてきには3200 Mbpsに拡張かくちょうされた[2][4]が、この速度そくどでの使用しようれいはごくすくない[よう出典しゅってん]

呼称こしょう

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IEEE 1394ホストコントローラのれい

1995ねん標準ひょうじゅん2002ねんまで統一とういつブランドが制定せいていされなかったため、そのあいだ同一どういつ規格きかくでありながら各社かくしゃによってことなる名称めいしょうもちいられていた。

FireWire
元々もともと規格きかく提唱ていしょうしゃApple使用しようしていた開発かいはつコードネームで、2002ねん5がつ29にち、IEEE 1394の推進すいしん団体だんたいである1394 トレードアソシエーションにより正式せいしきにIEEE 1394の統一とういつブランドとして採用さいようすることが発表はっぴょうされた。FireWireの商標しょうひょうはAppleが保有ほゆうしていたが、これを1394 トレードアソシエーションに無償むしょうライセンスするかたちっている。
i.LINK
ソニー自社じしゃデジタルビデオカメラ製品せいひんなどに搭載とうさいしたIEEE 1394端子たんし採用さいようしていた名称めいしょうで、同社どうしゃ商標しょうひょうとしている[5]。この呼称こしょうはDV端子たんしともおも家電かでん製品せいひん使つかわれる名称めいしょうとして一般いっぱんにも普及ふきゅうした。
DV端子たんし
デジタルビデオカムコーダやデジタルビデオテープレコーダ搭載とうさいされたIEEE 1394端子たんし呼称こしょうの1つであったが、電源でんげん供給きょうきゅう機能きのうたず、通信つうしんできる信号しんごう内容ないようDV規格きかく映像えいぞう音声おんせい信号しんごうのものに限定げんてい設計せっけいになっている。「i.LINK(DV)」とうともばれた。

プラグ&プレイおよびホットプラグ対応たいおうしている[6]

バスうえにホスト機器きき必要ひつようとせず、機器ききから機器ききへと接続せつぞくするだけでデータ転送てんそう可能かのうになっている。そのため、IEEE 1394対応たいおう機器ききポートを2つそなえている場合ばあいおおい。この2のポートは、片方かたがたからおくられてくるパケットはリピータとしてかなら他方たほうへそのままさい送信そうしんすることが義務ぎむづけられていた。

たとえば、パソコンで使用しようするのであればパソコンのポートからDVDドライブ、DVDのポートからHDDと、数珠繋じゅずつなぎに接続せつぞく出来できる(デイジーチェーン)。また、リピータハブをもちいてツリーじょうにネットワークをむことも可能かのうである。ツリーとデイジーチェーンを混在こんざいさせることもできるが、ネットワークがループバック形成けいせいしてしまうことのいように注意ちゅうい必要ひつようである。また、ケーブルのながさは4.5メートルまでで、機器きき接続せつぞくは63だいまでという規格きかくになっている。

IEEE 1394では様々さまざまなデータをやりりするため、IEEE 1394が規定きていするプロトコルうえスタックするプロトコルが用意よういされている。そのなかでもSBP2 (Serial Bus Protocol-2) はSCSIコマンドをやりりするためのプロトコルでSCSIで接続せつぞくできるデバイス(ATAPIイメージスキャナなど)をあつかえるようになる。

機器ききへの電源でんげん供給きょうきゅうバスパワー)に対応たいおうした6ピンコネクタと対応たいおうの4ピンコネクタが存在そんざいし、i.LINK、DV端子たんしとしてはおもに4ピンがもちいられる[5]。IEEE 1394-1995、IEEE 1394a-2000 など、いくつかのバージョンが存在そんざいするが、いずれもほぼ同等どうとう機能きのうをもつ。6ピンコネクタは、8 Vから最高さいこう33 V/1.5 Aの強力きょうりょく電源でんげん供給きょうきゅう機能きのうつが、これらの供給きょうきゅう能力のうりょくはバスじょう存在そんざいするすべての接続せつぞく機器きき能力のうりょく左右さゆうされる。

接続せつぞく方法ほうほう

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デイジーチェーン
機器ききがリピータとなり、パソコンのポートをホストに機器ききから機器ききへと直接ちょくせつ接続せつぞくする方式ほうしき最大さいだい接続せつぞく台数だいすう17(パソコンふくむ)、機器ききあいだのケーブルちょう4.5 mまで、そう延長えんちょう72 mまで接続せつぞく可能かのう
スター
パソコンのポート1つにたいし1だい機器きき接続せつぞくする方式ほうしき機器ききあいだのケーブルちょう4.5 mまで
ツリー
リピータハブをもちいて枝分えだわかれさせながら接続せつぞくする方式ほうしき途中とちゅうにデイジーチェーンやスター接続せつぞく可能かのう最大さいだい接続せつぞく台数だいすう63(パソコンふくむ)、機器ききあいだのケーブルちょう4.5 mまで、ひとつのえだたい最大さいだい17だい(パソコンふくむ)、そう延長えんちょう72 mまで接続せつぞく可能かのう

拡張かくちょう規格きかく

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IEEE 1394カード
バッファローせい
IEEE 1394a-2000
いくつかのてん改良かいりょうし、あらためて規格きかくとして策定さくていしたもの。IEEE 1394-1995とほぼおなじ。後述こうじゅつのIEEE 1394bと区別くべつするためFireWire 400ともばれる。
工業こうぎょう用途ようともちいられる場合ばあいたん.a(ドットエー)とばれることもある。
IEEE 1394b-2002
FireWire 800ともばれ、現在げんざいのところ800 Mbpsまでに対応たいおうした規格きかく。IEEE 1394aとは上位じょうい互換ごかんせいつが、端子たんし形状けいじょうがIEEE 1394aの6ピンにたいして9ピンとなっており[4]変換へんかんケーブルが必要ひつようとなる。
工業こうぎょう用途ようともちいられる場合ばあいたん.b(ドットビー)とばれることもある。
なお、IEEE 1394の普及ふきゅう促進そくしん団体だんたい1394 Trade Associationは、2008ねん2がつに3200 Mbpsまでの転送てんそう速度そくど対応たいおうする拡張かくちょう仕様しよう "FireWire S3200" を策定さくてい従来じゅうらいのFireWire800で使用しようされているケーブルやコネクタがそのまま使用しようできる。
IEEE 1394c-2006
FireWire S800Tともばれ、物理ぶつりそうとしてカテゴリー5対応たいおうしたツイストペアケーブル使用しようする規格きかく。FireWire 800と同等どうとう機能きのうをもち、転送てんそう速度そくど最大さいだいで800 Mbps。

利用りようれい

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コンピュータ

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コンピュータ周辺しゅうへん機器きき

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  • ストレージ
  • デジタルオーディオプレーヤー
    • iPod - 2001ねん発売はつばいだい1世代せだいから2005ねんだい4世代せだいまで対応たいおうとく2002ねんだい2世代せだいまではFireWire接続せつぞく専用せんようで、USB接続せつぞく対応たいおうだった。だい1・2世代せだい発売はつばい当時とうじはUSB2.0がまだ普及ふきゅうしておらず、FireWireよりもはるかに転送てんそう速度そくどおそいUSB1.1でだい容量ようりょう音楽おんがくデータをやりりするのは現実げんじつてきだったという事情じじょうがあった。
  • オーディオインターフェース
コンピュータへ音声おんせいみ、あるいは出力しゅつりょくするさい使用しようする機器ききとく高機能こうきのう製品せいひんにおいて、チャンネルのオーディオ信号しんごうひくレイテンシ入出力にゅうしゅつりょくするというシビアな要求ようきゅうから、USBに集約しゅうやくされる傾向けいこうにあるほかのPC周辺しゅうへん機器きき比較ひかくするとおおきなニーズをっている(mLAN参照さんしょう)。とう機器きき登場とうじょう当初とうしょひいでたDTMソフトウェアがほとんどMacintoshもちい(すなわちFireWireよう)であった歴史れきし経緯けいいも、ニーズ残存ざんそん無縁むえんではない。

家庭かてい電化でんか製品せいひん

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IEEE 1394ベースの接続せつぞく規格きかく

  • i.LINK - 上記じょうきのセットトップボックス・デジタルチューナー・レコーダーの端子たんし呼称こしょう一部いちぶ下記かきのDV端子たんし機能きのう包含ほうがんする。機器きき端子たんし部分ぶぶん説明せつめいしょにおいて、DV規格きかくのみ送受信そうじゅしん可能かのう端子たんしには「i.LINK(DV)」、デジタルテレビ放送ほうそうなどのMPEG-2 TS規格きかくのみ送受信そうじゅしん可能かのう端子たんしには「i.LINK(TS)」とう付記ふきがされることもある。また機器きき実装じっそうにおいて、送出そうしゅつ(OUT)専用せんようれ(IN)専用せんよう端子たんしとされている場合ばあいもある。
  • DV端子たんし - おもにビデオカメラのDV規格きかくデジタルビデオ映像えいぞう音声おんせい伝送でんそう現在げんざいでは「i.LINK(DV)」とう記述きじゅつおおい。
  • IP over IEEE 1394 - OSが対応たいおうしていればLANとおなじように使つかうことができ、さらに端末たんまつ相互そうごをデイジーチェーンで接続せつぞくすることで、ハブがなくてもネットワークをむことが可能かのう
  • SBP2 - SCSI ストレージ機器きき接続せつぞく
  • mLAN - MIDI、オーディオ
  • HAVi - 家庭かていようAV機器きき相互そうご接続せつぞく規格きかく

機器きき制御せいぎょ業務ぎょうむ用途ようと

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  • IDB-1394 - 高速こうそく車載しゃさいLAN規格きかく
  • 工業こうぎょうようCCDカメラ - 工業こうぎょうよう場合ばあい通常つうじょうのIEEE 1394コネクタとことなり、防止ぼうしのネジ機構きこういている。
  • スペースシャトル[1]
  • F-22 - 戦闘せんとう内部ないぶシステムネットワークに使用しよう
  • F-35 - 戦闘せんとう内部ないぶシステムネットワークにIEEE 1394bを採用さいよう[1][8]

問題もんだいてん

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特許とっきょ

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IEEE 1394は複数ふくすう企業きぎょうにまたがる複数ふくすう特許とっきょ技術ぎじゅつ採用さいようされており、当初とうしょ、その利用りようには個別こべつライセンスける必要ひつようがあった。一方いっぽう類似るいじ規格きかくであるUSBでは、デバイスの製造せいぞうには製造せいぞうしゃ申請しんせいこそ必要ひつようなものの、特許とっきょ使用しようりょう自体じたい無料むりょうであった。このことによりおおくの中小ちゅうしょう企業きぎょう参入さんにゅうむずかしいIEEE 1394ではなくUSBをえらんだとわれており、USBをもちいた玩具おもちゃなど幅広はばひろ製品せいひん発売はつばいされた。

このIEEE 1394にかんする複雑ふくざつ特許とっきょ問題もんだいは、はやくから特許とっきょ保有ほゆうする企業きぎょうぐんあいだでも問題もんだいされており、1999ねん5月には共同きょうどうライセンスプログラムを発表はっぴょうし、1デバイスあたり1ライセンスで25セントの特許とっきょりょう支払しはらいで解決かいけつできるようになった。 ただ、1デバイス1ライセンスであるため、1企業きぎょう1ライセンスと単純たんじゅんなUSBほどのひろがりはせていない。

衰退すいたい

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前述ぜんじゅつ特許とっきょ問題もんだい影響えいきょうでチップセットメーカであるインテルがIEEE1394のチップセットの統合とうごう消極しょうきょくてき(ただしインテルは特許とっきょ問題もんだい決着けっちゃくしたと言及げんきゅうしている)[9]だったことによって普及ふきゅうすすまなかったことや、速度そくど大幅おおはばにアップしたUSB 3.0登場とうじょうにより、IEEE1394の速度そくど上回うわまわった[10]こと、さらにApple自体じたいもインテルと共同きょうどう開発かいはつしたThunderbolt策定さくていし、MacintoshのFireWireをThunderboltにえるなど、IEEE1394を搭載とうさいしないパソコンが徐々じょじょえていき衰退すいたいしていった。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c SAE Mil-1394 For Military and Aerospace Vehicle Applications” (pdf) (英語えいご). SAE International. 2020ねん2がつ29にち閲覧えつらん
  2. ^ a b 伊藤いとう 2001, p. 289.
  3. ^ 1394の概要がいよう”. IEEE1394 とは. 有限ゆうげん会社かいしゃスペースソフト. 2020ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c IEEE1394b 解説かいせつ”. 有限ゆうげん会社かいしゃスペースソフト. 2020ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  5. ^ a b 伊藤いとう 2001, p. 288.
  6. ^ しん世代せだいバスの分類ぶんるい”. IEEE1394 とは. 有限ゆうげん会社かいしゃスペースソフト. 2020ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  7. ^ ソニー、VAIO 505しん機種きしゅにIEEE1394端子たんし搭載とうさい”. pc.watch.impress.co.jp. 2018ねん8がつ23にち閲覧えつらん
  8. ^ IEEE 1394b Playing Pivotal Role in F-35 Lightning II Joint Strike Fighter” (英語えいご). 2011ねん3がつ1にち閲覧えつらん
  9. ^ 後藤ごとうひろししげるのWeekly海外かいがいニュース”. pc.watch.impress.co.jp. 2020ねん5がつ14にち閲覧えつらん
  10. ^ IEEE1394のさい高速度こうそくどであるIEEE1394bが3200Mbps(3.2Gbps)なのにたいし、USB3.0は5Gbps。

参考さんこう文献ぶんけん 

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  • 伊藤いとう, 五郎ごろう「IEEE1394環境かんきょう現状げんじょう課題かだい」『DOS/V POWER REPORT』だい11かんだい12ごう、インプレス、2001ねん12月、288-294ぺーじ雑誌ざっしコード 06705-12。 

関連かんれん項目こうもく

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  • ユニバーサル・シリアル・バス (USB) - 競合きょうごう規格きかく
  • Thunderbolt - Appleとインテルが共同きょうどう開発かいはつした事実じじつじょう後継こうけい規格きかく。AppleはThunderboltからFireWireに変換へんかんできるアダプタを発売はつばいしている。

外部がいぶリンク

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