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「クロオオアリ」のはんあいだ差分さぶん

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#:そううすくして容器ようきかべしに内部ないぶ観察かんさつしやすくするか、使つかわずに石膏せっこう使つかった人工じんこうにせ飼育しいくする。

2007ねん8がつ19にち (日)にち 07:43時点じてんにおけるはん

クロオオアリ
分類ぶんるい
さかい:動物どうぶつさかい Animalia
もん:節足動物せっそくどうぶつもん Arthropoda
つな:昆虫こんちゅうつな Insecta
:ハチ(まく翅目) Hymenoptera
:ハチ Apocrita
うえ:スズメバチうえ Vespoidea
:アリ Formicidae
:ヤマアリ Formicinae
ぞく:オオアリぞく Camponotus
ぞく:オオアリぞく Camponotus
たね:クロオオアリ C. japonicus
学名がくめい
Camponotus japonicus Mayr, 1866
英名えいめい
-

クロオオアリくろだいありCamponotus japonicus は、ハチ・アリ・ヤマアリ・オオアリぞく分類ぶんるいされるアリ一種いっしゅ同属どうぞくムネアカオオアリならんで日本にっぽん列島れっとう分布ぶんぷするアリのなかでは最大さいだいとなる大型おおがたのアリで、南西諸島なんせいしょとう以外いがい日本にっぽんでは住宅じゅうたくなどでもよくられるさい普通ふつうしゅのひとつである。

形態けいたい

はたらきアリの体長たいちょうは7-12mmほどで、7~9mmの小型こがたはたらきアリと10~12mmで頭部とうぶ発達はったつした大型おおがたはたらきアリが、形態けいたいてき分化ぶんかしている。全身ぜんしん光沢こうたくのないくろ灰色はいいろだが、腹部ふくぶふし黒光くろびかりする。また、腹部ふくぶには褐色かっしょくびて光沢こうたくのあるみじか密生みっせいする。オオアリぞく特徴とくちょうとしてがわかたからまえちゅうむねえんゆるやかなえがく。それにたいしてヤマアリぞくのクロヤマアリではちゅうむねもん背面はいめん位置いちする部分ぶぶん胸部きょうぶがくぼみ、がわかたから胸部きょうぶえんやまとなるので、このてん容易ようい区別くべつできる。きんえんしゅ寒冷かんれい生息せいそくするカラフトクロオオアリとは、ぜんしんはらぶし後背こうはいえんがよりまるみをびていて、こうえん傾斜けいしゃはよりゆるやかであり、またまえちゅうむね背面はいめん少数しょうすう立毛たちげがあるてん区別くべつできる。

分布ぶんぷ

ほぼ日本にっぽん全国ぜんこく分布ぶんぷし、分布ぶんぷ南限なんげんトカラ列島れっとう諏訪之瀬島すわのせじまとされる。日本にっぽん以外いがいにも朝鮮半島ちょうせんはんとう中国ちゅうごくまで分布ぶんぷする。

生態せいたい

けた場所ばしょ乾燥かんそうした地面じめんこのんで営巣えいそうするので、はたけ林道りんどうなどのほか住宅じゅうたく公園こうえんなど都市としにもおお生息せいそくする。アリのなかでは大型おおがたなのもあいまって人目ひとめにつきやすく、クロヤマアリトビイロケアリトビイロシワアリなどとならんで、南西諸島なんせいしょとう以外いがい日本にっぽんでは人家じんか近辺きんぺん屋外おくがいもっと身近みぢかなアリのひとつである。はあちこちにジグザグに通路つうろすすみ、その通路つうろに1-2つずつたてきに部屋へやをつける。成熟せいじゅくしたおおきなではふかさ1~2m、はたらきアリのかずは1000個体こたいほどにたっする。

はたらきアリははるからあきまでよくられる。はたらきアリは草木くさきうわ地表ちひょう出会であった幼虫ようちゅうなどのしょう昆虫こんちゅうだいあご蟻酸ぎさんふく毒液どくえきころしてかえるほか、周囲しゅうい行動こうどう圏内けんないちている昆虫こんちゅう死骸しがいなどもあなはこびこむ。桜島さくらじま溶岩ようがん地帯ちたいにおける研究けんきゅうでは、たねのアリをかなり頻繁ひんぱんってえさとしていることがあきらかにされている。おおきな獲物えもの多数たすうはたらきアリを動員どういんして回収かいしゅう作業さぎょうおこなう。はこんだ獲物えものはそのまま貯蔵ちょぞう食料しょくりょうにするのではなく、食料しょくりょう部屋へやはこんではたらきアリがすみやかに解体かいたいし、にく部分ぶぶん甘露かんろ同様どうように嗉嚢に収納しゅうのうしてしまう。

また、アブラムシ糖分とうぶんおおふく排泄はいせつぶつ甘露かんろ)や植物しょくぶつはながいみつせんからられるみつはエネルギーげんとして重要じゅうよう食物しょくもつで、アリと共生きょうせいする性質せいしつたねコロニー保護ほごしてここから甘露かんろて、嗉嚢におさめてかえる。おおくのヤマアリ同様どうよう嗉嚢が発達はったつしていて、液状えきじょう食物しょくもつをこれにれてかえることがおおく、らえた獲物えものまるごとではなく嗉嚢に体液たいえきだけおさめてかえることもすくなくない。

生活せいかつ

5月-6月のあめったあとのよくれたかぜよわに、にちちゅうぎたころから夕方ゆうがたにかけ、から多数たすうアリとめすアリがし、「結婚けっこん飛行ひこう」をおこな交尾こうびする。これのこるかく地域ちいきで1ねん特定とくてい期間きかん(1~2週間しゅうかん程度ていど)のさらに特定とくていいくにちかに集中しゅうちゅうしており、クロヤマアリやトビイロケアリのように長期ちょうきにわたって分散ぶんさんてきおこなわれることはない。また結婚けっこん飛行ひこうすうけん範囲はんいでほぼ同調どうちょうしているともいわれている。交尾こうびおこなったのちめすは翅をとして地面じめん単独たんどくあなり、コロニーを創設そうせつする。複数ふくすうめす個体こたいによって共同きょうどうでコロニー創設そうせつおこなうことはられていない。女王じょおうアリによって最初さいしょられたあなすみやかにじられ、なかで10程度ていどたまご産卵さんらんされる。最初さいしょはたらきアリは女王じょおうアリの体内たいない栄養分えいようぶんだけをあたえられてやく1ヵ月かげつ誕生たんじょうし、そのおおきさはクロヤマアリのはたらきアリ程度ていどちいさいが、くちひらいてそとからえさはこびこみ、女王じょおう幼虫ようちゅう世話せわをするようになる。コロニーは最初さいしょ冬眠とうみんはいまえまでに、自然しぜん状態じょうたいで10~30個体こたい程度ていどにまで成長せいちょうする。成熟せいじゅくした大型おおがたコロニーにまで成長せいちょうするのに4~5ねんようし、女王じょおうアリの寿命じゅみょうである10~20ねん程度ていど存続そんぞくする。

天敵てんてき

おなじヤマアリトゲアリは、結婚けっこん飛行ひこうに翅をとした女王じょおうアリがクロオオアリやムネアカオオアリの侵入しんにゅうして女王じょおうアリをころし、一時いちじてき社会しゃかい寄生きせいおこなうことによってコロニーをげる。

飼育しいく

クロオオアリは日本にっぽんさんのアリのなかではトビイロシワアリなどとならんでの飼育しいく比較的ひかくてき容易よういしゅである。簡易かんい方法ほうほうでは、水槽すいそうなどに清潔せいけつすな適当てきとうりょうれてどういちコロニーの個体こたいれ、せないようなぶたをしてつくらせ、エネルギーげんとして砂糖さとうすいなどをあたえればよい。ただし、長期ちょうきにわたり飼育しいく観察かんさつをすることが目的もくてきである場合ばあい以下いかのような工夫くふう必要ひつようである。

  1. 外部がいぶから観察かんさつ容易ようい飼育しいく装置そうち作成さくせいすることでなかのアリの状態じょうたいをきめこまかく把握はあくできるようにする。
  2. 飼育しいく装置そうちない湿度しつどとう管理かんり清掃せいそう容易ようい飼育しいく装置そうち工夫くふうする。
    飼育しいく装置そうちなか乾燥かんそうしすぎるとアリが脱水だっすいによって死滅しめつする。しかし湿しめになると不潔ふけつになりやすいし、水没すいぼつするなどもってのほかである。たとえばせんこう石膏せっこうにせ石膏せっこう部分ぶぶん水分すいぶんあたえることで容易ようい飼育しいく装置そうちない湿度しつど適切てきせつなレベルにたもつことができ、管理かんりがしやすい。ってつくらせたい場合ばあいには、鹿児島大学かごしまだいがく理学部りがくぶ山根やまね正気しょうき研究けんきゅうしつ考案こうあんされた改良かいりょうジャネーほう飼育しいく装置そうちのように、石膏せっこう併用へいようし、石膏せっこうそうつうじて間接かんせつてき水分すいぶん調節ちょうせつするのもひとつの方法ほうほうである。清掃せいそうかんしては、飼育しいく装置そうち部分ぶぶんえさじょう分離ぶんりして、えさじょう頻繁ひんぱん清掃せいそうするとよい。部分ぶぶんよごれが蓄積ちくせきした場合ばあいには、コロニー全体ぜんたい引越ひっこしも必要ひつようとなる。
  3. かなら女王じょおうアリを確保かくほしたコロニーを飼育しいくする。
    はたらきアリの寿命じゅみょうはせいぜい1~2ねんであり、10ねんえる女王じょおうアリの、ひいてはコロニー全体ぜんたい潜在せんざいてき寿命じゅみょうくらべていちじるしくみじかい。女王じょおうアリをくコロニーは、はたらきアリの寿命じゅみょうきた段階だんかいすみやかに消失しょうしつすることとなる。女王じょおうアリの確保かくほのためには、野外やがい丁寧ていねい発掘はっくつして、女王じょおうアリごとコロニーを採集さいしゅうする、あるいは結婚けっこん飛行ひこう直後ちょくごに、あな場所ばしょさがしつつ地面じめん徘徊はいかいしている交尾こうびだつ翅雌を採集さいしゅうして、初期しょきコロニーからそだげる、という方法ほうほうがある。
  4. えさ種類しゅるいりょう適切てきせつ管理かんりする。
    成虫せいちゅう活動かつどうのためには糖分とうぶんがあればよいが、幼虫ようちゅう成長せいちょうする、あるいは女王じょおうアリが産卵さんらんするためにはタンパク質たんぱくしつ必要ひつようとなる。アリの飼育しいくたってはこの両者りょうしゃをバランスよくあたえることが重要じゅうようである。糖分とうぶんかんしては砂糖さとうすい蜂蜜はちみつがよく使つかわれてきたが、安価あんか蜂蜜はちみつでは、添加てんかぶつなどのためかあたえても摂食せっしょくしないという証言しょうげんえてきている。そのため、21世紀せいきになってから日本にっぽんでは趣味しゅみでアリを飼育しいくするものえてきているが、かれらのあいだではメイプルシロップをうすめたものをあたえるのが普通ふつうになってきている。タンパクげんとしては、クロオオアリは比較的ひかくてきえさ種類しゅるいにうるさくなく、けずぶしであってもはこぶが、カやハエなど新鮮しんせん昆虫こんちゅう死体したい解凍かいとうした冷凍れいとうあかちゅうなどがてきしている。小型こがた幼虫ようちゅうのようなきた獲物えものあたえれば、りをする姿すがた観察かんさつすることもできる。両者りょうしゃねるえさとして、クワガタムシ飼育しいくよう開発かいはつされた、こうタンパクがたのゼリーじょう人工じんこう飼料しりょうにも、クロオオアリの飼育しいくてきしたものがある。

適切てきせつ管理かんりができれば、コロニー創設そうせつからすうねん以上いじょう可能かのうせいとしては女王じょおうアリの寿命じゅみょうである10~20ねんにわたり飼育しいく観察かんさつ可能かのうである。


外部がいぶリンク

  1. そううすくして容器ようきかべしに内部ないぶ観察かんさつしやすくするか、使つかわずに石膏せっこう使つかった人工じんこうにせ飼育しいくする。