浮うわき飛車ひしゃ

浮うわき飛車ひしゃ（うきびしゃ、英えい：Floating Rook）将棋しょうぎのオープニングの指さし方かたである。

相あい掛かかりでは先手せんてが飛車ひしゃ先さきを交換こうかんし、後手ごてから8筋すじ飛車ひしゃ先さきを保護ほごすることを目指めざして▲2六ろく飛ひと後退こうたいしておく。その後ご6筋すじの歩ふを突つくなどで、攻撃こうげき態勢たいせいを整ととのえる。

浮うわきと翻訳ほんやくされた用語ようごは、吊つりや垂下すいか片へんといった用語ようごと同義どうぎであるが、ウェスタンチェスで手段しゅだん別べつの部分ぶぶんによって守まもられていない部分ぶぶんをフローティングと呼よぶ。

この位置いちからの戦術せんじゅつが多数たすうある。

相あい掛かかりの例れい

6. ▲2六ろく飛ひ。先手せんてが浮うき飛車ひしゃに構かまえている。

6. ... △7二に銀ぎんまたは6 .... △6二に銀ぎん。後手ごてには、右みぎ銀ぎんに関かんして2つのオプションがある。7二ふたまたは6二にのいずれかに進すすむことが可能かのう 。7筋すじ（△7二に銀ぎん）オプションが一般いっぱん的てきで、相あい掛かかりの標準ひょうじゅん的てきな動うごきになるが、6二には勝又かつまた清和きよかずは旧式きゅうしきとしている 。

6. ... △7二に銀ぎん。銀ぎんを7筋すじに移動いどうすると、後手ごては次つぎの展開てんかいが可能かのうとなる。

（i）8筋すじを直接ちょくせつ進すすむ、より高速こうそくの棒ぼう銀ぎんを繰くり出だす

（ii）玉たまが（必要ひつように応おうじて）△6二に玉たま –△7一いち玉たまと通かよって脱出だっしゅつするための経路けいろが維持いじされる

（iii）銀ぎんは、後手ごての飛車ひしゃが8筋すじから移動いどうした場合ばあいに、8三さんの先手せんての垂たらしまたは8四よんの控ひかえての歩ふの垂たらしから8三さん地点ちてんを保護ほごすることができる

（iv）塚田つかだスペシャルタイプの攻撃こうげきで先手せんての飛車ひしゃで銀ぎんを捕とられるのを防ふせぐ（代かわりに6二にに移動いどうした場合ばあい）

しかし、これは銀ぎんで5三さんを防御ぼうぎょし、その地点ちてんを経由けいゆして5筋すじに移動いどうすることはあきらめている。

6. ... △6二に銀ぎん。銀ぎんを6二にに移動いどうすると、後手ごてには次つぎの可能かのう性せいがある。

（i）5三さん地点ちてんの利ききで歩ふをすぐに保護ほご

（ii）最終さいしゅう的てきに銀ぎんを5三さんに移動いどうする

ただし、6二にの銀ぎんと6一いちの金かねは、攻撃こうげきを受うけた場合ばあいに王おうが後手ごての陣じんの右側みぎがわに向むかって逃にげるのを妨さまたげる壁かべになる可能かのう性せいがある。この場合ばあい後手ごては歩ふを銀ぎんの邪魔じゃまにならないように移動いどうする必要ひつようがあるため、攻撃こうげき参加さんかは7二に銀ぎんからの棒ぼう銀ぎんより遅おそい斜ななめ棒ぼう銀ぎん戦せん（千鳥ちどり銀ぎん）になるが、それであっても棒ぼう銀ぎん戦略せんりゃくを試こころみることができる。

どちらの動うごきも、5四よんの銀ぎんの腰掛こしかけポジショニングは可能かのうにしている。

2六ろくに移動いどうの後のち、浮うわき飛車ひしゃ型がたの相あい掛かかりはいくつかの異ことなるサブ戦術せんじゅつに分岐ぶんき。これについては以下いかで詳くわしく解説かいせつ。

鎖鎌くさりがま銀ぎん

詳細しょうさいは「鎖鎌くさりがま銀ぎん」を参照さんしょう

腰掛こしかけ銀ぎん

両者りょうしゃが、または一方いっぽうが腰掛こしかけ銀ぎんまたは歩ふ越こし銀ぎんを指さすには、先手せんては右みぎ銀ぎんを4七ななから5六ろくに進すすめ、後手ごては銀ぎんを5四よんから6三さんに進すすめる必要ひつようがある 歩ふが銀ぎんの退路たいろをブロックしているため、最初さいしょに歩ふを動うごかす必要ひつようはある。後手ごては通常つうじょう、4筋すじでの先手せんての歩ふ突とっきよりも早はやく（6筋すじで）この歩ふ突とっきを行おこなう。

13.13... △3四よん歩ほ。後手ごては角かく道どうを開ひらくことで角かくをアクティビティを確保かくほする。銀ぎんと端歩はしふを動うごかす前まえに、角かく道どうを開ひらくのがより早はやく行おこなわれた可能かのう性せいがある。

中原なかはら流りゅう＋浮うわき飛車ひしゃ

詳細しょうさいは「中原なかはら流りゅう相しょう掛かかり」を参照さんしょう

中原なかはら流ながれ相しょう掛かかり（Nakahara Double Wing Attack）は、4筋すじよりも3筋すじの歩ふを突ついて攻撃こうげき態勢たいせいをとる。

早はやくの▲3六ろく歩ほにより、3七ななの地点ちてんに、銀ぎんまたは桂かつらのどちらかが移動いどうできるスペースができる。

後手ごては角かくを活性かっせい化かすることによって応おうじる。

これらの戦略せんりゃくは中原なかはら誠まことにちなんで名付なづけられた。

中原なかはら流りゅう3七なな銀ぎん

中原なかはら流りゅうの3七なな銀ぎん型がた戦法せんぽうは、3筋すじに進すすめられた銀ぎんから攻撃こうげき開始かいしされる。

後手ごても同様どうように銀ぎんを進すすめると、次つぎに先手せんては3筋すじへの攻撃こうげきを目指めざす。

中原なかはら流りゅう-3七なな桂かつら攻撃こうげき

中原なかはら流りゅうの3七なな桂かつら作戦さくせんは、銀ぎんではなく桂馬けいまを3七ななに移動いどうさせる。

塚田つかだスペシャル

詳細しょうさいは「塚田つかだスペシャル」を参照さんしょう

塚田つかだスペシャル（Tsukada Special ）は、塚田つかだ泰明やすあきが開発かいはつした相あい掛かかりの浮うわき飛車ひしゃ戦法せんぽう。

縦たて歩ふ取とり

タテ歩ふ取とりまたは縦たて歩ふ取とり（Rook on Pawn）は、浮うわき飛車ひしゃ型がた相しょう掛かかりでのサブクラスであり、浮うわき飛車ひしゃ側がわは、3四よんの地点ちてんで角かく道どうを開ひらくために開あけた際さいの相手あいての歩ふを取とることを目的もくてきとして、飛車ひしゃを3筋すじに移動いどう 。ここからひねり飛車ひしゃなどに変化へんかしていく。

関連かんれん項目こうもく

• 高飛車たかびしゃ
• 引びき飛車ひしゃ
• 石田いしだ流りゅう
• 英えい春はる流りゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• Aono, Teruichi Fairbairn訳やく (2009) [1983]. Better moves for better shogi (2nd ed.). Ishi Press. ISBN 978-4-87187-999-6 
• Aono, Teruichi Fairbairn訳やく (1983). Guide to shogi openings: Unlock the secrets of joseki. 山海さんかい堂どう. ISBN 4-381-00598-8 
• Fairbairn, John (1986). Shogi for beginners (2nd ed.). Ishi Press. ISBN 978-4-8718-720-10 
• Hosking, Tony (1996). The art of shogi. The Shogi Foundation. ISBN 978-0-95310-890-9 
• Kitao, Madoka Kawasaki訳やく (2011). Joseki at a glance. Nekomado. ISBN 978-4-9052-2501-0 
• “kieta senpō no nazo”. Shogi.Net. Mainichi Communications Co. (1995年ねん). · Partial translation of 消きえた戦法せんぽうの謎なぞ kieta senpō no nazo by Kiyokazu Katsumata.

外部がいぶリンク

• 将棋しょうぎ小屋こや：
  • 相あい掛かかりの基本きほん
  • 腰掛こしかけ銀ぎん
  • 鎖鎌くさりがま銀ぎん
• 山やま純じゅんの将棋しょうぎの基本きほんオープニング：相あい掛かかり
• 将棋しょうぎ迷路めいろ：
  • 相あい掛かかり：1手て目めで前衛ぜんえいの位置いちを取とる
  • 相あい掛かかり：16手て目めの動うごきでの後手ごてのオプション