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おうし座ざ17番ばん星ほし

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
おうし座ざ17番ばん星ほし[1]
Electra; 17 Tauri[2][3]
プレアデス星団での位置
プレアデス星団せいだんでの位置いち
仮かり符号ふごう・別名べつめい エレクトラ[4]
星座せいざ おうし座ざ
見みかけの等級とうきゅう (mv) 3.70[1]
分類ぶんるい Be星ほし[1]
位置いち
元もと期き:J2000.0[1]
赤あか経けい (RA, αあるふぁ)  03h 44m 52.5345407992s[1]
赤あか緯ぬき (Dec, δでるた) +24° 06′ 48.081677801″[1]
赤あか方偏かたへん移うつり 0.000022[1]
視線しせん速度そくど (Rv) 6.70 km/s[1]
固有こゆう運動うんどう (μみゅー) 赤あか経けい: 22.670 ミリ秒びょう/年とし[1]
赤あか緯ぬき: -50.383 ミリ秒びょう/年とし[1]
年とし周しゅう視差しさ (πぱい) 8.7041 ± 0.5245ミリ秒びょう[1]
（誤差ごさ6%）
距離きょり 370 ± 20 光年こうねん[注ちゅう 1]
（115 ± 7 パーセク[注ちゅう 1]）
絶対ぜったい等級とうきゅう (MV) -1.6[注ちゅう 2]
プレアデス星団の構成
プレアデス星団せいだんの構成こうせい
物理ぶつり的てき性質せいしつ
半径はんけい 6 R☉[5]
質量しつりょう 5 M☉[5]
表面ひょうめん重力じゅうりょく 3.412 ± 0.047[6]
自転じてん速度そくど 181 km/s[6]
スペクトル分類ぶんるい B6IIIe [1]
光度こうど 1,225 L☉[5]
表面ひょうめん温度おんど 13,484 ± 293 K[6]
色いろ指数しすう (B-V) -0.11[7]
色いろ指数しすう (U-B) -0.40[7]
色いろ指数しすう (R-I) -0.10[7]
年齢ねんれい 1.15 × 108 年とし[8]
他たのカタログでの名称めいしょう
BD +23 507[1]
FK5 136[1], HD 23302[1]
HIP 17499[1], HR 1142[1]
SAO 76131[1]
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おうし座ざ17番ばん星ほし(17 Tauri)は、おうし座ざの恒星こうせいでプレアデス星団せいだんに属ぞくする、青色あおいろ巨星きょせいである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

プレアデス星団せいだんの輝てる星ぼしの中なかでも明あかるいものの一ひとつ。この星ほしは、月つきにより周期しゅうき的てきに掩蔽えんぺいされ、また太陽系たいようけいの他ほかの惑星わくせいによっても掩蔽えんぺいされることがある。直近ちょっきんの惑星わくせいによる掩蔽えんぺいは、1841年ねん5月がつ9日にちに起おきた金星かなぼしによるものである。

この恒星こうせいの射影しゃえい自転じてん速度そくどは181km/sと高速こうそくで自転じてんしている[6]。これは、恒星こうせいから地球ちきゅうの視線しせんに沿そった自転じてん速度そくどの赤道せきどう方向ほうこうの成分せいぶんである。恒星こうせいの推定すいてい軌道きどう傾斜けいしゃ角かくは46.8° ± 1.6であり、真しんの赤道せきどう自転じてん速度そくどは320 ± 18 km/sと推定すいていされる[6]。高速こうそくの自転じてんのため、極ごく付近ふきんは平ひらたくなり、赤道せきどうは膨張ぼうちょうしている。そのため、この恒星こうせいの表面ひょうめん重力じゅうりょくは一様いちようではなく、温度おんどの多様たよう性せいを生うみ出だしている。緯度いどによって放射ほうしゃ量りょうが変かわり、この効果こうかは、重力じゅうりょく減げん光こうとして知しられている。高速こうそくの自転じてんは、核かくの密度みつどを増まし、放射ほうしゃ量りょうを減へらすことによって、恒星こうせいの寿命じゅみょうを伸のばしている[6]。

スペクトル線せん中なかに水素すいその明あかるい放出ほうしゅつ線せんを持もつB型かた星ぼしであるBe星ほしに分類ぶんるいされる[9]。Be星ぼしは、通常つうじょうのB型かた星ぼしよりも自転じてん速度そくどが1.5倍ばいから2倍ばい速はやいため、小ちいさなプロミネンスでも質量しつりょうが失うしなわれる[10]。視線しせん速度そくどの測定そくてい値ちの変化へんかは、この恒星こうせいが伴とも星ぼしを伴ともなっており、分光ぶんこう連れん星ぼしを形成けいせいしていることを示唆しさしている[11][12]。

赤外線せきがいせんによる観測かんそくで、約やく0.5等級とうきゅうに相当そうとうする赤あか外がい超過ちょうかが観測かんそくされた。この放出ほうしゅつはおそらく、放射ほうしゃによる質量しつりょう喪失そうしつと恒星こうせいの高速こうそく自転じてんとによって形成けいせいされたガスの円盤えんばんに由来ゆらいするものである。およそ10年ねん毎ごとに放出ほうしゅつされ、恒星こうせいの赤道せきどう面めんに定着ていちゃくする物質ぶっしつによって、この円盤えんばんは形成けいせいされる。しかし、恒星こうせいを取とり巻まく明あかるい星雲せいうん状じょうの物質ぶっしつが観測かんそくを不確ふたしかなものとしている[13]。

名称めいしょう[編集へんしゅう]

「エーレクトラー」も参照さんしょう

固有こゆう名めいのエレクトラ[4] (Electra[2][3]) は、ギリシャ神話しんわに登場とうじょうするプレイアデスの一人ひとり、エーレクトラーの名前なまえに因ちなんでいる[2]。2016年ねん8月がつ21日にち、国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうの恒星こうせいの固有こゆう名めいに関かんするワーキンググループは、Electra をおうし座ざ17番ばん星ぼしの固有こゆう名めいとして正式せいしきに承認しょうにんした[3]。

ウィキメディア・コモンズには、おうし座ざ17番ばん星ほしに関連かんれんするカテゴリがあります。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年とし周しゅう視差しさ（秒びょう）より計算けいさん、光年こうねんは1÷年とし周しゅう視差しさ（秒びょう）×3.2615638より計算けいさん
  2. ^ 視み等級とうきゅう + 5 + 5×log（年とし周しゅう視差しさ（秒びょう））より計算けいさん。小数しょうすう第だい1位いまで表記ひょうき

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r “Results for 17 Tau”. SIMBAD Astronomical Database. 2018年ねん9月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  2. ^ a b c Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern star Names: A Short Guide to 254 Star Names and Their Derivations. Sky Publishing. p. 55. ISBN 978-1-931559-44-7 
  3. ^ a b c “IAU Catalog of Star Names”. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう. 2016年ねん12月17日にち閲覧えつらん。
  4. ^ a b 原はら恵めぐみ『星座せいざの神話しんわ - 星座せいざ史しと星名ほしなの意味いみ』（新装しんそう改訂かいてい版ばん第だい4刷さつ）恒星こうせい社しゃ厚生こうせい閣かく、2007年ねん2月がつ28日にち、222頁ぺーじ。ISBN 978-4-7699-0825-8。 
  5. ^ a b c Kaler, J. B.. “Electra”. STARS. University of Illinois. 2016年ねん12月17日にち閲覧えつらん。
  6. ^ a b c d e f Frémat, Y. et al. (2005-9). “Effects of gravitational darkening on the determination of fundamental parameters in fast-rotating B-type stars”. Astronomy & Astrophysics 440 (1): 305-320. arXiv:astro-ph/0503381. Bibcode: 2005A&A...440..305F. doi:10.1051/0004-6361:20042229. ISSN 0004-6361. 
  7. ^ a b c Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11). “Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”. VizieR On-line Data Catalog: V/50. Bibcode: 1995yCat.5050....0H. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ5a76628e9487&-out.add=.&-source=V/50/catalog&recno=1142. 
  8. ^ Basri, Gibor et al. (1996-2). “Lithium in Brown Dwarf Candidates: The Mass and Age of the Faintest Pleiades Stars”. The Astrophysical Journal 458: 600-609. Bibcode: 1996ApJ...458..600B. doi:10.1086/176842. ISSN 0004-637X. 
  9. ^ Grady, C. A. et al. (1989-4). “Highly ionized stellar winds in Be stars. II - Winds in B6-B9.5e stars”. The Astrophysical Journal 339: 403-419. Bibcode: 1989ApJ...339..403G. doi:10.1086/167306. ISSN 0004-637X. 
  10. ^ Zorec, J. et al. (2005-10). “On the evolutionary status of Be stars”. Astronomy & Astrophysics 441 (1): 235-248. arXiv:astro-ph/0509119. Bibcode: 2005A&A...441..235Z. doi:10.1051/0004-6361:20053051. ISSN 0004-6361. 
  11. ^ Abt, Helmut A. et al. (1965-11). “The Frequency of Spectroscopic Binaries in the Pleiades.”. The Astrophysical Journal 142: 1604-1615. Bibcode: 1965ApJ...142.1604A. doi:10.1086/148440. ISSN 0004-637X. 
  12. ^ Pearce, J. A.; Hill, Graham (1971). “Four Suspected Spectroscopic Binaries in the Pleiades”. Publications of the Astronomical Society of the Pacific 83: 493-495. Bibcode: 1971PASP...83..493P. doi:10.1086/129161. ISSN 0004-6280. 
  13. ^ Gorlova, Nadya et al. (2006-10). “Spitzer24 μみゅーm Survey of Debris Disks in the Pleiades”. The Astrophysical Journal 649 (2): 1028-1042. arXiv:astro-ph/0606039. Bibcode: 2006ApJ...649.1028G. doi:10.1086/506373. ISSN 0004-637X. 
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