演芸えんげい

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演芸えんげい（えんげい）は、観衆かんしゅうを前まえにして演えんじる芸能げいのう。大衆たいしゅう芸能げいのうとも呼よばれる。個々ここの演芸えんげいの起源きげんは様々さまざまだが、江戸えど時代じだい中期ちゅうきに寄席よせと呼よばれる演芸えんげいのための常設じょうせつの興行こうぎょう場じょうが成立せいりつし、以降いこう、演芸えんげいは体系たいけい化かされていった。

歴史れきし[ソースを編集へんしゅう]

古ふるくから（例れい：奈良なら時代じだいの散楽さるがく）、後のちに「演芸えんげい」と呼よばれる演目えんもくと「伝統でんとう芸能げいのう」と見みなされる演目えんもくの境目さかいめはあいまいであった。明治めいじから大正たいしょう期きにかけても「演芸えんげい」という言葉ことばには揺ゆれが見みられ、雑誌ざっし「演芸えんげい画が報ほう」や「新しん演芸えんげい」のように演芸えんげいを銘打めいうち、内容ないようは演劇えんげきということもあった。「演芸えんげい」という言葉ことばがある程度ていど定義ていぎづけられるのは、興行こうぎょう関係かんけい一切いっさいを取とり締しまりしていた警察けいさつによってである。

一般いっぱん的てきな傾向けいこうとして、徐々じょじょに人気にんきにかげりが見みえ、大衆たいしゅう芸能げいのうの座ざを離はなれると、伝統でんとう芸能げいのうと呼よばれたり（義太夫ぎだゆう、新内しんない）、また民俗みんぞく芸能げいのうと呼よばれるように（八木やぎ節たかし、河内かわうち音頭おんど、安来やすぎ節ぶし）近ちかづいていく[注釈ちゅうしゃく 1]。

種類しゅるい[ソースを編集へんしゅう]

演芸えんげいの種類しゅるいには以下いかのようなものがある。これらの中なかには現在げんざい伝統でんとう芸能げいのうとみなされているものも数多かずおおくある。それぞれ言葉ことばが指さす領域りょういきは重かさなる部分ぶぶんも多おおく、その点てんに注意ちゅういが必要ひつようである。

演者えんじゃについて[ソースを編集へんしゅう]

演芸えんげいを演えんじる者ものの全般ぜんぱん的てき呼称こしょうとしては、演芸えんげい家かまたは芸人げいにんがある。このうち、観客かんきゃくに笑わらいを起おこす芸げいを専せん門もんに扱あつかう芸人げいにんをお笑わらい芸人げいにんと言いう場合ばあいがあるが、この呼称こしょうは芸人げいにん当人とうにんによる謙遜けんそんの意味合いみあいや芸域げいいきを細こまかく限定げんていしまいとする精神せいしんなども含ふくまれていた。つまり本来ほんらいは、第三者だいさんしゃが使つかうべき言葉ことばではないとも言いえる。しかし現在げんざいでは、芸人げいにんに対たいして親したしみの情じょうを込こめる意味合いみあいや、芸人げいにんかつテレビタレントであること、落語らくご・漫才まんざい・漫談まんだん・コントのボーダーレス化かの反映はんえいなどを意味いみしてお笑わらい芸人げいにんとの呼よび名なを使つかう場合ばあいなども起おきている。

演芸えんげいの多おおくは師匠ししょうから弟子でしに芸げいを引ひき継ついでいく形態けいたいを取とり、その芸げい脈みゃくを保たもっている。しかし近年きんねんでは、テレビ局きょくや芸能げいのう事務所じむしょなどの主催しゅさいする演芸えんげいコンテストや、俳優はいゆう・声優せいゆう・歌手かしゅなどの異い業種ぎょうしゅから、師匠ししょうを持もたずに演芸えんげいの世界せかいに進出しんしゅつする者ものも数多かずおおく現あらわれてきている。この現象げんしょうは、演芸えんげいの新あらたな観客かんきゃく層そうの開拓かいたくにもなっているが、一方いっぽうで伝統でんとう的てきな芸能げいのうの衰微すいびを危惧きぐする声こえもある。

演芸えんげいの行おこなわれる場所ばしょ[ソースを編集へんしゅう]

江戸えど時代じだい初期しょきの演芸えんげいは屋外おくがいで行おこなわれた。江戸えど中期ちゅうきからは公許こうきょの演芸えんげい場じょうでも行おこなわれるようになり、演芸えんげいの発信はっしん地ちとして機能きのうしていった。また幕末ばくまつから明治めいじ初期しょきまで大都市だいとしの盛さかり場ばに存在そんざいしたヒラキは、講談こうだん・浪曲ろうきょくを始はじめとした後のちの多おおくの演芸えんげいが寄席よせに進出しんしゅつする足あしがかりになる。

明治めいじ時代じだい、日本にっぽんでのレコード普及ふきゅう期きから、演芸えんげいを吹ふき込こんだものが発売はつばいされていた。浪花節なにわぶしは特とくにレコードの全国ぜんこく的てき普及ふきゅうに貢献こうけんするほど売うれた。雲右衛門くもえもんや奈良丸ならまるが全国ぜんこく的てきな人気にんきを博はくしたのは、レコードというメディアの登場とうじょうが大おおきい。ラジオの登場とうじょうで、浪花節なにわぶし、スタイルの確立かくりつして間あいだもない漫才まんざいなど、大衆たいしゅうが演芸えんげいを楽たのしむ場ばになっていった。第だい二に次じ大戦たいせん後ご、ラジオやテレビなどのマスメディアによる演芸えんげい番組ばんぐみがもてはやされるようになっていった。また、専属せんぞくの演芸えんげい家かを抱かかえる放送ほうそう局きょくが増ふえていった。と同時どうじに、寄席よせなどの演芸えんげい場じょうは徐々じょじょに減少げんしょうしていった。

寄席よせの減少げんしょうにはテレビの影響えいきょうがあったことは間違まちがいないが、演芸えんげい家かにとって収入しゅうにゅうを得える場ばと観客かんきゃくの質しつが変化へんかしただけだという意見いけんもある。またテレビは、演芸えんげいの持もつ大衆たいしゅう性せい、即時そくじ性せい、即興そっきょう性せい、演出えんしゅつ手法しゅほうなどを取とり入いれつつ発達はったつしていった経緯けいいもあり、演芸えんげいの概念がいねんがマスメディアに拡大かくだいされたという意見いけんもある。その論拠ろんきょとしては、テレビのバラエティ番組ばんぐみ、クイズ番組ばんぐみは観客かんきゃくをスタジオに招まねく形態けいたいのものがほとんどであり、観客かんきゃくの反応はんのうをも含ふくめて放送ほうそうすることで、演芸えんげいの形態けいたいを保たもっているということ、そういった番組ばんぐみでは出演しゅつえん者しゃとして実際じっさいに芸人げいにんを起用きようする場合ばあいが多おおいことなどが挙あげられる。

とはいえ、観衆かんしゅうとして演芸えんげいを楽たのしむ実演じつえんの場ばとしては、寄席よせなど、直じかにその芸げいに接せっすることのできる場所ばしょに勝まさるものはない、と言いう意見いけんは根強ねづよく、また説得せっとく力りょくも持もっている。現代げんだいではライブ感覚かんかくで演芸えんげいを行おこなう場ばが新設しんせつされたり、演劇えんげき用ようの劇場げきじょうやライブハウスなどで、演芸えんげい興行こうぎょうする事例じれい（お笑わらいライブと呼よばれる）も増ふえ、演芸えんげいの新あたらしい潮流ちょうりゅうになっている。

関連かんれん項目こうもく[ソースを編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[ソースを編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく[ソースを編集へんしゅう]

  1. ^ 演芸えんげい情報じょうほうを扱あつかう『東京とうきょうかわら版ばん』の通巻つうかん1号ごうには、寄席よせ芸げいの1ジャンルとして、新内しんないのコーナーがある
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