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アルミかん

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アルミ缶のリサイクルマーク(日本、リサイクル法による) 同左(欧米)
アルミかんのリサイクルマーク(日本にっぽんリサイクルほうによる)
同左どうさ欧米おうべい
ステイ・オン・タブのいんこう

アルミかん(アルミかん)はアルミニウムアルミニウム合金ごうきんおも材料ざいりょうとして製造せいぞうされたかんである。おもサイダービールなどの炭酸たんさん飲料いんりょう容器ようきとしてもちいられ、一般いっぱんてきなアルミかん業界ぎょうかい用語ようごでは「DIかん」とばれるものである。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

アルミニウムは軽量けいりょうねつ伝導でんどうりつたかく、空気くうきちゅうでは酸化さんか皮膜ひまくつくりさびにくいため、製造せいぞうしゃにも消費しょうひしゃにもメリットがある。使用しようのアルミかん軽量けいりょうであり容易よういつぶせるため、廃棄はいき収集しゅうしゅう運搬うんぱんするじょうスチールかんよりらくである。ただしさんにはよわいので食品しょくひんようなどでは表面ひょうめんコーティングがほどこされる。

アルカリにもおかされやすく、水素すいそ発生はっせいさせる。日本にっぽんではアルカリけい洗剤せんざいぶたきのアルミニウムかん後述こうじゅつのボトルかん)にれてはこび、混雑こんざつした電車でんしゃないなどでかん爆発ばくはつして洗剤せんざい飛散ひさんし、周囲しゅういひと負傷ふしょうさせる事故じこがたびたびきていることから消防しょうぼう注意ちゅういけている[1][2]。この場合ばあい飲料いんりょう水分すいぶんはいっていたため反応はんのう促進そくしんされたとかんがえられている。

また、ゴミとなったのち電磁石でんじしゃくでスチールかん分別ふんべつすることが容易よういであることからまたた普及ふきゅうした。のアルミ製品せいひん同様どうようサッシ鉄道てつどう車輌しゃりょう自動車じどうしゃ部品ぶひんなどにリサイクルしやすいこともあり、使用しようりょう増加ぞうかしている。

21世紀せいきはいりアルミかん成形せいけい技術ぎじゅつ進歩しんぽした結果けっかPETボトルのような形状けいじょうをして、ふくすうかい開閉かいへいてきしたキャップをつ「ボトルかん」とばれる製品せいひん普及ふきゅうしている。PETボトルの場合ばあい胴体どうたいをくるむフィルムにパッケージのデザイン印刷いんさつしているが、ボトルかん場合ばあいはほぼ全体ぜんたい印刷いんさつスペースとして利用りよう可能かのうなため、デザインの自由じゆうたかい。中身なかみえないことを美観びかんてきこのましいとかんがえることもある。

こうがわどうほそくなっているのは「くちしぼり」(ネッキング)とばれ、アルミニウム合金ごうきんせい比較的ひかくてき高価こうかなフタをちいさくしてコストを削減さくげんしながら強度きょうどたも工夫くふうである[3]

弱点じゃくてん[編集へんしゅう]

適用てきよう飲料いんりょう[編集へんしゅう]

アルミかんはスチールかんくらべて強度きょうどひくく、これをおぎなうために内圧ないあつをかける必要ひつようがあるため、緑茶りょくちゃロン茶ろんちゃなどの炭酸たんさん飲料いんりょうをアルミかん流通りゅうつうさせることがむずかしかった。現在げんざいは、かん成形せいけい充填じゅうてん技術ぎじゅつ向上こうじょうしたためこういった問題もんだい克服こくふくされ、アルミかんもちいた商品しょうひん増加ぞうか傾向けいこうであるが、たとえばかんコーヒーでもカフェ・オ・レカフェ・ラッテのような、発酵はっこうする可能かのうせいがある乳製品にゅうせいひんもちいた飲料いんりょうはいまだに不得手ふえて分野ぶんやである。

てい強度きょうど[編集へんしゅう]

部分ぶぶんてき変形へんけいたいする強度きょうどひくく、とくとがったものにされると容易ようい貫通かんつうする。炭酸たんさん飲料いんりょうはいったアルミかん開封かいふうのまま落下らっかさせると、衝撃しょうげきによる内圧ないあつ上昇じょうしょう部分ぶぶんてき変形へんけいりょくくわわって、アルミかん一部いちぶえられずに破裂はれつしていきおいよく内容ないようぶつ噴出ふんしゅつするリスクがあるため、製造せいぞうしゃかん印刷いんさつ落下らっかへの注意ちゅうい表示ひょうじおこなっている。

DIかん製造せいぞう[編集へんしゅう]

素材そざい[編集へんしゅう]

コイルじょうになったあつさ 0.3 mm前後ぜんこうのアルミ合金ごうきん素材そざいからDIかん製造せいぞう工程こうていはじまる。アルミニウム合金ごうきんせい DI かん場合ばあい、ボディーにはアルミニウム - マンガンけい(3000けい合金ごうきんてんしんざいが、またフタ部分ぶぶんにはアルミニウム - マグネシウムけい(5000けい合金ごうきん使用しようされる。

せいかん工程こうてい[編集へんしゅう]

アルミかん製法せいほうは、かんどうふかしぼりすることから、DI (Drawing & Ironing) ほうばれる。DIほう1955ねんアメリカ開発かいはつされた[4]

  • きからトリミング[5]
    • プレスによってブランクとばれる円盤えんばんじょうかれ、直後ちょくごしぼ成形せいけいによってあさいカップじょうにされる。
    • しごき加工かこうの3だん程度ていどのダイ(かねがた)によってあさいカップじょうからふかいカップじょうへとばされ、同時どうじさいしぼりによってカップのみち規定きていまでほそ成形せいけいされる。しごき加工かこうすることにより加工かこう硬化こうかこりかん丈夫じょうぶになる。かんによっては、どうへのプレス加工かこうなどにより凹凸おうとつをつけることで強度きょうどたかめ、より軽量けいりょうはかっているれいもある(ダイヤカットかんなど)。
    • 不要ふようとなったカップのはしがトリミング工程こうていとされる。

この状態じょうたいうす部分ぶぶんで0.1 mm、くちしぼ部分ぶぶんなどで0.15 - 0.16 mm程度ていどあつみにされる。

  • 内外ないがい脱脂だっし洗浄せんじょうされる。
  • 外部がいぶ側面そくめん塗装とそうされる。
  • 塗装とそう焼付やきつ乾燥かんそうされる。
  • 外部がいぶ側面そくめん印刷いんさつされる。
  • 内面ないめんがコート塗装とそうされる。
  • 塗装とそう焼付やきつ乾燥かんそうされる。

この工程こうていにより、かん内面ないめんかずμみゅーmほどの薄膜うすまくによってコートされ、充填じゅうてんされる内容ないようぶつがアルミと反応はんのうすることをふせいでいる。

  • べつ工程こうていのアルミニウム合金ごうきんせいのフタととも飲料いんりょう工場こうじょう出荷しゅっかされる。

充填じゅうてん密封みっぷう[編集へんしゅう]

飲料いんりょう工場こうじょうでは、飲料いんりょうかんボディにそそれ、直後ちょくごにシーマーとばれる機械きかいでアルミ合金ごうきんぶたかぶせ、じゅうめにより密封みっぷうされる[3]

アルミかん問題もんだい[編集へんしゅう]

アルミかん再生さいせいよう資源しげんとしての価値かちたかく、地方自治体ちほうじちたいのごみ回収かいしゅう事業じぎょうではそういった資源しげんごみ売却ばいきゃくえきによって経費けいひしにしているが、2000ねん前後ぜんごからすうねんわたり、日本にっぽん全国ぜんこく市町村しちょうそん自治体じちたい指定していのゴミからアルミかんとやはり価値かちすこしはある古紙こしとを売却ばいきゃくするひとえだしてちいさな社会しゃかい問題もんだいとなった。こうした行為こうい以前いぜんにも存在そんざいしていたが、生活せいかつなどをかせぐためにおこなホームレス失業しつぎょうしゃなどがえ、人目ひとめかまわずに毎朝まいあさのようにおこなわれるようになって以降いこう問題もんだい顕在けんざいし、「ごみされたごみの所有しょゆうけん市町村しちょうそん帰属きぞくし、アルミかん有価ゆうかぶつであるので行為こうい違法いほうである」とする地方自治体ちほうじちたい訴訟そしょう提起ていきし、地方自治体ちほうじちたい主張しゅちょうみとめる判決はんけつ確定かくていした。

東京とうきょう墨田すみだ事例じれいでは、2010ねん10月1にち条例じょうれい資源しげんごみのりに刑事けいじばつもうけた[6]によると、住民じゅうみんから「財源ざいげんとなるべきものが個人こじん生活せいかつになるのは納得なっとくできません。」という意見いけんがあったという[7]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 洗剤せんざいれたアルミかん電車でんしゃない爆発ばくはつ - Chem-Station(2012/10/21はん/2016ねん10がつ18にち閲覧えつらん
  2. ^ 専用せんよう容器ようき以外いがいうつえは危険きけん洗剤せんざい事故じこ - 東京とうきょう消防庁しょうぼうちょう、2023ねん5がつ9にち閲覧えつらん
  3. ^ a b JSTPへん 『ものづく不思議ふしぎ百科ひゃっか』 コロナしゃ 初版しょはんだい3さつ ISBN 4-339-07668-6
  4. ^ アルミかんリサイクル協会きょうかいHP
  5. ^ 萩原はぎはら芳彦よしひこ 監修かんしゅう 『ハンディブック 機械きかい 改訂かいてい2はんム社むしゃ 2007ねん3がつ20日はつか p.221,222
  6. ^ 墨田すみだ 資源しげん物持ものも対策たいさく[リンク]
  7. ^ 墨田すみだ 資源しげんゴミ・リサイクルについて[リンク]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]