ウンマ (イスラム)

ウンマ（アラビア語ご: أُمَّة‎、ʾumma(h)）とは、アラビア語ごで民族みんぞく・国民こくみん・共同きょうどう体たいなどを意味いみする。

「イスラームの」という形容詞けいようしで修飾しゅうしょくしたウンマ・イスラーミーヤ（الأمة الإسلامية al-ʾUmma(h) al-ʾIslāmīya(h)）はイスラーム共同きょうどう体たいと訳やくされ、イスラーム国家こっかとほぼ同義どうぎである。

語義ごぎ

أُمَّةٌ（文語ぶんご発音はつおん：ʾummah, 現代げんだい文語ぶんごアラビア語ご・日常にちじょう会話かいわ発音はつおん：ʾumma, ウンマ）はアラビア語ごの名詞めいしである。語義ごぎは辞典じてんや時代じだいによって多少たしょう異ことなるが、

• 同おなじルーツを持もち複数ふくすうの遺伝いでん的てき性質せいしつを共有きょうゆうする集団しゅうだんで、宗教しゅうきょうなり時間じかん・時期じきなり居住きょじゅう地じなり何なんらかの事物じぶつによってまとめられている人々ひとびと
• 歴史れきし・宗教しゅうきょう・経済けいざいなどを共有きょうゆうし同おなじ目的もくてきの元もとに生いきる人々ひとびとの集団しゅうだん
• 現代げんだいでは国民こくみん国家こっか・民族みんぞく国家こっかを指さすのにも用もちいられ、複数ふくすう形がた أُمَم（ʾumam, ウマム）は国連こくれん（United Nations）のNations部分ぶぶんの訳語やくごとしても用もちいられている
• 母親ははおや（＝أُمّ, ʾumm, ウンム）
• イスラームという純正じゅんせいなる信仰しんこうと善行ぜんこうのために集あつまった人々ひとびと、純正じゅんせいな信仰しんこう者しゃら、純正じゅんせいな共同きょうどう体たい（クルアーン第だい16章しょう『蜜蜂みつばち』第だい120節せつ）
• 集団しゅうだん、人々ひとびと、一団いちだん（クルアーン第だい28章しょう『物語ものがたり』第だい23節せつ）
• 宗教しゅうきょう（クルアーン第だい43章しょう『金かねの装飾そうしょく』第だい22節せつ）
• 世代せだい
• 時とき、期間きかん
• 身長しんちょう - 古典こてん資料しりょうなどにおいて複ふく合あい形容詞けいようし طَوِيلُ الْأُمَّةِ（ṭawīl al-ʾumma(h), タウィール・アル＝ウンマ, 実際じっさいの発音はつおん：タウィール・ル＝ウンマ）もしくは طَوِيلُ الْأُمَمِ（ṭawīl al-ʾumam, タウィール・アル＝ウマム, 実際じっさいの発音はつおん：タウィール・ル＝ウマム）で「背せが高たかい」の意味いみで登場とうじょう

などを意味いみする。

概説がいせつ

コーラン（クルアーン）の用法ようほうではウンマは、神かみ（アッラーフ）によって使徒しと（ラスール）を遣つかわされて啓けい典てんを与あたえられる人間にんげん集団しゅうだんの単位たんいのことである。ムーサー（モーセ）のウンマといえばユダヤ教徒きょうとの共同きょうどう体たいのことであり、イーサー（イエス）のウンマといえばキリスト教徒きりすときょうとの共同きょうどう体たいを意味いみする。彼かれらにはそれぞれ律りつ法ほう書しょ（タウラート）、福音ふくいん書しょ（インジール）という啓けい典てんが与あたえられた。しかし、彼かれらはこれらの啓けい典てんを改竄かいざんしたり、ゆがめて解釈かいしゃくしたりしているとコーランは主張しゅちょうする。そして、神かみの言葉ことばをそのままの形かたちで伝つたえる啓けい典てんがムハンマドのウンマ、すなわちイスラーム共同きょうどう体たいに遣つかわされたコーランであるとする。

こうして信徒しんと共同きょうどう体たいの意味いみを与あたえられたウンマというアラビア語ごの単語たんごは、次第しだいに特とくにイスラーム共同きょうどう体たいを指さして言いうようになり、イスラームを含ふくめた個々ここの共同きょうどう体たいには「ミッラ」という呼称こしょうが広ひろまる。

これを踏ふまえて、現代げんだいのイスラームの歴史れきしに関かんする研究けんきゅう、論述ろんじゅつでは単たんにウンマと言いっても、イスラーム共同きょうどう体たいのことを指さす場合ばあいが多おおい。

関連かんれん項目こうもく

• 宗教しゅうきょう的てき共同きょうどう体たい